檜洞丸 薄っすらと雪化粧をした西丹沢の盟主

大笄から見た冬の檜洞丸
神奈川県相模原市と山北町にまたがる檜洞丸(ひのきぼらまる)に登りました。
西丹沢と呼ばれる領域の中で最も標高が高く、盟主的な存在の山です。丹沢山塊の中でも奥まった場所にあり、かつては秘峰と称されるほどの深山でした。現在ではツツジシーズンを中心に、多くの登山者が訪れる人気の山となっています。
南岸低気圧が通過し季節外れの雪が降った西丹沢の深山を巡って来ました。

2025年3月10日に旅す。

檜洞丸は西丹沢の盟主として押しも押されもせぬ人気がある山ですが、登山の対象として広く認知されるようになったのは近代に入ってからの事です。かつては立ち入ることすらも困難な奥地にあり、西丹沢の秘峰と称されていました。
冬の檜洞丸山頂
特にツツジシーズン中に多くの登山者で賑わいますが、冬場に訪れる人は少なく、秘峰と呼ばれていた時代の静けさを僅かに取り戻します。

今回は南岸低気圧が通過して、丹沢山地にまとまった量の降雪があった直後を狙って訪問してきました。

深い考えも無しにツツジ新道から登り犬越路方面へ下る周回ルートを歩いたのですが、これは明らかに失敗でした。日中の気温の上昇と共に雪はすっかりと緩んでおり、滑り止めのチェーンスパイクが全く用をなさない状態でした。
積雪時の犬越路
この犬越路ルートには細尾根の急降下やクサリ場などの危険個所が複数存在しますが、過去に何度も歩いたことがあり勝手知っているルートであったため、積雪状態であっても特に問題はなかろうと考えていました。

今にして思うと、大したことはなかろうという慢心もあったことは否定できません。

そんな訳で下山時にだいぶおっかない思いをしましたが、お天気自体は上々で会心と言える山行きでした。薄っすらと雪化粧をした西丹沢を巡って来た1日の記録です。
檜洞丸の山頂付近から見た富士山

コース
檜洞丸のコースマップ
西丹沢ビジターセンターを起点にして、ツツジ新道から登り犬越路を下る周回ルートを歩きます。檜洞丸登山としては最も一般的であろう行程です。

破線扱いにこそなってはいませんが、犬越路方面にはいくつかの危険個所が存在します。

1.檜洞丸登山 アプロ―チ編 全くひと気がない降雪直後の西丹沢へ

5時54分 小田急線 喜多見駅
今日も寒い中を朝っぱらから自転車をこぎ、我が第3の最寄り駅こと喜多見駅へとやって来ました。こうして複数の鉄道路線に最寄りを駅を持つことにより、日帰り登山の可能性は大きく広がります。
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え、何を言っているのか意味がわからないって?そうですか・・・

6時56分 西丹沢方面への玄関口である新松田駅へとやって来ました。週末であればこの時間の電車からは多くの登山者がホームに降り立つのですが、本日は平日ということもあって流石に閑散としています。
新松田駅のホーム

新松田駅訪問時の定例行事である、晴れていると富士山が見える窓からのお天気占いを実施します。結果は文句なしの大吉ですが、富士山が見えるよと書かれた張り紙が剥がれててしまっていますね。
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7時15分発の西丹沢行きのバスに乗車します。ツツジシーズン中であれば平日であっても満席御礼状態になることが多い路線なのですが、本日は最初からほぼ貸し切りの状態です。
新松田駅のバス乗り場

8時33分 終点の西丹沢ビジターセンターに到着しました。1人バスから降り立ちます。よもや冬の西丹沢がここまで不人気であるとは思っていませんでした。季節による人気のバラつき加減が極端なんですね。
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半分以上とけかけた雪だるまの残骸がありますが、見たところビジターセンターの周辺にはもう雪が残っていません。山の上の方には沢山残ってくれていることに期待しておきましょう。

2.まだつぼみ状態のミツマタが立ち並ぶ、ゴーラ沢出合への道程

8時40分 身支度を整えて本日の行動を開始します。ツツジ新道の入り口までは、しばしの舗装道路歩きです。キャンプ場を横目にしながら、道なりに奥へと進みます。
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前方を横切る稜線の上にはしっかりと雪が積もっているのが見えます。しかし、期待しているほどの積雪量ではないような。まあ、登ってみてからのお楽しみと言うことで、ひと先ずは気にしないことにします。
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足元の水溜まりがコチコチに凍結しています。朝のうちの日影になっている場所はかなりの冷え込みようですが、日中の日差しで稜線上の雪がどれくらい緩んでしまうかは気になるところです。(何かのフラグ)
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ビジターセンターから10分ほど歩いたところで、ツツジ新道の入口までやって来ました。ぱっと見では全然道であるようには見えませんが、ここから山中へと分け入って行きます。
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最初の取り付きの部分はかなりの急勾配かつ道が細いので注意を要します。特に雨上がり後などで地面が濡れている時は、かなり滑りやすいので慎重に参りましょう。
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工事現場のようなパイプの足場になっている個所もあります。いかにも応急処置的な外観ですが、もう10年以上前からずっとこの状態です。
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最初の山場を乗り切ると、ほぼ平坦な道になりました。ここからゴーラ沢出合までは、それこそ鼻歌混じりに歩ける安心安全な区間です。
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道の脇にポツポツとミツマタが目につきます。開花シーズンにはまだ少しはやく、膨らみ始めた蕾の状態です。
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かなりの規模の群生です。檜洞丸と言うと圧倒的にツツジのイメージが強く、あまりミツマタの咲く山であるという認識は持っていませんでした。
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川床が道の高さまで追いついて来たところで、前方に大きな砂防堰堤が現れました。
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9時45分 ゴーラ沢出合まで歩いて来ました。ここはツツジ新道における最初のチェックポイントと言ったところです。
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名前の通り2つの沢の出合となってる場所です。橋はかかっていないので、対岸に移るために渡渉する必要があります。

季節によっては水量が多くて難儀することもあるポイントですが、冬は水も少なめで飛び石伝いに簡単に渡れます。
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沢の対岸にあるこちらの階段から尾根へ取り付きます。ここから先は山頂付近まで緩むことの無い急登が続きます。覚悟を決めて参りましょう。
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入口にあるこちらの看板には以前、地図を持っていない人に対して結構挑発的な言い回しの警告文が掲げられていたのですが、いつの間にか剥がされていました。
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スマホのGPSアプリが広く普及している今となっては、もはや時代にそぐわない内容になっていたから撤去でもしたのでしょうか。もっとも、当の私自身はスマホのGPSアプリを使用していませんが…

3.ツツジ新道の急登をへて、白く染まった西丹沢の盟主の頂へ

取り付いてすぐにクサリ場があります。クサリ以外にも、岩や木の根などの掴まれるものが沢山あるので、しっかりと大真面目に三点支持でよじ登ります。
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尾根乗ったら以降はずっと真っすぐ尾根沿いです。急登ではありますが、特にこれと言った危険な箇所もなく、至って登りやすい優等生的な登山道です。
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道の脇に雪が目立つようになって来ましたが、登山道上にはは既にとけて無い状態が続いています。「ヒャッハー雪だー」と喜び勇んでやってきている訳なのですが、これでは少々物足りない気分です。雪の上を歩かせてくれい。
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雪が降ったのは2日前の事で、中1日が空いただけでもう既にかなりとけてしまっているようです。うーむ、昨日のうちに登りに来るべきであったか。

河原から1時間ほどの折り続けたところで、ようやくまとまった量の雪がある領域に入りました。ここからはチェーンスパイク装着で行きます。
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丹沢名物の木階段がチラホラと出現し始めました。こんな風に中途半端に雪に埋まっている状態だとかなり歩きづらいので、どうせならもっとしっかり埋まっていてほしいのだけれどな。
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鉄ハシゴなどもあります。全般的に登山道は大変よく整備されています。むしろ整備され過ぎていると言うか、少なくとも現在の檜洞丸に秘峰感はミリほどにもありません。
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やはり雪がある状態だと思うようには歩け無いらしく、標準コースタイム通りのペースであればそろそろ山頂についていても良いくらいの時間ですが、一向に終わりは見えて来ません。
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ぜーはーぜーはー。ツツジ新道って・・・こんなにしんどかったっけか・・・。

振り向けばヤツがいる。何となくモヤーっと霞んではいますが、朝の新松田駅での占い結果の通り、お天気の方は完璧です。
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石棚山稜方面との分岐地点まで登って来ました。この時点で既に標準コースタイムから大きく遅延をきたしています。まあ雪がある時ならこんなものでしょうか。
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真の困難はこの後の下山時に待ち受けていると言うことを、この時の私はまだ知りませんでした。

山頂に向かってラストスパートをかけていきましょう。道と並行するように鹿よけのための柵が並んでおり、ここでもやはり秘峰感はミリほどにもありません。西丹沢が秘境だったのは、もはや遠い昔の話です。
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山頂に近づくつれて、こうして所々に展望の開けている場所があります。ただ、下山時に歩く予定の犬越路方面の方がもっと展望が開けているので、あまりここから眺める意味はないかもしれません。
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そうこうしているうちに、山頂が見えて来ました。
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12時15分 檜洞丸に登頂しました。かなり久しぶりの訪問ですが、こんなしんどい山だったっけかと言うのが率直な感想です。単にそれだけ私が老いたと言うだけのことかもしれませんが。
冬の檜洞丸山頂
この山が西丹沢の盟主であることに異論がある人はほぼいないだろうかと思いますが、実はこの山の登山史は極め浅く、一般登山者に登られるようになったのは1950年代以降になってからです。

それ以前の時代の西丹沢は、近づくことすらも容易ではない深山幽境の山域でした。

山頂はかなり広々としています。疎らに樹木が生い茂っているため、展望は隙間から少し見えるくらいであまり良くはありません。
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東側の蛭ヶ岳へと続く丹沢主稜の山並みです。見たところあちらの方がさらに積雪量は多そうです。雪の蛭ヶ岳なんてさぞや素敵なのでしょうけれど、日帰りで登るのはかなり厳しいので二の足を踏んでしまいます。
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北側の奥多摩方面の展望です。南岸低気圧の影響によってもたらされる雪雲は通常とは反対に東の太平洋の方からやってくるため、丹沢と比べるとこちらはあまり積雪がありません。
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山頂からの眺めはだいたいこんな程度のものですが、犬越路方面へ進むと展望が広く開けます。ツツジ新道を往復するつもりでいる人も、少しだけ見に行ってみる価値は十分にあると思います。

4.グズグズに雪が緩んでしまった恐怖の犬越路ルート

13時15分 久しぶりに山頂でお湯を沸かしてラーメンを食べていたら、だいぶ時間が押して来てしまいました。ボチボチ下山に移りましょう。当初計画の通りに、犬越路方面へ下ります。
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道の入り口に、ツツジ新道に比べて危険個所が多いので通行に十分注意してくださいとの警告文が掲げられています。今にして思えばこの警告に従うべきだったのですが、そのまま進んでしまいました。

すぐに前方の視界が開けました。ここからは、西丹沢と呼ばれている領域のほぼすべてを一望することが出来ます。
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富士山もこの通りよく見えています。ここから先はしばしの間、富士山を横目に歩く気持ちの良い稜線が続きます。
檜洞丸の山頂付近から見た富士山

西丹沢は塔ノ岳などからよりもずっと富士山に近い位置にあるため、かなり大きく見えます。今は雲に隠れてしまっていますが、丹沢から見た富士山は左側の裾に宝永火口が肩のように見えるのが大きな特徴です。
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入口にあった脅しのような警告とは裏腹に、始めのうちは緩やかで歩きやすい尾根道です。この後にちゃんと危ない箇所があるので、ご心配(?)は無用です。
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犬越路ルート上には、大笄(おおこうげ)と小笄(ここうげ)と言う2つのピークが途中に立ち塞がっています。厳密にいうと名も無き小さなピークはもっと沢山ありますが、ひとまずは大笄に向かって緩やかに登り返します。
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樹木が少なく陽当たりの良い尾根上では、すでに雪がかなり緩んで来てしまっています。チェーンスパイクを履いていると、すぐに足の裏に巨大な雪団子が出来てしまうため、定期的にトレッキングポールで叩き落としつつ進みます。

岩場のトラバースがありました。普段なら特に通行に難儀するような箇所ではありませんが、グズグズに緩んでしまった雪がある状態だと結構神経を使います。
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ここでも鹿よけの柵が並んでおり、柵の内側では笹が大きく育っています。もしこの柵が無かったら、あっという間に食べつくされて禿山になってしまうのでしょう。恐るべし、シカの食欲。
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大笄への登り返し途中から振り返ってみた檜洞丸の山頂です。本当はもう少し引いた位置から見た姿が良かったのですが、他に良い写真がなかったためこのカットが記事の冒頭を飾ることになりました。
大笄から見た冬の檜洞丸

眼下の谷底に見えているのが、往路で渡渉したゴーラ沢出合のある辺りです。これだけの標高差を一気に登って来た訳ですから、ツツジ新道がひたすら急登の連続だったのも当然です。
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特に山頂標識などは立っていませんが、恐らくここが大笄の山頂です。まるで主であるかのようなブナの巨木が、山頂を見下ろしていました。
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大笄を過ぎて以降も、まだしばらく間は気持ちよく歩ける緩やかな稜線が続きます。今のところは、雪団子が邪魔くさいこと以外は全く問題なく歩けてます。
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しかしそんな安らぎの時間は永遠には続きません。行く手の尾根がまるで途中で途切れているかのように見えています。それはすなわち、あの場所からは急降下が始まると言うことです。
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ということで、いよいよ転げ落ちるかのような急な下りが始まりました。そして案の定、グズグズに緩んでしまった雪に対してチェーンスパイクは全く用を成しません。
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この犬越路ルート、山と高原地図上で特に破線の扱いにはなっていませんが、危険個所もあり一般登山道の中では比較的難易度が高い方に部類されます。

私も始めてこのルートを歩いた時には、おっかなびっくりしながらかなり慎重に歩いたものでした。

それが今ではどうか。グズグズに雪が腐ってしまっているコンディションの中を、チェーンスパイクしかない状態で突入してきてしまい、案の定難儀しています。これは明らかに、慣れから来る慢心だとしか評しようがありません。
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せめてチェーンスパイクよりも爪が長くて制動力に優れる6本爪アイゼンを持って来ていたならまだしも、普通に考えればツツジ新道の往復に切り替えるべき状況です。これは大いに反省しなければいけません。

ツツジ新道にもあった鉄のハシゴがかかっていますが、幸いにもしっかりと雪の上に露出していました。これが半分埋まったような状態だと、さらに難儀する事になっていただろうと思います。
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ハシゴを過ぎると、今度は痩せ尾根の急降下が始まります。左側は大きく切れ落ちており、踏み外せばタダでは済まない高さです。
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反省と総括は生還してからゆっくり行うとして、とにかく今は目の前のことに集中しましょう。

正面に見えている大室山が大きい。西丹沢の盟主はどこかと問われたら、大多数の人は檜洞丸の名をあげるかと思いますが、最も西丹沢らしい山はどこかと問われたら、大室山と答える人も多いのではないでしょうか。
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・・・さて、そろそろ現実と向かい合いましょうか。足裏に出来る雪団子のせいで、靴のグリップにはまったく信用がおけません。岩や木の幹など色々なものを掴みつつ、1歩1歩ゆっくりと慎重に下って行きます。
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目指す犬越路の避難小屋も小さく見えています。・・・だからよそ見するなってば。
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無雪期であっても下るのはまあまあおっかない道ではありましたが、掴まれるものが何もない場所に1歩を踏み出すのがとにかく恐ろしい。
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と言うことで積雪時に犬越路ルートを歩こうと考えている人は、12本爪アイゼンを履くのは流石に少し大げさですが、最低でも6本爪のアイゼンを用意してから来ましょう。

少なくともチェーンスパイクで歩くべき道ではありません。

前方に見えているピークが小笄です。あそこへ登り返す前に、鞍部に向かってさらに大きく下ります。
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犬越路ルート上にはクサリ場が3か所存在します。1つめが現れました。
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幸いにもクサリはしっかりと露出していました。埋まっていたらどうしてくれようかと頭を抱える場面でしたが、ここは腕力頼みで少々強引に下ってしまいます。
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下りきってから振り返って見たところです。クサリ場としての難易度自体はさほど高くもありませんが、雪があると岩の凹凸がどうなっているのかわかりづらいので少し難しくなります。
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すぐに次のクサリ場が現れました。この岩場は斜め向きに下る必要があり、1つ目よりは若干難しいです。
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下りきってから振り返ってみたところです。手がかり足がかりはしっかりと存在しますが、ここでも雪に埋もれているとかなりわかりづらいです。
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おっかなびっくり何とか鞍部まで下って来ました。ここからは小笄に向かって登り返しです。下山時の登り返しほど憂鬱な事はありませんが、道がそうなっている以上は致し方ありません。
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全く記憶にはありませんでしたが、小笄への登り返しの途中にも小さなクサリ場ありました。
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思った以上にしっかりと登り返しさせられたところで、小笄の山頂まで登って来ました。
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小笄の山頂はかなり狭い空間ですが、展望が開けています。真正面に見えいる箒沢権現山(1,138m)の存在感が何気に凄い。一般登山道は存在せず、いわゆるバリエーションルートしかない山です。
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つい先ほど下って来た斜面です。道筋らしきものがなんとなく見えていますが、かなりの急勾配であることが分かるかと思います。
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最後のクサリ場は小笄からの下りにあります。このクサリ場は傾斜自体がそこまで急でもなく、難易度はこれまでで一番易しいです。
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危険地帯を何とか突破して、ようやく人心地つけました。あとは犬越路に向かって緩やかに下って行くだけです。
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と思ったらまだ小さな登り返しがあったりします。なかなか勿体付けてくれると言うか、こんなに長かったけか。
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それでも歩き続けていれば、いつかは終わりが見えてくるものです。あれだけ遠くに見えていた大室山が、何時しかすぐ目の前にありました。
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16時15分 犬越時まで下って来ました。かなり慎重に下って来た事もあり、標準コースタイムを大幅に超過するスローペースでの到着です。
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こんな陽が傾く時間まで歩くつもりなど無かったのですが、思いもよらぬ苦戦をしました。積雪状態の犬越路ルートをちょっと甘く見過ぎていましたね。
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ふくらはぎ周りの筋肉にかなりの疲労感を覚えていたので、既にだいぶ時間が押してしまってはいますが、ここでザックを落として大休止を取りました。

5.暗闇が迫る中を西丹沢ビジターセンターへ足早に駆け抜ける

日没までの残り時間は残すところもうあと僅かです。ここからは早足気味に参りましょう。幸いなことに、犬越路から下の登山道にはもうほとんど雪は残っておらず、これならば普通に歩けそうです。
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登山道はかなりしっかりと整備されていますが、それでも全般的にザレていて荒れ気味です。最後まで気を抜かずに参りましょう。
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中途半端に嫌な雪の残り方をしていたりして、なかなか油断がなりません。やはり丹沢の破線扱いではない一般登山道の中でも、難易度は少し高めな方だと思います。少なくともツツジ新道のように安心安全道ではありません。
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沢沿いまで下って来ました。もうこれで終わったかのような安堵感につつまれそうになりますが、ゴールまではまだひと道あります。
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砂防堰堤に土砂がたまり、広々とした平坦な空間が出来上がっています。西丹沢の登山道には結構ありがちな光景ですが、こういう場所はえてしてルートを見失いやすいので注意を要します。
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西丹沢クオリティの美しい沢に沿った道です。歩いていて気持ちの良い道ではありますが、全般的に荒れ気味です。
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渡渉箇所もあります。ISO感度を上げたので写真は明るく写っていますが、周囲がかなり薄暗くなって来ました。
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そろそろヘッドライトを出さないと駄目かなと思い始めてきたところで、ようやくゴールの用木沢公園橋が現れました。
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17時40分 用木沢出合まで下って来ました。これほど遅い時間になってしまったのは、完全に想定外です。雪の犬越路ルートを甘く見ていました。
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あとは西丹沢ビジターセンターまで、舗装道路を歩いて戻るだけです。沿道にあるキャンプ場は平日であるにも関わらず結構盛況なようで、ポツポツと明かりが灯っていました。
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18時10分 真っ暗で既にひと気のない西丹沢ビジターセンターに戻って来ました。
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当然のように貸し切り状態の最終バスで撤収します。私一人だけのためにスマンのう。
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「ヒャッハー雪だー」と喜び勇んで出向いた西丹沢でしたが、今回は色々と反省することの多い山行きでした。少なくとも犬越路ルートは、雪が緩んでグズグズになってしまっている状態のときに歩くべきルートではありません。ツツジ新道の往復が無難です。
太平洋側に面している丹沢山地には基本的にあまり雪は降りませんが、それでも1シーズン中に何回かは南岸低気圧の影響によってまとまった量の雪が積もることがあります。普段とは全く異なる丹沢の光景に出会える貴重な機会なので、チャンスがあれば是非とも訪れてみてください。当然ながら、無理のない範囲での話ですが・・・

<コースタイム>
西丹沢ビジターセンター(8:40)-ゴーラ沢出合(9:45)-檜洞丸(12:15~13:15)-犬越路(16:15~16:35)-用木沢出合(17:40)-西丹沢ビジターセンター(18:10)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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