静岡県熱海市と函南町(かみなんし)にまたがる日金山(ひがねやま)と岩戸山(いわどやま)に登りました。
伊豆半島と箱根の境界に位置している、湯河原火山と呼ばれる火山帯に属している山です。日金山は十国峠(じっこうとうげ)の名でも知られ、広く十国を見渡すことのできる好展望地です。山頂のすぐ近まで十国峠ドライブウェーが通じており、そこから山頂へと至るケーブルカーもあることから、登山の対象というよりは観光地としての性格が強い場所です。
今回は湯河原から熱海まで十国峠を横断するルート歩き、ついでに以前より気になっていた熱海城を合わせて巡って来ました。
2021年12月19日に旅す。
日金山は伊豆半島の付け根付と箱根との間に挟まるようにして立つ、古い時代の火山です。熱海と湯河原の背後に位置しており、海際近くまで山が迫る独特の景観を作り出しています。
別名で十国峠とも呼ばれ、その名の通り広く十ヵ国にもおよぶ地域を見晴らすことのできる好展望地です。十ヵ国と言っているのは旧令制国での話で、具体的には伊豆、相模、駿河、遠江、安房、上総、下総、武蔵、甲斐および信濃がここから見えます
山頂のすぐ脇を十国峠ドライブウェイが通っており、車やバスで訪れることが可能です。簡単に登ってこれてかつ眺めが良いことから、人気の観光地となっています。
今回はそれらの文明の利器には頼らずに、湯河原から登って熱海に下りるルートで歩いて来ました。
下山後は、熱海駅のホームから見えていて以前よりずっと気になっていた、熱海城に寄り道します。
海を見下ろす絶景の山と、純然たる観光地である鉄筋コンクリート製の城を巡り歩いて来た冬の一日の記録です。
コース
落合橋バス停よりスタートし、日金山東光寺を経て十国峠の展望台へ。下山は岩戸山を経由して熱海駅へ下ります。全行程の半分以上は舗装道路歩きとなる行程です。
1.日金山登山 アプローチ編 東海道本線の鈍行で行く湯河原への道程
5時58分 JR品川駅
東海道本線の普通列車に乗り込み、湯河原駅へと向かいます。え?新幹線?あんなブルジョワな乗り物はお呼びではありません。
JRよりも小田急線の方が断然運賃が安いため、いつも小田原までは小田急線を利用する事が多いのですが、その後の乗り継ぎがイマイチよろしくなかったため、本日は珍しく最初から東海道本線での旅路です。
7時36分 いつものように発車するなり完全爆睡している間に、電車はつつがなく湯河原駅へと到着しました。この駅に降り立つのは、以前に幕山へ登った時以来です。
隣接する熱海や箱根のネームバリューに押されて、イマイチ知名度が高くはありませんが、湯河原もまた温泉観光地です。観光地にありがちな顔出しパネルもしっかりと備えていました。顔の高さ的に、完全に子供用ですね。
駅前のバスロータリーより、7時45分発の奥湯河原行きのバスに乗車します。この路線は、箱根登山バスと伊豆箱根バスによる共同運用です。
私が乗車した便は箱根登山バスの車両でした。交通系ICカードに対応しています。
7時56分 10分少々の乗車時間で落合橋バス停に到着しました。駅から歩けないこともない距離ですが、奥湯河原行きのバスの運行本数は多めで、特に待たされることもないので素直に利用した方が良いと思います。
2.日の当たらない、谷筋の極寒の登山道
身支度を整えて、8時ちょうどに行動を開始します。バス停からはバスの進行方向とは反対向きに進み、右折して橋を渡ります。
この日は晴天ではあるものの寒波が到来中で、バス停の時点から既に身を切るような寒さです。この調子では、吹きっ晒しの山の上ではいったいどういうことになってしまうのだろうか。
橋を渡って最初の交差点を右折したら、後はずっと道なりです。なお本日の行程は、半分以上が舗装道路歩きとなります。
普通の街中ではありますが、道路脇にこうしてしっかりとハイキングコースの一部であることの案内が出ていました。
湯河原や熱海の周辺は、山が海のすぐ近くにまで迫っている地形となっており、始めから急な登り坂です。この舗装道路歩きの時点で、すでに結構な標高差を稼ぎ出します。
今歩いているこのハイキングコースは、日金山の山頂近くにある日金山東光寺の参道にあたるルートです。そのためこうして道すがらに、多くの地蔵が安置されています。
日の射さない谷筋の道は、尋常じゃない寒さです。普段は歩き始めてある程度体が温まってきた段階でネックウォーマとニット帽は脱ぐのですけれど、本日はいくら歩けど寒いままで一向に脱ぐ気にもなれません。
まったくこのおっさんは、こんな寒い日くらい家でじっとしていられないんですかね。
8時40分 日金山登山口まで登って来ました。色々なものが雑然と散乱していて、画的に美しくない登山口ですねえ。ここからようやく山道が始まります。
相変わらず陽が全く差し込まない、薄暗くて寒々しい登山道が続きます。この先も尾根に出るまでは、ずっとこの調子の道が続きます。早くお日様にあたりたい。
登り始めて程なく、沢にぶつかりました。ここからはしばしの間、沢沿いを行くことになります。
せせらぎの音が響き渡る沢沿いの光景に癒されます。とコメントしたいのは山々なのですが、実際のところは寒々しくてかないません。
もっと暖かい時期に歩けば、ここはきっと涼し気で良い雰囲気の道なのだろうと思います。
途中で一度林道を横断します。体感的には、この辺りがちょうど登山口と山頂の中間地点になります。さほど大きな標高差は無いため、実に手軽なハイキングコースであると言えます。
参道であることを示す石碑が一定間隔に設置されています。東光寺の開山は西暦4世紀頃であると伝えられており、相当古い歴史を持つ寺です。
薄暗い杉の植林帯を抜けると、いつしか周囲は箱根の外輪山とよく似た雰囲気の、笹竹に覆われた道に変わりました。
これはちょっと足をのせるのを躊躇しますな。歴史ある参道であるにもかかわらず、今ではあまり歩く人はいないと見えて、道は全般的にやや荒れ気味です。
薄暗かった登山道に、ようやく眩いお日様の光が差し込み始めました。まもなく尾根上に出そうな予感です。
本日はいったん十国峠まで行き、その後は再びここまで戻り熱海方面へと向かう予定です。と言う事で、サクッと往復して参りましょう。
3.日金山登山 登頂編 十ヵ国を広く見晴らす好展望の頂へ
この先にはもう大きな標高差は無く、ほぼ水平移動様なものです。今は笹竹によって側面を守られていますが、上空では強風が吹き荒れている音が鳴り響いていました。これは間違いなく山頂は尋常じゃない寒さでしょうね。
10時5分 不意に笹薮が切れて、開けた空間へと飛び出しました。東光寺に到着です。
東光寺は麓にある伊豆山神社の元宮にあたり、鎌倉幕府を興した源頼朝にもゆかりのある寺院です。
伊豆地方の死者は日金山に登るため、彼岸の日に登ると亡くなった人に出会うことができるという言い伝えがあります。そのため、彼岸の日にここを訪れる人が多いのだとか。
ドヤ顔をした蛙が腕を組んでいました。それで、これは一体何者なのでしょうか。
東光寺は地蔵菩薩を祭っており、参道上のみならずこうして寺院の敷地内にも数多くの地蔵が安置されています。いくらなんでも多すぎませんかね。
肝心の山頂である十国峠は、東光寺の裏手にあります。このまま向かいましょう。
またもや広々とした空間に出ました。日金山は広くて平坦な山頂部を持った山で、山頂一帯が姫の沢公園として整備されています。
この舗装されている道からも察せられる通り、姫の沢公園へは車で直接上がって来ることが出来ます。参道が荒れ気味だったのは、今ではみんな車で登って来てしまうからなんでしょうね。
眼下に広がるのは広大なる相模灘です。伊豆大島まで良く見えており、本日は素晴らしいまでの空気の透明度です。ありえないくらいにクッソ寒いですけれどね。
ちょっと紛らわしいのですが、相模湾と言うのは三浦半島から真鶴半島までを結ぶラインの内側を指す言葉です。真鶴半島よりも外側にある熱海や湯河原から見えている海は、相模湾ではなく相模灘と呼びます。
伊豆大島を最大望遠で覗いてみましょう。熱海港からは高速フェリーで45分程の距離だそうです。遠いようで意外に近いんですね。その気になれば日帰りも出来るかも。
眼下に熱海城が見えます。本日は下山後にあそこへ立ち寄る予定でいます。
視線を西へ向けると、駿河湾と沼津の市街地が見下ろせました。日金山は海が見える山が好きな人にとって、相模灘と駿河湾が同時に見える大変お得(?)な場所です。
さて、いつまでも勿体ぶっていないでそろそろ山頂へ向かいましょう。
ここまで登って来てようやく、真正面にドーンと富士山が姿を見せました。相変わらずでっけええなあ。
山頂に見えている円筒状の人工物は、十国峠ケーブルカーの山頂駅です。十国峠ドライブウェイの駐車場と山頂の展望台を結んでいる、全長僅か300メートルほどのケーブルカーです。
展望台までやって来ました。案の定と言うか、凄い強風です。さささっ寒いんですけれど。
ここはすでに観光地の領域であるため先ほどからマスクを着用しているわけですが、すぐにメガネが曇ってしまい何も見えません。
10時40分 十国峠に登頂しました。ここが日金山の最高地点であるはずなのですが、山頂標識上にはその名前は見当たらず、十国峠とだけありました。
前述の通り非常に全長が短いケーブルカーであるため、下側の駅である十国登り口駅がすぐ目の前に見えます。所要時間は僅かに3分です。
この下に見えている十国峠レストハウスへは、熱海駅発の路線バスでも登って来ることが出来ます。
日金山が登山の対象としてはほぼ無名に等しい存在であるのは、そもそも歩いて登ってくる人間がほとんどいないからであると思われます。周囲に山登りの格好をしている人は一人もおらず、私は完全に浮いていました。
4.十ヵ国を望む峠からの大展望
十国峠展望台からは、360度ほぼ全方位に展望が開けています。眺めに関しては大いに期待して良いですよ。
駿河湾の手前に連なるこの小さな山並みは、いわゆるご当地アルプスのはしりであると名高い沼津アルプスです。こうして見ると、かなり激しくアップダウンを繰り返している様が良くわかります。
南の伊豆方面です。前方に広がる丘陵状の山地は丹那山地と呼ばれています。
伊豆半島はもともとは南の海で生まれた火山島であり、今からおよそ60万年前頃に日本列島に衝突しました。日金山が属している湯河原火山群や丹那山地は、この衝突による隆起によって作られました
続いて東方向に目を向けると、この後に登る予定の岩戸山の姿が見えます。
眼下には真鶴半島と湯河原の市街地が良く見えます。伊豆半島の隣にあるこの小さな半島は、丹沢の山からも良く見えるので印象に残っていると言う人は多いのではないでしょうか。
以前に幕山に登った際に、その場の思い付きで半島の先端から駅まで歩いて帰ったっけか。
続いて北側に目を向けると、笹薮に覆われた稜線が箱根まで連なっているのが見えます。結構な長距離にはなりますが、箱根外輪山の箱根峠まで道は繋がっており、縦走することも可能です。
そして最後に、富士山と愛鷹山です。箱根の裾野の一部が前方を横切っているため、遮るものもなく目の前にドーンと言う訳には行きませんが、それでもここが素晴らしき富士展望台の一つであることは間違いありません。
いやはや、前評判に違わぬ絶景の展望台でありました。バスとケーブルカーを使えば労せず簡単に登ってこれる場所なので、老若男女を問わずあらゆる人におススメなスポットです。
5.日金山登山 下山編 岩戸山を経由して熱海へと下る長い下山路
11時20分 素晴らし眺望を前にして、つい長居が過ぎました。寒風に晒されすぎてすっかりと体も冷えてしまったため、風邪をひく前にそろそろ撤収に移りましょう。
岩戸山を目座し、まずは湯河原方面との分岐地点までの引き返します。
11時50分 帰路では東光寺は素通りして、サクサクと分岐地点まで戻って来ました。ここを直進して岩戸山方面へと足を踏み入れます。
笹竹のトンネルの中を進みます。隣接する箱根の外輪と同じような植生をしているのは、火山灰から成る土壌の質が似通っているからなのでしょうか。
今歩いているこの道は、熱海方面から東光寺に至る参道です。湯河原方面から登って来た道と同じように、道中には多くの地蔵が安置されていました。
視界の開けた場所に飛び出しました。このまま直進すると、岩戸山をスルーして来宮駅へ降りることが出来るようです。エスケープする理由はないので、左折して岩戸山方面へ進みます。
登山道が鉄塔の巡視路を兼ねているらしく、こうして所々に鉄塔に通じている横道があります。
いつの間にか富士山は雲隠れを決め込みつつありました。あぶないあぶない。私が十国峠に登頂したのは、絶景を台無しさる寸前の事であったようです。
周囲に岩の姿が目立ち始めました。どうやら岩戸山は、その名の通りの岩峰であるようです。
緩やかに登り返したところで、あっさりと山頂らしき場所へ飛び出しました。
12時20分 岩戸山に登頂しました。標高700メートル少々でしかない低山ですが、海際から屹立している山であるため、山頂からの眺めは良好です。
視界が開けているのは南側の一方向だけです。眼下に熱海の街並みが見えました。
海上にポツンと浮かぶ初島が良く見えます。熱海港からは僅か約10kmしか離れていない場所にある島です。
初島は本州から最も近い海洋リゾートとしてバブル時代に乱開発されましたが、その後は衰退して今ではすっかり寂れています。それでも、近年のスキューバダイビング人気もあってか、多少は持ち直してきているらしい。
狭い山頂は人で溢れていたため、追い出されるようにして下山を再開します。海を見下ろす気持ちのよい道ですが、この眺めは冬枯れの季節限定のもので、葉が茂るグリーンシーズには恐らく何も見えなくなります。
尾根沿いを緩やかに下る歩きやすい道ですが、東に向かって下っているためゴール地点の熱海からは遠ざかって行きます。遠回りせずに岩戸山から真っすぐ熱海方向へ下るルートも存在するようですが、そちらは破線扱いの道となります。
舗装道路へと下って来ました。現在地はまだまだ山の上ですが、登山道はここまでとなります。
6.熱海駅への長い舗装道路歩きと、関八州総鎮護の伊豆山神社
現在地は七尾地区と呼ばれている一帯で、どうやら大企業の保養所が林立するリゾート地であるようです。
ハイカー向けの案内と言う訳ではなさそうですが、こうしてしっかりと道標もあります。ここから熱海駅までは、歩くとまだ1時間以上はかかる距離です。頑張って歩きましょう。
海を望む気持ちの良い道です。この後も舗装道路歩き長々と続きますが、眺めが良いためあまり苦にはなりません。
リゾートマンションなのだろうと思われる、要塞のような巨大建築物が所狭しと立ち並んでいました。熱海のリゾートマンションだなんて、バブリーな響きがする言葉です。
ここまで下ってくれば、熱海駅行きの路線バスも走っています。もう歩くのがかったるいと言う人は、素直にバスを待った方が良いでしょう。概ね1時間に1本の頻度で運転されています。
14時20分 伊豆山神社の前までやってきました。全国各地に点在する伊豆山神社の総本山にあたる場所です。目も眩みそうな圧倒的階段を登るのは気乗りはしませんが、せっかくなので立ち寄って行きましょう。
ちなみにこの階段は海際まで続いていており、一番下から登ると全部で837段あるそうです。
もう下山した後だと言うのに、何故か息絶え絶えになりつつ登ってまいりました。伊豆山神社は源頼朝が北条政子と出会った場所であると言う事から、縁結びの神社として人気があります。
この輪をくぐる大変複雑な参拝のお作法があります。なにやら面倒そうだったので、「くぐらない」と言う身も蓋もない選択をしましたがね。
池の辺に僅かながら紅葉の名残が残っていました。どうやら1週間前くらいがベストな訪問のタイミングであったようです。
手早く参拝を済ませて、神社を後にします。このまま海際まで階段を下っても良かったのですが、それだと若干の遠回りになるため、バス通り沿いに歩くことにします。
特に深い考えも無しに決めたルート取りだったわけなのですが、しかしこれにより意図せず思いもよらぬ光景を目にすることとなりました。
伊豆山神社前からバス通り沿いに進むと、前方に土嚢が詰まれた異様な光景が飛び込んで来ました。何でしょう?土砂崩れでもあったのかな。
しかしこれは、ちょっとしたガケ崩れとかそういうレベルの崩落では無いように見えます。ここにきてようやく、これが何なのかに思い当たりました。ここは熱海の土砂災害の現場だ。
発生からすでに5ヵ月が経過した現在もなお、生々しい破壊の痕跡がそのまま残っていました。この大災害により、26人もの方が亡くなりくなり、まだ1人の行方がわかっていません。
ニュースなどで何度も目にしていた光景ではありますが、実際に目の当たりにすると、その破壊の規模の大きさに唖然となりました。合掌して通り過ぎます。
ここまで来れば、駅まではもう後少しです。早くも陽が傾きつつある坂道を、足早に下りおりました。
15時5分 熱海駅に到着しました。意外と遠かった。やはり素直に七尾からはバスを利用すべきでしたね。
7.熱海港を見下ろす観光地、熱海城
駅へ着いて早々ですが、このまま本日のもう一つの目的地と位置付けている、熱海城へと向かいます。駅前のバスターミナルより、熱海市内周遊バスである湯~遊~バスに乗車します。
この周遊バスは熱海市内の観光名所を巡る観光路線で、運賃は距離に関係なく定額の250円です。一日乗り放題のフリー乗車券もあり、800円で購入できます。
この海際の山の上に立つ熱海城は、熱海駅のホームからも良く見えていて、以前よりずっと気になっていました。今回はせっかく熱海まで来たのだから、立ち寄って行こうと始めから計画に組み込んでいました。
一見すると断崖絶壁の上に建っているいるようにも見える熱海城ですが、裏側から車で登れる道がしっかりと存在し、バスで目の前まで登ってこれます。
ここへはバスの他にも、熱海港からアタミロープウェイで登ってくることも出来ます。ちなみにこのアタミロープウェイの山上駅には、熱海秘宝館と言うB級感が溢れるスポットが併設されています。
この秘宝館と言うのがまたとても個性的な施設なのですが、どなたでも安心してご覧いただける全年齢対応の健全サイトを標榜する当ブログでは扱いかねる内容の場所なので、詳細について語るのは割愛します。
興味がある方は自分で調べてみてください。
熱海城の前からは、熱海の市街地が一望できます。背後に見えている山が、本日登って来た岩戸山です。
こうしてあらためて眺めると、熱海と言うのはかなり特異な場所です。基本的に海際まですべて傾斜地で、扇状地的な平坦な場所が全くありません。
よくもまあこんなところに街をつくったものだと、感心させられます。
そして熱海城です。この城は歴史的建造物ではなく、昭和の時代に作られた鉄筋コンクリート製の純然たる観光施設です。ただ決していい加減に造られたものではなく、日本国内の城郭を研究して、実在してもおかしくないデザインで作られています。
入場料は1,000円です。併設されているトリックアート美術館とのセット券もありますが、本日はもう時間が時間だけに、熱海城の見物のみに的を絞ります。
城内へ入るなり、巨大なシャチホコが出迎えてくれました。名古屋城のものよりも大きく、日本一のサイズなのだそうですよ。
意外にもと言ったら怒られてしまうかもしれませんが、中はいたって真面目な甲冑や城郭の歴史に関する展示品が並んでいました。
精巧に作られた城郭のミニチュアモデルです。これ凄い欲しいんですけれど、一品ものだろうし相当お高いんでしょうね。
抜けば玉散る氷の刃。日本刀と言うのは、いくつになっても中2心をくすぐられる、浪漫が溢れる品です。
大名が乗っていたと言う籠です。これで実物大らしいのですが、ミニチュアモデルなのではないかと思うほどに小さくて驚きました。私はたぶん、入ることすらできなさそうです。
当時の日本人の平均身長は150センチ前後だったと言う事ですから、それに合わせたサイズなのでしょう。
天守から望む熱海湾の光景です。ちょうど陽が沈むタイミングでした。
沖合には、山の上から眺めた時よりもずっと大きく伊豆大島の姿が見えました。
湾を挟んだ向かいには真鶴半島。先端の三ツ石もなんとなく見えます。
最終便の湯~遊~バスに乗って撤収します。このバスは16時台までしか走っていませんが、ロープウェイは17時30分まで営業しているので、日の短い季節であれば熱海の夜景を眺めていくことも可能です。
熱海駅へと戻って来た時には、周囲はすっかりと暗くなっていました。冬至を目前に控えた今の季節は、本当に日が短い。
新幹線の券売機がやたらと混雑しており「熱海と言うのは普通、新幹線で来るものなんだ。みんなお金持ってるねぇ。」なんてことをボンヤリと思っていたわけですが、混んでいるのには理由がありました。
お隣の真鶴駅で人身事故が発生しており、東海道本線が運転見合わせになっていたのです。
30分後くらいには運転再開の見込みであると言うので、わざわざ並んで新幹線には乗らずに、駅前の商店街をプラついて時間潰しをしていきます。
グルっと一回りし、お土産の干物を買ったところで、ちょうど良いお時間になりました。
なにかを忘れているような気がすることに若干の引っかかりを覚えつつも、運転を再開した東海道線に乗り込み帰宅の途につきました。
そして、電車が動き出した後になってからふと、忘れていたことに思い当たるのでした。熱海まで来たというのに、温泉に入るのを忘れてたッ!
熱海へはそのうち、温泉に入るためだけにでも再訪しようかと思います。
最後の最後で大きな取りこぼしをしてしまったものの、晴天にも恵まれて十国峠の訪問は満足の内に幕を閉じました。
車で来れてしまう観光地であるためか、日金山は登山の対象としては殆ど認識されていない極めてマイナーな山ではありますが、ご覧いただいた通りかつての参道を行く登山道がしっかりと存在します。
手軽に登れる山ながらも、山頂からの眺めは圧巻の一言です。特に海が見える山が好きだと言う人には刺さる場所だと思います。下山が面倒になったらバスでエスケープすることも可能であり、軽めのハイキングがしたいと言う人にはうってつけの場所です。
標高の高い山の多くが雪に閉ざされていまう冬の季節にでも、この十ヵ国を広く見渡す山へと訪れてみては如何でしょうか。
<コースタイム>
落合橋BS(8:00)-日金山登山口(8:40)-東光寺(10:05)-十国峠(日金山)(10:40~11:20)-岩戸山(12:20~12:40)-伊豆山神社(14:15)-熱海駅(15:00)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキ様
登山後の風呂とビールを楽しみに山に登っている私は温泉に入るのを失念することは有りませんが、熱海であれば外観は古いですが徳川家康にゆかりのある「日航亭」とかでしょうか?
こちらのコースは他のブログで「舗装路歩きが長い」とありましたのでまだ行っていませんが、冬は登れる山が少ないのでタイミングを見て行ってみようかと思います。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
眺望抜群な場所なので、空気が澄んでいる冬期の訪問先には適してると思います。確かに舗装路歩きは長いですが、面倒だったら帰路の行程はバスに乗って省略できます。熱海の温泉とセットで是非どうぞ。