山梨県南部町と静岡県静岡市にまたがる十枚山(じゅうまいさん)に登りました。
安倍東稜と呼ばれる、安倍川の東に連なる尾根上にある二つの頂を持った双耳峰です。山梨百名山にも選ばれている好展望の山で、あまり歩く人のいない安倍東稜の山の中では比較的多く登られている山です。
安倍川沿いの六郎木から富士川沿いの内船駅まで、安倍東稜を越えてゆく長き道程を歩いて来ました。
2022年11月3日に旅す。
富士川の流域に広がる甲斐南部と呼ばれる地。この公共交通によるアクセスが困難な一帯には、数多くの山梨百名山がひしめいています。
今回はまたもやマイナーな山梨百名山回でもって、読者のみなさまのご機嫌を伺います。もしかしなくても、読者を置き去りにしているのではなかろうか。甲斐南部の十枚山に登って来ました。
十枚山は山梨県と静岡県の境界を形成している、安倍東稜と呼ばれる尾根上にある山です。安部川と富士川の分水嶺であり、静岡側と山梨側の両方に登山道が存在します。
今回は静岡県側から登り山梨県側に下りる、横断ルートを歩いて来ました。
川際のすぐ近くから屹立している山であることから、東西のどちらから登ろうともたいへん急峻な山です。山頂はまでは胸を突くような急登に次ぐ急登が続きます。
登山口からの標高差は大きく、決して容易に登れる山ではありません。中級以上のレベルの山であると言えます。
苦労の末に辿り着いた山頂からは、圧巻の大展望が広がります。雲一つない秋晴れの下、安倍東稜を横断してきた一日の記録です。
コース
安倍川沿いの六郎木バス停からスタートして十枚山に登頂します。その後は十枚峠を経由し、山梨県の成島方面へ下山します。
十枚山登山口バス停に土休日のバス便はないため、下山後は身延線の内船駅まで歩きます。総歩行距離20kmオーバーのロングトレイルです。
1.十見山登山 アプローチ編 公共交通機関で行く、安倍川への長い道程
7時9分 JR品川駅
甲斐南部は遠い。8時33分に静岡駅を発つ梅ヶ島温泉行きのバスに乗車するには、新幹線で行かないと乗り継ぎが間に合いません。
乗車するのは、まるで静岡県などこの世に存在しないかのように振る舞うのぞみ号ではなく、静岡駅にも停車するひかり号です。
新幹線の快適な座席でうつらうつらとしている間に、車窓に富士山の姿が見えて来ました。今日は良いお天気となりそうです。
8時4分 静岡駅に到着しました。これから山梨県の山に登ろうと言うのに、中央線ではなく東海道線でアプローチすると言うのも何やら妙な気分がします。
もっとも静岡県と山梨県の県境上にある十枚山は、静岡県側からのアプローチの方が一般的で、実質的に静岡県の山のようなものではありますが。
8時33分発の梅ヶ島温泉行きのバスに乗車します。甲斐南部にある山梨百名山のうち、十枚山の他に八紘嶺や山伏などもこのバス路線を使ってアプローチすることになります。
バスは安部川沿いの道を上流に向かって延々遡って行きます。終点の梅ヶ島温泉までの所要時間は1時間30分以上と、かなりの長丁場です。
9時58分 六郎木バス停に到着しました。登山開始時間としてはかなり遅い時間になってしまいましたが、公共交通機関頼み身としては致し方ありません。
ハイキングコースの案内板が大きく掲げられていました。十枚山は安倍東稜の山の中では比較的登る人が多い山で、静岡県側の登山道はしっかりと整備が行き届いています。
今ことさら「静岡県側の」と強調したのは、反対の山梨県側はかなり荒れていたからです。。。
トイレがあってここで身支度を整えられます。駐車スぺースもあるので、車でお越しの人はここを起点にした周回ルートを取ることも出来ます。
2.秘境めいた山間部にある中の段集落
10時5分 身支度を整えて行動を開始します。まずはバス停から関の沢橋を渡り、安部川の対岸へ移動します。
暴れ川として悪名高い安倍川は、上流部であるにもかかわらずやけに川幅が広くて異様な姿をしています。安倍奥を訪れたのは今回で自身3度目ですが、何度見ても気圧される光景です。
橋を渡ったらすぐに右折し、そのあとはずっと道なりです。ここでは特に、十枚山の名が書かれた道標などは無かったと記憶しています。
安倍川支流の沢沿いに、小さな集落が続いていました。沢の大きさに対して明らかに不釣り合いな深さの谷です。この関の沢は土砂災害特別警戒区に指定されています。
集落を抜けると、すれ違い不能の幅員しかない山道となりました。この後もまだしばしの間、舗装道路歩きが続きます。
道からは離れていてあまり良く見えませんが、道中に「宝月の滝」と名付けられた滝がありました。私が見落としただけで、川まで降りられる道があったのかもしれません。
陽の射さない薄暗い谷底を進みます。前方を横切っているいのが目指す安倍東稜でしょうか。ここから見ても、かなりの急勾配であることが見て取れます。
だいぶ文字が擦れて読みにくい状態ですが、十枚山の名が書かれた道標もありました。
ようやく谷底の道にまで、眩い日の光が差し込みはじめました。みるみる体が温まって行くのを感じます。というか、すこし暑いくらいです。
そして、道沿いに電線が存在していることからも察せられる通り、この先にもまだ集落があります。この道は林道では無く生活道路だと言う事です。
まるで急斜面の表面をなめるかのように、軽トラ規格の道がジグザグと九十九折れに続いていました。
まだ登山口に辿り着いてすらいないと言うのに、早くも汗だくになりつつありました。ここはまだ一般車も入ってこれる道ですが、小型車でないと進入しようとは思えないような道です。
途中での裏面の脇にショートカットできそうな道がありました。当然こちらへ進みます。ちょっと短縮できるだけで、またすぐに元の道に合流してしまいますけれどね。
この急斜面上に家屋が何件か並んでいました。中の段と呼ばれている集落です。常時ここに住んでいるのか、畑を耕しに来るときにだけ滞在しているいのかは定かではありませんが、しかし凄いところにありますね。
集落の一番高い場所から見下ろした中の段です。まさに秘境と呼ぶにふさわしい光景が広がっていました。
地図によると、この集落の中に登山者も利用できる小さな駐車スペースがあるらしいのですが、それらしき場所を見かけませんでした。どこのことを言っていたのだろうか。
11時20分 十枚山登山口に到着しました。やけに長いアプローチでありましたが、これは公共交通機関利用者の宿命です。まったく甲斐南部の山はどこも、車も買えない貧乏人環境意識高い系ハイカーには優しくありません。
先ほどから気温がぐんぐんと上昇を続けており、あまりの暑さにここで半袖Tシャツ一枚になりました。よもや11月に入って以降に半袖一枚になる機会があろうとは。
3.十枚山登山 登頂編 急登の果てに待つ大展望の頂
登り始めかて早々から、周囲はまるで奥多摩のような杉林となりました。降水量の多い甲斐南部では林業が盛んで、どこの山も大概は似たような光景が広がっています。
地図には記載の無い林道が幾重にも交差していました。枝打ちされた形跡もあり、しっかりと手入れがされている植林のようです。
登山口から単調な杉林を20分程登ったところで、沢コースと直登コースとの分岐が現れました。沢コースの方は長らく通行止め状態が続いており、好む好まざる如何に関わりなく直登ルート一択となります
わざわざ直登ルートと名乗っているだけの事はあって、踵が痛くなるような急登が始まりました。この先は山頂までずっと、緩むことの無い急坂が続きます。覚悟して参りましょう。
まるで壁のような勾配の急斜面を、ひたすら九十九折れに登り上げます。やがて小さな涸れ沢を横断する箇所が現れました。
この枯れ沢の横断個所は足元が崩落気味で、通り抜けるのに若干緊張しました。登りはともかく、あまり下りには利用したくない道です。
標高が1,500メートルを超えた辺りで、ようやく杉の植林帯から抜けて自然林の中に入りました。
もう紅葉のピークは過ぎてしまっており散り始めていましたが、こうして僅かながらに名残を見ることが出来ました。
頭上が開けてそろそろ山頂が近そうな雰囲気を醸し出しているのに、なかなか山頂に辿り着きません。急登続きで徐々に足が前に出なくなって来ましたぞ。
再び始まる無慈悲な急登。登るのはもうお腹いっぱいなんですけれども。スタート地点の六郎木から山頂までの累計標高差は1,400メートル以上あるので、何気に結構キツイ山です。
背後の展望が開けて来ました。この眼下に見えている谷底からずっと登って来た訳ですから、標高差が大きいと言うのにも納得です。
安倍川の下流方向に、静岡市の市街地と駿河湾が見えました。海際近くにまで山が迫っており、安倍川流域にある山の険しさの程が良くわかる光景です。
背後に頭一つ飛び出しているこの山は、南アルプス深南部の大無限山(2,330m)です。一般登山道は存在しない、高難易度の藪山として名高い存在です。
この山は以前より私の登りたい山リストに名を連ねていますが、公共交通機関利用者にとっては、藪以前にまず登山口までのアプローチが最大の核心部です。
気軽に人を誘えるような山ではないし、それこそ一人で札びらを切って行くしかないのでしょうけれど、なかなか決心がつかずにいます。
すっかり息も絶え絶えになってきたところで、ようやく山頂が見えて来ました。やれやれ、やっと着きましたか。
13時25分 十枚山に登頂しました。急登にだいぶ苦しめられましたが、しかし山頂に着くなりそんな苦労など跡形もなく吹き飛ぶような展望が目に飛び込んできました。素晴らしい!
正面に見えているのは下十枚山(1,732m)です。十枚山は二つの頂を持つ双耳峰で、最高地点はあちらの下十枚山の方なのですが、展望がないためか現在地の方が山頂の扱いとなっています。
山頂の様子
かなり広々とした空間となっており、北側以外の全方位に展望が開けています。
恐らくは静岡県が設置したのであろう、南アルプスの山で良く目にするお団子型の山頂標識が立っていました。
山頂の三角点を挟んだ向かいには、いつもの山梨百名山の標柱もしっかりと立っていました。
4.十枚山山頂からの展望
十枚山の山頂からは、安部川流域と甲斐南部の山並みを一望する大絶景が広がります。南には竜爪山(1,051m)まで続く安倍東稜線の山並みが連なります。
なかなかアップダウンが激しそうですが、歩いたら気持ちの良さそうな山並みですね。縦走してみたい気もしますが、とても1日で歩ける距離ではないので、テントを担いでこないと厳しいでしょうね。
北側には富士山が見えていますが、こちらは樹木に邪魔されて少々残念な感じです。
富士山から少し視線を右に動かすと、甲斐南部の山並みを眼下に一望できます。正面のすぐ隣に見えているのは篠井山(1,394m)です。あちらもまだ未踏の山梨百名山なので、いずれは登らなければなりません。
篠井山の右奥には、駿河湾越しに伊豆半島までもが見渡せます。海なし県である山梨県の山からは、あまり海が見えると言う印象はありませんが、甲斐南部からであれば以外に近距離です。
眼下には同じく山梨百名山の貫ヶ岳(897m)から平治の段に至る尾根が見えています。なお、高ドッキョウ(1,134m)があるのはもう少し右のほうで、下十枚山に隠れてしまうためここからでは見えません。
白鳥山(568m)も良く見えます。山梨百名山の中で最も標高の低い山です。
反対側には安部川越しに南アルプス深南部の山が広がります。この辺りは特徴に乏しい山がダンゴ状となっており、山座同定するのが難しい。
道中からも見えていた、安倍川の下流方面です。見渡す限り一面の山また山の光景です。
いや実に素晴らしい大展望でありました。大いに気に入りましたよ。甲斐南部にある山梨百名山の中では、十枚山がダントツでイチオシです。
5.カラマツ林の覆われた十枚峠
13時45分 素晴らしき展望を前にして、つい長居が過ぎました。今は陽の短い季節であるし、日没までの残り時間もだいぶ押して来ているので、ボチボチ下山に移りましょう。
下山は元来た道には引き返さず、十枚峠を経由して山梨県側に下ります。「往復ヨリ横断ヲ持ツテ尊キモノトス」と言ういつもの不可解な価値観を発露した結果であることは言うまでもありません。
山梨百名山なのだから、山梨県側の登山道も歩くべきであろうと言う気持ちも少なからずあっての計画です。結果としてかなりのロングトレイルとなってしまいますが、さあ果たしてこの判断は吉と出るのかどうか。
下十枚山との鞍部にある十枚峠まで下って行きます。本当は下十枚山にも登って行きたかったのですが、残念ながらもう日没タイムリミットまでに余裕がありません。
十枚峠の周辺はカラマツ林となっていました。昼間でも薄暗い杉林とは違い、明るくて気持ちが良いトレイルです。
左手には樹木の隙間からこうしてずっと富士山が見えているいのですが、視界の開けている場所はありません。
反対の右手は開けており、静岡県側は実に良い眺めです。どこか一ヵ所だけでいいから、富士山がクリアに見える場所があると良いのですけれどね。
カラマツの紅葉が良い感じです。もう既にピークは過ぎており、訪問時期としてはもう少し早い方が良かったようですね。
14時5分 十枚峠に登頂しました。以前はここから沢コースに周回することが出来ましたが、前述の通り現在沢コースは通行止めの状態です。
峠からは正面に大無限山の姿が良く見えました。こうして眺めていたら、登ってみたい言う気持ちがより強くなってしまいました。真面目にアプローチの方法を検討してみることにしましょう。
さて肝心の山梨県側に下る登山道の入口ですが、どうやらここのようです。・・・入口からしてすでに不安しか感じられませんが、本当に大丈夫なのだろうか。
6.十枚山登山 下山編 荒れ気味の成島ルートを下る
半信半疑に笹薮の中へ進むと、しっかりと踏み跡が続いていました。なるほど間違えではないようですが、しかし足元の柔らかさ加減からして、ほとんど歩かれてはいない道であるようです。
踏み跡が笹薮に没しつつある場所もありますが、目印のピンクテープが過剰なほどについているので、とりあえず道に迷う心配は無そうです。
やがて道は崩壊気味トラバース地帯に入りました。おいおい本当に大丈夫かなのかこの道は。
この成島ルート、山と高原地図上ではしれっと実線ルートとして描かれていますが、これは破線扱いにしないと駄目なのではなかろうか。普通に歩ける道だと勘違いされちゃいますよ。
気の抜けない危なっかしいトラバースがしばしの間続きます。これは完全に玄人向けの道ですね。偉そうに言っているけど、お前自身は玄人なのかと問われると、何とも言えないところではありますが。
特段の理由でもない限りは、六郎木からピストンする方が無難であると思います。
やがて大きく岩がせり出した場所に辿り着きました。おっかないトラバースはここまでで終了です。やれやれ、えらい緊張しましたよ。
ここは岩小屋と呼ばれている地点です。本当に小屋があるわけではなく、この大岩の下がちょうど軒下のようなスペースになっていることから付いた名称です。
岩小屋を過ぎると、後はひたすら尾根沿いに下って行くだけです。相変わらず踏跡は少々心許ないですが、もう危険な箇所はありません。
笹はしっかりと刈り払われており、決して放置されているわけではないようです。どちらにしろ、静岡県側と比べると、この道を歩く登山者の数は極めて少なそうではあります。
今下っているこの尾根は栂尾根と言う名称です。遠目に見た時に3つの段があり、それぞれ中の段、上の段および奥の段と呼ばれています。
標高が下がってくると、周囲は再びまるで奥多摩のような杉林となりました。この光景に関しては、静岡側も山梨側も変わりありません。
上の段まで下って来ました。大体この辺りが栂尾根のほぼ中間地点です。時刻はまだ15時を回ったばかりですが、東側斜面であるため既に周囲が薄暗くなりつつありました。
少しだけ自然林が残っており、ここでも僅かに紅葉が見られました。どちらにしろ杉林の比率が多いので、十枚山は紅葉を見に来るのにはあまり適していない山であると言えます。
サクサクと下って中の段まで下って来ました。何故かこの日の私は食糧計画を完全に失敗してしまっており、この時点で既に行動食が尽きてしまっていました。
若干の空腹感を覚えてきたので、ザックの底を漁って発掘した消費期限が3年前に過ぎているソジョイを食べました。まるでレンガのような歯ごたえでしたが、味の方は至って普通でした。
その後もサクサクと下り続けて、ようやく林道が見えて来ました。
15時40分 十枚山登山口に下山しました。・・・下山したと言っても、ここはまだまだ人里離れた山の中なんですけれどね・・・
恐ろしくシンプルな登山道の略図が掲げられていました。内容的に間違ってはいませんが、しかしこれ何の役にも立たない図ですよね。
8.内船駅ははるか遠く...
ここからは林道歩きです。最寄りの集落まではあと6kmほどあり、そこからさらに内船駅までもだいたい同じくらいの距離があります。つまり、まだあと10km以上は歩くと言う事です。遠いなあ。
まだ明るさが残っている間に、何とか街灯のある場所までは下ってしまいたいところです。
篠井山が目の前にありました。十枚山とは隣接しているので、可能であれば一気に2座登ってしまいたかったのですが、とてもではないけれど時間も体力も足りませんでしたな。
その後は写真も撮らずに黙々と下り続けて、川沿いの谷底まで下って来ました。ここまで下ってくれば、集落まではもうあと一息です。
これはもうダムと呼んでしまった方が適切なのかもしれない大きさの、巨大砂防堰堤がありました。下流にある集落を土砂災害から守るには、これだけの大きさのコンクリートの塊が必要なのでしょう。
正面に富士山の頭だけがチラ見えしていました。本日は終日に渡り雲一つない快晴で、絶好の登山日和でありました。
ぐるりと回り込んで、先ほどの堰堤を下から見たところです。ISO感度をあげたので明るく写っていますが、既に周囲は足元が見え辛いくらいの薄暗さです。
ようやく、街灯と言う偉大なる文明の光が届く場所まで下って来ました。
17時10分 十枚山登山口バス停に到着しました。山間部の公営バスにはありがちな、安定の平日のみ運行の路線です。まあ仮に平日であったとしても、この時間には既にバスがありませんがね。
と言う事で内船駅までもうあとひと道、気合を入れて歩きましょう。まったく甲斐南部の山梨百名山はどこかしこも、辺鄙な場所ばかりで環境意識高い系ハイカー泣かせですな。
暗闇の中でハッピードリンクショップを見つけると、何故か妙な安堵感に包まれます。食料が付きでだいぶ空腹感も募って来ていたので、とりあえずは甘い飲み物でなんとか糊口をしのぎます。おしるこ缶うめえ。
中部横断自動車道の下を潜ります。この道は途中まで身延線と同じく富士川の東岸を通っていますが、内船の少し手前辺りから西岸に移ります。
だいぶヘロヘロになりつつ、ようやく富士川に架かる南部橋までたどり着きました。内船駅はこの橋を渡ってすぐの場所にあります。
橋の上から見た富士川の上流方面です。中心に写っている山は身延山(1,153m)かな。
18時15分 内船駅に到着しました。・・・やっとつひた・・・。内船駅・・・とほおひいぃ・・・。
計画の段階から薄々感じてはいましたが、やはりだいぶ無理のある行程でしたな。普通に考えれば、十枚山登山口バス停に着いた時点で、送迎のタクシーを呼ぶべきであると思います。
次の富士駅行きの電車まではまだたっぷりと待ち時間があるので、その間に人権回復をしておきましょう。駅から徒歩で5分少々の場所にある、なんぶの湯に立ち寄って行きます。
少々塩素臭の強いお湯でしたが、広々としていて快適な湯舟でした。ゆったりと風呂につかって、多少は元気を取り戻しました
内船駅は南部町の中心にある駅で、特急ふじかわの停車駅でもあります。当然有人駅だろう思っていたのですが無人駅で、切符の券売機すらありませんでした。乗車時に整理券を取って、降りる時に払うシステムです。
そして内船とかいて「うつぶな」と読むらしいことを、駅名の表示を見て初めて知りました。ずっと「うちぶね」と読んでいましたよ。
富士駅行きの鈍行列車に乗り込み、長い長い帰宅の途につきました。
最高の秋晴れのもと決行した安倍川から富士川への横断登山は、こうしてほうほうの体でもって幕を下ろしました。
内船駅まで歩いたのは完全なる蛇足であり、普通に考えれば六郎木から往復するのが無難であろうかと思います。歩行距離と標高差からして、この横断ルートに要求される体力度は雲取山鴨沢ピストンと同等か少し上くらいです。
十枚山山頂からの眺望は大変素晴らしく、この山があまり名も知られずに埋もれているのは大変もったいないことだと思います。稜線上にシロヤシオが咲くらしいので、この山のベストな訪問時期は梅雨入りする少し前くらいの時期であろうかと思います。
なお暖かい時期にはヒルが出るので、しっかりと対策したうえで訪問してください。
<コースタイム>
六郎木バス停(10:05)-十枚山登山口(11:20)-十枚山(13:25~13:45)-十枚峠(14:05)-十枚山登山口(15:40)-十枚山登山口バス停(17:10)-内船駅(18:15)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキさん、おはようございます。
マイナーな山域でも景色の素晴らしいところはたくさんありますね!馴染みのないエリアでしたが勉強になりました。山梨県もそれなりに広い。
それにしても、日没が早くなりましたね…駅まで長い道のりだと心細くなりそうです(^^;
MMさま
コメントをありがとうございます。
甲斐南部の山はマイカーがないと不便なアプローチであることが多く、主に公共交通機関を利用している登山者にはなじみの薄い山域でしょうね。魅力的な山は多いのですが、いかんせん遠すぎます。
日が短くなりロングトレイルには適さない季節になって来たので、そろそろ近場の低山巡りに切り替えていこうと思います。
こんにちは(~-^)
ブログ読ませていただきました。
先日、友人に登山に誘われ「鉄砲木ノ頭」行ってきたのですが、初登山?と思ったら50年前の中学一年生の時に登山部在籍の大人3人、同級生3人とある目的で「十枚山」に登ったことを思い出し、検索しましたらこちらのブログにたどり着きました。
バス停からの工程や、途中のトラバース地帯崖崩れをロープを張って渡ったり、とにかく急斜面だったことしか覚えいません(笑)
そして、最後の最後、山頂目前の急斜面が雪解けアイスバーンで全く登れず、笹につかまりながらわき道からも登れず、山頂の空が見えているにも関わらず断念したことを思い出し懐かしかったです。
もうちょっと若ければリベンジしたのですが….(笑)
ブログ、写真を含め楽しませていただきました。ありがとうございました。
ワッキーさま
コメントを頂きましてありがとうございます。
とにかく急斜面だったと言う感想は、私もまったくの同感です。50年前に見ることが叶わなかった光景を楽しんでもらえたのであれば幸いです。