山梨県北杜市と長野川上村にまたがる横尾山(よこおやま)に登りました。
奥秩父山地西の外れの、八ヶ岳山麓の高原地帯との境界付近に位置する山です。東西に長い尾根を引く放牧的な山容をしており、6月の中旬から下旬ごろにかけて、カヤトの広がる山腹にレンゲツツジが花を咲かせます。
折り畳み自転車と言う新たなる山道具(?)を引っ提げて、信州峠から県境の山に登って来ました。
2022年6月14日に旅す。
横尾山は奥秩父山塊の中でも西の果て位置する、瑞牆山や金峰山がある一帯と八ヶ岳の間付近にある山です。この横尾山と言う山名は極めて単純に、尾根が横に長い山であると言う事に由来しています。
さほど目立つわけでもない地味な山容をした山ですが、山梨百名山にも選ばれている一座です。
普段はあまり登る人も多くは無くいたって静かな山ですが、6月中旬頃になるとレンゲツツジが咲き、それを目当てに多くの登山者が訪れます。
普段は地味であると言わざるおえない横尾山が僅かに光り輝くこの季節は、横尾山訪問のベストシーズンです。と言うよりは、レンゲツツジシーズン以外にこの山に訪れる人はほとんどいません。
マイカー登山をする人であれば、山梨県と長野県の境界に位置する信州峠からのアクセスが一般的です。峠から山頂までは標準コースタイムで僅か1時間30分程の行程であり、実にお手軽な山であると言えます。
しかし、この圧倒的なお手軽さの恩恵に浴せるのは、車を持つ者に限られます。信州峠まで乗り入れている公共交通機関は存在しません。
基本的に車の無い奴はお断りな山であると言えます。ぐぬぬぬ。
そこで今回、車も買えない貧乏人環境意識高い系ハイカーである私は、現地へ折り畳み自転車を持ち込み、自転車による信州峠へのアプローチを企てました。
山梨県側からアプローチすると、標高差1,000メートル近いかなりハードなヒルクライムをする羽目になりますが、反対の長野県側からであらば、標高差300メートルほどの緩いサイクリングです。
かくして自転車を抱えて遠路はるばる訪れた横尾山。正直レンゲツツジ以外にはなにも期待していなかったのですが、以外にも展望のよい光景が広がっていました。
輪行登山なる、変な方向に山道楽を拗らせてしまった一日の記録です。
コース
信州峠から横尾山を往復します。標準コースタイで僅か2時間30分程の、横尾山登山としては最も一般的なとてもお手軽な行程です。
1.横尾山登山 アプローチ編 自転車を抱えて行く、信州への旅路
4時25分 JR三鷹駅
3回連続で三鷹駅よりおはようございます。私の本当の自宅最寄駅は京王線なのですが、こうもしょっちゅう三鷹まで自転車をこいできていると、もうここが最寄り駅であると言う事にしてしまって良いのではないかと言う気分になってきました。
本日のテーマ(?)は輪行登山である言う事で、いつもの登山用のザックの他に折り畳み自転車を抱えております。今は早朝の空いている時間帯だからまだ良いものの、混んでいたらありえないくらいに邪魔でしょうね、これは。
三鷹駅から高尾、大月、甲府駅へと始発電車リレーを継投していきます。もともと乗り換え時間にあまり余裕が無いため、重さ10kg少々の自転車を抱えて階段を上り下りするのは意外としんどい。
しかしこうした苦難もすべては、体の奥底から溢れ出してくるようなこのタクシー代をケチりたいと言う熱い想い環境意識によって、きっと乗り越えることが出来るはずです。
7時26分 小淵沢駅に到着しました。この次は小海線に乗り換えるのですが、少し待ち時間があります。
この待ち時間を利用して、小淵沢駅屋上の展望所から八ヶ岳の姿を眺めます。・・・つい二週間前に小川山に登った際にもまったく同じ光景を眺めているので、なんだかデジャブです。
7時45分発の小海線の小諸行きに乗車します。地元民でもないのに、こんなにしょっちゅう小海線に乗車している人というのは、なかなか珍しいでしょうね。
ディーゼルエンジンが奏でるカラカラ音と振動がどこか心地よい。非日常の旅情を感じさせてくれるので、個人的に気動車は大好きです。
朝の小海線は乗客も少なく、かさばる自転車を抱えていても特に後ろめたさを感じることなくて快適に過ごせました。
8時28分 信濃川上駅に到着しました。小海線のドアは押しボタン式なのですが、大荷物を抱えている私の姿を見た運転手さんが、わざわざ開閉してくれました。ありがとう!小海線大好きです。
2.信州峠へと続く、レタス畑が広がる高原の道
折りたたまれて袋詰めにされていた自転車を、駅の脇で手早く組み立てます。しかし、いくら軽くて小さい折り畳み自転車だとは言っても、ザックと一緒に抱えて歩くのはやはり楽ではありませんでしたな。
出発前にそれとなく「チャリできた」的な記念撮影をしておく。
輪行登山なんて、山道楽を変な方向に拗らせてしまったごく一部の好事家だけが陥る暗黒面みたいなものであると認識していたのですが、よもや自分自身がそこへ堕ちる日がやってこようとは。。
それではおもむろに出発進行です。川上村のメインストリートである長野県道68号線を、千曲川の上流方向に向かって進みます。愛車の調子はすこぶる好調で、小さい割には小気味よく走ります。
このコンパクトな折り畳み自転車は明らかに私の体のサイズとはあっておらず、ミラーに映った自分の姿を見ると、まるで玉乗りしているクマのようなシルエットです。
やがて前方に信州峠と書かれた青看が現れるので、ここを右に入ります。
信州峠までは僅か7kmほどの距離です。この交差点の少し手前に川上村村営バスの原橋バス停あるので、そこから歩いてでもアプローチできないことはないと思います。徒歩だとだいたい1時間30分くらいかな。
ここからは先はずっと登り坂となります。あまり力まずに、かるーく参りましょう。
私は別にヒルクライムがしたいわけではなく、これはあくまでも登山口へのアプローチな訳ですからね。アプローチの時点で疲れてしまっては元も子もありませんから。
一面に広がるレタス畑の中をひた進みます。今のところは急坂もなく、気持ちの良いサイクリングです。
ふと進行方向右を見ると、赤岳、横岳および硫黄岳の南八ヶ岳三大スターが綺麗に並んで立っていました。
背後には天狗山がそびえ立ちます。登山の対象としてはほとんどその名を知られていないマイナーな一座ですが、とてもいい山ですよ。
唐突に三鷹市のマークが入ったの看板が現れたら、ここを左折します。奇遇ですね、私も本日は三鷹の方から来ました。
この三鷹市川上郷自然の村と言うのは、三鷹市の市立小中学校の課外活動のための施設ですが、未使用時には一般客も泊まれるようです。
周囲の景色は変わらずにずっとレタス畑が広がっています。前方に見ている鞍部になっている地点が、目指す信州峠です。
繰り返しになりますが、別にヒルクライムのタイムトライアルがしたわけではないので、ギアをローに入れてユルユルと登ります。
進行方向左手に、裏側からでも一目でそれとわかる瑞牆山の姿がありました。こちらから見ると、ヤスリ岩の存在感が凄い。
9時50分 最後の最後に少しだけ大真面目に坂を登ったところで、峠が見えて来ました。信州峠に到着です。
峠の名前が書かれた標識などは存在しません。観光地ではなく、あくまでも交通のための場であることを徹底しているかのような地味な峠です。
大真面目にヒルクライムがしたい自転車乗り達は、信州峠ではなく大弛峠を目指すのでしょう。
これがダークサイドのパワーだッ!!車が無いヤツお断りな登山口に、こうしてあっさりと降り立つことが出来ました。
しかし、こうしてわざわざ輪行したり、原橋バス停から7kmの下道を延々と歩いて来る人は極めて少数派であることでしょう。
そんな面倒な事などはしたくないであろう大多数の公共交通機関勢のために、信州峠へアプローチするためのサステイナブルでワイズ・スペンディングなソリューションを一つご提案しておきましょう。
信濃川上駅から、タクシーでおおよそ3,000円ちょっとです。野辺山駅からでもほぼ同額です。駅前に流しのタクシーはいないので、事前に要予約となります。
山梨県側に少し下った場所の路肩に駐車スペースがあり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。レンゲツツジシーズンもたけなわであるためか、ほぼ満車状態でした。
3.レンゲツツジが見頃を迎えた好展望地、カヤトの原
10時20分 身支度を整えて、登山を開始します。
出発する直前に茂みの中に自転車のカギを落としてしまい、半ベソ状態で15分近くおよぶ捜索をしてようやく発見すると言うアクシデントに見舞われました。
くれぐれも鍵の取り扱いにはご注意ください。厳重な大地ロックを施したのが仇となって、この場に放置せざるおえなくなってしまうところでしたからね。
山頂までは標準コ―スタイムで僅かに1時間30分程の行程です。信州峠まで上がって来ることさえ出来れば、その先はもう楽なものです。
足音に笹が覆い茂った、明るい森を行く道です。良い雰囲気ですね。まだ歩きだして早々であるのに、早くも横尾山の事が好きになって来ましたよ。
木漏れ日に照らされた新緑の森が実に美しい。付近には広葉樹の森が広がっているため、紅葉シーズン中に訪れてもきっと良い感じであると思います。
踏み跡はしっかりと明瞭で、目印のピンクテープも過剰なほどについていました。ほぼ一直線のルートであることも相成って、よほどの悪天候でもない限り、道迷いのリスクはほぼゼロの山であると思います。
横尾山と言えば、有名なのはなんと言ってもレンゲツツジです。歩きだして早々に、早速ツツジが咲いていました。
これは目当てのレンゲツツジではなくヤマツツジです。レンゲツツジと比べると花弁がずっと小ぶりで、赤みが強いのが特徴です。
ほぼ水平移動のようだった区間が終わると、そこそこ急な登りが始まりました。それではいっちょう気合を入れて参りましょう。
本日のレンゲツツジ第一号を発見しました。レンゲツツジは、ツツジ科の花の中でも花弁のサイズが際立って大きいのが特長です。
やがて前方に空が見えてきました。絶景が広がりそうな予感です。
森が切れて、大きく視界の開けた場所に出ました。カヤトの原と呼ばれている地点です。大した事前情報も無しに訪れていたので、この突然の景色の変化には驚きました。素晴らしい。
周囲を遮るものが何もなく、大きく展望が開けています。こちらは南の山梨県側の光景です。
これは通称ニセ八ヶ岳こと茅ヶ岳(1,704m)です。。韮崎側から見ると八ヶ岳っぽい外観をしていますが、裏から見るとそうでもいですね。
続いて東側の、奥秩父主脈方面の景色です。山梨県と長野県の県境を形成する尾根が連なっているのが一望できます。
金峰山(2,599m)と瑞牆山(2,230m)のツーショットです。どちらも古くから名峰として知られてきた山だけに、周囲の山の中でも圧倒的な存在感を放っています。
こちらは2週間前に登って来たばかりの小川山(2,418m)です。なんといったら良いのか、外観の印象はひとことで言うと地味ですね。
ここからはお待ちかねのレンゲツツジロードが始まります。訪問のタイミングとしては完璧であったらしく、ちょうど見頃を迎えていました。
森の中の日陰にも咲くヤマツツジとは違い、レンゲツツジは頭上が開けた日当たりの良い場所にしか咲きません。直射日光を好む性質の花なのでしょう。
こちらは北側の長野県方面の光景です。延々と自転車をこいできたレタス畑が広がっているのが良く見えました。
この周辺だけが不自然に刈り払われています。恐らくはカヤトの原と言う名前の通りに、かつては茅場だったのでしょう。すぐ近に茅ヶ岳と言う名の山があるくらいですから、この付近一帯の山は茅の生産地であったのであろうことが伺えます。
4.横尾山登山 登頂編 横へ長くダラダラと登った先に待つ地味なる頂
カヤトの原を抜けると、登山道は再び森の中へと戻りました。登山道上には、ゴロゴロと大きな岩が目立つようになって来ました。
時よりこうして頭上の開けた場所があり、森の中を出たり入ったりします。全般的に明るいトレイルで、雰囲気的にはあまり奥秩父らしさが感じられません。
小さくアップダウンを繰り返しますが、あまり急な登りはなく、ひたすら横方向へと進んでいるように感じられます。「横に長いから」だと言う、名前の由来通りの道です。
ピークらしき場所に辿り着きましたが、ここはまだ山頂ではありません。進むたびに次の小ピークが現れる、タマネギみたいな山です。
この名もなき小ピークからは、南側の展望が開けていました。目の前に南アルプスの山並みが連なっているはずですが、生憎と雲隠れを決め込んでいました。
隣に見えているのが、どうやら今度こそ本当の山頂であるようです。本当に横に長い山ですね。
山頂に向かって最後の登りです。ここでも部分的に頭上が開けており、ヤマツツジが沿道を飾っていました。どこまでも奥秩父っぽさが感じられない横尾山です。
山頂が見えました。もっと地味な空間を想像していまいしたが、意外に明るい山頂です。
11時35分 横尾山に登頂しました。自身にとって80座目となる山梨百名山の頂です。これでいよいよ、残すところはあと五分の一となりました。
山頂の様子
樹林の覆われた、あまり広くはない空間です。一応は南側の展望が僅かに開けています。
展望に関しては途中のカヤトの原の方が全然良いです。景色を楽しみながら昼食をとりたい人は、休憩するのは戻ってからにした方が良いかと思います。
その南側の展望ですが、特に何かが見えるという訳でもありません。今は雲に覆われてしまっていますが、一応は南アルプスや八ヶ岳の端の方が少しは見えるのかな。
ちなみに横尾山のあるこの県境の尾根は、清里の飯盛山までずっと繋がっており、縦走することも可能です。そのため私も当初は、信州峠からではなく清里から登ることを考えていました。
しかしよくよく調べてみると、踏み跡が不明瞭で分かり難く、日帰りするのはかなり厳しい玄人向けのルートであると言うことです。
5.横尾山登山 下山編 横に長い山の下山はあっという間
12時5分 時刻が正午を回ったところで、山頂を後にし下山に移ります。ピストンなので、脇目も触れずに足早に参ります。
テンポよく下って、あっけなくカヤトの原まで戻ってきました。やはりどう考えても、この場所こそが横尾山のハイライトです。むしろ、山頂の方がオマケのようなものだとさえ言えます。
仮に清里方面からピストンした場合、このカヤトの原は通らないことになります。それを考えると、やはり横尾山は信州峠から登るのが正解であると思います。
もしくは信濃川上駅まで歩いて下るかですが、その場合いったい一日に何キロ歩くことになるのやら。
往路では全く気が付いていませんでしたが、遠くに薄っすらと浅間山が見えていました。この山は富士山並みに、どこからでも良く目立ちます。
この甲信国境トレイルも、一度全部繋げてみたい気もしますねえ。道なき尾根を行かねばならない区間もあるようではありますが。
何やら場違い感の溢れる巨大な人工建造物があるのが見えます。どうやらあれが三鷹市川上郷自然の村であるようです。これはまた、エライ山の中に作りましたな。
レンゲツツジもこれで見納めです。この花を見るのは、これでもう今シーズンではラストになるかな。
再び緑があふれる森の中へ。風通しの良くない森の中は、薄っすらと汗ばむくらいに気温が高く、辺りではエゾハルゼミが大合唱をしていました。もうすっかり夏山の空気に変わりましたな。
13時10分 信州峠に戻って来ました。往復で3時間にも満たない、実にお手軽な山行きでありました。
標識にくくりつけて留守番を命じてあった愛車も、何事も無く無事にありました。
ちなみに、出発直前に鍵を落としてしまったのはこの笹薮の中にです。泣きたくもなるでしょう?
地べたに這いつくばっていくら探しても見つからず、それならばとすがるような思いでライトで照らしたら、僅かな金属の反射光により何とか発見することができました。
予備のカギは自宅に保管するのではなく、ザックの底にでも忍ばせておくべきなのかもしれない。
5.横尾山登山 帰還編 韮崎駅へ益富ラジウムラインを駆け抜ける
帰りはもと来た信濃川上駅へ戻っても良いの訳なのですが、せっかく峠を越えたのだから、このまま山梨県側へと下ることにしましょう。基本的にはずっと下り坂なので、ほとんどこぐ必要もなく楽なものです。
山道を気持ちよく疾走すると、やがて前方に瑞牆山の姿が見えて来ました。
この山はいつ見ても何処か日本離れしていると言うか、異形な姿をしているやまですよね。見た目の押し出しの強さで言うならば、日本百名山の中でも屈指の存在であると思います。
この先もずっと下り坂であるため、ブレーキはずっと握りっぱなしです。ブレーキのかけ過ぎによりディスクが異常な熱さになってしまうので、時々水をかけて強制水冷しつつ下ります。
せっかくの機会なので、途中でみずがき湖に寄り道をしました。瑞牆山から下山する際に、バスの車窓から見えていてずっと気になっていた場所でしたが、わざわざ途中下車しようと言う気にもなれず、今回初めて訪問しました。
こうして思いつくままに寄り道が出来のは、輪行登山の大きな魅力であると思います。
塩川ダムは高さ79メートルほどと、さほど大きくはない重力コンクリート式のダムです。利水や治水の他に発電も行っている、いわゆる多目的ダムと呼ばれているものです。
この塩川という名の由来は、もともとこの周辺にナトリウムを含んだ冷泉が湧いていたことに由来しています。かつては冷泉を沸かした湯治場が存在したそうなのですが、今はもうありません。
その冷泉の井戸から湧いた水が、ダム湖の脇に一つだけポツンと残されていました。なめてみると、しょっぱいと言うまでは行きませんが、確かに微かなナトリウム味を感じます。
わざわざ入浴禁止と書かれた表札が大きく掲げられていますが、そもそもこの浴槽(?)には、人が入れるほどの大きさはありません。
ダム湖の脇にビジターセンターがあり、しっかりと営業していました。土産物や軽食などを売る売店が併設されていますが、見たところあまり繁盛してはいなさそうでした。
この先にある益富ラジウム温泉まで登って行けば、温泉に立ち寄ることも出来ますが、みずがき湖からは結構ガッツリと登ります。
本日はもう登るのはお腹いっぱいな気分なので、温泉へは足を延ばさずにこのまま下山を続けます。
快適な下山行はなおも続く。開けていて気持ちの良い道ですが、いかんせんスピードが出すぎて小径車だと少し怖いくらいです。ロードバイクで駆け抜けたら、さぞや爽快でしょうね。
山頂から見た時は厚い包まれていた南アルプスが、いつの間にか姿を見せていました。甲斐駒ヶ岳さんはいつ見てもイケメンやのう。
韮崎付近の景観の最大の特色と言えるのが、この釜無川と塩川の間に延々と連なる岩の岸壁、七里岩です。もともとは八ヶ岳の山体崩壊によって流れ出した土砂の跡で、八ヶ岳の山麓から甲府盆地に向かって続いています。
韮崎駅のホームからから良く見える平和観音像が立っているのが、この七里岩の先端にあたる場所です。
しかしこの岩壁は、この地に住む人たちからすると、ありえないくらいに邪魔な存在でしょうね。なにしろ釜無川流域と塩川流域とで、生活圏が完全に二つに分断されてしまっていますからね。
駅へと下る道すがらにある道の駅にらさきに温泉施設が併設されていたので、ここで入浴をしてゆきます。温水プールまで備えている、広くてかなり立派な温泉施設です。
若干うろ覚えですが、入浴料は確か850円だったかな。温水プールの方にも入りたければ水着着用が必須です。水着は道の駅でも売っていました。
色々と寄り道をしたため、駅に辿りついた時には既に17時を回っていました。山に登っている時間よりも、自転車に乗っている時間の方がずっと長い一日でしたな。
ふたたびお荷物と化した自転車を抱え、ちょうど良いタイミングで現れた高尾行きの鈍行列車に揺られて、帰宅の途につきました。
どちらかと言えばサイクリングがメインで、登山の方がオマケのような扱いになってしまった一日は、こうして満足の内に終了しました。
この輪行登山なる登山の本筋からは大きく逸脱した行為を、あらゆる人に対してあまねく推奨しようと言うつもりなどはもとよりありませんが、大変楽しい一日であったと言う事だけは申し上げておきます。
現実問題として車を持たない人が横尾山を目指すのであらば、野辺山駅か信濃川上駅からタクシーを呼ぶのが最も現実的な最適解になろうかと思います。
ベストな訪問時期はレンゲツツジが咲く時期一択です。どのようなアプローチ手段を経るにしても、必ずカヤトの原を通るルートをとることを強く推奨します。
<コースタイム>
信州峠(10:20)-カヤトの原(11:10)-横尾山(11:35~12:05)-カヤトの原(12:25)-信州峠(13:10)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキ様
以前のブログでもサイクリングをしての登山が有りましたが、盗難されないかと気になっていましたが、その上のいく鍵の紛失ですか?
面白いネタで笑わしてもらいましたが、自分がその立場になったらパニックです。
川上村からは甲武信ヶ岳に登ったことがありますが、横尾山は地図を見ても位置関係が分からないくらい知らない場所ですが、周辺のレタス畑とか良い感じの地域ですよね。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
紛失したと言うよりは、施錠する過程で勢い余って飛んで行ったと言った方がより実態に近い感じです。
私も十分パニックになりましたよ。ライトで照らすと言う閃きがなかったら、どうなっていたかはわかりません。
オオツキさん、おはようございます。
輪行登山とは斬新です!登山口までのバスに並んでいる時に、レンタサイクルでもあればなーと思うことがあります。
飯盛山にいつか行こうと思っていたのですが、その先の破線が横尾山に繋がるんですね。小海線はまだ乗ったことがないですし、八ヶ岳がよく見えそうなので色んな意味で楽しみなエリアかもしれません。
MMさま
コメントをありがとうございます。
小海線はとてもイイですよ。登山せずにただ車窓光景を眺めているだけでも、山好きにはたまらない路線です。
八ヶ岳のいくつかの登山口へのアプローチにも使えますので、是非ともご検討をお勧めします。