群馬県と新潟県の境界上に連なる、谷川主脈を縦走してきました。
清水峠から三国峠に至る上越国境地帯を形成している谷川連峰のうち、谷川岳から仙ノ倉山の区間を縦走する行程です。標高2,000メートルに満たない山の連なりですが、当地は世界有数の豪雪地帯であり、森林限界を超える展望の開けた稜線が連なっています。
記録的な猛暑となった初夏の最中、花咲く国境の尾根を横断してきました。
2022年6月25~26日に旅す。
上越国境
それは登山を趣味として嗜む者を引き付けてやまない、甘美なる魅惑に満ちた山域です。
この上越国境を形成している谷川主脈の縦走コースには以前より興味津々であったものの、これまでなかなか訪問することが叶わずに後回しとなっていた、わが悲願のコースです。
なかなか訪問できなかったのには理由があります。この縦走コースはかなりの長丁場である上に、訪問の適期が極めて限られているからです。
日本の中央分水嶺を形成している谷川連峰は、世界でも指折りの豪雪地帯です。過酷な気象条件下にあるため森林限界高度は低く、大きな樹木がない笹の稜線が連なっています。
日陰が一切ないこの縦走路は、夏には灼熱地獄と化します。また、雷が発生しても逃げ込める場所がありません。そのため真夏の訪問は推奨されません。
冬になれば天候は大荒れとなり、稜線上は深い雪に閉ざされます。この時期の谷川主脈を歩くのは、完全なるエキスパートの世界となります。少なくとも、私のようようなお気軽な週末ハイカーが容易に立ち入れるような世界ではありません。
そのため谷川主脈を歩くのに適しているのは、雪解け直後の初夏の時期か、あるいは秋になってからと言うことになります。
今回は初夏のシーズンを狙って訪問して来ました。豪雪地帯である谷川連峰の雪解は遅く、コース上から雪が完全に無くなるのは6月の中頃を過ぎてからです。
雪解け直後の主脈稜線上には、こぼれんばかりのお花畑が広がっていました。
梅雨と重なってしまうためなかなか晴天を射止めるのが難しいのですが、初夏の季節が谷川主脈訪問のベストシーズンであることは間違いありません。
後半はピーカン照りとなり暑さに苦しめられましたが、梅雨の時期には貴重なまずまずの天気に恵まれた、会心の山行きでありました。多くの花々に飾られた谷川主脈縦走の記録です。
コース
平標登山口バス停からスタートして平標山の家の避難小屋に一泊し、翌日の早朝から谷川主脈を横断します。逆向きに歩く方が一般的であるようですが、谷川肩の小屋の予約に失敗したため逆走ルートをとりました。
1.谷川主脈縦走 計画編
谷川主脈縦走は、全長およそ25km越えのロングコースです。道中は大きくアップダウンを繰り返す上に、人里からは遠く離れた山中であるためエスケープの手段も乏しく、健脚者向けの行程と言えます。
谷川主脈縦走として最も一般的なのは、群馬県側の谷川岳からスタートする行程です。特に日帰りで歩く場合は、土合山の家かあるいは土合駅の駅舎に前泊して、まだ暗い早朝から西黒尾根を登る人が多いようです。
当初は私もこの土合発日帰りの線で計画を温めていましたが、しかしよくよく調べるうちに考え直しました。この日帰り弾丸の工程は恐らく、辛いだけで楽しくはないだろうと。
そうなると次に考えられるのが、谷川岳の肩の小屋に一泊して、翌日に平標山に向かうプランです。肩の小屋からの夕焼けや夜景にも期待が出来ますし、歩行距離の配分的にもこの計画が最もバランスが良いと思われます。
ただし、このプランにも一つの大きな問題があります。肩の小屋は人気が高く、週末の天気が確定する頃にはすでに予約で埋まってしまっている公算が大きいです。
ギリギリまで週末の天候を見極めようとしていた私は、当然ながらこの予約争奪戦に敗れました。
そこで今回私が目を付けたのが、反対側の平票山の中腹にある平標山の家です。ここのテント場は大変人気があり、週末はすぐに埋まってしまいますが、避難小屋の方に泊まる人は少数であまり混雑しません。
と言う事で今回は、平標山の家に一泊して逆向きに谷川岳を目指します。
なおもう一つの選択肢として、谷川主脈の稜線上に点在するかまぼこ型の避難小屋に泊まると言う手段も一応あるにはあります。
何れの小屋も中は非常に狭く、おおよそ快適な宿泊からは程遠いいと思われますが・・・
2.谷川主脈縦走 アプローチ編 記録的な猛暑に見舞われた上越国境地帯へ
6月25日 8時45分 JR東京駅
初日の予定は平標山の家まで行けば良いだけであるため、朝は比較的ゆったりと始動しました。
普段私は早朝始発の新幹線にばかり乗っているため、早朝ではない時間帯の東京駅の混雑ぶりに面くらいました。上越新幹線って、こんなに混むものだったんですね。。
埼玉県を飛び出したとき号が、快調に群馬県を疾走します。車窓から遠目に見える赤城山の霞み具合からして、車外が相当な高温であることが伺えます。はたして、山の上ならば涼しいのだろうか。
これから歩こうとしている谷川主脈は、そのほぼ全行程が森林限界を超えた日陰の無い稜線で構成されています。暑さに対する憂いばかりが募る旅立ちです。
10時22分 越後湯沢駅に到着しました。新潟県まで来れば多少は涼しいのではないかと言う期待は、ホームに降り立った瞬間に跡形もなく霧散しました。暑っちいな。
観測史上最も早いと言う梅雨明け宣言が出された2022年の夏は、始めから全力状態です。なんと言うかもう、地球が全力をあげてこちらを殺しにかかっているかのような暑さです。
10時35分発の西武クリスタル行きバスに乗車します。朝一の便は登山者でそれなりに賑わう路線ですが、この時間はガラガラ状態でした。
11時10分 平標登山口に到着しました。ここまでの運賃は610円です。交通系ICカードには対応していないので、小銭を用意しておきましょう。
3.平標山の家で過ごす優雅なる休日
身支度を整えて、11時15分に登山を開始します。ただ何もせずに立っているだけなのに、既にダラダラと汗が吹き出してきております。こんな調子で、果たして明日は無事に谷川主脈を歩き切ることが出来るのだろうか。
松手山コースには進まずに、平標新道を登って平標の家を目指します。
こここから登山口まで、およそ1時間少々の舗装道路歩きです。ギラギラと容赦なく照り付ける直射日光に、体内の水分がみるみる搾り取られて行きます。はやく日陰に逃げ込みたい。
森の中に入ってようやく人心地つきました。沢沿いの道は体感温度もぐっと下がって、良い気持ちです。
冬期限定のヤカイ沢ルートの入り口のあるゲートまで歩いて来ました。このゲート脇にじゃぶじゃぶと水量豊富な水場があるので、頭から水を被ってクールダウンしました。・・・まだ登山を始めてすらいない段階だと言うのに、何たる体たらくよ。
12時15分 平標新道登山口まで歩いてきました。このルートはいつも下りで利用していたため、こちら側から登るのは何げに初めてです。たしか結構な階段地獄なコースであったように記憶しています。
日帰りで平標山に登った人達がちょうど降りてくる時間帯に行き合ってしまったらしく、すれ違いが多発しました。
これほどの暑さであるにも関わらず、かなりの人数が入山しているようです。初夏の平標山の人気ぶりが伺えます。
記憶にある通りの階段地獄が待ち受けていました。この平標新道は歩いていてあまり楽しい道とは言い難いので、平標山を目指しているのであれば松手山コースを歩くことを推奨します。
森が切れるなり、容赦のない直射日光が降り注ぎます。よもや6月下旬の新潟県が、こんなにも過酷な環境下にあろうとは。。まあ今年は特に、例年にない異常な暑さなのでしょうけれど。
背後の視界が開けて来ました。まさに真夏の空以外の何物でもないような雲が浮かんでいました。
13時25分 平標山の家に到着しました。小屋の前は休憩中の多くの人で溢れかえっていました。
平標山の家には宿泊棟と避難小屋の二つの棟があります。本日私は右側の避難小屋の方に宿泊します。避難小屋利用時の事前予約は不要で、料金は素泊まり2,000円です。有料ですが寝具(寝袋)の貸し出しもあります。
この平標の家の素晴らしい点は、尾根上にある小屋であるにも関わらず水場がある事です。明日の分はここで補充すればよいため、大量の水を担ぎ上げる必要がありません。
小屋の受付を済ませ、寝床スペースを確保します。とても綺麗に掃除されており、快適な空間です。
平標山も仙ノ倉山も比較的容易に日帰りが可能である山であるためか、この避難小屋に泊まる人はあまり多くはなく、週末であっても空いていました。
書籍コーナーもありました。タイトルをよく見ると山で人が殺される話ばかりなのですが、これは小屋のご主人のセンスなのだろうか。。
小屋の脇にテント場もあります。テント場はたいへん人気が高く、既に多くのテントが張られていました。
小屋の裏手には平標山と仙ノ倉山の姿が良く見えました。素晴らしいロケーションにある小屋です。
仙ノ倉山の隣に見えているこの山は、明日登ることになるエビス大黒の頭です。雲を纏ったその姿は、まるで剱岳のような厳めしさです。
当初の予定では本日この後、空荷でサクッと三国山方面にある大源太山まで往復するつもりでいました。しかし、あまりの暑さにその気力がなくなりました。
と言う事で本日は、涼しい避難小屋の中で「谷川岳霧の殺意」を読んで過ごすことに決めました。たまにはそんな休日の過ごし方も悪くない。
夕方になってから表に出てみると、あれほど多くの人で賑わっていた小屋の前も、いつの間にかすっかりと静まり返っていました。
眼下に雲海が広がっていました。今この瞬間に山頂に居合わせたら、さぞや素晴らしい光景が拝めたことでしょう。気が付くのがちょっと遅すぎましたな。
いつの間にか雲もすっかり取れて、エビス大黒の頭まで良く見渡せました。この後簡単に夕食を済ませて、明日に備えて早々と就寝しました。
4.稜線上に花があふれる初夏の平標山と仙ノ倉山
明けて6月26日の3時50分。夜明け前のまだ薄暗い時間に始動しました。
前述の通り、本日歩こうとしている谷川主脈の稜線には、最初から最後まで日陰が一切ありません。日中は灼熱地獄と化すであろうことが必至です。なんとか午前中のまだ涼しいうちに歩き切れるように、当初はもっと早い時間からヘッドライト着用で歩き始めるつもりでいました。
しかしそれだと、平標山と仙ノ倉山の間に広がっているお花畑を、まだ暗いうちに通り過ぎてしまうことになります。それはあまりにも勿体ない。
花を取るのか涼しさを取るのか。さんざん葛藤した末に、行動開始時間を周囲が明るくなり始める4時としました。
手元にあるすべての容器に、目一杯水を詰め込みます。これで水の携行量は合計で4.5Lとなりました。ズシリと重くなったザックを背負い、足取りも重く行動を開始します。
谷川主脈のルート上に、途中で水を補充できる場所は存在しません。一日の行動に必要なだけの水を、全て担いで行く必要があります。
ヘッドランプなしでギリギリ歩けるくらいの明るさの中を、平標山を目指して登って行きます。この時間帯はまだ空気も冷たく、半袖では少し寒いくらいの気温です。
ふと脇を見ると、ワタスゲが咲いていました。比較的小規模な群生でしたが、そもそも平標山にワタスゲが咲くとは知りませんでした。
若干雲が多めではありますが、高曇りであるため遠くまでよく見えます。夜明け直前の、えもいわれぬ色合いの空です。
まだ朝っぱらであるにも関わらず、羽虫たちは早くも活動を開始しており、先ほどから前方が黒く見えるほどにたかられております。ええいっ、うっとうしいな。
朝日が昇って来ました。谷川連峰の夜明けです。後生だから、昨日のような暑さにはなってくれるなよ。
4時40分 平標山に登頂しました。羽虫は風の通りが良い山頂には留まることが出来ないらしく、あれほどたくさんいたのが嘘の様にパタリといなくなりました。
テーブルマウンテンの苗場山(2,145m)が目を引きます。信越国境上にある山なので、あの山の向こう側は長野県です。
これから進む仙ノ倉山方面の光景です。ちょうど正面から陽が登って来て、何やら神々しい光景を作り出していました。
ここから先の稜線上には、天空のお花畑が広がっています。時期的にはちょうど見頃のど真ん中であるはずです。期待して行ってみましょう。
おー、咲いてる咲いてる。期待していた通りの光景が広がっていました。素晴らしい。
様々な種類の花が入り乱れて一斉に花を咲かせています。これぞまさしく百花繚乱状態です。
平標山のお花畑と言うとハクサンイチゲが一番有名ですが、同じく高山植物の王道中の王道であるチングルマも負けじと咲き誇っています。
平標山には日帰りで登る人が大半であるとは思いますが、朝一番のこの光景を独占するためだけに小屋に泊まるのは、十分にアリな選択であると思います。
涼しいうちに谷川主脈を歩ききってしまいたかったら、本当はこんなところで時間を浪費している場合ではないのですけれどね。しかし、このお花畑をスルーして足早に先を急ぐなどありえません。ナンセンスです。
お花畑の広がる鞍部からは、ゆるゆると登り返します。この平標山から仙ノ倉山に至る区間については、緩やかアップダウンしかなくとても気軽に歩くことが出来ます。
谷川主脈がその本性をあらわにして牙を剥くのは、仙ノ倉山を過ぎた先の事です。
仙ノ倉山の手前にある名も無き小ピークだと思っていた地点に、実は前仙ノ倉山と言う名前があると言う事を初めて知りました。
前方に、この先で超えて行くことになるエビス大黒ノ頭姿が見えました。手前で一度大きく標高を落としているのが目につきます。けったいな名前をしている割には、なかなか防御力が高そうなピークです。
鞍部から仙ノ倉山本体へと登り返します。タイミング的にちょうど太陽が真正面あり、眩しくて直視できません。
この仙ノ倉山の山頂直下にも、見事なお花畑が広がっていました。
ここにはチングルマやハクサンコザクラの姿はなく、ハクサンイチゲの大群に覆われていました。
背後を振り返ると、影仙ノ倉山が出来上がっていました。この区間だけを見ると、本当に天国のような稜線なんですよね。
5時40分 仙ノ倉山に登頂しました。谷川連峰の最高峰であり、必然的にここが本日の行程における最高地点となります。まあ、このあとかなり激しくアップダウンを繰り返すんですけれどね。
ここで再び大量の羽虫の襲撃を受けました。平標山にいた羽虫よりも攻撃的と言うか、よりアグレッシブに纏わりついてくる感じです。・・・良く見たら、こいつらはコバエでは無くてブヨだ。
大慌てで虫よけを取り出して、大量噴射して撃退しました。それにしても凄さまじい数です。
ゴール地点の谷川岳が、遥か彼方に見えています。本当にあそこまで歩く気ですか?と自問自答したくなるような、この絶望的な距離感よ。
谷川岳の手前に重なって見えている大柄な山は、谷川主脈のほぼ中央に位置する万太郎山です。この後、あそこを越えて行きます。
5.侮りがたい防御力をもつ谷川主脈の伏兵、エビス大黒ノ頭
先へ進みましょう。ここから先は、自身にとって初めて足を踏み入れる領域となります。
万太郎山の手前で稜線が大きく標高を落としているのが良く見えます。そして万太郎山に取り付く前に、まずはその手前のエビス大黒ノ頭を乗り越えて行く必要があります。
足元の鞍部に小さなカマボコ型の避難小屋があるのが見えます。一度あそこまで標高を落とします。
平標山とは反対側になる東側にも、一面にハクサンイチゲが咲き誇っていました。
ヨツバシオガマもちょうど見頃の真ん中です。白一色なハクサンイチゲ群生地の中に、程よいアクセントを加えてくれます。
しかしながら、先ほどから相変わらず執拗なブヨアタックを受け続けており、あまりゆっくりと花を愛でている余裕はありません。耳の中に特攻してくるのはやめてくれッ!!
手拭いを振り回してブヨを追い払いつつ進みます。エビス大黒ノ頭が、いつの間にかすっかりと見上げる高さになりました。
ここはまだ最低鞍部ではなく、この先万太郎山の手前でさらに大きく標高を落とすことになります。
エビス大黒ノ頭の避難小屋まで下って来ました。谷川主脈上には、こうした金属製のかまぼこ型避難小屋が全部で4っつあります。
内部はかなり狭く、収容人数はせいぜい2~3人と言ったところです。天候の急変時などに文字通り緊急避難するためのスペースであり、快適に宿泊することは難しそうです。
金属製であるため、陽射しのある日中はサウナ状態となります。虫を避けるために中でちょっと休憩しようか、なんて言う気にもなれない空間でした。
避難小屋を過ぎると登り返しが始まります。かなりガッツリと下ってしまっているため、当然ながら登り返しもガッツリとしています。縦走登山とはそういうものです。
そして登り返した先でさらに大きく下っていることが一目瞭然なこの絶望感よ。アップダウンが相当がキツイと言う前評判は耳にしていましたが、やはり話に聞くだけなのと実際に自分で体験してみるのとでは雲泥の差があります。
笹の稜線上に、大きく反り返るようにして大岩が突き出していました。巻くのは難しかったものと見えて、登山道はこの岩を左側から乗り越えて行きます。
振り返って見た仙ノ倉山は、谷川連峰最高峰の名に恥じない堂々たる貫禄のある姿をしていました。平標山側から見た時のなだらかな山容とでは、だいぶ印象が異なります。
頂上が見えて来ました。この山は谷川主脈縦走路上にあるただの通り道扱い受けがちな存在ですが、どちら側から登るにしても侮れない防御力の持ち主です。
6時50分 エビス大黒ノ頭に登頂しました。文字通りに360度の展望が開けており、大パノラマの山頂です。
すこし風が出てきたおかげで、いつの間にか周囲からブヨはいなくなっていました。
正面にこれから目指す万太郎山が立ちはだかります。ゴールの谷川岳はちょうど万太郎山の背後に隠れてしまうため、ここからは見えません。
背後にはこちらも迫力満点の仙ノ倉山です。この時にはまだ青空が見えていたのですが、直後にあれよあれよと言う間に雲が湧いて、頭上を覆ってしまいました。
このエビス大黒ノ頭は、昨日泊まった平標山の家からも良く見えていました。当然逆もまたしかりな訳で、尾根上に小さく小屋が見えました。
南側の群馬県方面の展望です。遠くにモヤっと霞んだ赤城山が見えました。この空気の揺らぎ具合からして、本日も下界は相当暑そうです。
とまるで他人事のように語ってしまいましたが、稜線上の気温もジワジワと上昇しつつありました。やっていられない暑さになってしまう前に、先を急ぐことにしましょう。
6.谷川主脈の中央に威風堂々と立つ万太郎山
万太郎山の手前にある鞍部の毛渡乗越に向かって、縦走路は再び大きく標高を落としていきます。
下り坂の最中にあっても、こうしてさり気なく小さな登り返しを混ぜ込んでくるあたり、谷川主脈さんは全くもってブレずに容赦がありません。そこに痺れる憧れる。
万太郎山の姿が徐々に大きくなってきました。いつの間にか頭上はすっかりと高曇りの空に覆われていました。良い感じに直射日光を遮ってくれているいので、この空模様はむしろ好都合であると言えます。
思った以上に大きく標高を落とします。毛渡乗越の標高は1,568メートルなので、2,026メートルある仙ノ倉山の山頂からは、450メートル以上標高を落としたことになります。
8時5分 道標が倒れてしまっていて読めませんが毛渡乗越まで下ってきました。ここが谷川主脈の最低鞍部となります。
つまり、ここからは登り返しだと言う事です。縦走登山とはそういうものです。大事な事なので2度言いました。
いかにも雨の降りそうな冷たい湿った風が吹きはじめて、半袖ではむしろ少し肌寒いくらいです。遠くに見えているあの白く霞んでいる一帯は、間違いなく雨が降っていそうですね。
この調子だと、4.5Lも担いできた水はただの歩荷訓練に終わり、消費しきれず余らせることになるのかな。
振り返って見た仙ノ倉山とエビス大黒ノ頭の姿です。見ている分には実にナイスな稜線ですが、これ逆向きに歩いた時絶対に最後心が折れる奴ですよ。
エビス大黒ノ頭の避難小屋より多少は広い空間です。一応は小さな窓もあり、居住性はまだいくらマシであると思います。気のせいではなく明らかに建物自体が傾いてはいますけれどね。
万太郎山に向かってユルユルと登り返します。さほど急坂ではなく、曇り空で涼しいおかげもあってか、この辺りは実に快調に歩けました。
万太郎山の肩の部分まで登ったところで、今まで見えていなかった主脈縦走路の後半部分が視界に入りました。この先もまだまだ激しいアップダウンが続くんですね(白目)。
山頂手前に少しだけ、尾根が痩せてナイフリッジ状態になっている個所があります。慎重に歩けば特に危険はありません。
9時15分 万太郎山に登頂しました。仙ノ倉山から450メートル下った直後にまた400メートル登り返すと言う、なかなか険しい道程でありました。
この万太郎山が、平標山と谷川岳のほぼ中間地点となります。背後にはここまで歩いて来た仙ノ倉山へと続く稜線。
前方にはこれから歩く谷川岳方面の山並みが連なります。世界有数の豪雪地帯である上越国境の中央から望む、圧巻の山岳風景です。
目指す谷川岳を視界に捉えました。まだまだ先は長い。気を引き締めて後半戦へと参りましょう。
7.ガスのち快晴。コロコロと目まぐるしく天候が変遷する縦走後半戦
もう少しゆっくりと休憩を取りたい気もしますが、再びブヨの襲撃が始まってしまい、追い立てられるように万太郎山を後にし出発します。
縦走路が再び大きく標高を落とし始めました。なにも、そんなに下らなくたっていいじゃないですかー。
消えかけの池塘がチラホラと残っていました。なるほど、この水辺がブヨの発生源となっているわけですな。
もう少し季節が進むと、トンボが飛び始めてブヨを食べ尽くしてくれます。登山者には何かと悪名の高いブヨですが、活発に飛び回る時期は意外に短めです。
前方に大きく盛り上がっているのは、大障子ノ頭と言うピークです。この先は岩場もあり、そこそこ険しい道となります。
雪崩に削り取られたのであろう、鋭く切れ落ちた断崖が連なっています。標高2,000メートルに満たない山のものとは思えない景観です。
振り返って見た万太郎山です。ドッシリトと構えた大柄な山容をした山です。つまりとてもカッコいい。
岩場の登りが始まりました。グリップにまったく信用が置けないことに関して定評(?)がある、蛇紋岩の岩場です。慎重に参りましょう。
ここに来て新潟県側の崖下から雲が沸き立ち始めて、あれよあれよと言う間に背後の万太郎山を覆い隠してしまいました。
10時20分 大障子ノ頭を通過します。特にこれと言った特筆事項のない、ただの通り道と言ったところです。
世界はすっかりと虚無に包まれてしまいました。しかし案ずることはありません。ここは天気がコロコロと変わることで知られた上越国境の山。きっとまた晴れることだってあるでしょう。
大障子ノ頭から大きく下って行くうちに、またもやかまぼこ型の避難小屋が見えてきました。
谷川主脈上にある避難小屋の中では最も大きい大障子避難小屋です。小屋の前にはテントを張れそうなスペースもあります。
稜線上の避難小屋に一泊して歩く計画を立てるのであれば、この大障子避難小屋に泊まるのが最も無難であろうかと思います。たとえ広くても、日中はサウナ状態である事に違いはありませんが。
小屋の前で小休止して腹ごしらえをしていると、不意にガスが抜けて陽射しが戻って来ました。しかしこの後の気温の上昇を考えるに、果たしてこれは吉兆であると言えるのかどうか。
眼下に土樽駅の周辺が見えました。と言うことは、ちょうど現在地の真下あたりを関越トンネルが貫いていると言う事ですな。
反対方向の群馬県側にはまだまだ残雪がたっぷりあり、大量の雪解け水が轟々と音を立てて流れ出していました。
この雪解け水は利根川へと注ぎ、やがては巡り巡って東京の水道の蛇口から出て来る水にもなっています。私は普段から、谷川岳の水を飲んでいるわけですな。
ゆきーがとけて かわーとなって やまーをくだり たにーをはしる♪
11時10分 小障子ノ頭を通過します。こちらのピークも大障子ノ頭と同様に、単なる通り道と言ったところです。
万太郎山も、再びガスの中から姿を見せつつありました。ちょうどガスっていたので見えていなかったけれど、大障子ノ頭からも一度かなり大きく標高を落としていますねえ。
前方に大きく立ちはだかっているのは、谷川岳本体ではなくその手前のオジカ沢ノ頭です。つまり、あと最低2回は大きな登り返しが残っていると言う事です。オラ気合を入れろ、泣き言を言うな。
先ほどから泣き言じみたコメントばかりをしてしまっているようにも思えますが、誤解の無いように申し上げておくと、私は今この主脈縦走を心の底から楽しんでおりますよ。(キツくないとは言っていない)
約束されていたオジカ沢ノ頭への登り返しです。天候の回復と共に気温はグングンと上昇し、かなり暑さが厳しくなってまいりましたぞ。
オジカ沢ノ頭から振り返って見た万太郎山です。こんなにもカッコいい姿の山であるにも関わらず、どこから登るにしても遠すぎてあまり登る人はいない不遇の頂です。
暑さに喘ぎながら急坂を登りきると、4つ目となるかまぼこ型避難小屋が見えて来ました。
オジカ沢ノ頭避難小屋まで登って来ました。かなり小さい上に、谷川岳肩の小屋からはそれほど遠く離れてもおらず、イマイチ存在意義のわからない小屋です。
避難小屋の先に続いているこちらの稜線は、俎嵓(まないたぐら)山稜と呼ばれています。谷川主脈からは外れた枝尾根上にあるため、訪れる人はほとんどいない静かなる頂です。
そんな地味な俎嵓ですが、実はこの山こそが本当の谷川岳であると言われています。今現在谷川岳と呼ばれている山は、かつては単にトマとオキと呼ばれていました。
明治時代に5万分の一の地形図を作った際に、本当は現在の俎嵓の名であったはずの谷川岳を誤記してしまい、それがそのまま定着して現在に至っているのだとか。
流石に本日はもうあそこまで足を延ばす気力などありませんが、この本当の谷川岳にもいつか登ってみたいんだよな。
11時50分 オジカ沢ノ頭に登頂しました。途中から暑さにやられて、すっかりと失速してしまいました。それにしても暑っちいな。
途中までは曇っていたからまだ良かったようなもので、最初から最後までピーカン照りだったら、相当辛いことになっていたのではなかろうか。
最大望遠で覗くと、山頂や肩の小屋の周辺にいる人影までもが、何となく見えました。大人気の山らしく、あちらは相当賑わっているいうです。
8.縦走最後の山、谷川岳へ
ラスト一座とは言っても、そこはブレない谷川主脈さんです。しっかりとアップダウンがあります。
ここに来てナイフリッジ状態な痩せ尾根などもあり、最後まで油断がなりません。
主脈縦走コース上では唯一となるクサリ場もあります。平標山方面から歩いてきている場合だと、このクサリ場は下りになります。
大した高さではありませんが、ほぼ垂直に近い角度があり、おまけにグリップの信用の無さにかけては定評のある蛇紋岩の岩場です。慎重にまいりましょう。
マツダランプと書かれた棒が立っていました。はて、確か仙ノ倉山にあったのは東芝ランプだったような。東芝とマツダの間で、縄張り争い的な何かが存在するのでしょうか。
最後の最後で割としっかり登り返しさせられます。谷川主脈さんは、本当に最後まで一切の容赦がありませんでしたなあ。
平標山から仙ノ倉山の区間には遠く及びませんが、谷川岳の山頂付近にも見事なお花畑が広がっていました。
振り返って見たオジカ沢ノ頭は、投げやりな名前をしている割にはなかなか立派な山容をしていました。谷川主脈ではなくもっと別の場所にあれば、名峰として広く知られる存在であっても何ら不思議ではないだけの貫禄があります。
いつの間にか肩の小屋がすぐ頭上にありました。さあもうあと一息、キリキリと歩きましょう。
さり気なく平標と書かれた道標が立っていました。決して間違いではありませんが、すぐ近くなのかと勘違いさせてしまいませんかね。
谷川岳肩の小屋に到着しました。先ほどまでのピーカン照りが嘘のように、辺りは再びガスに覆われつつありました。
いつもなら悪態をつく場面ですが、今や少しでも涼しくなるならそれでいいと言う気分です。
山頂へのビクトリーロードです。肩の小屋からは目と鼻の先の距離でしかありませんが、すっかりと暑さに打ちのめされてしまっている体には何気にしんどい。
13時10分 谷川岳に登頂しました。谷川主脈を無事に歩き切りました。感無量の瞬間です。
到着するなりすっぽりとガスに覆われてしまい「来た見た虚無った」状態でしたが、ここからの展望は以前にも見たことがあるため、特に落胆するほどの事でもありません。
肩の小屋まで下ってきたところで、少し長めの休憩を取りました。さあ、あとは天神平に下って、ロープウェイでラクラク下山するだけです。
9.谷川主脈縦走 下山編 天神尾根の下山なんて楽勝だろう。そう思っていた時期が私にもありました
天神尾根の下山なんてピクニックみたいなものだろう。そんな山ナメ発言を口にしそうになった矢先に、ガッツリと雪渓が残っていてにわかに狼狽しました。6月下旬でも、まだこれだけの雪が残っておりましたか。
念のためザックにチェーンスパイクを忍ばせてあったため、何とか事なきを得ました。すでにグズグズ腐った雪でチェーンスパイクでは若干心許ない状態でしたが、それでも何もないよりは全然マシです。
ガスに包まれていたのは山頂付近だけだったらしく、下の方は晴れていました。それはすなわち、再び暑さと羽虫の襲撃に悩まされると言うことに他ならないわけですがね。
横から見たオジカ沢ノ頭と俎嵓は、確かに双耳峰のように見える姿をしていました。本当はこれが谷川岳の姿だったわけです。
実は冬にしか歩いたことがないと言う、かなり偏った天神尾根体験しか持っていなったのですが、無雪期の天神尾根はグリップに信用の置けない蛇紋岩が散乱していて、結構歩きづらい道です。全然ピクニックではありませんでしたな。
雪に埋まっていない状態の熊穴沢避難小屋を見たのも当然初めてです。こんな建物だったのですね。
避難小屋を過ぎると、水平移動のトラバースに移ります。この羽虫にたかられる酷暑の世界から早く抜け出したい一心で、ここぞとばかりに半分駆け足のようなペースで歩きました。
谷川岳の姿はこれで見納めです。さらば魔の山谷川。きっとまた登りに来る機会は何度もあることでしょう。・・・できれば次回はもっと涼しい季節にでも。
湯檜曽川の谷向に見ているのは、谷川連峰の白毛門(1,720m)と朝日岳(1,945m)です。谷川主脈縦走は今回達成したので、次なる目標はあちらの馬蹄形縦走です。行くなら秋になってからかな。
このまま最後まで水平移動なのかと思いきや、ここに来て登り返しが待っていました。いやもう本当に勘弁して下さい。
「暑っちいんだよ、こんちくしょうめがー」と、誰に言うでもなしに悪態をつきながら歩き続けたところで、ようやく天神平が目の前に現れました。ああ、やっとこの苦行のような下山が終わる。
15時40分 天神平駅に到着しました。あー暑かった。やはりどう考えてもこの山は、夏に登るべき山ではありませんでしたな。
2022年の猛暑は明らかに異常なものであったとは思いますが、仮に例年並みだとして、6月下旬の谷川主脈というのはどの程度の暑さなのでしょうかね。
あとはこのロープウェイと言う偉大なる文明の利器によって、下まで運んでもらうだけです。少しの惜しみもなく片道料金1,250円を支払います。
働き者のマスコットキャラクターであるぐんまちゃんが、谷川岳ロープウェイ山頂駅の駅長を務めていらっしゃいました。
ロープウェイ下山最高ぅー。下山で楽が出来る山は大好きですよ。谷川岳に登るなら、例え登りは西黒尾根であっても、下山は断固として天神尾根を選びます。
全身が汗と日焼け止めと虫よけが入り混じったネバネバしたものに覆われており不快窮まりません。公共交通機関を利用することが憚られるような状態であったため、体をアルコールティッシュで拭い、着替えを済ませてからバスに乗り込みます。
上毛高原駅から新幹線に乗車します。心地よい疲労感に包まれながら帰宅の途につきました。
花と酷暑に彩られた谷川主脈縦走は、こうして大満足の内に幕を下ろしました。長年温め続けてきた悲願の山行きであったため、やり切った喜びもまたひとしおでありました。
健脚な人であれば日帰りも十分可能なルートではあると思いますが、やはり一泊して歩いたほうが幸せになれる山であると思います。平票山の家は比較的空いているので前泊におススメです。
この上越国境地帯の山々はもともと極めて天気が気難しく、梅雨の時期とも重なってしまう初夏の季節に都合よく週末と晴天が重なってくれる機会と言うのは、そうそうあるものではありません。訪問を考えている人は、チャンスが到来した時には躊躇せずに飛びつくべきです。絶対に後悔はしない良ルートであることは保証します。日焼け対策と虫よけはお忘れなく。
<コースタイム>
一日目
平標登山口バス停(11:15)-平標新道登山口(12:15)-平標山の家(13:25)
二日目
平標山の家(3:50)-平標山(4:40)-仙ノ倉山(5:40~5:50)-エビス大黒の頭(6:50~7:00)-毛渡乗越(8:05)-万太郎山(9:15~9:30)-大障子ノ頭(10:20)-小障子ノ頭(11:10)-オジカ沢ノ頭(11:50)-谷川岳(13:10~14:00)-天神平(15:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキ様
以前のブログを参考にさせてもらい秋の仙ノ倉山に登ったことがありますが、本当に良い稜線ですよね。
その日は晴れていたので、とてつもなく遠くにある谷川岳まで見通せました。
秋のほうが登りやすく、さらに逆ルートだと多少は登りが少なくなるのかも知れませんが、どちらにしても挑戦するチャンスは多くなさそうです。
ちなみにマツダランプは東芝が製造していて、遭難事故をきっかけに設置したとどこかで目にした記憶があります。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
何故か平標山側から歩く人は少ないのですが、谷川岳側からだと仙ノ倉山への登りの返しと疲労のピークとが重なってしまうので、より厳しい行程になろうかと思います。
平標山の家は空いていて良かったですよ。オススメです。
オオツキ様
あの週末はたしか、伊勢崎で40℃超えのむちゃくちゃな暑さでしたよね…私もたまたま同じ山域におりまして、発狂寸前でした!笑
あの暑さの中、日陰なし笹の稜線を12時間近く!さすがですね。
私も以前、仙ノ倉山頂から気持ち良さげな主脈を眺めて、あ〜あの遥かネコ耳までずーっと歩きたいなぁ…とうっとりしていましたが、アップダウン容赦ない長〜いルートという事がよーくわかりました。
でも本当に美しいたおやかな稜線、最高の山岳景観ですね。お花を取るか秋の涼しさを取るか…悩ましいですが、やはりお花でしょうか。
今回も、避難小屋書籍コーナーのラインナップや白目や狼狽にウケながら、楽しく拝読いたしました。
お仕事お忙しい中、更新ありがとうございました。
AKさま
コメントをありがとうございます。
あの書籍コーナーのラインナップには私も思わず笑ってしまいました。すべて梓林太郎と言う作家の作品です。若干ご都合主義が過ぎる感じもしましたが、話のテンポが良くて読みやすかったですよ。
今年の梅雨明け直後の酷暑は完全に異常気象といえるものであり、例年ですと6月中であればまだそこまで極端には暑くはならないことが多いようです。花の季節の谷川主脈はとてもイイですよ。ぜひとも白目をむきながら歩いてみてください!
オオツキさん、おはようございます。
「主脈縦走」という響きからしてかっこいいです!エスケープルートもなく、心が折れそうなアップダウンの連続で精神も鍛えられそうな縦走ですね(^^; 初夏ならお花、秋なら紅葉に多少癒されそうですが。
谷川岳が誤記だったとは初めて知りました。オオツキさんの山知識は幅広くて勉強になります!私は1977年生まれで、谷川岳の標高と同じ!と誇らしく?思っていたのですが、実は単なる“オキの耳“だったとは…。
MMさま
コメントをありがとうございます。
谷川主脈は誰にでも気軽に歩けるルートでは決してありませんが、仙ノ倉山の山頂に立つと無性に先へと進んでみたくなる、まさに甘美なる魅惑に満ちた稜線です。
だいぶ心は折れましたし、あまり無責任にオススメですとは言いにくい道程ですが、それでも来てよかったと心底思える良トレイルでした。
オオツキさま
素晴らしい記録を見させて頂き、ありがとうございます!
コメントと写真とのバランスも良くて、
本当に良く分かりました。
オオツキさんのお山の知識も、
所々にあって有難いです。
私は、2022年の秋に平標山を日帰で行った折に、
あの谷川岳肩の小屋から繋がる素敵な稜線が、ここに繋がる、行ってみたい、
と思いました。
来年2024年に、今度は花の時期に行ってみたい、
また、公共交通機関を使ったらどうなるのだろう、
また、肩の小屋泊は争奪で難しく、平標山の家の避難小屋泊で行ったらどうか、
そんな事を考え、
色々調べてみると難しそうな事が分かったのですが、
オオツキさんの今回の記事は、それをイメージできる一つの記録で、
本当に有難いです。
自分の体力と、暑さと、天候を充分考えて、本来は翌日に予備日を設けて挑むのが良いかなとも思いました。
オオツキさんの他の記事も、
これから是非読ませて頂こうと思います!^_^
きこさま
コメントを頂きましてありがとうございます。
谷川主脈縦走ルートは谷川岳側から歩く人が殆どで、逆向きに歩く人はあまり多くない印象です。平標の家の水場を当てに出来るのと、疲労がピークを迎えているであろう最後の段階でロープウェイが使える点を考えると、むしろ平標スタートの方が全体的な難易度は低いと思います。
ここにしかない唯一無二の体験が確かにあります。しっかり準備したうえで、ぜひ挑戦してみてください。
初夏に西黒尾根始点の逆ルートで歩きました。主脈に乗ってからは稜線美を目でも足でも存分(過ぎる程?)に味わい尽くすことができ、狂喜乱舞して進んだ山行になりました。
ところで平標山の家には飲み物を買うために寄ったのですが、小屋番の方がボディビルダー並の剛腕の方でした。この方が2022年もいらっしゃったかは分かりませんが、記事内で言及されている書籍コーナーのラインナップといい実は結構な個性派小屋なのかも知れないですね。
ペン生さま
コメントをありがとうございます。
谷川主脈縦走の記録をざっと眺めてみた限りでは、西黒尾根始点で歩く人の方が圧倒的に多数派で、平標山起点で歩く人はあまりいないみたいですね。
小屋のご主人もなかなかの個性派で、平標山の家はとても良かったですよ。おすすめです。