城峯山-破風山 秩父盆地の北に連なる城址と皆野アルプスを巡る

破風山から見た城峯山
埼玉県皆野町にある城峯山(じょうみねさん)と破風山(はっぷさん)に登りました。
何れも秩父盆地の北方に位置する低山です。城峯山はかつて鐘掛城という山城があった城址であり、山頂には展望台があり眺めの良い山です。破風山は皆野アルプスと呼ばれているご当地アルプスの一つで、低山ながらも岩場や鎖場があり、しっかりとアルペン的な要素が詰まった山です。この2座は隣接しており、少々忙しない行程にはなるものの、同時にハシゴすることも十分に可能です。
里山まで下って来た紅葉を追いかけて、秩父の低山を巡り歩いて来ました。

2020年11月15日に旅す。

時は秋も深まりつつある11月の中旬のこと。そろそろ、標高1,000メートル未満の山にまで紅葉が下って来た頃合いだろうという事で、前々から目を付けていた秩父地方の皆野アルプスへの山行きを計画しました。
西将平から見た皆野アルプス
最近全国の増殖中の、いわゆるご当地アルプスと呼ばれるものの一つです。以前にすぐ近くにある、同じくご当地アルプスの一つである長瀞アルプスを歩いた時から、その存在を認識していました。

私がこの皆野アルプスに興味を持った直接のきっかけは、単純に名前が良いなと思ったからです。みんなのアルプスですってよ。

皆野アルプスは標高500~600メートル程度の低山の連なりであるため、端から端まで横断してもコースタイムは4~5時間程度にしかなりません。

手軽であるという事は、見方によっては長所の一つではあります。しかし秩父地方は自宅からはからは割と遠く、結構な時間とお金をかけて出向くにしては、4~5時間程度の山行きと言うのは何となく物足りなさを覚えるのもまた事実です。

何かもっとこう、遠征の労に見合うだけのプラスアルファとなりえる要素は無いものだろうか。そう思い周辺の地図を眺めるうちに、すぐ隣に城峯山と言う未踏の山があるのが目にとまりました。
武甲山の山頂から見た城峯山と皆野アルプス
こちらのコースタイムは3時間強といったところで、時間的に皆野アルプスと同時に巡ることは十分に可能です。

この城峯山というのはかつての城跡で、山頂には電波塔兼展望台があり、眺めの良い山であるのだとか。これはなかなか良さげではありませんか。計画は決まりました。城峯山と皆野アルプスの両方を巡ります。
城峯山山頂の電波塔
2座をハシゴするとは言っても、コースタイム的に見れば合計8時間ほどの山行きです。その程度であれば楽勝でありましょう。

かくして訪れた、秩父盆地北部に連なる2座の山。晩秋ならではの早い日没時間に追われ、決して楽勝という事はありませんでしたが、紅葉と眺望を存分に満喫した爽快なる秋の一日でありました。
破風山から見た秩父盆地

コース
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西門平バス停から城峯山を往復します。その後は華厳の滝登山口まで徒歩で移動し、皆野アルプスの最高地点である破風山へ。下山は皆町駅まで直接歩いて戻ります。

1.城峯山&破風山登山 アプローチ編 秩父北部への遠き道のり

6時37分 JR赤羽駅
公共交通機関を利用して東京から秩父地方へと出向く方法は、さっくり言えば東武線か西武線です。しかし早朝の時間帯だと乗り継ぎがイマイチであったため、割高なのは承知の上でJRで現地へと向かいます。
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熊谷駅で秩父鉄道に乗り換えます。なお、何も設定を変えないまま路線検索を行うと、さも当然であるかのように熊谷まで新幹線で行くルートが案内されました。
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秩父へ出かけるのにわざわは新幹線で行く人なんて、そうそう滅多にはいなと思うのですがね。

秩父鉄道は、埼玉県内の鉄道事業者の中では唯一、いまだに交通系ICカードに対応していません。という事で切符を購入して乗車します。
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いつも思うのですが、秩父鉄道は妙に運賃が割高なんですよね。地方のローカル鉄道が、第三セクター化せずに頑張るためには、致し方がないことなのでしょうけれど。

8時40分 皆野駅に到着しました。山の会か何かだと思われる、年配者の団体が大勢下車したのを見て嫌な予感が過ります。これはもしかしなくても、目的地が同じなのでは。バスに乗り切れるかな・・・
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なお皆野駅のバス乗り場は、駅からは少し離れた場所にあります。改札から直進して、突き当りを左です。
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皆野町の町営バスには日野沢線と金沢線という二つの路線がありますが、乗車するのは日野沢線の方です。山間部の路線であるが故に、やって来たのは小型バスでした。
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そして案の定、先ほどのシニア団体とは行き先が一緒でありました。小型のバス車内は、瞬く間に満員電車並みの乗車率となりました。

9時25分 西門平バス停に到着しました。ここまでの運賃は290円です。交通系ICカードには対応していないので、小銭を用意しておきましょう。
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2.鬱蒼とした杉林に覆われた城跡の山、城峯山

今から歩こうとしているコースは、関東地方在住のハイカーにはお馴染みの存在である、関東ふれあいの道の一部です。平将門にまつわる伝説や史跡が残っているのだとか。
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弘法大師や源義経ほどではないものの、この将門と言う人物もまた、関東近郊の各地に数々の伝承の類が残されています。

紅葉の色づきが良い感じです。見込み通りに、ど真ん中のタイミングであったようです。
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道が大きく左にカーブしている地点が、登山口への入り口です。それでは、往復のコースタイム3時間少々の城峯山を、サクッと往復してまいりましょう。
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始めはしばしの間、舗装道路歩きです。初っ端からなかなかの急勾配です。
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神社がありました。特に確認してはみませんでしたが、この神社も将門に関係があるのかな。
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不意に舗装道路が不自然な途切れ方をして、土の道が始まりました。ここが登山口なのかな。
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と思ったら、単に土砂崩れ跡がそのまま放置されているだけでした。草の生し具合からして、この状態のままかなりの時間が経過しているのは明らかです。もう復旧するつもりはないのでしょう。
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土砂崩れ地点から少し進んだ所で、ようやく本当の登山口が現れました。
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ここで軽く腹ごしらえしていたら、先ほどのシニア団体が追い付いて来たので慌てて出発します。団体連れに前方を塞がれてしまうと、後で追い抜くのが面倒になりますからね。

水流の無い涸れ沢に沿って登ります。道はやや荒れ気味です。
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まるで奥多摩の様な、昼でも薄暗い圧倒的杉林です。ここは奥多摩ではなく奥武蔵ですが、まあ似たようなものです。
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こうして僅かに紅葉もあるものの、華やかさはあまりありません。せっかく紅葉最盛期のタイミングで訪問したのに、これはルート選択を誤ってしまったか。
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程なく林道を横断します。ちなみに、城峯山は山頂のすぐ下にまで林道が伸びており、マイカーのある人なら10分も歩けば登頂できます。
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雲一つない快晴の空を、一筋の飛行機雲が切り裂いていました。
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ここでようやく、杉の植林ではないクヌギやコナラなどの広葉樹の森が広がるが一帯へと入ります。
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赤くはならず、柔らかいオレンジ色に紅葉していました。
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いろはもみじは黄色くなっていました。黄色い場合は、紅葉でなく黄葉と書くのが正しいらしですが、あまり目にはしない書きまわしですよね。
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マツタケ泥棒への警告文は山中で割とよく見にしますが、シイタケは珍しい。
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紅葉ロードは束の間で、何時しか周囲はまたもや圧倒的杉林へと戻ってしまいました。まあこれは、里に近い山の宿命ですかね。
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送電鉄塔がある場所まで登ってきました。低山歩きにおいては、鉄塔のある場所に好展望ありです。さて、どんな感じでしょうか。
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特に何かが見えると言う訳でもありませんが、本日の行程で初めて、周囲の展望が開けました。
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眺めも良いしベンチも整備されているので、最初の休憩を取るのにはちょうどよい場所だと思います。私は特に疲れてはいないので、このまま行動を続行します。
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展望皆無な杉林の斜面を黙々と登り続けるうちに、山頂らしき場所が見えてきました。
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10時30分 鐘掛城に登頂しました。山名に「山」と付いていないのは珍しいですね。
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名前の通り、ここは戦国時代に山城が築かれていた城跡であるとの事です。残念ながら、石垣等の遺構などはなにも残っていません。
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山頂の様子
鬱蒼とした杉の植林に没しており、眺望はありません。基本的に、ただの通り道であると考えた方が良い場所です
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前方に城峯山の山頂が姿を見せました。かつては鐘掛城の物見が置かれていた場所であるそうです。
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南側半分は杉の植林で、北側斜面がカラマツ林になっているのが良くわかります。果たして登山道はどちら側を通るのでしょうか。できればカラマツ林の中を通ってほしい所ですが。

3.城峯山登山 登頂編 かつての物見の山から望む、上武国境地帯の山並み

鐘掛城からは、鞍部の石間峠に向かって一度大きく下ります。
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下りきると、幅の広い平坦な道となりました。轍の跡があるので、林業関係者の軽トラが入ってくる道なのかもしれません。
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石間峠まで下って来ました。一般車も通行可能な林道が峠を横断しており、マイカー登山する人はここまで車で入ってこれます。
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山頂付近のカラマツ林はもう紅葉の終わりかけでしたが、それでも十分に名残を楽しむことが出来ました。
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山頂直下最後の登りです。登山道は、ちょうど杉林とカラマツ林の境界上にありました。
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森が切れて、山頂にある電波塔が目の前に現れました。この鉄塔は展望台を兼ねており、階段で中段付近まで登ることが出来ます。
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10時55分 城峯山に登頂しました。西門平からは1時間30分での登頂です。とてもお手軽な山ですね。
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山頂の様子
一等三角点のある、そこそこ広い空間です。と言っても、その空間の大半は電波塔に占拠されてしまっていますがね。
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早速展望所に上って見ましょう。正面には、埼玉県と群馬県の県境付近の山並みが広がります。
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特に目立つのがこのザギザした山。修験の山として名高い両神山(1,723m)です。日本百名山に名を連ねる一座であり、この界隈の山の中では人気知名度共にナンバーワンです。
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この特徴的な双耳峰は、西上州の御荷鉾山(みかぼやま)です。車の無いヤツはお断りな場所にあるため、興味はあるのですが未踏のままです。背後に浅間山(2,568m)があるのが何となく見えます。
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北に目を向けてみましょう。これは言わずと知れた秩父のシンボル、武甲山(1,304m)です。逆光と霞気味な空気で、シルエットしか見えず少々わかりにくい状態でした。
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そして眼下には、この後にハシゴする予定の皆野アルプスの山並みです。どこにでもある里山そのものと言った姿をしています。
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山頂の紅葉はもう終わりかけで、少々茶色みがかかりつつありました。週末ハイカーは、なかなかピークのど真ん中を射止めるのは難しいですよね。
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4.城峯山から秩父華厳の滝までの下道歩き

11時20分 城峯山を辞去し、元来た道を引き返します。なにしろ、この後にまだもう一座控えていますからね。
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帰りは鐘掛城には登り返さずに、巻き道を行きます。
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道中の薄暗い杉林の中に所々ポツポツとある紅葉を愛でつつ、足早に下ります。
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全般的にあまり急ではなく、危険個所もない道であるため、実にテンポよく下れます。
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ということで、下りは実にあっけなく麓まで戻って来ました。
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12時30分 西門平バス停まで戻って来ました。次のバスは13時59分まで無いので、バスには乗らずにこのまま徒歩で秩父華厳の滝まで移動します。
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この区間の下道歩きには、山と高原地図にコースタイムの記載がありません。緩やかな下り坂なので、せいぜい30~40分程度だろうと見越しています。
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これから歩く皆野アルプスの山並みが見えます。一部が紅葉してはいるものの、城峯山と同様に、杉の植林となっている部分の面積が大きく目立ちます。
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交通量はそこそこある道のようですが、この区間を徒歩で移動している人の姿は全く見当たりません。一日で2座をハシゴしようと言う人は、やはり少数派のマイノリティなのでしょうかね。
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無人の山中をひたすら下り続けたところで、ようやく人家のある場所まで下って来ました。
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13時10分 秩父華厳の滝入り口まで下ってきました。せっかくなので、再び登山を開始する前に滝見物をしてゆきましょう。
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沢の奥の方まで登らされるのかと思っていましたが、滝は入口から5分とかからない場所にあっけなくありました。
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こちらが秩父華厳の滝になります。落差12メートルです。日光の華厳の滝とは、比べるべくもない小ぶりな可愛らしい滝です。
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紅葉シーズにはライトアップも行われています。本日がライトアップの最終日であるという事でしたが、この後の行程の都合上、見て行くことは出来そうにありません。

この赤みを帯びた岩は、チャートと呼ばれる非常に強固な事で知られる岩盤です。なんでも同じ重量の鉄よりも固いのだとか。秩父地方の山には多く見らます。
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少し引いた場所から見た華厳の滝です。今年は紅葉の色付きの方は、イマイチであったようですな。
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5.如金峰コースを登り、皆野アルプス最高峰の破風山へ

13時40分 もうすっかり正午になってしまいましたが、遅ればせながら本日2度目の登山を開始しましょう。登山口は、この危なっかしい橋を渡ったところにあります。
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「本当に今から登るの?」と言う自問自答を振り払い、山中へと足を踏み入れます。
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この橋は水面まで結構な高さがある上に、表面が湿っていて恐ろしく滑ります。スタート地点のこの橋こそが、如金峰コースの核心部であるかもしれません。
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日陰の薄暗い森の中を、小さな沢に沿って登ります。
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名もなき小さな滝がありました。もしかしたら名前はあるのかもしれませんが、名称を記した立て看板の類はありませんでした。
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薄暗い杉林のの中を黙々と登ります。せっかく紅葉の最盛期を狙って訪れたと言うのに、先ほどから華やかさに欠ける景色ばかりですな。
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沢を挟んだ向かいの尾根は、広葉樹林となっており紅葉が色づいていました。どうせなら、あちらの尾根上に登山道を付けてくれればよかったものを。
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山道を登りきると、何故か集落の中に飛び出しました。
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なんのことは無い。ここまで車で上がってこれる道が存在するようですな。ここは大前と言う集落であるようです。
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ここで直進する最短ルートと、隣接する天狗山と言うピークを経由するルートに分かれます。もうだいぶ時間も押してきているので、ここは余計な寄り道はせずに直進します。
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ようやく杉林を突破して、紅葉地帯へ入りました。そうそう、こういう道を期待していたのですよ。
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皆野アルプスの稜線に乗りました。ここからは待望の、紅葉の尾根歩きです。
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尾根に乗って早々にクサリ場があります。時間が時間だけに今は貸し切り状態ですが、混みあうこともあるのかな。
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足を乗せらるスタンスは豊富になるので、特段難しくはありません。名ばかりのアルプスではなく、こうしてしっかりとアルペン的な要素があるのはよい感じです。
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クサリ場をよじ登ると、正面の展望が開けました。まるで傘をさしているかのような武甲山です。
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松と灌木がミックスした、岩の稜線が続きます。ハイマツこそありませんが、確かにアルプスっぽい植生です。
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仏像の飾られた、山頂らしき場所に出ました。
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14時30分 大前山に登頂しました。大前集落のすぐ傍らにあるから大前山。そのままな名称ですね。
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先へ進みましょう。大前山からは、小刻みにアップダウンを繰り返す、そこそこ険しい道が続きます。
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続いて現れたのが武蔵展望台を名乗る場所です。さて、どんな光景が見えるのでしょうか。
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武蔵平野を一望とはいきませんが、それでも良い眺めです。どちらかと言うと、秩父展望台と名乗った方が、実態には近いような気がします。
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暫しの間、断崖絶壁に沿った尾根道が続きます。足を滑らせたらタダではすまないので、ここは慎重に行きましょう。
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この尾根上に、コース名の由来にもなっている如金(にょっきん)さまがあります。なんと言うか、実にご立派な岩ですね。
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如金さまは別名で金精様とも言い、人体のとある一部を御神体として祀・・・いや、詳しく解説するのはやめておきましょう。
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14時55分 札立峠に到着しました。皆野アルプスのほぼ中央に位置している峠です。
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この峠は、古くから巡礼の道であった場所です。
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峠からは当然登り返しです。ラストスパートをかけていきましょう。
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最後の最後になって、ようやく紅葉の下を歩くことが出来ました。
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峠からは割とあっけなく、頂上が見えてきました。
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15時15分 破風山に登頂しました。ここが皆野アルプスの最高地点となります。
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山頂からは、北側の展望が大きく開けており、秩父の街並みを一望できます。
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秩父盆地内からであれば、どこからでも良く見える武甲山。城峯山から見た時と何ら変わりない、霞がかった姿をしていました。
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背後にはその城峯山の姿も良く見えました。右の尖ったピークが鐘掛城で、左奥のピークが城峯山です。山頂の電波塔のおかげで、山座同定は容易です。
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麓の皆野町の市街地が、割とすぐそこに見えます。まあ、標高600メートル少々の低山ですからね。
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西の方に見えているこの山は、秩父のクレージーマウンテンこと二子山(1,166m)です。遠目でも分かるこの異様な姿。
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6.破風山登山 下山編 日没時間が迫る中を足早に下る

皆野アルプスの尾根はこの先もまだまだ続くのですが、そろそろ日没時間が近づいてまいりました。
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縦走はここまでで切り上げて、下りのコースタイムが最短の椋宮登山口へ下ることにします。流石に、初めて歩く土地勘ゼロの山でヘッドライト下山をしたくはありませんからね。

という事で、尾根からは外れてぐるりと方向転換します。
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だいぶ日が傾き始めた中を、足早に駆け降ります。コースタイム的に物足りないとか言っていた割には、結局時間不足にるとはなんたる体たらくよ。
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一番早く下山できるからと言う、消極的な理由で選んだルートでしたが、道中からの眺めはなかなかのものです。いかにも里山歩きらしい、長閑な田園風景を楽しめます。
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割とあっけなく舗装路に出ました。とは言っても、ここからまだまだ結構歩きますがね。
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沿道では、柚が実りの季節を迎えていました。路地物も販売されていましたが、風呂に入れるくらいしか柚の使い道が思い浮かばないです。これがミカンだったら喜んで買ってゆくのですが。
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16時20分 椋宮登山口まで下って来ました。
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ここから皆野駅までは、標準コースタイムで40分程の道程です。今日はやけに下道歩きが長いコースでしたな。最後にもうひと踏ん張り、頑張って歩きましょう。
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破風山の山頂からも見えていた荒川を渡ります。
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正面に見えているのは美の山公園です。花の季節に行ってみたいと思いつつ、今だに訪問の機会を得られていません。来年の春こそいけるかな。
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登山口から延々と30分以上歩き続けたところで、ようやく駅が見えました。
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16時55分 皆野駅まで戻ってきました。まだ17時前だというのに、周囲はすっかりと暗くなっていました。今の季節は本当に日没が早い。
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帰りは往路とは反対方向の電車に乗り込みます。西武秩父駅を経由して、西武線で帰宅の途に付きました。
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皆野アルプス単体では何となく物足りなさそうと言う理由で、城峯山往復をプラスした今回の山行きでしたが、日没タイムリミットにより肝心の皆野アルプスを歩く時間が足りなくなると言う、なんとも本末転倒な展開となりました。
もう少し日の長い季節であればいざ知らず、変に欲張らない方が無難だったかもしれません。皆野アルプス歩きは、秩父温泉満願の湯への立ち寄りとセットで計画するのが、一番妥当な線でありましょう。
城峯山も皆野アルプスも、どちらも眺めがよくコースタイムも手ごろで、軽めの登山がしたいと言う人におススメです。長瀞観光などと合わせて計画してみては如何でしょうか。

<コースタイム>
西門平BS(9:25)-鐘掛城(10:35)-城峯山(10:55~11:20)-西門平BS(12:30)-秩父華厳の滝(13:10~13:35)-大前山(14:30)-札立峠(14:55)-破風山(15:15~15:25)-椋宮登山口(16:20)-皆野駅(16:55)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. 初めまして 平島幸治 (平幸)と申します。私も低い山ばかりですが登っているものです。まずこんなに素晴らしい写真と記事があるのに 34位なのか?です。城峯山から破風山の縦走お疲れ様でした。物凄い数の写真に滅茶苦茶いやされました。また 素敵な記事や写真をたのしみにしています。

    • オオツキ オオツキ より:

      平島様
      コメントを頂きましてありがとうございます。

      皆野アルプスは沢あり田園風景の眺望ありの、里山歩きの魅力を凝縮したかのような山でした。今回は晩秋の訪問でしたが、春の季節もきっと良い感じだろうと思います。小粒な山ですがとてもオススメです。

  2. 素敵な写真が一杯ですね。小さな川には、山女魚や岩魚が居そうなあ良い谷あり里山ありで何か行きたくなるような場所ですね。

  3. ぴろき より:

    先日、この行程を参考にさせて頂きました。ありがとうございます。
    私の方がはるかにコース時間が掛かりましたが、真夏という事で明るいうちに到着です。

    とても分かりやすく、行く前に何度も拝見させて頂きました。おかげ様で楽しみも倍増です!
    秩父登山を増やして頂けますと大変参考になり、私も嬉しいです。
    大変かとは思いますが、よろしくお願い致します!?

    • オオツキ オオツキ より:

      ぴろきさま
      コメントをありがとうございます。

      楽しんで頂けたようで、紹介したかいがあります。皆野アルプスは純然たる低山なので、真夏は少々暑さが厳しかったのではないでしょうか。

      地味通好みの渋い山が多い秩父の山の中では珍しくたいへん眺めが良くて、もっと広く知られても良いハイキングコースであると思います。