真富士山 安倍東稜の大展望の頂と俵峰大滝を巡る

真富士山の山頂
静岡県静岡市にある真富士山(まふじやま)に登りました。
安倍東稜と呼ばれる、安部川の東に連なる山系に属している山です。全国区の知名度こそありませんが、富士山や駿河湾を広く見渡せる好展望の頂です。これは真富士山のみならず安倍東稜全般に言える事ですが、歩く人の姿は極めて疎らで静かな山域となっています。
氷瀑化すると言う俵峰大滝のと一石二鳥を狙って訪れましたが、滝の方は少々期待外れな状態でした。

2023年1月21日に旅す。

唐突に真富士山と言われても、地元静岡の人でもない限りなかなかピンとはこないのではないでしょうか。安倍川の東に長々と連なっている、安倍東稜に属する一座です。
安部川の川沿いから見上げた真富士山
十枚山の尾根続きにある山だと言えば、何となくの位置が伝・・・わらないですよね、はい。極めてマイナーな山です。

今回の訪問の主な目標は、冬に氷瀑化すると言う俵峰大滝を見物することにあり、真富士山に登ったのは言ってみれば物のついでです。

どうせ登るならピストンよりも周回コースが良かろうと思い、平野バス停からのルートを歩きました。ただでさえマイナーな山の、さらにはメジャーではないルートとあってか、登山道は全般的に荒れ気味で不明瞭な状態でした。
真富士山 平野ルートの登山道

そして肝心の大滝の方はと言うと、気温の高い日が続いていたためか、すっかりとけてしまっていました。
俵峰大滝
当てが外れて少々残念な感じのする、静岡のマイナーな山への訪問記です。

コース
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安倍川沿いを走る路線バス梅ヶ島温泉線の平野バス停からスタートし、ヲイ平を経て真富士山へ登頂します。山頂からは安倍東梁の稜線沿いに南下して俵峰大滝を目指します。

下山は俵峰集落を通り抜けて麓の俵沢バス停まで下ります。公共交通機関利用の強みを生かした、真富士山を周回する行程です。

1.真富士山登山 アプローチ編 新幹線で行く静岡への旅路

7時9分 JR品川駅
何処へ行くにも大抵は鈍行列車を選択するドケチ系ハイカーのオオツキですが、流石に静岡県への鈍行日帰りは時間的に厳しいものがあるため、本日は贅沢に新幹線でのアプローチです。贅沢と言っても自由席ですが。
品川駅の新幹線ホーム
乗車するのは、まるで静岡県などこの世に存在しないかのように振る舞うのぞみ号ではなく、静岡駅にも停車するひかり号です。・・・静岡県に出かけるたびにいつも同じコメントをしているような?

8時5分 快適な新幹線の座席でうつらうつらとしている内に、つつがなく静岡駅に到着しました。静岡駅は大河ドラマ「どうする家康」の興奮の最中にあり、どこもかしこも家康一色状態になっていました。
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かくいう私も、家康の黒歴史三方ヶ原合戦での脱糞シーンがどのように映像化されるのか、今からとても楽しみにしております。まさか省略したりはしないよね?

駅前にある竹千代少年(幼年の家康)と今川義元の像です。この像自体は以前からありますが、どうする家康の影響で注目が集まっているらしく、写真を撮っている人が大勢いました。
静岡駅の竹千代像

8時33分発の梅ヶ島温泉行きのバスに乗車します。土休日には一本前に7時3分発の便も存在しますが、残念ながら当日東京発の新幹線とは時間的につながりません。
静岡駅の9番バス乗り場
目指す平野バス停までの所要時間はおよそ1時間と、なかなかの長丁場です。用は事前に済ませておきましょう。

バスの車窓に目指す安倍東稜の山並みが見えて来ました。あまりメジャーであるとは言えない山系ですが、隠れた名山が多く埋没していそうな予感がします。東京からだと少々遠いのが難点ですが、開拓しがいがありそうです。
安倍川の辺から見た安倍東稜の山並み

9時31分 平野バス停に到着しました。登山開始時刻としてはいささか遅い時間ですが、公共交通機関頼みの身としては、こればかりは致し方ありません。
平野バス停
ここで下車するハイカーはよほど珍しいのか、降りる際に運転手さんに「マフジですか?」とわざわざ聞かれました。

安倍川上流の彼方に見えているこの山は、位置的に八紘嶺(1,918m)なのかな。なんだかんだで安倍奥エリアには結構な回数足を運んでおり、お気に入りの山域になりつつあります。
平野橋から見た八紘嶺

2.登山口までの長い道程

9時40分 身支度を整えて行動を開始します。まずはバスの進行方向とは反対向きに、下流方向へ少し戻ります。
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やがてY字路が現れるので、ここから左に入ります。道標などは無いので、事前に道順をよく確認しておきましょう。
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川沿いから少し高台になっている場所に、小さな集落がありました。ここが平野の集落なのでしょうか。
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道が二手に分かれますが、ここは右へ登って行くのが正解です。ここにも道標はありませんので、地図をよく確認しましょう。
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この先はしばしの間の林道歩きとなります。この林道平野線は一般車も通行可能で、車でお越しの人はこのずっと先にある第3登山口まで車で入れます。
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この平野ルートは、真富士山の山頂近くにある真富士神社の参道となっており、道中に三十三体の観音像が置かれています。最初に目にしたこの像は4番目だったので、1から3はすでに見落としてしまったようです。
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正面に見えているのは第二真富士山とよばれているピークで、目指す第一真富士山はもっと右の方にあります。
平野林道から見た第二真富士山
実は第二真富士山の方が第一真富士山よりも僅かに標高が高いのですが、あそこまで足を延ばしてしまうと帰路のバス時間的に少々厳しいものがあるため、本日はスルーする予定でいます。

道の脇にぽっかりと水抜きの大穴が開いていました。金網の蓋も何もないとは恐れ入ります。今は明るい日中だからまだ良いものの、こんなの暗い時間帯には完全にトラップじゃないですか。
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林道は大きく折り返しながら、急峻な谷沿いを登り上げて行きます。この林道歩きの時点で、すでに結構な標高差を稼ぎ出しています。
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落石防止の金網が完全に破壊され、路上に岩が散乱していました。こう言う場所はなるべく足早に通り抜けましょう。
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ちょうど正面に真富士山があるはずなのですが、木々に遮られてなかなか見えません。記事の冒頭につかう用の真富士山の写真を撮りたかったのですが、結局最後まで良い感じに写せるポイントはありませんでした。
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涸れ沢を渡る橋を渡ります。この橋を渡った先に、第2登山口と呼ばれる登山道の入り口があります。
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10時30分 第2登山口まで登って来ました。このまま林道沿いに進んでも最終的に真富士山に至りますが、ここから登山道でショートカットが可能です。
真富士山 第2登山口

と言う事で、林道を1時間近くあるいてようやく登山開始です。歩き始めて早々ですが、地面の感触が妙に柔らかく、殆ど歩かれていなさそうな気配を感じます。
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つい先ほど橋で渡った涸れ沢を再び渡ります。かつては木橋が架かっていたようですが、完全に朽ちてしまっているため、川底を直接渡ります。
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私の訪問時には完全干上がっていましたが、季節によっては水流があったりすのだろうか。いずれにせよ、雨の日の訪問は避けた方が良さそうです。

途中から涸れ沢と道が完全に一体化して、荒れ放題の状態になっていました。歩きにくいことこのうえありません。
真富士山 平野ルートの登山道
こう言う場所は途中から道が脇に逸れたのに気が付かず、そのま沢沿い登り続けてしまう道迷いが非常に発生しやすいので、注意を要します。見印を見落とさないように、周囲をよく観察しながら歩きましょう。

ワサビ田の跡だと思われる、人工的な石垣が残っていました。完全に涸れてしまっているけれど、水は他から引いていたのでしょうか。
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思った通り、道は途中から涸れ沢と袂を分かっていました。一応は目印のピンクリボンもありました。
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まるで奥多摩のような圧倒的杉林です。道はだいぶ荒れ気味ですが、しっかりと間伐はされているので放置されている訳ではなさそうです。
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踏み跡がだいぶ怪しくなって来ましたが、こうして観音様がいるおかげでルートから外れていないことが確認できます。
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途中からは完全に笹薮に没していました。直近のヤマレコなどのレポート見ても、ここよりも上にある第3登山口まで車で乗り入れて登るのが一般的で、平野バス停から歩く人は相当少ないようです。この有様じゃあね。
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林道に飛び出しましたが、ここは横断するだけです。
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この林道を横断する付近一帯は、かなりの規模のミツマタ群生地となっていました。まだ開花には早く蕾の状態ですが、シーズン中に訪れたら、さぞや華やかな光景を拝めそうです。
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前方にカーブミラーが見えてきたところで、再び平野林道と合流しました。グルっと大回りする林道に対して結構なショートカットにはなりましたが、道が不明瞭すぎてあまりお勧めはできない状況でした。
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ここからまたもしばしの間の林道歩きです。朝の内は青空が広がっていましたが、ここに来て何となく頭上が曇り始めつつありました。何とか展望を台無しにされる間に登頂できると良いのですが。
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11時30分 第3登山口に到着しました。バス停から2時間近くを要する、やけに長いアプローチでありましたな。前述の通り、車でお越しの人はここまで入ってこれます。そりゃあみんな、車で登りに来ますよね。
真富士山 第3登山口

3.観音像に見守られながら歩む道程

再び登山道へと足を踏み入れます。この先は山頂まで、ほぼノンストップの急登が続きます。いっちょう気合を入れて参りましょう。
真富士山 第3登山口

ここでも変わらず圧倒的な杉林が出迎えてくれました。安倍東稜の山はどこも杉林の比率が高めで、自然林の割合は少なめです。道中の景観的には奥多摩の山と似たり寄ったりだと言えます。
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背後を振り返ると、花粉をたわわに実らせて黄色く変色した杉林が広がっていました。もう間もなく一斉飛散が始まるのでしょう。
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なんと恐ろしい。こんな物騒なものは全て伐採して、割り箸にでもしてしまえばいいんですよ。

道は再び谷沿いとなりました。バス停からずっと辿って来たこの谷も、いよいよ源頭に近づいて来た感があります。
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頭上はすっかりと曇り空になっていまいました。真富士山は山頂からの富士展望で名高い山なのですが、この状況で果たして景色は見えるのだろうか。
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途中で一か所だけ岩場がありましたが、取り立てて難しい要素はありません。ここにもしっかりと観音像が置いてありました。
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真富士神社が造られたのは年代的に比較的新しく、記録によると昭和10年にこの参道と共に整備されました。それ以前の真富士山にはまともな登山道すら存在しなかったそうです。

比較的新しく開かれた山であるわけですが、現状は既に廃れつつあるようにも思えます。

沢に沿って進みます。この沢は完全には涸れておらず、僅かな水流の音が聞こえます。
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沢の源頭付近と言うのは大抵どこも、谷が複雑に枝別れしていて道がわかり難くなっているものです。目印のピンクテープがあるので、見落とさないようによく周囲を観察しながら進みます。
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最後は沢を離れて、尾根上に向かって一気に標高を上げはじめました。
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12時15分 ヲイ平と呼ばれる平坦地へと登って来ました。第一真富士山と第二真富士山への分岐となっている場所です。
真富士山 ヲイ平

ここにも当然ながら漢音様がいました。二十五番観音らしいので、残りはあと8です。
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標語らしきものが書かれた立札があります。「何の喜びか 憂いに非ざらんや 何の憂いか また喜びに非ざらんや」

何かの喜びは同時に何かの憂いであったりするし、逆もまたしかり。喜びと憂いには紙一重ほどの違いしかなく、ようは気の持ちようである。・・・くらいの意味でしょうかね。

こう言う標語をすらすらと書けるあたり、昔の人はみな教養があったんだなあとしみじみ思います。

4.真富士山登山 登頂編 藤展望が広がる頂へ

山頂へ向かいましょう。第2真富士山には立ち寄らずに、最短ルートで第1真富士山の山頂へ向かいます。
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二十九番の漢音様は失われてしまったらしく、昔の写真を添えつつ新しいものに交換されていました。ここにも標語がありましたが、擦れていて読めませんでした。
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一面が苔生したロックガーデン状態の場所を横断します。ここにだけ苔が繁茂しているのは、おそらく伏流している沢がこの下を流れているのだと思われます。これから途方もない時間をかけて、やがてはここも谷になるのでしょう。
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背後を振り返ると、安倍東稜の山並みが連なっているのが見えました。この先に十枚山などがあるはずです。
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ようやく安倍東稜の稜線まで登って来ました。真富士山は標高1,300メートル少々でしかない山ですが、スタート地点の標高も低いため、意外と骨のある山です。
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背後に真富士神社があるのですが、立ち寄る前にまずは先にピークハントをしておきましょう。こうしている間にも雲が沸き立ち、山頂からの眺望をすべて台無しにされてしまうかもしれませんからね。
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どう見ても最高地点である場所には標柱がなく、そこから少し下った地点が大きく開けていました。
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13時10分 真富士山に登頂しました。高曇りの空ではあるものの、何とか眺望を台無しにされる前に辿り着く事が出来ました。
真富士山の山頂

真富士山を名乗っている以上は、我こそが真の富士山なり。正面に半分くらい雲に隠れたアイツの姿が良く見えますが、たぶんニセモノなのでしょう。
真富士山から見た富士山
富士山の手前に見えている山は、左が高ドッキョウ(1,134m)で右奥が貫ヶ岳(897m)です。え?どちらも知らないって?・・・そうですか。

ここまでの道中ではまったく人とすれ違いませんでしたが、山頂には以外にも多くの登山者がいました。恐らくはみな、マイナーな平野ルートではなく、俵峰の方から登って来たのでしょう。
真富士山の山頂

富士山の反対側に目を向けると、駿河湾方の展望が大きく開けていました。
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静岡市の外港である清水港が良く見えます。安倍東稜の山並みは静岡市の市街地のすぐ背後にまで続いており、末端に竜爪山(1,051m)があります。
真富士山から見た清水港

沼津方面も広く見えています。中央右の海際にある、山頂に小さくアンテナ塔が見えている山が浜石岳(707m)かな。海が良く見えてとても良い山ですよ。
真富士山から見た駿河湾

反対側の南アルプス方面も、ちょこっとだけ展望が開けています。本日はこの通り、すっかりと曇ってしまって、遠くは見えませんでしたが。
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前評判に違わぬ素晴らしき展望の頂でした。どんよりとした曇り空になってしまったのはなんとも残念で、是非とも晴天の日にまた再訪したい一座です。

5.俵峰大滝を目指し、安倍東稜を南下する

そろそろ本日のメインベントであることころの、大滝へと向かいましょう。山頂からそのまま尾根沿いに進む道もあるのですが、真富士神社に立ち寄るため、一度分岐地点まで引き返します。
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分岐から5分とかからない位置に、真富士神社の小さなお社がポツンと建っていました。意外なことに、ここには観音様はいませんでした。はて、三十三番目はどこにいたのだろうか。
真富士神社

もう一度尾根上まで登り返しても良いですが、右にトラバース路らしき道が続いているので、そちらへ進みます。
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このトラバース路は、真富士山の山頂を巻くだけですぐに尾根上の道と合流するものだと思い込んでいた訳なのですが、意外にも大きく下り始めました。
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道を間違えて下山路に入ってしまったのかと勘違いしてしまうくらいに、一度大きく標高を落とします。

稜線からはだいぶ下ったところで、ようやく水平移動に移りました。そして、この期に及んで陽が射して来ましたな。あんまり気温が高くなってしまうと、大滝の氷が溶けてしまうのではないかと気が気ではないのですが。
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長々と結構な距離を横移動したところで、左手の尾根が、現在地と同じくらいの高さまで下って来ました。
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トラバース路はこの先も続いているようですが、この辺りで強引に尾根上に復帰します。もともともは尾根上を歩くつもりだったのですから。
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尾根上には当然アップダウンがありますが、迷う要素はなく道筋が明快であるため、こちらの方が安心感があります。
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尾根上に視界が開けている場所はなく、木の枝越しにですが背後に大きく真富士山の姿が見えました。
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隣には高ドッキョウの姿がありました。ちょうどこの山が静岡県と山梨県の境界となっており、あの山の先は山梨県です。
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やがて尾根上に広々とした平坦な場所が現れました。この平坦地に仔鹿の池と言う池があるらしいので、道を外れて見に行きます。
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特に踏み跡などはありませんが、特に難儀することもなく池の辺まで下ってこれました。大正池を思わせるような、枯れ木が印象的な空間です。
仔鹿の池

稜線上にある池ながら、年間を通じて涸れることがないのだそうです。だいぶ干上がってはいますが、それでも一年で最も山が乾燥するであろう1月中にあっても、これだけの水をしっかりと湛えていました。
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しかし、表面に薄氷が張っているわけでもなく完全に水の状態ですね。この様子だと、大滝が氷瀑化しているのは望み薄なのではなかろうか。

いつの間にか晴れ間は完全に消えて、すっかり曇りになってしまいました。時刻はまだ15時前だと言うのに、檜林の中に入るとまるで夕刻時のような薄暗さです。
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行く先に竜爪山らしき山の姿が見えます。尾根上の道はずっと繋がっており、健脚な人なら真富士山から日帰りで縦走することも十分に可能です。
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15時5分 一本杉と呼ばれる小ピークまで歩いて来ました。ここから大滝のある、俵峰方面へと下って行きます。
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6.氷は完全にとけてしまっていた俵峰大滝

思わずライトが欲しくなるくらいに足元が薄暗くなってしまった中を、足早に下って行きます。
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大滝の上部まで下って来ました。危惧していた通り、凍結している様子はなく、チョロチョロと音を立てて水が流れています。ここ数日、だいぶ暖かい日が続いていましたからね。
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落胆を覚えつつも、とりあえずは見て見ないことには始まりません。滝の上からぐるりと回り込むように下ります。
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大滝の姿を正面に捉えましたが残念。やはり完全にとけてしまっていました。もっと寒い日に来ないと駄目でしたか。
俵峰大滝

滝の目の前まで入って行けるようになっているので、せっかくなので一応はかぶりつきで見物して行きましょうか。
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ということで、目の前から見た俵峰大滝です。岩肌の正面をつたいながら流れ落ちる、いわゆるナメ滝と呼ばれる滝の一種ですね。
俵峰大滝

一応は小さいツララのようなものが僅かに残ってはいました。この岩肌が一面の氷壁と化すらしいのですが、見てみたかったな。
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ああちなみに、凍っている姿が見たいと言う方は「俵峰大滝」でGoogle画像検索すれば、写真はいくらでも出てきます。興味のある方はどうぞ。

7.真富士山登山 下山編 宵闇が迫る中を俵沢バス停へ下る

少々残念な結果ではありましたが、見るものは見たしボチボチ下山に移りましょう。帰りは俵沢バス停を17時43分に通るバスに乗りたいので、実はもうあまり時間に余裕がありません。
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大滝見物のメインルートと言う事もあって、登山道はしっかりと整備されています。と言っても、結構危なっかしい箇所もあるので慎重に参りましょう。
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16時40分 サクサクと俵峰の登山口まで下って来ました。下山した場所に茶畑があると言うのがまた、いかにも静岡県の山らしい光景ですね。
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もうすっかり下山が終わったかのようなムードが漂いますが、この俵峰集落は標高400メートル付近の山の中腹にあり、路線バスはここまで上がって来ません。ここからさらに、安部川沿いにあるバス通りまで下る必要があります。
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振り返って見た一本杉です。真富士山の姿は、一本杉に遮られてしまうため俵峰からは見えません。
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まさに天空の茶畑とでも言った趣の光景が広がります。俵峰はなかなか風光明媚な場所です。バスが無いので、歩いて来るのが少々面倒な場所ではありますが。
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集落があるのだから当然街灯もあるだろうと思いきや、そんな優しいものはありませんでした。まあ基本的に自動車社会で、歩行者なんてほとんどいないでしょうからね。
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ヘッドライトを取り出すのも億劫なので、黄昏時の明るさが残っている内に足早に下ってしまいましょう。

ジグザグとまるでトグロを巻いているかのような道です。逆向きにここを登るのはしんどそうですね。
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行く手に安倍川の河原らしき場所が見えて来ました。あそこまで下ればゴールです。
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ようやく街灯と言う、この偉大なる文明の明かりが届く場所まで下って来ました。
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17時35分 俵沢バス停に到着しました。帰路のバスがやってくるおよそ10分前と言う、綱渡り状態の下山でした。
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まあ、最終バスはもう一本後の便があるにはあるのですが、周囲に時間つぶしが出来るような商業施設が何もないバス停で1時間近く待つことになるので、結構辛いものがあると思います。

時刻表より少し遅れてやってきたバスで撤収します。以外にも車内は盛況で、立客も出るくらいでした。
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せっかく静岡まで来たのだからと言う事でゆったりと海鮮料理の夕飯を頂き、帰りも贅沢に新幹線で帰宅の途につきました。
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大滝が凍結したと言う記事を見かけて喜び勇み決行した静岡遠征でしたが、タイミングを逸したらしく少々残念な結果に終わりました。俵峰大滝はそれほど標高が高いわけでもない地点にある滝なので、氷瀑化した姿をいつでも見られるわけではありません。寒波到来中の時期に限られます。
始めからおまけのような扱いであった真富士山でしたが、山頂からの展望は素晴らしいものがありました。是非ともスカッと晴れている日に再訪したい一座です。東京からだと決して気軽に行ける山ではありませんが、小粒ながらも知る人ぞ知る隠れた名山であると思います。

<コースタイム>
平野バス停(9:40)-第2登山口(10:30)-第3登山口(11:30)-ヲイ平(12:15)-真富士山(13:10~13:35)-仔鹿の池(14:45)-一本杉(15:05)-大滝(15:35~16:00)-俵沢バス停(17:35)

真富士山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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