神奈川県南足柄市と箱根町にまたがる明神ヶ岳(みょうじんがたけ)に登りました。
箱根を取り囲む外輪山の北側に位置している山です。山頂は展望が開けていて富士山や相模湾などを一望することが出来ることから、箱根外輪山の中では金時山に次いで人気のある一座です。
人気の山ゆえに登山道は四方から通じていますが、その中でも比較的マイナーな二宮金次郎柴刈り路から登って来ました。
2022年12月29日に旅す。
そうだ、箱根に行こう。
時は2022年の年の暮れ。自分の中では年末の恒例行事となっている箱根に訪問してきました。やはり年の最後くらいは温泉に浸かって1年の垢を綺麗さっぱり洗い流し、人間らしいお正月を迎えたいものです。
毎年年末になると訪れてれているため、箱根外輪山の中でも未踏の区間はだいぶ少なくなってきました。今回はその残った未踏破区間の一つである、明神ヶ岳から金時山に至る稜線を歩いて来ました。
箱根外輪山の中でも特に人気の高い縦走路ですが、諸々あってこれまで未踏のまま後回しになっていた区間でした。
起点となる明神ヶ岳へ至るルートについても、どうせなら未踏の道を歩く方が良かろうと思い、二宮金次郎柴刈り路から登って来ました。伊豆箱根鉄道大雄山線の塚原駅を起点に、外輪山の外側から明神ヶ岳に至る道です。
年の瀬に箱根のマイナールートを巡って来た一日の記録です。
コース
塚原駅から矢佐芝(やさしば)の集落まで延々と舗装道路歩き、そこから明神ヶ岳へと登頂します。登頂後は金時山方面へ尾根を進み、矢倉沢峠へ。
峠から箱根外輪の内側にある仙石バス停へと下ります。
1.明神ヶ岳登山 アプローチ編 伊豆箱根鉄道大雄山線で行く足柄への旅路
5時32分 小田急線 喜多見駅
第三の最寄り駅こと、喜多見駅よりおはようございます。本当の最寄り駅は京王線なのですが、ここも自転車圏内であると言えなくもない距離なので、朝っぱらからペダルをこいできました。
小田急線で箱根に行くとなると、特急ロマンスカーに乗るのが普通なんでしょうかね。私はいつも通り、ロマンスの無い普通列車で終点の小田原を目指します。
複々線化工事の完了により、小田急線の移動は昔に比べて格段にスムーズになりました。通勤路線としての利便性で言えば、京王線はもはやどうあがいても挽回不能なほどの差を付けられた感があります。
6時57分 完全爆睡している間に、電車はつつがなく小田原駅へと到着しました。
小田原駅で伊豆箱根鉄道の大雄山線に乗り換えます。大雄山線は、小田原市内を走る総延長10kmにも満たないローカル私鉄線です。恐らく地元の人以外には、存在そのものがあまり認知されていないのではなかろうか。
足柄地方と言えば、誰もが思い浮かべるのが金太郎です。大雄山線のホームでもしっかりと金太郎アピールがされていました。それに比べて、我らが二宮金次郎の人気はさほどないようです。
7時27分 塚原駅に到着しました。終点の大雄山駅の4駅手前にある駅です。この駅が二宮金次郎柴刈り路の起点となります。
もともとあまりスペースの無い場所に無理やり作ったのか、やたらと細長い駅です。無人駅ですが、交通系ICカードの読み取り機が設置されています。
2.長々と下道を歩き矢佐芝を目指す
踏切を渡って行動を開始します。これから歩こうとしている二宮金次郎柴刈り路は、別名で矢佐芝コースとも呼ばれています。駅から直接スタートするため、全行程のおよそ半分が舗装道路歩きとなります。
目指す明神ヶ岳は、この通り最初から見えています。駅前に道標などの案内はありませんが、基本的に道なりです。
右手に富士山の頭と矢倉岳が見えました。今のところ空には雲一つなく、格好の登山日和です。そのかわり猛烈に寒いですけれどね。
山道に入る前からモリモリと標高を上げて行きます。住んでいるだけで足腰が鍛えられそうですね。
背後にハーブ園で有名な松田山が見えます。大雄山線の路線は途中まで小田急線とほぼ並走しており、小田急で一度小田原まで来てから乗り換えた私は、事実上もと来た方角にUターンしたようなものです。
そのことを事前に把握していなかった私は、何故新松田がこんな近くに見えているのかと現地で若干混乱しました。
大野山もすぐ近くに見えました。地図を広げてみて、なるほどこういう位置関係になるのかと、ようやく一人納得しました。
最初の坂を登りきるとT字路にぶつかりました。ここは右に進みます。
ここまで来て、初めて明神ヶ岳と書かれた道標が現れました。この先はもう、道標の導きに従って進めば問題ありません。
道中にある野菜直販所のみかんに、ついつい目をうばわれます。生憎とつい最近みかんを箱買いしたばかりで、むしろ供給過剰気味であるためここはスルーします。
やがてグリーンヒル入口なるバス停が現れました。このバス停は平日限定の予約制乗合バスのもので、残念ながら週末の山登りには使えません。
グリーンヒルと言うのは、前方に見えているこの丘の上に造成された住宅地の事であるようです。二宮金次郎柴刈り路はグリーンヒル内には入ってゆかずに、その脇をかすめて行きます。
と言う事で、グリーンヒルに向かって道が大きくUターンする地点から左に曲がり、矢佐芝方面へ入って行きます。
道の脇に水車が置かれていましたが、水流は無くただの置物状態です。観光客向けに、山間の集落らしさを演出するために設置したのかな。
矢佐芝の入り口までやって来ました。矢佐芝かつて二宮金次郎がよく柴刈りに訪れていたとされている場所で、現在も小さな集落が残っています。
柴刈りと言われて多くの人が真っ先に想起するのは、桃太郎の冒頭の「おじいさんは山へ柴刈りに」のシーンであろうかと思います。現代人にはピンときませんが、柴刈りとは焚き付けに使う小枝などの雑木を刈り取る行為の事です。
子供の頃の私はそもそも柴刈りとは何なのかわかっておらず、公園の芝生を芝刈り機で刈り込んでいる光景を思い浮かべ、何故わざわざ山奥の芝生を刈る必要があるのかと、子供心に怪訝に思っていました。
早速、柴刈り中の小さな二宮金次郎像がお出迎えしてくれました。
私はこの二宮金次郎と言う人物について「いつも歩きながら本を読んでいる人」くらいの認識しか持っておらず、具体的に何をした人なのかも良くわかっていませんでした。
今回二宮金次郎柴刈り路を訪問するにあたって、事前に軽く予習してきました。さっくり言うと江戸時代の農政家で、天保の大飢饉からの復興に尽力した人物です。
平安時代中期の人間であるとされる金太郎こと坂田金時よりは、ずっと後の時代の人ですね。
道の駅や山の駅は全国各地で割とよく見にしますが、畑の駅と言うのは初めて見ました。矢佐芝で穫れた野菜などの物産販売所であるようです。
特にもよおしてはいなかったので中は確かめていませんが、道中にある矢佐芝公民館でトイレが借りれます。
山間の谷間に、段々畑の広がる小さな集落がありました。里山の景色が好きな人には確実に刺さりそうな場所です。
道標はありませんが、ここを直進して農道に入ります。ようやく山道らしくなって来ましたよ。
まだ登山道に入ってすらいないと言うのに、早くも道の両脇に箱根外輪山の景色を特徴づけている笹竹の姿が目立ちはじめました。この笹はその名もハコネダケという名称で、放っておくと人間の背丈の倍以上まで伸びます。
道の脇に、珍しく(?)ちゃんと座って本を読んでいる二宮金次郎の石像がありました。二宮金次郎が良く座って休憩していたと言う伝承が残る場所です。
石碑に書かれた積小為大(せきしょういだい)とは、二宮金次郎自身の言葉であるとされています。いかにも若いころに散々苦労した人らしい言葉ですね。
二宮金次郎は身長がおよそ6尺(180センチ)あったと言われており、江戸時代の平均身長から見ればかなりの巨漢です。幼少のころからの柴刈りによって鍛え上げられた強靭な体があったからこそ、その後の困難にも打ち勝てたのやもしれません。
道の舗装が無くなり砂利道になりました。ここまで延々と1時間以上も下道歩きが続いており、流石に少しダレて来ましたぞ。
歩きながら本を読んでいる二宮金次郎の像は、勤勉の象徴としてかつては日本全国の小中学校に設置されていました。しかしその多くは青銅製の銅像であったため、太平洋戦争の末期に行われた金属供出運動により失われました。
石像やコンクリート製の像はその後も残りましたが、「歩きながら本を読む姿は、交通安全啓発上よろしくない」とか「子供に柴刈りと言う労働をさせるのは児童就労ではないのか」などの意見もあって順次撤去されてゆき、現在は殆ど残っていません。
苦学は尊いと言う価値観は、時代にそぐわなくなったと言う事なんでしょうかね。
入口と書かれた時計の模型が置かれていました。これは一体何の入口なのだろう・・・
ゲートが現れました。山と高原地図にはこの辺りに駐車スペースがあるとかかれていますが、それらしき場所は見当らなかったような?
9時 明神ヶ岳登山口に到着しました。結局駅からは1時間30分を要しました。このアプローチの長さもあってか、あまり人気は無いルートらしく、道中で他の登山者とは一度も遭遇しませんでした。
登山口の脇に水場がありました。見たところ沢水を引いているだけなので、気になる人は浄水器を使った方が良いと思います。
私は気にせずそのままガブガブ飲みましたが、その後特にお腹がゆるくなったりはしていないので、たぶん飲んでも大丈夫です。
3.明神ヶ岳登山 登頂編 地味な杉林の先に待つ大展望の頂
登り始めはまるで奥多摩のような圧倒的杉林です。これは里に近い山の宿命みたいなものです。
密集して植林された杉林は地面まで日光が届かないため下草が育たず、緑の砂漠などと評されたりします。しかしそんな昼間でも薄暗い環境であってもこうしてしっかりと育っているハコネダケの、なんと恐ろしい生命力であることでしょう。
これはクマさんが爪とぎした跡でしょうか。人が大勢いるであろう箱根ならクマ鈴は不要だろうと思い持ってきていませんが、予想に反して周囲にはまったく人影がありません。少なくとも、稜線上に出でるまでは鈴を鳴らすべきであったかもしれない。
単調な杉林を延々と登り続けたところで、前方の視界が開けました。
9時50分 見晴台と呼ばれている地点まで登って来ました。少し小腹が空いて来たので、ここで一本立てて軽く腹ごしらえをしました。
足柄平野を挟んだ向かいの丹沢山地の山並みが見えます。展望はこれくらいで、見晴らし台を名乗るには少々力不足なように思えます。
見晴台からほんの少しだけ、舗装された林道を歩く区間がありました。
法面の脇に無理やり取って付けた感のある登山口より、再び登山道へと分け入ります。
背後を振り返ると相模湾が見えました。本日は12月末にしては比較的気温が高めであるためか、モヤーと霞んでいますね。
林道を跨いだ後も、まだしばしの間は単調な杉林が続きます。この辺りはひたすら我慢の登山です。
ようやく薄暗くて寒々しかった杉林地帯を突破して、自然林のエリアに入りました。陽が差し込んだことにより、瞬く間に体が温まって行くのを感じます。
背丈を越える高さの笹竹に覆われた、箱根外輪ではお馴染みの光景に変わりました。刈払いが行われていなかったら、まともに歩くことすらままならないような藪山だと言う事です。
二宮金次郎はこの笹竹の藪にどうやって立ち向かっていたのだろうか。ここまでは登ってこずに、もっと手前で切り上げていたのかな。
前方を横切る箱根外輪の尾根が見えて来ました。稜線までもうひと踏ん張り、ラストスパートをかけて行きましょう。
稜線上の道と合流しました。この先はもう、過去に何度か歩いたことのある勝手知ったる道です。
こうして日影になっている場所は地面がコチコチに凍結していますが、山頂付近は展望が開けていて陽当たり良く、この季節は大抵泥濘がひどいことになっています。本日はどんな感じでしょうか。
最乗寺方面から登ってくる道と合流しました。本日登って来た矢佐芝コースと同様に、外輪山の外側から明神ヶ岳に至るルートです。
最乗寺ルートもあまりメジャーなコースとは言えませんが、それでも結局最後まで一度も他の登山者とは遭遇しなかった矢佐芝コースよりはまだ、歩く人の数は多いと思います。
最乗寺への分岐を過ぎると、森を抜けて展望が開けます。目の前に富士山がドーンと現れました。ここから先の山頂部が、明神ヶ岳の真骨頂とでもいうべき一帯です。
向かいに箱根最高峰の神山(1,438m)が見えます。神山の山頂に至るハイキングコースは、だいぶ以前からずっと立入禁止になったままで登ることは出来ません。
大涌谷は今日も盛んに噴気をあげています。風に乗って、ときよりここまで硫化水素臭が漂ってきます。
危惧していた通り、日当たりのある場所は足元が泥でグチャグチャのチョコレートムース状態でした。ここで転んだら悲劇なので、慎重な足取りで進みます。
背後には足柄平野と相模湾の大展望が広がります。だいぶ霞んではいますが、三浦半島の背後に薄っすらと房総半島までもが見えています。
山頂が見えました。人気の山らしく、すでに大勢の登山者の姿がありました。矢佐芝コースには誰一人いなかったのに。。。
山頂も大半は泥まみれで、腰を下ろせそうな場所はすでに軒並み埋まっていました。ここは本当にいつ来ても泥まみれです。
よくよく考えてみると、私が年末の時期にばかり箱根に来ているから、いつも同じような状態なだけでしょうかね。そもそも地面が凍結しない季節であれば、ここまでひどい状態にはならないでしょう。
11時35分 明神ヶ岳に登頂しました。塚原駅を出発してから4時間5分をかけての登頂です。下道歩きが長い分だけ、そこそこ歩き応えのある行程でした。
富士山の手前にピョコっと突き出しているピークが金時山(1,212m)です。本日の主たる目的はこの明神ヶ岳と金時山間の稜線を繋げることにあり、二宮金次郎柴刈り路を歩いてみたのは、言ってみれば物のついでです。
ついでにしてはやたらとボリュームがありましたがね。
4.明神ヶ岳から金時山へ至る尾根を行く
足元は泥まみれだし、ベンチはあらかた埋まっていて座れそうな余地もないので、休憩はせずに行動を続行します。ここから先は自身にとって未踏の領域となります。
山頂からの展望も決して悪くはありませんが、金時山方面へ少し地点からの方がよりクリアな視界が得られます。素晴らしい。
足元が大きく崩れつつありました。そのおかげで展望が開けている訳なのですが、このまま崩れ続ければ何れは登山道も呑み込まれてしまいそうです。
明神ヶ岳は遠目にはのっぺりとした横長の山容を持つ山で、山頂部の領域も広大でなかなか下りが始まりません。
長々と水平移動が続いたところで、ようやく下り始めました。前方にこれから歩く尾根が連なっているのがすべて見えます。おやまあ、何とも素敵な稜線ではありませんか。
富士山が大きい。箱根からだと富士山を南東側から見たアングルになります。
西高東低の冬型の気圧配置化では、富士山に向かって北西側から常に強風が吹き続けており、風で吹き飛ばされた雪が風下の南東側に広がるようにして積もっているのが良くわかります。
富士山の脇に小さく、南アルプスの北岳(3,193m)と間ノ岳(3,189m)が見えていました。何気に日本の標高第一から三位までが居並ぶスリーショットです。
北側には丹沢山地の山並み。こうして引いた位置から見ると、両端にある大山(1,252m)と大室山(1,587m)の存在感が凄いですね。
こちらはイマイチ存在感に欠ける三国山稜の山並み。あの山の向こう側は山梨県です。右端の方には、道志山塊最高峰の御正体山(1,681m)の姿も見えています。
御正体山の左後方にある薄く雪を被っている山は、山頂に五丈石らしきものが小さく見えるので金峰山(2,599m)ですね。箱根から金峰山が見えると言う事実を初めて知りました。
このまま眺めの良い素敵な稜線が続くのかと思っていましたが、最初の内だけですぐに展望の無い樹林帯に突入しました。
振り返って見た明神ヶ岳です。横長でのっぺりしていて、まるで扇山や櫛形山を思わせるようなシルエットです。・・・例えがわかりにくかったですかね。
途中に火打石岳と言うピークがありますが、登山道は山頂を通らずに脇を巻いています。
日影側の斜面は地面がコチコチに凍結したままで歩きやすい状態でした。天気が良く陽射しが温かいと言うだけで、気温自体はさほど上がってはいない様です。
金時山に近づくにつれて、道の両側が笹竹に覆われた実に箱根の外輪らしい光景に変わりました。思いのほかアップダウンが激しくて骨の折れる道程です。
いつの間にか金時山が近くにありました。余力があれば山頂まで行こうと思っていましたが、もう既にだいぶダレて来ているので、手前の矢倉沢峠までで打ち切ることにします。
金時山は、過去にそれこそもう何度も登っている山ですからね。それよりも、今は早く温泉に入りたい。
このまま下ってゴールかと思いきや、もうあと2回登り返しが残っていました。既に気分は温泉モードに切り替わってしまっているんですがね。
金太郎伝説に登場する足柄山とは、この金時山の事であると言われています。しかし金太郎に二宮金次郎と、足柄地方に住む人々は金の付く名前を好む傾向でもあったのだろうか。
下山予定地である仙石の街並みが見て来ました。こうして上から見ると、カルデラの真っ只中に町がある箱根の特異性が良くわかります。
仙石原のススキ草原が良く見えます。一度行ってみたいと思いつつ、なぜか毎度毎度脇を通り抜けてしまっている場所です。山登りをした後に立ち寄るには、場所がやや中途半端なんですよね。
矢倉沢峠に向かって今度こそ最後の下りです。相変わらず足元は泥まみれで、歩行にかなり難儀しました。
14時 矢倉沢峠に到着しました。この先は過去に歩いたことがあり、これで明神ヶ岳から金時山間の未踏破だった空白地帯はすべて埋まりました。
5.矢倉沢峠から下山し宮ノ下で温泉に浸かる
先ほど宣言した通り、金時山はスキップして下山に移ります。しかし、明神ヶ岳からわざわざここまで歩いてきておいて、金時山には登らないと言う人は珍しいのではなかろうか。
サクサクと早足気味に下ってきました。金時山の登山口は別荘地の只中にあります。箱根の別荘だなんて、なんてバブリーな響きのする言葉なのでしょう。
バス通りまではもうひと道、舗装道路を下る必要があります。名だたる大手企業の保養施設が立ち並ぶバブリーな別荘地をトボトボと歩きます。
道の脇に沢が流れていたので、バス停へ向かう前にちょっとこの藪の中へ寄り道します。これが峠の名前にもなっている矢倉沢なのかな。
ここで靴に付いていた泥を丹念に洗い落としました。なにしろ、そのままだと公共交通機関を利用することが憚られるような状態だったものですから。
靴も綺麗になったところで、金時山登山口バス停まで下って来ました。このバス停は乙女峠を越えて御殿場と仙石をつないでいるバス路線もので、湯本方面へ行くバスはここにはやって来ません。そのため、この先にある仙石バス停まで歩きます。
金時山登山口バス停から仙石バス停までは、徒歩でもせいぜい5分少々の距離です。
仙石バス停に到着しました。登山者のみならず観光客もたくさんおり、バス停には既に結構な数の乗客がバスを待っていました。
さしたる待ち時間御なくバスはすぐににやって来ましたが、最初から満員御礼状態でした。一時期はコロナ渦で客足が相当少なくなっていたいた箱根も、だいぶかつての賑わいを取り戻しつつありますね。
バスはこの先湯本付近で渋滞にハマるであろうことが目に見えているので、宮ノ下で途中下車します。流石に毎年年末の時期に訪れているので、いい加減学びましたとも。
日帰り入浴専用の公共浴場である、太閤湯に立ち寄っていきます。カランだけでシャワーもないような昔ながらの素朴な浴場ですが、自前の井戸を持つ源泉かけ流しの温泉です。
時間帯が良かったのか至って空いており、長々ゆったりと温泉に浸かれました。これでもう、人間らしい正月を迎えられます。
宮ノ下からは、バスでは無く箱根登山鉄道に乗って湯本に下ります。電車なら渋滞にハマる事もなく時間通りに着きますからね。
登山鉄道の線路は国道よりもずっと高い所を通っており、けっこう真面目に登らされます。
箱根登山鉄道もバスと同様に最初から満員御礼状態でした。まあそれでも、バスよりは短時間で湯本へ下れるはずです。
箱根湯本駅から行きと同様にロマンスの無い普通列車に乗り込み、帰宅の途につきました。
令和4年最後の登山はこうしてつつがなく終了しました。二宮金次郎柴刈り路は、最初の舗装道路歩きの長さがネックではありますが、歩く人も少なく静かで気持ちの良い道でした。人気の山であるが故の喧騒を避けたい人にはオススメできるルートです。同じく箱根外輪の外側から登る最乗寺ルートの方が、バスでいくらかショートカットができる分やや楽ではあります。
明神ヶ岳から金時山に至る尾根道は、途中までは大変眺めも良く爽快な道です。金時山や明神ヶ岳単体ではやや物足りないと言う人は、繋げて歩いてみては如何でしょうか。泥に足を取られないよう、足元には十分ご注意ください。
<コースタイム>
塚原駅(7:30)-明神ヶ岳登山口(9:00)-見晴台(9:50~10:00)-明神ヶ岳(11:35)-矢倉沢峠(14:00)-仙石バス停(14:30))
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
明神ヶ岳から矢倉沢峠へ向かう登山道はお気に入りのルートで、何度も歩いていますがこんな登山口が有るのは知りませんでした。確かに矢佐芝という標識が有ったような気もしますが、聞きなれない地名のため登山ルートとして認識しませんでした。さすが登山情報通ですね!
最乗寺からの2ルートを含め箱根の登山道はほとんど歩いた認識でしたが、次回の明神ヶ岳はこのルートを歩こうと思います。
南アルプスと丹沢が良く見えるすばらしい眺望の稜線で、角度によっては金時が赤岳っぽく見えるのも好きです。首都圏では蛭が岳から丹沢の稜線と並ぶ良い登山道だと思っています。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
矢佐芝ルートは結構なロングコースなので、しっかりと長距離を歩きたい気分の時におすすめです。
明神ヶ岳~矢倉沢峠間は気持ちの良いトレイルでしたね。人気があるのにも納得のルートでした。