青森県青森市と十和田市にまたがる八甲田山(はっこうださん)に登りました。
東北地方の背骨、奥羽山脈の北端に立つ火山です。なだらかな丘陵上の山容を持ち一見すると優しげな山ですが、冬期には極めて過酷な気象状況となる世界でも指折りの豪雪地帯です。その厳しい気象により、稜線上にスノーモンスターと呼ばれる樹氷の大群が出現します。
天に見守られたのかの如き晴天のもと、冬の八甲田山で雪中行軍をしてきました。
2023年3月5日に旅す。
どうしても八甲田山で雪中行軍がしたい。と言う事で(?)遠路はるばる青森県まで遠征してきました。
西高東低の気圧配置化に置かれる冬の間、八甲田山はほぼ絶え間ない暴風雪に晒され続けます。この過酷な気象下において、山上はスノーモンスターの大群に覆いつくされます。
映画化もされた新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」のイメージで怖い山だと思われがちな八甲田山ですが、なだらかな山容を持つ山であるため、天候が安定している日であれば大きな危険はありません。
この「天候が安定していれば」と言うところが最も重要かつ難しい点です。冬の八甲田山は晴れる日はほぼないと言ってよいほど荒れに荒れて、天気が安定してくるのは残雪期に入ってからです。
奥羽山脈の奥まった場所にある山ですが、山頂の近くにある酸ヶ湯温泉までは除雪が行われており、冬期でも公共交通機関によるアクセスが可能です。
繰り返しになりますが、晴れてさえいれば訪問のハードルはそこまで高くない山であると言えます。
山頂付近でガスにのまれかけ、天は我々を見放したかと思う場面もありましたが、幸いにも一時的なものでした。冬の八甲田山としては最良とも言えるコンデションに恵まれた、会心の山行きでした。
夜行バスで行く0泊2日弾丸の八甲田山訪問記をお届けします。
コース
酸ヶ湯温泉から八甲田山最高地点の大岳を往復します。冬の八甲田山登山としては最も一般的な行程です。
1.八甲田山登山 アプローチ編 夜行バスで行くりんごの国への旅路
3月4日 21時35分 バスタ新宿
青森県は遠い。何しろ本州の北の果てですから。本当は前日の内に前乗りするのが理想なのでしょうけれど、他にもやるべきことが諸々あって移動のためだけに1日を費やすことはかなわず、夜行バスでの強行軍となりました。
私ももういい加減良い年をしたオッサンなので、長距離のバス移動は体に応えるんですよね。
弘前バスターミナル行きの夜行バス、ノクターン号に乗車します。3列独立シートで料金は7,000円でした。新幹線で行くのに比べればはるかに割安ですが、そのかわり到着まで10時間ちかくを要します。
八甲田山行きの路線バスみずうみ号は青森駅発なので、本当は青森駅行きの夜行バスを取りたかったのですけれど、ちょうど良い到着時間の便がなかったため、かわりに弘前行きの便を押さえ次第です。
弘前に到着後、奥羽本線で青森駅に移動します。
明けて3月5日 6時50分
バスはつつがなく弘前バスターミナルへと到着しました。次に乗車予定の電車の時間まであまり猶予が無いので、到着するなり足早に駅へと向かいます。
弘前バスターミナルは駅から少し離れた場所にあり、一見さんには優しくない仕様です。事前によく経路を確認しておきましょう。と言ってもまあ、公園を突っ切れば良いだけですけれど。
私は弘前は2度目おじさんなので、特に迷う事はありませんでした。3年前に1度歩いたことがあるだけの道でも、意外と忘れずに覚えているものですな。
青森県を象徴するものはなにかと問われたら、答えはほぼ一つしかありません。りんごです。弘前駅の駅ビルの名前はアプリーズで、駅前にある銅像にはりんごの風と銘打たれていました。りんごの国っすなあ。
駅の改札の前には巨大なりんごのモニュメントが置かれています。まさに紛うことなきりんごの国です。受験シーズンであるためか、合格祈願と書かれた鳥居が追加されていました。
このりんごジュースしか売っていない自動販売機は、青森駅でも見た記憶があります。全種類を飲み比べしてみたい気もしますが、合計で何円必要になるのだろうか。
7時6分発青森行きの奥羽本線快速に乗車します。この電車に乗りそこなうと、その後の計画がすべて破綻してしまいます。りんごジュースの飲み比べをしている場合ではないのです。
電車の車窓から岩木山(1,625m)の姿が良く見えました。別名で津軽富士とも呼ばれます。圧倒的なまでの存在感があり、津軽地方の象徴的存在とされる所以が良くわかります。
冬の岩木山へ登ることは可能なのか気になって調べてみましたが、どうやらスキーがないと難しいようです。私のような永世雪山初心者にどうにかできる山ではないと言う事ですね。
7時47分 青森駅に到着しました。ホーム上に山登りの格好をしている人の姿がチラホラとありました。おそらく目的地は同じでしょう。・・・バスが満席にならないかな。
一抹の不安を抱きつつバス乗り場に急ぐと、危惧していた通りバス停に大行列が出来上がっていました。冬の八甲田山では極めて珍しい快晴の予報が出ている訳ですから、当然と言えば当然の帰結です。
幸いにもすぐに臨時便が増発されて、なんとか乗り損なうことなく乗車できました。そして以外なことに、交通系ICカードに対応していました。
奥羽本線がまだスイカに未対応だったと言うのに、バスの方が先に対応されるとは。
冬の八甲田山は世界でも指折りの豪雪地帯ですが、それでも国道103号線はこうしてしっかりと除雪されています。除雪されているのは酸ヶ湯温泉までで、その先は冬季閉鎖されます。
やがて車窓に八甲田山の姿が見えて来ました。八甲田山は複数のピークから成る火山群の総称であり、八甲田山と言う名のピークはありません。最高峰の名前は大岳と言います。
途中にある八甲田ロープウェイで乗客の大半は下車し、終点まで乗車していたのは3割程度でした。この分なら、帰りのバスに乗り損なう心配はとりあえずなさそうです。
9時15分 酸ヶ湯温泉バス停に到着しました。バスタ新宿を出発してから実に11時間以上を費やして、ようやく登山口に降り立つことが出来ました。
そして、登山口に温泉があるのがまた素晴らしい。下山後のひとっ風呂が始めから約束されている訳です。ちなみに、映画八甲田山の出演者達は、この酸ヶ湯温泉に滞在しながら撮影を行ったのだそうです。
2.天が見方したのかの如き晴れ空の下で雪中行軍する
身支度もそこそこに、9時15分に行動を開始します。大岳への登山口は、酸ヶ湯温泉前の車道をもう少し先へ進んだところにあります。
正面に目指す大岳の姿が良く見えました。山頂付近が樹氷の大群に覆われてるのがここからでも良く見えます。空は雲一つない快晴で、いやが上にも期待が高まります。
登山口に取り付くには、まずは除雪された道路脇にそびえ立つ雪の壁を登る必要があります。幸いにも、先行者たちがステップを刻んでくれていました。ありがたし。
雪河の上に登ると、ちょうど酸ヶ湯温泉の屋根の高さの位置でした。無雪期は確かここ辺りから酸ヶ湯温泉へ直接下れる階段があったはずですが、冬は完全に雪に埋まっていました。
八甲田山は基本的にアイゼンよりも、ワカンやスノーシューとの相性が良い山です。本日は始めからワカン装備で行きます。
本日は始めからトレースがバッチリありましたが、降雪直後の一番乗りの時などは少々取り付きの位置がわかり難いかもしれません。基本的には夏道とほぼ同じルートを辿ります。
背後を振り返ると、先ほど電車の窓からあれほどよく見えていた岩木山が、雲に没しつつありました。本日は八甲田山の上空には快晴の予報が出されていますが、津軽平野上空の天気は別であるようです。
登り始めは樹林帯の中をゆるゆると登ります。この標高付近では樹氷化はしておらず、至って普通の冬の森の光景です。
少しでも気分を盛り上げようと思い、バス車内でずっと「雪の進軍」を聞いていたのため、すっかり頭にこびりついてしまい、先ほどから脳内で無限ループ再生されつづけております。
ご存知ではない人のために一応補足しておくと、映画八甲田山の中で高倉健が歌っていた曲です。
ゆきーのしんぐん こーおりをふんで♪
霧氷化した白樺の木が、日に照らされてキラキラと輝いていました。これだけ陽射しが強いとすぐにとけてしまうでしょうから、午前中限定の光景です。
右手に南八甲田山の山々が見えました。ロープウェイや大岳のある北八甲田に比べると、より手付かずで原始性の高い森が広がっている一帯です。今この瞬間にあそこ歩いている人は、はたしているのだろうか。
モンスターになりそうでなれない状態のオオシラビソが目立ち始めました。別名でアオモリトドマツとも呼ばれます。ハイマツを除く針葉樹の中では最も雪に強いとされている樹木で、八甲田山の大部分はこのオオシラビソに覆われています。
こうしてしっかりと冬ルートの目印がつけられています。トレースが無い状況だと、この目印だけが頼りとなります。
前方の視界が開けて来ました。どこが川やら道やらなのかハッキリとわかる最高の天気で、まるで天が我々に味方しているかのようです。
雪の進軍はラッパのパートがやたらと勇ましくてカッコ良い曲ですが、歌詞の内容自体は極めて悲壮的でギャップが激しいんですよね。こらえきれない寒さの焚火 煙いはずだよ生木が燻る・・・
山の上の方に樹氷が凄まじい密度で密集しているのが見えます。早くあの中を歩きたい。
寒さに警戒していましたが、お日様ギラギラで今のところはむしろ少し暑いくらいです。堪らずにネックウォーマーを脱ぎました。稜線出でて風に吹かれればまた、状況は変わるのかもしれません。
まるでサンゴ礁ののような霧氷です。モンスター化する木としない木の違いは、葉の形状によるものなのでしょうかね。確かにシラビソの葉は、雪が隙間がこびり付きやすそうな形状に思えます。
やがて前方に大きな谷が現れました。ここは地獄湯の沢と呼ばれている谷で、無雪期に歩いた時の記憶が何となくあります。
谷に沿って一直線に登ります。ここは下山時にスキーがあると楽が出来そうですね。今は雪に埋もれていますが、火山性ガスが噴出している場所が何ヵ所かにあるはずです。
振り返ると、背後の津軽平野は雲に覆われつつありました。八甲田山の上空だけが、まるで何かの力によって守られているかのようです。
岩木山もまだ何とか頑張っていますが、そろそろ見えなくなりそうな気配です。
何時しか視界内に青と白の2色しか存在しない状態になっていました。あまりにも白すぎて眩暈を起こしそうになる世界です。
サングラスをかけていなければ、あっという間に眼を焼かれてしまうことでしょう。かく言う私は度入りのサングラスを持っていないので、スキー用のゴーグルで代用しています。
稜線に近づいてきたところで、足元の雪がカリカリにクラストした状態のものに変わりました。そろそろモンスター達との邂逅が近そうな予感がします。
強風の通り道になっているらしく、エビのしっぽがびっちりと生えていました。風が出てきて寒くなって来たので、一度脱いだネックウォーマーを再装着しました。
3.八甲田山登山 登頂編 スノーモンスターの大群の中を歩き、冬の八甲田山の頂へ
唐突にモンスターの大群が現れました。あまりにも唐突な景観の変化だったの少々驚きました。風が通り抜ける稜線上の環境が、それだけ過酷なのでしょう。
噴霧器か何かを使って生クリームを吹き付けたかのような外観です。これらのモンスター達は全てオオシラビソの木です。
表面が凍結したオオシラビソの木に、雪が強風で吹きつけられて付着することにより形成されます。雪が多くかつ横殴りの強風が吹く環境でのみ見られる現象です。
まるで大口を開けてこちらを食べようとでもしているかのような姿です。まさにモンスターですね。
11時 仙人岱まで登って来ました。無雪期には湿原が広がる場所ですが、冬はスノーモンスターの楽園と化していました。
目指す大岳は進行方向の左手にあります。まだ結構な標高差が残っており、ここからさらに1時間ほどを要します。
大岳の反対側の右手には、モンスターの大群に包囲された避難小屋の建物が見えました。一たび天気が荒れれば文字通り生命線となる小屋なので、所在地をよく確認しておきましょう。
正面に見えているのは子岳と言うピークなのですが、始めはこれが大岳なのかと誤認して若干混乱しました。道標は全て雪に埋まっているので、地図を広げないと位置関係が良くわからないのですよ。。
と言う事で地図を広げ現在地を確認したところで、大岳方向へと進路を転じます。大岳はオオシラビソではなく主にハイマツに覆われている山であるため、あまりモンスターは生えておらずのっぺりとしています。
子岳の方にはびっちりと密集していました。モンスター見物が目てなら、大岳よりも子岳を目指した方が幸せになれるかもしれません。まあ、両方に登れば良いだけではありますが。
大岳にアタックを開始します。周囲はスキーやスノーボードを担いだ人の姿が多くありました。八甲田山は本来、スキーを履いて登るべき山なのかもしれません。
背後の視界が開けて来ました。こうして上から見下ろすと、スノーモンスターが発生するのは、風の通り道になっている場所だけなのが良くわかります。もともと特殊な条件下でしか発生しえない現象なんですね。
津軽平野を覆っていた雲が、流れてきて南八甲田の上空にまで侵入しつつありました。これはひょっとして、天が我々を見放しつつある兆候ではなかろうか。勝利宣言を出すのが早すぎたか。
何時しか現在地は子岳を見下ろす高さとなり、その背後にある高田大岳(1,559m)が頭を覗かせていました。
山頂直下はなかなかの急登です。アイゼンに履き替えるべきか悩みましたが、結局はワカンのままで登り切りました。
南八甲田を覆ったガスの魔の手は、北八甲田の上空にまで迫りつつありました。このまま呑み込まれてしまうのだろうか。
無情にも山頂を目前にして、周囲をガスが呑み込みつつありました。おいおい勘弁してくれよ。結局は天に見放されるのが、冬の八甲田山の宿命なのだろうか。
東側だけは、未だに晴れ渡っている状態です。西の津軽平野側から侵攻して来た雲を、大岳が食い止めているかのような状態です。
南の彼方には、薄っすら岩手山(2,038m)と八幡平(1,614m)の姿が見えました。かなりの距離があるはずですが、意外と見えるものですね。
周囲を覆いつつあるガスにヤキモキしている内に、山頂へと辿り着きました。
12時5分 八甲田山大岳に登頂しました。ここまで特に難所と言えるような個所もなく、実にあっけなく登ってこれました。
山頂の様子
かなり広々とした円形の空間です。確か無雪期にはロープで囲われていたような記憶がありますが、冬は当然すべて雪に埋まっています。
4.天は我々に味方した 山頂での大逆転劇
北側にあるはずの赤倉岳(1,548m)や青森市街地方面は、一面のガスに覆われてしまっていました。しかし何となく晴れそうな兆候も感じるので、山頂ですこし粘ってみようかと思います。
東の高田大岳方面だけは相変わらずの雲一つない快晴です。今いる大岳がまさに天気の境界になってしまっている状態です。
反対側の西の津軽平野方面は低く垂れこめた雲に覆われていました。そして、こちら側から吹いてくる風がありえないくらいに冷たい。
南側にも雲が流れて来てはいるものの、ガスに没することもなく頑張っていました。
だいぶ霞んでしまってはいますが、やはり岩手山の存在感が凄い。個人的に贔屓にしている山なので、どうしても目が行きます。
そうこうしている内に、赤倉岳を覆っていたガスが剥がれ始めました。よしいいぞ、そのまま晴れてくれッ!
晴れたー!これぞまさしく逆転満塁ホームランな展開です。ハハハハッ敗北が知りたい。
彼方に大きく弧を描いた青森市街の海岸線が見えます。そうそう、この光景を見たかったのですよ。
最大望遠で覗いてみると、三角形のアスパムや青森ベイブリッジまでもが小さく視認できます。素晴らしい空気の澄み具合です。
足元に氷室状態になっている避難小屋が見えました。あちらにもかなりの数の登山者のいるようです。見たところ大半はスキーのようです。
山頂に居合わせた地元の方曰く、今シーズンに八甲田山がこれだけ晴れたのは、この日が初めてであるとの事でした。一時はどうなる事かと思いましたが、結果として最良の一日をつかみ取れたようです。
5.八甲田山登山 下山編 酸ヶ湯で一風呂浴びのちに帰還する
12時45分 これでもう思い残すことはなにもありません。後は温泉に浸かるだけです。さあ、帰りましょう。
こうして上から見下ろすと、スノーモンスターの密度が凄いことになっていますね。蔵王のように広くは分布しておらず、仙人岱周辺の一ヵ所に固まっている感じです。
流石に下りはアイゼンに履き替えるべきかと逡巡するも、意外と滑らなかったので結局はワカンのまま下りました。
岩木山も奇跡の復活を遂げつつありました。出来れば山頂に居る間にこの状態になって欲しかったのですがね。
再びスノーモンスターの群れの中へと飛び込んで行きます。こうして望遠による圧縮効果とやらを利かせると、凄いインパクトのある画になりますね。
ついつい同じような写真を何枚も撮ってしまいます。撮影が捗りすぎて、なかなか歩みが進みません。
ちなみに樹氷の周囲には通称ツリーホールと呼ばれる穴があり、あまり近づき過ぎるとホールインワンします。ワカンを履いていても腰辺り埋まって脱出するのに一苦労するので、くれぐれもお気お付けください。
13時25分 途中で転んだり埋まったりしつつも、何とか無事に仙人岱まで下って来ました。
大岳とはここでお別れです。ありがとう八甲田山。必ずまた来ます。秋と冬に登ったので、次回は初夏の花の季節かな。
ピストンなので、帰りも往路に登って来た地獄湯の沢の谷を下って行きます。正面に岩木山を望みながら下る、気持ちのよい道です。
しかし何度見ても凄い存在感です。津軽平野における岩木山の存在感と言うのは、なかなか比肩しうるものがないように思えます。
下まで降りてくると、気温の上昇に伴い雪が緩んでグズグズの状態になっていました。まあ、これだけ天気が良ければ当然そうなりますよね。
樹林帯の中に入ったら、後はも消化試合です。この後の温泉に想いを馳せながら、足早に大股でズカズカと下りました。
雪山の下りはあっという間です。さしたる苦労もなしに、あっけなく酸ヶ湯温の上まで戻って来ました。ワカンは外してストックも収容します。
14時20分 酸ヶ湯温泉まで下って来ました。山頂で粘った分だけだいぶ時間を空費しましたが、それでも十分な入浴時間は確保できそうです。
ちなみに、冬のみずうみ号は1日に3本しかありません。帰りの便は15時15分がラストです。
帰路のバスが既に温泉前に待機していましたが、ともかく一風呂浴びましょう。日帰り入浴は1,000円で、手拭いとバスタオルがセットで付いて来ます。
大浴場は混浴らしいのですが、普通に男女別の浴槽もあります。酸ヶ湯温泉の特徴はPH値1.76と言う強酸性のお湯です。私好みの白濁した硫黄泉で大いに満足しました。
しっかりと温まったところで撤収します。バスの車内には、ほんのりとした硫化水素臭が漂っていました。そりゃあまあ、ここまで来たからには皆、ひと風呂浴びて行くでしょうからね。
帰りは終点の青森駅までは乗らずに、新幹線の停車駅である新青森駅で下車します。翌日は普通に朝から仕事なので、今日中には東京へ帰り付かないといけないのです。何とも慌ただしい行程でしたな。
駅の窓から八甲田山の姿が良く見えました。山頂で一時ガスったのは一体何だったのだろうと思わせるような快晴ぶりです。
そうそう青森と言えばりんごの他にもう一つ、ねぶた祭りがありました。開催時期は8月の頭です。夏の八甲田山と一緒に訪れてみるのも良いかも知れません。
やたらと混んでいて3列シートの真ん中かしか席が取れなかったはやぶさ号に乗り込み、東京への長い長い帰宅の途につきました。
0泊2日の弾丸で決行された青森遠征は大満足のうち幕を下ろしました。
冬の八甲田山登山における難易度は、9割9分が天気によって決まると言っても過言ではありません。晴れてさえいれば初心者向けレベルの雪山ですが、ひとたび天候が荒れば生死を賭けた過酷な雪中行軍を強いられる事になります。冬シーズン中の訪問を考えている人は、ともかく天気予報をこまめにチェックしてチャンスの到来を待ち構えましょう。最上の条件となる日は、1シーズン中にそう何回も訪れません。
晴れの日をつかみ取ることさえ出来れば、スノーモンスターの楽園が貴方を優しく迎え入れてくれることでしょう。晴れていても風は冷たいので、防寒だけは抜かりきよう。
<コースタイム>
酸ヶ湯温泉(9:20)-仙人岱(11:00)-大岳(12:05~12:45)-仙人岱(13:25)-酸ヶ湯温泉(14:20)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
冬の八甲田山はほんと雪深いんですね。同じ日本に住んでますけど、雪に覆われすぎてて、何か異世界のような気がしました。荒れることなく晴れていてよかったです。大勝利ですね。
しょうへいさま
コメントをありがとうございます。
何というかあまりにも白すぎて、距離感や空間の認知がバグりそうになる世界でした。荒天の日に歩いても、たぶん辛いだけで楽しくはないだろうともいます。天気予報は大事です。
オオツキ様
本当に素晴らしい天気に恵まれ良かったです。登山を始める前に酸ヶ湯温泉に宿泊したことが有るのですが、八甲田山を知らずにいたのが悔やまれます。
以前のブログを拝見して秋に八甲田山に行こうと計画をしたのですが、そのときは紅葉との兼ね合いで実現しませんでした。この写真を拝見すると残雪期に強く魅かれますが、無難に無雪期をターゲットにしようと思います。
北東北に登山しに行ったことは有りませんが、青森県に弾丸登山するくらいなので魅力的なところなのでしょうね!
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
紅葉の八甲田山も素敵ですが、初夏にはあの広大な湿原がすべて花に埋め尽くされるらしいので、その時期にも行ってみたいと考えています。
東京からだと果てしなく遠いですが、何度でも足を運びたくなるくらいに魅力的な山だと思います。東北の山にハズレは無いので、是非とも登ってみてください。