破風岳-土鍋山 上信国境地帯に連なる笹の稜線と、グンマー国境こと毛無峠

毛無峠から見た破風岳
群馬県嬬恋村と長野県須坂市にまたがる破風岳(はっぷだけ)と土鍋山(どなべやま)に登りました。
群馬県と長野県の県境にある毛無峠を起点にした、日本の中央分水嶺を形成している上信国境地帯の稜線を巡る行程です。この二座を巡る登山道は、群馬県境トレイルと銘打たれたコースに組み込まれており、一面が笹原に覆われた眺望の良い登山道が続いています。
台風一過の快晴の空のもと、かの高名なるグンマー国境付近の山々を巡り歩いてきました。

2021年9月19日に旅す。

毛無峠は群馬県と長野県の境界に位置する標高1,823メートルの峠です。本当にどうでもいいことですが、個人的にとてもシンパシーを感じる名前の峠です。

例えこの峠の名は一切知らなくとも、この光景をどこかで目にしたことがあると言う人は多いのではないでしょうか。グンマー国境などと称され、インターネット上でよくジョークのネタにされている場所です。
グンマー国境
この毛無峠を含む上信国境地帯は、浅間山や草津白根山などを始めとした数多くの火山群が密集している場所です。それらの火山の噴気活動により、山中には豊富な硫黄の鉱脈が存在します。

この毛無峠の群馬県側斜面にはかつて、小串鉱山と言う名の硫黄鉱山が存在しました。この鉱山で硫黄の精錬を行う際に発生する亜硫酸ガスの影響により、毛無峠の付近一帯には名前通りの禿山が広がっています。
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要するに鉱毒による環境破壊が原因で作り出されてしまった景観な訳ですが、しかし結果として周囲を広く見晴らすこのとの出来る好展望な山域となっています。

毛無峠からのお手軽ハイキングを楽しんだ後は、白根山の麓にある草津温泉に立ち寄り、一日の汗を洗い落としました。上信国境地帯の光景を心行くまで満喫した、心にググっとぐんまな旅の記録です。
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コース
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毛無峠から破風岳と土鍋山の二座を巡ります。標準コースタイム3時間未満の、お気軽なハイキングです。

1.毛無峠 アプローチ編 果てしなく遠しいグンマー国境への旅路

先週の燕岳に続いて、今回も友人とおっさん二人の旅です。三連休の中日という事で多少の渋滞はあったものの、概ね快調に関越自動車道をひた走ります。
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前述の通り毛無峠は県境にある峠なので、当然ながら群馬県側と長野県側のどちらからでもアプロ―チ可能です。東京発であれば、群馬側から向かう方が多少は近いのかな。

長野側から行く場合は、軽井沢から道が続いています。どちらから行くにしろ、結構な時間を要する遠方の地であることは間違いありません。

群馬側からアプローチする場合は、高速を降りてからの移動距離が長めです。時間配分で言うと、下道を走る時間のほうがずっと長くなります。
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前方に、新幹線でも走ってるのかと思うような立派な橋梁が現れました。JR吾妻線のものです。公共交通機関を利用して草津へ行く場合は、この吾妻線で行くかもしくは軽井沢からバスで行くかの二択となります。
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吾妻線は群馬県の渋川駅から大前駅を結ぶローカル線です。その路線規模には明らかに不相応なこの橋梁は、八ッ場ダム建設に伴う路線の架け替え工事を行った際に作られたものです。

道の脇に、その八ッ場ダムによる堰き止め湖である吾妻湖が見えて来ました。このダムは水没補償を巡って揉めに揉めた上に、幾度なく政争のダシにもされ、着工から完成まで実に半世紀以上を要した、いわくつきのダムです。
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進行方向の先に、大きく裾野を広げた草津白根山(2,160m)の姿が見えて来ました。この山もまた、上信国境の一部をを形成している山です。毛無峠へ向かうにはまず、この山を乗り越えて行く必要があります。
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という事で山超えの区間に入ります。いたる所から火山性ガスが噴出しており、窓を開けていたらむせ返る様な強烈な硫化水素臭に見舞われました。
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道中からの眺めはこの通り、素晴らしい絶景です。スカイラインと言う言葉がこれほどシックリくる道もなかなかないと思います。
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この白根山を越える国道292号線上に、国道最高地点である渋峠(2,172m)があります。その最高地点を目指しているのであろう、自転車乗りの姿が多く目につきます。みな一様に辛そうな表情を浮かべておりますな。
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現役の活火山らしく、物々しいシェルターがありました。なお、現在草津白根山は火口から500メートル圏内に立ち入り規制が敷かれており、火口湖の湯釜を見に行くことは出来ません。
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草津白根山はこの国道292号線脇にある白根山レストハウスからスタートすれば、それこそ1時間程で登頂できてしまう山す。現在白根山レストハウスの駐車場は閉鎖されており、ここからスタートすることは出来ない状態です。

道の脇に弓池と言う小さな池と湿原があり、散策のための木道も整備されています。この池も立ち入り制限の範囲内にあるため、現在は歩くことが出来ません。
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渋峠方面へと続く国道から外れて、万座温泉方面へと下ります。
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万座温泉を通り過ぎると、すれ違い困難な林道規格の道が始まりました。このような隘路でありながら、交通量が意外に多のに驚かされます。
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実はグンマー国境こと毛無峠と言うのは、多くの人観光客が詰めかけるような大人気スポットだったのか。

やがて前方に、いかにも最果ての地感が漂う峠が見えてきました。おおッ、まさにイメージ通りの場所ではありませんか。
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11時10分 毛無峠に到着しました。東京を出発してから実に5時間をかけての到着です。グンマー国境は思いのほか遠かった。
毛無峠
峠の駐車スペースには、すでに多くの車が所狭しと溢れている状態でした。やはりここは、思っていた以上に人気のスポットだったようですね。

ちなみに、正面に見えているのが、この後に登る予定の破風岳です。見るからに眺めの良さそうな姿に、期待が高まります。

峠の東側に広がるのは、高原野菜の産地として名高い群馬県の嬬恋村です。浅間山が真正面にドーンと見えます。
毛無山から見た浅間山

峠に残されているこの鉄塔は、かつて小串鉱山で使用されていた索道の跡です。これもある種の、毛無峠を象徴するモニュメントと言えます。
毛無峠の索道跡
それで一番肝心な例の「群馬県 この先危険につき立ち入り禁止」と言うあの看板は、一体どこに立っているいのでしょうか。

周囲を軽く散策したところ、あっさりと見つけました。索道があるのとは反対方向の、破風岳の登山口脇にあります。
毛無峠1
手前に車を駐車されてしまっているため、これでは定番アングルでの撮影が出来ませんな。まあ、今から山登りをしている間にいなくなることに期待しましょうかね。

2.毛無峠からわずか30分で登れる好展望地、破風岳

11時20分 身支度を整えて登山を開始します。登山開始時刻としてはいかにも遅すぎる時間ですが、往復3時間程度の行程であるため特に問題は無いでしょう。
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何とも間が悪いことに、歩きだして早々に周囲がガスに覆われ始めました。やはり時刻が正午近くにもなると、どうしたって雲は沸きやすくなります。
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このガスにはさほどの厚みは無いらしく、頭上には時より青空が広がります。この調子ならきっと晴れる瞬間もあるだろうという事で、いちいち一喜一憂はせずに今はとにかく前進です。
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ジグザグと九十九折れの付いた、笹原の急登が始まりました。毛無峠から破風岳山頂までの標準コースタイムは僅か30分程ですが、距離が短い分、始めから容赦のない急登が続きます。
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振り返ると、峠を境にして長野県側だけがガスに覆われていました。太平洋側と日本海側の大気がせめぎ合う中央分水嶺上に位置している毛無峠は、もともと非常にガスの発生しやすい場所です。
破風岳から見た毛無峠

群馬県側はこの通り、カラッとした快晴そのもの空です。なにかとネタ扱いされがちな毛無峠ですが、こと眺望に関して言えば一級の場所です。
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言っているそばから、何となくガスが取れそうな気配です。これはなにもかもがうまくいってしまうパターンなのか。
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晴れた!ハハハハッ、敗北が知りたい。再び山の神様の機嫌が変わってしまう前に、急ぎ山頂に向かう事にしましょう。
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破風岳の山頂は、土鍋山方面へと続く縦走路からは少し外れた場所にあります。という事でサクッと往復して行きます。
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分岐からはあっけなく山頂が見えて気ました。もっとド・マイナーな山だと思っていたのですが、意外とたくさん人がいます。
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11時50分 破風岳に登頂しました。本当にコースタイムきっかりの30分で登ってこれました。なんと言うお手軽な山なのでしょう。
破風岳の山頂

山頂からは、眼下に毛無峠の全容を見下ろすことが出来ます。この峠の周辺にだけ背の高い木が無いのは、前述の通り小串鉱山の煙害の影響によるものです。
破風岳かみた毛無峠

長野側は曇り空で、ちょっとした雲海状態になっていました。今まさにこの目前で、目には見えない大気のせめぎ合いが行われていのでしょう。
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雲の上にひょっこりと頭を出しているこの山は、妙高山(2,454m)です。越後富士の異名を持つ北信地方の名峰です。左後方には火打山(2,462m)の姿も見えます。
破風岳から見た妙高山

これは後立山連峰の白馬三山あたりですかね。北アルプスの方面は雲に覆われており、見えたのはこの辺りだけでした。
破風岳から見た白馬三山

なお、山頂標識が立っている場所の背後は断崖絶壁です。あまり端の方ではしゃがないように、足元には要注意です。
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峠から簡単に登ってこれる場所だけに、手ぶらに近いような軽装の人々が続々と入れ代わり立ち代わり山頂へ登って来ます。以外に人気の山なんですね。
破風岳の山頂

3.破風岳から一転して人気の無い土鍋山

先へ進みましょう。まずは先ほどの分岐地点まで引き返します。
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土鍋山方面へと歩みを進め始めると、破風岳山頂での喧騒が嘘の様に、周囲からはまったく人影が無くなりました。
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前日が台風だったこともあり、足元はひどい泥濘状態です。もともと、あまり水捌けの良い場所ではなさそうです。
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だいぶ笹薮がうるさくなってきましたが、それでもしっかりと刈払いは行われており、今のところ道の不明瞭さは一切ありません。
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再び分岐が現れました。左へ進むと土鍋山方面で、右へ進むと五味池へと続いています。この五味池と言うのは全くノーマークな場所でしたが、帰宅後に調べたころレンゲツツジの名所であるようです
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森を抜けると、前方に目指す土鍋山の姿が見えました。これはまた、どびっきり地味な山ですね。私がこの山に興味を持った直接のきっかけは、至極単純にヘンな名前と思ったからです。
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この不思議な名前の由来が気になって調べてみたのですが、よくわかりません。角度によっては土鍋の蓋のような形に見えるからだと言う説があるくらいです。

鞍部まで下って来ました。ここからは当然登り返しです。
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スタート地点の毛無峠がすぐ脇に見えます。実際のところ、本日はまだ大した距離を歩いてはいません。
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山頂直下はかなりの急登でした。九十九折れも何もない一直線の登りです。お助けロープなどの補助も一切ないので、足を滑らさないように慎重に参りましょう。
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このまま山頂までの直登が続くのかと思いきや、流石に登れ切れない斜度になったと見えてトラバースに移りました。このトラバースは、根っこだらけでかなり足元が悪いので注意を要します。
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ぐるりとほぼ一回転するように回り込んだ所でところで、ようやく山頂が見えました。
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12時20分 土鍋山に登頂しました。標高が破風岳と全く同じ1,999メートルです。あとたった1メートルなのに惜しいですね。
土鍋山の山頂

いったい誰がいつ持ち込んだのかは定かではありませんが、山頂標識の足元に土鍋が置いてありました。残念ながら割れてしまっています。まあここは、冬になれば豪雪に見舞われる場所ですからね。
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山頂からの展望が開けているのは、この一か所だけです。ここまで歩いてきた道程が一望できます。見所が良い感じにコンパクトに纏まったルートだと思います。
土鍋山からの展望

4.土鍋山登山 下山編 実にあっけなく峠へと帰還する

12時50分 下山を開始します。ちなみにここを右へ進むと、群馬県境トレイルの登山道が浅間山までずっと繋がっています。
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先ほども述べた通り、山頂直下はかなり足元が悪いので、下りでは特にゆっくり慎重にまいりましょう。
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写真だと伝わりにくいですが、かなりの急坂です。掴まれるような立木もないため、なかなか緊張を強いられる下りです。
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右手の小串鉱山跡方面に目を向けると、斜面上に大規模な崩落の痕跡があるのが目に入ります。
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昭和12年の11月に、小串鉱山のあった背後の斜面で大規模な地滑りが発生し、多くの鉱山関係者が生活していた宿舎などの施設を押し流しました。この大災害による犠牲者の数は実に245人にも及びます。

最盛期には、この鉱山の周辺に1500人程が暮らしていたのだそうです。山中には今なお、当時の廃墟が多く残っています。

再びドロドログチャグチャな道を登り返します。
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それにしても素晴らしい眺めではありませんか。群馬県境トレイルの実力は侮れませんぞ。
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破風岳への登り返しが終われば、あとは峠に向かって下るだけです。登り始めて早々にガスり始めた時はどうなるかと思いましたが、蓋をあけてみればいかにも台風一過らしい、カラッとした快晴に恵まれた一日でありましたな。
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正面の彼方に見えているこのギザギザした山は、榛名山(1,449m)ですね。関越道を降りた渋川・伊香保インターがあるのはこの山の麓だから、あそこから延々下道を走って来た訳ですな。どおりで遠い訳です。
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13時45分 毛無峠に戻って来ました。スタートしてから僅かに2時間30分程の山行きでありました。
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例の標識の前に駐車していた車はいなくなっており、ようやくこの光景を拝むことが出来ました。この景色を直に見ることこそが、本日の主たる目的であったと言っても過言ではありません。
毛無峠のグンマー国境

冬期の過酷な環境によるものなのか、はたまた亜硫酸ガスの影響がまだ残っているからなのかは定かではありませんが、群馬県と書かれた標識の文字がかなりかすれてしまっています。
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しかしこれはこれで、最果ての地感をより強く演出してくれて良い味が出ていると思います。

5.立錐の余地もないほどに混雑する、国道最高地点の渋峠

さてここで、この後の予定について説明しておきましょう。

下山後はまず草津温泉に立ち寄り、ひと風呂浴びます。その後は野反湖方面へと移動して野反峠の駐車場で車中泊し、翌日に白砂山へ登る予定です。

まずは草津温泉まで戻ります。ですがせっかくここまで来たのだから、国道最高地点の渋峠に寄って行こうじゃないかと言う話になりました。
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という事で、草津とは反対側に舵を切り渋峠方面へと進みます。

この志賀草津高原ルートは文字通り天空を行くかの如き、素晴らしい景観の道路です。本日はもはやすっかり車窓フォトグラファーと化してしまった感があります。
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さてその国道最高地点の渋峠ですが、多くの二輪乗り達が詰めかけており、とても駐車できるような状態ではありませんでした。まあなにしろ、三連休の中日ですからね。
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仕方がないので、徐行で通り過ぎつつ窓から無理やり一枚撮影しました。ここが日本の国道最高地点です。
国道最高地点の渋峠
ちなみに、国道で渋峠に次いで2番目に標高が高いのは、八ヶ岳を越えるメルヘン街道の麦草峠(2,127m)です。

眼下には、ラムサール条約に登録されている芳ヶ平湿地群が広がっていました。高層湿原帯好きを標榜する者としては、ここも一度は散策してみたいんだよなあ。
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そして草津白根山。再びこの山へ登れるよにうなるのは、一体いつの事になるのでしょうか。
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6.草津は良い所、一度はおいで

計画にはなかった寄り道をしましたが、無事に山から下りて草津温泉へとやってきました。湯畑から徒歩5分の場所に、湯畑観光駐車場があります。料金は2時間で500円です。
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あまりキャパシティが大きくはない駐車場なので、時間帯によっては入庫待ちが発生します。今回はたまたまタイミングよく滑りこむことが出来ました。

これが草津温泉のシンボルとでも言うべき湯畑です。実は私、草津に来たのは今日が初めてです。
草津温泉の湯畑
思っていたよりも、ずっと小さな温泉街なんだなと言うのが第一印象です。山間の谷合にある、こじんまりとした空間です。

なんというかこれは、イタリアのトレヴィの泉と同種の「実際に来て見たらガッカリだった」スポットの香りがしないこともありませんなあ。・・・イタリアに行ったことはありませんが。
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ちなみにこの湯畑。名前からして湯の花を採取するためにあるものだと思われるかもしれませんが、実は湯の花の採取は副次的な目的でしかありません。本当の目的は至って単純に、湯の温度を冷ましているだけです。
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湯畑の源泉から湧いている温泉は極めて高温なのが特徴で、湯温は70度近くもあります。これを加水することなく何とかして冷やそうと考えられたのが、樋に流して空気に当てて冷やすと言う方法です。
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草津と言えばもう一つ有名なのが湯もみですが、あちらも同じく、加水をせずに湯温を冷ますために行われてるものです。

湯の花採取は、2ヵ月に一度の頻度で行われているそうです。たったそれだけの期間で、これだけびっちりとこびり付いてしまうんですね。草津の湯の濃厚さ加減が伺えますな。
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公衆浴場は何ヵ所かにありますが、ここは深く考えずに湯畑から最も近い場所にある御座之湯へ入りました。入浴料は600円と、有名観光地にしては良心的な価格でした。
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草津温泉には泉質の異なる源泉がいくつかありますが、何れの井戸にも共通している特徴は、強酸性の硫黄泉であるという事です。古くから万病に効くと謳われており、多くの湯治客を受け入れてきた歴史があります。

光泉寺の階段から見下ろした、草津温泉中心部の街並みです。かなりコンパクトな温泉街であることがお分かりいただけるかと。
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7.野反峠の駐車場で前泊する

無事に温泉にも浸かれてスッキリしたところで、本日の宿泊地である野反峠へと移動します。
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本当は野反湖キャンプ場でテント泊がしたかったのですけれど、三連休の中日という事もあってか、すでに予約はいっぱいの状態で取れなかったのです

17時ちょうどに野反峠駐車場に到着しました。明日登る予定の白砂山の最寄りの駐車場はここではないのですが、登山口にある駐車場は車中泊禁止と言う謎ルールがあると言う事前情報を得ていたため、かわりにこちらを宿泊地に選びました。
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こちらの駐車所にはトイレもあり、前泊地としては申し分ない環境です。この階段を上がれば野反湖が見えるのかな。
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売店の前まで登ると、目の前に野反湖の全容が飛び込んできました。野反湖は野反ダムの堰き止めによって作られた発電が目的の人工湖です。
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明日登る予定の白砂山は群馬県、長野県および新潟県の三県境界に位置している山です。奥まった場所にある山なため、野反湖の湖畔からでは、その姿は見えません。今見ているのは、白砂山の手前にある地蔵岳と言うピークです。
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湖の周りを周回できる遊歩道が整備されています。1周およそ10kmほどあり、だいたい3時間ほどかかるそうです。
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背後には浅間山の姿が良く見えました。明日も晴れてくれることを願いつつ、この日は早々と就寝しました。
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台風一過の申し分ない天気のもと、前々から一度行ってみたいと思っていた毛無峠を無事に訪問することが出来ました。
峠を訪れたもののついで程度に考えており、正直さほどの期待もしていなかった破風岳と土鍋山でしたが、群馬県境トレイルからの景観は、思いのほか素晴らしいものでありました。毛無峠は、決してただの冗談のネタスポットなどではありません。
遠路はるばる時間をかけて訪問するにしては、コースタイム的にやや物足りない気がするのも確かであり、やはりこの山は他の山とセットで登りに行くのがベストなのではないかと思います。・・・その組み合わせの相手の最有力候補であろう草津白根山が、立ち入り規制により登ることが出来ない状態であると言うのが、なんとも残念なところではあります。
上信国境の山からの大絶景を眺めに、遠路はるばるグンマー国境へと繰り出してみてはいかがでしょうか。

<コースタイム>
毛無峠(11:20)-破風岳(11:50~11:55)-土鍋山(12:20~12:50)-毛無峠(13:45)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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