秋田駒ヶ岳 満開を迎えた花の名峰とムーミン谷を巡る

秋田駒ヶ岳 浄土平と男女岳
秋田県仙北市と岩手県雫石町にまたがる秋田駒ヶ岳(あきたこまがたけ)に登りました。
高山植物の宝庫として知られる花の名峰です。複数のカルデラを擁する複雑な地形をした火山であり、その入り組んだ谷間には一面の花園が広がります。特に、通称ムーミン谷と呼ばれる場所のチングルマ群生は圧巻です。
最高のシーズンを迎えた花の名峰を巡り歩いて来ました。

2019年7月7日に旅す。

 


前日の八幡平に続く東北遠征二日目は、花の名峰として名高い秋田駒ヶ岳へと繰り出して来ました。かねてよりずっと訪問したいと願いつつも、なかなか休みと天気が折り合わずフラれ続けてていた、我が悲願の山であります。

秋田駒ヶ岳は、秋田県有数の景勝地である田沢湖の辺に立つ現役の活火山です。山頂部には成層火山特有の入り組んだ複雑な地形が広がり、その谷間には豊富な雪解け水がもたらす広大なお花畑が広がります。
ムーミン谷のチングルマ群生
中でも、男岳と女岳の中間に広がる広大な谷間は通称ムーミン谷と呼ばれており、チングルマの一大群生地となっています。

太平洋側と日本海側を分かつ中央分水嶺でもある秋田駒ヶ岳は、なかなか雲一つない快晴とはならない、お天気の気難しい山でもあります。
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私が訪問した日も、稜線上には歩行に困難をきたすレベルの暴風が吹き荒び、晴れたりガスったりと目まぐるしく空模様が変化する、忙しない一日でした。

それでも、時より顔を覗かせる青空の下の光景は、楽園と言うフレーズが持つイメージそのもののような素晴らしものでした。ガスと暴風に翻弄された、花の名峰の訪問記です。
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コース
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駒ヶ岳八合目よりスタートし、秋田駒ヶ岳最高峰の男女岳(おめだけ)へと登頂します。その後は男岳を経由してムーミン谷へと下り、横岳、焼森とをへてスタート地点の駒ヶ岳八合目へと戻ります。

秋田駒ヶ岳の山頂部を周回する、とてもお手軽な行程です。

 

1.秋田駒ヶ岳 アプローチ編 路線バスで一気に標高1,300メートルの八合目地点へ

早朝の盛岡よりおはようございます。
盛岡市から見た北上川と岩手山
昨日は終日にわたりずっと雲にくるまれていた恥ずかしがり屋さんの岩手山が、今日は雲一つない完璧な姿を見せてくれていました。実に幸先の良い一日の始まりです。

朝日に染まる早朝の盛岡駅前は、人の気配もなく閑散としていました。駅前に24時間営業のコンビニとファーストフード店があるので、ここで準備を整えられます。
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山登りに必要なカロリーをしっかりと摂取したいときには、やはり米の飯に限ります。という事で、ガッツリと朝食をとります。
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これまでゼリーだの羊羹だのと色々な行動食を試して来ましたが、腹持ちを考ると結局のところコメの飯に勝る行動食など一つもないと言うのが結論です。

盛岡駅より田沢湖線の始発列車に乗り込み、田沢湖駅へ向かいます。
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もともと盛岡と大曲を結ぶ地方のローカル線だった田沢湖線は、今からおよそ20年ほど前に、秋田新幹線に線路を乗っ取られました。

現在も新幹線の合間を縫うようにして細々と鈍行列車が走っておりますが、本数は非常に少なめです。

およそ50分ほどの乗車時間で田沢湖駅に到着しました。ひたすら遠い場所のイメージのある秋田県ですが、盛岡からだと意外と近いものですな。
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全国的に名の知れた観光地の最寄り駅とあって、洒落た佇まいの駅舎です。
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上空には雲一つない見事な青空が広がっており、今のところは格好の行楽日和の様相です。風が少々強めなのがやや気になる所ではありますが。

・・・実のところ、本日の秋田駒駒ヶ岳には「強風のため登山には適さない」という予報が出ております。このところの長梅雨の曇り空に心底ウンザリしていた私は、「晴れてくれさえすればなんでもいい」という気分で晴れの予報に飛びつきました。

6時33分発の駒ヶ岳八号目行きのバスに乗車します。
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秋田駒ヶ岳は非常に人気の高い山ではあるものの、電車とバスの組み合わせで訪れる人は少数派と見えて、バスはいたって空いておりました。

バスは駒ヶ岳へ向かう前に、田沢湖を経由します。まだ朝早い時間とあってか、遊覧船乗り場には人影が見えず静まり返っていました。
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車窓に望む秋田駒ヶ岳の姿が見えて来ました。岩手県側で発生した雲が、山頂部へと覆いかぶさっているような状態となっております。
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夏の秋田駒ヶ岳と言うのは、大体いつもこんな感じなのだそうです。綺麗に晴れていることの方が珍しい、お天気の気難しい山だという事です。

途中にあるアルパこまくさと言う施設から大勢の乗客が乗り込んできて、バスは満員御礼となりました。
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夏山シーズン中は駒ヶ岳八号目までの道がマイカー規制されるため、アルパこまくさの駐車場に車を止めてバスに乗り換えるのが、もっとも一般的な秋田駒ヶ岳へのアプローチ方法であるとこのことです。

パーク・アンド・ライド方式というやつですな。

7時33分 駒ヶ岳八合目に到着しました。この時点で既に標高は1,300メートルあります。
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ちなみに、アルパこまくさから駒ヶ岳八合目までの道は、全線が舗装こそされてはいるものの、幅員の狭い恐ろしく急勾配な道です。マイカー規制されていようがいまいが、自分で運転するのはちょっと遠慮したいような道でした。

とりあえず、乗り物酔い体質の人は酔い止め薬必携です。日光のいろは坂なんか目じゃありません。

山の上は予報通りの強風です。東の岩手県側から西の秋田県側へと、凄まじいスピードでガスが流れて行きます。
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こちらは駒ヶ岳八号目に立つ避難小屋です。到着して早々に、暴風を避けるために避難する人の姿が多く見られました。小屋の中には売店も併設されていますが、この時間はまだ営業開始前のようでした。
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登山口の脇に靴洗い場があります。これは、外来種の種子を駒ヶ岳内へとへ持ち込ませないためのものです。靴の裏をしっかり洗浄してから出発しましょう。
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身支度を整えて、7時40分に登山開始です。まずは、秋田駒ヶ岳最高峰である男女岳を目指します。
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2.男女岳とその袂に広がる浄土平

花の名峰らしく、登山開始早々にして早くも花が出迎えてくれました。これはハクサンイチゲです。高山植物の中では、わりとポピュラーな存在です
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山頂付近は依然として濃密なガスに覆われています。はたして、私が登頂するまでに取れてくれるでしょうか。
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長くは続いてくれませんが、ガスが吹き飛んだタイミングでは、素晴らしいまでに透き通った真夏の青空が顔を覗かせます。
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道中には、いかにも火山らしい荒々しさを持った場所もあります。ここにはかつて日窒硫黄鉱山があった跡地です。
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硫黄採掘が行われていた当時のものと思われる錆びたレールが、足もとに僅かに残っていました。
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山頂部を回り込むようにして、緩やかな勾配の歩きやすい登山道が続きます。
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やがて、正面が開けた場所へ辿りつきました。
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片倉岳と呼ばれる地点です。あまりピークっぽさはなく、山腹に突き出した小さなテラス状の場所です。
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秋田方面の眺望が良さそうな場所だったので、ガスが取れないものかと少し待機してみましたが、一向に状況が変わりません。あきらめて前進を再開します。
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ガスの切れ目から、田沢湖の姿が僅かに見えました。
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標高が上がるにつれて、実に多様な花々が沿道を飾り始めます。
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これはオノエランかな。環境省の絶滅危惧レッドリストに登録されている極めて希少な花です。名前の由来は「尾根の上に咲くラン」だからだそうです。そのまんまですね。
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これはミネズオウです。小さな花ですがツツジの仲間で、草でなく樹木です。
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これはエゾツツジです。その名の通り主に北海道の山地に多く咲くツツジの仲間です。本州では秋田駒ヶ岳の他にも、早池峰山や岩手山などでも見られます。
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ここでようやくガスが取れて、男女岳の山頂部が姿を現しました。
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田沢湖の全容も正面にバッチリと見えます。濃いブルーの湖面が印象的です。田沢湖は日本で最も深い湖で、水深は423メートルあります。
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続いて正面に男岳が姿を見せました。この男岳と男女岳との間には浄土平と呼ばれる平坦地があり、一面の花畑が広がります。
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その平坦地が、ちょうど強風とガスの通り道になっておりました。前進に困難をきたすような強風が正面から吹き付けて来ます。メガネが曇って前が見えない。
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木道の両脇は、綿毛化したチングルマに覆われています。浄土平の花の最盛期には、少しばかり遅かったようです。
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不意に正面に阿弥陀池が姿を見せました。浄土平に阿弥陀池とはまた、天に召されてしまいそうな名称がてんこ盛りです。この場所を訪れた人間は、誰もがここを楽園だと思うのでしょう。
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男女岳の全容が視界に入りました。
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阿弥陀池の辺に避難小屋があります。驚くべきことに水洗トイレまで備えていました。
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木道の周囲は花でいっぱいです。まさしく極楽浄土の光景ですな。
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男女岳山頂をサクッと往復して来ましょう。浄土平から山頂までは、標準コースタイムで20分ほどの行程となります。
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一見すると目のと鼻の先のように見えますが、意外と勾配のキツイ道です。サクッとは行かないかも。
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山頂直下はエゾツツジが見頃を迎え、登山道に鮮やかな色どりを加えていました。
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山頂が見えて来ました。周囲を遮るものが何もないため、今までとは桁違いの風が吹きつけます。風切り音が凄すぎて何も聞こえません。
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9時5分 男女岳に登頂しました。
標高1,637メートルの秋田県最高峰です。ちなみに秋田県内の最高地点はここではなく、鳥海山の山腹だそうです。(鳥海山頂上は山形県内にあります)
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浄土平を挟んだ正面右の山が男岳で、左奥に薄っすら見えているのが女岳です。男岳と女岳の間に広がる谷間が、本日一番のお楽しみであるムーミン谷です。
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眼下に広がるのは浄土平と阿弥陀池です。スッキリ晴れる瞬間が無いものと、暴風が吹くの中でしばらく粘りましたが、次々と新手ガスが流れ込んできて、晴れてはくれません。
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反対側に目を向けても状況は同じで、岩手県側が常に雲に覆われています。朝方にはあれほどすっきり晴れて見えていた岩手山の姿も、ここからは一切見えません。
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15分ほど暴風に揉まれていましたが、眺望は諦めて浄土平へと引き返します。
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阿弥陀池の辺へと戻って来ました。
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ちょうど降りて来たタイミングになってから、山頂部が晴れ始めました。なんたる間の悪さなのでしょう。ぐぎぎ。
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男女岳の日影になる斜面には、残雪がまだたっぷりと残っておりました。この豊富な雪解け水が、不毛な火山の山頂部に極楽浄土を作り出しているわけです。
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綿毛化する前のチングルマも残っていました。
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この視界を埋め尽くす圧倒的黄色の花は、チングルマと並ぶ高山植物の大定番ミヤマキンバイです。
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続いて今度は男岳へと向かいます。
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3.暴風の吹き荒ぶ男岳の稜線

先ほどはすっきりと晴れたかのように見えた男女岳は、結局またガスに覆われていました。いくら粘ったところで、完全にガスが取れることはなさそうです。今日は眺望は諦めろという事ですな。
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男岳に向かってゆるゆると斜面を登ります。
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背後を振り返ると、またもや男女岳が晴れています。例え長続きはしないにしても、私が山頂にいる間にこの状態になってほしかったのですがね。ぐぎぎ。
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阿弥陀池の全容も見えました。雪が解けてからの時間経過で、もうすでにだいぶ縮んでいるようです。
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稜線まで上がると、正面にムーミン谷の全容が目に飛び込んできました。右にあるのが女岳で、左の火口部分が陥没した山は小岳と呼ばれています。
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ここから直接谷へ下ることも出来ますが、その前に男岳をピークハントして行きます。

ちなみに、ムーミン谷という呼び名は、いつの間にハイカーの間でそう呼ばれるようになっていた通称であり、オフィシャルな呼称ではありません。地図や道標上にその記載は一切無いのでご注意ください。

ちなみに男岳というのはカルデラの外輪の切れ端です。そのため、片側が鋭く切れ落ちた幅の狭い山容をしています。八合目から浄土平までのような安心安全な道とはだいぶ趣が異なるので慎重に行きましょう。
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ガッスガスで何も見えない中を歩いてきた木道が、眼下に見えました。なるほど確かに、いかにも風の通り道になりそうな地形です。
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男岳の山頂が見えて来ました。よろけそうになるような暴風の中を、難儀しながら前進します。
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ムーミン谷上空も、何時しか新手のガスに覆われつつありました。
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10時5分 男岳に登頂しました。
少しばかり空腹を感じつ始めつつあったので、風を避けられそうな物陰を見つけて弁当を広げました。
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相変わらず岩手側はガスガスで秋田側は快晴そのものです。ちょどうど秋田駒ヶ岳の岩手県側斜面がガスの発生源となっているような状態でしょうか。
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眼下彼方には、今朝がたに通ってきた田沢湖駅周辺の様子も見えました。
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さあムーミン谷へと向かいましょう。元来た道を戻っても良いのですが、このまま外輪沿いに沿って進んでも途中で谷へ侵入できる道があるようなので、このまま前進します。
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女岳が正面に立ちはだかります。この山は昭和45年に一度噴火しており、その時に流れ出た溶岩流の跡が今なおはっきりと見えます。
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なお女岳に登山道は存在せず、登ることは出来ません。

こちらのルートはかなり急峻です。おまけに足元は火山灰が堆積したグズグズの砂礫で、極めて歩きにくい道です。
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ただでさえ歩きにくいであろう道に、さらに本日はそこへ暴風と言う要素までもが加味されおり、身の危険を感じるレベルでした。安全に行きたいのであれば、男岳から前進はせずに元来た道を引き返した方が無難だと思います。

されど景色は文句無しの絶景です。お勧めしたいような、したくないよな悩ましい道です。まあ、風が強くないときならそこまで危険ではないかな。
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振り返ると、斜面を覆う草が風にあおられて波打ち、まるで踊っているかのように見えました。
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途中で左へ尾根を外してムーミン谷方面へと進路を転じます。分岐地点には道標も何もないので、見落としに要注意です。
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下草を刈っただけの細い径の道です。しかもよりによってこんな逃げ場のない場所に限って、アザミの葉がチクチク攻撃を仕掛けて来ると言う。
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女岳の脇に沿って、谷の入り口へと登り返します。
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4.一面にチングルマが咲き誇る、天上の楽園ムーミン谷

よやく谷の入り口へとやってまいりました。今日はここを歩くことを何よりも楽しみにしておりました。期待に胸が高まろうと言うものです。
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入り口付近のチングルマは、残念ながらもう既に綿毛へと変態した後でした。最盛期に来たら、さぞや壮観だったことでしょう。
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谷の奥へと歩みを進めます。上空のガスは、相変わらず取れては新手が現れるのを繰り返しております。
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さあ、ここからいよいよ圧巻のチングルマロードが始まりますよ。
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谷の底の付近には、綿毛化する前の花がまだまだたくさん残ってくれていました。
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僅かながらも、何よりもうれしい青空が姿を見せてくれました。
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谷底の一番深い場所にあるこの池は、駒池と呼ばれています。
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流石に谷底まで強風は届かないと見えて、見事な逆さ女岳と男岳のツーショットを見せてくれました。
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正面に大焼砂と呼ばれる、火山灰の堆積した斜面が見えて来ました。これから帰路で、この砂礫の稜線を登り返すことになります。
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最後に小岳の周りをぐるっと回り込むのですが、この辺りがこの日見かけた最大規模のチングルマ群生地でした。
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これほどの規模のコロニーと言うのは、そうなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
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この雪渓が、お花畑に常にフレッシュな水を供給し続けているわけですな。
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5.コマクサが満開の大焼砂を登り返し、焼森へ

楽園のような谷の光景は終わり、今度は一転して如何にも火山らしい荒涼とした風景が前方に広がります。
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この大焼砂には、高山植物の女王陛下であらせるコマクサ様がそれはもうたくさん咲いておられると言うことなので、とても楽しみにしておりました。

早速いらっしゃいました。お名前の通りの気品あふれる姿をしておられます。
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良く見ると上の方に凄い密度で咲いています。これだけたくさん咲いていると、逆に有難みは若干薄れてしまいますな。
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振り返ると小岳の奥に女岳と男岳が並んで見えました。
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谷底まで下ってしまった分の標高差をきっかり登り返します。踏み込むとズブズブ沈む砂礫の斜面は、まるで富士山の登山道のようです。
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左手には、つい先ほど歩いて来たムーミン谷を一望できました。
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秋田駒ヶ岳は岩手県と秋田県の境界にまたがる山であり、この大焼砂の稜線が県境です。という事で、現在地は岩手県の側であるようです。
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砂礫の斜面を登りきると、周囲はハイマツ帯に変わりました。
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黙々と登り返すうちに、不意に開けた開けた場所に飛び出しました。
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12時40分 横岳に登頂しました。
どこかで聞いたことがあるような名前ですね。ここから馬の背と呼ばれる尾根を経由して、浄土平へ戻ることも出来ます。
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今日は浄土平へは戻らず、焼森を経由して駒ヶ岳八号目へと戻ります。

稜線に沿って北へ進みます。今歩いているこの県境の尾根こそが、本日のこのしつこいガスのまさに発生地点であるようです。
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稜線上では、ハクサンシャクナゲが開花し始めている所でした。
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まだほんの咲き始めと言ったところで、蕾状態の花の方が多い状態です。
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先月始めに登った甲武信ヶ岳がちょどシャクナゲの見頃だったことを思えば、奥秩父と東北の山では一ヵ月以上も季節の移ろうペースが違うということですね。

やがて前方に、こんもりとした丘のようなピークが見えて来ました。
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砂礫が堆積した、かなり広々とした空間が広がっていました。
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12時50分 焼森に登頂しました。
これまたずいぶんと変わった名称の山頂ですね。その名の通り、火山噴火の影響で森が焼けてしまった跡なのでしょうか。
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6.笹森山へ周回は取りやめて下山

眼下にスタート地点の駒ヶ岳八号目が見えます。あそこまで下ればゴールです。
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途中で湯森山方面へと続く道のとの分岐があります。天候が持つようであらば、湯森山から笹森山と周回したのちに駒ヶ岳八号目へ戻るルートにすることも考えていましたが、この通りガスガスなのでおとなしく下山することにします。
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傾斜こそ緩めですが、滑りやすい砂礫の斜面です。一歩一歩ゆっくりと下ります。
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ガス越しに薄っすら見えているのは、浄土平の避難小屋でしょうか。
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こうして見ると、秋田田駒ヶ岳と言うのは、良い感じに見所がギュッとコンパクトにまとまった山なんだなあと思います。これなら人気があって当然ですね。

小規模ですが、一ヵ所渡渉ポイントがあります。雪解けのペースよっては、水量が大きく変わるかもしれません。
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程なく道はシャクナゲの藪の中へと突入しました。シャクナゲの枝は堅いうえに鞭のように撓うので、何も考えずに突っ切ると結構痛い目に遭います。
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正面になにやらスッキリと晴れている、笹森山と湯森山が見えました。あれれ、さっきはガスってたから周回を取りやめたのに。今日はとことん間の悪い一日なようで。
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13時30分 無事に駒ヶ岳八号目へと舞い戻って来ました。6時間にも満たないような行動時間でしたが、実に密度の濃い一日でありました。
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朝の時点では営業していなかった売店が開いていたので、ここで秋田駒ヶ岳のバッジを購入しました。バッジは途中のアルパこまくさでも買えるようです。
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ちょうどタイミングよく田沢湖駅への直通便がやってきたので、そのまま乗り込みます。
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帰路のアルパこまくさから見上げた駒ヶ岳は、朝見た時と何ら変わらない、頂上にだけガスを纏った姿をしていました。結局、今日は一日中こんな感じだったのでしょう。
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1時間と少々の乗車時間で、田沢湖駅へと戻って来ました。
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田沢湖線の線路を乗っ取った秋田新幹線へと乗り込み、東京への長い長い帰宅の途につきました。
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かくして梅雨の僅かな晴れ間を突いた東北遠征は、暴風に苦しめられる場面がありはしたものの、大満足の内に幕を下ろしました。
初夏の秋田駒ヶ岳は、前評判通りの素晴らしき天井の楽園そのものでありました。これまでの経験から言って、初夏の東北の山にハズレはありません。
この後も入れ代わり立ち代わりに咲く花の種類を変えつつ、秋田駒ヶ岳の花のシーズンはもうしばらくの間続きます。訪問を考えている人は、晴れの予報を見かけたら躊躇なく飛びつくべきです。絶対に後悔はしません。
紅葉シーズンの駒ヶ岳もまた大変すばらしいとの事なので、この山へはいずれまた季節を変えて再訪してみたいと思います。

<コースタイム>
駒ヶ岳八号目(7:40)-片倉岳(8:00~8:10)-男女岳(9:05~9:20)-男岳(10:05~10:20)-横岳(12:40)-焼森(12:50)-駒ヶ岳八号目(13:30)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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