岩手県奥州市と西和賀町にまたがる焼石岳(やけいしだけ)に登りました。
東北地方の背骨奥羽山脈の中部に大きく横たわる古い火山です。なだらかな丘陵状の山容を持ち、残雪が多くその豊富な雪融け水により数多くの湿地帯とお花畑が広がる花の名峰です。アクセスが良好とは言い難い奥地にある山ですが、初夏の季節には花を目当てに多くの登山者が訪れます。
忙しない日帰り弾丸の行程で、奥羽山脈の花の名峰を巡って来ました。
2022年7月10日に旅す。
今回は花の名峰として名高い焼石岳に登るべく、遠路はるばる岩手県まで遠征して来ました。焼石岳は日本二百名山にも名を連ねている一座で、お花あり眺望ありの知る人ぞ知る秀峰です。
今回の訪問タイミングは花の最盛期には少々遅かったらしく、山頂部には花の終わった後の緑々とした湿原の光景が広がっていました。
花の見頃のピークは例年だとだいたい6月下旬頃で、溶岩台地の広がる山頂部がハクサンイチゲに覆いつくされます。
奥羽山脈のほぼ中央に位置する焼石岳は、交通アクセスが良好だとは言い難い深山です。登山口まで乗り入れることのできる公共交通機関は存在せず、マイカーの利用が一般的です。基本的に、車の無いヤツはお断りな山であると言えます。
それでもどうしても焼石岳に登りたかった私は、東北新幹線の水沢江刺駅からタクシーでアプローチしました。
晴れてはいるものの雲が多めでピリッとしない空模様でしたが、いかにも東北地方の山らしい雄大なスケールの光景を楽しんできました。
大いに札片を切って行く、岩手県遠征登山の記録です。
コース
中沼登山口からスタートし、銀名水をへて焼石岳へ登頂します。お花畑が広がる山頂部をぐるりと周回したのち、下山はつぶ沼登山口へと下ります。標準コースタイムおよそ8時間ほどの行程です。
1.焼石岳登山 アプローチ編 札片を切ってゆく奥羽山脈奥地への遠き旅路
5時53分 JR東京駅
岩手県の山への日帰り登山を可能としてくれる魔法の乗り物新幹線で、遠路はるばる水沢江刺駅を目指します。
お金に糸目をつけなければ、焼石岳は東京発でもギリギリ日帰り登山が可能な山です。お金に糸目をつけなければね。
先週浅草岳に登った際にもまったく同じセリフを口にしたような気もしますが、大事な事なのでまたもや2度言いました。
岩手県に入ると、車窓に目指す奥羽山脈の山並みが見えて来ました。なだらかでのっぺりとした山が多く、めざす焼石岳がどれなのかはよくわかりません。
8時46分 水沢江刺駅に到着しました。水沢市と江刺市はもともと別の町であり、水沢江刺と言う地名は存在しません。中間地点の何もない田んぼの中に駅が作られると言う、新幹線駅にはありがちな光景です。
ちなみにその水沢市と江刺市は平成の大合併により消滅しており、現在はどちらも奥州市の一部となっています。だったら駅名ももう、奥州駅にしてしまえば良いのではなかろうか。
焼石岳の登山口へ乗り入れている、バスなのどの公共交通機関は存在しません。ここからはタクシーを利用することになります。特に事前予約はしていなくても、駅前には常時タクシーがいます。
プリウスとコンフォートの2台のタクシーが待機していました。目指す中沼登山口は途中から未舗装のダートを走ることになるため、最低地上高が高いコンフォートの方に依頼しました。
9時45分 駅からおよそ1時間をかけて、中沼登山口に到着しました。料金は9,660円でした。
最後は思っていた以上にガタガタなひどいダートでしたが、水沢江刺のタクシードライバーにとってはなれっこな道なのか、嫌な顔一つせずに突っ込んでくれました。
駐車場には既に隙間なく車が停まっており満車状態です。初夏の季節の焼石岳の人気の程が伺えます。
下山予定地点であるつぶ沼登山口は電波が入らない場所であると言う事なので、運転手さんに帰りのタクシーの配車も依頼しました。早速無線でやり取りしてくれたのですが、しかし思いもよらぬ事態が発生しました。
この日は参議院選挙が行われた日でした。開票所へ票を運ぶために、本日の夕方は全てのタクシー車両がチャーターされていると。ええっ?票ってタクシーで運ぶものだったんですかい。
「別のタクシー会社に依頼しておいてあげるよ」という運転手さんの親切な申し入れを受けて、ここはともかく進むことにしました。まあ最悪、電波の入るところまで歩けば良いだけですから。
2.幾多の小沼を横目に歩む原始の森
10時 何かとバタバタしましたが、身支度を整えて登山を開始します。
木道の下を清冽な水が流れる涼し気な空間です。・・・涼しげなだけで涼しくはありませんが。
まるで白いシモツケソウのような花が咲いているなあと思ったら、そのまんまシロバナシモツケソウと言う名の花でした。シモツケソウと言えば普通はピンクの花を思い浮かべますが、白いもの存在したんですね。
至る所から水が染み出してきており、しっとりとウェットな空間です。東京の街中よりは全然涼しいものの、それでも不快指数は若干高めです。
いかにも東北の山らしい、一度も斧鉞の入ったことがないであろう原始性の高い森の光景です。
登山口からほぼ水平移動の道がしばし続いた後に、ようやく真面目に標高を上げ始めました。それではいっちょう、気合を入れて参りましょう。
歩き始めてから25分ほどで、ルート名の由来にもなっている中沼まで登って来ました。焼石岳を象徴する人気のスポットです。
前方にかなり大きな水溜まりがあるのが見えます。周囲では蛙が大合唱をしていました。この沼のいったい何が象徴的なのかと言うと・・・進めばすぐにわかります。
視界が開けて、前方に焼石岳の本体が姿を見せました。水面に反射して見事な逆さ焼石岳が映っています。素晴らしい。
この中沼から見た焼石岳の姿は、焼石岳の写真としては最も有名かつ定番な構図であろうかと思います。なんだかもう、この光景を見ただけでも満足してしまいそうになる光景です。
のっぺりとしていて、最高地点がどこなのかがイマイチ分かり難い山です。見ての通りのなだらかな山で、標高差はさほど大きくありません。そのかわりに、横方向への移動距離が結構長めです。
焼石岳を横目に、水際ギリギリの道を進みます。不意に根っこトラップがあったりするので、足元に要注意です。ここで転倒でもしようものなら、最悪沼へドボンしますからね。
沼の周囲は、木道が整備された湿原となっていました。すでに花の盛りの時期は過ぎてしまっているらしく、緑々としていました。
もうほとんど終わりかけですが、アヤメがポツポツと咲いていました。
山中にぽつりと開けた不思議な空間です。火山によって作り出された溶岩台地である焼石岳の山中には、こうした小さな窪みの地形が多く存在します。そこへ豊富な雪融け水が流れ込み、こうした小湿地が作り出されています。
中沼を過ぎると、小さな沢に沿った道になりました。この水流は、さらに標高の高い場所にある湿地から流れ下ってきています。
いつの間にか沢と登山道の区別が無くなり、完全に一体化していました。高尾山6号路の上位版であるかのような道です。今は大した水量ではありませんが、時期によっては歩くのに難儀するかもしれません。
10時50分 上沼まで登って来ました。中沼よりも上にあるから上沼と言う、なんとも安直なネーミングです。
中沼ほどの大きさはありませんが、ここにも湿地帯が広がっていました。登山道から水面までの距離が少し離れており、こうして遠巻きに眺める事しか出来ません。
中沼よりも少し標高が上がったからなのか、上沼の周辺ではまだアヤメが散らずに多く咲いていました。
上沼を過ぎても、水没登山道がなおも続きます。初夏の焼石岳は基本的に、どこもかしこも水浸しです。それだけ残雪が多いのでしょう。
大きな雪渓が残っている場所へと登って来ました。なるほどこれが、先ほどから登山道を水浸しにしている水の発生源であるようです。
雪に覆われているため分かり難いですが、ここがつぶ沼登山口からの登山道との合流地点です。右へ行くと焼石岳山頂方面で、左がつぶ沼登山口方面です。
つぶ沼方面への分岐を過ぎると、早くも森林限界が近づいて来たのか頭上が開け、直射日光が容赦なく照り付けて来ました。
地図にも載らないような小湿地がそこかしこにあります。湿地の先に見えているのは、獅子ヶ鼻岳と言う名のピークです。登山道は存在せず、どうやら登ることは出来ないようです。
11時35分 広々と開けた場所へとやって来ました。銀名水避難小屋に到着です。ベンチと水場があり、休憩を取るのに適してる場所です。ここでザックを落として一本立てました。
冷たい水が滾々と湧き出しています。手ですくうと、冷たいを通り越して痛いくらいです。この水場をアテてに出来ので、焼石岳登山では水の携行量についてそこまで神経質になる必要はありません。
3.焼石岳登山 登頂編 広大な湿原がひろがる好展の頂へ
水場の先にまたもや小さな雪渓がありました。右に入ると避難小屋がありますが、特に用事もないのでこのまま山頂を目指します。
雪渓の上から振り返って見た避難小屋です。割と年季の入っていそうな建物ですが、すぐ目の前に水場があるため、快適に利用できそうな立地です。
視界が開けて、これぞまさしく夏山と言った光景が広がりました。これは持論ですが、東北地方の山にハズレはありません。
登山道の至るところから雪融け水が染み出し、足もに花を咲かせています。
焼石岳は、奥羽山脈の山の中でも特に残雪の量が多い山だと言われています。積雪量自体が突出して多いと言うわけではなく、なだらかで窪みの多い溶岩台地であるため、雪が吹き溜まって残りやすい地形なのでしょう。
この豊富な雪融け水が、山中に多くの湿地とお花畑を作り出しています。
かなり大きな雪渓が現れました。登山道は完全に埋もれているため、上を横断するしかありません。
途中まではステップが切ってあり、登る分にはアイゼンなしでも特に問題はありませんでした。しかし、流石に降りる時には軽アイゼンがあった方が良さそうです。
振り返ると、背後の視界が大きく開けていました。東北地方の山ならではの、雄大なスケール感に震えます。
まるで川底を歩いているかのような道が続きます。と言うよりは、時期によっては本当に川底なのでしょう。
もうすでに花の最盛期には少し遅いタイミングでしたが、それでも湿地の周囲にはまだまだ多数の花が残っていました。
高山植物の王道にして大定番のチングルマとイワカガミです。どちらも比較的よく見かける花ですが、標高1,500メートル未満の場所にも咲くのは、東北の山ならではの光景です。
同じく大定番のハクサンフウロ。個人的に好きな花で、見かけるだけで妙にテンションが上がります。
シャクナゲも咲いていました。これはハクサンシャクナゲと呼ばれる種類で、奥秩父に咲くアズマシャクナゲに比べると、小ぶりで全体が白いのが特徴です。
かなり標高の高い地点まで登ってきているにもかかわらず、まだこれほどに水量が豊富な沢が流れていました。全くこの山は、いったいどれほどの量の残雪を懐に蓄えているのでしょうか。
ようやく山頂を視界に捉えました。右に見えているの小さな突起が山頂なのですが、私は登っている間ずっと、左のピークが山頂なものだと思い込んでいました。
ずっと山頂だと勘違いしていた、名も無き1,511メートルのピークです。登山道は無いため、こちらへ登ることはできないようです。
12時40分 焼石平まで登って来ました。焼石岳からとなりの東焼石岳まで、山頂部をグルっと周回するルートの合流地点です。
名前に平と付いているだけの事はあって、とてもここが山頂直下の場所であるとは思えないような、広々とした空間が広がっていました。
最盛期には、この焼石平の一面をハクサンイチゲが埋め尽くすのだそうです。訪問時期が遅過ぎたらしく、咲いている花は疎らにしか残ってはいませんでした。
山頂まではもあと一息です。しかしよりによってこのタイミングで、頭上に暗雲が垂れ込めつつありました。世界が虚無に呑み込まれてしまう前に、山頂へと急ぎましょう。
山頂のすぐ下に、泉水沼という沼があります。焼石岳に数多くある沼の中でも、最も標高の高い地点にある沼です。
もうだいぶ水が減って底を晒していましたが、これほど標高の高い地点にまで沼があること自体が驚きです。
山頂への最後のビクトリーロードです。すっかり青空が消えてしまいましたが、山頂よりも高い位置に湧いている雲のようなので、虚無に包まれる心配はひとまずなさそうです。
振り返って見た、ずっと山頂だと思っていた名もなきピークです。踏み跡らしきものが薄っすらとあるのが見えます。登ろと思えば登れのかな。帰りのタクシー時間があるので、寄り道している時間はなさそうですが。
今まで見えていなかった、北側の展望が開けました。こちら側も眼下には、一面の湿原が広がっていました。
一羽の鳥が、岩の上から周囲を睥睨していました。これはホシガラスなのかな。
足元に、エーデルワイスの仲間であるウスユキソウが咲いていました。
比較的乾燥している砂地などに咲く花です。そのためか、水が溢れる湿地にではなく、山頂直下のごく狭い範囲に集中して咲いていました。
山頂が見えました。ガラ石が散乱しており、ここだけを見ると確かに火山的な光景です。
13時 焼石岳に登頂しました。登山口を出発してから、ちょうど3時間での到着です。道中には急坂もなく、とても登りやすい道でした。
山頂からは360度全方位の展望が開けています。奥羽山脈のほぼ中央に位置しているため、東北地方の名だたる名峰たちをすべて一望できる・・・はずなのですが、残念ながらすっかり曇ってしまいました。
西の秋田県方面の光景です。晴れていれば鳥海山がすぐ近くに見えるはずですが、まったく見えません。がっくし。
心の目で見れば見えると言いたいところではありますが、何分あまりなじみのない山域なので、それほど心眼の精度は高くはないのですよ。
眼下に見えているのは、秋田県の横手盆地です。奥羽山脈と出羽山地に囲まれた秋田県最大の平野部であり、日本国内でも屈指の穀倉地帯です。あきたこまちの大部分は、この盆地で作られています。
東の岩手県方面です。すぐ隣に見えているこの東焼石岳には、この後に立ち寄って行く予定です。
4.花の盛りは過ぎてしまった、焼石岳の山頂部を周回する
13時25分 山頂を後にして先へ進みます。もと来た道へは引き返さずに、隣の東焼石岳を含めてぐるっと周回します。
つぶ沼登山口に17時45分に迎えに来てくれうようにと帰りのタクシーを頼んでしまっているいので、時間が押していたらこの周回は取り止めるつもりでいました。
ですが、時間にはまだ余裕がありそうなので、このまま予定通りに進みます。
焼石岳の北側にも、ここまで登って来た南側と同様の広々とした溶岩台地が広がっていました。東北地方の山の雄大なスケール感に奮えます。(2度目)
深い考えも無しに進んだ周回ルートでしたが、岩が散乱していて地味に歩きにくい道です。身軽でバランス感覚が良い人であれば何ら問題はないのでしょうけれど、身軽でなければバランス感覚が良くもない私は、ひたすらノロノロと進みます。
北側から見上げた焼石岳の山頂です。こちらから見ると結構急峻な姿をしていました。
9合目焼石神社と呼ばれている地点まで下って来ました。このまま直進すると、焼石沼をへて秋田県の東成瀬登山口へと続いています。私はそちらへ降りてしまうと帰れなくなるので、ここから右へ進路を転じます。
窪地にまたもや大きな雪渓が残っていました。この雪が全部融けきると、ここにも沼が出現したりするのかな。
ここでも水芭蕉が僅かに咲いていました。この花は基本的に、雪融け直後の場所にしか咲きません。
東焼石岳に向かってゆるゆると登り返します。ここではコバイケイソウが咲き始めつつありました。この花は他の高山植物たちとでは咲き始めるタイミングが異なるようです。
登り返すと、広々とした湿原帯が広がっていました。ここもハクサンイチゲの一大群生地であるらしいのですが、すでに咲いている株は残っていませんでした。やはり、今回の訪問は遅過ぎたのか。。
急坂が一切なだらかな山容をしているので、もっと簡単に往復できるのかと思きや、意外と距離がありました。だだっ広く視界が開けているためか、イマイチ距離感が掴みづらい。
14時15分 東焼石岳に登頂しました。遠目に見た通りの、広々とした草原が広がっていました。ここもきっと、もう少し早ければお花に覆われていたんでしょうな。
眼下に奥州湖が見えます。胆沢ダムの堰き止めによって作られた人造湖です。
なお本日の下山予定地であるつぶ沼登山口は、この奥州湖のすぐ近くにあります。つまりはこれからあそこまで下って行かなければならないと言う事です。眩暈を起こしそうになるこの距離感よ。
14時35分 焼石平まで戻って来ました。さあ、あとはもう帰るのみです。
5.焼石岳登山 下山編 ひたすら遠いいつぶ沼登山口への下山行
途中の分岐地点まではもと来た道を引き返すだけです。と言う事で、脇目も触れずにサクサクと参りましょう。
下山の雪渓横断時には、流石にチェーンスパイクを装着しました。チェーンスパイク装着中の私の横を、恐らくは地元の人と思しき方がゴム長靴のツボ足で颯爽と下って行きました。あれはきっと、焼石岳の仙人か何かに違いない。
頭上は相変わらずどんよりと曇り空のままですが、標高が下がって来た事により徐々に暑くなってまいりましたぞ。
つぶ沼方面との分岐地点まで下って来ました。ちょっと分かり難いのですが、この案内板は実際の分岐地点よりも手前に設置されています。本当の分岐地点は、登りで最初に雪渓を横断した場所です。
ということで、ここが分岐です。左が元来た中沼登山口方面で、つぶ沼へ向かうには雪渓を乗り越えて直進します。
もう少しすれば雪渓は無くなり道が出現するのでしょうけれど、残雪がある時だとかなりわかり辛い分岐です。
分かり難いことを考慮してか、入り口に大きく案内が掲げられていました。
もっと抜本的な解決方法として、先ほどの案内板の設置場所自体を変更すべきであると思うのですが、雪の残り方に左右されるため難しいのでしょうか。
さて、つぶ沼方面の登山道の様子ですが、端的に言うとドロドロのグチャグチャです。傾斜は緩いためキツくはありませんが、歩きやすいかと問われれば、答えはノーです。
急坂はありませんが、小刻みにアップダウンもあります。だいぶ時間も押してきているので、早足気味のペースで下ります。
16時15分 石沼まで下って来ました。ここまでは殆ど標高差もなく、ほぼ水平移動に近いような道でした。
厳密に言うと沼は眼下にあり、登山道は尾根の上を通っています。ここから中沼方面へ抜ける横道もあります。
日が傾きつつある逆光の先に、焼石岳の姿が見えました。ただ見えると言うだけで、中沼から見た時のような感動はありません。やはり焼石岳には、中沼登山道から登るのが正解であるようです。
焼石岳の姿はこれで見納めです。ありがとう焼石岳。いつかまた来ます。今度こそもっと早いお花の最盛期に。
タクシーの時間がだいぶ近づいてきていたため、この先は写真も撮らずに足早に下りました。これは唯一撮影していた、渡渉地点のものです。
途中までは時間に余裕があったはずなんですけれどね。東焼石岳への周回で少々時間を空費し過ぎてしまったようで。
歩けど歩けど終わりが見えず、だいぶ焦燥感が募ってきたところで、ようやく車道が見えました。ふう、何とか間に合った。
17時30分 つぶ沼登山口に到着しました。なんやかんやで、約束の時間の15分前には下ってこれました。さて果たして無事に、帰りのタクシーは呼んでもらえているのだろうか。
登山口から、駐車場があるらしいつぶ沼方面に向かって歩いていると、狙いすましたかのように「おおつき様」と書かれたタクシーがやって来ました。
事前予約制になりますが、つぶ沼コース登山口まで定額料金7,500円でのタクシー運行が行われており、今回わざわざそれを予約してくれたようです。
しかもこの時は半額キャンペーンを実施中であると言う事で、3,750円で良いと言う事でした。ありがたや。
こうしてスムーズに事はすすみ、18時20分に水沢江刺駅に戻って来ました。
奥州いさわタクシーには、帰路の手配までしてもらってすっかりとお世話になってしまったので、ささやかながらも御礼としてここで宣伝をしておこうと思います。
焼石岳の中沼登山口へお越しの方は、親切な奥州いさわタクシーを是非ご利用ください。
スムーズだったのは駅まででした。水沢江刺駅に停車する新幹線は1時間に概ね1本しかなく、けっこうな待ち時間が発生しました。
たぶん焼石岳なのだろと思われる山を車窓から見送りつつ、長い長い帰宅の途につきました。
大枚をはたいて遠路はるばる敢行した岩手県への遠征登山でしたが、花の最盛期には少し遅かったようです。焼石岳に限らず、初夏の季節こそが旬である花の名峰は全国に数多く存在するため、天気との兼ね合いもあって、いつどの山へ登るべきかと言う判断はなかなか難しいものがあります。いづれにせよ、いつかまた必ず再訪したいと言う想いを強くした山行きでありました。
本文中でも触れましたが、初夏の東北地方の山にハズレはありません。焼石岳もまた、遠路はるばる訪れるだけの価値がある、素晴らしき秀峰でありした。
晴天を射止めることが出来さえすれば、間違いなく素晴らしい体験が出来る山であることは保証します。
<コースタイム>
中沼登山口(10:00)-中沼(10:25)-上沼(10:50)-銀名水(11:35~11:45)-焼石平(12:40)-焼石岳(13:00~13:25)-東焼石岳(14:15)-焼石平(14:35)-銀名水(15:30)-石沼(16:15)-つぶ沼登山口(17:30)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
東北の山は関東近郊の山よりスケールが大きいですね!緑や花の色までより鮮やかに見えるような気がします。そして東北の山は涼しいのかとイメージしていましたがそうでもないんですね。。
オオツキさん=倹約家のイメージですので、2回連続タクシー登山がくるとは思っていませんでした(^^)
先日、インスタで自転車の写真をお見かけしたので、チャリ登山の投稿もまた楽しみにしております!霧ヶ峰と美ヶ原の間くらいにある山でしたでしょうか?行ってみたいエリアなのですが車がないと難しいかな、、それこそ下諏訪あたりからタクシー?と思っていました。
MMさま
コメントをありがとうございます。
新幹線は自由席にしか乗らない
ドケチ倹約家ですが、「こうしてうかうかしている間に、花の季節は終わってしまうんだよッ」と、今回は大いに奮発しました。ついカッとなってやりました。後悔はしていない。
オオツキ様
以前のブログでも「東北の山にハズレは無い」と書いて有りましたが、やはり首都圏からは遠いので東北地方には中々行けないんですよね!
初夏も良いのでしょうが、紅葉の時期は素晴らしく是非行きたいと常々思っています。
気軽に新幹線で日帰り登山というエリアでは無いので、天気の良い日が続きたときにまとめて登りたい山が多くあります。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
確かに岩手県となると、そうそう気軽に行けるような距離ではありませんが、福島県くらいならば北関東に行くのとそう大差もないように思えます。
東北の山は紅葉の時期も良いですね。飯豊連峰か朝日連峰辺りに紅葉狩りに繰り出したと思っていますが、果たして遠征に必要なだけのまとまった休みがとれるのやらです。
焼石は何となく栗駒山とセットで、紅葉のイメージでした。初夏のお花畑も魅力的なんですね。初夏の選択肢のひとつになりました。ありがとうございます。
親切な奥州いさわタクシー!覚えておきます!
ブログを拝読するようになってまだまだ日が浅いので、大変初歩的な質問なのですが、下山後にタクシーや新幹線に乗車する際、登山靴の泥汚れなどはどうなさっているのでしょうか…
私の場合ほぼマイカー、たまに単独で中央線や京王線に乗る時はいつも最後尾の車両の隅で、汗まみれの泥だらけでドキドキ小さくなっております(笑)が、そこまで気にしなくていいものですか?
ブログを拝読していると、私も同行ドライバー(夫)と予定を合わせなくても、思い立ったら気軽にひとりで公共交通機関で出かけるのもいいなぁ!なんて気持ちになるのですが、そんな細かい部分で微妙に不安もありまして…笑
くだらない質問スミマセン!差し支えなければ、教えていただけるとありがたいです。
AKさま
コメントをありがとうございます。
靴の泥はいつも気にしているポイントで、正規の靴洗い場がない山でも沢やら水路など洗えそうな場所を見けたら即ザブザブと洗います。洗えそうな場所がない時は、飲料水の残りで洗ったり、それすらも無ければ、木の枝などを使ってポロポロと剥がれ落ちる可能性のありそうな泥の塊だけは最低限排除します。
完璧を求めるのであれば、サンダルと登山靴を収納可能なサイズのビニール袋を持ち歩くのが良いと思います。
早速のご回答ありがとうございます。
そうですよね…マイカーだと車内に残置して行けるサンダルやお風呂セット・着替え等も、全て持ち歩くわけですよね!
下山からバス停までの長いロードといい、具体的に想像すると、環境意識高い系ハイカーの偉大さがさらに身に染みます…
あったりめーだろ!な質問に、ご丁寧な回答ありがとうございました。