八丁山-鷹ノ巣山 静かなる巳ノ戸尾根と奥多摩の秘峰

稲村岩尾根登山口から見た稲村岩と八丁山
東京都奥多摩町にある八丁山(はっちょうやま)と鷹ノ巣山(たかのすやま)に登りました。
奥多摩三大急登の筆頭として名高い稲村岩尾根の、谷を一つ挟んだ向かいに位置している巳ノ戸(みのと)尾根を辿る行程です。この尾根の途中にある八丁山に訪れる人は極めて少なく、奥多摩の秘峰と称されています。
稲村岩尾根が通行止め状態となってから早くも5年以上が経過するなか、日原側からバリエーションルートを辿って鷹ノ巣山に登ってきました。

2025年10月12日に旅す。

warning!
巳ノ戸尾根は整備された一般登山道ではない、バリエーションルートです。
・ルート上に薄っすらとした踏み跡はありますが、不明瞭な個所が多く道標などの案内は一切ありません。必ず詳細な地形図を携行してください。またGPSの使用を強く推奨します。
・幅の狭い痩せ尾根や岩場を通行する箇所があります。過去には滑落死亡事故も発生しています。
・誰でも気軽に歩けるルートではありません。安易な気持ちでの入山は避けて下さい。

鷹ノ巣山は、奥多摩最高峰の雲取山より端を発する石尾根の、ほぼ中間地点に存在するピークです。奥多摩の山の中でも登山者に人気が高く、四方から多くの登山道がこの山に向かって伸びています。
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そんな数ある鷹ノ巣山への登山ルートの中でも特に人気が高かったのが、石尾根の北側に位置する日原から登る稲村岩尾根ルートです。奥多摩三大急登の筆頭格として名高く、歩き応えを求める多くの登山者が訪れていました。

その稲村岩尾根ルートですが、令和元年台風19号によって被害を受けて以来、通行止め状態が続いています。人気のルートであったにもかかわらず、これだけの長期間にわたって復旧しないということは、修復が難しい規模で崩落してしまっているのかもしれません。
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日原側から鷹ノ巣山に登ることが出来なくなってしまって寂しい。そんな風にお嘆きの方も多かろうと思いますが、案ずることはありません。日原側から稲村岩尾根を歩かずに鷹ノ巣山に至る方法は、今でも存在します。

それが今回の舞台である巳ノ戸尾根です。

そもそも一般向けとは言い難い道であると言う理由で、登山地図上から存在そのものを抹消されたいわく付きのルートなのですけれどね。それでも致命的と言えるような崩落などは無く、今でもここから鷹ノ巣山に登ることは可能です。
八丁山手前の岩場
奥多摩の秘峰との呼び声の高い八丁山を経由して、日原から鷹ノ巣山に登って来た記録です。

コース
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東日原バス停からスタートして、巳ノ戸尾根を登り八丁山へ。そこからヒルメシクイノタワをへて鷹ノ巣山に登頂します。下山は榧ノ木尾根を下り奥多摩湖バス停まで歩きます。

日原側から鷹ノ巣山を越えて石尾根を縦断する行程です。

1.八丁山登山 アプローチ編 東京都の山奥、日原を目指す

6時3分 JR立川駅
本日の行程はそこそこの長丁場となる見込みであるため、少しでも行動時間を確保すべく、ホリデー快速ではなく始発電車を乗り継いで奥多摩駅を目指します。
立川駅の青梅線ホーム

直通の電車ではないので、青梅駅で1回乗り換えが発生ます。この先は4両編成の車両となるため、普段は椅子取りゲームが発生することが多いのですが、今日は比較的空いていて悠々と座れました。
青梅駅のホーム

7時18分 奥多摩駅に到着しました。この時間帯に奥多摩駅に降り立つのは、ほぼ100%登山者だけです。これもまた、奥多摩のいつもの光景です。
奥多摩駅のホーム

7時31分発の東日原の行きのバスに乗車します。人気の川苔山の登山口に向かうバスであるため、いつも大抵は混在していますが、ここでも今日は比較的空いていました。
東日原行きのバス
10月中旬の奥多摩は、紅葉にはまだ少し早い中途半端な時期であるため、この時期は意外と穴場なのかもしれません。涼しくて行楽には良いシーズンなんですけれどね。

7時56分 終点の東日原バス停に到着しました。ここまで実にスムーズに乗り継いで来れましたが、当地はとても東京都内とは思えないような、途方もない山中にあります。まあ、実際に来てみれば良くわかるかと思います。
東日原バス停
稲村岩尾根が長らく通行止め状態のままとなっている現在、このバス停で下車した乗客の大多数はヨコスズ尾根方面に向かうのでしょうか。少なくとも、八丁山を目指す登山者はごくわずかであろうかとは思います。

2.通行止めの封鎖を通り抜けて、巳ノ戸尾根への分岐地点へ

8時 トイレと身支度を整えて、本日の行動を開始します。まずはバス停から道なりにまっすぐ進みます。行く手の山間に薄っすらとガスがかかってはいますが、お天気自体は上々で絶好の登山日和です。
東日原

角を曲がると、日原のシンボル的な存在である稲村岩が姿を見せました。この岩の背後に続いている尾根が稲村岩尾根ですが、前述の通り長らく通行止め状態のままとなっています。
中日原付近から見た稲村岩

バス停からおよそ5分少々で、稲村岩尾根の登山口まで歩いて来ました。
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この入り口は以前はもっと厳重にロープで塞がれていましたが、今は簡素な注意書きだけになっていました。巳ノ戸尾根に取りつきたい場合も、途中までは稲村岩尾根に向かう場合と同じ道を辿ります。
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稲村岩の右後方に見えているピークが、恐らく八丁山だと思います。古い版の山と高原地図にはしっかりと登山道が書かれていたらしいのですが、現在は破線扱いですらなく道そのものが描かれていません。
稲村岩尾根登山口から見た稲村岩と八丁山

稲村岩尾根と巳ノ戸尾根の位置関係が分かりやすいように、参考としてハナド岩(と唐突に言われて、どこのことかわかる人はどれくらいいるのだろうか?)から見た鷹ノ巣山の写真を貼っておきます。
ハナド岩から見た鷹ノ巣山
稲村岩尾根と巳ノ戸尾根は谷を挟んで向かい合っており、間にある谷は巳ノ戸沢と呼ばれています。かつてはこの沢沿いにワサビ田があって、登山道も存在したらしいのですが、現在は廃道化しており登山地図からも存在自体が抹消されています。

今現在では日原側から鷹ノ巣山に登る方法は稲村岩尾根を登るしかありません、とでも言わんばかりの地図上の記載になっていますが、かつては3通りの道が存在したということです。

入山禁止の警告を横目に、道なりに下って行きます。以前あったロープによる封鎖が解除された理由は、極めて単純にこの道の利用者はなにも稲村岩尾根に登る人だけではないからでしょうな。
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再び警告がありました。入口にあったのと合わせて2重の念押しです。よほど稲村岩尾根を歩いてほしくは無いと見えます。
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やはり相当人気のあった登山ルートだけに、通行止め扱いになって以降も突破を試みる人間は後を絶たないようです。実際のところ、崩落個所を沢沿いに迂回すれば、今でも稲村岩尾根を歩くこと自体は普通に可能ではあるらしいです。

尾根に取りつく前に、まずは一旦日原川を渡る必要があります。と言うことで、谷底に向かって下って行きます。
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川が見えてきたところで、橋が架かっているので対岸に渡ります。この橋が架かっている場所はちょうど、巳ノ戸沢と日原川が合流する出合の部分です。
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その名も巳ノ戸橋です。今まで気にした事もありませんでしたが、この巳ノ戸と言うのはこの谷底一帯の地名であるようです。
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橋を渡るとすぐに道が二手に分かれます。道標が倒れてしまっていますが、ここは右のロープに塞がれている方に進みます。ちなみに左へ直進すると、これまたバリエーションルートのネズミサス尾根へと入ります。
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色々と警告が掲げられていますが、巳ノ戸尾根への分岐はこの先にあるので気にせず侵入しましょう。稲村岩尾根に向かっているわけじゃないんですよ~。
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如何にも奥多摩らしい圧倒的杉林の中を進みます。まだ尾根に取りついてすらいない段階ですが、すでに結構な急騰です。最初からこの調子では、先が思いやられそうですな。
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登山道脇にさりげなく馬頭尊が置いてある辺り、この巳ノ戸谷には古くから人の出入りがあったのであろうことが伺えます。
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8時25分 巳ノ戸尾根分岐まで登ってきました。行き先が書かれてはいませんがここを右に入って行くと巳ノ戸尾根に入ります。この先はバリエーションルートの領域となるので、気を引き締めてまいりましょう。
巳ノ戸尾根分岐

3.小屋跡を経て尾根に取りつくわかりにくい道程

分岐を過ぎて以降も、よく踏まれた明瞭明快な九十九折れの道が続いています。この辺りはまだ、林業用の作業道として現在も使用されているようです。
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ほどなく石垣の積まれた平坦な場所が現れました。
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小屋跡と無造作に呼ばれている地点です。なんの小屋が建っていたのかは不明ですが、人の営みがあったことをしのばせる残置物が散乱しています。
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ここから先が本番です。奥多摩登山詳細図(西偏)を見ると、この小屋跡から少しトラバースしてから尾根上に登り上げるルートが描かれています。ですが現地に来てみると、そのまま背後の急斜面を直登する踏み跡が付いています。正解はどっちでしょうか。
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ひと先ずは地図にしたがってトラバースの方に進んでみます。

だいぶ細くはなってはいますが、しっかりと踏み跡が続いてました。地図が示しているのは、どうやらこのルートで間違いなさそうです。
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しかしすぐに崩落にぶつかりました。突破しようと思えばで出来ないこともなさそうですが、しかし崩落個所がこの一か所である保証はありません。これは引き返した方がよさそうです。
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結論としては、現在の最新ルートは小屋跡からそのまま直登するのが正解です。かなりの急勾配ですが、一応踏み跡らしきものはあります。おそらくは先ほどの崩落を受けて、後から切り開かれた道筋なのでしょう。
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踵が痛くなりそうな急坂をえっちらおっちらと登って行くと、薄暗い杉林を抜けて自然林の領域が現れました。ここまで登ってくれば、尾根の上に出るまではもうあと一息です。
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無事に巳ノ戸尾根に乗ることができました。この小屋跡から尾根に乗るまでの区間が、巳ノ戸尾根コースにおける最初の核心部である思います。
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今ことさらに「最初の」と強調したのは、核心部は一つではないからです。まあそれはこの先のお楽しみ(?)と言うことで、ひとまずは安心安全な尾根歩きをしばし楽しみましょう。

4.岩場と痩せ尾根を越えた先に待つ静かなる八丁山の頂き

ナラの木の根元に大量の木屑が積もっています。これはキクイムシに食い破られたもので、現在奥多摩ではキクイムシによるナラ枯れの被害が相当深刻化しています。
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見上げると、この木もしっかりと枯れてしまっていました。今はまだ立っていますが、やがては朽ちて倒木になります。
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お隣の稲村岩尾根に比べると、傾斜はずっと緩やかて歩きやすい尾根が続いています。何ならむしろこちらの方がメインルート扱いされてもよさそうなものですが、この尾根が登山地図から抹消されるまでに至った理由は、この後に明らかになります。
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小規模な伐採地があり、巳ノ戸谷を挟んだ向かいの稲村岩尾根がよく見えています。
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これは稲村岩の頭の部分かな。いつの間にか見下ろす高さになっていました。なにしろ小屋跡からは結構な登りでしたからね。
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パッと見で紅葉しているのかと思っていましたが、よくよく見てみると枯れしてしまっているナラがポツポツと山中に点在しています。思っていた以上に深刻ですね、これは。
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動物除けと思われる鉄柵が現れました。ゲートがありますが、通らずにこのまま柵に沿って進みます。
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足元の土は柔らかく、踏み跡と言えるほどのものは見当たりません。この辺りはまだ尾根筋が明瞭明快なので、特に迷うような要素はありません。尾根を忠実にたどって進みましょう。
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少し傾斜が増してきました。稲村岩尾根よりも遠回りする分だけ若干マイルドだというだけで、登らねばならない標高差自体に違いはありません。頑張って登りましよう。
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岩が目立つようになってきました。この辺りから、八丁山の第二の核心部が始まります。気を引き締めていきましょう。
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少し展望が開けて、鷹ノ巣山の山頂が視界に入りました。ここまで結構頑張って登って来たつもりでいましたが、まだまだかなりの標高差が残っています。
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尾根上を塞ぐようにして、岩が現れました。過去にこの岩場で滑落死亡事故が何件か発生しており、それが巳ノ戸尾根コースが登山地図上から抹消されるに至った直接の原因です。
八丁山手前の岩場
左右どちらも切れ落ちているため、迂回は出来ません。ここは正面突破する必要があります。ルートとしては進行方向の左側から回り込んで行く感じです。

手がかり足掛かりはしっかりとあるので、真面目に三点支持しながら登れば特に大きな危険はありません。とは言っても、落ちたらただでは済まない高さではあります。
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鷹ノ巣山があるのとは反対側の、長沢背稜方の展望が少し開けました。奥多摩と呼ばれる領域の中でも、最奥部に位置している一帯です。
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タワ尾根がちょうど正面に見えています。中央左寄りに見えている尾根上のピークが、たぶんウトウの頭(1,588m)だと思います。タワ尾根上でも、ナラ枯れが相当惨いことになっているように見えます。
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反対側の下界方面は、雲海が広がっていました。山の上の方だけが晴れている状態です。
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秩父のクレイジーな方の二子山を思わせるような、ギザギザした石灰岩の岩場です、日原の周辺には天祖山(1,723m)などの石灰岩質の山が多くあるので、八丁山も同様に石灰岩でできている山なのでしょう。
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一部はかなり細くなっており、そういう場所に限って木の枝が邪魔をして歩き難いことこの上ないです。これは確かに、一般登山道扱いは出来なさそうです。
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岩場を突破すると、もとの歩きやすい幅広な尾根に戻りました。山頂に向かってラストスパートをかけていきます。
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最高地点だと思われる空間が現れました。あはははは、これはまたとびっきりに地味な山頂ですねえ。だがそれが良い。
八丁山の山頂

11時10分 八丁山に登頂しました。そこまで苦戦したつもりはなかったのですが、思いのほか時間を要しました。奥多摩の秘峰は一筋縄で行きませんぞ。
八丁山の山頂標識

手製の小さな山頂標識の他に、すっかりと朽ちてしまったもう一つの標識らしきものが木に括り付けられていました。かつては稲村岩尾根と並ぶ存在であったこの場所も、今ではごく一握りの好事家が訪れるだけの静かな空間です。だがそれが良い。
八丁山

5.お伊勢山と鞘口ノクビレを経てヒルメシクイノタワを目指す

だいぶ時間が押してきてしまったので、ここからは少しペースを上げていきましょう。八丁山からの下りは道筋がかなりわかり難いので、あらぬ方向へ下ってしまわないように、よくよく周囲を観察しましょう。自信がない人は、GPSの使用を強く推奨します。
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鞍部とも言えないような小さな窪地を通過します。ここもかなり道筋が分かりに難いです。窪地を横断したら、進行方向右手の尾根上に取りついてください。
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ここからは木の根が絡みついたヤセ尾根になります。小さなアップダウンはありますが、ほぼ水平移動に近い状態がしばしの間続きます。
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右手に天祖山や芋ノ木ドッケ(1,946m)などが見えています。いずれも通好みの渋い山と言うか、この辺りの山を好んで歩くようになると、山道楽もいよいよ極まってきた感があります。
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尾根がだいぶ険しくなってきました。とは言っても、通行に支障をきたすような崩落箇所などは一切ありません。現状はこの巳ノ戸尾根が、日原側からもっとも安心安全に鷹ノ巣山山頂に至ることのできるルートであることは、間違いないと思います。
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地図を見ると、この辺りにお伊勢山と言う名前のピークがあるはずなのですが、どうやら山頂標識を見落としてしまったようです。気が付かずに通り過ぎてしまうくらいには地味だったっと言うことなのでしょう。
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12時10分 鞘口ノクビレと呼ばれている地点まで歩いて来ました。ほぼ水平移動状態なのはここまでで、この先はいよいよ、稲村岩尾根への合流地点に向かって急登が始まります。
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ちなみに、かつて存在した巳ノ戸谷のワサビ田沿いの登山道を登って来ると、この場所に着いたようです。今でも辿れるのかどうかはわかりません。

遭難者の慰霊碑なのかと思いきや、読んでみると遭難したけど生きていてよかったと書かれている碑文が置かれていました。生還した後に、その思いをつづった碑を設置しにまたやってきたということなんですかね?良くわかりません。
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この鞘口ノクビレから、鷹ノ巣山避難小屋がある辺りの巳ノ戸ノ大クビレへと通じている道がかつて存在していました。こちらの道は崩壊が著しく、現在はもう辿ることがほぼ不可能な状態になっています。
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大昔の登山地図では、日原からこの鞘口ノクビレを経由するルートが、雲取山に最も簡単に登ることの出来るルートとして紹介されていたこともあったのだとか。

朽ちかけた古い道標が残っていました。このルートが、かつては一般登山道の扱いであったことを示す痕跡です。
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この辺りはブナ林が見事です。奥多摩と言うと圧倒的に杉林のイメージが強く、あまりブナ林があると言う印象はありませんが、石尾根の北側にかなりの規模のブナ林がこうして残っています。
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最後は稲村岩尾根に側面から合流するのですが、この取りつき地点がこの日一番の急登区間でした。手もフルに使いつつ、強引によじ登ってゆく感じです。
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喘ぎながらも這い上がって行くと、ようやく尾根の上に出ました。
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12時50分 ヒルメシクイノタワまで登ってきました。これで稲村岩尾根と合流したことになります。ちょうどこの標識が立っている地点の裏側から登ってきました。
ヒルメシクイノタワ
昼飯を食べるには丁度良いというか、何ならすでに遅いくらいの時間ですが、山頂まではもうあと一息なので、休憩は取らずにこのまま行動を続行します。

これは登って来た場所を上から見下ろしたところです。前もって知らなければ、誰もここに道があるとは思わないような勾配です。ともかくこれで、バリエーションルートの区間は歩ききりました。この先はもう、一般登山道の領域です。
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6.大展望が広がる石尾根の盟主、鷹ノ巣山

もうあと一息と言っても、山頂まではまだ30分くらいはかかります。最後まで頑張って登りましょう。稲村岩尾根を登ってくるよりも多少は楽なのかなと思っていたのですが、大して変わらないどころかむしろキツイかもしれません。
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通行止めとなってから早くも5年以上が経過し、歩く人がほぼいなくなったからなのでしょうか。地面が明らかに柔らかくなっているように感じられます。
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かつてあれほど多くの登山者に踏まれてきた人気の登山道であっても、わずか5年でこうも変わってしまうものなのか。

一面がフカフカの苔に覆われている個所もあったりして、ここだけを見ると奥秩父的です。そもそも人間が行政の都合で勝手に区切っているだけで、奥多摩は広義には奥秩父山塊の一部です。
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ロープで塞がれた先に、見覚えのある山頂標識が現れました。日原側から登って来たのは、いったい何年ぶりのことになるのだろうか。
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13時20分 鷹ノ巣山に登頂しました。もっとサクッと登れるのかと勝手に楽観していたわけなのですが、意外と手こずりました。少なくとも、稲村岩尾根を普通に登って来るよりも、運動強度的にはずっと上であると思います。
鷹ノ巣山

鷹ノ巣山の山頂は、奥多摩の山の中でも屈指の好展望地です。朝の時点での青空が嘘であるかのように、すっかりと高曇りの雲に覆われてしまいましたが、それでも周りは良く見えています。
鷹ノ巣山山頂からの展望

頭に笠雲をのせた富士山がちょうど真正面に見えています。背景が青空でないのがいささか残念ですが、まあ見えただけでも良しとしましょう。
鷹ノ巣山から見た富士山

向かいに見えているこちらの大柄な山は、奥多摩三山の一つである三頭山(1,531m)です。手軽に登れる山なので、今頃は大勢の登山者で賑わっていることでしょう。
鷹ノ巣山から見た三頭山

奥多摩三山の残りの2座である御前山(1,405m)と大岳山(1,267m)もよく見えています。なお、鷹ノ巣山の展望が開けているのは南側だけで、反対側の長沢背稜方面は全く見えません。その辺が唯一のケチの付け所です。
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7.ひたすら長い榧ノ木尾根を下る

14時 山頂を辞去して下山を開始します。すでにどこに向かって下山しようとも、日没時間までに間に合うかかなりギリギリの時間になってしまいました。ちとゆっくりしすぎたか。
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石尾根の稜線上もまだ紅葉には少し早く、今回は訪問時期的に中途半端だった感は否めません。この辺り覆っているススキだけが、唯一の秋らしさと言えそうなものです。
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下山は、そう言えば一度も歩いたことがないかもしれないというだけの理由で、榧ノ木(かやのき)尾根から下ろうかと思います。道標に倉戸山と書かれている方に向かって進みます。
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この道はまだ榧ノ木尾根には入っておらず、石尾根の尾根上にある登山道と並走している巻き道です。
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しばらく進んだところで、ようやく巻き道から外れて榧ノ木尾根に入りました。
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榧ノ木尾根は全般的に傾斜が緩く、安心安全な広尾根です。それは言い方を変えるとなかなか標高を落とし始めないということで、その分横方向への移動が結構長々と続きます。
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14時50分 水根分岐と呼ばれている地点を通過します。最短時間で下山したければ、ここから水根林道に下りるのが最も早いです。ただし林道は結構荒れ気味であるという話もチラホラと耳にするので、安心安全に行きたければこのまま尾根沿いを進みましょう。
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落ち葉に埋もれていて、踏み跡はかなり分かりにくいです。榧ノ木尾根は破線扱いでも何でもない一般登山道ですが、あまり歩かれてはいなさそうな雰囲気が漂っています。
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進行方向右手の眼下に、人家らしきものが数棟あるのが見えます。奥多摩最奥の集落として知られる、その名も奥集落です。南側の峰谷方面から鷹ノ巣山に登る場合は、この奥集落が登山口になります。
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途中で尾根の名称の由来となっている榧ノ木山と言うピークを通るはずなのですが、ここでもどうやら見落としてしまったようです。今日はやけに山頂を見落とす日です。
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ダラダラと変わり映えのしない下山行が続くのですが、読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、ここからは中略いたします。
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と言うことで場面は飛んで、頭上が開けた広場のようになっている場所が現れました。
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16時55分 倉戸山に到着まで歩いて来ました。ここが榧ノ木尾根上にある最後の小ピークです。まるで城址のような雰囲気のある場所ですが、特にそのような言及はされていません。
倉戸山

倉戸山を過ぎると、奥多摩湖に向かって大きく標高を落とし始めました。最後にもう一息、頑張って降りましょう。
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足元が結構細くなっている個所があります。奥多摩の山には結構ありがちな、登り始めが一番険しいタイプの登山道であるようです。
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陽が沈んで、そろそろヘッドライトを出さないと駄目そうかなと言う明るさになってきたところで、人工物が現れました。どうやら給水施設であるようですが、それがあるということは人家のある麓まではもうあと僅かなはずです。
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かくして何とかギリギリヘッドライトは出さずに、麓の集落まで下ってきました。
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奥多摩湖がすぐそこに見ていますが、ゴール地点の奥多摩湖バス停まではまだ結構な距離が残っています。頑張って最後まで歩きましょう。
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疎らではありますが、この先は一応街灯があります。と言っても完全に真っ暗になっている箇所もあるので、結局はライトを出しました。
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この倉戸口バス停が一応は榧ノ木尾根への最寄りバス停と言うことになりますが、バス本数が少ないのでこのまま奥多摩湖バス停まで歩きます。奥多摩湖バス停まで行けば、バスは概ね1時間に1本以上はあります。
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17時45分 すっかりと辺りが暗くなったところで、ようやく奥多摩湖バス停に到着しました。なんだかんだで結構なロングトレイルとなりました。たくさん歩いて疲れたあ。
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この時間のバスならほぼ貸し切り状態みたいなものだろうと思いきや、意外にも外国人観光客が大勢乗り合わせました。こんな真っ暗になる時間まで、いったいどこで何を見物していたのだろうか。
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こんな遅い時間になるまでほっつき歩くつもりなど全くなかったのですがね。思いのほか苦戦しました。
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流石にこの時間から温泉に立ち寄る気力もなく、着替えだけ済ませてそのまま帰宅の途につきました。
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登山地図上から抹消された道を辿る今回の山行は、丸1日を費やして何とか無事に終了しました。本文中でも述べましたが、巳ノ戸尾根には特に通行困難な崩落個所などは存在しておらず、今でも普通に通行することは可能です。稲村岩尾根が通行止めとなっている以上、現状で日原側から鷹ノ巣山に登りたかったら、このルートがほぼ唯一の選択肢になろうかと思います。あとは2重3重に入るなと警告がされている事実を、どう受け止めるかだけです。基本的に自己責任の領域であるということを、ご認識おきください。
かなり久しぶりに登った鷹ノ巣山山頂からの眺めはやはり素晴らしく、そんな中この山のある意味一番メジャーと言える存在の登山道が何年にもわたって通行止め状態のままであることは、残念であるとしか言いようがありません。いつの日か、稲村岩尾根ルートが復旧することを願ってやみません。

<コースタイム>
東日原バス停(8:00)-巳ノ戸尾根分岐(8:25)-小屋跡(9:15)-八丁山(11:00~11:10)-鞘口ノクビレ(12:10)-ヒルメシクイノタワ(12:50)-鷹ノ巣山(13:20~14:00)-水根分岐(14:50)-倉戸山(15:55)-奥多摩湖バス停(17:45)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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