
栃木県那須町にある南月山(みなみがっさん)、白笹山(しらささやま)および黒尾谷岳(くろおやだけ)に登りました。
いずれも那須連山の中で南側の一帯に連なっている山です。那須連山の中でも登山者に人気が高いのは主峰の茶臼岳や、その北に連なっている朝日岳や三本槍岳などで、南部の山々はあまり歩く人もおらずひっそりとしています。
花の季節を迎えた那須岳南部の山々を巡り歩いて来ました。
2025年6月2日に旅す。
那須岳は東北地方との境界にも近い関東北部に林立している一連の火山群の総称です。主峰の名前は茶臼岳と言い、那須岳と言う名前のピークは存在しません。別名で那須連山と言う呼び名も使われています。

那須岳の中でも主要な五つのピークのことを那須五岳(なすごがく)と呼びます。具体的には茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、南月山および黒尾谷岳です。
那須五岳のうち茶臼岳、朝日岳および三本槍岳の3座については、人気知名度共に高く多くの登山者が訪れます。
一方で那須連山の南部に位置している南月山と黒尾谷岳については、その存在自体があまり広く認知されていません。そのため訪れる人の数はずっと少なく、ひっそりとしています。

かく言う私自身もこの南部の2座には一度も登ったことがありませんでした。そこで今回、那須五岳の完登を目標に掲げて登って来ました。
この時期の那須連山で忘れてはならないのが、シロヤシオを始めとしたツツジ科の花々です。稜線上に様々な花が咲き誇るこの時期は、那須連山南部を訪れるベストシーズンです。

終日に渡りいまいちピリッとしない空模様でしたが、花の方は見頃で華やかだった1日の記録です。
コース

那須ロープウェイバス停よりスタートし、峰の茶屋跡避難小屋を経由しつつ茶臼岳は巻いて、牛ヶ首を経て南月山に登頂します。
南月山から隣の白笹山を往復したのちに、黒尾谷岳へ登頂します。下山は元来た方には戻らずに、もみの木台方面へ下り、那須温泉湯本まで歩きます。
1.那須岳登山 アプローチ編 新幹線でゆく関東地方北端への旅路
6時13分 JR東京駅
那須岳は関東地方の北の端に位置している山です。都心部からはそれなりに距離がありますが、それでも日帰り登山が可能です。そう、新幹線ならばなね。なお、交通費はそれなりに高くつきます。

7時31分 那須塩原駅に到着しました。この駅には一部のやまびことなすのしか停車せず、本数は少なめです。朝1番の電車を乗り逃すと、その後の行程が全て破綻してしまうのでご注意ください。

那須塩原市のマスコットキャラクターが「みるひぃ」であることは、一般教養の範疇に含まれる常識であろうかと思いますが(?)、それとは別に駅のマスコットキャラクターである「ぎゅぎゅまる」と言うのも存在します。

どちらも牛のデザインを前面に押し出している辺り、牛乳の産地であることを強くアピールしたい意図が見えます。
那須ロープウェイ行きのバスは7時50分発なので、ここで少し待ち時間が発生します。特に新幹線との乗り継ぎは意識していない時刻表設定のようです。

9時3分 1時間少々の乗車時間で、終点の那須ロープウェイバス停に到着しました。登山開始時刻としてはいささか遅い時間ですが、公共交通機関頼みの身の上としては致し方ありません。

今まで結構な回数那須岳に訪れていますが、何気にこのロープウェイには一度も乗ったことがありません。なにも料金をケチっている訳ではなく、峠の茶屋跡に至る登山道の眺めが大変すばらしく、あそこを歩かないのはもったいないと思うからです。

と言うことで、今回もロープウェイは使わずにここから直接歩いて登ります。
2.火山らしい光景が広がる峠の茶跡への道程
9時15分 身支度を整えて登山を開始します。登り始めは石畳舗装された歩道のような道です。

沿道にムラサキヤシオが咲いています。主に東北地方の山に咲く花で、那須岳はムラサキヤシオ自生地としては南限に近い場所です。

私はアカヤシオやシロヤシオを偏執的なまでに愛好して普段から追いかけているのですが、ムラサキヤシオについては色がミツバツツジと被っているからか、正直あまり関心がありません。
すぐにまた車道と合流しました。県営の無料駐車場があり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。

花の季節の最盛期で天気も上々とあってか、駐車場は既に満車状態です。かなりの数の入山者がいそうですが、そのうち南月山や黒尾谷岳を目指している人の割合はどの程度なのだろうか。

駐車所のすぐ脇に峠の茶屋があります。かつての茶屋は本当に峠にありましたが、現在の茶屋は峠ではない車で入ってこれる場所にあります。

この茶屋で那須岳の山バッジが買えるので、バッジコレクターの人は忘れずに立ち寄って行きましょう。ロープウェイ山麓駅の土産物コーナーでも買えます。
茶屋の前を通って奥へ進んだ気に、那須岳の登山口があります。ここから先は舗装されていない山道になります。

この登山口の両脇に並んだ2頭の狛犬は、以前冬に訪れた際にはニット帽を被っていました。しっかりと取り外されている辺り、小まめに手入れをしている人がいるようです。それだけ地元で愛されている山なのでしょう。

樹林帯の景色がもう少しだけ続きますが、この後すぐに展望が開けます。

早速視界が開けて来ました。スタート地点の標高自体が高いため、こうして歩き始めて早々に森林限界を超えて展望が開けるのが、那須岳の大きな魅力です。

真正面に茶臼岳の山頂部がお目見えしました。いかにも火山らしい、荒涼とした姿がとても印象的です。

峠にむかって、比較的なだらかな勾配の道が続いています。ここを歩きたいが故に、毎回ロープウェイを使わずに登っている次第です。

峠に小さな小屋が見えています。かつて峠の茶屋が立っていた場所ですが、今では茶屋は下に移転しておりこの建物は避難小屋です。
谷を挟んだ右手に、那須五岳の一つに数えられている朝日岳(1,896m)の姿が見えています。

これまたいかにも火山らしい荒々しい外観をしていてとてもカッコいい山なのですが、カッコいいのは茶臼岳側から見た時だけで、裏側から見るとオデキか何かのような見た目をしています。特定の角度限定の残念なイケメンです。
茶臼岳の山腹をトラバースするように道が続いています。急登はなく全体的になだらかで非常に歩きやすい道です。

なにも那須ロープウェイの商売の邪魔がしたいわけではないのですが、これだけ素晴らしい登山道があると、観光ではなく登山をしに来ている人にとっては、ロープウェイに乗る意味はあまりないかなとは正直思います。
10時15分 峰の茶屋跡避難小屋まで登って来ました。茶臼岳と朝日岳の鞍部になっている場所で、2方面へ分かれていた登山者が集まるためいつ来ても大抵は混雑しています。

この鞍部の一帯はちょうど風の通り道になっている場所で、特に西高東低の気圧配置に覆われる冬季には、かなりの強風が吹きます。今日は比較的穏やかな方ですが、それでもやはり小屋の影から外れるなり強い風に晒されます。

3.茶臼岳を巻いて牛ヶ首へ
茶臼岳が目の前にドーンと立っていますが、茶臼岳のピークハントはせずに巻いて行きます。今回の目標はあくまでも、未踏の那須連山南部の山を巡ることにあります。

山頂部を巻いてほぼ水平移動にトラバースをする登山道があるので、そちらへと進みます

右手に裏那須三山と呼ばれている、栃木県と福島県の境界の山並みが見えています。一度歩いてみたいと思いつつも、公共交通機関によるアクセスが絶望的なまでに悪いため、未だに訪問が叶っていない山域です。

眼下に姥ヶ平と呼ばれている平坦地が広がっています。茶臼岳からの火山灰が窪地に溜まって堆積することによって形成された湿地帯です。

姥ヶ平の只中にあるこちらのひょうたん池は、紅葉の名所として名高い場所です。水面に映った紅葉と茶臼岳の姿を見ることが出来ます。

以前一度訪れたことがあるのですが、生憎の曇天で残念な感じだったので、晴れの日に再訪したいと思っている場所です。
前方に目指す南月山の姿が見えて来ました。のっぺりとした平坦な山容をしており、いかにも火山らしい見た目をしている茶臼岳や朝日岳とでは、だいぶ趣が異なっています。

左手の茶臼岳の山腹からは、音を立てて噴気が上がっています。那須岳が今も生きている火山であることが良くわかる光景です。

日影になる場所に僅かに雪が残っていました。那須岳は積雪量がそこそこ多い山域ではありますが、さほど標高が高い訳でもないのに6月になってもなお残っていた事には少々驚きです。

茶臼岳の山頂を巻くトラバースの終わりが見えて来ました。ここまではそれこそ鼻歌混じりにでも歩けそうな道程でした。

10時40分 牛ヶ首まで歩いて来ました。南月山方面への分岐地点となっている場所です。

現在地はロープウェイがある場所のほぼ反対側で、茶臼岳の周りをぐるっと回って来た事になります。ここまでの道程はアプローチのようなものであり、ここから先が本日の主題となります。

4.ミネザクラが咲くなだらかな山容の南月山
ここから先は自身初めて足を踏み入れる領域となります。いま前方に見えているピークは日の出平と呼ばれている場所で、南月山の山頂はさらに左へ進んだ先にあります。

頭上が広く開けた、背の低い灌木に覆われた稜線が続いています。遠目から見えていた通り、茶臼岳の山頂周辺とはだいぶ雰囲気が異なっています

この日の出平の周辺の稜線上は、大規模なミネザクラの群生地となっています。牛ヶ首から先は那須連山の中でもマイナーなエリアだと思うのですが、ミネザクラが目当てなのか行き交う登山者の数もそこそこ多めです。

既に見頃のピークは過ぎてしまっており、ほぼ終わりかけの状態です。それでもこうして、僅かに残ってくれていただけでも幸いです。

登山道の両脇がミネザクラの桜並木状態になっています。最盛期に訪れたら、さぞや壮観であったことでしょう。

登山道の脇に定点カメラらしき機材が置かれていました。気象庁が設置している無人の火山監視装置です。

カメラは茶臼岳の方を向いています。こうして24時間リアルタイムで、噴火の兆候を監視しているのでしょう。

定点カメラのあった場所からほどなく、山頂らしき開けた空間が現れました。

11時 日の出平まで登って来ました。日の出平は茶臼岳よりもずっと古い時代に活動していた火山で、長年の風化作用によりこのような、なだらかな山容と変化しています。

隣にある南月山の山頂が見えました。鞍部に向かて一度僅かに下りますが、大きな標高差はなくほぼ水平移動のようなものです。

少し笹がうるさくなって来ました。道の様子からして、日の出平まで歩く人はそこそこいるようですが、南月山まで足を伸ばす人はずっと少ないのでしょう。

笹薮の中にシャクナゲがポツポツと咲いています。シャクナゲの枝は非常に丈夫でまるで鞭のようにしなうため、かき分けて進むとしこたまビンタされます。痛い痛い、シャクナゲ痛い。

南月山の山頂が近づいて来ると、周囲は再び火山らしい荒涼とした光景に変わりました。特に噴気活動などは見られませんが、風の強さや積雪量の問題なのか、僅かな距離でこれほど目まぐるしく景観が変わるのだから不思議なものです。

背後を振り返ると、茶臼岳と日本平が並んで見えました。自身初めて見るアングルなので、とても新鮮に感じます。

右手には男鹿山塊の山並みが見えています。山塊の一番手前に位置している日留賀岳までは一般登山道が存在しますが、その先はまともな道が存在しない藪山です。うーん、行ってみたいな。

眼下に一目で人工湖だとわかる沼ッ原池が見えています。正式な名称は沼原調整池といい、さらに西にある深山ダム湖との間で揚水発電を行うための上池です。

池の周辺は沼ッ原園地として整備されており、6月下旬から7月の上旬頃にかけてニッコウキスゲが咲きます。
沼ッ原池の左手に見えているこの黒々としている山は白笹山です。那須五岳には数えられていない山なのですが、南月山から尾根続きのすぐ隣にあるので、この後にサクッと往復するつもりいます。

山頂らしき場所が見えて来ました。日の出平ほどの広さはありませんが、同じようにのっぺりとしていて開けている空間です。

11時20分 南月山に登頂しました。牛ヶ首からは大きな標高差もなく、気持ちよく歩ける道程でした。もっと人気があっても良さそうなものなのですが、あまり登る人がいないのは何故なのだろうか。

この南月山と言う名称は、出羽三山の月山に関係しています。かつて茶臼山を月山に見立たてて登拝する信仰が存在しており、月山(茶臼岳)の南にある山だから南月山と言うことで付けられた名称です。
言われてみれば確かに、茶臼岳の登山口にも鳥居が立っていました。
信仰の山らしく、山頂には南月山神社と銘打たれた小さなお社が立っています。今ではすっかりとマイナーピーク扱いされていますが、古くから登られていた山なのでしょう。

5.登っても特に良いことは無い白笹山
南月山から那須五岳最後の1座であるで黒尾谷岳に向かうには、山頂の分岐を左へ進むのが正解です。ですがその前に、反対の右側へと進み白笹山を往復してきます。

何しろこんな機会でもなければ、一生登ることはなさそうな山ですからね。ここはしっかりと回収しておきましょう。
名前とは裏腹に黒々とした姿をしています。標高は南月山とほぼ同じでわずかに低いくらいですが、鞍部に向かって一度しっかりと下ります。

南月山と白笹山の間の尾根上では、ミネザクラに変わってシャクナゲが主役です。かなりの規模の群生地になっています。

まだ見頃の最盛期には少し早いらしく、つぼみ状態のものが目立ちます。シャクナゲが目当てなら、6月の中旬頃がベストシーズンでしょうか。

水はけがあまり良くないらしく、足元が泥濘状態です。南月山までの道程に比べると、目に見えて歩きにくくなりました。サクッと往復すると言いましたが、サクッとは歩けないかも。

灌木帯から抜けて、前方の視界が大きく開けました。笹に覆われた稜線が続いています。なるほど確かに、白くはありませんが笹の山ではあります。

進行方向の左手に、この後最後に登ることになる黒尾谷岳の姿が見えています。こちらはしっかりと名前の通り、黒々とした姿をしています。見るからに展望はなさそうです。

黒尾谷岳へと続いている尾根上に、シロヤシオらしき花がポツポツと咲いています。これは大いに期待が出来そうです。

眼下に遊園地があるのが見えます。那須ハイランドパークと言う施設です。北関東では最大規模の遊園地で、通称那須ハイと呼ばれています。

軽く調べてみたところ、絶叫マシン系のアトラクションが多めの遊園地であるようです。富士急ハイランドも似た様な毛色の施設ですが、ハイランドを名乗る遊園地は絶叫マシン系でなくてはならない決まり事でもあるのだろうか。
山頂部まで隙間なく笹と低木に覆われている山です。まあなんと言うか、一言で言うと地味ですな。

所々に咲いているシャクナゲくらいしか見るべきものはありません。見るべきものがあるだけまだ良いとも言います。

12時5分 白笹山に登頂しました。鬱蒼とした森の中にあまりにさり気なくあり、危うく素通りするところでした。

展望は一切無く、登っても特に良いことはない画に描いたかのような地味山です。だがしかしそれが良いと思うもの好きな人以外は、基本的にスルーでよいかと思います。
6.シロヤシオが咲き誇る黒尾谷岳
来て早々ですが、南月山へ元来た道を引き前します。ホント一体何をしに来たのやら。

この笹の稜線は一見気持ちよく歩けそうに見えますが、道自体が結構細い上に崖側に斜めになっていたりするので、足元に要注意です。よそ見ダメ絶対。

13時 南月山まで戻って来ました。往復1時間40分程の寄り道でした。寄り道はこれくらいにして、そろそろ本題に戻りましょう。

黒尾谷岳は南月山よりもだいぶ標高が低いので、ここから先は下りが主体になります。

最初は南月山の山頂から伸びている尾根に沿って下って行くのですが、途中から黒尾谷岳のある右方向へ進路を転じます。

この尾根はだいぶ崩落が進んでおり、一部かなり痩せている個所もあります。南月山までの安心安全の道に比べると、難易度のステージが変わった感があります。

崩落地のあるところに好展望ありで、茶臼岳の姿が良く見えました。足元は崖なので、くれぐれもファインダーを覗くのに夢中になり過ぎないようにご注意ください。

ここでようやく本日第一号となる咲いているシロヤシオを発見しました。まだ大部分が蕾で咲き始めの状態です。ここからさらに下って行くので、もう少し標高の低い一帯に期待しておきましょう。

右に進路を転じて、黒尾谷岳の姿を正面に捉えました。白笹山とは違い、笹はあまり目立たず深い森に覆われています。南月山がちょうど盾の様になっていて、冬期の雪や強風の影響をあまり受けない位置にあるからだと思います。

鞍部に向かって下って行くにつれて、期待した通り咲いているシロヤシオの姿が目立つようになって来ました。

訪問時期が少し早すぎたのではないかと危惧していましたが、こうしてしっかりと満開状態に咲いている木もありました。素晴らしい。

シロヤシオのトンネルになっている尾根を進みます。鞍部の一帯にはあまり標高差が無く、ほぼ水平移動に近い尾根が続いています。

シャクナゲも負けじと咲いており、山で見かけるツツジ科の見本市状態です。後はヤマツツジとレンゲツツジが咲いていれば完璧なのですが、どこかに咲いていないかな。

黒尾谷岳への登りが始まりました。急な箇所はなく緩やかな登りです。こんなにも気持ちよく歩ける山なのに、先ほどからまったく他の登山者の姿を見かけません。大半の人は、南月山までで引き返してしまうのでしょう。

14時15分 黒尾谷岳に登頂しました。白笹山の山頂と同様に、よく見ていないと通り過ぎてしまいそうなくらいにさり気なくありました。

山頂まですっぽりと森に覆われており、展望は全くありません。道中のシロヤシオ群生地こそが全てであり、山頂は正直ただの通り道のようなものです。
7.もみの木台から那須温泉湯本までの長い長い道程
これで那須五岳の踏破と言う目的は無事に達成されました。下山は元来た道には引き返さずに、もみの木台方面へ下ります。

シロヤシオのトンネルがもうしばらくの間続きます。時刻はまだ15時前なのですが、朝の時点の青空がウソの様にどんよりとした空模様になって、早くも薄暗くなって来ました。

途中にいかにも眺めの良さそうな岩がありました。昭文社の山と高原地図にも、わざわざ「南月山の展望良い」と書かれている場所です。

確かに南月山とここまで歩いて来た尾根が良く見えます。気持ちよく歩ける尾根道でしたが、横から見ると結構な細尾根です。

森に中に入ったら、後はもう消化試合です。まだまだゴールは遠いので、ここからは少しばかり足早気味に参りましょう。

森の中ではヤマツツジが咲いていました。山で見かけるツツジ科の花が全種類咲いているのではないかと言うのは、あながち間違えではなかったのかもしれません。

鬱蒼とした森の中に廃屋化した建物が建っていました。下山予定地であるもみの木台は別荘地であるとのことなので、そろそろゴールが近いのかもしれません。

ゴールと言ってもそれは登山道が終わるというだけで、その先がさらに長いのですけれどね。
15時40分 もみの木台登山口と呼ばれている地点まで下って来ました。ここで一度舗装道路と合流しますが、間を突っ切る様にもう少し下まで登山道が続いています。

登山道があるうちはそこを辿りましょうと言うことで、下草が伸び放題で見るからに管理されていなさそうな道を下ります。

登山道の終点まで下って来ました。ここから先は舗装道路歩きです。

この辺りは一帯は那須ハイランドと呼ばれている別荘地です。瀟洒な建物が立ち並んでいる中をトボトボと下って行きます。

道中にバス停らしきものがありますが、これは別荘地内を巡回するデマンドバスのもので事前予約制です。駅方面へ行く路線バスは存在しないのでご注意ください。

それはつまるところ、もみの木台方面へ下ってしまった場合は、那須ロープウェイ行きの路線バスが通っている県道17号まで歩いて戻る必要があると言うことです。
と言うことで舗装道路歩きが延々長々と続くのですが、読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、道中の様子などはバッサリ省略します。

もみの木台から一番近い(と言ってもかなりの距離はある)バス停は一軒茶屋バス停ですが、私は温泉に寄って行きたいので那須湯本温泉を目指して足早に歩いて行きます。
那須に来ておきながら、温泉に入らないなどありえない!
17時20分 場面は一気に飛んで那須湯本温泉バス停まで歩いて来ました。さあ、風呂だ風呂。

鹿の湯は18時まで営業していますが、一般的に日帰り入浴の受付時間は営業終了時刻の30分前までです。もう時間がないので急ぎ足で向かいます。

何とかギリギリ受付終了時間前に滑り込めました。危ないところでした。

鹿の湯は何度来ても最高です。どう最高なのか言葉で説明するのは難しいので、こればかりは実際に体験してみてもらうほかありません。
那須湯本温泉からの帰りのバスは19時台まであります。よほどのことがない限り帰れなくなることはありません。

那須塩原駅から帰りもブルジョワな乗り物新幹線に乗り込み、帰宅の途に付きました。

茶臼岳の周辺に比べると歩く人はずっと少ない那須岳南部のエリアですが、頭上の開けた気持ちの良い稜線が続いていました。近年の那須岳の混雑ぶりに辟易しているという人には、穴場的な領域として大いに推奨します。
もみの木台へ下ってしまうと帰路で難儀することになるので、モデルコースとして考えるなら、白笹山はスキップして黒尾谷岳までを往復するのが妥当であろうかと思います。
ここを歩くのであれば断然シロヤシオシーズンがオススメです。那須五岳の踏破に興味がある人も無い人も、穴場の那須岳南部の山を巡ってみては如何でしょうか。
<コースタイム>
那須ロープウェイ山麓駅(9:15)-峰の茶屋跡避難小屋(10:15)-牛ヶ首(10:40)-日の出平(11:00)-南月山(11:20)-白笹山(12:05~12:20)-南月山(13:00)-黒尾谷岳(14:15~14:25)-もみの木台登山口(15:40)-那須湯本温泉バス停(17:20)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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