山梨県南部町にある篠井山(しのいさん)に登りました。
甲斐南部の富士川の辺に立つ山です。山梨県と静岡県の県境である安倍東稜の主稜線からは少し外れた位置にあり、半ば独立峰的な姿をしていることから、麓から見た際にかなり目を引く存在です。古くから豊穣の神として崇められてきた信仰の山であり、山梨百名山にも選ばれています。
遠路はるばる折りたたみ自転車を持ちこんで、秘湯と名高い奥山温泉とともに巡って来ました。
2023年3月30日に旅す。
富士川の流域に広がる甲斐南部と呼ばれる地。ここには公共交通機関によるアクセスが極めて困難な山梨百名山が、数多くひしめいています。
これまでゆっくりと時間をかけ細々と登ってきた甲斐南部の山梨百名山シリーズですが、いよいよ残すところはあと一座の状態となっていました。
その最後の一座が今回の舞台である篠井山です。身延線の車窓からも良く見えて、甲斐南部の山の中ではかなり目立つ存在です。
一見すると身延線の駅からそう遠くはない場所にある篠井山ですが、富士川に面している表側の登山道はことごとく廃道化しています。そのため、現状は裏側となる奥山温泉方面からしか登ることが出来ません。
標高600メートル地点の山中にある奥山温泉は、秘湯として名高い存在です。奥山温泉まで乗り入れているバスなどの公共交通機関は存在しません。基本的に車の無い奴はお断りな山であると言えます。
そこで今回私は現地へ折り畳み自転車を持ち込み、自転車による奥山温泉へのアプローチを試みました。輪行登山という暗黒面を極めし私に、もはや不可能などは存在しないのです。
そうとも(ゼェーゼェー)・・・ダークサイドのパワーに(ハァーハァー)・・・上限は・・・ない・・・のだッ!
コース
身延線の寄畑駅から奥山温泉登山口まで自転車でアプローチし、そこから山頂を往復します。
ぐるりと山の裏側へ回り込むことになるため、駅から登山口までは片道でおよそ16kmほどの距離があり、標高差は500メートル近くになります。
それを近いと感じるか遠いいと感じるかはかは、あなた次第です。
1.篠井山登山 アプローチ編 早朝に自転車を抱えて行く、甲斐南部への遠き旅路
君は三鷹を見たか。お早うございます。朝っぱらから使い古されたしょうもないダジャレで滑りまくっているオオツキです。折り畳み自転車をこいで第2の最寄り駅へとやってまいりました。
三鷹駅駅から高尾、大月、甲府と始発電車をリレーして行きます。最早慣れっこな行程ではありますが、自転車を抱えて歩くので何気に結構しんどい行程です。
ああ、ちなみに本日は溜まりに溜まった振休を取得しての平日登山です。ただでさえ通勤客がひしめく朝の電車に折り畳み自転車を抱えて乗り込むのは、周囲の顰蹙を買うのではなかろうかと今から戦々恐々しています。
甲府駅からは身延線へ乗り換えるのですが、乗り換え時間が2分しかない上に身延線は交通系ICカードに対応していないので、あらかじめ目的地までの切符を買ってから乗車します。これで来る甲府ダッシュへの備えは万全です。
と言う事で本日の最難関ミッションであるところの甲府駅身延線乗り換えは、何とかギリギリ成功しました。自転車を抱きかかえた状態で必死に走り、甲府駅6時43分発の富士行きに滑り込むことが出来ました。
いくらJR東日本とJR東海の仲が悪いからって、こういう利用者の利便性を損なうような連携不足はやめてほしんですけれどね。
内船駅を過ぎると、車窓に目指す篠井山の姿が見えて来ました。麓の集落から見てもかなり目立つ山ですね。古くから山岳信仰の対象になってきたのも納得の存在感があります。
なお身延線の多くの列車はワンマン運転であるため、降車時は先頭車両の前の扉しか開きません。目的地に近づいたら予め移動しておきましょう。下車時に運転手さんに料金を支払うシステムです。
8時25分 寄畑駅に着しました。駅舎すらないような、こじんまりとした無人駅です。当然ながら特急ふじかわは停車しません。
三鷹駅を出発してから実に3時間45分をかけての到着です。やはり何度来ても甲斐南部は遠いい。
目指す篠井山はこの通り、駅のホームからすでに見えています。一見すると駅チカの山であるようにも見えますが、奥山登山口は裏側にあるためグルっと大回りすることになります。
かつては富士川から見て表となる東側にも登山道が存在したのですが、崩落が進み現在は廃道となっています。現状は好む好まざる如何に関わりなく、奥山温泉に回り込む以外の選択肢がありません。
2.折り畳み自転車で行く、奥山温泉への遠き道程
8時35分 手早く自転車を組み立てて出発します。本日の行程は自転車で移動する区間の方が遥かに長く、実質的にはサイクリングがメインで登山の方はおまけみたいなものです。
まずは身延線と並走している県道10号線に沿って、富士川の下流方向へと向かいます。交通量は割と多めで、自転車だとちょっと怖い道です。右奥に見えているのは、山梨百名山の貫ヶ岳かな。
やがて右手に富栄橋が現れるので、橋を渡り富士川の対岸へ移ります。いかにも裕福そうな感じがする名前の橋ですが、川の両岸にあった富河村と栄村を結ぶ橋であったことに由来します。なお、現在は川のどちらも南部町の一部です。
上流方向を見ても、隣の橋が全く視界に入りません。たしか内船に架かる南部橋までは橋がなかったはずです。この付近に居住している人々は、川の対岸に渡るのも一苦労していそうです。
対岸へ移って以降もしばしの間、富士川の下流方向へ南下を続けます。国道52号沿いを通ってもいいですが、交通量が多めなので並走する一つ隣の小道を進みます。
やがて道の右手に奥山温泉への案内が現れるので、ここを右折します。温泉は英語表記だと単純にSpaになってしまうんですね。
ここまで細々と解説しておいてふと思ったのですが、そもそも駅から自転車で奥山温泉にアプローチしようと言うもの好きは、はたしてどれくらい存在すものなのでしょうか。
ここから先は、富士川支流の福士川に沿って進みます。この福士川は篠井山を源頭としており、これから水源の地まで遡って行くことになります。
福士川沿いの桜並木が、ちょうど見頃の真ん中を迎えつつありました。特に狙っていたわけではありませんが、結果としては理想的な訪問のタイミングであったようです。
中部横断自動車道の下を潜ります。川沿いにグネグネと蛇行しながら進む下道に対して、後からできた中部横断自動車道の方は橋梁やトンネルを駆使してほぼ真っすぐに続いています。そのため、この後何度も下を通ることになります。
篠井山が傍らにずっと見えていますが、山の背後に向かって大迂回をしているためなかなか距離は縮みません。
この道を走る路線バスも一応あるにはありますが、駅ではなく役場が起点となっているうえに、安定の平日のみ運行で登山に使うのは無理があります。
道すがらの桜が見事で、こうしてついつい何度も停止しては写真を撮ってしまいます。おかげで遅々として、なかなか目的地に辿り着きません。まあ特に先を急ぐ旅でもないので、のんびりと行きましょう。
福士川は上流部では深く切れ込んだ渓谷を成し、福士川渓谷と呼ばれています。キャンプ場などが整備されていますが、大々的に観光地化はされておらず、秘境感のある場所となっています。
いつの間にかずいぶん高々とした場所を通るようになった、中部横断自動車道の下をまたもや通ります。
川の上流を目指している訳ですから、当然ながら緩やかな登り勾配の道が続きます。今のところは苦しさを感じるような勾配は無く、気持ちの良いサイクリングロードです。
9時20分 福士川が二股に分かれる地点まで登って来ました。ここまで写真を撮りながらかなりゆっくりと漕いできたので、気張って漕げばここまでの時間はかからないと思います。
快適なサイクリングロードはここまでで終わりです。ここから先は山道の区間に入ります。
3.ひたすら自転車を押して登る、奥山温泉へのアプローチ後半戦
林道の入り口に奥山温泉の営業案内が出ていました。本日は営業中であるとのことです。当然ながら、下山後に立ち寄って行きますよ。
いよいよ本格的な山道区間に入ったわけなのですが、傾斜がキツイところは頑張って漕いでは登らずに、始めから自転車を降りて押して登ります。
別に私は小径車でヒルクライムがしたいわけではなく、あくまでもアプローチの手段でしかない訳ですからね。山登りを始める前に足の力を使い果たしてしまっては、元も子もありません。
道の脇に滑滝があり、わざわざ鑑瀑台まで整備されていました。地図によると、遊覧滝と言う名前です。変わった名称ですね。
もうほぼ終わりかけですが、道沿いにチラホラとミツマタが花を咲かせていて、急坂にめげそうになる心をいくらか慰めてくれました。
谷向の山の斜面に、かなりの規模のミツマタ群生地があるのが見えます。あの場所は東海自然歩道の一部で、上徳間黄金街道と呼ばれています。
これは是非とも一度見に行く必要がありそうですね。来年以降の宿題として覚えておくことにしましょう。
傾斜が緩んだら自転車にまたがり、キツくなったら降りて押すのを繰り返します。もっとも、乗車出来た区間はわずかで、半分以上は押して登りましたけれどね。
奥山ふれあいの森なるキャンプ場が現れました。奥山温泉が管理しているキャンプ場です。ここまで登ってくれば、ゴールまではもう一息です。・・・いや待てよ。ゴールでは無くてスタート地点だったか。
奥山温泉の入口まで登って来ました。温泉はここを左に入った場所にありますが、篠井山の登山口はまだもう少し先にあります。頑張って登りましょう。
頑張ると言っても最早漕ぐ気力は全くなく、始めから押して登ります。この最後の区間は傾斜がかなりきついので、ここまで頑張って自走して登ってきた人も、素直に降りて押した方が無難だと思います。
山梨県内の山でたまに見かける謎の看板、やまなしの森林100選がありました。真面目に数えたことはありませんが、現時点でいくつくらい見たことがあるのだろうか。
最後はミツマタ回廊が出迎えてくれたところで、ようやく登山口が見えて来ました。
10時30分 篠井山奥山温泉登山口に到着しました。どうだ見たか、これがダークサイドのパワーだッ!(ゼェッゼェッ、ハァーハァー)
なんだかんだで、最終的に半分以上は押して登ってしまいました。だってしんどいんだもの。
恐らくわざわざここまで自転車で登ってくる気などはさらさら無いであろう大多数の公共交通機関勢のために、奥山温泉登山口までアプローチするための、サステナブルでワイズスペンディングなソリューションを一つご提案しておきましょう。
寄畑駅からタクシーで、だいたい6,000円くらいだそうです。寄畑駅にタクシーは常駐していないので、事前予約が必須です。隣の内船駅から呼ぶことになります。
ここにもやまなしの森林100選がありました。大盤振る舞いですね。
登山口の向かいに駐車スぺ―スがあり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。本日は1台も停まっていないので、貸し切り状態なのが確定です。やったね!
4.沢沿いの道を行く、渡り場の頭までの道程
登山口に佇むこの2体の熊の彫り物は、夫婦であるらしい。芸が細かいですね。ちなみに篠井山は普通にクマが出ますので、クマ鈴を装備しておきましょう。
そしてクマ以上に気になるのがヤマビルです。甲斐南部にはヤマビルが多数出没するいわゆるヒル山が多くありますが、篠井山はその中でもずば抜けて悪評が高い山です。
まだヤツらが活発に活動を開始する時期には少し早いですが、ここ何日か気温の高い日が続いており油断はなりません。ヤマビルとの会敵はありうる前提のもと、靴下とズボンの裾に忌避剤を丹念に噴霧しておきます。
むしろ吸血された方がブログのネタ的にはおいしいんですけれどね。
安全祈願の鐘を景気良く鳴らして、10時45分に登山を開始します。
登り始め手から暫しの間は、舗装された林道が続きます。ウォーミングアップにはちょうど良いと言いたい所ですが、ここまでのアプローチの時点でもう既に十分すぎるほどウォーミングアップは終わっているんですよね。
登山口からすぐの場所に、不撓不屈の滝と銘打たれた滝がありました。大仰な名称とは裏腹に、至ってごく普通の滝です。
この奥山温泉ルートは、篠井山を守る会の手によって大変よく整備されています。道中にマイナーな山梨百名山にはありがちな危険箇所もなく、至って歩きやすい登山道です。
舗装された道が尽きたところに、再び鐘が設置されていました。これは単なる景気づけのためのものではなく、クマよけのためでもあります。と言う事で、ここでも景気良く鳴らしました。
篠井山を守る会からの励ましの言葉を受けて、山道へと入って行きます。
しっかりとした造りではありますが、だいぶ年委が入っていて若干の不安を感じる木橋を渡ります。特に揺れたりしなったりはしませんでした。
川の両岸を行ったり来たりしつつ、沢沿いの道をゆるゆると登ります。水辺の雰囲気や良しです。
今度は明源の滝と銘打たれた滝がありました。良く見ると、上下で二段に分かれた滝です。
滝の落差を越えるときは若干道の傾斜がきつくなりますが、それ以外は至って緩やかな道です。
続いて今度は絹糸の滝です。岩肌をつたう水流が、確かに糸のように見えます。
崩落気味の箇所がありましたが、しっかりとお助けロープが張られていました。行き届いている整備のおかげで、全般的に安心感のある道です。整備してくれた篠井山を守る会には、まことに頭が下がります。
これも滑滝の一種であるとは思いますが、変わった形状をしていますね。
沢沿いのジメジメと湿った空間は、確かにいかにもヤツらが好みそうな環境です。こまめに足元チェックはしていますが、今のところヤマビルの姿は見当たりません。単にまだ時期が早いのか、はたまた忌避剤が効いているのか。
またもやクマよけの鐘がありました。これだけ高頻度に設置されていると、かえって不安感が増して来ます。そんなに沢山いるの?と。
もうだいぶ沢の源頭に近づいているはずなのですが、これだけじゃぶじゃぶと水量があるのには驚きです。篠井山はそれだけ水が豊富な山なのでしょう。
11時45分 渡り場の頭と呼ばれる地点まで登って来ました。ここが奥山温泉コースのほぼ中間地点となります。
5.篠井山登山 登頂編 急登の果てに待つ甲斐南部の大展望
渡り場の頭を過ぎると、登山道は沢沿いを離れ急登が始まります。周囲の景色は、まるで奥多摩のような植林帯に変わりました。
これはゾウ岩だそうです。なるほどこの木の枝を鼻に見立てている訳ですね。
変わり映えのしない光景の急登がしばしの間、続きます。この辺りはひたすらに我慢の登山です。
今度はおじゃま石だそうです。登山道を塞いでいることに対するストレートな命名ですね。というかこれ、誰が名前をつけているのでしょう。篠井山を守る会?
薄暗い植林帯を抜けて、自然林の広がる一帯まで登って来ました。ここまで来れば、山頂まではもあと一息です。
篠井山の山頂は中央を小さな谷に分断されており、双耳峰のような姿となっています。山頂は進行方向から見て右側のピークで、左のピークにはかつての神社の跡地があります。ひとまずは先に山頂を踏みに行きましょう。
12時35分 篠井山に登頂しました。登山口を出発してから僅か1時間50分での登頂でした。登山口までたどり着くことが出来さえすれば、その後は実にお手軽な山なんですよね
これで自身の山梨百名山登頂数は97座目となりました。もう一息と言いたいところですが、難物の四天王がまだ2座も残ってしまっています。完登は夏山シーズンに入ってからかな
山頂は東側だけが開けています。眼下に富士川流域の甲斐南部の光景が一望できます。素晴らしい!
富士山も正面にドーンと見えるのですが、こちらは生憎と雲に覆われつつありました。それでも何となく見えてくれただけでも良しとすべきか。
往路に走って来た、福士川沿いの道がすべて見えています。下を走っている間ずっと篠井山が見えていたわけですから、当然逆もまたしかりなわけです。
これは朝に渡った富栄橋ですね。こうして見ると本当にすぐ近くなんですけれど、表側には道がないがためにエライ遠回りをしました。
白鳥山(568m)の先には。大きく弧を描く駿河湾の姿までもが見えました。あの辺りはもう静岡県だという事です。
こちらは富士川を渡る前からも良く見えていた貫ヶ岳です。あちらも山梨百名山に選ばれている一座にして、篠井山と同様に悪名高きヒル山です。
晴れてはいますが。だいぶモヤーと空気が霞んでいます。富士山がもう少し良く見える状態にならないかと山頂で少し粘りましたが、お天気は下り坂で、むしろ状況は悪化しつつありました
6.満願神社跡でかつての信仰の痕跡に降れる
13時15分 富士山の出待ちは諦めて、ボチボチ行動を再開します。もと来た道にはひき返さずに、満願神社跡を経由します。
鞍部まで下って来ました。道標に現在は廃道状態の御堂ルートへの案内が書かれていますが、崩落が進み危険な状態です。迷い込まないように注意してください。
一度下ったからには、その後は当然登り返します。幸いにも大した登りではありません。
地図を見た限りでは跡地しかないものと思っていたのですが、プレハブ造りの現役の神社もしっかりと存在していました
こうして現在に至るまで、篠井山への信仰は守られ続けているわけですね。
プレハブの現用神社を過ぎて少しのところに、満願神社跡がありました。こうしてベンチがあるので、ゆっくりと寛ぎたいのであれば山頂よりはこちらで休憩を取った方が良いかと思います。
ここでも真正面に富士山の姿がありました。雲は無くなるどころか、どんどん濃くなってきてしまいましたね。
7.篠井山登山 下山編 もと来た道を足早に引き返す
13時25分 富士山の方は若干残念な状態ではありましたが、これで見たかったものはすべて回収されました。そろそろ撤収に移りましょう。一度山頂に戻らなくても、神社跡から直接下れる道がしっかりと存在します。
ピストンなので、帰りは脇目も触れず足早にサクサクとまいります。ええ、もう既に頭の中は温泉のことでいっぱいですとも。
14時 サクサクと下って、渡り場の頭まで戻って来ました。急登だっただけに、下りはあっという間です。
再び沢沿いの道を歩きます。幸いなことに、帰路でもヤマビルの姿は見かけませんでした。
往路では気が付きませんでしたが、ハナネコノメが咲いていました。コケの中に咲く圧倒的な癒しの存在の花です。
マイナーな山の沢沿いの道というのは、大抵はどこも多少は荒れ気味であるものなのですが、篠井山の道は本当によく整備されています。ありがとう、篠井山を守る会。
無事に帰れてよかったよかったと言う事で、またも豪快に鐘を鳴らしておきました。
14時35分 奥山温泉登山口まで戻って来ました。登山開始からわずか3時間50分程のお手軽な山行きでありました。登山口に来るまでが全くもって手軽ではありませんでしたけれどね。
8.奥山温泉でひと風呂浴びたのち、快調なダウンヒルで寄畑駅へと戻る
当初の予定通り、奥山温泉へと立ち寄って行きます。いかにも古くから存在していそうな雰囲気ですが、実は平成4年になってから造られた、比較的新しい温泉宿です。
ちなみに、分岐からは結構大きく登り返します。ゼーハーゼーハー・・・登り返しがあるだなんて・・・聞いていない・・・。
若干うろ覚えですが、日帰り入浴の料金は確か900円だったかな。お湯はpHが高めのいわゆる美肌の湯です。お肌がすべすべになります。
一風呂浴びたら後は帰るのみ。往路ではあれほど苦労したのが嘘のような快適なダウンヒルです。苦労したとは言っても、半分以上は押して登ったんですれどね。
ここからも緩やかな下りが続きます。気張ってブレーキをかけ続けるほどの下り坂ではないため、思わず鼻歌が出てしまう位には快適極まりないサイクリングです。
往路では気が付かなかったけれど、道の脇に佇むこの謎の像は一体何だろう。スズキコージの絵本に出て来そうな造詣です。
何故かタケノコの形をしている道の駅と言い、南部町には不思議なものが沢山あります。
朝とはうって変わってすっかりと曇り空になってしまった篠井山の姿を写真に収めたところで、本日のミッションはすべて完了です。
16時50分 寄畑駅に帰還しました。案の定と言うか、山に登っていた時間よりも、自転車に乗っていた時間の方が長い一日でした。
甲府行きの特急ふじかわが通過して行くのを空しく見送ったのち、鈍行列車に乗り込んで長い長い帰宅の途につきました。
甲斐南部の山はどこも公共交通機関によるアクセスが余り良く無いと言うか、そもそも不可能であることが多く、車を持たない山梨百名山ハンターにとっては鬼門とも言える一帯です。今回私は自転車を持ち込むと言う方法で無理やり克服しましたが、普通に考えればタクシーを呼ぶのが唯一の選択肢になろうかと思います。
沢沿いの登山道は雰囲気が素晴らしく、山頂からの眺めも文句なしに絶景です。しかし、訪問の手間と照らしわせた時に果たして人にオススメすることが出来る山かと言われると、正直微妙なところです。山梨百名山の完登を目指しているわけでもない限りは、積極的におすすめできるだけの訴求力には欠けている山であると思います。
マイカーがあってかつ、手軽に登れる沢沿いコースをお探しの人にはおすすめの一座です。
<コースタイム>
奥山温泉登山口(10:45)-渡り場の頭(11:45)-篠井山(12:35~13:15)-満願寺跡(13:25)-渡り場の頭(14:00)-奥山温泉登山口(14:35)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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