長野県東御市、上田市と群馬県嬬恋村にまたがる湯ノ丸山(ゆのまるやま)と烏帽子岳(えぼしだけ)に登りました。
長野県と群馬県の県境を形成する上信国境上にある古い火山です。なだらかな高原状の山容を持ち、標高1,700メートル地点の地蔵峠まで車で入ることが出来ることから、手軽に登れる初心者向きの一座です。特にレンゲツツジが咲く6月下旬になると、多くの登山者訪れます。
梅雨時には貴重な晴天のもと、初夏の花と上信国境からの大展望を満喫してきました。
2023年7月2日に旅す。
湯ノ丸山は浅間山からもほど近い、長野県と群馬県の県境上にある山です。周囲一帯には、なだらかな高原状の尾根が連なっており、湯ノ丸高原とも呼ばれています。
山麓には湯の丸スキー場があり、一年を通じて多くの人が訪れます。車があれば手軽にアクセス出来る場所ですが、残念ながら路線バスなどの公共交通機関は一切乗り入れしていません。基本的には車がない奴はお断りな山です。
湯ノ丸高原はレンゲツツジの名所としても知られた存在です。ツツジシーズン中には、登山者のみならず多くの観光客で賑わいます。
時期的にちょうど梅雨と重なってしまうため、なかなか晴天の日を射止めるのは難しいですが、6月下旬から7月の上旬ごろにかけてが、湯ノ丸山訪問のベストシーズンであることは間違いありません。
比較的に簡単に登れる山ながらも、山頂からの眺めは圧巻です。北アルプスの名だたる名峰たちが横一列にずらりと並ぶ姿を一望できます。
最高の晴天に恵まれた、上信国境の山の訪問記です。
コース
車で乗り入れ可能な地蔵峠を起点に、湯ノ丸山と烏帽子岳を巡ります。下山後は車での移動を挟み、池の平湿原を散策します。
スタート地点の標高自体が高いため、それほどアップダウンは大きくないお手軽な行程です。
1.湯ノ丸山登山 プロ―チ編 碓氷の坂を越えて行く、さわやか信州への旅路
湯ノ丸山の登山口である地蔵峠は、公共交通機関によるアクセスはできない場所です。と言う事で本日は友人に車を出してもらい、いつものおっさん二人旅です。
進行方向の先に浅間山の姿が見えて来ました。本日の目的地である湯ノ丸高原は、浅間山のすぐ西隣にあります。こうして浅間山が見えていると言う事は、お天気の方はまず大丈夫そうです。
何しろ季節はまだ梅雨の真っ盛り。一番の懸案事項は天気の事です。
藤岡JCLから上信越道に入ります。やがて前方に異様な山容の岩峰が見えて来ました。日本三大奇景なるものの一つに数えられている、西上州の妙義山です。見た目通りの険しい岩峰で、岩場が好きな登山者にはたいへん人気のある山です。
ちなみに私は妙義山に登ったことはないし、今後も登る計画はありません。だって、見るからにおっかなそうじゃないですか。
碓氷峠を越えると、先ほどまでの晴天が嘘のようにどんよりとした曇り空に覆われてしまいました。朝の時点では低層雲に覆われしまうのは軽井沢や小諸ではよくあることで、山の上まで登れば雲海を見られるかもしれません。
小諸インターで高速を下ります。外気温は20度を下回っており、涼しいを通り越して少し肌寒いくらいです。避暑地として名を馳せているくらいの場所ですからね。流石はさわやか信州です。
高速を下りたら。後は長野県道・群馬県道94号を地蔵峠に向かってひたすら登ります。この地蔵峠越えの道は、信州上田と草津温泉を結ぶ街道として、江戸時代からすでに存在していたらしい。
期待していた通り、雲を抜けて頭上に青空が広がりつつありました。今日は何もかもがうまくいってしまう一日の予感がします。
7時50分 地蔵峠に到着しました。レンゲツツジシーズン中ということもあって、この時間でも駐車場は既に8割以上が既に埋まっていました。
半袖シャツ一枚しか着ていなかった私が、車から降り立った際に発した第一声は「寒ッ!」でした。外気温計をみると15度しかありません。うーん、さわやか信州っすな。
2.ピークは少し過ぎてしまった、湯ノ丸高原のレンゲツツジ群生地
8時5分 身支度を整えて行動を開始します。まずは湯ノ丸スキー場のゲレンデに沿って登って行きます。
ちなみにこのスキー場のリフトは、夏シーズン中にも観光運転が行われます。8時から営業開始らしく、ちょうど目の前で動き始めました。
我々は観光ではなく山登りに来ているので、リフトに乗らずに歩いて登ります。
ゲレンデを直登することになるため、登り始めからいきなりの急登です。ちなみに夏の湯ノ丸高原では牛の放牧がおこなわれており、足元はベコ糞地雷だらけです。あえて写真は出しませんが、十分に注意を払って歩く必要があります。
背後を振り返ると、まるで緩やかな丘陵のような高原地帯の光景が広がっていました。左に見えている山は篭ノ登山(かごのとやま)で、これから目指す湯ノ丸山と同じ浅間烏帽子火山群に属する火山です。
地蔵峠か15分と少々登ったところで、ツツジ平駅と呼ばれているゲレンデのトップに到着しました。お日様がギラギラなおかげで、気温自体は低めであるにもかかわらず、早くも大粒の汗が噴き出して来ました。
リフトで登って来ている場合、営業終了時刻は16時30分であるとのことです。歩いて下ったとしても大した距離ではありませんが、ここはまだスニーカー履きの観光客が普通に紛れ込んでくる場所ですからね。
さて、肝心のンレンゲツツジの方なのですが、ほぼ終わりかけですっかりと萎れてしまっていました。2023年はあらゆる花の開花シーズンが前倒し気味に進行していたので、訪問のタイミングとしてはちょっと遅かったようです。
この訪問の前日に強めの雨が降っており、終わりかけの状態だった花にとっては、それがとどめになってしまったようです。なんてこったい。
有刺鉄線によって登山道とは仕切られら場所に、終わりかけのレンゲツツジがポツポツと咲いていました。牛の姿は見当たりませんが、この柵の向こう側が放牧地なのかな。
前方にこんもりと、湯ノ丸山の山頂部が姿を見せました。地蔵峠スタートなら、標高差は400メートルあるかないかくらいです。高尾山レベルの山ですね。
8時40分 鐘分岐と呼ばれている地点まで歩いて来ました。鐘があるから鐘分岐。直球の名称です。ここまでは登山であるとは言い難く、完全に観光地の領域です。
鐘分岐から先が登山道の領域となります。それでは張り切って登山開始と参りましょう。まあ、張り切るまでもなくここから30分くらいで登れてしまうんですけれどね。
3.湯ノ丸山登山 登頂編 北アルプスの山並みを一望する、好展望の頂
登山道の領域に入るなり、いきなりの急登が始まりました。九十九折れも何もない一直線の直登です。
道の脇にはレンゲツツジだけではなく、シャクナゲの姿が目立ちます。
この真っ白なシャクナゲは、ハクサンシャクナゲという種です。奥秩父の山でよく目にするアズマシャクナゲと比べると、いくらか小ぶりな花を咲かせます。
まだ萎れてはいない、見頃状態のレンゲツツジも僅かにですが残ってくれていました。ありがたやー。
急登なだけに、短時間でみるみる視界が開けていきます。眼下に湯ノ丸高原と呼ばれる一帯が広がります。良いですねえ。私はアルペン的な岩稜よりも、こういう放牧的な稜線の山の方が好みです。
遠くに薄っすらと見えているこの山は、もしかしなくても富士山ですね。見えるとは思っていなかったので少々驚きました。今日はそれだけ空気が澄んでいると言う事です。山頂からの展望に、大いに期待ができそうです。
登るにつれて傾斜が増してゆき、最後は手も使うような勾配になりました。ついうっかりここまで紛れ込んでしまったスニーカー履きの観光客がいたら、下るときに結構怖い思いをするのではなかろうか。
最後の急登を登りきると、山頂部がお目見えしました。いかにも豪雪地帯の山らしい、森林限界を超えた笹の稜線です。
ここまで登って来て、ようやく篭ノ登山の背後に隠れていた浅間山の姿が見えました。一目で成層火山であるとわかる山が、幾重にも連なっているのが良くわかります。
9時10分 湯ノ丸山に登頂しました。山頂は文字通り360度全方位が開けています。登山口から1時間少々で登ってこれる山のものとは思えないような大絶景が広がっていました。素晴らしい!
山頂の様子
ガラ石が散乱する広々とした空間です。吹きっ晒しなので、直射日光は暑いけれど風は冷たいと言う、暑いんだか寒いんだかよくわからない状態となっていました。
それでは早速、周囲の展望をつぶさに眺めてみましょう。西側には北アルプスの山並みが端から端まですべて見えます。
みんな大好きな槍ヶ岳から穂高連邦に至る山並みです。北アルプスにおける花形的な一帯です。槍の穂先は、本当にどこから見ても目立ちますね。
槍穂高の右手には、糸魚川構造線に沿って延々と後立山連邦の山並みが連なります。個人的には後立山連峰の盟主と言えるのは鹿島槍ヶ岳だと思っているのですが、世間一般では白馬三山の方が人気なのかな。
北西方向には戸隠連峰や頚城山塊などの山々が見えます。北信五岳と呼ばれている飯縄、黒姫、妙高山の存在感が特に際立っています。・・・たまにでよいので、斑尾山の事も思い出してあげてください。
北側には四阿山(あずまやさん)へと続く上信国境の山並み。良いですねえ。時間と体力が無限にあったら、どこまででも歩いて行きたいと思わせる光景です。
北東方向には、高原野菜の産地として名高い群馬県の嬬恋村の田園風景が広がります。きっと夏も涼しくて快適なんでしょうね。その分、冬の寒さは厳しいのでしょうが。
東側の浅間山方面です。こちらにも上信国境を形成する、中央分水嶺の山々が連なります。
すぐにでも雲に没するだろうと思っていた富士山は、意外にも粘りを見せていました。富士山すぐ左には、瑞牆山らしきギザギザが何となく見て取れます。
南の真正面には八ヶ岳連峰があります。八ヶ岳は長野側から見ると麓からの標高差がそれほど大きくないため、山梨県側から見た時のような迫力はあまり感じられません。
展望に関してはもう十分すぎるほどに堪能しましたが、湯ノ丸山単体ではあまりにもボリューム不足で物足りないのは否めません。そう感じる人は、お隣の烏帽子岳まで足を伸ばしましょう。湯ノ丸山からはおおよそ1時間半ほどの行程です。
4.湯ノ丸山に引けを取らない好展望地の烏帽子岳
9時35分 烏帽子岳に向かって鞍部へと下ります。烏帽子岳は上信国境の主稜線からは少し外れた場所にあり、完全に長野県内にあります。
ちょっと下る程度かと思いきや、意外にしっかりと標高を落とします。日当たりが悪い西側の斜面にあるため、前日の雨で濡れた地面は乾ききっておらず、油断のならない下りです。
湯ノ丸山の山頂から25分程をかけて、鞍部まで下って来ました。下ってしまった以上、当然この後に待っているのは登り返しです。
山頂に向かってまっすぐには登り返さずに、南側にグルっと回り込みつつ尾根の上へと登りあげます。日当たり良好な上に風がそよとも吹かず、急に暑くなってまいりましたよ。
ハクサンチドリを始めたとしたいくつかの花が咲いていましたが、暑すぎるせいかどれもシオシオに萎びていました。
暑さに喘ぎながら登るうちに、稜線が見えて来ました。朝には寒さに震えていたと言うのに、いつの間にか夏山らしいコンデションになってきましたな。
背後を振り返ると、つい先ほどまで居た湯ノ丸山の姿が良く見えました。傍から見ると、樹林に覆われていて特に眺めが良さそうにも見えないのですが、山は見かけによらないものですね。
稜線の上にまで登って来ました。お日様ギラギラ状態なのは変わりありませんが、風が抜けるようになったおかげで少し快適になりました。
眼下に、これまで見えていなかった上田盆地の展望が広がります。長野県の主要な盆地であるところの四つの平には含まていませんが、戦国武将真田氏発祥の地にして信州における重要な平坦地の一つです。
烏帽子岳には小規模ながらコマクサの群生地があります。時期的には見頃のピークを少し過ぎたくらいだと思いますが、果たして咲いているでしょうか。
だいぶ萎びてはいますが、まだ咲いていらっしゃいましたよ。ありがたやー。
・・・しかし、いつ見ても大抵はシオシオに萎びているこの花の、一体どの辺りが高山植物の女王なのか、正直なところよくわかりませぬ。
稜線に出てからは実にあっけなく、山頂らしき場所が見えて来ました。
10時40分 烏帽子岳に登頂・・・と思いきや、まだここはその手前の小烏帽子岳でした。紛らわしい標柱を立てんでくれ。
と言う事で、烏帽子岳の山頂はもう一つ先です。最後にもうひと登り歩きましょう。
湯ノ丸山周辺の規模には及びませんが、烏帽子岳の稜線上にもポツポツとレンゲツツジが咲いていました。
日本のエーデルワイスことウスユキソウも咲いていました。レンゲツツジの群生ばかりが注目されがちな湯ノ丸高原ですが、実に多種多様な高山植物の花が咲きます。
10時55分 烏帽子岳に登頂しました。こちらの山頂もほぼ全方位に展望が開けており、湯ノ丸山に全く引けを取りません。
中でもとりわけ四阿山と根子岳の眺めが大変すばらしい。四阿山は日本百名山の中では人気知名度ともにあまり高くなく第二線扱いされがちな山ですが、こうして傍から眺めると名峰の風格十分です。
ここまで歩いて来た、地蔵峠方面の眺めです。結構歩いたようでいて、距離的にはそれほど離れてはいません。コンパクトにまとまったコースです。
浅間山は今日も盛んに噴煙を上げています。令和5年7月現在、浅間山は噴火警戒レベルが2に引き上げられたままなので、前掛山までは入れない状態が続いています。
眼下には信州上田の街並み。この山と町の近さの感じが、実に山岳県らしい光景です。
なかなか満足度の高い寄り道でありました。湯ノ丸山へとお越しの際は、是非ともここまで足を伸ばすことを強く推奨します。
5.湯ノ丸山登山 下山編 湯ノ丸キャンプ場を経由して地蔵峠へ戻る
11時20分 見るべきもの見たし、ボチボチ撤収しましょう。湯ノ丸山との鞍部までは、もと来た道を引き返します。
時刻が正午近くになると、いかにも夏山らしい綿菓子のような雲がポツポツと沸き立ち始めました。快晴タイムはそろそろ終わるのかな。
気乗りはしませんが、快適だった稜線を離れて、再び風がそよとも吹かない灼熱地獄へと下って行きます。
12時 サクサクと下って、湯ノ丸山との鞍部まで下って来ました。帰りは湯ノ丸山へは登り返さずに、巻き道を使って地蔵峠に戻ります。
ここからはしばしの間、ほぼ水平移動の道が続きます。特にこれと言った見所も無いので、半分駆け足のようなペースで歩きました。
4差路になっている分岐が現れました。ここから往路に通った鐘分岐まで戻ることも出来ますが、直進しても最終的には地蔵峠に戻れるので、このまままっすぐに進みます。
森の中の日陰は水はけが悪いらしく、足元がドロドロの泥濘状態でした。転んだら悲劇なので、ここは慎重に下ります。
足元ドロドロの森を抜けると、広々とした場所に出ました。湯の丸キャンプ場です。
昨今のキャンプブームにより、キャンプ場はどこも週末の混雑が問題となっていますが、ここは至って空いているように見えました。もしかしたら穴場なのかもしれない。
キャンプ場からは峠までの最後の区間は舗装道路歩きとなります。まあ、大した距離ではありません。
12時45分 スタート地点の地蔵峠まで戻って来ました。たくさん歩いたようでいて、僅か4時間40分ほどの山行きでありました。それだけ密度が濃かったと言う事でしょう。
6.おまけの延長戦 池の平湿原を散策する
予定していた登山は終わりましたが、まだ時間も早いので少しばかり寄り道をしてゆきます。地蔵峠から車で15分程ほどの距離にある、池の平湿原を散策して行きます。
林道と言う事で悪路である可能性を警戒していたのですが、意外にも舗装はしっかりとしており、すれ違いも全く問題ありません。ドライバーの友人T君は、ついに僻地専門登山家の肩書を返上する時がやってきたか。
湿原の入口には駐車場がありますが有料です。普通車は環境協力金込みで600円なり。
駐車場はかなり混雑していました。湿原の散策と言うのは、意外と人気があるものなんですね。
13時20分 本日2度目の行動を開始します。この後には温泉も控えているので、あまり長居はせずにサクッと回ります。
・・・おかしいな。木道の上を歩き回るだけのゆるふわな湿原散策のはずだったのに、歩き始めて早々に何故かガッツリと山道を登らされている。
ふと脇を見ると、はるか眼下にその湿原らしき場所があるのが見えました。何のことはない、湿原の周囲の山を巡るルートを歩いてしまっていたと言う事です。まったく、歩きだす前に地図くらい良く見ろよ。
と言う事でおまけの延長編のはずが、しっかりと山登りになりました。まあもともと少し物足りないくらいのボリュームだったから、別にいいんですけれどね。
ここからも四阿山と根子岳が良く見えました。こうしてすこし引いた位置から眺めると、長大な進野を引くかなり大柄な山であることが良くわかります。大きいことはいいことだ。
池の平湿原の全貌が見渡せる場所がありました。この湿原はもともとは三方ヶ峰の火口湖で、長年の堆積物の沈殿により湖が消滅して湿原に変わりました。こうして上から俯瞰すると、火口だったのが良くわかる地形をしています。
草原状の開けた稜線もあれば、こうしてしっとり苔生した森もあったりと、多少性のあるコースです。
足元にギンリュウソウが咲いていました。まるでキノコか何かのようなナリをしていますが、これでも花です。見かけだけでも幸運な気分になれる希少な花です。
このまま道なりに左へ下ってゆくと湿原に下りられますが、その前に右方向にある見晴岳なるピークを踏んで行きましょう。
登って行くと、周囲が大きく開けました。これは確かに名前通り見晴らしが良さそうです。
13時50分 見晴岳に登頂しました。池の平湿原は山ではなく観光地の範疇だと思うのですが、道中はしっかりと山道でした。大半の人はここまでは登ってこずに木道だけを散策するのかな。
眼下に広がるのは佐久盆地です。長野県の人は盆地と言う言葉はあまり使わずに平(たいら)と呼ぶのだそうで、佐久盆地についても佐久平(さくだいら)と言う呼び名の方が一般的です。
信濃の国の四つの平と言われていのが、善光寺平(長野盆地)、松本平、佐久平および伊那平(伊那谷)です。山だらけで可住地面積自体が極めて少ない信州における、極めて希少な平坦地の一つです。
本日登って来た湯ノ丸山と烏帽子岳の姿も良く見えました。この光景を見られただけでも、ここまで登ってきた甲斐は十分にありました。やはり寄り道はしてみるものですね。
見晴岳にもコマクサの群生地があります。烏帽子岳の群生地よりも個体数は多く、そこかしこに咲いていました。
見晴は十分に満喫しました。そろそろ本題の湿原へ下りましょう。
と思ったのですが、三方ヶ峰にもコマクサ群生地があると言うので、結局はこちらにも寄り道しました。見晴岳からなら、ほぼ下って行くだけなので大した距離ではありません。
白いコマクサが咲いていました。その名もシロバナコマクサと言い、通常のコマクサと比べて非常に個体数が少ない希少な花です。
さあ今度こそ寄り道はお終いです。湿原へと下りましょう。ゆるふわな湿原散策とは一体何だったのか。
湿原へと下りて来ました。もう少し季節が進むとアヤメやニッコウキスゲが咲くのですが、時期が良くなかったのか今は花のないただの草原状態でした。
湿原散策のベストシーズンにはまだ少し早かったと言う事ですね。湿原よりもコマクサの方がメインになってしまった感がありますが、珍しいシロバナコマクサも見られたので良しとしましょう。
と言う事で、降りて来て早々ですが撤収します。
湿原はかつての火口の底にあたる一番低い場所にあるため、駐車場へ戻るには登り返しがあります。・・・登り返しがあるだなんて・・・聞いていない・・・。
14時20分 駐車場まで戻って来ました。出発時点ではほぼ満車状態だった駐車場も、この時間ともなると流石に台数が減っていました。
さあ、あとは一風呂浴びて帰るのみです。秘湯と名高い高峰温泉へと立ち寄ります。
7.高峰温泉には入れず、こまくさの湯に立ち寄り帰還する
池の平湿原までの道は舗装されていたので油断していましたが、そこから先は未舗装のダートでした。今回も肩書返上はならず、結局はいつもの僻地門登山家の運転光景が繰り返されるのでした。
お目当ての高峰温泉までやって来ましたが、駐車場には車があふれており、現在およそ1時間待ちであるとの案内が掲げられていました。なんだって・・・。
そもそも大浴場があるわけもない小さな温泉宿の内湯でしかないため、大人数を捌くことはできないようですね。残念ですが今回は諦めます。
高峰温泉は素通りして車坂峠までゆき、コマクサの湯に立ち寄って行きます。浅間山に登った後に立ち寄る温泉として定番の場所です。露天風呂はありませんが、ガラス張りで大変眺めが良い浴場です。
温泉の前のニッコウキスゲが咲き始めていました。この分だと、池の平湿原が花に覆われ始めるのは1週間後くらいなのかな。
一風呂浴びたら後はもう帰るのみ。関越道が渋滞していないと良いのですが。
朝のどんよりした曇り空とは打って変わった青空が広がる小諸インターから、再び上信越道に乗ります。
中央道よりは多少マシとは言えども、関越道でもしっかりと渋滞につかまりました。やれやれと肩をすくめつつ、東京への長い長い帰宅の途に着きました。
レンゲツツジのピークからは少し外れてしまいましたが、梅雨時には貴重な快晴のもと決行された長野遠征は大満足の内に幕を下ろしました。上信国境地帯に連なる山々はどこも笹の稜線で眺めがよく、ハズレのない山域であると思います。東京からだと、遠いことだけが難点ではありますが。
ベストな訪問時期は間違いなくレンゲツツジが咲く頃ですが、冬でも比較的登りやすい山であるようなので、季節を変えて訪れてみるのも良いかと思います。登山口から1時間少々で手軽に登れて、それでいて北アルプスの大パノラマが広がる格好の展望台へと、繰り出してみては如何でしょうか。
<コースタイム>
地蔵峠(8:05)-鐘分岐(8:40)-湯ノ丸山(9:10~9:35)-分岐(10:00)-烏帽子岳(10:55~11:20)-分岐(12:00)-地蔵峠(12:45)
池ノ平駐車場(13:20)-見晴岳(13:50~14:00)-三方ヶ峰(14:15)-池ノ平湿原(14:25)-池ノ平駐車場(14:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキさん、こんにちは。
私は、還暦のおっさん「くりこま」です。
いつも「週末は山を目指す」ブログで、オオツキさんの美しい写真と楽しい文章を見ています。
また健脚な山行ぶりにすごく感心しつつ、よく自分の登山計画の参考にさせていただいております。
7月2日、私も同じ日に烏帽子岳から湯ノ丸山を回り、湯ノ丸山頂から下りてくる途中で、登ってくるオオツキさんの姿を見かけました。
「もしかして」と思いつつも似ている別人かも、と一瞬とまどい、声もかけずにすれ違ってしまいましたが、今回の記事を見てやはりご本人だとわかりました。
広いようで狭い日本ですので、またどこかでお会いする機会があればな、と思っております。
今後もブログの記事を楽しみにするとともに、オオツキさんの安全登山を祈念いたします。
くりこまさま
コメントを頂きましてありがとうございます。
確かに早々と下ってくる人と何回かすれ違った記憶があります。あの時間帯にもう下り始めていたと言う事は、暗いうちから登り始めてご来光見物でしょうか。
あの日は下界が雲海になっていましたから、さぞかし壮観だったのではないでしょうか。羨ましいです。