天狗岳-硫黄岳 北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界の山域を巡る

根石岳付近から見た天狗岳
長野県茅野市にある天狗岳(てんぐだけ)と硫黄岳(いおうだけ)に登りました。
北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界である、夏沢峠を挟んで向かい合っている2座を巡る行程です。どちらの山も標高2,500メートルを超える高峰でありながら比較的登りやすく、付近にはなにかしらの名物を取りそろえた山小屋が数多く点在し、幅広い層に人気のある山域となっています。
桜平駐車場を起点にして、八ヶ岳中部の山々を巡り歩いて来ました。

2021年7月25日に旅す。

天狗岳は南北に長い八ヶ岳連峰のほぼ中央付近に立つ山で、東西二つの頂を持つ双耳峰です。付近には通年営業の山小屋が数多く存在し、比較的登りやすい山であることから人気の高い山です
中山峠付近から見た天狗岳

東西に二つある山頂のうち、最高地点は西天狗岳の方です。縦走路からは外れた位置にあるため、最高地点を踏みたければ東天狗岳の山頂から往復する必要があります。
西天狗岳の山頂

「この恥辱をなんとしてもそそがねばならぬ。ピークハンターの沽券にかけてッ!」という事で(?)今回、再訪していきました。

天狗岳単体では少々物足りない感じもしたので、お隣の硫黄岳と合わせて登って来ました。
根石岳から見た硫黄岳
北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界を巡り歩き、ついでにオーレン小屋名物のボルシチを賞味してきた一日の記録です。

コース
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桜平駐車場を起点にして、天狗岳と硫黄岳の2座を巡ります。

1.天狗岳登山 アプローチ編 桜平駐車場に前乗りする

7月24日 中年二人を乗せた車が、快調に中央自動車道を進みます。
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この日は連休最終日の前日とあって、反対側の上り線では大渋滞が発生していましたが、下り線の方は至って空いており快調でした。とは言ってもこの反対側車線の渋滞は、明日の我が身であるわけですがね。

目指す桜平駐車場は、硫黄岳や天狗岳へ登る際に最寄りとなる駐車場です。駐車場の手前から、結構な距離のダートを走ることになるため、最低地上高が低い車での訪問は推奨しません。
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既に真っ暗な時間帯だったので、この写真は翌日に撮影したものです。

夜の20時過ぎに桜平駐車場に到着しました。本日はここで前泊します。うまい具合に、車の後の僅かなスペースにテントを張ることが出来ました。
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この桜平駐車場は、上、中、下の3ヵ所に分かれています。登山口に近い上と中の駐車場は、週末などは早朝のうちにやってこないと、満車になってしまうことが良くあります。

そのため本日は、大事をとって前日の内に乗り入れた次第です。

翌朝に目覚めると、案の定路肩のスペースはすべて埋まっていました。上と中の駐車場はさほど距離が離れていませんが、下駐車場に止めた場合は、登山口までおおよそ1時間30分ほど林道を歩くことになります。
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公共交通機関を利用してこの場所へ訪れるには、茅野駅からタクシーに乗車するしかありません。料金はおおよそ1万円ほどかかるそうです。茅野のタクシードライバーは、頼めばこのダートにも突っ込んでくれるようです。

もしくは、ここから山道を30分程登ったところにある夏沢鉱泉に宿泊すれば、茅野駅から送迎車で送ってもらえます。

2.涼しげな沢沿いの道を行く、オーレン小屋への道

4時50分 身支度を整えて登山開始を開始します。スタート地点の駐車場からして既に、辺りはいかにも北八ヶ岳の森らしくコケに覆われていました。雰囲気や良しです。
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上駐車場から少し下ったところに登山口があります。ゲートの後に駐まっているのが、夏沢鉱泉の送迎車なのかな。
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まだ夜明け間の森の中は思いのほか冷え込んで、半袖シャツ一枚では奮えるほどの寒さです。・・・上に羽織る長袖を家に忘れて来た私が悪いのですがね。さささ寒い。
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夏沢鉱泉までは、簡易舗装のされた道が続いています。思いのほか急勾配な坂道ですが、ウォーミングアップにはちょうど良いです。なにしろ体を動かさないことには、寒くてかないません。
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堰堤の工事現場脇を通り抜けます。この大型の重機は、あの狭いダートを自走して乗って来たのでしょうか。
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5時15分 駐車場から30分程歩いたところで夏沢鉱泉に到着しました。公共交通機関を利用して天狗岳に登るなら、ここかもしくは唐沢鉱泉に前泊して、翌日の早朝から歩き始めるのが良いと思います。
夏沢鉱泉

この時点で標高は既に2,060メートルあります。登山口の標高自体が高いため、天狗岳は比較的簡単に登れる山です。
夏沢鉱泉の標高

夏沢鉱泉を過ぎるたところで、ようやく登山道らしいになりました。夏沢峠までずっと、気持ちの良い沢沿いの道が続きます。
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途中にトイレかと思うような小屋が立っていましたが、これはオーレン小屋の水量発電だそうです。そんなものまで備えているとは、水量豊富な沢沿いの小屋ならではですね。
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西側にある斜面の谷底を歩いているため、なかなか陽が射しては来ません。それはつまるところ、いつまでたっても寒いままだという事です。
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いくら夏山だからと言って、標高2,000メートルを超える山に半袖シャツしか持ってこないような山ナメをやらかす事がないよう、くれぐれもお気お付けください。

沢のせせらぎに癒されます。水が流れる落ちる音と言うのは、何故こんなにも心地よい音色として響くのでしょうか。
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頭上の視界が開けて来ましたが、山頂付近は雲に覆われています。これ始めから織り込み済みで、予報によれば8時から9時頃にかけて青空が広がり始めるはずです。そのタイミングに山頂に立つことを目標としています。
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やがて前方の森が切れて、人工物が姿を見せました。
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6時 オーレン小屋に到着しました。硫黄岳や天狗岳登山のベースとなる人気の山小屋です。ボルシチが名物だという事なので、帰りに立ち寄ってボルシチランチすることを、本日の最終ミッションと位置付けます。
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硫黄岳が小屋の目の前にありますが、今は生憎と雲隠れ中です。果たして予報の通りに晴れくれるのかな。
オーレン小屋から見た硫黄岳
本日の計画では、天狗岳に登頂した後にこの硫黄岳まで周回し、再びオーレン小屋に戻ってきます。

この引っかき傷のようなザレ場がある山は、峰の松目(みねのまつめ)と言う変わった名前をした山です。こちらの上空は、見事に晴れ渡っていました。
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3.ガスと強風の中を進む、根石岳への道程

何はともあれ、まずは我が因縁の相手である西天狗岳への登頂を果たすのが最優先事項です。という事で、天狗岳方面へと歩みを進めます。
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頭上では、かなりの速さでガスが東から西へと流れていました。稜線上に出たら、結構な強風に見舞われそうですね。
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本日は途中からは森林限界越えの稜線を歩く事になるため、暑さ対策ばかりを気にして水を多めに担いでいましたが、実際は逆に寒さに震える事になろうとは完全に想定外の事態です。

暫しの間、キツくもユルくもない微妙な傾斜の登りが延々と続きます。何時しか周囲は、奥秩父の森とよく似た雰囲気のコメツガ林となりました。
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登山道を整備中らしく、資材が道の脇に大量にデポされていました。防水のために木板にタールをしみこませてあるらしく、濃厚な石油臭が鼻を突きます。
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いつしか周囲はすっかりガスの中です。頼むから、予報の通りに晴れてくれよ。
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6時45分 箕冠山(みかぶりやま)に登頂しました。箕(みの)を被せたような姿の山だと言うのが名前の由来ですも。現在の硫黄岳も、昔は箕冠岳と呼ばれていたのだとか
箕冠山の山頂

箕冠山を過ぎると、稜線に出て視界が開ける・・・はずなのですが、生憎とガスに覆われていました。
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この濃密なガスが、果たして登頂するまでに取れてくれるのでしょうか。前途に一抹の不安を感じる展開です。

箕冠山から下ると、今度はすぐに根石岳に向かって登り返します。この鞍部の一帯は風の通り道になっているらしく、強烈な横風に晒されました。
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ここで不意にガスが切れて、頭上に青空が広がり始めましたました。なんと言うタイミングの良さ。これぞまさしく天祐か。
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背後の視界も開けつつありました。中央に薄っすらと見え始めている山は、位置的に阿弥陀岳(2,805m)だと思われます。
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右下に見えているのは、根石岳山荘と言う山小屋です。八ヶ岳は「小屋ヶ岳」などと揶揄されることがあるくらいに、多くの山小屋が林立している山域です。

これだけ数が多いとやはり競争原理が働くらしく、先ほどのオーレン小屋のボルシチをはじめ、何らかの名物を前面に押し出している小屋が多いのが特色です。

7時5分 根石岳に登頂しました。さて、果たして目的地の天狗岳は晴れているのでしょうか。
根石岳の山頂

ガスの中から、目の前に天狗岳がドーンと姿を現しました。それはまるで私の到着を待ってくれていたかのような、完璧すぎるタイミングでの出来事でした
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余りにも出来過ぎな事態に「ハハハハッ、敗北が知りたい」なんて言葉が自然に飛び出してしまうくらいに、少々おかしなテンションになってきました。

4.天狗岳登山 登頂編 因縁の山の頂を踏む

この晴天がいつまでも続く保証はありません。山の神様の機嫌が変わらないうちに、急ぎ山頂を目指すことにしましょう。
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目の前に東天狗岳が立ちはだかります。東天狗岳は八ヶ岳の縦走路上に位置しているため、縦走登山をしていれば意識せずとも自然にピークを踏むことになります。
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一方の西天狗岳は、縦走路から少し外れた場所にあります。こちらの方が天狗岳最高地点であるという事を知らなかった私は、前回何の疑念も抱かずに通り過ぎてしまいました。
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またガスて来ました。先ほどから目まぐるしく晴れてはガスるのを繰り返しているので、今はいちいち一喜一憂せずにとにかく進みます。
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東天狗岳への登りは、そこそこ険しい岩場の道となります。気を引き締めて参りましょう。
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かなりのスピードでガスが流れて行きます。思っていた通り、山頂付近には強風が吹いていました。
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山頂の直下は高度感があって結構怖い場所だったりするのですが、幸か不幸か視界不良で足元は良く見えない状態でした。
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7時40分 東天狗岳に登頂しました。この小海町最高地点と書かれた標識は、確か前回訪問時には掲げられていなかったように記憶しています。
東天狗岳の山頂

北八ヶ岳方面はガスの中です。晴れていれば、蓼科山まで続く広大な溶岩台地を一望できます。
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到着早々ですが、本日の目的地である西天狗岳へ向かいましましょう。東天狗岳からは、標準コースタイムで片道20分の距離です。
東5天狗岳から見た西天狗岳

山頂の直下に登山道らしき道筋が見えませんが、ひょっとしてあのガレ場を登るのでしょうか。
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思った通り、道はガレ場の只中に続いていました。かなり急なように見えて身構えていましたが、目の前まで来ると大した傾斜ではありませんでした。
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そんな訳で、意外とあっけなく山頂が見えてきました。
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7時55分 西天狗岳に登頂しました。無事に2年越しの雪辱を晴らすことがかないました。まったく、こんなすぐ近くにあるのに、前回なぜスルーしてしまったのか。
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ちなみに、東天狗岳の標高は2,640メートルで、西天狗岳は2,646メートルです。その差はたったの6メートルしかありません。

晴れてはくれたものの、雲が多めで遠くはよく見えません。雲が無ければ、遠くに北アルプスの山々が居並んでいるのが見えるはずです。
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振り返って見る東天狗岳の姿です。雲は東側から流れてきているらしく、文字通り暗雲が垂れ込めて物々しい姿をしていました。
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南に目を向けると、雲にまかれた赤岳(2,899m)の姿が僅かに見えました。この後に登る予定の硫黄岳が赤岳の左隣にあるはずですが、完全に雲隠れを決め込んでしまいた。
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硫黄岳まで足を延ばすかどうかは、とりあえず夏沢峠に着いた時点の天気を見て考えることにしましょう。

5.北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界、夏沢峠

8時25分 2年越しの宿題を無事に終えることが出来て、大いに満足しました。ボチボチ行動を再開しましょう。
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箕冠山まで元来た道を引き返します。という事なので、まずは手始めに東天狗岳へ登り返します。
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天気は上り調子で、硫黄岳を覆っていた濃厚なガスが、徐々に取れ始めて来ました。依然として山頂部は隠れたままですが、爆裂火口の火口壁らしき岸壁が見えます。
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東天狗岳の山頂には、ものすごい人だかりが出来上がっていました。天狗岳はかくも人気の山でありましたか。
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この立錐の余地すらないような東天狗岳の喧騒と比べて、西天狗岳の山頂は実に静かなものでした。やはり西天狗岳まで足を延ばそうと言う人は、あまり多くは無いようですね。みなさーん、ここは最高地点ではないですよー。

北八ヶ岳方面を覆っていたガスが晴れて来ました。山の上と言うよりは、まるで高原台地か何かのようにも見える広大な空間が広がっていました。
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眼下に黒百合ヒュッテの屋根が小さく見えます。ビーフシチューが名物だと言う山小屋です。この小屋は通年営業なので、冬の天狗岳に登る際には、非常に重要な拠点となります。
東天狗岳から見た黒百合ヒュッテ

もはや密状態もいいところなので、逃げるようにして足早に東天狗岳を後にします。
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眼下にまたもや山小屋らしき屋根があるのが見えます。日本一高い位置にある野天風呂として名高き本沢鉱泉です。
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ここも一度泊ってみたいと思いつつ、未だに訪問が叶っていません。前を通過したことならあるのですけれどね。

足元にはイブキジャコウソウがたくさん花を咲かせていました。こんな過酷な環境下であっても、しっかりと花は咲くのですね。
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往路ではちょうどガスっていて見えませんでしたが、晴れている時に鞍部から見上げた天狗岳はこんな姿をしています。
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降りて来て早々ですが、すぐに根石岳への登り返しが始まります。縦走登山とはそう言うものです。
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9時15分 根石岳まで戻ってきたところで、まるで狙いすましたかのように硫黄岳がガスの中から姿を現しました。
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どうやら今日は、なにもかもがうまくいってしまう一日であるようですな。「ハハハハッ、敗北が知りたい」

硫黄岳の象徴とでも言うべき、爆裂火口の剥き出しの岸壁が良く見えます。山頂から見下ろすよりも、下から見上げた時の方が迫力満点ですね。
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箕冠山との鞍部に向かって下ります。ちなみに、眼下に見えている根石岳山荘にもしっかりと名物があります。稜線上にある山小屋なのに、風呂があるのだそうです。水は谷底からポンプアップしているのでしょうかね。
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根石岳山荘のあるこの鞍部一帯は、コマクサの群生地となっています。この柵は、植生保護のために設置されているものです。
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数はあまり多くはありませんが、しっかりと咲いていらっしゃる個体がありましたよ。
根石岳山荘前に咲くコマクサ
同行者の友人は花には全く興味がないらしく、「ただの雑草かと思った」という風情も何もあったものではない感想を口にしておりました。コマクサ様は、高山植物の女王陛下であらせるのだぞ。

箕冠山に向かってユルユルと登り返します。ここは大した登りではありません。
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往路では一面の真っ白な世界だった展望スポットから、天狗岳と根石岳の姿が一望できました。よくぞここまで回復したものです。やはり今日は、なにもかもがうまくいってしまう一日らしい。
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9時25分 箕冠山まで戻って来ました。ここからは往路とは異なる道を辿り、北八ヶ岳と南八ヶ岳の境界である夏沢峠へと向かいます。
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硫黄岳を正面に望みつつ、稜線上を進みます。箕冠山を出てからしばらくは、高低差のほとんどない水平移動のような道が続きます。
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道の脇にシャクナゲが咲いていました。シャクナゲの枝はとても丈夫な上にまるで鞭のようにしなうので、アザミと並んで薮の中では一番遭遇したくない相手です。痛い痛い、シャクナゲ痛い。
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峠に近づいてきたところで、ようやく真面目に標高を落とし始めました。樹木に遮られているので分かり難いですが、左側は断崖絶壁です。
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9時50分 夏沢峠に到着しました。ここにも山小屋が立っていました。・・・やっぱり、いくらなんでも山小屋が多すぎませんかね。
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夏沢峠には夏沢ヒュッテとやまびこ荘と言う2軒の山小屋があります。2021年はどちらの山小屋も営業していないという事で、戸は固く閉じられていました。

ここから硫黄岳への登りが始まります。山頂までは標準コースタイムで1時間の行程となります。
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ここまで歩き詰めで流石に少々疲れては来ていましたが、でもまあ1時間の登りと言ったら、だいたい高尾山一個分くらいですからね。であれば、きっと大したことは無いでしょう。

という事で、最後登りへ行ってみよう。

6.硫黄岳登山 登頂編 平坦な山頂と迫力満点の爆裂火口

登り始めて早々から、なかなかエグイ勾配の容赦ない登りが始めりました。まったく一体誰ですか?高尾山一個分くらいだから大したことはないだろうなんて、適当な事を言ったやつは。
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急登であるが故に、短時間でグイグイと標高が上がって行きます。夏沢峠があっという間に小さくなりました。
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硫黄岳はだだっ広い山容ゆえに悪天候時は道に迷いやすく、登山道上に目印のケルンが一定間隔で並んでいます。
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やがて目の前に、迫力満点な爆裂火口の火口壁が見えて来ました。何故か昔から私は、この爆裂火口と言う言葉の響き大好きなんです。なんというかこう、すごく強そうな感じのする語感だと思いませんか。
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そんな大好きな爆裂火口を目の前にして感極まり、思わず「爆発は好きかー?俺は大好きだッ―!」と叫んだ私のことを、友人は何故か冷たい目で見ていまいた。
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何故だろう?まさか彼は爆発が嫌いだとでも言うのでしょうか。

山頂に向かってラストスパートです。流石に疲労で、なかなか足が前に出なくなってきました。最後の力を振り絞って登ります。
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登り切った所で、だだっ広い空間へ飛び出しました。
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10時55分 硫黄岳に登頂しました。標準コースタイムを若干下回るペースでの到着でした。まあ、流石に高尾山に登るよりは少ししんどかったかな。
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雲が多めではあるものの、赤岳や横岳と言った、南八ヶ岳のオールスターたちが出迎えてくれました。何度来ても素晴らしい眺望です。
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そして硫黄岳と言えばやはりこれ、爆裂火口です。この山を象徴する光景であると言えます。
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ちなみに、実はこの岸壁が爆裂火口の跡であるかと言う確証は一切なく、ただの山体崩壊の跡である可能性も否定できないのだそうです。・・・そんな夢のないことを言わないでくださいよ。

お隣の横岳との鞍部に、硫黄岳山荘があります。この小屋の名物は、オーナーの畑で採れた大豆から作った味噌を使ったみそ汁だそうです。
硫黄岳から見た硫黄岳山荘

振り返って見た天狗岳方面の展望です。相変わらず雲は多いですが、天狗岳の二つの頂の姿が何となく見えました。
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7.オーレン小屋で名物のボルシチを賞味する

11時25分 山頂を辞去し、下山を開始します。もと来た道へは戻らずに、赤岩の頭を経由してオーレン小屋へと下ります。
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目指すオーレン小屋の屋根が足元に見えました。下りのコースタイムは55分ほどで、大した距離ではありません。
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赤岩の頭分岐まで下って来ました。オーレン小屋方面と赤岳鉱泉方面の分岐地点です。公共交通機関を使って訪問した際には、ここから美濃戸口方面に向かって下山すると言うのも、十分にアリだと思います。
赤岩の頭分岐

赤岳と横岳はこれで見納めです。さらば南八ヶ岳。また北八ヶ岳へと帰ります。
赤岩の頭分岐から見た赤岳と横岳

またもやシャクナゲの藪に両側を囲われた、油断のならない灌木帯を下ります。
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最後の最後になって、蓼科山(2,530m)の姿がチラ見えしました。八ヶ岳連峰に属している山ですが、独立峰であるとみなす向きもある、はみ出し者の山です。
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樹林帯に入ったら、もう後はただの作業です。黙々と下山と言う作業をこなすだけです。
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オーレン小屋のテント場の脇を通過します。沢沿いの大変よさげなロケーションにあるテント場です。コロナ渦という事もあり、現在はこのテント場を含めて完全予約制となっています。
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12時25分 オーレン小屋に戻って来ました。早速ですが、待望のランチタイムと洒落込みましょう。
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名物のボルシチのお値段は1,300円なり。なお、ランチメニューの提供時間は11時から13時の間であるという事です。立ち寄りを考えている人は、この時間帯に下りてこれるように計画を調整しましょう。
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さあて、本場をもしのぐ味とは一体どんなものでしょうか。とても楽しみです。

注文を受けてから煮込んでくれているらしく、提供されまるまでには若干時間がかかります。生野菜サラダ付きで、パンかご飯を選べます。
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全ての具材が、とろけそうなほどにトロットロに煮込まれています。素晴らしい。確かにこれは、間違いなく本場ロシアの味を凌駕していると思います。・・・ロシアに行ったことはありませんが。
オーレン小屋のボルシチ
これ持論ですが、トマトベースの煮込み料理にはハズレがありません。つまり、とても美味しかったという事です

振り返って見上げると、朝の時点では全く見えていなかった硫黄岳の姿が見えました。なるほどこんな風に見えるのですね。
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ボルシチを綺麗に平らげて、本日の訪問の目的は全て無事に回収されました。これでもう、何の心置きもなく下山することができます。

8.硫黄岳登山 下山編 涼し気な苔生す沢沿いの道を下る

この先はもう消化試合のようなものです。サクサクとテンポよく参りましょう。
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見るからに涼し気な、沢と苔生す森の光景にしばし癒されます。やはり北八ヶ岳と言えばコケですよね。
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13時35分 夏沢鉱泉まで戻って来ました。日帰り入浴も出来るようですが、ここで入浴しても駐車場に戻るまでにまた汗をかいてしまっては元も子ありません。温泉は下山後に探すことにしましょう。
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舗装道路の下りと言うのは、地味に足にダメージを与えて来ます。本日の全行程の中で登りの傾斜が一番厳しかったのは、実はこの夏沢鉱泉と駐車場の区間であったかもしれません。
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最後の最後に駐車場に向かって登り返しがあります。まったく今どき登り返しなんて流行ねーよと悪態をつく、ガラの悪い中年二人です。
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13時55分 桜平駐車場に戻ってきました。今日もたくさん歩いて大満足です。
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朝には満車状態だった駐車場も、かなり車が少なくなっていました。天狗岳と硫黄岳の両方を巡る人と言うのは、案外少数派なのでしょうかね。

再び気の抜けないダートの道をひた走ります。もっとも、私は助手席でふんぞり返っているだけですがね。
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帰路の途中にあった縄文の湯と言う温泉施設で、一日の汗を洗い落としました。館内に近くにある尖石縄文遺跡から出土した縄文土器が飾ってある、風変わりな温泉施設です。
尖石温泉 縄文の湯

温泉の駐車場から、綺麗に晴れた蓼科山の姿が良く見えました。本日の天気は上がり調子だったようですね。
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正面に八ヶ岳連峰の山々がズラリと居並んでいました。素晴らしい景観です。ダテに八ヶ岳エコーラインを名乗っていませんな。
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その後はしっかりと中央道の渋滞に巻き込まれつつ、東京への長い長い帰還の途に付きました。
渋滞する中央自動車道

終日に渡り雲が多めの天気ではありましたが、我が因縁の山である西天狗岳のピークを無事に踏むことが出来ました。天狗岳を含め北八ヶ岳に属する山はどこも比較的登りやすく、それでいて眺望のが良いわけですから、人気があって当然の山域であると思います。今回ボルシチを食べてオーレン小屋をはじめ、なにがしかの名物をそろえた個性的な山小屋が数多くあるのも、この山域の魅力を高めることに一躍買っていると思います。少々数が多すぎる気もしますが・・・
行けば必ず良い思いが出来る山域として、登山者経験の浅い人にもそうでない人にも、あらゆる人に自信をもってオススメ致します。

<コースタイム>
桜平駐車場(4:50)-夏沢鉱泉(5:15)-箕冠山(6:45)-根石岳(7:05)-東天狗岳(7:40)-西天狗岳(7:50~8:25)-根石岳(9:15)-箕冠山(9:25)-夏沢峠(9:50)-硫黄岳(10:55~11:25)-オーレン小屋(12:25~13:00)-夏沢鉱泉(13:35)-桜平駐車場(13:55)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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