長野県茅野市と小海町にまたがる天狗岳(てんぐだけ)に登りました。
北八ヶ岳と呼ばれる一帯の南端に位置し、八ヶ岳連峰のほぼ真ん中と言える場所にある山です。周囲にはいかにも北八ヶ岳らしい深い原生林が広がり、天狗岳はその森の只中に頭一つ飛び出すようにして屹立しています。
神秘の白駒池と北八の森とを巡る、八ヶ岳の真ん中を歩いて来ました。
2019年9月28日に旅す。
八ヶ岳連峰はおよそ30kmに渡って南北に連なる火山群です。
その中でも、最高峰の赤岳を擁する南部の一帯にはアルペン的な険しい岩峰が連なり、逆に北部の一帯は比較的平坦な高原台地状の山並みが広がります。
私は過去これまでに、南八ヶ岳に連なる主要なピークや、北八ヶ岳の蓼科山周囲にある山などは軒並み歩いて来ました。
しかしながら、その間に広がる一帯。そんな言葉は存在しないのかもしれませんが、中八ヶ岳とでも言える一帯にはこれまで足を踏み入れたことがありませんでした。
という事で今回は、バスで上がって行くことの出来る白駒池入り口よりスタートし、八ヶ岳の中央部を縦断して北八ヶ岳最高峰の天狗岳を目指します。
またその過程で、以前より気になっていた謎のピーク、ニュウへ立ち寄ります。ニュウと言うのが山の名前です。後ろに山とも岳とも付きません。ただのニュウです。変な名前ですよね。
やや雲が多めのではあったもののお天気も上々で、北八ヶ岳の幽玄なる原生林が広がる光景を、大いに満喫してきました。
コース
白駒池入口よりスタートし白駒池を経由して、謎の山ニュウへと登頂します。その後は中山峠を経て天狗岳へと塔著します。下山は本沢温泉とミドリ池をへて、稲子湯へと下山します。
八ヶ岳の真ん中を縦断する行程です。
1.天狗岳登山 アプローチ編 夜行バスで一気に標高2,100メートル地点の白駒池入口へ
9月27日 22時40分 東京メトロ東西線 竹橋駅
毎度おなじみの、週末になると何故か登山の格好をした人間が多く集う、竹橋駅へとやって来ました。二週連続なのでデジャブです。
毎日アルペン号は、行き先が近場の山域であるほど発車時刻が遅くなります。八ヶ岳の麦草峠方面行きは23時の発車でした。
幅員の狭い道を通るため、小型バスでの運行です。座席は安定の4列シートでしたが、最後尾窓側と言う最高のポジションであったおかげで、快適に眠ることが出来ました。
明けて9月28日 5時43分 白駒の池バス停に到着しました。この時点で既に標高2,000メートル越えです。ささっ寒い。
駐車場の脇には売店とトイレがあります。売店の方は、当然ながらまだ営業開始前でしたが。なお、この場所へは茅野駅から普通の路線バスも走っていますが、本数は少なめです。
北八ヶ岳を横断するメルヘン街道こと国道299号です。最高地点の麦草峠は標高が2,127メートルあり、国道の中では2番目の高さです。
2.深い苔の森に囲われた、神秘の白駒池
森の中に入るなり、周囲一面がコケに覆われた空間が広がりました。この辺りはまだ登山者ではない観光客もいる一帯であるため、足元には木道が整備されています。
新陳代謝を繰り返す原始の森。数千年か、もしかしたら数万年前から全く変わらぬ光景なのではないかと思われる森です。
コケ丸なるマスコットキャラクターまで存在する模様。苔の愛好家なんて少数派のマイノリティなのかと思いきや、意外と多くいるものなのでしょうか。
白駒池の周囲を一周すると、おおよそ35分ほどかかります。ニュウ方面は入り口から見てほぼ真向いの対岸にあるので、左右のどちらから回っても所票時間に大した違いはありません。
コケの絨毯に降り注ぐ木漏れ日が美しい。限られた時間帯にしか目にする事の出来ない光景です。
白駒池の全容が見渡せる場所まで下りて来ました。白駒池は標高2,000メートル以上の場所にある湖としては、日本一の大きさです。
目指すニュウの名が道標上に現れました。何故か「ニュウ」ではなく「にぅ」になっていますねえ。漢字で書くと「乳」なのかなと予想していたのですが、外れなのでしょうか。
白駒池の辺に建つ白駒荘。大正十一年創業と言う歴史ある小屋です。
観光客も多く来る場所であるためか、山小屋と言うよりは小洒落たペンション風の佇まいです。完全予約制なので、大部屋に詰め込まれて雑魚寝するようなことはありません。
玄関を出た目の前に白駒池があります。素晴らしいローションです。
貸しボートもあります。料金は30分で2000円です。井の頭公園池の貸しボートのおよそ5倍の値段ですね。
スニーカー履きの観光客も散策するエリアであるにもかかわらず、意外とワイルドな道です。これは濡れていると絶対に滑るやつなので、くれぐれも足元にはご注意ください。
ニュウ方面への分岐地点まで歩いて来ました。この道標はちゃんと「ニュウ」になっていました。「ニュウ」なのか「にぅ」なのか謎です。
白駒池はこれで見納めです。時間に余裕のある行程であるのなら、グルっと一周してみるのも良いかと思います。
3.幾つもの呼び名を持つ、北八の謎多き山ニュウ
湖畔と変わらぬコケに覆われた森の中を進みます。傾斜は殆どなく緩やかな道です。
アスレチックのような飛び飛びの木道の上を歩きます。なぜ真っすぐになっていないのでしょうか?理由が全く思い浮かびません。
やがて湿原が現れました。もうとっくに花の季節ではないため、湿原には一面の枯草が広がっていました。
水も既に干上がっています。初夏の雪解け間もないころに訪れれば、きっと素晴らしき湿原の光景を楽しむことが出来るのでしょう。
何度訪れても、やはり北八の森の雰囲気は素晴らしい。北八へ訪問するのなら、稜線を歩くよりも森の中を散策する方が断然楽しいと思います。
またもやコケ丸の登場です。北八の森ではなによりもコケが一押しであると言うのは、多くの人のコンセンサスが得られた既定の事実なのでしょうか。
道標が現れました。ニュー中山とはまた、ホテルか何かの名前みたいですね。
こちらの道標では「にう」です。いったい本当の名前は何なのでしょうか。気になるぞニュウ。
ここまでほぼ水平だった登山道が、ようやく真面目に標高を上げ始めました。そろそろニュウが近いのか。
前方の視界が開け、空が見えてきました。ようやく森を抜けて、稜線へと出るようです。
稜線に出ると、すぐ目の前にニュウの山頂がありました。モロに逆光で眩しい。
7時15分 ニュウに登頂しました。山頂標識には何と書かれているのか興味津々だったのですが、標識の類は存在せず、三角点だけがポツンとありました。
これは増々謎が深まりましたな。ニュウよお前は一体何者なんだ。
ニュウの山頂は木の生えない岩場となっており、周囲には360度の展望が開けます。北側には蓼科山方面尾の山並み。
一番奥に頭だけ見ているのが蓼科山(2,531m)です。その手間には北横岳(2,480m)、縞枯山(2,403m)、茶臼岳(2,384m)などの、北八ヶ岳の主要なピークが連なります。
蓼科山の右手後方には浅間山(2,568m)の姿が見えます。噴火警戒レベルが2に引き上げられたままですが、ここからでは噴煙などは特に見えません。
東側に目を向けると、千曲川の谷を挟んだ向かいに、奥秩父の山並みが連なります。
頭の部分が少し雲に隠れてしまっているもの、富士山も見えました。
南側には、これから目指す天狗岳の姿が見えました。現在地のニュウからずっと、崖が続いているのが分かります。
天狗岳は東西二つのピークを持つ双耳峰です。領域的には北八ヶ岳の山とされていますが、急峻でアルペン的なその外観は、どちらかと言うと南八ヶ岳の山のようです。
4.天狗岳登山 登頂編 中山峠を越えて、北八ヶ岳最高峰の頂へ
ニュウが思いもよらぬ好展望地だったため、少々長居し過ぎてしまいました。7時40分、天狗岳に向けて行動を再開します。
天狗岳への道は基本的にずっと、ニュウからも見えていた崖に沿って続いています。この左側は断崖絶壁です。
木漏れ日が射しこむ苔の森がずっと続きます。派手さはありませんが、歩いていて飽きない気持ちの良い道です。
フサフサフワフワのコケに癒されます。何故かはわからないけれど、とにかく癒されるのです。
中山方面からの登山道と合流しました。ここからは、中山峠に向かって緩やかに下って行きます。
不意に森が途切れて、さきほどよりすっかり大きさを増してきた天狗岳が姿を見せました。
前方には天狗原と呼ばれる高原台地が広がります。いかにも北八ヶ岳らしい、起伏の少ないなだらかな平坦地が広がっています。
8時35分 ホテルニュー中山峠に到着しました。ここは黒百合ヒュッテ方面から来る道と、しらびそ小屋方面から来る道とが合流する四辻となっています。
標高は2,410メートルあります。天狗岳の標高は2,646メートルであるので、もうあと200メートル少々登れば良いだけです。
峠より見上げる東天狗岳。ここからだと山頂のように見えている部分は天狗岩と呼ばれる岩で、本当の山頂はこの岩の裏側にあります。
アタックを開始しましょう。峠から登り始めて程なく、森林限界を越えて森が切れます。
周囲の眺望が開けました。このアングルから見ると、安達太良山ほどではないものの、東天狗岳は見事なおっぱい型をしているように見えます。
背後を振り返ると、ニュウの姿が見えました。山頂というよりは、崖際の部分が突き出しているだけのようにも見えます。
ニュウと名称の由来には諸説がありますが、その中には「にゅっと飛び出して見えるから」だと言う説もあります。なるほど言われてみると確かに、にゅっと飛び出してますねえ。
右手には霧ヶ峰(1,925m)の姿が見えます。車山の山頂にあるドームアンテナのおかげで、同定は容易です。
左手には何やら恐ろしげな断崖絶壁がありました。この崖は稲子岳南壁と呼ばれており、ロッククライミングのゲレンデとなっています。なお、一般登山道は存在しません。
登山道上に大きな岩の姿が目立ち始めました。蓼科山の山頂部と似た感じで、非常に歩きにくい道です。
痩せた稜線の上を進みます。やはりこの天狗岳という山は、雰囲気がどこか南八ヶ岳的です。
天狗腹の只中に小屋があるのが見えます。まるでカフェのようにお洒落な山小屋と評判の黒百合ヒュッテです。名物はビーフシチューだそうです。
私は山小屋にお洒落さを求めていないので、正直なところあまり興味もありませんが、黒百合ヒュッテはなかなか予約が取れなと言うくらい人気のある山小屋です。
右手彼方に大柄な山が見えます。雲が多くてわかりにくいですが、おそらくは乗鞍岳(3,026m)です。
天狗岩の目の前までやって来ました。流石に正面突破は出来ないと見えて、道は右側を回り込むようにして付いています。
背後の光景が絶景過ぎて、ついつい何度も振り返っていまい、なかなか歩みが進みません。
9時35分 東天狗岳に登頂しました。道標があるだけで、山頂標識は見当たりません。ニュウと言い、北八の山は標識が無いのが標準なのでしょうか。
山頂の様子
そこそこ広い岩場の山頂部です。視界を遮るものはなにもなく、360度の眺望が開けます。
前方には、ここまではずっと天狗岳に隠れて見えなかった、南八ヶ岳の山並みが視界に飛び込んできました。
特に目に付くこの三座は左から順に赤岳(2,899m)、中岳(2,700m)、阿弥陀岳(2,805m)です。八ヶ岳連峰の中核をなす山々です。
横っ腹に巨大な爆裂火口を晒しているこちらの山は、硫黄岳(2,760m)です。この硫黄岳までが南八ヶ岳と呼ばれ、私が今いる天狗岳は北八ヶ岳に属しています。
たくさん入り組んでいて分かりにくいので、拡大&山名入りを一枚置いておきます。
お隣には西天狗岳が寄り添うようにして佇んでいます。東天狗岳からは、往復で30分少々です。
往復しようかとしばし悩むも、時間が押して来ていたので結局、西天狗岳には行きませんでした。と言うのも今日はこのあと、下山予定地にある稲子湯でひと風呂浴びてたうえで、できれば13時58分のバスで撤収したいと考えていたからです。
入浴時間を捻出しようと思うと、コースタイム的にはすでにまったく余裕がありません。
・・・天狗岳の最高地点は、実は東天狗岳ではなく西天狗岳の方であると言う事実を知ったのは、帰宅した後の事でありました。これでは、天狗岳に登頂したとは言えないではありませんか。ぐぎぎぎぎ。
あまりにも悔しいので、天狗岳には何れ必ず再訪します。次は雪の付くころにでも登ってみましょうかね。
その登らなかった西天狗岳の左奥は、中央アルプスの山並みです。
背後には、ここまで歩いて来た北八ヶ岳の広大なる溶岩台地が広がります。
東側には、山並みが幾重にも重なった重厚なる奥秩父山塊が横たわります。
5.秘湯の本沢温泉と、静かなる森の中にひっそり佇むしらびそ小屋
9時50分 いい加減時間も押してきたことだし、ボチボチ下山を開始しましょう。
稲子湯へと下るには、中山峠へと元来た道を引き返しても良いのですが、せっかくなのでこのまま前進して、秘湯の宿と名高い本沢温泉を経由して周回します。
なお、東天狗岳山頂の東側斜面は、この通り断崖絶壁となっています。落ちれば一巻の終わりなので、ここは慎重に下りましょう。
眼下に小さな池と小屋の屋根が見えます。この後下山途中に通る予定の、ミドリ池としらびそ小屋です。
目の前でどんどんと大きくなって行く硫黄岳の爆裂火口。北側から見ると凄い迫力です。地球はすげえ。
暗部に向かって降りて行きます。東天狗岳は、南北のどちら側から登っても、割と急峻です。
10時5分 白砂新道の分岐まで下って来ました。そう、これから下ろうとしている本沢温泉までの道は、新道なのです。
これまでの経験から言って、新道と名の付く登山道と言うのは、大抵はロクなものではありません。トラウマものの酷い道も結構ありましたっけか。さて、この白砂新道はどうでしょうか。
ザレた急斜面に取ってつけたような道が続いています。この感じはやはり新道ですな。
最初のザレ場を過ぎても、全般的に径が細くあまり踏まれていない感じの道が続きます。悪路と言ってしまって差し支えのなさそうな道です。あまり一般的ではないルートなのでしょうか。
森の中に入って以降は至って普通の登山道になりました。最後の稜線に取り付く部分だけが少し強引な感じです。
枯れ沢を横断します。この時はこれが本沢なのかなあと思っておりましたが、本沢ほこれとは別のもっと大きな沢です。
やがて周囲に仄かな硫化水素臭が漂い始め、建物の姿が見えて来ました。
11時 本沢温泉に到着しました。日本で最も標高の高い場所にあると言う露天風呂で有名な秘湯の宿です。山のなかにポツンと浴槽だけがある様な、かなりワイルドな風呂であるようですが。
日帰り入浴も可能ではあるようですが、ここはまだ標高2,000メートル以上の場所です。こんなところでふやけてしまったが最後、その後下山を続ける気力が失われそうなので、ここはパスします。
ここへいずれ、テントを担いでひと風呂浴び来ることにしましょう。
小屋のすぐ脇に本沢があります。温泉を含んでいるらしく、近づくと仄かな硫黄臭がしました。
ここからはしばしの間、車道歩きとなります。車道と言っても、軽トラかジムニーくらいしか通れそうにはない道です。
小屋から少し下ったところにキャンプ指定地があります。森の中で展望は一切ありませんが、風呂があると言う事実を前にしては些末な問題と言えるでしょう。
しばしの水平移動です。なお、この道を延々3時間以上歩き続ければ、小海線のうみじり駅へ直接下ることも出来ます。
分岐地点まで歩いてきました。ここからみどり池方面へ向かいます。
分岐地点からは少しばかり登り返しがあります。中山峠から単純にピストンするのが嫌で、少しばかり強引なルートを選んでいるので、こればかりは仕方ありません。
一度登り返した後は、ずっと緩やかな下りが続きます。ほとんど水平移動と言って良い勾配で、小気味よく楽に歩けます。
木道が整備されていると場所もあります。ここは季節によっては、湿地に変わるようです。
程なく、中山峠から下って来る道と合流しました。この道はかつて、八ヶ岳森林軌道という林業用の鉄道が敷かれていた跡地です。道の脇には所々にレールが残っていまいした。
11時50分 ミドリ池に到着しました。なるほど確かに、藻なのか水草なのか分かりませんが、緑色の池ですね。
今日登った東天狗岳が真正面に見えます。この通り、逆さ天狗岳をバッチリと頂きました。
みどり池の辺に立つ、しらびそ小屋です。八ヶ岳の主要な縦走路からは外れた場所にあるため、通る人もまばらなひっそりとした静かな場所です。
この小屋へは、リスが食事をしにやってくるらしいですね。窓際で、コーヒーを飲みながら見ながらリスを眺められるのが、とても人気なのだとか。
6.天狗岳登山 下山編 知る人ぞ知る山間の秘湯、稲子湯へ
しらびそ小屋から稲子湯までのコースタイムは、道標によれば1時間15分。山と高原地図には1時間30分とあります。
現在時刻は12時5分。風呂に入りつつ13時58分のバスに間に合わせることは可能なのでしょうか。ここからは少しばかり駆け足気味に行ってみようかと思います。
しばしの間は森林鉄道の路盤跡を忠実になぞります。当然ながら、鉄道がクリアできる勾配しかないのでほとんど水平移動のようなものです。
途中から楽々な線路跡を外れ、本格的な下りが始まりました。この時点で既に、私の頭の中はすっかり温泉モードです。よっしゃー、気合入れて行くぞ。
これから向かう稲子湯と言うのは、珍しい炭酸泉と呼ばれる温泉なのだとか。それはつまり、お湯がシュワシュワしているという事なのでしょうか。今から楽しみでなりません。
道はその後も幾度となく線路跡と合流したり離れたりを繰り返しながら続いています。総じて傾斜が緩めの、とても歩きやすい道です。という事で、平坦なのを良いことに半分駆け足で下りました。
そんな訳で割とあっさり駐車場のある登山口まで下って気ました。ここから稲子湯までは、山と高原地図のコースタイムで20分ほどです。
ここから先も割と平坦な道なので、よほどのんびり歩かない限りは、そんなにはかからないかともいます。
やがて周囲に、かすかに硫黄臭をはなつ泥の様な水が流れ始めました。稲子湯の源泉に近づきつつあるようです。
13時5分 稲子湯に下山しました。結局みどり池からは、1時間ちょうどでの到着です。急いだ甲斐があって、ゆっくりと風呂に浸かれるだけの時間が確保できました。
はやる気持ちを抑えて、まずは先にバス停の位置を確認しておきます。バス停は入り口を出てすぐの場所にありました。
日帰り入浴は確か700円だったかな。脱衣所が小さいので、荷物は休憩室に置いて行くように言われます。
期待の炭酸泉は、仄かに硫黄臭のするトロットロのお湯です。シュワシュワと言うほどの気泡は立たず、小さな気泡がプツプツと付着する程度です。大変すばらしい泉質なので、大いに期待して良いですよ。
全身が硫黄臭くなって大満足したところで、ゆったりとバスを持ちます。小海町の町営バスが、時刻表通りに現れました。
バスの車窓から、今日歩いて来た山並みを一望できました。右の方にある小さな突起がおそらくニュウです。
このバスは小海駅行きですが、その一つ手前の松原湖駅の近くを通るので途中下車しました。小淵沢方面へ行くのなら、ここで降りた方が一駅分近いです。
駅の近くを通ると言うだけで、駅前は通らないので少しばかり歩く必要がありますがね。
本当にこんなところに駅があるのかと、少々不安になってくるような小道を下って行きます。
タイミングよく、20分少々の待ち時間で小淵沢行きの汽車がやってきました。なお、ここから小淵沢駅までは、何気に1時間以上かかります。
小淵沢駅から、自由席の無いブルジョワな乗り物特急あずさに乗りこみ、帰宅の途につきました。
八ヶ岳の真ん中と秘湯を巡る慌ただしき山行きはこれにて終了です。
今回は自身が未踏破の場所を無理やりつないで歩いた感があるため、ちょっと歪な感じのするルート取りでありました。普通に天狗岳を目指すのであれば、渋の湯か唐沢鉱泉から目指すのが最も一般的であろうかと思います。
天狗岳くらいしか顕著なピークの無い八ヶ岳の中央一帯は、縦走する人以外にはあまり注目されない場所であろうかと思います。このエリアに黒百合ヒュッテやしらびそ小屋などの、雰囲気を重視したお洒落な小屋が多いのも、ピークハント目的ではない人々が多く訪れる場所だからだと思います。苔の絨毯が広がる原始の森の中で、静かな時を過ごしたい人にオススメな場所です。
西天狗岳のピークを踏まなかったことが悔しくてしょうがないので、天狗岳へは必ず再訪します。
<コースタイム>
白駒池入口(5:50)-白駒荘(6:10)-にゅう(7:15~7:40)-中山峠(8:35)-東天狗岳(9:35~9:50)-本沢温泉(11:00)-ミドリ池(11:50~12:05)-稲子湯(13:05)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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