栃木県日光市にある太郎山(たろうさん)に登りました。
日光における象徴的な山である男体山の北西に位置し、表日光連山と呼ばれる火山群に属しています。表日光連山の山々は一つの家族になぞらえられてており、父は男体山、母は女峰山で、太郎山は長男であるとされています。標高や山体のスケール感でいえば男体山に引けを取ってはおらず、ドッシリとした大柄な山容を持つ山です。
父と比べると人気知名度共にイマイチ高くはない息子ですが、笹薮をかき分けて登って来ました。
2022年9月25日に旅す。
日光の太郎山は、中禅寺湖側から見て男体山のちょうど背後に立つ山です。日光連山ファミリーにおける長男と言う扱いになっており、実際に父である男体山とよく似た姿で並んで立っています。
男体山、女峰山と太郎山の3座を合わせて日光三山と呼ばれ、古くから山岳信仰の対象にもなって来ました。
しかしながらこの太郎山、登山の対象としてはあまり人気がありません。奥日光を訪れる登山者の多くは男体山か白根山に流れてしまい、あえて太郎山に登ろうという訴求力にはかけている山であると言えます。
立地的に文字通り父の影に隠れてしまっており、そもそも存在自体があまり認識されてはいない印象です。
太郎山登山における最も一般的なルートと言えるのは山王峠からスタートするルートですが、歩きだして早々から背丈を越えるような笹薮に行く手を阻まれました。あまり歩かれてはいない道であることは一目瞭然です。
生憎と終日に渡って雲が多い一日で、奥日光を一望する大パノラマとはなりませんでしたが、ひと気のほとんどない静かな山を巡って来ました。
コース
光徳温泉バス停からスタートして、山王峠および山王帽子山を経由して太郎山に登頂します。下山は元来た道を引返さずに、南下して周回ルートを歩きます。公共交通機関を利用した太郎山登山としては最も一般的な行程です。
都内発だと、最速で登山口に降り立つことのできる時間は10時近くになります。三本松バス停を発つ帰路のバスは17時29分を乗り逃すと次は19時39分までありません。
一応は17時29分の便に乗ることを目標として歩きます。久方ぶりとなる、ストイックなタイムアタック登山です。
1.太郎山登山 アプローチ編 鈍行列車で行く日光への旅路
6時18分 JR赤羽駅
日光へ行くには始めから東武線で行くのが最も割安なのですが、乗り換え回数が多い上にやたらと時間もかかるので、割高なのは承知で途中まではJRで向かいます。
万が一満席で乗り逃してしまうとその後の計画が破綻するので、特急けごんの利用は見送りました。別に特急券代をケチりたかったわけではありません。嘘です。大いにケチりたいです。
昔は浅草から東武日光まで直通してくれる快速列車があって便利だったのですが、自社の特急列車の売り上げに悪影響を与えることに気づいてしまったのか、廃止されてしまいました。
栗橋駅から東武線に乗り換えます。そこそこの乗車率でしたが、幸いにも何とか座席にはありつけました。まだここからも1時間以上はかかる長丁場なので、立って行くのは辛いものがあります。
8時17分 東武日光駅に到着しました。これが自宅から最速でこの場所に降り立つことのできる時間です。特急けごん1号で来るよりも、始発の鈍行列車を乗り継いだ方が若干早くに現地入りできます。
紅葉シーズンにはまだ少し早い時期なためか、駅前は人影も少なく閑散としていました。
乗車予定の日光湯元行きのバス発車時刻までは少し間があるので、始発のJR日光駅まで歩きます。東武日光駅からは歩いても5分少々の距離です。
日光エリアを走るバスの大半はJR日光駅発で、東武日光駅で並んで待っていると既に満席であることが往々にしてあるものですから。
JRの日光駅に来たのは、何気に自身初めてであるかもしれません。日光へ来るときはいつも、運賃が安い東武を使っていましたからね。大正元年に完成したと言うモダンなデザインの駅舎です。
みな考えることは同じと見えて、バス乗り場には東武日光駅方面から歩いてきた人がすでに行列を作っていました。
8時42分発の日光湯元行きのバスに乗車します。早々と並んだおかげで、無事に座席にありつけました。この後1時間強の乗車時間がありますが、寝ている間に運んでもらえます。
うつらうつらとしている間にバスはつつがなくいろは坂を駆け上がり、やがて車窓に目指す太郎山の姿が見えて来ました。
立派な山容を持つ山ではあるのですが、いかんせん「中禅寺湖と男体山」の組み合わせと比較されてしまうと、画的に見劣りしてしまうのはやむおえないところです。
太郎山の最大の不幸は、すぐ隣にあまりにも偉大過ぎる父を持ってしまったことなのかもしれない。
10時 光徳温泉バス停に到着しました。このバス停には湯元行きのすべての便が停車するわけではなく、ここまで入ってこずに素通りしてしまう便もあります。事前に時刻表をよく確認しておいてください。
バス停の目の間に立つ光徳温泉アストリアホテルです。いかにも高級そうな外観とは裏腹に、そこまで極端に高い価格帯ではない宿です。
宿泊人数が2人以上からしか選択肢が用意されていないあたりは、いかにも昔ながらの温泉宿と言ったところでしょうか。お一人様なことが多い私には、縁がなさそうな場所です。
2.湯本光徳線歩道を歩いて登山口の山王峠を目指す
10時5分 身支度を整えて行動を開始します。登山開始時刻としてはいささか遅いスタートですが、公共交通機関頼みの身としてはこればかりは致し方ありません。
特に道標等の案内はありませんが、宿の前からバス通りへと戻り右へ進みます。
目の前に見えているのは目指す太郎山ではなく、その隣にある山王帽子山です。この後、あの山を越えて行きます。言ってみれば太郎山の前座のような存在ですが、なかなか侮れない防御力を持っています。
光徳牧場の看板が現れたら左に入ります。直進しても最終的には同じ山王峠に行き着きますが、道中に大きく折り返す車道経由となるため、歩行距離は若干長くなります
光徳牧場の売店を横目に道なりに進みます。現在こちらの牧場では放牧が行われておらず、現状は単なる売店兼お食事処と言ったところです。
湯本光徳線歩道の入り口まで歩いて来ました。ここから山道へと分け入ります。
道標に太郎山の名は書かれていませんが、ここであっています。ひとまずは山王峠を目指します。
いかにも北関東の山らし雰囲気の、足元に笹が生い茂る広葉樹の森です。まだシーズには早いですが、紅葉するころに来たらきっと素敵な光景が広がる事でしょう。
傾斜が緩くて歩きやすい道である事を幸いに、最初からハイペース気味に飛ばして行きます。なにしろ本日はあまり時間に余裕の無いタイムアタック登山ですからね。
以前は18時台にも帰路のバスが1本あったのですが、コロナ渦による影響なのか減便されてしまいました。19時39分の最終便だと帰宅そのものがギリギリの綱渡り状態になるので、何とか17時29分に間に合わせたいのです。
前方にこんもりと盛り上がっているのは、地図によれば三岳と呼ばれるピークです。地形図を見ると火山であることが明らかな形状をしており、この山も日光連山ファミリーの一員であるようです。
前日が雨だったためか、登山道が川のような状態になっていました。防水のハイカットシューズを履いているので、気にせずバシャバシャと大胆に歩きます。
水浸しの坂を登りきると、頭上の開けた空間へと飛び出しました。
11時 山王峠に到着しました。三岳と山王帽子山との鞍部となっている峠です。ここから湯本方面へ下ることも出来ます。
木道やベンチが整備されており、頭上が大きく開けた解放的な空間です。この時点ではまだ、頭上には青空が広がっていました。この後にあれよあれよと曇ってしまいましたけれどね・・・。
ここまで登って来て、ようやく太郎山の名前が道標上に現れました。どこまでも存在感控えめな、奥ゆかしい長男坊です。
3.笹薮の急登が続く太郎山の前衛、山王帽子山
時間も無いので前進を続けましょう。目の前に山王帽子山が大きく立ちはだかりました。なかなか登り応えのありそうな姿です。
ここで山王林道に合流します。この林道は山王峠を越えて、日光の光徳から鬼怒川沿いの川俣温泉までを結んでいます。
ここでも道標による案内はありませんが、太郎山の登山口は光徳側に少し下った場所にあります。
太郎山の登山口へとやってきました。ここからさらに少し下った地点の路肩に駐車スペースがあり、車でお越しの人はそこまで入ってこれます。
登り始めからいきなりの笹薮の急登です。これまたいかにも北関東の山らしい光景が広がります。
栃木県の山でよく目にする赤と黄色の識別標です。これを見るといつも皇海山を思い出します。ロックリンパーン♪
言っているそばから、皇海山並みの背丈を越える笹薮に行く手を阻まれました。どうやらあまり歩かれてはいない道であるようですね。
偉大過ぎる父を持った控えめな長男坊の人気の無さか加減が、ここでも偲ばれます。徳川秀忠みたいな山ですね。
森の中に入ると笹の猛威はひとまず無くなり人心地つけました。そのかわりと言っては何ですが、けっこうな急登が続きます。
陽射しのある場所には笹が育つ、わかりやすい自然の摂理です。ストックでかき分けて足元を確認しつつ登ります。
頭上に雲が沸き立ちつつありました。陽射しが和らいで涼しくなってくれるのは良いのですが、低い位置に垂れ込めているので、山頂がガスってしまいそうで気になります。
眼下に中禅寺湖が少しだけ見えました。向かいの山並みは、既にガスに没してしまっていますねえ。
登山口からずっと続いていた急登が緩んできたところで、山頂らしき場所に飛び出しました。
12時 山王帽子山に登頂しました。登る前はただの前座だろうくらいに思っていましたが、意外としんどいですぞこの山は。
山頂は樹林に覆われておりあまり展望はありませんが、一部だけが開けていて男体山が正面に見えます。あちらも沸き立つ雲に没しつつありました。登山開始時刻がこれだけ遅いと、やっぱりこうなってしまいますよね。
4.太郎山登山 登頂編 急登とヤセ尾根を越えた先に待つ大展望の頂~しかし何も見えなかった
さてあまり時間に余裕も無いので、着いて早々ですが行動を再開しましょう。山王帽子山からは一度大きく標高を落とします。
これから登る太郎山が目の前に立ちはだかります。なかなか歯ごたえのありそうなサイズ感です。そしてやはり山頂付近は、すでにガスに没してしまっておりますな。
下りの斜面にも笹薮が大いに跋扈していました。不意に根っこトラップがあったりするので、油断がなりません。
かなり大きく標高を落としたところで、ようやく鞍部が見えて来ました。この辺りでようやくこの日はじめてとなる、他の登山者とすれ違いました。おそらくは山王峠からのピストンでしょう。
下った後に待っているのは当然登り返しです。山王帽子山と同様に、太郎山の本体もなかなかの急勾配です。ハイペース気味に飛ばしていることもあって、だいぶツラくなって来ましたぞ。
急登ゆえに短時間でグイグイと標高が上がって行きます。あっさりと背後の山王帽子山の高さに追い付きました。山頂まではあとおよそ300メートルほどです。頑張って登りましょう。
周囲にシャクナゲが目立ち始めました。そういえば、同じく日光連山の女峰山にもシャクナゲが咲いていたっけか。となると、太郎山のベストな訪問時期は6月下旬頃でしょうか。
頭上はすっかりと厚ぼったい雲に覆われてしまいました。本当なら背後に白根山が見えるはずですが、生憎と全く見えません。
雲の下に辛うじて燧ヶ岳(2,356m)の姿が見えました。あの辺りはもう福島県だと言う事ですな。
依然として容赦のない急登が続きます。ここまでノンストップで登り続けてきたこともあって、疲労で足が前に出なくなって来ました。
進行方向の左手に、山頂らしき場所が見えて来ました。もうあと一息な距離感です。頑張ってラストスパートをかけましょう。
太郎山の山頂の付近は崩落が進んでおり、大きく切れ落ちています。崩落地に迷い込まないように、安全のためのロープが張られていました。
頭上が開けました。山頂はまだなはずですが、いかにもピークがありそうな光景です。
13時20分 小太郎山に登頂しました。太郎山の手前に位置している、国土地理院の地図には山名の記載がない小ピークです。
太郎山の山頂が目の前にありました。ここからあと20分程の距離ですが、流石にだいぶ疲労困憊していたので、ここでザックを落として一本立てました。
ナイフリッジとまではいかないものの、小太郎山から太郎山へ至る尾根は切れ落ちたヤセ尾根になっています。ここからは少し慎重に参りましょう。
軽くエネルギー補給を済ませたところで行動を再開します。両側が切れ落ちている尾根を慎重に下ります。
手も使わないと登れないような、よじ登る系の道になってまいりましたぞ。横着してストックを収容せずに手首にぶら下げたまま登りましたが、結構邪魔でした。安全を期するなら収容してから突入した方が無難だと思います。
特段難しい要素はありませんが、高度感はそれなりにあります。幸か不幸かガスっていて視界が悪いため、今は怖さが幾分かはやわらいでいます。
そこそこ長めのコースタイムとヤセ尾根歩きがあるため、太郎山は男体山二荒山神社ピストンより難易度はワンランク上であると思います。
最後は再び急登です。登山道上にまでびっちりと草が覆っており、正規のルートが少々わかり難い状態でしした。やはりあまり歩かれてはいないようですね。
三本松方面との分岐地点までやって来ました。ここまで来れば山頂はもう目の前です。
雄叫びをあげながら最後のビクトリーロードを駆け上がりましょう。いまやまあ、無理に叫ばなくても良いですが、誰もいないことをこれ幸いに、私はちゃんと叫びましたよ。
13時55分 太郎山に登頂しました。光徳温泉を出発してから3時間50分かけての到着です。意外としんどかった。
登頂と同時に何故かウルトラマンタロウのテーマ曲が脳内で自動再生されました。何故かも何も、そのまんまなんですけれどね。タロウ、タロウ、タロウ~♪
山頂からは隣の男体山を始めとする日光の山々の大展望が広がります。晴れていればね!結構頑張って登って来たというのにこの仕打ちとは・・・まったくトホホな展開です。
ちょうど山頂のある標高付近に雲がかかっているらしく、頭上だけは青空が広がっていました。もう少し標高が高ければ、例えば白根山あたりからなら、今頃雲海が見えているのかもしれません。
太郎山神社の脇にさり気なく太郎山であることをアピールする石が置いてありました。いったい誰が何の為に書いたのか。
5.太郎山登山 下山編 ザレ場の急降下と長い林道歩き続く三本松への遠き道程
14時10分 あまりのんびりとしていられる時間も無いので、僅かな山頂滞在時間で山頂を後にします。なにしろ、まだタイムアタックは終わっていないのですから。
帰路では道標に新薙と書かれている方に向かって下ります。目指す三本松の名はどこにも書かれておらず、そもそも新薙とはどこの事なのかも不明ですが、方角的にこちらであっているはずなのでともかく進みます。
男体山との鞍部に向かって下って行きます。その男体山は目の間にあるはずですが、相変わらず雲を纏っていてよく見えません。
何やら門扉のであるかのような岩の隙間を通り抜けます。門の先には広い空間があるのが何となく見えます。
湿地状になっている広い空間に出ました。山と高原地図に「お花畑(花は期待できない)」と書かれている地点です。花が期待できないお花畑・・・それってただの野ッ原なのでは?
期待できないと言われているだけの事があって、確かに花は一切なく枯草の草原が広がっていました。柵による保護も何もされていないので、恐らくは鹿に食べつくされてしまったのではなかろうかと想像します。
花の無い御花畑を突っ切ると、ようやく道標上に三本松の名前が現れました。
ここを過ぎると、いよいよ怒涛の急降下が始まります。ここから先は当分の間、途中で一息つける場所がありません。覚悟を決めてから突入しましょう。
下り始めて早々に、大きな引っかき傷であるかのようなザレ場を横断します。
ザレ場が下まで続いているのが良く見えます。浸食が進む日光連山の山には良く見られる光景で、男体山や女峰山にもこうしたザレ場が数多く存在します。
そして何のことはない、先ほどの新薙と言う地名はこのザレ場の事を示していました。
少しガスが抜けて、正面に大真名子山(2,376m)と小真名子山(2,323m)が見えました。日光連山ファミリーに属する太郎山の妹たちであり、太郎山以上に歩く人の少ないマイナーな二座です。
男体山の方も、もう少しでガスが取れそうな感じがします。時間に余裕はありませんが、少しだけ粘ってみることにしましょう。
完璧とはいきませんが、姿を見せてくれました。中禅寺湖の辺りは完全に雲の下になっており、鞍部の志津乗越を越えて雲があふれ出て来ていました。
九十九折れも何もなく真っすぐに下るため、かなりの急勾配です。安全のためトラロープが張られている個所もあります。はやる気持ちをひとまずは抑えて、ゆっくり慎重に参りましょう。
急坂を転げ落ちるようにして下り、麓の森の中へ戻ってきたところで、ようやくほっと一息付けました。この周回ルートにおける一番の核心部は、山頂直下のヤセ尾根ではなくこの下山の急降下の方だと思います。
ほぼ水平移動に移ってからも、ダラダラとした下りがしばし続きます。下山を開始してからすでに、標準コースタイムを若干超過するる時間を要してしまっており、焦燥感にかられます。
15時50分 林道出合まで下って来ました。登山道はここで終了で、この後は延々林道歩きとなります。さあ、ここから一気に遅れを取り戻しますよ。
この辺りはまだ未舗装の砂利の道ですが、ほとんど水平移動に近い平坦な道であるため、半分駆け足のようなペースで進みます。
志津乗越方面との分岐地点までやって来ました。志津乗越は先ほどの大真名子山と小真名子山のほか、男体山に裏側から登るルートの入口となる場所です。
この先は舗装された林道歩きとなります。最後のひと踏ん張り、頑張って歩きましょう。
この林道歩きは何気に結構な距離で、単純な歩行距離でだけで言うなら、本日の全行程のおよそ半分近くが林道歩きになります。見方を変えれば、それだけコースタイムを巻くことの出来る余地も大きいと言えます。
16時35分 梵字飯場跡(ぼんじはんばあと)と呼ばれる地点まで下って来ました。一般車もここまでは車で入れます。
駐車スペースもしっかりと用意されています。キャパはさほど大きくありませんが、マイナーな登山口なので込み合うことはまずないでしょう。
太郎山の麓には、びっちりと笹が覆い茂るカラマツ林が広がっていました。ここも黄葉するころに歩いたら良い感じなのであろうと思います。
周囲がだいぶ薄暗くなってきたところで分岐です。右へ進むとスタート地点の光徳温泉に戻れます。三本松バス停に向かうのであればここを左です。
最後の最後にまたもや笹薮の中を歩かされると言う、まさかの展開が待っていました。
17時10分 三本松茶屋に到着しました。思惑通りに、最後の林道歩きでかなりコースタイムを巻くことが出来ました。
締めにソフトクリームでもと思いましたが、どうやら17時までの営業らしく既に店じまいが始まっていました。残念。
本当は湯元まで行って温泉に浸かってから帰りたいのですけれど、帰りの時間を考えるとそれはかなわぬ夢です。体をアルコールティッシュで拭って着替えだけ済ませます。
18時台のバスが無くなってしまったことが、重ね重ね悔やまれます。
日光駅方面行きの三本松バス停は、茶屋のある場所から湯本方面に少し進んだ場所にあります。どこにあるのかわからず、一瞬探しました。
ほぼ時刻表通りにやって来たバスで撤収します。バスの車内には、湯元温泉に浸かって来たのであろう乗客から立ち込めた、微かな硫化水素臭が漂っていました。ぐぎぎぎ、羨ましい。
コースタイム的にも結構な綱渡りであるし、太郎山は前日のうちに宇都宮辺りにでも前乗りして登るべき山であるのかもしれない。
東武日光駅へ戻って来た時には周囲はもう真っ暗で、駅の売店も既に閉まっていました。そんな、レモン牛乳が飲みたかったのに。
太郎山は名だたる名峰が林立する日光においては、人気知名度共にイマイチである山です。良い山であることは間違いないのですが、いかんせんライバルたちがあまりにも強すぎるのです。
日光のシンボル的な存在である男体山や、関東地方最高峰の肩書を持つ白根山。駅前から良く見えている女峰山や、手軽なハイキングを楽しみたい人に人気の鳴虫山や社山。これらの山々を差し置いて「是非とも太郎山に登りたい」と思わせるだけのインパクトには欠けていると言わざるおえません。
しかしそれは見方を変えると、穴場であるとも言えます。日光で人の少ない静かな山行きを楽しみたいと思った方は、この控えめな長男の山に訪れてみては如何でしょうか。そこそこ登り応えのある静かな山道と、素晴らしい眺望が待っています。
晴れていればね。
<コースタイム>
光徳温泉バス停(10:05)-山王峠(11:00)-山王帽子山(12:00)-小太郎山(13:20~13:35)-太郎山(13:55~14:10)-林道出合(15:50)-梵字飯場跡(16:35)-三本松バス停(17:15)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
偉大な親を持つ子が苦労するのは人間だけではないんですね(^^;
名峰が周りに多すぎるというのは、上高地における霞沢岳と同じ感じでしょうか…他にもそんな不遇の山は多いのでしょうね。静かに歩けそうですし、名峰の絶好の展望台だと思うのにもったいないなー。
MMさま
コメントをありがとうございます。
霞沢岳ポジションであるとは言い得て妙です。単体で見ればとても良い山なのに登る人はあまりいません。通好みの山と言ったところでしょうか。
流石に男体山を差し置いてでも登るべき山だとは言いませんが、2度目3度目の訪問時に候補に入れてみては如何でしょうか。
男体山は来年挑戦しようかと思っています!
オオツキさんの投稿を拝見し、半月山や社山からの日光ファミリーも見てみたくなりましたよ。
MMさま
コメントをありがとうございます。
男体山は直登一辺倒でなかなかしんどいですが、眺めて良し登って良しの紛れもない名峰です。
・・・って、結局男体山ですかい。太郎は、ねえ太郎は?!