東京都府中市にある郷土の森博物館(きょうどのもりはくぶつかん)を散歩してきました。
旧き時代の武蔵野の風土を再現した展示を行っている、野外博物館です。敷地内には多くのアジサイが栽培されており、シーズン中には多くの見物客で賑わいます。
二日連続で雨模様となった週末、しっとり雫の滴るアジサイを見物してきました。
2020年6月14日に旅す。
府中市郷土の森博物館について
拝啓、入梅の候。どうあがいても絶望的状況な週末の天気予報を前に、ため息をついている登山好きの皆様におかれましては、いかがお過ごしでありましょうか。
まあ、天気が悪いものはどうしようもありません。
・・・本当は歯ぎしりしながら地団駄を踏んでいるのですが、ここは努めて冷静な風を装い、梅雨らしくアジサイ散歩にでも繰り出しましょう。
という事で今回は、東京都府中市にあるアジサイの名所、郷土の森博物館へと行って来ました。
博物館を名乗っていますが、建物内に展示物が陳列されている一般的な博物館とは若干趣の異る場所です。野外博物館と呼ばれるもので、公園として造成された広大な敷地内に武蔵野の郷土の光景が再現されています。
郷土の森はアジサイの名所としても有名な存在です。今回はちょうど満開の見頃を迎えていました。
実に梅雨らしいお散歩をしてきた記録です。長々と語るほどの内容もないので、写真多め言葉少なめで、軽くさらっと流そうかと思います。
駅から徒歩で行く、郷土の森へのアプローチ
郷土の森への最寄り駅である、京王線の分倍河原駅へとやって来ました。
郷土の森へ徒歩で行く場合に最寄り駅と言えるのは、京王線の府中駅、分倍河原駅または中河原駅です。南武線の府中本町駅や西武多摩川線の是政駅からでも徒歩圏内です。どこから歩いても距離的に大差はありません。
なお府中駅と分倍河原駅からは、それぞれ郷土の森行きのバスが運行されています。大体1時間に2本程度は走っており、バスで行くのが最も一般的なアプローチの方法です。
歩いてもせいぜい20分くらいの距離なので、今回は徒歩で行きます。
駅前に新田義貞の銅像があります。ここは、分倍河原の戦いと呼ばれる、その後の鎌倉幕府の滅亡を決定付けることになる合戦が行われた古戦場跡です。
目的地に向かいましょう。まずは新田義貞の銅像を背後に、南に真っすぐ進みます。
車道にぶつかったら左折して道なりに進みます。
そうそう府中市と言えば、以前は歩道上のいたるところに巨大な金属製のゴミ箱が設置されていたのですが、いつの間にかまったく見かけなくなりましたな。
あのゴミ箱を見かけると「ああ、ここは府中市なのか」と認識していたものだったのですがね。
やがて下河原緑道と交差するので、今度は右折します。あとは道なりに真っすぐに進めば目的に辿り着けます。
ニッコウキスゲにそっくりだけれどオレンジ色をしたこの花は、ノカンゾウかな。
前方に多摩丘陵が見えて来ました。武蔵野国府(現在の府中市)付近から見た多摩丘陵は、横に長い山のように目ることから多摩の横山と呼ばれていました。
アサガオなのかヒルガオなのか分かりませんが、雨露にしっとりと濡れながら花を咲かせていました。
郷土の森の敷地が見えて来ました。正門へ出るにはここを左です。
正門までやって来ました。新型コロナウィルス感染症対策ということで、入口で検温を実施中でした。
また入場に際して、用紙に名前、住所および電話番号の記入を求められます。この情報は万が一入場者の中から感染者が出た場合に、厚労省のクラスター追跡班に提供されるとのことです。
見頃を迎えた郷土の森のアジサイ
入口を入ってすぐの場所に、一般的な博物館という概念に相当する展示棟が存在します。付近の遺跡からの出土品などが収蔵されていますが、今回はアジサイが目当てなのでここはスルーします。
早速アジサイの大群がお出迎えしてくれました。良い感じに見頃です。
博物館らしく府中市の役場の建物などが移築復元されています。冷たいことを言うようですが、府中市民でもない私にとっては、特に興味を惹かれるものではありません。。
これは武蔵野の古民家を再現したものです。しかし本日の私の関心はもっぱら、その手前に咲いている植物に向けられています。
やはりアジサイは、しっとりと雨に濡れている方が断然良い雰囲気です。
マクロの世界を覗いて見ましょう。しっとりと鮮やかな青です。この柔らかい色合いは、咲き始めの時期ならではのものです。
続いてガクアジサイをドアップで。アジサイの花というのは、実はこの中心のイソギンチャクみたいな部分です。一見花弁のように見えている部分は、装飾花と呼ばれるものです。
ハケの茶屋で名物のお団子を頂こうかと思ったら、残念ながらこちらは新型コロナ対策で休業中でした。
園内の中央を横断するように人口の沢が造成されています。水辺があるというだけで、雰囲気が断然よくなるから不思議なものです。
沢の上流には蓮が浮かぶ池があります。ここはあくまで博物館であって庭園ではないはずなのですが、しっかりと庭園の基本を押さえておりますね。
こちらは藤棚ですかね。藤の方はもう完全に季節外れらしく、全く咲いてはいませんでした。
園内を一通り巡って歩いててみましょう。沿道はどこへ行ってもアジサイでいっぱいです。
晴れていれば、ベンチに座ってゆるりとアジサイ見物も出来よう所でしょうが、流石に雨の中を座って寛いでいる人の姿はありませんでした。
こちらは水遊び池です。文字通り水遊びが出来る場所で、アジサイ見物になどには何の興味もないであろう、子供たちの格好の遊び場となっています。
しかしここもまた、新型コロナ対策で水が抜かれてしまっていました。
かく言う私も、子供の頃に親に連れられて、アジサイなどそっちのけでここで遊んだ記憶があります。30年以上昔の話です。
園内の端の方にアジサイの小道と銘打たれている場所があります。どんな感じでしょうか。
これまたお見事な群生です。なお文字通り小道なので、すれ違いが割と困難です。
アジサイの色は土の酸性度によって決まると言いますが、このように色が入り混じった状態になるのはどういう時なのでしょうか。
田んぼがありました。これもまた立派な博物館の展示物です。これだけでも、ちょっと毛色の変わった博物館であることが良くわかるかと。
田んぼの脇には小規模ながら花菖蒲の群生地があります。こちらも梅雨時が旬の花です。
入口で入場者数の制限を行っているという事で、混雑することもなく比較的空いていました。
園内の片隅に、例の府中市のゴミ箱が置いてあるのを発見しました。もっとカラフルなオレンジとか緑のものもあったように記憶しています。
以前は、府中市内のいたるところにこれが設置されていました。撤去に至った理由は、ゴミ収集の有料化に伴うものだったそうです。
アジサイの小道は全部で2ヵ所にあります。という事でこちらがもう一つの方です。
先ほどの小道よりもさらに密生度が高く、突っ切たら水浸しになりました。
さて最後になりますが、個人的に郷土の森でイチオシのスポットを紹介しておきます。それはこのまいまいず井戸です。
このように、カタツムリの殻のような渦巻き状に掘られた穴の底に井戸があります。
武蔵野台地は、関東ローム層と呼ばれる水捌けのよい火山灰の地層に覆われています。そのため、水を得るためには相当深い井戸を振る必要がありました。
当時の技術ではそこまで深い縦杭を掘ることが困難であったため、このように地面全体を掘り下げて、硬い地層に辿り着いてから井戸を掘ることが行われていました。
穴の底に井戸があります。ただそれだけです。
何故と問われても自分でも理由は良くわからないのですが、私は昔からこのまいまいず井戸が好きでした。例え「一体これのどこがイチオシなんだ?」と問い詰められる事になろうとも、ともかく好きなのです。
多摩川沿いを歩き、帰りは何となく中河原駅へ
あとは帰るだけです。ただ同じ道を戻るのも何となくつまらない気がしたので、帰りは特に意味もなく中河原駅へ向かおうかと思います。
川辺には、雨の日であろうとお構いなしの、酔狂な釣り人たちの姿がありました。大丈夫なんですかね。上流で大雨が降れば、いきなり増水する事だってあり得ると思うのですが。。
対岸の段丘に、地層が露出しているのが見えます。上の方の赤い土が関東ローム層です。愛鷹山や日光連山からの降灰が降り積もったもので、かなりの厚みがあることが良くわかります。
鎌倉街道の関戸橋が見えてきました。多摩川上流の対岸に見えているビル群は、聖跡桜ヶ丘駅付近です。
この付近は多摩川の流れが特に緩やかになっている場所で、鎌倉時代から関戸の渡しと呼ばれる渡し場が存在しました。現在も、まったく同じ場所に同じ名前の橋が架かっています。
そして何も考えずに鎌倉街道を渡ってしまいましたが、駅の入り口は道の反対側でした。
ちなみに中河原駅には特急が停車しません。つまりここまで歩いても、電車の本数が少なくなるだけです。分倍河原駅ではなく中河原駅に向かって歩くべき合理的な理由は、何一つ存在しないという事をここで申し上げておきます
特急が通り過ぎて行くのを空しく見送ったのちに現れた各駅電車に乗り込み、帰宅の途に付きました。
軽く流すとか言っておきながら、結局はいつものようにダラダラとした冗長な文になってしまいました。でもまあ良いでしょう。ここはもともと、そういうブログなのですから。
という事で、生憎のお天気でしたが、実に梅雨らしいアジサイ散歩を楽しめました。
週末は晴れてくれるに越したことはありませんが、雨の日はそれにふさわしいアクティビティをもって過ごす方が、精神的衛生にもよい事であろうかと思います。
アジサイは割と花期の長い花であるので、見頃はまだ当面の間は続きます。お天気が芳しくなく日には、しっとり雨露の滴る季節の花を愛でに出かけてみてはいかがでしょうか。
完
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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