太刀岡山-黒富士-曲岳 黒富士火山群の山梨百名山を巡る縦走登山

升形山から見た黒富士
山梨県甲府市、甲斐市および北杜市にまたがる、太刀岡山(たちおかやま)、黒富士(くろふじ)および曲岳(まがりだけ)に登りました。
奥秩父山塊の南西部に位置する、今から約100万年前から50万年前頃に活動していた古い時代の火山です。現在では浸食による開析が進んでいくつかの小ピークに分離しており、黒富士火山群と呼ばれています。隣接していて尾根で繋がっているピークであるため、縦走して一日で3座を巡ることも十分に可能です。
山梨百名山の一石三鳥を狙って訪れた山で待っていたのは、思ってもいなかった急登続きの険路でした。

2022年11月27日に旅す。

今回はまたもや地味な山梨百名山回です。太刀岡山、黒富士および曲岳の3座を巡って来ました。

茅ヶ岳の東に隣接している、黒富士火山群と呼ばれる山群に属している山です。黒富士火山群は茅ヶ岳よりもずっと古い時代に活動していた火山で、現在では開析が進みいくつかの小ピークに分かれています。
瑞牆山から見た黒富士火山群
比較的コンパクトな山域に3座が収まっているため、山梨百名山の完登を目指している者にとっては、一日で一挙に3座巡れるボーナスステージのようなものであろうと思っていました。

しかし実際に訪れてみると、決して優しい縦走路ではありませんでした。浸食が進んでいる黒富士火山群の山々は、アップダウンが激しく急登続きのなかなかな険路です。
曲岳山頂直下の急登

3座共に森林限界を超えるほどの標高は無く樹林帯に覆われている山ですが、所々に開けている場所があり、眺望に関しては一流です。
曲岳展望台からの眺望
アップダウンの連続に打ちのめされて疲労困憊しつつも、一挙に3座の山梨百名山を巡って来た一日の記録です。

コース
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太刀岡山駐車場からスタートし、太刀岡山、黒富士および曲岳を縦走します。下山は観音峠から車道を歩いて太刀岡山駐車場へと戻ります。

標準コースタイム8時間ほどの、歩き応えがある行程です。

1.黒富士登山 アプローチ編 早朝の中央道で行く、甲府盆地への旅路

本日は僻地専門登山家の友人にまたもや車を出してもらい、いつものおっさん二人旅です。早朝の空いている中央自動車道を快調に進みます。・・・どうせまた帰りには渋滞するんでしょうけれどね。
早朝の中央自動車道
なお、黒富士火山群ある一帯は公共交通の不毛地帯で、登山口の近くまで行けるバス路線などは存在しません。

公共交通機関を利用してこの3座に登ろうと思った場合、竜王駅からタクシーを利用することになります。太刀岡山登山口まで大体3,000円くらいで行けるようです。

雲一つない快晴だったのに、突然霧の中に突入して少々焦りました。晩秋から初冬にかけての甲府盆地はもともと朝霧が発生しやすいことで知られていて、昼夜の気温差が大きい日に発生ます。
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双葉サービスエリアのスマートインターから高速を下りて、後はひたすら山梨県道101号を北上します。前方に目指す黒富士火山群の山並みが見て来ました。
甲府盆地から見た黒富士火山群
思った以上にデコボコしておりますな。長年の浸食によりこのような姿をしていますが、昔は一つの大きな山であったと考えられてます。

7時5分 太刀岡山駐車場に到着しました。本日はここを起点にして、反時計回りに3座を縦走します。
太刀岡山駐車場
太刀岡山はロッククライミングのゲレンデとしてはそこそこ名が知れている山で、こうして専用の駐車場まで整備されています。先客の車も既に何台か停まっていました。

車道はこの先にある標高1382メートル地点の観音峠まで続いています。太刀岡山はスルーして曲岳と黒富士にだけ登ろうと思っている場合は、観音峠まで車で入れます。
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2.最初から急登続きの岩峰 太刀岡山

7時15分 身支度を整えて行動を開始します。登山口へ行くには、駐車場からもと来た方に向かって少し戻ります。
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駐車場は陽が射さない谷底にあるため、寒々しいしい限りです。一刻も早くお日様が当たる尾根上に出たい。

やがて左手に橋が現れるので、左折して橋を渡ります。案内もしっかりとあるので、特に迷うような要素はありません。
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道なりに登ってゆくと、民家の軒先に登山口の入口がありました。本当に立ち入ってよいのか不安になる外観ですが、ここであっています。
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動物よけのゲートをくぐって登山開始です。クマが出没する旨を伝える注意喚起が、何枚も張り出されていて不安を煽られます
太刀岡山の登山口

入口でいきなり倒木に行く手を阻まれる。おいおい大丈夫かとなる展開ですが、この先の踏み跡はしっかりとしていました。
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最初から踵がいたくなるような容赦のない急登が始まりました。足元には落ち葉が堆積していて、なかなか凶悪なスリップ効果を発揮していました。
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最初の急登を登りきると、クライミングスポットの岩場が現れました。朝早くから早速取り付いているクライマーがおり、人気の場所であることが伺えます。
太刀岡山のクライミングゲレンデ

クライミングルートではない一般登山道の方は、岩の壁との直接対決を避けるように左側から回り込みます。片側が切れ落ちており、枯れ葉によるスリップ効果も相成って嫌な感じがします。
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7時50分 鋏岩(はさみいわ)と呼ばれる地点まで登って来ました。下から見上げるとまるでハサミのような形状に見えることからつけられた名称です。ここからだとよくわかりませんが、下から見た姿はこのあと下山後にしっかりと回収しました。
太刀岡山 鋏岩
この鋏岩から先は尾根歩きとなるのですが、尾根上に出るなり冷たい北風にさらされて、慌てて一度脱いだハードシェルを再び羽織りました。寒い寒い寒い。

鋏岩からは少しだけ展望が開けて、お隣の茅ヶ岳の姿が良く見えました。あちらも黒富士火山群と同様に古い時代の火山です。茅ヶ岳の方が活動時期の年代的にはずっと新しく、現在からおよそ20万年ほど前まで活動していました。
鋏岩から見た茅ヶ岳

北には、この後登ることになる曲岳の姿が見えました。右側からグルっと回り込んで行きます。ここから見ると大した標高差も無く容易そうに見えますが、この後に延々と続くアップダウン地獄が待ち受けています。
太刀岡山 鋏岩から見た曲岳

先へ進みましょう。鋏岩から先は吹きっ晒し状態な岩尾根の急登が続きます。コースタイム的には登山口から1時間30分程で登れてしまう山ですが、意外にも登り応えがありますぞ。
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道中に展望の開けている岩場がありました。眼下に麓の甲部盆地を一望できます。
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中央道を走っている時に遭遇した朝霧が、まだ消えずに残っていました。こうして遠巻きに見ると、本当に局所的に発生しているのが良くわかります。
甲府盆地の朝霧

遠くには、うっすらと雪化粧した甲斐駒ヶ岳の姿がありました。しかしこの山は、いつ見てもイケメンさんですね。
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喘ぎつつ急登を登るうちに、ようやく山頂が見て来ました。まだ本日の1座目だと言うのに、意外と手こずりましたな。
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8時30分 太刀岡山に登頂しました。このやけに勇ましい名前は、日本武尊が東国征討の際にここに太刀を収めたと言う伝説に由来しています。
太刀岡山の山頂
あまりにも名前が厳めしぎる気がするので、もっと親しみやすいようにとりあえずタッチーと言うあだ名をつけておく。

タッチーは甲府名山なるものにも選ばれており、山梨百名山のものよりもずっと立派な標柱が立っていました。県と市の間で、何か対抗意識のようなものでもあるのでしょうか。
太刀岡山の標柱

展望は南側だけが開けており、この通り富士山がバッチリ見えます。やはり山梨百名山からの眺望はこうでなくてはいけません。源氏山や三石山や春日山は、きっと何かの間違いに違いない。
太刀岡山からの眺望

3.縦走路上に立ちはだかる予期せぬ伏兵の鬼頬山

まだ先は長いので次へ参りましょう。太刀岡山の山頂からはしばしの間、ほぼアップダウンの無い水平移動のような尾根道が続きます。
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尾根上には広葉樹林が広がってており、紅葉シーズン中に訪れればさぞや壮観でありそうな予感がします。今回の訪問時期は明らかに遅すぎたようで、既に冬枯れの殺風景が広がっていました。

10分少々歩いたところで、再び山頂らしき場所に出ました。太刀岡山の北峰です。太刀岡山は南北二つのピークを持つ双耳峰であり、最高地点は北峰の方になります。
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山梨百名山の標柱が最高地点の北峰ではなく南峰の方に立っているのは、単純に北峰にはまったく展望がないからでしょうな。ピークハントそのものに拘らない限り、この北峰はスルーで良いと思います。
太刀岡山の北峰

北峰を過ぎると、勿体ないくらいに大きく標高を落とします。200メートル以上も標高を落とすので、事実上一度下山するようなものです。何もそんなに下らなくたっていいじゃないですかー。
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9時10分 越道峠(こいどとうげ)まで下って来ました。この先は下ってしまった分プラスアルファの登り返しとなります。縦走登山とはそういうものです。
越道峠

と言う事で、張り切って2座目に行ってみよう。越道峠から黒富士までの標準コ―スタイムは2時間です。
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越道峠からしばしの間、緩やかな尾根道が続きます。これは来る嵐の前の静けさのようなもので、この後ガッツリ登らされるのでご安心(?)下さい。
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山腹にぽっかりと洞窟が口を開けているのが見えます。もともと溶岩が冷え固まってできている山ですから、こういう空洞はいくつもあるんでしょうね。
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左手の平見城と呼ばれる場所にどうやら畜産場があるらしく、風下にいるため強烈なし尿臭が漂ってきます。端的に言うと、とても臭い。
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行く手に絶壁のような斜面が立ちはだかりました。現地ではこれが黒富士なのかと思いこんでいましたが、そうではなく手前に位置している鬼頬山(おにかわやま)と言うピークです。
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流石にこの勾配を直登するのは厳しいだろうから、左側から回り込んで行くのだろうと、この時はそう思っていました。

ところが予想に反して、まさかの直登でした。写真ではわかり難いですが、手で何かをつかみながらでないと登れないような勾配です。
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太刀岡山の急登のなかなかのものでしたが、鬼頬山のそれはさらに上をいっていました。

予想外の急登にだいぶ打ちひしがられましたが、何とか平坦な場所まで登って来ました。越道峠と鬼頬山の標高差はおよそ400メートルあるので、高尾山一個分を登った事になります。
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山頂らしき場所が見えて来ました。やれやれ、思っていなかった伏兵でしたよ。
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10時25分 鬼頬山に登頂しました。ここも甲府名山に選ばれているようです。甲府名山は全部で25座あるらしいのですが、黒富士火山群の中だけで4座あります。ちょっと大盤振る舞い過ぎませんかね。
鬼頬山の山頂

4.黒富士山登山 登頂編 黒富士火山群主峰の頂へ

鬼頬山からは、またもやもったいないくらいに標高を落とします。なかなかアップダウンの忙しい縦走路ですぞ。
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下った後は当然登り返しです。縦走登山とはそういうものです。大事な事なので2度言いました。
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本日の縦走で最後に登る予定の曲岳が、だいぶ近くになって来ました。山頂直下の勾配がかなりエグそうに見えますが、登山道はどこをどう登るのでしょうか。
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尾根越しに八ヶ岳の頭の方だけがチラ見えしました。あちらはもう冠雪していて、完全に冬の装いになっています。
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曲岳方面との分岐地点までやって来ました。直進すると黒富士方面で、左へ曲がると曲岳に至ります。ここからサクっと黒富士を往復します。
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正面にまたもや盛り上がったピークが見えました。どうやらあれが黒富士のようですね。黒富士火山群と呼ばれているくらいだから、あそこが主峰であると言う認識で良いのでしょうかね。
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山頂直下は岩場になっていました。急登と言えば急登ですが、太刀岡山や鬼頬山の登りに比べれば全然たいしたことはありません。
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と言う事で、割とあっけなく山頂らしき場所が見て来ました。山頂の周囲一帯がツツジの気に覆われており、開花シーズに訪れたらさぞや華やかな光景に包まれることでしょう。
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11時40分 黒富士に登頂しました。あまり広くはない山頂に先客が大勢いました。ここまでずっと貸し切り状態が続いていましたが、先客たちは観音峠から歩いて来たのかな。
黒富士の山頂標柱

展望は南西側に少し開けていますが、あまり眺めは良くありません。黒富士火山群の山梨百名山の中では、ここが一番イマイチな山頂です。・・・主峰なのに。
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人は沢山いるし眺めもイマイチなので、僅かな山頂滞在時間ですぐに引き返します。まさに山梨百名山に登頂したと言う事実を残すためだけにやってきたようなものです。
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サクサクと下って、曲岳方面との分岐地点まで戻って来ました。本日の縦走登山も残すところあと一座・・・と言いたいところですが、プラスもう1座に寄り道して行きます。
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5.黒富士火山群の真の見所、升形山

寄り道するのは、曲岳への道すがらに立っているこの枡形山です。黒富士に登ったからには必ず足を延ばすべきマストな一座です。その理由は、登ってみればわかります。
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案内の道標も何もありませんが、枡形山への分岐はここです。ここからサクっと往復してきます。
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振り返ると、先ほど登って来たばかりの黒富士の姿が見えました。この黒富士と言う名称は、枡形山から見た際に本物の富士山と並んで小さい黒い富士山に見えるのことに由来しています。
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なるほど確かに、ちょうど影になるので黒々として見えます。しかしあまりにも厳めし過ぎる名前な気がするので、もっと親しみやすいようにブラッキーと言うあだ名をつけておきます。

標高差こそさほど大きくはありませんが、この枡形山もまたなかなかの急登です。黒富士火山群に属している山は、基本どこも鉄壁の急登に守られています。
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山頂部は岩場になっていました。いかにも眺めが良さそうで期待が高まります。
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12時10分 升形山に登頂しました。ここも甲府名山に選ばれています。標柱は岩の上ではなく、その脇に立てられていました。
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では早速岩の上に登ってみましょう。思った通りに素晴らしい眺望です。岩の上は足場がかなり狭く、定員はせいぜい2~3人と言ったところです。
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まあ、言うほどあまり富士山っぽくはないかな。それでも黒富士と言う名前の由来となった光景なので、黒富士訪問の際には是非とも抑えて来たい光景です。
升形山から見た黒富士

反対の北側には奥秩父主脈の山並みが居並びます。
升形山から見た奥秩父主脈

遠目でも一目でそれとわかる金峰山(2,599m)です。山頂にある五丈石のおかげで、山座同定は容易です。すでに冠雪しているらしく、薄っすらと白く見えます。
升形山から見た金峰山

金峰山の西には瑞牆山(2,230m)。この山もかなり特異な姿をしているため、同定は容易です。右後方には小川山(2,418m)の姿も見えます。
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西には八ヶ岳が大きく裾野を広げています。南八ヶ岳と呼ばれる領域を、ほぼ真横から見た姿です。
升形山から見た八ヶ岳

北西の彼方には、浅間山(2,568m)の姿もありました。混じりけなしの白一色で、もう完全に冬の装いをしています。
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実に素晴らしい眺望の頂でありました。黒富士火山群における最大の見所は、間違いなくこの枡形山です。スルーせずに必ず立ち寄って行くことを強く推奨します。
枡形山の山頂

6.縦走最後の山、曲岳へ

黒富士の山頂にいたシニア団体が追い付いて来たので、場所を開け渡して引き返します。短い滞在時間でしたが、満足度の高い寄り道でした。
221127黒富士-068

分岐地点までもどり、曲岳方面へと進路を転じます。ここからしばしの間は、あまりアップダウンのない緩やかな尾根道が続きます。そうそう、こう言うのでいいんですよ。
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八丁峠を通過します。ここから平見城へエスケープすることも出来ますが、ここまで来て曲岳に登らない理由も無いので前進を続けます。
八丁峠

前方に曲岳の山頂部が姿を現しました。見るからにエグそうな傾斜をしておりますな。これはもう一波乱ありそうな予感です。
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と言う事で、曲岳本体に取り付きます。案の定と言うか、やはりかなりの急登です。
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太刀岡山や鬼頬山をも上回る急勾配の道です。もはや手を使いながらでないと登れない斜度なので、しっかりと三点支持をしつつよじ登ります。
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喘ぎつつもなんとか最後の急登を登りきると、展望台と銘打たれた岩場の上に出ました。
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展望台からは、太刀岡山からここまで今日歩いて来た道のりのすべてが一望できました。素晴らしい。
曲岳展望台からの眺望

最初に登ったタッチーこと太刀岡山です。こうして上から見下ろすと、全方位にかなり急峻な山であることが一目瞭然です。
曲岳展望台から見た太刀岡山

眼下に甲府盆地を一望出来ます。朝に発生していた霧は、正午過ぎともなると流石になくなっていました。
曲岳展望台から見た甲府盆地

ちなみに曲岳の山頂は、この展望台のすぐ目と鼻の先の距離にあります。いつまでも勿体ぶっていないで登頂しておきましょう。
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13時10分 曲岳に登頂しました。これで自身の山梨百名山登頂数は93座目となりました。いよいよ終わりが見えてきた気がします。
曲岳の山頂標柱
曲岳と言う名前は特に厳つくもありませんが、もっと親しみやすいようにとりあえずマッガーリと言うあだ名をつけておく。

7.黒富士登山 下山編 最後になってから訪れた核心部

さあ、帰りましょう。下山は八丁峠へと引き返しても良いのですが。「往復ヨリ横断ヲ持ッテ尊キモノトス」と言ういつもの価値観を発露し、この先の観音峠へと抜けます。
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北側に見えているこの二つの頂は、川上村の天狗山(1,882m)と男山(1,882m)です。あの辺りはもう長野県だと言う事です。
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尾根上を岩がふさいでいました。登山道は右側に回り込みますが、その前にせっかくだから岩の上からの光景を眺めてみましょう。
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茅ヶ岳が真正面に大きく見えます。厳密に言うと茅ヶ岳は左のピ―クで、正面に見えているのは金ヶ岳です。
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八ヶ岳も良く見えます。枡形山からも見ていたので、何が何でもここから見ないといけない訳ではありませんが。
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と言う事で、岩の右側から回り込みます。ここは下山時には逆に登り返すことになります。
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通過してから振り返ると、岩が尾根を完全い塞いでしまっていました。なかなか邪魔な場所にありますな。
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油断のならない下りがしばしの間続きます。同行の友人はビビりスイッチが入ってしまったらしく、完全に腰が引けていました。
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続いて今度はめまい岩なる岩が現れました。。眩暈いを起こしそうなくらい高度感がある岩と言う事でしょうか。ここでも登山道は右側から回り込みます。
曲岳のめまい岩

もともとからして険しい道である所に、枯れ葉によるスリップ効果も付加されて油断のならないない状態となっていました。ゆっくりと慎重に難所を突破して行きます。
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1時間近く下りつづけて、ようやく文明世界へと辿り着きました。
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14時25分 観音峠に到着しました。やり切った感に満たされそうになる瞬間ですが、ここはまだまだ山の中です。この後、1時間以上の舗装道路歩きが残っております。
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8.長々と続く舗装道路歩きと、曲岳の謎の岩

残るは仕上げのみです。スタート地点の太刀岡山駐車場を目指して、舗装道路を歩いて下ります。
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観音峠のすぐ近くに、茅ヶ岳の登山口がありました。こちら側の登山道は荒れていると言う情報もあるので、普通に茅ヶ岳に登りたいのであれば、観音峠からではなく麓の深田記念公園から登った方が無難だとおもいます。
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真正面に、今しがた下って来たばかりのマッガーリの姿がありました。こちら側から見る分には、特に曲がってはいません。
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これがめまい岩なのかな。こうして下から見ると、なかなか通行の邪魔になる場所を占拠しているのが良くわかります。
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そしてこちらの岩。望遠で覗いていて何気なく見つけたのですが、しかし見れば見るほどアレにしか見えません。
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何か固有の名前でもあるのではないかと思い調べてみましたが、特にそれらしい情報は見当たりません。であるならば、僭越ながら私が名付けるしかないと言う事で、とりあえず曲岳金精岩と命名しました。

しかし友人がこれに異を唱えます。曰くその名称は婉曲すぎるので、放送コードに抵触することを避けつつ、もっと直感的にわかりやすく曲岳ティムティム岩にすべきであると。
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想像してみてほしい。世間一般では責任世代などと呼ばれる四十路のおっさん2人が、ちんちんみたいに見える岩を何と呼ぶべきかで激論を戦わせている光景を。日本は本当に大丈夫か。

尾根上に強烈な臭いを漂わせていたのは、この黒富士農場のようです。かなり大規模な畜産場です。
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ビックホーンキャンプ場まで下ってくれば、長かった舗装道路歩きももう間もなく終わります。
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頭上に、往路で通った太刀岡山の鋏岩が良く見えました。なるほど確かにハサミのような形状です。
太刀岡山の鋏岩

駐車場が見て来ました。朝よりも車の台数が増えていますね。太刀岡山は意外に人気なようで。
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15時40分 太刀岡山駐車場に戻って来ました。歩き始めてから8時間25分の山行きでした。お疲れさま。
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9.黒富士登山 帰還編 中央道の渋滞からは逃げられない

すっかり遅くなってしまいました。この時間になってしまうと、帰りの中央道で渋滞に巻き込まれることはもはや避けられません。まあ、早く下って来たってどの道渋滞はするのですけれどね。
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高速に乗る前に、日帰り入浴施設の湯めみの丘に立ち寄って人権を回復して行きます。入浴料500円となかなかリーズナブルです。
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温泉の駐車場から、黒岳火山群の姿が良く見えました。やたらとデコボコしていて、アップダウンが激しかったのも納得の姿です。
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この日の中央道の渋滞はいつにない激しさで、最終的には50kmにもなりました。高井戸まで4時間以上・・・だと・・・。
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おお神よッ!と嘆きつつ、長い長い帰宅の途につくのでした。毎度の事ながら、嫌な顔一つせずに最後まで運転してくれた友人には感謝です。
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黒富士火山群は比較的コンパクトにまとまっている山域ですが、歩いてみるとなかなかどうしてハードな山行きでありました。車で来ているのであれば、周回するのではなく太刀岡山だけピストンした後に観音峠まで車で移動してしまう方が楽かもしれません。
茅ヶ岳ほど目立っているわけでもなければ交通の便が良い訳でもなく、なかなか訪問しようと思い立つ訴求力を見出しにくい山域ですが、ここにしかないオンリーワンの景観が確かにありました。
あまり人がおらず静かで、かつ歩き応えのある縦走コースをお探しの人におすすめです。ベストな訪問時期はツツジの咲く頃か、もしくは紅葉シーズンになろうかと思います。

<コースタイム>
太刀岡山駐車場(7:15)-太刀岡山(8:30)-越道峠(9:10)-鬼頬山(10:25)-黒富士(11:40)-升形山(12:10~12:20)-曲岳(13:10~13:30)-観音峠(14:25)-太刀岡山駐車場(15:40)

曲岳山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. つっしー より:

    情報が少ない山の素晴らしい記録をいつもありがとうございます。マッスーはマストですよね!

    • オオツキ オオツキ より:

      つっしーさま
      コメントをありがとうございます。

      そういえば鬼頬山と枡形山にはアダ名をつけてはおりませんでした。甲府名山にもちゃんと親しみを込めてあげないといけませんでしたね。

      とりあえず暫定で、マッスー=ガッターと命名しておきます。