静岡県沼津市にある沼津アルプスを歩いて来ました。
静浦(しずうら)山地と呼ばれる、駿河湾の奥部に沿うようにして連なる山並みです。稜線に沿って登山道が整備されており、駿河湾と富士山の大絶景を眺めながら歩くとの出来る、好展望のハイキングコースとなっています。標高400メートルにも満たない純然たる低山の連なりではありますが、大きくアップダウンを繰り返す険しい道程となっています。
春爛漫の花咲く里山で、桜と海の眺望を大いに楽しんで来ました。
2019年4月6日に旅す。
今回は通称沼津アルプスと呼ばれる山々を歩いて来ました。近年、日本全国にこのてのご当地アルプスが増殖中ですが、沼津アルプスはその中にあっては古参と言える存在です。
正式には静浦山地と言う名称で、駿河湾の奥地に沿うようにして連なる山並みです。具体的な名をあげると、北から順に香貫山、横山、徳倉山、志下山、小鷲頭山、鷲頭山および大平山と続いています。
道中では大きくアップダウンを繰り返すため、低山ながらも縦走すると何気にキツイと評判のコースです。前評判についてあまり気にも留めていなかったのですが、実際に身をもってそのキツさを味わうこととなりました。
北端に位置する香貫山は桜の名所として知られた存在です。山頂部は公園として整備されています。ここを起点に南下して大平山を目指すのが最も一般的な沼津アルプスの縦走コースです。
今回私は、最後にゆっくり花見をしたかったので、反対向きに南の大平山側から香貫山に向かって北上する行程で歩いて来ました。
新緑が芽吹き花が咲き誇るこの季節は、まさに里山歩きのベストシーズンです。生命の躍動感にあふれた、花咲く縦走路へと繰り出します。
コース
多比(たび)バス停よりスタートし、大平山から香貫山までの沼津アルプスの主要なピークのすべてを縦走します。標準コースタイムは6時間30分と、低山らしからぬ歩きごたえのある、骨太なハイキングコースです。
1.沼津アルプス アプローチ編 沼津アルプス南の起点、多比バス停へ
この日の朝、私はある一つの命題を前にして、ハムレットよりも深く悩み苦悶していました。その命題とはすなわち、沼津と言うのは新幹線で行く距離か否かと言うことです。
常日頃よりドケチ質素倹約は美徳であると言う価値観でもって生きている私にとって、新幹線代の支出を正当化するには、相応の理由付けが不可欠となります。
そう例えば「新幹線に乗らなければ、その後の乗り継ぎが間に合わない」と言う状況などであれば、こんなに苦悶することも無く、晴れやかなる心持で決断ができることでしょう。
ところが今回はそうもゆかず、始発を乗り継ぐと普通列車でも乗ろうと思っている時間のバスに間に合ってしまうんですよね、これが。
とは言っても、鈍行を乗り継いだ場合、沼津までの所要時間は3時間を超えます。3時間と言う乗車時間は、特急券代の支出を正当化するのに十分な説得力を持つ数字であるようにも思えます。嗚呼悩ましい!
6時45分 JR東京駅
朝っぱらからどうでもいいことにさんざん苦悶した末に、「行きは新幹線、帰りは鈍行」と言う線でひとまずは決着を図ることとしました。致し方ありません、人生に妥協は付き物なのだから。
得られた快適さはプライスレス。という事で、快適な新幹線の座席で悠々と過ごします。
ところでこれは素朴な疑問なのですが、出張族のサラリーマンと言うのは、新幹線に乗車する際には必ず柿ピーを食べながらビールを飲まなければいけないと言う決まり事でもあるのでしょうか。
いや、新幹線で見かける出張中っぽい身なりのサラリーマンが、大抵そのセットを標準装備しているものですから。。
新幹線で行くと言いましたが、残念ながら沼津駅に新幹線は停車しません。という事で、一つ手前の三島駅で下車します。
沼津駅に近づくにつれて、車窓から目指す沼津アルプスの山並みが徐々に見えて来ます。市街地のすぐ傍らに並びたち、まさしく里山と言う言葉の通りの姿をしています。
8時4分 沼津駅に到着しました。沼津は伊豆半島の付け根に位置し、古くから港町として栄えてきた都市です。この圧倒的なまでに海属性の町へ、山登りしにやって来ると言うのも妙な気分がします。
真っ白の駅舎が南国の情緒を誘います。
情緒と言うか、実際問題として登山を開始する前からすでに暑いです。水が足りるか不安になってきたので、自販機で飲料水を追加し合計2.5Lにしました。
結果として、この判断は大正解でありました。
8時20分発の多比行きのバスに乗車します。伊豆箱根バスは西武系列なので、ライオンズカラーの車両です。
車窓から海が見えてきただけで何故か無性にワクワクしてきます。おかしいな、私はいつからこんなに海が好きなったのだろうか。
8時50分 多比バス停に到着しました。ここまでの運賃は480円です。交通系ICカードには対応していません。小銭を用意しましょう。
※私の訪問当時には対応していませんでしたが、現在は使えます。
バス停の目の前に、海が良く見えそうな防潮堤があったので登ってみます。
眼の前に広がるのは、駿河湾の中でも最も奥まった奥駿河湾と呼ばれる一帯です。前方に見えている山並みは伊豆半島のものです。
奥駿河湾に浮かぶこの島は淡島です。日本がバブリーな景気に沸いていた頃には、世にも珍しい海上ロープウェイで対岸と結ばれていたのだとか。確かに中腹にプラットフォーム跡のようなものが見えます。
背後には、これから登る沼津アルプスの山並みが連なります。防潮堤の上で軽く腹ごしらえして、9時5分に登山を開始します。
2.縦走のスタート地点、大平山へ
登山口に向かって住宅地の中を進みます。入り口はバス停から少し戻った横断歩道のある辺りです。道標もなにもないので少々わかりにくいかもしれません。
まだ午前中だと言うのに気温がぐんぐん上昇し、とても4月上旬とは思えないような陽気です。
急勾配の農道を登って行きます。途中に分岐がありますが、どっちへ進んでも最終的に合流するで気にする必要あはありません。
こういう海が見える丘の光景が大好きです。住むとなると色々大変なのでしょうけれど。
ここに来て初めて道標が現れました。ここからいよいよ登山開始です。
と思いきや、道標が現れて以降もまだしばらく舗装道路歩きが続きます。何気に急勾配で、結構な標高を稼ぎだします。高尾山の一号路じゃないんだから、早く土の道を歩かせてくれい。
30分近く歩いたところで、ようやく舗装路の終端にたどり着きました。
沼津アルプスを略して沼アと呼ぶのがオフィシャルな呼称らしい。いつか友達に自慢できるかもしれないので、覚えておくと良いでしょう。
よく整備された歩きやすい道です。新緑の若葉に囲まれて実に気持ちが良い。
真面目に登り始めてから程なく、やけにあっけなく稜線が見えて来ました。
9時45分 多比口峠に到着しました。沼津アルプスの主稜線に乗ったことになります。ここから先はずっと尾根歩きとなります。
「何だ、ぜんぜん大したことないじゃん」と思うかもしれませんが、それは沼アの罠です。このルートがキツくなるのは、尾根上に出てからが本番です。
多比口峠から10分ほど登った場所に大平山の頂上があるので、最高峰の鷲頭山へ向かう前にまずはサクッと往復してきます。
愛鷹山越しに富士山の頭だけが僅かに覗いていました。この日富士山の姿を見かけたのは結局これが最後で、その後はすっかり雲隠れしてしまいましたが。。
シャガはアヤメの仲間です。白い花びらに上に、青と黄色の不思議なまだら模様がうかんでいます。
9時55分 大平山に登頂しました。沼ア縦走のまずは一座目です。
山頂の様子
ひっそりとした静かな山頂です。ベンチの他に、ザック置きと思われるテーブルが一つあります。
山頂にはたくさんの桜が植えられていますが、満開は過ぎてすでに散り始めていました。見頃の真ん中ではないと言え、開花時期に何とか間に合いましたな。
展望が開けているのは一ヵ所だけで、眺望はさほど良くありませんです。見えているのは、方角的に伊豆方面です。
3.沼津アルプス最高峰の鷲頭山へと続く、痩せ尾根と急峻なる登り
まだ縦走のスタート地点に立った言うだけなのに、空腹を覚えてガッツリと休憩を取ってしまいました。10時15分に行動再開です。
富士山は完全に雲隠れ中です。あんなに薄っすらとした雲なのに、綺麗に富士山だけを隠してしまっているような状態です。なんと言う空気を読まない雲なのでしょう。
目指す鷲頭山の姿を視界に捉えました。まるでオデキのような外観です。山頂直下はかなり急峻であることが、遠目にもうかがえます。
まずは鞍部に向かってガッツリと高度を落とします。急な場所にはロープが張られていました。しっかりとコブきなのが何気に有難い。
鞍部一帯は岩の痩せ尾根となっております。沼津アルプスはなかなかどうして、アルペン的な本格派ではありませんか。
つい一時間半ほど前に海際から眺めた淡島の姿が眼下に見えました。
真正面に見えているのは箱根です。そういえば、以前に箱根の外輪を歩いた時に、沼津アルプスの姿が良く見えていたっけか。
案の定と言うか、鷲頭山の山頂直下は急坂でした。足元は滑りやすい濡れた土なので、登りはまだしも下るときにはしっかりとロープを掴んだ方が無難です。
背後にさっきまで居た大平山の姿が見えます。その名前とは裏腹に、あちらも全然平たくなどない急峻な山容をしています。
11時5分 鷲頭山に登頂しました。ここが沼津アルプスの最高地点で、標高は392メートルです。まあ低山ですな。
山頂の様子
さほど広くはない空間に、桜が所狭しと咲き誇っていました。
新芽が出てきて、葉桜になり始めと言ったところでしょうか。ほぼ満開と言って差し支えはなさそうです。
太平山とはさほど大きな標高の差は無いのですが、それでも開花時期には微妙なずれが生じるものなんですね。
これはソメイヨシノなのかな?桜にさほど造詣が深いわけでもないので、花弁を見ただけではイマイチ種類を識別できません。
シャガも良い感じに見ごろです。見渡す限り、上も下も白い花に彩どられた美しい山頂です。鷲頭山は今がまさにベストシーズンだと言って良さそうです。
本日の行程全体から見ればまだまだ前半戦だと言うのに、早くも来てよかったという満足感に満たされてしまいそうになる、朗らかな山頂でありました。
4.沼津アルプス中盤戦、海を眺めながら歩く爽快な尾根道
すぐに再び山頂のよう場所に行き着きます。鷲頭山の傍らに立つ小鷲頭山です。
ここからは沼津港と千本浜を見下ろすことが出来ます。美しい弧を描いた砂浜ですね。
小鷲頭山を過ぎると、つるべ落としのような急勾配の道となります。すれ違いに登ってくる人たちは皆、息絶え絶えで必死の形相です。
これはなんと評したらよいのでしょうか。一言で言うとでっかい岩です。・・・はい、そのまんまです。
中将のいわれは、平清盛の五男坊がここで切腹して果てた場所だからだそうです。切腹とか言う現代人の感覚では到底理解不明な習慣は、源平の時代にはすでに定着していたのですね。
11時40分 志下峠を通過します。縦走はせずに最高峰の鷲頭山だけに登りたい場合は、ここから取り付くのが最短です。
志下峠に鎮座するこちらの岩は「ぼたもち岩」と呼ばれています。東北弁で言うと「ぼだもづ岩」ですね。どうでもいいことですが、ぼた餅とおはぎは一体何が違うのでしょうか。
峠を過ぎてからも、平坦な気持ちの良いトレイルが続きます。この辺りは沼津アルプスの中で唯一の、息を切らさずに気持ちよく歩くことのできる区間です。今のうちに周囲の景色を十分に楽しんでおきましょう。
き☆らら展望台とはまた、何やら輝いた感じのする名前ですね。今流行りのキラキラネームと言うやつでしょうか。
うーん、この松が育ってくる前は眺望が良い場所だったのかもしれません。現状は全然キラキラしておりません。
続いて今度は奥駿河パノラマ台です。さあ、今度はどんな感じでしょう。
こっちは文句なしに素晴らしい眺望です。その名の通り、奥駿河湾を一望できました。吹き抜ける海風が気持ちいい。
奥駿河パノラマ台を過ぎて程なく、またもや頂上らしき場所にたどり着きました。
12時 志下山に登頂しました。山と高原地図にその名を記載してすらもらえないような不遇の小ピークです。
志下山の山頂には、さざなみ展望台なる名称が与えられていました。先ほどからやたらと展望台だらけですね。
この志下山から志下坂峠に至る区間の尾根道こそが、個人的には沼津アルプスのハイライトと言って良い場所だと思います。ここからしばらくは、海が見える視界の開けた道が続きます。
左手に広がるのは奥駿河湾の静寂なる海面です。紺碧を湛えた海が美しい。
前方には沼津の市街地と千本浜の海岸線が見えます。標高400メートルにも満たない低山からの眺めらしからぬ、素晴らしいクォリティの展望です。
背後を振り返れば、先ほど登っていたばかりの鷲頭山の姿を一望できます。開放的でほんとに気持ちの良い尾根道です。
前方に沼津アルプスの次なるピークである徳倉山が姿を現しました。鷲頭山ほどではないにしても、やはり急峻そうな姿をしておりますなあ。
志下坂峠を過ぎると好展望タイムは終わり、再び急登が始まります。ここから再び怒涛のアップダウン地獄が始まります。気合を入れて参りましょう。
九十九折れも何もない、男らしいまでの一直線の道です。だんだんと、沼津アルプスと言うやつの性格が見えて来ましたよ。
急坂であるが故に、短時間で見る見る高度が上がって行きます。いい眺めだあ。
時より現れる満開の桜が、急坂に挫けそうになる登山者の心を励ましてくれます。
道中には、太平洋戦争当時の機関銃座の跡だと言うただの穴ぼこなどもあります。だいぶ崩落が進んでいるので、間違っても中に入ってみようとはしないように。
再び始まる急登。何気に思ったよりもずっとキツイですぞ、沼津アルプスは。
12時40分 徳倉山に登頂しました。いやはや、低山だと思って甘く見ていると痛い目を見るような道のりでありました。
山頂の様子
一面が芝生に覆われた広々とした空間です。昼寝でもしたらさぞや気持ちがよさそうですね。
本来であれば真正面に富士山が見える場所であるそうですが、相も変わらず薄い雲のヴェールに包まれていて全く見えません。何故よりによってそこにだけ雲が湧いているのでしょうかね。
5.幾多のアップダウンを乗り越え、縦走路最後の山、香貫山へ
13時 徳倉山を後にし先へと進みます。例のごとく一直線の急な下りです。沼津アルプスと言うのは、本当にどこまでも真っすぐな奴です。
そしてすぐにまっすぐ登り返しです。ええ、もう驚きはしません。すっかり沼津アルプスのやり口には慣れて来ましたとも。
普通なら九十九折れが付きそうな傾斜であっても、沼津アルプスの登山道はとにかく真っすぐなのが特色です。頑なに折り返すことを拒絶しているがごときなのは、何か理由があるのでしょうか。
13時30分 横山を通過します。展望も何もない場所だったので、ここは素通りしました。
まっすぐに登ってはまっすぐに下る。実にシンプルな行程です。少々ダレて来ました。評判通りになかなかキツイ縦走路ですぞ、これは。
前方に、ようやく縦走路最後の山である香貫山が姿を見せました。
すぐ近くにゴミ焼却場があるためか、この辺りの空気には少し嫌な匂いを感じました。ダイオキシンを肺いっぱいに吸い込んでしまったかもしれない。
車道が沼津アルプスの尾根を横断している場所へと下って来ました。八重坂峠に到着です。。
登山の最中に車道にぶつかると、何だかもう下山してしまったかのような気分になり少し興ざめですね。香貫山の登山口へ向かうには、横山を背にした状態から見て左方向へ進みます。
反対側の右方向へ少し下ると、商店と自動販売機があります。飲料水が尽きそうな場合は補充して行きましょう。
車道沿いに少し下ると、道の向かいに登山口が現れました。それでは最後の山へ張り切って行って見よう。
ええ、実はもう結構バテバテだったりするんですがね。気温が高めなこともあってか、思った以上にスタミナを消耗してしまった感じです。
登り始めてすぐに、なにやら無粋な白いものが横切っていいるのが視界に入りました。・・・ガードレール・・だと。
という事で、またもや車道に出てしまいました。最後の最後が舗装道路歩きだなんて、そりゃないぜ沼津アルプスさん。
と不貞腐れていてもしょうがないので、ともかく登ります。
桜の名所と言うだけあってか、山腹にも所々に花を咲かせていました。
このままずっと舗装路歩きで終わるのかと思っていたところで、山道が現れてほっと一安心です。やはり私は、アスファルトよりも土の道が好きです。
ここで突如として前方に、モッフモフな生き物が姿を現しました。
※ただの野良猫です。
人慣れしているらしく、何の躊躇もなしに人の足元の脇を通り抜けて行きました。登山者に餌付けされているノラ猫なのかな。
希少生物との予期せぬ遭遇にすっかりと気を取られてしまいました。山頂へ向かいましょう。
香貫山の山頂部は公園として整備されています。という事で、ここまで来ると登山の恰好をしている人はむしろ少数派です。
少し遅かったかもしれないと危惧しておりましたが、香貫山山頂の桜はまだまだ見頃の状態でした。
山頂部がお目見えです。ふむ、アンテナに占拠されておりますな。
何気に結構長かったこの縦走路も、いよいよ最後の時を迎えます。
14時30分 香貫山に登頂しました。多比を出発してからおよそ5時間半。登ったり下りたりを繰り返す、なかなか歩きごたえのある道のりでありました。
山頂の様子
山頂部の大半がアンテナ施設に占拠されています。展望は一切ありません。
山頂に展望はありませんが、その代わりに少し離れた場所に展望台があります。当然ながら立ち寄りますよ。
こちらがその展望台です。アンテナ設備と展望台を兼務すると言う珍しい形態です。
正面には駿河湾と千本浜。この季節特有の霞の影響で遠くこそ見えませんが、それでも素晴らしい眺望です。
眼下に見下ろすは魚市場で有名な沼津港です。美味しものが沢山あるので、身も蓋もないことを言ってしまうと、沼津アルプスよりもオススメなスポットです。
そして振り返れば、ここまで歩いて来た沼津アルプスの山並みを一望できます。一番奥に見えている尖がった山が鷲頭山で、大平山はここからでは見えません。
そして北には、愛鷹山越しの富士山の大パノラマが。・・・心の目で見ればきっと見えます。
眼下に五重塔があるのが見えます。香陵台と呼ばれる公園で、あちらも桜の名所として名高い場所です。この後はあそこを目指して下山します。
こんなところにもカヌキオオヤマネコの姿が。山頂には野良猫がやたらと沢山住んでいました。
6.沼津アルプス下山編 香稜台を経て黒瀬バス停へ
これにて沼津アルパイン単独という目標は無事に達成されました。ぼちぼち下山を開始しましょう。
世界広しと言えども、蛇口付き水道が存在する山だなんて、高尾山くらいなものだ。そう思っていた時期が私にもありました。
サクサク下って香陵台まで下りて来ました。桜シーズンたけなわという事もあってか、駐車場待ちの大渋滞が発生していました。
本来であればここから桜と五重塔と富士山という、いかにも外国人観光客が大喜びそうなTHE日本の光景が見えるはずなのですが、本日は肝心な富士山が雲隠れを決め込んでしまっております。
ちなみにこの塔は慰霊平和塔と言うのが正式な名称で、戦没者を慰霊する目的で建てられたものです。
香陵台から先にも、車道とは別にちゃんと登山道があります。おかげで、この煩わしき大渋滞に巻き込まれることはありません。
という事で無事に下山完了です。登山口が住宅地の只中にあると言うのも、里山ならではの光景です。
15時25分 黒瀬バス停に到着しました。ここから沼津駅までは、歩いてもせいぜい30分くらいの距離です。
30分程度なら、いつもならバスを待たずに歩くところですが、今日はもうすっかり歩くのはお腹いっぱいの気分だったので、素直にバスの到着を待ちます。
宣言した通り、帰りは新幹線には乗らずに鈍行列車を乗り継いで帰宅します。
小田原から乗り換えた小田急線が人身事故に巻き込まれ、結局4時間以上かかったと言う事実をお伝えしておきましょう。という事で、今朝がたの命題に結論は出ました。沼津は新幹線で行くべき場所です。
「意外としんどかった」と言うのが、沼津アルプスを端から端まで歩いてみた率直な感想です。低山ながらも道中のアップダウン大きく、累計の標高差は1,200メートル以上となります。沼津アルプスは、決してお手軽なゆるハイキングコースなどではありません。まる一日をかけてガッツリと歩くコースです。
道中から望む駿河湾の展望は低山らしからぬ素晴らしいクォリティを誇り、眺望、歩きごたえ共に、2,000メートル級の山岳に比肩しうるだけ存在であると思います。非常に満足度の高い良ハイキングコースであることは間違いありません。
6時間30分は長すぎると思う方は、途中でエスケープできるポイントは何ヵ所もあるので、程よい位置で切れば良いかと思います。あらゆる人にオススメです。
<コースタイム>
多比バス停(9:05)-多比口峠(9:45)-大平山(9:55~10:15)-鷲頭岳(11:05)-小鷲頭岳(11:20)-志下峠(11:40)-志下山(12:00)-徳倉山(12:40~13:00)-横山(13:30)-香貫山(14:30~14:55)-黒瀬バス停(15:25)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキさん こんにちは。
我が地元の沼津アルプスへようこそ。
私も昨年志下峠までを歩きましたが、なかなかどうして
歩き堪えがありますよね。
アップダウンも割と激しく岩場あり、ロープ場ありと変化に富んだ
コースを存分に楽しまれた様子。新種のヤマネコの発見も!
いつかは奥沼津アルプスまで是非どうぞ。
因みに沼津からの帰りはバスと言う手もありますので
命題への結論の選択に加えてみてはいかがですか?
私は断然新幹線をお勧めしますけど(笑)
macky様
コメントをありがとうございます。
なるほど高速バスと言う選択肢もありましたか。さらなる苦悶の時が始まりそうです。
奥沼津もなかなかスリリングで楽しそうなエリアですが、登山とは別に桜エビ食い倒れの旅に沼津へ再訪したいと思う今日この頃です。
5年後の3月に往訪しました。
青春18きっぷを使って職場から沼津へ行き、東横INN会員カードのポイントで泊まると言うワザで費用と時間の問題をクリアーしました。
為に、ルートは沼津駅前から歩いて香貴山から大平山へと、ちょうど逆コースとなりました。
縦走路の水道には、私も驚きました。
ひねってみたらチャンと水も出た。
どうやって吸い上げているのか。
桜はまだでしたが、景色特に駿河湾や富士や箱根の眺めが良かったのと、海が近い為か風が大変強かったのと、沼津駅付近某所で食べた海鮮丼が手荒く美味かったのが、思い出です。
貫徹さま
コメントをありがとうございます。
沼津アルプスを満喫されたようで何よりです。さらに距離が長くなりますが、大平山から先の裏沼津アルプスもぜひどうぞ。