飯豊連峰縦走 虚無の世界となった雨の稜線を行く【day3】【day4】

ガスに覆われた北股岳の山頂
山形県、福島県および新潟県の三県境界上にまたがる飯豊連峰(いいでれんぽう)を縦走してきました。
縦走3日目は御西岳避難小屋からスタートして、北股岳を始めとする飯豊連峰中部のピークを踏みながら、えぶり差避難小屋を目指す計画を立てていました。
絶景が広がるはずの稜線歩きで目にした光景は、一面が真っ白な虚無の世界と横殴りの大雨でした。

2024年9月11~12日に旅す。

飯豊連峰のほぼ中央に立つ北股岳を越えて、えぶり差避難小屋まで一気に歩くに歩こうと言う計画です。歩行距離的には今回の山行きの中で最長となる区間ですが、そこまで大きなアップダウンは無い尾根沿いを気持ちよく歩く1日となるはずでした。
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しかしそこで待ち受けていたのは、ガスに覆われて一面が真っ白な虚無の世界でした。ガスっているだけなら歩くのには支障無いのですが、正午前には早くも大粒の雨が降り注ぎました。
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レインウェアを着るタイミングを見誤って靴の中まで濡らしてしまい、おまけに4日目にも天候回復の望みは薄そうな予報であったため、えぶり差岳まで行く予定は中止して飯豊山荘に下山する運びとなりました。

計画未達となり不本意な結果となった縦走3日目と4日目の記録です。雨に降られてあまり写真も撮れなかったので、今回はサクッと短めにまとめようかと思います。
飯豊山荘

コース
飯豊連峰中部のマップ
御西岳避難小屋からスタートして、烏帽子岳と梅花皮小屋(かいらぎこや)を経て北股岳に登頂します。

その後はえぶり差避難小屋まで歩くつもりでしたが、雨に降りこめられて門内岳避難小屋で行動を打ち切りました。翌日は丸森尾根を下り、飯豊山荘へエスケープしました。

1.濃密なガスに覆われた1日の始まり

6時10分 御西岳避難小屋前よりおはようございます。この通り朝からとても良いお天気です。ご来光うんぬん以前にまず視界がほぼゼロの状態であったため、周囲が十分に明るくなってから行動を開始します。
周囲をガスに覆われた御西岳避難小屋
本日の天気予報はもともとあまり良いとは言い難いものでしたが、朝の時点で確認するとさらに下方修正されていました。低層雲と中層雲の両方が沸き立つ絶望的状況で、正午頃には雨が降るらしい。

今日はもう1日中この状態であることを覚悟しなければならなそうです。

御西岳避難小屋から、まずは緩やかに下って行きます。先が全く見えていないので、どのくらい下るのかも見当はつきませんが、地図の等高線を見る限りではそこまで大きくは下らないはずです。
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予想の通り、すぐにほぼ水平移動のトラバースに移りました。晴れていれば、お花畑が広がる気持ちの良い稜線なんでしょうね、きっと。
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尾根が痩せているところもありますが、人一人が通行できるだけの横幅しっかりとあり、特に危険はありません。両脇がどれくらい切れ落ちているのか全く見えない状態だったので、もしかしたらそれなりに高度感がある場所なのかもしれません。
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結構な強さの横風が吹きつけてきて、半袖だと少し肌寒さを感じます。昨日は暑さに喘ぎながら歩いていたというのに、1日でここまで変わってしまうのだから、山の天気の急変と言うのは本当に恐ろしい。
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朝露に濡れた笹をわしゃわしゃとかき分けて行くと、ズボンの裾があっという間に水浸しになりました。
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うーむこれは、下だけでもあらかじめレインウェアを履いておくべきだったかもしれない。下半身を濡らしてしまうと、タマずれ股ずれで酷い目いあった、前回の白神岳の二の舞になってしまうかもしれない。

歩き始めて間もなく1時間になろうというところで、天狗の庭と呼ばれている場所に辿り着きました。
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登山道の脇に、いくつかの池塘が点在する平坦地があるのが薄っすらと見えています。ここも天気が良ければ、きっと風光明媚な場所なんでしょうね。
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始めてしまった物語(記事)は完結させなければならないという義務感だけで筆を進めていますが、まったく飯豊連峰の魅力を伝えられていないし、書いていてなんだか読者の皆様に対して申し訳ない気持ちになって来ました。

ダラダラと書いていないで、サクっと終わらせましょう。

天狗の庭を過ぎると、尾根は緩やかな登りに転じました。一部道が細いところもありますが、今のところ急登はなく至って歩きやすい尾根道です。
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9月に入ってもなお、僅かにお花畑が残っていました。やはりお花の最盛期に歩きたかったな。
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この辺りでパラパラと小雨が降り始めました。予報よりもだいぶ早くに降り始めました。まだ全然本降りと言う感じでもなかったのでレインウェアは着ないで、片手に傘をかざした山ナメスタイルで進みます。

7時50分 御手洗ノ池まで歩いて来ました。ちなみに、トイレはありません。梅花皮小屋まで我慢してください。
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なるほど一際大きな池がありました。池を眺めつつ立ったまま軽く腹ごしらえをしている間に、ひとまず雨は上がりました。
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2.飯豊連峰のほぼ中央に立つ北股岳と梅花皮小屋

御手洗ノ池からは一度僅かに標高を落とします。先ほどの小雨であらゆるものが濡れており、足元が滑りそうで嫌な感じがします。
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下りきった地点は、池塘が点在するちょっとした湿地になっていました。僅かに草紅葉が色付いきてており、季節は確実に秋へと移ろいつつありました。
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真面目に登りが始まりました。先は全く見えませんが、いっちょう気合を入れて参りましょう。
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湿った横風がまあまあ冷たいです。今にして思えば、この時点でレインウェアを着こんでおけばよかったのかもしれませんが、蒸れるのは嫌だという一心でそのまま進みます。
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先の見えない登りがしばしの間続いたところで、ようやく山頂らしき場所が視界に入りました。
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9時20分 烏帽子岳に登頂しました。晴れていればさぞや眺めの良さそうな山頂ですが、本日はこの通り、イッツ・ア・虚無ワールド状態です。
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この烏帽子岳と言うのは、北股岳の手前に立っている前衛のようなピークです。烏帽子岳と北股岳との間の鞍部に、梅花皮小屋があります。
御西岳避難小屋から見た北股岳

登って来て早々ですが、鞍部に向かってかなり大きく下ります。この後に待ち受けている北股岳への登り返しの事を思うと気乗りしませんが、道がそうなっている以上は致し方ありません。
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10時25分 ガスの中から不意に梅花皮小屋(かいらぎこや) が姿を現しました。直前までまったく姿が見えていなかったので、唐突さに驚きました。こんなにも視界が悪くなっていたのか。
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収容人数50人ほどの小屋で、飯豊連峰にある避難小屋の中では切合小屋に次いで人気のある小屋です。

梅花皮小屋には治二清水と呼ばれる、夏でも枯れることの無い信頼が置ける水場があります。烏帽子岳から北股岳に向かう場合は、進行方向から見て背後に少し引返した地点にあります。先へ進む前に、翌日までに必要な分を給水しておきましょう。
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なるほどじゃぶじゃぶと冷たい水が大量に出ています。ここでカモノハシ水筒に水を詰めようとザックを降ろした直後に、バタバタと音を立てて大粒の雨が降り始めました。おおい、タイミングが悪すぎるだろう。
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汲むものも汲まずに、大慌てで梅花皮小屋の中へと逃げ込むのでした。

小屋の中に、足をくじいてしまって歩行不能状態になり、救助を待っているのだという一人の男性がいました。このガスではヘリが飛べないため、ずっと足止めを食ってしまっているらしい。足首がパンパンに腫れていて痛そう…

この方が偶然にも当ブログの読者だったので、雨が上がるのを待ちつつしばし歓談しました。

3.ずぶ濡れになり門内岳で行動を打ち切る

11時 雨が収まったので行動を開始します。この時点ではまだエスケープするつもりはなく、到着が多少遅くなろうとも、えぶり差避難小屋まで行くつもりでした。
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予報よりもだいぶ前倒しの時間でしたが、今日降る雨はもう終わったのだと、この時はそう思っていました。そのためレインウェアも着ずに行動を再開してしまったのですが、それが大間違いでした。

北股岳に向かって本格的な登りが始まりました。小屋からの標高差は200メートルあるかないかくらいなはずです。一気に登ってしまいましょう。
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再び霧雨が舞い始めましたが、雨具が必要なほどの雨脚ではありません。濡れるに任せて前進します。
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程なく真っ白な中に鳥居が現れました。
ガスに覆われた北股岳の山頂

11時30分 北股岳に登頂しました。飯豊連峰のほぼ中央に位置している山であり、晴れていれば全方位に展望が開けています。晴れていればね。大事なことなので2度言いました。
北股岳の山頂
ここが本日のハイライトになるはずの山頂なので、一応は三脚を立てて自撮りでもしようかと思った矢先に、またもや音を立てて雨粒が落ちて来ました。

慌てて傘をさしやり過ごそうとしましたが、雨脚は収まるどころかどんどん強まっていきます。ここでようやくあきらめてレインウェアを着込んだのですが、しかし遅きに失しました。

すでにずぶ濡れ状態だったズボン裾から靴下をつたって、靴の中にまで水が入ってしまいました。

ここから先はカメラは防水バックの中行きとなり、ほとんど写真がありません。これは北股岳から門内岳に向かっている途中にあった池です。かなりの大きさだったので、名前があったりするのかもしれない。
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13時5分 門内岳に登頂しました。北股岳の隣にある小ピークです。ここまではあまり大きな標高差もなく歩きやすい道でした。・・・雨に打たれている点を除けば。
門内岳の山頂

山頂から5分とかからないくらいの場所に場所に、門内岳避難小屋があります。
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13時10分 門内岳避難小屋に到着しました。まだ正午になったばかりの時間ではありますが、本日はここで行動を打ち切ることにしました。
門内岳避難小屋
えぶり差避難小屋まではまだかなりの距離があり、靴の中が濡れた状態で歩き続ければ、遠からず靴ずれを起こしてしまうだろうという判断からです。

時間的に今からなら飯豊山荘までエスケープできないことも無いとは思いますが、濡れてしまった靴をなんとかして乾かしたい。

だいぶ年季の入った小屋ですが、中は清潔で至って快適でした。門内岳避難小屋は位置的に中途半端だからのか、あまり利用者はおらず空いていることが多い小屋です。結局この日は貸し切り状態でした。
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乾いているタオルなどを総動員して、何とか靴の中の水気を取り除きます。後は明日の朝までに少しでも乾いてくれれば良いのですが、湿度がほぼ100%であろうこの状況では、望みは薄そうです。

4.雨の丸森尾根を下る

明けて9月12日、5時30分
周囲が明るくなったところで行動を開始します。今は雨は上がっていますが、10時ごろから再び降雨がある予報となってます。えぶり差岳までの縦走は諦め、飯豊山荘にエスケープします。
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靴の中の水気は昨日よりは多少マシになりましたが、それでも完全に乾いているはずはなく、履くなり冷たさを感じる状態です。

ズボンもパンツも昨日の時点でずぶ濡れ状態になっており、乾いているものは下山後に着替えるつもりであった1セットしかありません。これまで濡らしてしまうと、帰りの電車の中でもずっと濡れているものを着ていることになってしまいます。

暫し考えた末に、ノーパン状態の上に直接レインウェアのズボンをはくという暴挙に及びました。この判断は果たして吉と出るか。

しっとり濡れた笹を豪快にかき分けつつ進みます。昨日の時点で始めからレインウェアを履いていば何も問題は無かったのですが、今となってはもう後の祭りです。
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ちょっとした岩場などもありますが、至って歩きやすい尾根道です。当初の計画では3日目に歩くはずだった行程において、核心部と言えるのは北股岳を越える辺りで、後はそれほど大きなアップダウンはありません。
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今のところ下半身は蒸れることもなく、至って快適な履き心地です。ひょとするとこのノーパンレインパンツ直履きは、夏山登山における蒸れ対策としては100点満点のソリューションなのではなかろうか。
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万が一社会の窓が開いていたりすると、事案が発生してしまう危険性があるので、その点だけは注意が必要です。

6時20分 地神山に登頂しました。当初計画通りであればただの通過点でしかなかったはずの小ピークですが、ここが今回の縦走で踏む最後のピークとなりました。
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もう少しだけ尾根上を進みます。この辺りは谷川岳などの上越国境地帯の山とよく似た雰囲気の笹の稜線で、冬の積雪量が相当多いのであろうことが伺えます。
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地神山か10分少々下ったところで、丸森尾根への分岐が現れました。
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この期に及んでまだ未練タラタラではありましたが、今日もまた雨が降ると言われてしまっている以上は、続行しても良いことはありません。このまま脱出しましょう。
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取り付地点からいきなりの急勾配で、行く先に少々不安が付きまとう道です。ここから飯豊山荘までの標高差は、およそ1,400メートルあります。頑張ってまいりましょう。
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川底を直接歩くようなザレ場がしばしの間続きます。雪解けの時期だと、おそらく水の中を歩くことになるのだと思います。
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不意にガスが抜けて谷底が見えました。昨日からずっと周囲を覆い続けていたこの忌々しいガスは、ちょうど稜線の上の標高付近に纏わりついていたようです。
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この様子では今日もヘリは飛べそうにないかな。梅花皮小屋で助けを待っている彼はどうしているだろうか。

花崗岩が大きく洗堀されていて、通行に難儀する箇所が何ヵ所かありました。深い考えも無しに選んだエスケープルートでしたが、この丸森尾根はあまり歩かれてはいないルートなのだろうか。
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ずっと下り一辺倒の道が続いていましたが、少しだけ登り返しがありました。
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7時30分 丸森峰を通過します。ここが尾根の名前の由来となっているピークであるようです。ここでついに雨粒が落ち始めたので、本日はもう一切躊躇せずにレインウェアの上も着込みます。
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ところがレインウェアを着た直後に道は森の中に入り、殆ど雨粒は落ちてこなくなりました。そして標高が下がって来た事により、蒸し暑くなって来ました。なんだかもう、昨日から何もかもがうまくいきません。厄日か。
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とは言っても、こうして頭上が開けている場用ではしっかりと濡れるので脱ぐ訳にも行きません。いっそうのこと、上半身も裸になって真っ裸レインウェア男になるべきか。
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中腹まで下って来ると、周囲は美しいブナ林になりました。
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9時20分 レンズプロテクターが結露して大変なことになっていますが、夫婦用水まで下って来ました。丸森尾根の中ほどになる水場です。水の残量はだいぶ心許なくなっていたので、ここで給水していきます。
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水はしっかりと出ていましたが、雨が降っているからなのか少々泥臭くなっていました。この水場はあまり当てにはしない方が良いのかもしれない。
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丸森尾根は終わりが近づくにつれてどんどん勾配が増していきます。逆に登るときは最初が一番キツイと言う事です。ここなどはクサリがあってもよさそうなものですが、何の補助もありません。
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3時間以上黙々と下り続けて、ようやく谷底が見えて来ました。長く苦しかった下山も、もうあとわずかです。
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飯豊山荘らしき建物の屋根が見えました。
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最後の最後まで油断のならない急勾配が続きます。百名山のメジャールートらしからぬ、なかなか容赦のない道です。メジャーではないのかな。
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11時15分 飯豊山荘に到着しました。途中で雨に降られたことを差し引いても、あまりエスケープだとは言えない様な厳しい下山路でした。
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5.最後の林道歩きに救い神が現れる

飯豊山荘へは夏山シーズン中はバスが運行されていますが、このバスは8月末までで終了です。9月に入るとこの通り、バス停留所は片付けられていました。
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ではどうするのかというと、ここから林道をおよそ5kmほど歩いて飯豊梅花皮荘まで行きます。そこまで行けば、小国町の町営バスがあります。

ちなみに飯豊山荘は谷底にあるため、携帯電話の電波は一切入りません。帰路でタクシーを呼びたい場合は、予め電波が入る稜線上にいるうちに電話しておきましょう。

小雨がシトシトと降り続ける中、林道をトボトボと歩いて下ります。しかしここで、思わぬ救い神が現れました。1台の軽トラが停車して、「良かったら乗って行かないかと」と声をかけて頂きました。
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以前に和賀岳に登った時には、同じようにわざわざ声をかけてもらったのに断るという意味不明な行動をとりましたが、今回は素直にご厚意に甘えることにしました。

と言うのも、和賀岳に登った時は自分の中で「いや公共交通機関でも登れるが?」を証明したいという明確なテーマがありました。しかし飯豊山荘については、時期によってはバスでも来れる場所です。

となれば、変な意地を張る理由はありません。

13時20分 と言う事で場面は一気に飛んで、坂町駅に到着しました。最寄りのバス停に降ろしてくれればよいと言ったのですが、どうせ近くを通るのだからと、わざわざ駅まで乗せて頂きました。どうもありがとうございます。
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湿度100%の山中からいきなり気温の高い街中まで下りてきたため、レンズが激しく曇ってしまっておりますな。

日中のちょうど電車が少ない時間帯に当たってしまったので、新潟駅までは特急いなほを奮発しました。奮発したとは言っても自由席ですが。
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新潟駅から新幹線に乗り込み、帰宅の途に付きました。
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長年の憧れだった飯豊連峰縦走の後半戦は、天気に散々祟られた挙句に途中離脱して終わりました。こうして後から振り返ると、レインウェアを着こむチャンスは途中でいくらでもあり、靴の中まで濡らしてしまったのは完全なる判断ミスによるものでした。濡れ対策さえできていれば、計画通りにえぶり差岳まで縦走することは十分出来ただろうと思います。・・・最後まで真っ白な中を歩き切ったところで、それで楽しめたかどうかはさておき。
いずれにせよ極めて不本意な結果に終ったことは間違いなく、えぶり差岳にはいつかまた必ず登りに来ます。出来れば初夏の花シーズン中にでも。

<コースタイム>
3日目
御西岳避難小屋(6:10)-御手洗の池(7:50~8:10)-烏帽子岳(9:20)-梅花皮小屋(10:25~11:00)-北股岳(11:30~11:50)-門内岳(13:05)-門内岳避難小屋(13:10)

4日目
門内岳避難小屋(5:30)-地神山(6:20)-丸森峰(7:30~7:50)-飯豊山荘(11:15)

地上山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. rakurai より:

    梅花皮小屋に居た者です。その節はこちらから突然話しかけたにも関わらず温かく応じて下さりありがとうございました。また、ご心配をおかけしました。
    その後の顛末を簡単にご報告させて頂きます。その後もなかなかガスは晴れず、結局ヘリによって収容されたのはお会いした3日後、9月14日になっての事でした。病院で検査を受けたところ骨折しており、手術となりました。現在はリハビリを続けており、日常生活で普通に歩ける程度までは回復したところです。山への復帰もそろそろ考えています(もちろん最初はハイキングからですが)。
    当分の間は近場の低山しか歩けない身ですので、勝手ながら以前にも増してブログの記事を大変楽しみにしております。いち読者として応援しております。もしまたどこかの山でお会いしましたらその時はよろしくお願いします。

    • オオツキ オオツキ より:

      rakuraiさま
      コメントを頂きましてありがとうございます。

      あれからさらに3日も足止めされるとは、災難でしたね。どうぞお大事になさってください。再び自由気ままに山の中を歩き回れるようなる日が、一刻も早く訪れることをお祈りしています。