中ノ岳-丹後山 利根川源流域の奥地に静かにたたずむ越後三山の最高峰

カモエダズンエ尾根の8合目付近から見た中ノ岳
新潟県南魚沼市と魚沼市にまたがる中ノ岳(なかのだけ)に登りました。
八海山および越後駒ヶ岳と合わせて、越後三山(えちごさんざん)と呼ばれる山群を構成している山の一つです。越後三山の中の最高峰でありながらも、訪れる人の数はずっと少ない静かな山です。豪雪地帯にある山であることから、谷が深く切れ込んだ急峻な山容を持ち、どこから登るにしても標高差が大きく厳しい山として知られています。
中ノ岳避難小屋に1泊して、隣接する丹後山と合わせた周回ルートを巡ってきました。

2025年10月23~24日に旅す。

越後三山は新潟県の魚沼地方から見上げた際に非常に目につく存在である、八海山、越後駒ヶ岳および中ノ岳の総称です。3座共に古くから地域の象徴的な存在として、山岳信仰の対象にもなってきた信仰の山です。
小出町内から見た越後三山
この越後三山の中の最高峰が、今回の舞台である中ノ岳です。ちょうど三山の中心にある山だから中ノ岳と言う、極めて安直な名前を与えられてしまった不遇の一座です。

中ノ岳が不遇なのは名前だけではありません。古くから修験の山として知られて現在では観光地になっている八海山や、作家深田久弥が選んだ日本百名山に名を連ねる越後駒ヶ岳と比べると、中ノ岳は人気知名度共に全く振るいません。
兎岳から見た越後三山
曲がりなりにも越後三山の最高峰であるのに、この扱いの差はいったいどこでついてしまったのでしょうか。その答えは実際に登ってみればすぐに明らかになります。

豪雪地帯の魚沼地方にある中ノ岳は、長年の浸食により鋭く切れ落ちた深い谷に囲われた非常に急峻な山です。もっとも一般的な登山口である十字峡からの累計標高差は1,600メートルを越え、道中は急登に次ぐ急登が続きます。
兎岳付近の稜線上からの展望
登るのが大変だから登る人が少ないという、極めて単純な話です。苦労の末にたどり着いた稜線上から眺めは圧巻で、他の有名な2座に全く引けを取るものではありません。

健脚な人であれば十字峡から日帰りで登ることも十分に可能ではありますが、無理はせずに中ノ岳避難小屋に宿泊して1泊2日の行程で巡ってきました。
夕日時の中ノ岳避難小屋
2日ともに天気は上々で、紅葉のタイミングとも完全にかみ合った会心の山行となりました。登った経験がある人が口をそろえてキツかったという感想を述べる、中ノ岳訪問記をお送りします。

コース
中ノ岳から丹後山周回のコースマップ
十字峡登山センターからスタートして、急登として名高い日向尾根を登り中ノ岳に登頂します。山頂のすぐ隣にある中ノ岳避難小屋で1泊し、翌日は利根川源流の山である丹後山まで周回します。

下山は再び十字峡へと下り、路線バスのある野中まで歩きます。中ノ岳一帯の山を周回する充実の行程です。

始めに断っておきますと、この行程はものすごくキツいです。十分に覚悟してから突入してください。

1.中ノ岳登山 アプローチ編 三国川上流部に連なる秘境、十字峡を目指す

6時1分 JR東京駅
目指すは新潟県の山間部奥深くにある十字峡です。ということで、本日は新幹線によるアプローチです。
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普通に登るだけでもそれなりにしんどい思いをすることになる中ノ岳ですが、公共交通機関の利用を前提とした場合は、登り始める以前にまず現地までのアプローチが一つの核心部となります。

交通費もそれなりに高くつくので、あらゆる面で登りに行くのに相応の覚悟を要する山であると言えます。

越後湯沢駅で下車して、続いて在来線の上越線に乗り換えます。ここの乗り継ぎはあまりよろしくはなく、結構な待ち時間が発生します。
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8時25分 六日町に到着しました。越後三山のおひざ元である、南魚沼市の中心に位置している駅です。一応はここが中ノ岳の最寄り駅と言うことになります。と言っても、まったく近くは無いんですけれどね。
六日町駅のホーム

中ノ岳の登山口である十字峡まで乗り入れている、路線バスなどの公共交通機関は存在しません。ここからはタクシーを利用します。
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特に事前に予約はしていなくても、六日町駅の駅前にはタクシーが常駐しています。もし1台もいなかったとしても、近くに営業所があるので、電話すればすぐに来てくれます。

なお一応は三国川ダムの少し手前にある、越後南交通の野中バス停から歩いてでもアプローチが出来ないことは無いのですが、最速でも十字峡に降り立てるのは11時ごろになります。

その時間から登り始めるのは現実的ではないと判断して、今回はタクシーを奮発しました。

9時 十字峡登山センター前に到着しました。うろ覚えですが、ここまでの料金はたしか7,500円くらいだったと思います。飯豊や朝日連峰に比べれば、まだいくらかアプローチがしやすい部類ではあります。
十字峡登山センター前の駐車スペース
時間の都合もあって往路ではタクシーを使いましたが、帰路は野中バス停まで歩いて下るつもりでいます。

中ノ岳の登山口に立つ、十字峡登山センターです。無人の建物ですが、避難小屋のような運用がされており、2階部分に宿泊が可能です。協力金は1,000円とのこと。
十字峡登山センター
タクシー代をどうしても払いたくないという人は、野中バス停から歩いてきてここに前泊して、翌朝早朝から登り始めるというのも一つの選択肢になろうかと思います。

小屋の前の置かれた案合図に、これから歩く予定の周回コースの全容がしっかりと書き込まれています。簡単に言うと左から登って右から降りてきます。
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2.出だしから怒涛の急登が続く日向尾根を行く

9時10分 身支度を整えて登山を開始します。十字峡登山センターの目の前にある、法面上に取って付けたかのような階段から山中へと入って行きます。
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これから登ろうとしている日向尾根については、キツと言う前評判を散々耳にしているものですから、最初からイマイチ意気が上がりません。先は長く厳しいので、あまり頑張りすぎずにゆるっと参りましょう。

まずこの最初の取りつき地点からして、かなりの無理やり感がある急勾配です。手も使ってよじ登ります。流石は越後三山の最高峰。始まりからいきなり飛ばしてきますなあ。
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立ち上がりから容赦のない急勾配の尾根を、モリモリと登って行きます。まだスタートしたばかりのほぼ谷底に居る段階ながら、早くも豪雪地帯の山特有の、雪の重みに負けて曲がってしまった樹木が目立ちます。
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この様子では、相当早くから森林限界を越えてしまうのではなかろうか。今回は2日分の飲み水として合計5Lの水を担いでいますが、あまり暑くはならないことを願う次第です。

9時50分 登り始めてから40分ほど経過したところで、1合目が現れました。このまま均等のペースで刻まれてゆくのであれば、単純計算で山頂までは6時間40分かかることになります。なかなか厳しい1日となりそうです。
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前方に見えている山の上の方では、紅葉が良い感じ色づいています。早くあの只中を歩きたい。
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1合目を過ぎて以降も、まったく緩む気配のない急登が淡々と続きます。この辺りはひたすら我慢の登山です。先は長いので、飛ばしすぎてバテないようにペースを調整していきましょう。
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頭上が開けた場所に出ましたが、まだ森林限界を超えた訳ではありません。こうした頭上の開けた場所は、この先もちょくちょく現れます。
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続いてクサリ場が現れました。手足を乗せられるスタンスは豊富にあるので、クサリ場としての難易度自体は高くありませんが、結構長々と続きます。
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本当の核心部は、クサリを登り切った地点のさらに先にありました。傾斜はまったく緩んではいないのに、何故か途中からはクサリが無くなり、つかまれるものが何もない滑る土の急坂が続いていました。
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四つん這いになりつつ何とか這い上がりましたが、何故よりにもよって一番クサリが欲しいところに無いのかは謎です。ここは逆向きに下りたくはないなあ。

何とか急登区間を登り切って、小テラスのようになっている平坦な場所に出ました。やれやれ、これで一息つけそうですかね。
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と思ったら、またすぐに岩場が始まりました。やれやれ、一岩去ったらまた一岩ですかい。
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それでも岩場であれば滑りはしないので、先ほどのような土の急斜面を登るよりは全然マシです。
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急登なだけに、短時間でグイグイと標高が上がってゆきます。スタート地点の十字峡が、あっという間に見下ろす高さになりました。ちょうど川の出合いになっており、名前の通りに十字型の谷になっている様子がよくわかります。
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正面に見えているこの山は位置的に、マッキーこと巻機山(1,967m)かな。見知った魚沼側から見た姿とは反対から見た姿なので、イマイチ同定に自信が持てません。
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10時40分 やっと2合目が現れました。1合目からは50分を要しました。やはり評判通り、一筋縄ではゆかない山であるようです。
中ノ岳の2合目

一時の安息のような、平坦なな区間が現れました。こういう場所で呼吸を整えておきましょう。
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息をつく間もなく、すぐに急登が再開されました。中ノ岳に慈悲はありません。甘ったれんな、キリキリ登れ。
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11時20分 3合目が現れました。ここでもしっかりと40分かかりました。本当にこの間隔がずっと続くようですね。これでまだ3分の1なのか。
中ノ岳の3合目

正面にピークが見えていますが、あそこが5合目となる日向山の山頂です。中ノ岳の本体は日向山の裏手に隠れているため、ここからではまだ見えません。
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山頂に小屋らしき建造物が小さく見えていますが、あれは避難小屋ではなく無人の雨量観測施設です。ひとまずはあの場所目指して登って行きます。
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3合目を過ぎたところで、ようやく紅葉前線のある標高帯に入りました。中ノ岳は紅葉が素晴らしいという評判を聞き及んでいたので、秋になるのを待ってから訪問したわけなのですが、期待した通りの光景が広がっていました。
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訪問のタイミングとしては完璧であったようで、紅葉の色づきは今がまさしく最盛期です。素晴らしい。
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11時50分 4合目まで登ってきました。4合目は紅葉の森の中にポツンとありました。
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急登は依然として続いています。時々傾斜が緩む部分もあるにはありますが、5号目までは基本的にずっと登りっぱなしです。気合だー、気合を入れろー。
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真面目な話、中ノ岳に登ろうと思っている人に対して何かアドバイスはあるかと問われたら、気合を入れていけ意外には何も言うことが無いです。

空が広くなってきました。そろそろ日向山の山頂が近そうな予感がします。ラスト・・・ではないのですが、スパートをかけていきましょう。
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木のトンネルを抜けた先に、絶景の予感がします。期待していきましょう。
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ここまで登ってきて、ようやく中ノ岳の本体が正面に姿を見せました。越後三山の最高峰たるにふさわしい、堂々たる山容をしています。つまり、とてもかっこいい。
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それにしても、この先もまだまだたくさん登ルンデスネ(白目)

12時40分 5合目の日向山まで登ってきました。急登を3時間半も延々と登り続けて、ようやく半分です。なるほど、これはキツい山であるかもしれない。
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ここまでずっと登り詰めで流石に少し疲労を覚えたので、ザックを落としてまともな休憩を取りました。まだ先は長い。

下からも見えていた雨量観測施設が、山頂標識のある地点のすぐ裏手にありました。扉は施錠されており、たとえ緊急時であっても中に避難は出来ませんのでご注意ください。
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稜線直下の急登ぶりが遠目からも相当厳しそうに見えますが、先のことはひとまず考えないことにします。
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3.稜線を目指して急登をひた登る、日向尾根の後半戦

日向山からは一度小さく下ります。日影になる北側の下り斜面は、いかにも新潟県の山らしくジメッとしていて土臭い空間が広がっていました。
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なにぶん感覚的なものなのでうまく言語化できないのですが、新潟県の山には独特の匂いがあると思います。笹の青臭さと土の匂いがミックスしたかのような。

東北地方の山も似たような匂いがするのですが、似ているようでやはりどこか違うように感じます。

鞍部まで下って行くと、正面に中ノ岳が見える位置に小さな池がありました。逆さ中ノ岳が狙えるかと思って辺りをウロウロしてみましたが、池のサイズが小さ過ぎてうまくいきませんでした。
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この鞍部の一帯は池ノ段と呼ばれる小湿地になっており、こうしていくつかの池塘が点在しています。夏に訪れれば、池のほとりにお花が咲いていたりするのかもしれませんが、この直射日光ギラギラの尾根を夏に登るとか、ちょっと想像もしたくはありません。
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湿原の中を行く癒しの時間は、あまり長くは続きません。尾根が再びモリモリと標高を上げ始めました。ここからは後半戦と言うことで、気合を入れなおしておきましょう。
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割と大事なことだと思うのでもう一度言いますが、中ノ岳に登る上うえで最も重要になってくる要素は気合だと思います。

ここまでずっと雲一つない快晴状態が続いていましたが、正午を回って少し雲がかかってきました。日差しを遮ってくれるのなら、むしろ歓迎です。
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14時 どうやら6合目を見落としてしまっていたらしく、いきなり7合目が現れました。中ノ岳の山頂はすっかりと雲に覆われてしまいましたが、本命は明日の朝のご来光タイムであるため特に落胆はありません。
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谷を挟んだ左隣に、越後三山の一つである八海山(1,778m)の姿が良く見えています。八海山と中ノ岳の縦走はかなり危険度が高いルートだと言われていますが、確かに間の稜線がギザギザした細尾根になっている様子が見て取れます。
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隣の山の事に気を取られている場合ではなく、足元の日向尾根もかなり細くなってきました。谷に向かって思いっきり斜めになっている個所もあるので、よく足元を見ながら集中していきましょう。
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道が斜めを通り越して、完全に崩れてしまっている場所もありました。笹をつかみながら何とか突破します。
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14時50分 8合目まで登ってきました。この先はいよいよ、壁のような勾配に見えていた稜線直下の最後の登りに取りつきます。
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・・・これはなかなかお目にかかれないような傾斜度です。足を滑らせたら、普通に転げ落ちていきそうな急斜面を前に緊張が走ります。
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急坂なだけに、ついさきほど通った5合目の日向山が、あっという間に小さくなりました。
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この最後の登りは本当にキツイ。8合目まではまだ何とか足に余力を残している状態だったのですが、ここにきていよいよ足が前に出なくなってきました。あともうひと頑張りなのに、なかなか一歩を繰り出せません。
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いい感じに息も絶え絶えになりながら、何とか稜線の上まで登ってきました。
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15時30分 池ノ段分岐と呼ばれている9合目地点まで登ってきました。これで稜線の上に乗ったことになります。あ”ー、しんどかった。
中ノ岳の9合目
現在地はまだ山頂ではありませんが、この先にはもうそれほど大きな標高差は残っていません。山頂に向かって、ウィニングランを決めましょう。

4.越後三山最高峰の頂と夕焼け

稜線上はガスに覆われていましたが、あまり厚みは無いらしくときより青空が顔を覗かせています。この様子なら日没前にガスは取れて、夕日には期待ができそうです。
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東側に荒沢岳(1,969m)らしき山が見えています。だいぶ以前から登りたい山リストに名前が入っている山なのですが、中ノ岳どころではないアクセス難な位置にあるため、いまだに訪問は叶っていません。
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中ノ岳からは尾根がずっとつながっており、縦走することも可能ではあるようです。相当な健脚者向けのルートではあるようですが。

ガスが抜けて、山頂らしき場所が見えました。まるで私の登頂に合わせてくれたかのようなタイミングのよさです。今日は何もかもがうまくいってしまう日である予感がします。
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山頂に着いたかと思ったら、まだ先がありました。最後の最後まで勿体付けてくれますな。
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今度こそ方位盤が置かれた山頂らしき場所まで登ってきました。
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15時55分 中ノ岳に登頂しました。なんだかんだで、十字峡を出発してから7時間近い時間を要しました。いやはや、越後三山の最高峰は聞きしに勝る防御力の持ち主でしたよ。
中ノ岳の山頂

山頂を覆っていた雲が割れて、真正面に沈みつつある太陽がありました。もう少しすれば完全に晴れてくれそうで一安心です。
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お隣の荒沢岳の方は、すっきりときれいに晴れていました。あちらも紅葉が見事ですねえ。
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こうして改めて近くから眺めていると、やはり何が何でも登りにいかなくてはならないという意欲が湧いて来ます。アプローチをどうしてくれようかは悩ましいですが。

本日の宿泊予定地の中ノ岳避難小屋は、山頂からは片道5分ほどのすぐ近くにあります。ちなみに水場はありません。必要な分はすべて自分で担ぎ上げる必要があります。
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16時10分 中ノ岳避難小屋に到着しました。今の時期はもう入口に雪囲いがしてあるはずなのですが、先客がいるようで外されていました。
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中ノ岳は日帰りで往復するのはなかなか厳しい山であるだけに、この避難小屋は大変人気が高く、特に紅葉シーズン中の週末にはかなり混雑します。

それを避けるために、今回は平日を選んで訪問しました。さて、平日の混雑状況はどんな感じでしょうか。

建物は2階建てで、定員は約50人とされています。この日の同宿は私を含めて全部で5人しかおらず、一階は完全な無人状態でした。特に混雑することもなく、悠々とスペースを使えそうです。
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寝床を確保したら、夕日を眺めに小屋の外へと出ます。この時間にもなると、吹き付ける風は冷たくて身震いするような寒さです。
夕日時の中ノ岳避難小屋

登っている最中にもよく見ていた八海山が、夕日に照らされて何やら神々しい姿になっていました。修験の山らしく、これは確かに神が宿っていそうです。
中ノ岳避難小屋から見た八海山

八海山の右隣りには、これまた越後三山の一座である越後駒ヶ岳の姿がありました。
中ノ岳避難小屋から見た越後駒ヶ岳
当初は中ノ岳に登った翌日に、この越後駒ヶ岳に向かって縦走して銀山平に下るという縦走プランを温めていたのですが、間に檜廊下と呼ばれる難所があり、色々調べてみた結果やめておこうという結論に至った経緯があります。

山頂よりも低い位置に雲たれ込めていて、なかなか壮観です。当地が途方もな山奥であることが良くわかる光景です。
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八海山を照らしながら、夕日が沈んでいきます。なんだかもうこの光景を見られただけで、ここまで登って来るのに要したすべての苦難がどうでもよく思えて来るのだから不思議なものです。単に喉元過ぎれば熱さを忘れるなだけとも言いますが
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方角的におそらくは頚城山塊だと思われる山に向かって夕日が沈んでゆきます。
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夕焼けタイム終了です。毎度のことながら、あと言う間の天体ショーでした。
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陽が沈むなり、奥歯がギチガチなるような寒さになりました。越後の山には、もう冬がすぐそこにまで迫ってきていることを感じさせる冷え方です。この後はすぐに小屋の中に引っ込んで、明日に備えて早々とシュラフに潜り込みました。
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5.中ノ岳山頂から望むご来光

明けて10月24日 5時40分
中ノ岳避難小屋よりおはようございます。ご来光の時間に合わせて2日目の行動を開始します。結局昨夜は氷点下まで気温が下がったようで、身震いするような寒さです。
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下界の恐らく小出があるであろう辺りの平野部が、雲海に覆われていました。今現在下界は曇り空だということですな。
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山頂に向かいます。昨夜同宿だった4名の方々が、すでに山頂で待機していました。やはり皆、考えることは同じでしたか。山中泊をしたからには、やはりご来光を見ないとね。
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1日ぶり2度目となる中ノ岳の登頂でございます。眼下にある奥只見湖の上空が雲海に覆われているのが見えます。今日は枝折峠からの雲滝がばっちり見られそうですね。
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この地平線の辺りに見えているのは飯豊連峰かな。なにぶんなじみの薄い山域なので、山座同定にイマイチ自信が持てません。
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東の空がオレンジ色に輝き始めました。さあ昇ってこい、レイジングサン!
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6時ちょうどに太陽が頭をのぞかせました。今日も間違いなく素晴らしい1日となってくれるであろうことを予感させる日の出です。
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あーたーらしーいー あーさがきたー♪と、いつものようにラジオ体操のテーマ曲が脳内で自動再生されました。もうこれは完全に条件反射になってしまっているような気がします。
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あれほど寒々しかった周囲が、暖かい陽の光に満たされてゆきます。毎度のことながら、太陽はすげえな。
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昨日は雲にくるまれていた越後駒ヶ岳も、今日はきれいに晴れています。昨夜駒の小屋に泊まった人は、今頃最高の景色を拝んでいることでしょう。
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足元に昨日死闘繰り広げた日向尾根が見えています。あらためて後半部分の傾斜度がヤバさ加減が良くわかりますな。
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名前の通りに平べったい平ヶ岳の背後に、燧ヶ岳(2,356m)や日光白根山(2,578m)らしき山のシルエットが見えています。なるほどこういう位置関係になるのか。
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上越国境地帯の山並みの先に、浅間山(2,568 m)らしき山まで見えています。想像以上に眺めがいいというか、こんな大展望の山がなんだって越後三山の中でも一番のマイナー扱いに甘んじているのでしょうか。不思議なものです。
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いやまあ、その答えはもうはっきりとはしているのですけれどね。単に登ってくるのが大変だからです。

この素晴らしい展望をもっと満喫していきたいところではありますが、2日目の行動時間もかなり長くなる見込みであるため、いつまでも山頂で油を売っているわけにもいきません。ボチボチ行動を開始しましょう。
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6.常に横へ滑り落ちる恐怖に晒され続ける、玄人向けの尾根道

6時40分 山頂を辞去して2日目の行動を開始します。昨日通った時にはあまり気にもしていませんでしたが、山頂直下の道は崩れかけていて結構きわどいことになっていました。
251023中ノ岳-090
こんなものはまだ、来る恐怖の稜線歩きの序の口でしかなかったことを、この時の私はまだ知りませんでした。

この後に歩く予定の、丹後山方面への尾根が見えています。ちなみにこの尾根は、谷川岳などがある上越国境から巻機山を経由してずっと繋がっています。
251023中ノ岳-091

事前に地図上でルートを確認した時は、気持ちよく歩ける緩やかな勾配の笹の稜線が続くのだろうと勝手に思い込んでいたわけなのですが、現物を見ると意外とアップダウンが多めであるうえに、片側が切れ落ちています。
251023中ノ岳-092
初日の登りはキツイだろうけれど、2日目の稜線歩きは天国みたいなものだろうという甘すぎる見通しに、早くも黄色信号が点灯した様相です。

9合目の池ノ段分岐まで戻って来ました。ここから先は初めて歩く領域となります。
251023中ノ岳-093

分岐を過ぎた初っ端から、いきなり道が崩れかけていて斜めになっています。おまけに朝露に濡れた草木は滑りやすく、油断しているとあっという間に左側の谷底に向かって転げ落ちそうな状態です。
251023中ノ岳-094

最初の滑落危険エリアを慎重に突破すると、鞍部に向かって大きく下り始めました。ここであらかじめ断っておきますと、この先の兎岳に至る区間はなんと言ったらたらいいのか、一言で言うと玄人向けの登山道となります。
251023中ノ岳-095
登山地図上では破線ではない一般登山道の扱いであるし、道標もしっかりと立っていて道は至って明瞭ではあるのですが、例えば谷川岳の周辺のような良く整備されているメジャールートとでは明らかに一線を画しています。

少なくとも誰でも気軽に歩けるような、万人向けの登山道ではないと感じました。それで、偉そうなことを言っている当のお前自身は玄人なのかと問われると、何とも言えないところではありますが…

道の雰囲気的には、谷川岳主脈の縦走路と良く似ていると思います。標高も同じくらいで尾根続きでずっとつながっているわけですから、似ているのも当然と言えば当然です
251023中ノ岳-096

谷底にまだ雪が残っているのが見えます。もう間もなく秋も終わろうというこの時期にまで残っているということは、ひょっとすると万年雪だったりするのでしょうか。
251023中ノ岳-097

ここで後ろからやって来た、昨夜同宿だった方に追い抜かれました。この方は「僕は歩くのがとても遅いので、最後尾をゆっくりと下りますよ」と言っていたのですが、凄い速さだったように見えたのですが、はて。
251023中ノ岳-098
中ノ岳のような基本的にフィジカル強めの人しか登りに来ない山域で出会った人の言う、「鈍足」とか「貧脚」などの自称は、一切信じてはいけないのだとしみじみ思い知りました。

別に嘘ついているわけではなく、彼らの思う普通の基準自体がそもそも根本的に違うのでしょう。

日影になっている個所では、朝露が付着した草木が凍結していました。スリリングを通り越して、思わず乾いた笑いがこみあげて来ましたぞ。
251023中ノ岳-099

通行出来ないような致命的な崩落などはありませんが、まあとにかく道が細くて斜めです。悪路と言ってしまって差支えは無いと思います。いったい誰だ。天国みたいな稜線歩きだとか適当な見立てをしていたヤツは。
251023中ノ岳-100

稜線歩きなら多少はコースタイムを巻けるんじゃないかなんてことを考えていたわけなのですが、実際は巻くどころか遅延をきたしつつありました。この道をサクサクと歩ける人は、いったいどういうバランス間隔をしているのだろうか。
251023中ノ岳-101

絶景を眺めてしばしの現実逃避を楽しみます。いやね、景色は本当に最高なんですよ。ただ足元に全集中する必要があるので、景色を眺めている余裕が全くないというだけのことで。
251023中ノ岳-102

岩場があると思わずほっとします。少なくとも岩の上では、横に滑り落ちる心配はありませんから。
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こっこれは・・・。なかなか痺れますなあ。とまあ、こんな状態の尾根歩きが1時間以上にわたって長々と続き、なかなか神経が磨り減ります。玄人向きだと評した理由がお分かりいただけるのではないかと。
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鞍部の一帯を通り抜けると、ようやく滑落と常に隣り合わせな状態から脱して、当初イメージしていた通りの笹の稜線になりました。
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振り返って見た中ノ岳です。一見するととても気持ち良く歩けそうな稜線に見えたのですが、実際に歩いてみないとわからないことはあるものです。
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7.笹原に覆われた利根川源流域の山並み

そうそう、こういう感じの道でいいのですよ。滑落御免のエキサイティングな細尾根などは、まったく求めてはいません。
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今前方に見えているのが、兎岳と呼ばれているピークです。荒沢岳方面との分岐地点になっている山です。
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ここにも小さな湿地と池がありました。稜線上の残雪が完全に消えてからはもうすでに2カ月以上は経過しているはずですが、まだこれだけの水が残っていることが驚きです。
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横へ滑り落ちそうになる道がここでも繰り返されます。これは誇張でもなんでもなく、既に何回かの横滑りヒヤリハットが発生しており、完全にビビりモードに切り替わってしまっております。
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兎岳への登りの途中に、荒沢岳への分岐の道標がありました。
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だいぶ遠そうに見えますが、それでも一度は歩いてみたいと思わせる稜線が続いています。と言ってもコースタイム的にはトレランに片足を突っ込むくらいの勢いで歩く必要があるので、私の足では踏破は難しそうです。
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私みたいな中途半端のなんちゃって玄人ではなく、真のフィジカル強者にしか歩くことが許されないルートと言ったところでしょうか。

9時45分 兎岳まで歩いて来ました。ここが中ノ岳から丹後山に至る稜線のほぼ中間地点と言ったところです。距離的にはまだ半分ですが、一番おっかないところはもう通り過ぎました。
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振り返って見ると、越後三山が綺麗に並んで見えました。こうして見ると、中央に座している中ノ岳こそが越後三山の盟主なのだと思えるのですが、しかし悲しいかな登りに来る人の数は一番少なく、味噌っかすの様な扱いを受けています。いったい何故なのか。
兎岳から見た越後三山

先へ進みましょう。この先にはもう大きなアップダウンはなく、気持ちよく歩けそうな笹の稜線が続いてます。
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左手に平ヶ岳へと続く尾根が見えています。この尾根は日本の中央分水嶺を形成している上越国境の一部であり、尾根の右側は群馬県です。
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この尾根上に登山道は存在しませんが、笹薮が雪に覆われる残雪期に歩く人はいるらしい。いずれにせよ相当過酷なルートであり、私のようなお気楽な週末登山家などは初めからお呼びではない、完全なるエキスパート達の世界です。

反対側にはスタート地点の十字峡が見えています。何というか、眩暈を起こしそうになる比高感があります。
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十字峡の下流にある三国川(さぐりがわ)ダムが見えています。本日のゴール地点である野中バス停は、このダムからさらに下った場所にあります。あまりにも遠すぎて、なんだかもう今から気乗りがしません。パラグライダーか何かで一気に下りたいな。
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丹後山が見えてきました。のっぺりとしていて、あまりピーク感のないシルエットをしています。
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丹後山に至る前に、大水上山と言うピークを乗り越える必要があります。あまり大きな標高差は無く、ここは何の苦もなしに登り返せます。
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10時25分 大水上山まで歩いて来ました。群馬県の水上(みなかみ)地方は、利根川の源流に位置していることに由来している地名ですが、この大水上山はその水上の中でも最奥部に位置している場所です。
大水上山の山頂

ほとんど標高差のない、平坦に近い尾根が続いています。訪問前は池ノ段分岐から先はずっとこんな感じの尾根が続くものだと勝手に思い込んでいた訳なのですが、最後の辺りだけでしたね。
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大水上山から少し進んだ先に、利根川源流の碑が立っていました。坂東太郎の異名を持つ利根川は言うまでもなく関東地方の川なわけですが、その源流はこんな新潟県のすぐ近くにありました。
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今正面に見えている尾根との間にある小さな谷が、利根川の最初の一滴が生れ出る場所です。新潟県の山を歩いていたはずが、関東地方最大の大河の源流を見ることになろうとは、なんとも奇妙な気分です。
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源流の碑から丹後山までの最後の区間も、至って緩やかな尾根が続いていました。兎岳の手前のあの横滑り登山道は一体何だったのだろうか。
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ここだけを切り取って見ると、まるで険しさの感じ荒れない、まるで奥羽山脈の山のような光景が広がっていました。このすぐ脇には、十字峡の谷底に至る標高差1,400メートルの急斜面がある訳なのですが、そのことを全く感じさせない放牧的な光景です。
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途中に丹後山の山頂標識があったはずなのですが、ピークらしさがまるで無い場所にあまりにもさりげなくあったので、ただの道標か何かだと勘違いして写真も撮らずに通り過ぎてしまいました。まあ別にいいか。
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10時55分 丹後山山頂の直ぐ傍らにある、丹後山避難小屋まで歩いて来ました。稜線を辿るのはここまでで、この先は十字峡の谷底に向かって怒涛の下りが始まります。引き続き気を引き締めてまいりましょう。
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8.つるべ落としのような急降下が続く、十字峡への下山行

谷底への下りが始まる前に、もうしばらくだけ稜線沿いの道が続きます。ちなみにこの尾根は巻機山までずっと繋がっていますが、丹後山から先には登山道が存在しません。
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笹薮がひどいので無雪期に踏破するのはほぼ不可能ですが、残雪期にスキーを履いて縦走する人は居るらしいです。

途中で稜線から外れて、降下が始まりました。ちなみにこの丹後山から十字峡へと至る尾根は、カモエダズンネ尾根と言うなんとも不思議な響きのする名称です。漢字で書くとどうなるのだろう。
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右手に中ノ岳の姿がよく見えています。日向山から見上げた時の筋骨隆々なイメージとはまた異なった、優美な姿をしています。どこから見てもイケメンな山だと思うのですが、でも人気は全くありません。いったい何故なのか。(2度目)
カモエダズンネ尾根の8合目付近から見た中ノ岳

横に滑り落ちそうになる恐怖と戦いながら歩いて来た稜線も、この通りすべて見えています。一見、すごく気持ち良く歩けそうな稜線に見えるのだけれどね。
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さて、このカモエダズンネ尾根ですが、往路の日向尾根よりもずっと短い距離で谷底へ下るため、全般的に非常に急勾配です。ノンストップの急降下が続くので覚悟してください。
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と言うか途中から先が見えていないのですが、いったいどれほどの急勾配なのでしょうか。今から戦々恐々としてしまいます。

こちらの尾根にも合目の表示がしっかりとあります。それではいっちょう、気合を入れてまいしましょうか。
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実のところ、恐怖の横滑り稜線エリアで思いのほか時間を消費してしまったこともあり、すでにコースタイムのバッファがほぼ無い状態です。

野中バス停を17時10分に出発する最終バスに間に合わせるためには、少しばかりペースを上げて行く必要があります。

一直線の急降下が始まりました。見下ろしたアングルで撮影した写真であるため分かりづらいですが、何かに掴まっていないとまともに立っていられないような傾斜度です。
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ここはトレッキングポールを最大限活用しつつ、4足歩行のグリップで慎重に下って行きます。

再び紅葉の前線のある標高帯まで戻てきました。紅葉が目当ての登山としてはほぼ完璧な訪問時期だったとは思うのですが、そもそも中ノ岳は急登続きな山であるため、紅葉が見頃を迎えている標高帯を歩くことのできる時間はごくわずかで終わってしまいます。
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そいう意味では、紅葉を目当てにして登るのにはあまり向いていない山なのかもしれません。紅葉登山なら、同じような標高の尾根が長々と続く越後駒ヶ岳や平ヶ岳の方が適していると思います。

転げ落ちるような下りが長々と続きましたが、森の中まで下ってきてようやく人心地付けました。
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展望は無くなりましたが、こうして時より開けている場所があります。
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12時5分 半分の5合目まで下ってきました。ここまでは極めて順調なペースで下ってこれました。だいぶ足にきている感じもしますが、このまま失速せずに下り続けることができるかどうか。
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森の中まで下ってくれば、横に滑り落ちる恐怖からは解放されるだろうと思っていましたが、しっかりと斜めになってる箇所はありました。中ノ岳さんは最後まで一貫していてブレませんなあ。
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ノンストップで下り続けて、だいぶ谷底が近くなってきました。急勾配であるがゆえに、短時間で標高はどんどん下がっていきます。
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何時しか中ノ岳山頂も、すっかりと見上げる高さになっていました。あれだけ苦労して登ったというのに、下るとなるとあっけないものです。
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14時10分 1合目まで下ってきました。さあ、残すところはあと僅かです。最後まで頑張って下りましょう。
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谷底を流れる川が見えています。それは良いのですが、もう川までの距離がほとんど残っていないにもかかわらず、まだ高低差がかなり残っていることが非常に気になります、もしかしなくても、最後の区間はこれまで以上に凄い急勾配なんじゃないの?
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そんな嫌な予感は見事に的中してしまいました。見下ろしているアングルなのでわかりにくいかもしれませんが、この日一番の急勾配が待っていました。
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見下ろしたアングルではこの急勾配ぶりが伝わらないと思うので、下ってから見上げた写真を置いておきます。まったく、最後の最後にぶっこんきましたな。
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14時30分 だいぶ肝を冷やしましたが、何とか無事に丹後山登山口まで下ってきました。
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9.野中バス停への長い道のり

すっかりやり切ったかのようなムードが漂っていますが、この先もまだまだ長いです。何しろここからさらに野中バス停まで歩いて行かなければならないのですから。
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何はともあれ、まずはスタート地点の十字峡まで戻らなければなりません。

三国川(さぐりがわ)沿いの未舗装の林道を下って行きます。風光明媚な渓谷ではあるのですが、地形的に見るからに落石の巣なので、なるべき足早に通り過ぎてしまいましょう。
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30分少々歩いたところで、場違い感が溢れる観光バスが止まっているトンネルの入り口まで歩いて来ました。紅葉にはまだ少し早いですが、十字峡は観光地でもあるんでしたっけか。
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この道を右に進むと、スタート地点の十字峡登山センターに至ります。野中バス停に向かうのであれば、左折してトンネルをくぐります。

自分でやっておいて言うのもなんですが、正直なところ十字峡から野中バス停まで歩いて下るのは全くもって推奨しません。距離にしておよそ8km少々あり、徒歩でおよそ2時間ほどかかります。
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元気な時ならいざ知らず、標高差1,600メートル越えの急坂を下って来てすっかり足が萎えてしまっている状態でこの道を歩くのは、もはやただの苦行でしかありません。帰路でもタクシーの利用を強く推奨します。

そしてタクシー推奨しておいてから言うのもなんですが、十字峡には携帯電話の電波が一切入りません、つまり途中で嫌になってしまっても、最後まで歩くしかないということです。
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帰路でもタクシーを呼びたい場合は、まだ電波が入る尾根上にいる間に、あらかじめ配車を依頼しておく必要があるということです。ご利用は計画的に。

三国川ダムは、提体の高さが119メートルほどあるロックフィルダムです。そして野中バス停があるのはダムの下です。つまり、ここからさらに119メートルを下る必要がるということです。
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残り時間がだいぶ少なくなってきました。これはもう走らないと間に合わないかと思いつつも、既に走る気力など全く残っておらず、早歩きでバス停を目指します。
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17時 野中バス停に到着しました、最終バスの発車時刻の10分前と言う、綱渡りのゴールでした。あー、疲れた。
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せめて上着だけでも着替えたいと荷物をあさっていたところ、すぐにバスが来てしまい仕方なくそのまま乗り込みます。

六日町駅からは往路と同じ行程を反対向きに辿って、帰宅の途につきました。
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前々から越後三山の最高峰にだけ登ったことが無いという事実がずっと心に引っかかっていましたが、ようやくにして訪問することがかないました。キツい山であるという前評判の通りの、かなり手ごたえのある山でした。
越後三山の中では一番の不人気かつ玄人向けな山ではありますが、苦労の末にたどりついた稜線上に広がる山岳風景に関しては、間違いなく超一級の存在であると思います。なかなかあえてこの山に登ろうという訴求力を見出しにくい存在かもしれませんが、通好みの重厚な山をお探しの人にはピッタリの選択肢です。
本文中で散々触れた通り、素人にはまったくもってお勧めはしません。我こそは玄人となりと思うフィジカルに自信ありの人は、苦しみの果てに待つご褒美を目指して、越後三山の最高地点を目指してみてはいかがでしょうか。

<コースタイム>

1日目
十字峡登山センター(9:10)-日向山(12:40~13:00)-池ノ段分岐(15:30)-中ノ岳(15:55~16:05)-中ノ岳避難小屋(16:10)

2日目
中ノ岳避難小屋(5:40)-中ノ岳(5:45~6:20)-池ノ段分岐(6:40)-兎岳(9:45)-大水上山(10:25)-丹後山避難小屋(10:55~11:10)-5合目(12:05)-丹後山登山口(14:30)-野中バス停(17:00)

中ノ岳山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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