長野県茅野市と立科町にまたがる蓼科山(たてしなやま)に登りました。
八ヶ岳連峰に属する山ですが、主脈から少し北に外れた位置に存在し、半ば独立峰のような姿をした山です。円錐系の美しい山容を持つことから、諏訪富士とも呼ばれます。
双子池湖畔のキャンプ指定地に一泊し、北八ヶ岳の深い原生林を巡って来ました。
2018年8月4~5日に旅す。
今回の行き先は、八ヶ岳連峰のはみ出し者こと蓼科山です。地理的には八ヶ岳連峰の一部と言うことになっていますが、独立峰とする見方も存在します。
この山は作家深田久弥が選んだ日本百名山の一座でもあります。八ヶ岳とは別枠で選ばれており、そのことがこの山を独立峰と見なす風潮をより強めているように感じます。
マイカー登山する人にとって、蓼科山は基本的に日帰りで登る山です。しかしながら、公共交通機関利用でこの山を登ろうと思うと、なかなかどうしてアクセスが大変です。
バス本数は非常に少なく、登山口に立てる時間は遅めです。また、中途半端に首都圏に近いと言う八ヶ岳の立地上の宿命なのか、夜行便のバスも存在しません。
と言うことで、今回は蓼科山の麓にある双子池でテント泊し、一泊二日の行程で登ってきました。
コース
北八ヶ岳ロープウェイ頂上の坪庭よりスタートし北横岳、大岳を経て双子池キャンプ場で一泊。翌日に双子山、大河原峠を経て蓼科山へ登頂します。
下山は蓼科山登山口方向へ下り、比較的バスの本数が多く温泉のあるプール平まで歩きます。
1.蓼科山登山 アプローチ編 北八ヶ岳ロープウェイで一気に標高2000メートル越えの世界へ
6時50分 JR新宿駅
7時発のスーパーあずさに乗り込むべく、新宿駅までやって来ました。
住んでいる場所的に立川か八王子から乗った方が早いのですが、始発駅からでないと座席にあり付けそうになかったのでわざわざ進行方向の反対に進んで来ました。意地でも指定席券を買おうとしないドケチ倹約家であります。
およそ2時間の乗車時間で茅野駅に到着です。案の定、列車は満員御礼で指定席券もすべて完売していました。
週末の特急あずさは大抵いつも満席です。毎度思うのですが、これだけ客がいるのならば、もっと増発すれば指定席券が売れて大儲けなのではないでしょうか。
まったくもって他人事ながら、JR東日本は大いなる機会損失をしているように思います。まあ、どうせ私は自由席にしか乗らないのだけれどね。
9時25分発の北八ヶ岳ロープウェイ行きのバスに乗り込みます。こちらも大行列でした。天気良いですからねえ。
ギリギリの所で座席にありつけました。臨時便が増発されて、あぶれた人たちもそれに乗れたようです。
バスはビーナスラインをノロノロと進み、10時35分に北八ヶ岳ロープウェイに到着しました。
ロープウェイで山頂駅へ向かいます。片道料金は1,000円ちょうどです。
ゴンドラの窓から、目指す蓼科山の姿が見えました。こちら側から見ると、確かに綺麗な富士山型をしています。
バスとロープウェイと言う文明の力によって、一歩も歩くことなく標高2,200メートルの世界に到着です。周囲は涼しいを通り越して、半袖では少し寒いくらいの気温でした。
2.高原の溶岩台地を経て北横岳へ
北八ヶ岳のこの周囲一帯には、溶岩の散乱する高原大地が広がっており、その独自の景観から坪庭と呼ばれいます。
坪庭の脇に立つ縞枯山(2,403m)。その名の通り、シラビソやコメツガの縞枯れ現象が見られることで知られた山ですが、今は青々としていました。
こちらは坪庭を挟んで縞枯山の反対側に対峙する北横岳(2,480m)です。蓼科山へ向かうには、この山を乗り越えて行く必要があります。
身支度を整えて、11時ちょうどに登山開始です。まずは北横岳山頂を目指します。
ラフな格好をした観光客が多数を占める中で、テン泊装備が入った巨大ザックを担ぐ姿は周囲から浮きまくっておりますな。
最初は坪庭の散策路に沿って進みます。遊歩道として整備された、とても歩きやすい道です。
ゴツゴツとした溶岩が散乱する平地に潅木が覆い茂る、独特の景観が広がります。背の高い木が無いのは、冬になると完全に雪に埋もれてしまう場所だからです。
ほどなく登山道との分岐地点が現れます。散策路はここまでで、この先は登山の領域となります。
いかにも北八ヶ岳らしい、鬱蒼とした針葉樹林帯に入りました。北八の森は奥秩父山塊の甲武信ヶ岳などと雰囲気がよく似ています。標高も大体同じくらいなので、植生的に近いのでしょう。
お向かいの縞枯山の全貌が見渡せます。こんもりとした丘のような山です。
鋭く切り立った岩稜が連なるいかにもアルペン的な南八ヶ岳の山々に対して、北八ヶ岳の山はどれもなだらかで放牧的です。同じ山地なのに、まったく性質が違っているところが実におもしろい。
ロープウェイで楽に登れる北横岳は、北八ヶ岳エリアのなかでも特に人気の高い山です。登山道は大渋滞を起こしていました。
歩き始めて40分ほどで、北横岳ヒュッテに到着しました。
登山口から1時間未満で辿り着ける山小屋と言うのは、正直利用方法が思いつきません。何故この場所に建てようと思ったのでしょうか。
北横岳ヒュッテまで来れば、山頂へはもう一息です。重たい足取りでノタリノタリと山頂へ向かいます。
割と呆気なく、11時ちょうどに北横岳の南峰に到着です。これほど簡単に標高2,400メートル越えの地点に立てるわけですから、北横岳の人気の高さにも納得と言うものです。
目的地の蓼科山が真正面に見えます。すぐ近くのように見えますが、登山ルートはぐるっと右側から回りこんでゆくので、まだまだ遠い道のりです。
背後には南八ヶ岳の展望が広がるはずなのですが・・・ガスってしまっています。辛うじて天狗岳(2,646m)までが見えている状態です。やはり登山開始時刻が遅いとこうなってしまいますか。
まあ、見えないものは仕方がありません。南八ヶ岳方面の眺望は、明日に期待することにしましょう。
北横岳は二つのピークを持つ双耳峰です。最高地点はお隣の北峰の方です。南峰からは5分ほどで辿り着きます。
12時5分 北横岳に登頂しました。
南峰と同様に、休憩中の多くの登山者で賑わっていました。
こちら側から見た蓼科山は、なにやら背びれのようなものが着いていて、茅野の方から眺めた場合とだいぶ雰囲気が異なります。角度限定富士ですね。
山頂部分だけを拡大してみると、ここだけは見事な富士山型です。そして、山頂直下がかなり急峻であることが見て取れます。
右に目を向けると、明日乗り越えてゆくことになる大河原峠と双子山(2,223m)の姿が一望できました。遠く背後には浅間山(2,568m)や四阿山(2,354m)の姿も見えます。
双子山の頂上部は、樹林がなくて見るからに展望が良さそうです。
山頂ではトンボが大発生していました。昆虫界における食物連鎖の頂点に君臨するトンボは、アブやブヨなどの害虫を食べつくしてくれる非常に頼もしい存在です。
3.想像以上の難路だった大岳経由の道
北横岳から本日の宿である双子池へ向かうには、二通りのルートが存在します。ここは深く考えずに、眺望が良さそうな大岳経由のコースを選びました。
山頂の道標には「難路」と書かれていたのですが、さほど気にもかけていませんでした。難路と言ってもここは北八だし、どうせたいした事は無いだろうと。
まあこの後すぐに、その慢心を大いに後悔することになった訳ですが。
眼下に北横岳ヒュッテと七つ池が見えました。見たことろ池は二つしか無いように見えますが、残りの五つは木に隠されているのでしょうか。
クサリ場が現れました。もしかして難路と言っているのはこれの事なのか、などと思いながら通過します。
フラットなとても歩きやすい道が続きます。一体これのどこが難路なんだと怪訝に思いながら進みます。
ホシガラスが枝の上から周囲を睥睨していました。とても可愛らしい見た目をしておりますが、泣き声はカラスそのものです。
高山帯に住むホシガラスは、決して市街地へ降りてきてゴミ袋を漁ったりはしませんが、泣き声のせいで印象が幾分マイナスです。
しばらく歩いた所で、突如として登山道上に巨大な溶岩が散乱し始めました。
この周囲一帯に広がる溶岩台地が、難路の正体だったのです。言ってみれば、坪庭の歩道でないところを歩かされるようなものです。浮石も多く、歩き難いことこの上ありません。
そして、この先ずっと同じような道が続いていることが一目瞭然なこの絶望感。これはルート選択を誤ったか。
眼下に亀甲池が見えました。北横岳山頂からもう一方の難路ではない方を選んだ場合は、あの池の脇を通ってゆくことになります。
難路に四苦八苦しつつ、大岳分岐まで歩いて来ました。道標脇の草むらに荷物をデポし、貴重品だけを持って大岳を往復します。
身軽になるなり、難路は楽しいアスレチックへと早代わりしました。ようするに、このルートは大荷物を背負った状態で歩くべき道ではないのです。
13時30分 大岳に登頂しました。
そんな訳で、分岐からは割とあっさり登ってこれました。宿泊費を浮かせるための代償は、文字通り重く肩にのしかかっていたと言った所でしょうか。
山頂からは北八ヶ岳と呼ばれる一帯に広がる溶岩台地を一望できます。岩と潅木の世界です。
こちらは雨池です。文字通りの雨水がたまって出来る池で、雨が少ない時期には干上がってしまうこともあるのだとか。
約1時間ほど前に居た北横岳。眼下には悪戦苦闘を繰り広げた溶岩石の群れが広がります。
そして蓼科山。ルートの都合上仕方が無いのですが、先ほどからどんどん遠ざかっています。
東側に目を向けると、正面には西上州のテーブルマウンテン荒船山(1,423m)の姿が際立って見えます。「いつか登りたい山リスト」に名を連ねてはいますが、公共交通機関によるアクセスが極めて悪いのが悩みどころです。
野辺山高原を挟んだ向かいには、奥秩父山塊の山々が連なります。今日は雲が多くて山座同定が難しいですな。正面右が瑞牆山(2,230m)で、左奥が金峰山(2,599m)かな。あまり自信がありませんが。
十分満足した所で、分岐地点へと引き返します。再び重荷を背負っての行進再開です。
大岳分岐を過ぎると、より難路の度合いが増しました。もはやこれは道と呼べるシロモノではありません。段差がやたら大きく、どこに足を置くべきか判断に迷います。
飛び降りたり、よじ登ったりを繰り返しながら必死に歩き続けます。
山と高原地図によると、大岳分岐から双子池までの標準コースタイムは1時間20分と言うことになっています。このコースタイムを計測した人は、よほど身軽でバランス感覚が良い人だったのでしょう。
身軽でない上にバランス感覚もよく無い私は、汗だくになりながらひたすらノロノロと進みます。
国立公園内なので色々と制約はあるのでしょうけれど、この岩どもを、もう少し削ったり退かしたりは出来ないものなのでしょうか。
見えてからも油断は禁物です。このルートは、最後の最後まですんなり歩かせてはくれません。
15時55分 双子池ヒュッテに到着しました。
大岳からの所要時間は実に2時間と言う超スローペースでの到着です。いやはや苦しい道のりでした。
蓼科山に再訪する事があっても、このルートは2度と歩きません。。
4.北八ヶ岳の深い懐に抱かれた神秘の双子池
双子池はその名が示すとおり二つの池からなります。こちらは雄池。透き通った美しい水を湛えています。周囲を原生林に囲われた幽玄なる場所です。
双子池ヒュッテでテントの受付を済ませます。幕営料は800円です。水場とトイレの使用料を含みます。
こちらがその水場です。この水は雄池の水をポンプアップしただけものなので、煮沸して使用することが推奨されています。そのまま飲んでいる人も多いようですけれど。
いちいち煮沸するのは面倒なので、簡易浄水器で済ませます。
フィルターで異物を除去するタイプの浄水器を初めて使ってみましたが、水を繰り出すのに結構強い力が必要です。2Lほど調達しましたが、指が疲れました。
こちらが二つ目の池である雌池です。洗い物は雄池ではなく雌池で行ってくださいと言う張り紙が出ていたので、要するにこちらは下水扱いされていると言うことです。そのため雄池ほどの透明度はありません。
野営場は雌池の辺にあります。双子池ヒュッテからは少し離れた場所なので、売店に用事がある場合は受付時に済ませておくと良いでしょう。
池のすぐ脇にテントが張られているのが見えます。いい所にありますねえ。なお、池の近くは長雨が続くと水没することもあると言うので要注意です。
こんな感じに、笹薮に中にテントサイトがいくつか造成されています。到着が遅かったため、池の近くの良さげな場所は既にすべて埋まっていました。
まるで鏡のような湖面が広がります。夜になると星空が湖面に写るのだとか。これは大いに期待できそうです。
いつものお湯を沸かすだけの簡単な食事を済ませます。
私は基本的に、山での食事はその後の歩行に必要なだけのエネルギーを摂取できればなんでも良いという考えの持ち主です。食事というよりは完全にエサですね。
最近はお湯を沸かすのですら面倒に感じ、いっそシリアルバーとゼリーだけで済まそうかと検討中です。そうすればストーブも要らなくなりますし。
軽くうたた寝をし、暗くなったところで外に出てみると、頭上には満天の星空が広がっていました。
湖面に写る星空の方はと言うと・・・うーん、なんとなく写ってはいますが微妙ですね。星空が一番明るくなる時間帯を狙わないと駄目なのでしょうか。
5.蓼科山登山 登頂編 大河原峠を越えて、諏訪富士の頂を目指す
明けて翌8月5日、早朝5時。例のごとくお湯を沸かすだけの食事を手早く済ませました。
双子池ヒュッテまで戻り、再び浄水器を必死になって握り、今日一日分の飲料水を確保します。
5時20分 最初のチェックポイントである双子山を目指して登山開始です。
朝露に濡れた笹薮の中を登って行きます。案の定と言うか、下半身がずぶ濡れです。
昨日北横岳から見えていたとおり、双子山の山頂部は広く開けた平原状となっています。風の通り道らしく、少し肌寒さを感じます。強風に吹かれたおかげで、濡れていたズボンがあっという間に乾きました。
背後には昨日乗り越えてきた北横岳の姿が見えます。頭に雲を被っておりますな。
そしてこれから目指す蓼科山。こちらも見事に山頂部だけが雲を被っておりますな。まあ、気温が上がってくれば上に抜けてくれるでしょう。
花の季節はもう終わってしまっているらしく、緑一色の草原が広がっていました。
6時5分 双子山に登頂です。
平坦な山頂部なので、最高地点の場所が良くわかりませんが、だいたいこの辺なのでしょう。
折角登って来て早々ではありますが、今度は大河原峠に向かって下って行きます。道がそうなっている以上は仕方がありません。
足元に僅かではありますがハクサンフウロが咲いていました。北八ヶ岳は南八ヶ岳に比べると全般的に花は少なめです。高山植物が咲くには少し標高が足らないからでしょうか。
眼下に大河原峠が見えて来ました。苦労して歩いてきた山奥に舗装道路と駐車場があるのを見かけると、なんともいえない残念な気持ちになるのは何故なのでしょう。
ちなみにこの道は、蓼科スカイラインと言う名の元有料道路です(現在は無料)。お隣のビーナスラインの大成功にあやかろうと作られたのであろうこの道は、見たところあまり繁盛はしていなさそうですな。
6時20分 大河原峠に到着です。
標高2,090メートル地点と言うのは、車で直接上がってこれる場所としてはかなり高い方ですね。
大河原峠に立つ大河原ヒュッテ。だいぶ老朽化しているうえに無人だったので廃屋なのかと思いましたが、公式サイトによると予約がある時にだけ営業しているとのこと。
特に用事も無いので行動を続行します。当然ながら、峠からは再び登りです。
双子山から眺めたときには、のっぺりとした丘のような姿をしていた場所ですが、結構な急勾配の道でした。九十九折れなどは一切無く、ひたすら直登です。
北八ヶ岳エリアの森を特徴付けるものは、なんと言ってもコケです。道の脇には緑の絨毯が広がります。華は無いけれど、これはこれでとても良い雰囲気を醸し出しています。
急坂を登りきると道が平坦になりました。ここから山頂直下の将軍平までは、ほぼ水平移動となります。
木の隙間から蓼科山の山頂部がお目見えです。山頂を覆っていた雲は綺麗に晴れてくれました。これはすべてがうまくいってしまうパターンか。
ほどなく佐久市の最高地点という、佐久市民以外の人にとっては何の意味も持たないであろう地点を通過します。
北八ヶ岳名物の縞枯現象により展望が開けた、気持ち良い道が続きます。
昨日は曇っていて全く見えなかたった、南八ヶ岳方面の山々も見えました。若干霞みがちではあるものの、最高のお天気だといえるでしょう。
7時45分 将軍平に到着です。
蓼科山荘という名の小屋が建っています。小屋ヶ岳とか揶揄されるだけのことはあって、八ヶ岳は本当に山小屋だらけの場所です。
将軍平という名の由来は、征夷大将軍の坂上田村麻呂が東征の際にここを越えたからだと言われています。何でわざわざこんな山の中を通ったのでしょう。
将軍平から山頂までの道のりは、地図にもわざわざ「急坂」と書かれているだけのことはあって、かなり急登です。ストックは邪魔になるので、しまっておいたほうが良いでしょう。
急坂であるが故に見る見る高度が上がってゆきます。蓼科山荘があっという間に小さくなりました。
山頂直下になるといよいよ傾斜度が増してきます。流石に直登できなくなったのか、道は左側に回りこむようにしてトラバース気味に続いています。
撮影を口実にしばしの小休止。ミツバチと言うのは、こんな標高の高いところにまでの飛んでこれるものなんですね。
山頂が見えました。そしてまたもや山小屋です。一体何件あるんでしょう??
蓼科山の山頂部は、溶岩が散乱する極めて広い平地状の場所となっています。ここはその端に当たる場所です。
8時45分 蓼科山に登頂しました。
どうやらこの細っこい棒切れが山頂標識のようです。百名山の山頂標識にしてはみすぼらしいですな。
山頂の様子
溶岩石の散乱する広大な平地です。方位盤やら神社やらがあるのが見えるのですが、余りにも歩き難い場所なので、面倒になって見には行きませんでした。
南側にはこの通り、八ヶ岳連峰のほぼ全域を見渡すことが出来ます。
山頂に居る人たちがしきりに「ヤツが見える」を連呼するので、一体何のことだろうと思いきや、南八ヶ岳のことを言っていたようですね。
一応はここ(蓼科山)もヤツの一部なんですけれどね。蓼科山を八ヶ岳とは別の独立峰と見なしている人がそれだけ多いということでしょうか。
眼下にはスタート地点の北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅も見えした。こうして見ると、たいした距離を歩いてはいないのですね。まあ、ぐるっと遠回りしてきたからなんでしょうけれど。
6.蓼科山登山 下山編 転げ落ちるような急坂を下りプール平へ
9時10分 山頂からの眺望を満足行くまで眺めたところで、下山を開始します。先ずは下降開始地点まで山頂直下をトラバースします。
よくよく目を凝らしてみると、蓼科山登山口にある女神茶屋と本日のゴール地点であるプール平の両方が見えております。心が折れそうになるこの圧倒的な距離感。
山頂付近はかなりの急勾配です。高度感もあってなかなかスリリングです。
今度は正面に白樺湖と霧ヶ峰(1,925m)の姿が見えました。霧ヶ峰と聞くと、どうしても三菱のエアコンの方を思い浮かべてしまう。。
こちら側の登山道もまた、極めて無慈悲な急坂です。最後まで途切れることの無い、一直線の急降下が始まります。靴紐を締めなおし、気合を入れて行きましょう。
傾斜度が変わらずとも、周囲に森があるだけで何故か守られているような安堵感を感じるから不思議です。
1時間以上下り続けたところで、一瞬だけ傾斜の緩む場所がありました。幸徳平と呼ばれる場所です。途中で休憩を取るなら、ここで取るのが良いでしょう。
足の乳酸蓄積量がそろそろ限界に達しそうな寸前になって、ようやく平坦な場所まで降りてきました。足元が岩から土に変わっただけで、膝への負担が一挙に少なくり、足取りが軽やかになります。
11時20分 蓼科山登山口に到着です。
ここでバスを待ってもよいのですが、本数が極端に少ないうえに、茅野駅までは直通してくれず乗継が必要です。
ここからは信玄棒道とよばれる古道跡の道を通って、プール平を目指します。プール平まで行けば茅野駅への直通バスが通っているうえに、温泉があります。(コレ重要!)
途中から道幅が広くなり、轍のようなものが刻まれていました。車も通ることがある道なのですね。
カラマツの植林の中をゆったりと下って行きます。紅葉シーズンに訪れたら、さぞかし壮観でありましょうな。
親湯温泉と言う名の温泉ホテルです。日帰り入浴も可能なようですが、ここはグッと我慢してバス停近くの共同浴場を目指します。
親湯からは舗装道路歩きです。標高が下がったこともあって暑くなって来ました。
12時35分 プール平バス停に到着しました。
山頂を辞去してから実に3時間25分間、ずっと歩き通しの長い下山でありました。
プール平からは、蓼科山の山頂部だけが僅かに見えました。あそから下ってきたのだと思うと感慨深い。
全身が汗まみれで気持ち悪いことこの上ありません。足早に温泉へと直行します。この共同浴場は入浴料が500円と大変リーズナブルでした。
時刻表通りの13時16分ちょうどに現れた茅野行きのバスに乗って、帰宅の途に着きました。
二日間に渡った蓼科山登山は、かくして大満足の内に終了です。やや霞んでいて遠くこそは見えなかったものの、最高の晴天に恵まれた二日間でした。
マイカーやタクシーを使った登山であれば日帰りできてしまう蓼科山ですが、広大な溶岩台地やいかにも北八ヶ岳らしい深い原生林に囲われた神秘の双子池など、一泊してゆっくり巡る価値が十分にある山だと思います。高原地帯は夏であっても涼しく、避暑にも最適です。
幽玄なる原生林に囲われた神秘の池に出合いに、北八ヶ岳へと繰り出してみてはいかがでしょう。
<コースタイム>
一日目
坪庭(11:00)-北横岳ヒュッテ(11:40)-北横岳(12:05~12:35)-大岳(13:30~13:45)-双子池ヒュッテ(15:55)
二日目
双子池ヒュッテ(5:20)-双子山(6:05)-大河原峠(6:20)-将軍平(7:45~8:10)-蓼科山(8:45~9:10)-蓼科山登山口(11:20)-プール平(12:35)
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