飯盛山 ニッコウキスゲが咲く奥秩父最西端の山と近隣の滝を巡る

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長野県南牧村にある飯盛山(めしもりやま)に登りました。
八ヶ岳と向かい合う位置にある、奥秩父主脈最西端の山です。麓には八ヶ岳山麓の野辺山高原が広がり、登山口からの標高差が小さいため手軽に登れる山として人気があります。山頂周辺は開けた草原状になっており、ニッコウキスゲを始めとする多種多様な花が咲きます。
お手軽登山を楽しみつつ、ついでに近郊にある滝巡りをしてきました。

2024年7月21日に旅す。

八ヶ岳山麓に広がる野辺山高原に立つ飯盛山は、奥多摩から延々と続く奥秩父主脈の西端に位置している山です。太平洋側と日本海側とを分かつ、日本の中央分水嶺の山でもあります。
清泉寮から見た飯盛山
名前の由来はシンプルに、茶碗に盛ったご飯のようなシルエットしているからだと言われています。

放牧場として利用されており、山頂の周囲は背の高い樹木がない草原状となっていて眺めの良い山です。標高は1,600メートル少々あり決して低くありませんが、スタート地点の標高自体が高いためコースタイムは短く手軽に登ることが出来ます。
飯盛山の山頂部
年間を通じて訪問者の多い人気の山ですが、特にニッコウキスゲが咲く初夏の時期には多くの登山者で賑わいます。今回の訪問はもう夏の花のピークは過ぎてしまったタイミングでしたが、それでもまだ多くの花々が咲いていました。

飯盛山単体では少々物足りない気がしたので、ついでに近隣にある千ヶ滝、宮司の滝および吐竜の滝を巡って来ました。吐竜の滝については飯盛山から結構距離が離れており、果たしてついでと言えるのかは若干怪しい感じはしますが・・・
吐竜の滝
まる一日をかけて、野辺山高原をほっつき歩いて来た記録です。

コース
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小海線の清里駅からスタートし、千ヶ滝に立ち寄りつつ飯盛山に登頂します。下山は平沢峠経由で宮司の滝に立ち寄りつつ清里駅へ戻ります。

駅へ戻った後は返す刀で反対方向の川俣川渓谷まで歩き、吐竜の滝を見物した後に甲斐大泉駅まで直接歩きます。

蛇足の寄り道の部分を除けば、清里駅を起点とした飯盛山登山として極めて一般的であろう行程です。

1.飯盛山登山 アプローチ編 鈍行列車で行く八ヶ岳山麓への遠き旅路

4時29分 JR三鷹駅
野辺山高原は遠い。と言う事で中央線の始発電車で始動すべく、朝っぱらから自転車をこいで第2の最寄り駅こと三鷹駅へとやって来ました。
早朝の三鷹駅
実際のところ、言うほど近くはないのですけれどね。今朝は3時に起床したので眠くてしょうがありません。

当ブログの読者様の多くはすでにご存じの事であろうかとは思いますが、この三鷹駅4時40分発の始発電車に乗ることが出来ると、色々と良いことがあります。
早朝の三鷹駅のホーム

高尾、大月、甲府と始発電車リレーを継投していきます。少なくとも甲府までは、トレイに立ち寄れる時間もないくらい乗り換え時間が短いので、テキパキと行動しましょう。
甲府駅のホーム

7時26分 小淵沢駅に到着しました。始発電車リレーをすることにより、実はこんなにも早い時間に小淵沢に降り立つことが可能です。日帰り登山の可能性が色々と広がるので、中央線沿線に住まいの人は是非ともお試しあれ。
小淵沢駅のホーム
かく言う私自身は中央線沿線に住まいの人ではないので、早朝の自転車移動と言うイベントを受け入れる必要がある訳ですが、しかしその手間を補って余りあるだけの恩恵はあります。

続いて7時45分発小諸行きの小海線に乗り換えます。ここようやくまともな時間の余裕が発生するので、トイレに行くなり朝食を取るなりしておきましょう。
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小海線の運行本数は少なく、7時45分発を乗り流すと次はもう10時7分までありません。この10時7分の方の列車は、新宿駅を朝7時に出発する特急あずさ1号と連絡します。
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8時11分 清里駅に到着しました。以前は駅員がいたように記憶していましたが、いつの間にか無人駅になっていました。交通系ICカードには対応しています。
清里駅のホーム

清里駅のある地点の標高は1,274メートルあり、全国のJRの駅の中で2番目の高さです。
清里駅の標高標識

ちなみにJR駅の標高1位から9位までは全て小海線の駅です。小海線は八ヶ岳の山麓に広がる高原地帯を走る路線であるため、端から端まで標高600メートル以下になることはありません。
JR駅の標高トップ10

真っ白な駅舎が、高原地帯の透き通った青空に良く映えます。一見するととても涼し気な光景に見えますが、残念ながら朝の時点から既にまったく涼しくはありません。じっとりと汗ばむ気温です。
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清里はかつて日本がバブリーな景気に沸いていた時代に、オシャンティーな高原リゾート地として大々的に開発されました。

その後のバブル崩壊により、一時はゴーストタウンと化してしまっていた時代もありました。しかし今では一周まわってほど良い感じになり、活気を取り戻しつつあるのだとか。
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駅前は一見すると無人のシャッター街化しているようにも見えますが、それは単にまだ時間が早いからです。

2.盛大に水しぶきを巻き上げる瀑布、千ヶ滝

出発前から既に蒸し暑くて、なかなか決心がつかずグダグダしているうちにだいぶ時間が経ってしまいました。8時40分に行動を開始します。
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駅の周辺に飯盛山への道標などの案内は特に見当らなかったように記憶しています。まずはロータリーから南方向へ道なりに進みます。

富士山の頭だけが僅かに見えました。この後、飯盛山に登頂する頃にはすっかりと曇ってしまいましたけれどね。
清里期の周辺から見た富士山

すぐに左手にちぐさと言う名前の土産物店が現れるので、ここから左の脇道に入っていきます。
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すぐに国道141号線にぶつかりますが、横断して清里ジャージーソフトクリームの脇から下って行きます。
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清里駅と飯盛山の間には大門川という川が流れているため、一度川のある谷底まで下る必要があります。ちょっと下ると言う感じではなく、割としっかり標高を落とします。
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谷底にある平沢橋まで下りて来ました。落差が大きい高原地帯を流れる大門川には複数の名ありの滝が存在します。この橋から川沿いに下流方向へ進むと千ヶ滝があり、逆に上流側に遡って行くと宮司の滝があります。
平沢橋とヴィラ千ヶ滝
宮司の滝には飯盛山からの下山後に立ち寄る予定でいるので、ひとまずはサクッと千ヶ滝の方を往復して来ましょう。

ヴィラ千ヶ滝と言う宿泊施設への入り口を入って行くと、すぐに駐車場がありました。車の駐車料金は500円ですが、自転車とオートバイは無料とのことです。
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森の中に瀟洒な建物が建っています。これがヴィラ千ヶ滝なのかな。感じるぞ、バブルの残り香を。
ヴィラ千ヶ滝

駐車場を突っ切て川沿いに進んで行くと、滝へと至る遊歩道が整備されていました。割としっかり山道ですが、踵のある靴を履いた観光客が紛れ込んでしまったりはしないのだろうか。
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川沿いまで下りてくると、なかなかの迫力がある滝が轟音を立てながら流れ落ちていました。飛沫が凄い・・・。
千ヶ滝
落差はおよそ20メートルとのこと。川の本流上にある滝なので真正面に立つ事はできませんが、かなり横幅のある滝です。簡単に立ち寄れる場所にあるので、飯盛山へお越しの際は是非こちらもどうぞ。

3.飯盛山登山 登頂編 蒸し暑い森の先に待つ、開けた草原状の頂

千ヶ滝の見物を終えたところで、平沢橋を渡って道なりに進みます。ちなみに、下山後はぐるっと一周して左の脇道からこの橋に戻ってくる予定です。
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一度しっかりと下ってしまったので、当然ながらしっかりと登り返します。アスファルトの上は地面からの熱気で暑くてかなわないので、早く森の中へ逃げ込みたい。
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平沢集落の長閑な田園風景が広がります。高原なら多少は涼しいかと期待していたのに、先ほどからジメッとしていて蒸し暑いです。もっとも、下界はもっと暑いのでしょうけれど。
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ここまで歩いてきて、ようやく飯盛山登山口の案内がありました。特に登山口の名前は付いていないようですが、平沢登山口とでも呼べばよいのかな。
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ヤマユリの強い芳香が周囲に漂っています。ちょっと香りがきつすぎる気がして、正直私はこの花が苦手です。
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登山口に氷の表記を掲げた喫茶店がありました。反対向きに下りてきたら間違いなく吸い寄せられるであろう暑さですが、本日は周回ルート取るつもりでいるため、残念ながらここへ戻ってくることはありません。
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舗装道路歩きがダラダラと続き、なかなか山道が始まりません。清里駅スタートだと、全行程のだいたい3分の1くらいは舗装された道を歩くことになります。
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横を見ると、登る前からすでに八ヶ岳連峰の山並みが見えています。まだ午前中なのに、稜線の上は既に雲に覆われてしまっています。まあ夏山だしこんなものでしょうか。
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9時40分 駅から1時間ほど歩いたところで、ようやく登山道が始まりました。もうすでに汗だく状態ですが、それでも張り切ってまいりましょうか。
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歩きだしてしばしの間は、まるで端の方に追いやられたかのように、別荘地らしき建物の裏手を進みます。
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森の中に入れば多少は涼しいかと思っていたのですが、風が吹かなくなり余計に暑くなっただけでした。もう気温的に、3,000メートル級の高山くらいしか快適には登れない季節になってしまいましたか。
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山アジサイがポツポツと咲いています。アジサイというと梅雨の時期の花である印象がありますが、比較的花期が長いので夏になってもまだまだ楽しめます。
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登山道は大変よく整備されていますが、同じような傾斜度の登りがダラダラと続きます。歩きやすいのだけれど、単調に感じられます。
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東屋がありました。ここが飯盛山登山における中間ポイントと言ったところです。まだ特に疲れてはいないので、ここは素通りします。
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動物除けの柵を通って先へ進みます。ゲートにはなっておらず、出入口を狭くしているタイプの柵です。登山用のザックを背負っていると引っかかったりするので、何気に厄介なんですこれ。
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ここまでと同じような単調な道が続きますが、少し傾斜が増して来ました。
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登山道が大きく抉れてしまい、障害物競争状態になってしまっている個所もあります。歩く人の多い人気の山にありがちな光景です。いずれは丹沢のように木道化されてしまう日がやって来るのかもしれません。
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タカネナデシコがチラホラと咲いていますが、もうほぼ終わりかけです。イワカガミもそうですが、自然界にはあまり存在しなさそうな色合いをしているので非常に目立ちます。
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森を抜けたところで、山頂部がお目見えしました。確かにご飯を盛ったようなシルエットをしています。朝の青空が嘘のように、どんより雲ってしまいましたな。
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背後には南アルプスの山並みが居並びますが、こちらもやはり雲が多めです。まあ、夏山らしい光景だと言ってしまえばそれまでです。
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山頂直下の肩になっている場所まで登って来ました。かなり広いスペースがあるので、昼食休憩するなら山頂ではなくここで取る方が良いかと思います。
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山頂に向かって、茶碗に盛られたご飯の部分を登って行きます。見るからに眺めが良さそうで期待が高まります。
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山頂は大勢の人で溢れかえっていました。これだけ手軽に登れるわけですから、人気があるのも納得です。
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10時50分 飯盛山に登頂しました。清里駅から直接歩いてほぼ2時間の行程でした。途中で千ヶ滝に立ち寄らなければ、1時間半もあれば登れると思います。
飯盛山
飯盛山に登ったのは自身2度目のことで、前回の登頂はもう30年以上前の事になります。小学校の学校行事で川上村を訪れた際に登りました。何故か修学旅行とは呼ばずに、移動教室と称していたように記憶しています。

今でもやっているのかは不明ですが、当時の飯盛山は放牧場として利用されていて、至る所に牛のフンが散乱していてハエがわんさか飛んでいたのをよく覚えています。もうちょっと美しい思い出は無いんかい。

4.飯盛山山頂からの展望と、お花畑が広がる大盛山

それではお待ちかねの、周囲の展望を順番に見ていきましょうか。飯盛山からの展望で一番特筆すべきは、何と言っても八ヶ岳の眺めです。ほぼ目の前と言って良い距離にあります。
飯盛山から見た八ヶ岳

眼下にスタート地点の清里の街並みが見えています。八ヶ岳山麓の森の中にポツンとあって、かなり違和感のある光景です。
飯盛山から見た清里の市街地

南側には南アルプス北部一帯の山が連なります。今は雲に覆われてしまっていますが、晴れていれば甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山などが良く見えるはずです。
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東側には奥秩父の山々が連なります。飯盛山は奥秩父部主脈の西端に位置している山で、今正面に見ている尾根は奥多摩までずっと繋がっています。またこの尾根は、日本の中央分水嶺でもあります。
飯盛山から見た奥秩父山地
一度飯盛山から横尾山をへて信州峠まで繋げてみたいと思っているのですが、途中でエスケープの出来ないかなりの長丁場となるので、山中泊しないと厳しそうです。

金峰山(2,599m)と瑞牆山(2,230m)は遠くから見てもわかりやすい。ちなみに富士山も見えるらしいのですが、今日は雲に阻まれて全く見えません。
飯盛山から見た金峰山

北側には川上村の男山(1,812m)と天狗山(1,882m)が良く見えます。恐らく大多数の人が「何処だその山は?」となるであろう極めてマイナーな山ですが、どちもとても良い山ですよ。
飯盛山から見た天狗山と男山

すぐ隣に大盛山と平沢山と言う二つのピークがあります。初夏の飯盛山と言えばニッコウキスゲで有名かと思いますが、実はニッコウキスゲが咲いているのは飯盛山ではなく隣の大盛山の方です。
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ここから見た感じだと。ニッコウキスゲの方はもう終わってしまっているように見えますが、どんな感じでしょうか。この後に当然あちらにも登りますよ。

夏休みの行事か何からしい小学生の集団が登って来て、山頂がだいぶ賑やかになりました。手軽に登れる山なので、地元の子ども達にとっては、遠足で登る定番の存在なんでしょうね。
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そろそろ先へ進みましょう。まずはお隣の大盛山へ向かいます。
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何しろ30年以上間の事なのでだいぶうろ覚えですが、確かこの肩のスペースでハエを追い払いながら弁当を食べたはずです。
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今でも羽虫はわんさか飛び交っていますが、少なくとも牛のフンとハエは全く見当たりません。綺麗になったようで何よりです。

植生保護のための動物除けのゲートを通って進みます。なるほどこの柵があるおかげで、ニッコウキスゲが咲く植生が守られているわけですね。
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柵設置の効果の程は明らかで、囲いの中には実に多種多様な花々が咲いていました。素晴らしい。逆に言うと、こうでもしない限りは全部シカに食われてしまうと言う事なんでしょうね。
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既にピークは過ぎて終わりかけの状態ですが、ニッコウキスゲもしっかりと咲いていました。
飯盛山のニッコウキスゲ

お隣の飯盛山の姿が良く見えます。この大盛山から見た時の姿が、一番ご飯を盛った感があると思います。写真撮影用にお茶碗でも持ってくるべきであったか。
大盛山から見た飯盛山

ちなみに大盛山の標高は飯盛山と全く同じです。広義にはここも飯盛山の一部の扱いなのかな。地図によっては平盛山と書かれていることもあり、名称に揺らぎが見られます。
大盛山の山頂

眼下には野辺山高原のレタス畑が広がっています。決して標高の低い山では無いのですが、麓の標高自体が高いため、山とも言えないような比高しか感じられません。
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空を向いているパラボラアンテナが見えます。国立天文台の野辺山宇宙電波観測所です。あれで宇宙が見えるらしい。
野辺山宇宙電波観測所

お隣の平沢山と八ヶ岳も良く見えます。やはりこの大盛山を含めた山上全体が飯盛山であると言うことで良いのではないでしょうかね。
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5.平沢山を越えて平沢峠へ下る

下山は元来た道へも戻らずに、当初計画の通り平沢山を越えて平沢峠方面へ下ります。道標には平沢峠とは書かれていませんが、しし岩と書かれている方へ進みます。
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平沢山には巻き道もありますが、ここまで来てスルーすべき理由も無いので登って行きます。
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僅かな距離ではありますが、割としっかり登らされます。巻き道を選ぶ人の方が多いと見えて、賑やかだった周囲が静かになりました。
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あっけなく山頂まで登って来ました。平沢山の山頂は、飯盛山の山頂以上に絶好の八ヶ岳のビュースポットとなっています。
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12時 平沢山に登頂しました。何気に飯盛山よりも僅かに標高が高く、ここが本日の行程における最高地点となります。
平沢山の山頂

この草原が余りにも気持ちが良さそうだったので、ここでほんの少しだけお昼寝を洒落込みました。本日は先を急ぐ旅ではないし、なにより3時起きで最寄り駅三鷹をしたためか、先ほどから眠くてしょうがなかったものですから。
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30分程仮眠を取りましたが、これで少しは頭がすっきりしたかな。

寝ている間に八ヶ岳の稜線を覆っていた雲が少し抜けて、最高峰の赤岳を始めとする山々の姿が見えました。平沢山が最高の八ヶ岳の展望所であることは間違いなさそうです。
平沢山から見た八ヶ岳

下って行くと、すぐに笹に覆われた尾根道になりました。飯盛山で最も多く歩かれているのは恐らくこの平沢峠コースだろうと思いますが、急な箇所もなく歩きやす道です。
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途中に宮司の滝方面へショートカット出来る横道がありますが、トイレに寄りたかったのでこのまま直進して平沢峠にある駐車場を目指します。
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前方に大きな岩があるのが見えます。あれが道標に書かれていたしし岩なのかな。
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こうして所々に開けて場所があって眺めは良いのですが、当然ながら直射日光を浴びることになるので暑いです。勘弁してください。
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獅子岩のすぐ手前を、舗装された車道が横切っていました。
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かなりのキャパシティのある広々とした駐車場があり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。平沢峠スタートなら、飯盛山はそれこそ1時間とかからずに登れてしまう山です。
平沢峠の駐車場

12時55分 平沢峠まで下って来ました。身も蓋も無いことを言ってしまうと、別に山登りはせずともここから八ヶ岳は良く見えます。
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この峠も中央分水嶺です。分水嶺のラインはこの後、八ヶ岳の稜線を経て霧ヶ峰方面へと続いています。
平沢峠の中央分水嶺

平沢峠へは、野辺山駅から出ている循環バスくるり野辺山で訪れるも出来ます。5月から11月までの週末祝日と特定日のみの運行ですが、なんと運賃無料です。南牧村は太っ腹ですね。
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6.宮司の滝を見物しつつ清里駅へ戻る

しかし私には宮司の滝を見に行かねばならないと言う使命があるので(いつのまに?)、無料バスの誘惑を断ち切って反対方向へ道なりに下って行きます。
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電話会社のものであろうループアンテナが現れたところで、その少し手前から脇道へ入って行きます。
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入口はなかなか不安感を煽って来るような笹の跳梁っぷりですが、道はどんな状態であろうか。期待(?)して行ってみましょう。
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多少笹がうるさいと言えばうるさいですが、薮と言うほどでもないごく普通の山道が続いていました。通行量自体はそれなりにありそうです。
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程なく林道らしき未舗装の道にぶつかりました。動物除けの柵に阻まれるように、大回りしながら下って行きます。
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この地図に記載がない林道歩きは長くは続かず、柵の扉を開けて再び草むらの中へと入って行きます。
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そこそこ水量の多い川にぶつかりました。この川は千ヶ滝があった大門川の上流です。
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この付近の大門川は非常に急流な渓谷となっており、川沿い付近は直接歩けないと見えて、道はすこし遠巻き気味に下って行きます。
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滝への分岐地点まで歩いて来ました。ここから川沿いを少し遡って往復します。
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崖際に沿うようにして鉄階段がありました。宮司の滝は清里の観光案内マップにも普通に名所として描かれているスポットなのですが、一般観光客を呼び込むにはいささか険しすぎる場所にあるように思えます。
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鉄階段を上ると、鑑瀑のために設けられたらしき橋が架かっているのが見えました。
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下りの階段は無くクサリ場になっていました。クサリが無くてもなんとかなりそうなレベルではなく、しっかりと手も使わないと降りれそうにはない岩場です。
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14時15分 宮司の滝に到着しました。三段に分かれている滝です。宮司(ぐうじ)とは神職や巫女をまとめる神社のトップの事を指す言葉です。この3つ滝を配下の神職や巫女に見立てた名称・・・なのか?
宮司の滝

構図を縦にするか横にするかで散々迷った挙句、結局は両方撮影しました。この滝については、縦の方がしっくりとくるかな。
宮司の滝
スマホがネイティブな世代の人間は、むしろ写真とは縦に長いものであると普通に思っていそうな気がします。人間の視野と言うのは横に広いのですぞ。

見るべきものは見たので引き上げましょう。滝の入口までは割としっかりした遊歩道が整備されていました。しかし最後がクサリ場とあっては、物見遊山気分の観光客にはエクストリーム過ぎるのではなかろうか。
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滝を目指しているのであろう老夫婦とすれ違いましたが、おそらく滝まではたどり着けずに引き返すことになるでしょう。一声かけるべきだったかな。

ほんちょう学童たちが何故か毎年作成しているらしい、宮司の滝の標識が並んでいました。漢字で書くと本町学童なのかな。
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無事に平沢橋まで戻って来ました。
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後は清里駅まで登り返すだけなのですが、何気にしんどい登りです。この季節のアスファルトの道は、道からの熱気がとにかく辛い。
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14時50分 清里駅まで戻って来ました。ここで終わりにしていれば、本日はごく普通の飯盛山登山であったことでしょう。
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何しろ今は日の長い季節であるし、時間的にはまだまだ余裕があります。せっかくの機会なので、もうひと滝行ってみようか。ということで、ここからはおまけの延長編が始まります。

以前から気になっていた、川俣川渓谷の吐竜の滝を見に行きます。

7.おまけの延長編 川俣川渓谷遊歩道と吐竜の滝

街の中に唐突に西洋の城風の建物が立っていたりする辺りがいかにも清里らしいと言うか、バブリーな時代のイケイケだった日本人の覇気が遺憾なく発揮されていて大変すばらしい。
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こう言う俗っぽいものを作ってしまう感性は、日本人のDNAのどの辺りに宿っているものなのだろうか。

小海線の踏切を渡り、川俣川渓谷遊歩道への入り口がある清泉寮を目指します。
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どうやら近くにミッション系の幼稚園があるようで、そこでヨハネっ子祭りなるものが開催されているようです。ヨハネっ子とは一体・・・。
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イエスの弟子のヨハネは、確か最後は拷問か何かで煮えたぎった油風呂に入れられて煮殺されたんじゃなかったけか。

清里駅から清泉寮まで歩いて行く人が果たしてどれほどいるのかは疑問ですが、駅からは結構登ります。元気な状態ならいざ知らず、ひと山登って来た後の身には割としんどい。
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15時30分 清泉寮まで歩いて来ました。主に地元の物産品などを取り扱っている商業施設です。清里は活気を取り戻しつつあるとの言葉通りに、結構混雑していました。
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行列に吸い寄せられるようにして、名物のソフトクリームを頂く。うむ、濃厚でうまし。
清泉寮のソフトクリーム

テラスの上から、先ほど登って来た飯盛山の姿が見えます。のっぺりとしたシルエットでわかりづらいですが、写真中央の突端が飯盛山です。
清泉寮から見た飯盛山
麓からから見た時に茶碗にご飯を盛ったようなシルエットしているのが名前の由来だと言われていますが、手前にある平沢山に遮られるため、そもそも近くからは見えません。果してこの伝えられている由来は本当に正しいのだろうか。

これは茅ヶ岳(1,704m)かな。韮崎の周辺から見た時に八ヶ岳に似ていることから、ニセヤツの異名を持つ山ですが、長野県側から見るとあまり八ヶ岳っぽくはありません。
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寄り道は程々にして先へ進みましょう。特に案内などは出ていませんが、川俣川渓谷遊歩道の入り口は清泉寮の敷地内を広場に沿って少し奥へ進んだ場所にあります。
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広場の端に道標がありました。ちょっとわかり難い場所にあるので、訪問を考えている人は事前によく確認しておいてください。
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道標に従って先へ進むと、谷底に下りて行く道が続いていました。遊歩道と名乗ってはいますが、実態としては完全に登山道です。
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やがて谷底にかかる吊り橋が見えて来ました。目指す吐竜の滝はここよりもずっと下流にあります。
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この川俣川渓谷は紅葉の名所としてそれなりに名が知られている場所ですが、真夏に歩く人がどれくらい居るものなのかは良く分かりません。

前々から一度訪問してみたいと思っていた場所でしたが、単体で訪れるにしては少々物足りないボリューム感だったので、何かのついついでに立ち寄れる機会をうかがっていました。
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季節外れだからなのか、はたまた単にもう時間が遅いからなのかは分かりませんが、周囲には誰もおらず貸し切りの状態です。

なにしろ沢沿いのルートのなので、崩れかけていて危なっかしい場所や、無理やり感のある迂回路などもあります。そもそも、16時を過ぎた時間から歩きはじめよとすること自体が大間違いであるような気がしないでもありません。
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滑落に注意が必要なのは当然として、このカモシカ君やアカゲラ君は一体どこから来たのだろうか。
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道中の名所にはしっかりと案内板が立っており、若干危ない場所はあるにしても、遊歩道としての体裁は整っています。
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やはり紅葉シーズンに歩くべきであるような気がします。少なくともこんな薄暗くなりつつある時間帯に、駆け足で歩いてしまうのは勿体の無い場所です。
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16時50分 吐竜の滝の入り口まで歩いて来ました。ちなみに私はわざわざ上流側から遊歩道を歩いて来ましたが、下流側には駐車場があってもっと簡単にここまで入ってこれます。
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だったら始めからそうしろよとは至極もっともなご指摘ですが、川俣川渓谷遊歩道を歩いてみたかったのと、何よりも清泉寮のソフトクリームを食べたかったのでこのような行程となりました。

遊歩道は貸し切りの状態でしたが、滝の前にはさすがに先客がいました。川の対岸に見えているのが吐竜の滝です。
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一つの大きな滝でははなく、岩の隙間から溢れ出すように流れる複数の小さな滝の集合体です。染み出て来ている水は、おそらく八ヶ岳からの伏流水でしょう。
吐竜の滝
この吐竜の滝と言う名称は、酒に酔った竜がこらえきれずにマーライオンしてしまった様子を思い浮かべてつけられたのでしょうか。・・・・だって、それ以外に解釈の余地が無い名前ではないですか。

そもそもマーライオンは動詞ではないと言うツッコミは、甘んじて受け入れます。

8.通行止めを乗り越えて甲斐大泉駅まで戻る

だいぶ遠回りにはなりましたが、満足度の高い寄り道でした。見るべきものは見たので、いい加減撤収に移りましょう。
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駐車場方向へ進むと、途中に清里駅へ直接戻ることのできる山道があります。清里駅から歩いて吐竜の滝を見に来ている場合は、ここから駅へと戻る周回コースを取るのが一般的であろうかと思います。
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私は隣の甲斐大泉駅まで歩くつもりでいるので、ここは素通りして道なりに進みます。

頭上高くを小海線の橋脚が横切っています。こんな山やら谷やらが複雑に入り組んでいる場所に、ほんと良くもまあ鉄道を通しましたな。
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車道と合流したところで、吐竜の滝駐車場がありました。滝を見物しに来ただけの人は、ここまで車で入ってこれます。
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現在地は清里駅と甲斐大泉駅のほぼ中間地点にあります。距離的には清里駅の方が近いですが、登り返しとなるため徒歩での所要時間に大きな違いはありません。どちらでもお好きな方へどうぞ。
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・・・と言いたいところだったのですが一つ問題がありまして、甲斐大泉駅方面の道は法面の崩壊により、令和5年の7月から今日に至るまでずっと通行止めの状態が続いています。

ただ地図を見てみると。通行止め区間と並行するように旧道らしき道が存在します。私がいまだに使用している2015年度版の山と高原地図をみると、もともと旧道経由ルートの方が案内されています。
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そういう事であれば旧道を通れば問題なかろう。そう考え甲斐大泉駅方面へと歩き始めます。しかしそれは大きな間違えであったことがこの後すぐに発覚します。
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旧道との分岐地点まで歩いてきました。通行止めの案内が出ていますが、これは想定していたことで何ら問題はありません。旧道の方へ入っていきます。
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ところがこの旧道の方も、橋が壊れて大穴が開いており通り抜けが出来ない状態になっていました。道の途中に別荘らしき建物ががあり、そこへの出入りのために通行止めになっていなかっただけの事であるようです。なんてこったい。
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グーグルのストリートビューで見ると、まだ普通に通れた頃の画像が出て来るので、この橋が崩壊したのは比較的最近の出来事であるようです。

具体的にどうやって突破したのか詳細はあえて書きませんが、結論から言ってしまうと徒歩であれば一応通り抜けは可能です。可能というか、私は実際に通り抜けました。
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可能か不可能かの話をするのであれば可能ですが、決して安全とは言えないので推奨はしません。そんな訳なので、吐竜の滝への訪問を考えている人は、甲斐大泉駅からではなく清里駅から往復するようにしてください。

一波乱はありましたが、大泉の集落まで歩ていきました。駅まではまだひと道ありますが、ここまで来ればもう通行止めに阻まれることはなさそうです。
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駅が見えて来ました。ここでちょっとだけ寄り道をして行きます。
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18時10分 パノラマの湯に到着しました。ここに立ち寄りたかったがために、わざわざ甲斐大泉駅まで歩いて来た次第でございます。
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次の小淵沢行きの列車は18時36分発なので、時間的に烏の行水しか出来そうにありませんが、それでも断固としてひと風呂浴びていきます。

なお駅まではだいたい5分くらいかかるので、くれぐれも時間には余裕をもって行動してください。余裕がなかった私は、いつものように駅まで走りました。まったく、毎度毎度どうしてこうなってしまうのか。
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何とかギリギリ間に合った18時36分の電車・・・ではなく気動車に乗り込み、帰宅の途に付きました。
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実に30数年ぶりとなる飯盛山への訪問は、色々な蛇足を付け加えつつも無事に終わりました。東京から遠路はるばる訪れるにしては少々物足りないボリューム感だったので、色入りと付け加えてみた訳なのですが、いかんせん少々蛇足が過ぎた感はあります。
年間を通じて訪問者の多い飯盛山ですが、ベストな訪問時期と言えるのはやはりニッコウキスゲが咲く7月の上旬から中旬頃にかけてであろうかと思います。これと言った危険個所は無いので、登山初心者や小さな子様連れにも適していると思います。清里の観光と合わせて訪れてみては如何でしょうか。

<コースタイム>
清里(8:40)-千ヶ滝(9:05)-飯盛山(10:50~11:20)-平沢山(12:00~12:30)-平沢峠(12:55~13:10)-宮司の滝(14:15)-清里駅(14:50)-清泉寮(15:30)-吐竜の滝(16:50~17:00)-甲斐大泉駅(18:10)

飯盛山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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