京都の伏見稲荷(ふしみいなり)と清水寺(きよみずでら)を観光してきました。
どちらも言わずと知れた京都の代表的な観光地です。清水の舞台で有名な清水寺では、紅葉シーズンにあわせて夜の特別参拝が実施されて、紅葉のライトアップが行われます。今回はそのライトアップを目当てに、夜になってから訪問しました。
紅葉シーズンもたけなわな三連休初日。夜の京都は、聞きしに勝る恐るべき大混雑の坩堝でした。
2020年11月21日に旅す。
<前回のあらすじ>
そうだ、京都に行こう
そう言って遠路はるばる京都へと繰り出した私は、何故か京都市内の観光名所をことごとく素通りし、脇目も振れずに真っすぐと山へと向かったのでありました。わざわざ京都にまで赴いておきながら、これでは普段と何も変わらないのでは・・・
しかしご心配には及びません。比叡山に登ったのは言ってみればノルマ達成のためです。何のノルマだ?その後にちゃあんと観光もしてきました。という事で今回は、その京都観光の記録です。
訪れたのは何れもベタな京都の観光名所です。まず一つ目が伏見稲荷。大量の鳥居がズラリと立ち並ぶ、独特の世界感を持つ神社です。
伏見稲荷は日中よりも夜に訪れた方が、独特の雰囲気で良い感じであると言う評判を耳にしていたので、暗くなる頃合いを見はからって夕方に訪問しました。
到着早々に比叡山に登って来たのは、時間調整と言う意味合いを兼ねたものでした。
二つ目の訪問地は清水寺です。言わずとも知れた、京都の象徴的な存在です。清水寺では、紅葉シーズにあわせて夜の特別拝観と銘打ったライトアップが行われているので、それに合わせて訪問してきました。
三連休の洗礼とでも言うべき人混みの波に揉まれながら、京都の名所を巡ってきた記録です。
1.大勢の観光客で溢れかえる、三連休初日の京都市内
15時23分 京阪線 伏見稲荷駅
比叡山から下山してきた私は、そのまま真っすぐ次の目的へとやってきました。ああちなみに、山登りの格好をしたままです。周囲の観光客からはかなり浮いていましたが、致し方ありません。
コインロッカーがあれば、せめてザックだけでも放り込みたかったのですけれど、駅の周囲には見当りませんでした。
駅構内で、早速いなり様のお出迎えです。なお京都市内を走る鉄道は、すべて交通系ICカードに対応しています。運航本数も多く、スムーズに移動できます。公共交通機関利用者には優しい観光地だと言えます。
参道に沿って伏見稲荷へと向かいます。特に迷う要素は無い一本道です。・・・いきなり反対方向へ進みでもしない限りは。
さて、前方に見えているのが目指す伏見稲荷です。この時点で既に察しがつくかもしれませんが、伏見稲荷と言うのは基本的に山です。標高は233メートルあります。
頂上までグルっと巡り歩くと、大体3時間ほどの時間を要します。
「山登りのノルマ(?)は達成したから後は観光する」となんとか言っておきながら、結局はまた山に登ろうとしていると言う。でもそれで良いのです。ここはそういうブログなのですから。
これから向かう人。参拝を終えて戻って来る人。そのどちらも人波が絶えることは無く、道は大混雑していました。恐るべし、三連休の京都。
沿道には傘や扇子を商っている商店が多く見られました。京都ならではのチョイスですね。
これが楼門(ろうもん)と呼ばれる、伏見稲荷の正面口です。夜間であっても閉門はされず、24時間開放されています。
参拝者を睨めつけるように見下ろすお稲荷様。その口にくわえている物は、いったい何でしょう?
案内図が掲げられていましたが、これは途中までしか描かれていない不完全なものです。恐らく大半の訪問者は、頂上までは行かずに、有名な千本鳥居だけを見たら引き返すのでしょう。
2.前を行く人の後頭部しか見えない、日中の伏見稲荷
15時35分 さて、それでは早速ですが稲荷山の頂上を目指すことにしましょう。
この時間はまだまだ周囲が明るいですが、頂上に辿り着いて下り始めるころには、陽も落ちて暗くなる想定です。
伏見稲荷は、夜に歩いたほうが断然よい雰囲気であると言う評判を耳にしていたため、夜へと向かタイミングに合わせてやって来た次第です。
有名な鳥居の中の回廊ですが、しかし凄い数の人です。前を行く人の後頭部しか見えません。日中ではなく夜の訪問を進める理由の一つが、この大混雑であることは言うまでもありません。
前方にルートが左入の二手に分かれているポイントが見えて来ました。かの有名な千本鳥居の入り口です。伏見稲荷の中でも、特に密集して鳥居が並べられている一帯となります。
隙間なくビッチリと並べられて、まるでトンネルの中にいるかのような空間が広がっていました。ここはそれぞれ左右で一方通行となっており、すれ違いは発生しません。
千本鳥居を抜けたところが奥社奉拝所と呼ばれている奥院です。
ここには「おもかる石」とよばれる石が置かれています。持ち上げた時に自分の予想よりも軽ければ願いが叶い、重ければかなわないと言う伝えがあるそうです。
・・・行列が出来ていたので、持ち上げてはみませんでしたがね。
代り映えのしない光景が続きます。始めの内こそ物珍しさにワクワクしますが、意外と単調なうえに結構長いので、途中からは確実に飽きて来ます。
緩やかに登ってを繰り返していた道は、やがて登り一辺倒に転じます。いよいよ稲荷山へと登りはじめたようです。
当然ながら、山登りの格好をしている人間は私一人だけです。伏見稲荷へ登るためだけにこの格好をしてきたのだと思われると、ちょっと恥ずかしですかね、これは。
建物の裏手に池があります。水門らしきものがあるので、人口のため池(?)なんですかね。
頂上までは40分とのこと。まだまだ結構な距離です。やはり、これは完全に山登りでしょう。
さあどんどん参りましょう。結構な勾配の階段が延々と続きます。少なくとも、高尾山にケーブルカー山頂駅から登るよりは遥かに登り応えがあります。
16時 三ツ辻と呼ばれる地点に到着しました。沿道にお茶屋さんがあり、休憩がてらに一服出来ます。
ここで飴湯なる、強烈な生姜臭のする甘い飲み物をいただきました。初めて口にしましたが、関西では割と定番の飲み物なのだそうです。
ここまで登ってくると、流石に飽きて途中で引き返す人が増えて来るらしく、徐々に人の数が少なくなってきました。
なお、この先の四ツ辻と言う地点まで行くと展望が開けるので、そこまでは我慢して登ることを強く推奨します。
すっかりと陽が傾き、辺りがオレンジ色に染まり始めました。日没時間まではもう間もなくです。
これまた大勢の人で賑わう、広場の様な場所へと登って来ました。
16時10分 四ツ辻に到着しました。ここはまだ山頂ではありませんが、伏見稲荷でもっとも眺めの良い場所となります。
この通り、京都市内を一望できます。市街地を挟んだ向かいに見えているのが嵐山でしょうかね。この場所から夜景を眺めることを、本日の伏見稲荷訪問における最終ミッションと位置付けます。
3.静かなる伏見稲荷最高地点、一ノ峰
日没まではまだ少しの間があります。その間にまずはサッとピークハントして来ることにしましょう。ここまで登ってくると、流石に周囲の人影は疎らになりました。
山頂は一ノ峰と呼ばれており、そこへ至る道中には三ノ峰、間ノ峰および二ノ峰というお社があります。どれも同じような見た目をしており、軽くデジャブを覚えます。
鳥居の隙間から横向きに差し込む陽射しが、とても印象的です。逆に言うと、太陽が真上にある日中の時間帯に訪れた場合、割と単調な光景になってしまうものと思われます。
16時20分 稲荷山最高地点の一ノ峰に登頂しました。楼門からの所要時間は55分でした。空いている時なら、もう少し早く登れるかな。
この記事を何のカテゴリーに分類すべきか少し悩みましたが、山頂が存在すると言う事実にもとづき、登山カテゴリーに組み入れました。
山頂には末広大神を祭った神社があります。・・・末広大神とは何者なのかも、よく知らずに書いておりますがね。
末広と言うのは、確か扇子の事だったと記憶しておりますが、扇をつかさどる神様?・・・なのでしょうか。
カラスがこの燃えている蝋燭を持ち去って山火事が発生したとか、そんな張り紙を登ってくる最中に目にしたような気がします。カラスは火を恐れないのか。
残念ながら山頂に展望は全くありません。途中の四ツ辻からの方が周囲が良く見えます。
神社の裏手にミニ鳥居が山積みになっていました。書かれている文字を読むに、どうやらこれらはすべて奉納品であるようです。
ピークハンターとしてのお勤めは無事に果たされました。下山を開始しましょう。元きた道を引き返しても良いですが、四ツ辻へ周回できるようになっているので先へ進みます。
照明が灯り始めました。確かにこれは、なかなか雰囲気がありますね。夜の伏見稲荷は、霊感が強い人には色々なものが見えたりするらしいですよ。
かく言う私は、スピリチュアルな方面への感受性がとことん鈍い人間なので、特に何も見えないし感じもしません。
途中に可愛らしい小滝がありました。名前があったよな気もしますが、覚えておりません。
沿道の茶屋も店じまいを始めて、完全に一日の終わりムードが漂います。
この竹を口に突っ込まれた稲荷さまは、心無いイタズラでもされたのか思ったけれど、竹の先端から水が出ているところ見るに、これがオフィシャルな状態なのでしょうか。どういう意匠なんだろう、これは。
16時50分 四ツ辻に戻って来ました。この時間になっても、まだまだ結構な数の人が居ました。
4.独特の雰囲気満点の、夜の伏見稲荷
日没直後の、ちょうど空が良い感じに焼けているタイミングで戻ってこれました。このまま京都の夜景を眺めて行くべく、少し待機します。
ちなみに本日は、伏見稲荷の次に清水寺の夜の特別参拝へと向かう予定でおります。ここで夜景を眺めて行くのは、次の予定のための時間調整も兼ねています。
清水寺の夜の特別参拝は17時30分から開門しますが、開門直後は恐ろしく混雑し、1時間待ちになることもざらにあるのだとか。そのため、混雑のピークの時間帯は避けて、少し遅くに向かう予定でいます。
野良猫が足元をウロウロとしていました。観光客に餌付けされている猫なのかな。
待つことおよそ30分。周囲は完全に闇に包まれ、町が明るく輝き始めました。京都市街全体の夜景を見たければ、ここからよりは叡山ケーブル山頂駅から眺める方が、恐らくは良い感じです。
いいかげん良いお時間になって来たので、ボチボチ山を下りましょう。
伏見稲荷の参道にはすべて照明があるため、夜間であってもライトなしで歩けます。しかしこれはたしかに、何かが出てきそうな雰囲気ですね。
鳥居の隙間から差し込んでくる明かりが印象的です。照明があるとは言っても、足元は結構暗いので転倒事故にはくれぐれも注意して下さい。
昼間ほどではないにしろ、夜でも結構登ってくる人の姿はあります。肝試し気分でやってる人が、それだけいるという事ですね。
ここにしかない、唯一無二な世界観が確かにありました。外国人観光客に絶大なる人気を誇っていると言うのにも納得です。
18時5分 楼門まで戻ってきました。短かい時間でしたが、しかし濃くて充実した観光でありました。
登ってる最中には少々飽き飽きする場面も確かにありましたが、伏見稲荷はオンリーワンの強烈なる個性を放つ存在であると思います。
駅まで歩いて戻ります。沿道の店は既に閉じており、流石に人影も疎らでした。
18時15分 伏見稲荷駅へ戻って来ました。ここから次の目的地である、清水寺へと向かいます。
5.多くの人で賑わう、世界遺産清水寺の夜の特別参拝
18時47分 清水寺最寄りの清水五条駅へとやって来ました。ちなみにこの駅にもコインロッカーは見当りませんでした。そのため、相変わらず登山の格好をしたままです。
清水寺は駅からは結構離れており、徒歩でおよそ20分程かかります。入り口まで行ってくれる路線バスは存在しますが、夜の特別参拝期間中は渋滞に巻き込まれることが必至なので、歩ていった方が早いと思います。
実は清水寺が世界遺産であると言う事実を、現地で初めて知りました。だからいったいなんだと言う話ではありますが。
なお、清水寺があるのは山の上と言うほどではありませんが、まあ小高い丘の上です。つまり、また登ります。
大した登りではないのですが、しかし朝一の比叡山登山からこのかたずっと歩き通しで、流石に少々歩き疲れてきました。
どうも私は根が貧乏性なせいか、せっかく京都まで来ているのだから、行動可能な時間帯を隅々まで使い果たさないと勿体ないとでも言わんばかりに、意地汚く予定を詰め込み過ぎました。
道も歩道も完全に渋滞しています。恐ろしいまでの混雑具合です。
前方にサーチライトが空を照らしているのが見えました。ラブホの空室あり案内か
19時10分 清水寺の正門までやってきました。夜の特別参拝の開門時間は17時30分から21時30分で、入場は21時までとなります。
開門直後より多少は捌けてはいるのでしょうけれど、それでも待ち行列が発生して入場規制が敷かれていました。並んで入場券を購入します。夜間の拝観料は400円で、昼間の部とは別料金になります。
入場券を買うまでは大行列でしたが、その後は比較的スムーズに中へ入れました。
閉館間際の時間帯になると、多少は空いているそうです。人混みが苦手な人は、閉門間際を狙ってくるのが良いかもしれません。
6.世にも名高き清水の舞台を観光する
紅葉ライトアップという事でしたが、この通り建物もしっかりライトアップされています。
先ほども述べた通り、清水寺は丘の上にあります。振り返ると眼下に京都の街並みが見えました。
このやけに悪目立ちしている建物は、その名も京都タワーです。高さは131メートルあり、京都市内では最も高い建造物です。
紅葉はまさに今が見頃のど真ん中です。色鮮やかに染まっています。
肝心の清水の舞台と言うのは一体どこにあるのだろうと思っていたら、なんのことは無い、いつの間にかその舞台に立っていました。
谷向かいに、この清水の舞台の鑑賞ポイントがあります。すでに多くの人がひしめいて、こちらに側にカメラを向けている様子が伺えます。これはもはや、密がどうのと言うどころの話ではありませんな。
足元にも道があるのが見えます。順路はこの後ぐるっと回って、最終的に舞台の下に行き着くようです。
遠くからも見えていたサーチライトが、夜空を照らしていました。これは単純に「夜の特別参拝をやっているよ」と言うサインのようですね。
もう人混みにウンザリしたと言う人は、この階段から脱出することも出来ます。しかし私は、清水の舞台を写真に収めるために、あの人混みの渦中へと飛び込んで行きます。
清水の舞台の鑑賞ポイントは、最早行列なのかどうかも分からないような、押しくらまんじゅうのカオスな状態になっていました。
登山用のザックを背負ったままの私は、周囲の人からするとさぞや邪魔であったことでしょう。なんと言うかその、ごめんなさい。。
10分以上人混みに揉まれつづけて、ようやく最前列まで進むことが出来ました。パンフレットなどで良く目にする、清水寺の大定番の姿です。
舞台の上から飛べるバンジージャンプとかやったら、さぞや繁盛するのではないでしょうかね。清水の舞台から飛んでみたいと言う人は、意外とたくさんいるのではなかろうか。
眼下の紅葉も綺麗ですねえ。最高のシーズンに訪問することが出来たようで。
順路をもう少し先へ進んだ所で、これまた定番の構図です。こちらは何故か、さほど混雑はしていませんでした。
少し離れたところにも、ライトアップされた寺院があるのが見えます。あそこも清水寺の一部なのかな。
ぐるりと回り込んで、舞台を下から見上げたところです。清水寺と言うのは、もともとこうして崖地の段差を利用して造られているのが良くわかります。
寺院の庭園には付き物の、池も完備されています。ライトに照らされた紅葉が、見事にリフレクションしていました。
サーチライトがもっと綺麗に水面に映ってくれるかと期待しましたが、こちらは正直イマイチです。
帰りもバスは待たずに、駅までトボトボと歩いて戻ります。今日は一日、本当に良く歩きました。
7.今宵の宿泊地を目指して大阪へ移動する
宿の宿泊料金と言うのは基本的に時価です。その価格は、需要によって大きく変動します。
突然の前口上となりましたが、この三連休の中における京都市内の宿泊料の相場は、私が一泊の値段として妥当であると考えている水準の、だいたい2~3倍でありました。
しかし、何も京都旅行に来ているからと言って、必ずしも京都市内に泊まらなくてはならない道理はありません。料金が高いと感じたならば、もっと需要が少なそうな場所へと移動すれば良いのです。
普段東京に住んでいる人間にとって、京都と大阪の距離感と言うのはイマイチ実感としてよくわから無いのではないでしょうか。距離で言うとおおよそ50kmほど離れています。だいたい新宿から高尾くらいの距離感です。
何が言いたいのかと言うと、「京都で遊んで大阪に泊まる」と言うのは、十分に現実的なプランであるという事です。
という事で、京都駅からJR京都線に乗り込みます。目指すは岸辺駅です。
30分と少々の乗車時間で、岸辺駅に到着しました。大阪の中心からは少し外れた場所にある、郊外の駅です。
特段に岸辺に何か用事があると言う訳ではありません。大阪近郊の安い宿を探していて、たまたまこの岸辺駅の目の前にある宿に白羽の矢が立ったと言うだけの事です。
と言うことで、岸辺駅の目の前にあるこちらの宿が今宵の宿泊地です。一日中歩き回った疲れもあってか、横になるなりあっという間に眠りにつきました。
ギチギチに予定を詰め込むも詰め込んだりの京都観光は、こうして駆け足で終わりました。本当は祇園や嵐山の観光も組み込みたいところではありましたが、登山を優先した結果このように慌ただしくなってしまいました。まあ、その気になれば新幹線で日帰りだってできる訳ですから、気が向いたらまた観光に繰り出そうかと思います。
ご覧いただいた通り、伏見稲荷は頂上まで行くのであれば実質山登りの様なものです。清水寺もまた小高い丘の上にあり、京都観光と言うのは、どこへ行くにしても大抵はアップダウンがあります。観光だけが目的であっても、靴はしっかりとしたものを履いていった方が良いでしょう。
周囲をぐるりと山に囲まれた古都へ、登山がてらに観光旅行に繰り出してみては如何でしょうか。
<コースタイム>
伏見稲荷駅(15:25)-楼門(15:35)-新池(15:50)-三ツ辻(16:00)-四ツ辻(16:10)-稲荷山(16:20)-四ツ辻(16:50~17:30)-楼門(18:05)-伏見稲荷駅(18:15)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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