筑波山 関東平野を見晴らす頂から望む圧巻の夜景

筑波山の山頂から見た夜景
茨城県つくば市にある筑波山(つくばさん)に登りました。
標高1,000メートルに満たない低山ですが、関東平野の只中に立っていることから周囲の眺望に優れており、夜景の名所としても名高い存在です。紅葉シーズン中にはケーブルカーの運転時間が延長されるため、多くの観光客が夜景見物に訪れます。
夜景を目当てに遅めの時間に訪れた山頂で待っていたのは、山頂への入場待ちをする観光客の行列でした。

2022年11月19日に旅す。

筑波山は関東地方東部に立つ山です。遠目には独立峰のようにも見えますが、筑波山塊と呼ばれる山群に属しています。周囲に背の高い山がない平野の只中にあるため、遠目にも大変目を引く存在です。
大持山から見た筑波山
平地に面している山であることから、山頂は格好の夜景見物スポットとなっています。中腹にあるつつじヶ丘までは車で登ることも出来るため、ナイトハイクの難易度は低めであると言えます。

マイカーではなく公共交通機関の利用を前提とした場合、つくば駅行きの筑波山シャトルバス最終便は17時に現地を発つため、夜景見物をした後からだと時間的に間に合いません。

ですが筑波山神社からさらに下った地点にある筑波山口までおりれば、バスは21時台まであります。始めから帰路はこのバスを使う前提の計画であれば、公共交通機関利用による夜景見物登山は時間的に十分可能です。
筑波山口バス停

始めから下山はナイトハイクする前提で現地へやって来た私を待ち受けていたのは、思ってもいなかった山頂の大混雑です。
夜の御幸ヶ原
筑波山では紅葉シーズン中に紅葉ライトアップが行われており、それに合わせてロープウェイとケーブルカーの運転時間が20時まで延長されます。

それを事前に把握していなかった私は、予想外の人混みに面くらい、そして思い知りました。筑波山は山であって山にあらず。ここは観光地なのだと。

予期せず真夜中の山中で人に揉まれ行列に並ぶと言う珍しい体験をしましたが、お目当ての夜景の方はしっかりと見物できました。
筑波山の山頂から見た夜景
山をナメるなおじさんにとってはまるで悪夢のような、紅葉シーズンの筑波山訪問記をお送りします。

コース
筑波山のコースマップ
筑波山神社より、白雲橋コースを登り筑波山最高地点の女体山に登頂します。帰路は御幸ヶ原コースを下り、筑波山神社から筑波山口バス停まで歩いて下ります。

1.筑波山登山 アプローチ編 早出の常識は通用しない、紅葉シーズンの筑波山

11時55分 秋葉原駅
登山と言えば通常は早出するのが基本です。ですが本日は夜景見物が目当てであると言う事で、正午近くになってからの遅い始動です。
つくばエクスプレス秋葉原駅
総武線で自身事故が発生し運転が見合わせとなっていたため、急遽神田駅を経由して山手線でやって来ました。このあと12時発の急行電車に乗るつもりでいるので、実はもう時間がギリギリです。

本当は悠長に入口の写真などを撮っている場合ではないのです。

一度でも利用したことがある方なら良くご存知かと思いますが、つくばエクスプレスの秋葉原駅は地中深くにあります。JRからの乗り換え時間は、ある程度の余裕を見ておいた方が無難です。
つくばエクスプレスの秋葉原駅
筑波山あるきっぷという、電車とバスがセットになったお得な切符を駅の窓口で買えるのですが、もう買っている時間はありません。ICカードのタッチアンドゴーでホームへと急行します。

転げ落ちるように階段を駆け下り、何とか目的の電車に滑り込むことが出来ました。あぶないあぶない。ここで躓くと、その後の乗り継ぎ計画が全て破綻してしまうところでした。
つくばエクスプレス 秋葉原駅のホーム

12時46分 電車に乗るなり完全爆睡している間に、電車はつつがなくつくば駅へと到着しました。寝ぼけまなこでヨロヨロとホームに降り立ちます。
つくば駅のホーム
この日は前日が夜勤で、帰宅したのは朝になってからでした。おかげで睡眠時間3時間少々のビハインド状態です。

「つーか、そんな状態で山登りに出かけるか普通?」とは至極ごもっともな指摘ですが、これで良いのです。ここはもともと、そういうブログなのですから。

つくば駅のバスターミナルから、13時発の筑波山行きのシャトルバスに乗車します。朝一の便ならいざ知らず、正午過ぎに登山口へ向かうバスなんてさぞや空いていてガラガラだろうと思いきや、車内はすでに満員状態でした。
つくば駅のバスターミナル
登山は早出が基本であるという常識は、どうやらここでは一切通用しないようです。筑波山は山であって山にあらず。ここは観光地なのだ。

筑波山には過去に何度か訪れていますが、毎回神社から登っているため、バスの終点であるつつじヶ丘までは一度も行ったことがありませんでした。

今回はせっかくの機会なので、つつじヶ丘スタートにしてみようと漠然とした計画を決めました。つつじヶ丘までの乗車時間は、おおよそ50分程です。

バスが出発してから1時間後の14時。何故私は終点のつつじヶ丘ではなく、途中の筑波山神社前でバスから降り立ちました。バスが渋滞にはまって動かなくなってしまったからです。
筑波山入口バス停
どうやら私は、紅葉シーズンにおける筑波山の混雑を少々甘く見過ぎていたようです。

登山者ではない観光客が活発に動き始めるのは、普通は正午を過ぎてからなんですね。私自身は重篤な登山脳をしているため、その辺の感覚が著しく欠落していました。

2.筑波山神社から山頂を目指す

と言う事で、結局は本日もいつも通り筑波山神社からのスタートです。周囲を行く人の割合は圧倒的にラフな格好をした観光客の方が多く、登山者の姿は疎らです。でかザックに三脚をくくりつけている私は、ここでは完全に浮いていました。
筑波山神社の大鳥居

筑波山神社へと続く車道は、人と車で溢れていました。恐るべし、紅葉シーズンの筑波山。
221119筑波山-011

これから目指す女体山の山頂は、この通り始めから正面に見えています。下から見ただけでなんとなく察しが付くかもしれませんが、なかなか急峻な山です。
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つつじヶ丘からゆる登山するつもりだったのに、結局はしっかりと下から登るんですね。まあ、別にそれは自体は良いのですけれど。

神社周辺の紅葉はまだ色付き始めと言ったところで、見ごろを迎えるのはもう少し先であるようです。
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筑波山の麓に立つ筑波山神社です。正確な創建年次が良くわからないと言うくらいに、古くからこの地にあり続けた歴史ある神社です。本日の目的は参拝ではないので、ここは素通りします。
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神社から筑波山へ登るルートは、御幸ヶ原ルートと白雲橋ルートの二つがあります。白雲橋ルートの方が道中に見所が多いのでおすすめです。ということで、神社の右端の方から、白雲橋登山口へと向かいます。
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ああちなみに、ケーブルカーもあります。私は山登りに来ているのだから、当然使いませんけれどね。

14時15分 白雲橋登山口へとやって来ました。流石に時間が時間だけに、今から登り始めようと言う酔狂人はあまりいないらしく、周囲の人影は疎らです。
筑波山 白雲橋登山口
今さりげなく「あまりいない」と言いましたが、ゼロではなくこの時間から登り始めようと言う登山者がチラホラといました。やはりこの山には、いつもの山の常識は通用しないらしい。

3.急登が続く白雲橋コースを登る

登り始めはまるで奥多摩尾のような圧倒的杉林です。そうそう、たしか以前花粉シーズン中に訪れて、鼻水と涙の洪水に襲われたっけか。
221119筑波山-017

登り始めて程なく分岐地点が現れました。直進するのが山頂への最短ルートで、右へ行くとつつじヶ丘を経由する迎場ルートに入ります。
筑波山 酒迎場分岐
当初の計画通りにつつじヶ丘を経由しようかと少し考えこみましたが、結局は直進を選択しました。この様子だと、どのみち混雑していそうなものですから。

人気の山の主要な登山ルートと言うだけあって、道は大変よく整備されています。ちょうど降りてくる人が多い時間帯ですが、道幅が広いため何ら問題なくすれ違いが出来ます。
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登につれて、徐々に岩場が目立ち始めました。スニーカー履きの観光客が紛れ込んでくることが多い山かと思いますが、割としっかり山道なので登山靴を履いてきた方が無難です。
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ちょうど真上の頭上をロープウェイが通り抜けて行きました。この筑波山ロープウェイは、つつじヶ丘と山頂とを結んでいます。
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山の上の方はかなりの急勾配です。こんな大真面目に登らされたっけかとぼやきつつ、えっちらおっちら登ります。
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15時10分 弁慶茶屋跡まで登って来ました。かつてはここに茶屋が立っていたらしいのですが、今では土台らしきものしか残っていません。
筑波山 弁慶茶屋跡
休憩中の登山者が大勢いましたが、これだけ人が通るなら今でも十分に茶屋の経営が成り立つのではなかろうか。

先ほどは頭上高くを通っていたロープウェイが、いつの間にか視線と同じ高さにいました。
筑波山ロープウェイ

つつじヶ丘から登って来た場合、ここで白雲橋ルートと合流します。当初の計画とは違う経路をたどりましたが、これで一応は予定通りとなりました。
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先へ進みましょう。茶屋の後から少し進んだところに、弁慶七戻りと呼ばれる天然の岩のトンネルがあります。弁慶があまりの恐ろしさに七回も引き返そうとしたと言う伝承があるのだとか。
筑波山 弁慶七戻り
その割にあまり怖そうな要素を感じませんが、反対側に回り込んでみると良くわかります。

この通り、今にも落っこちそうな乗っかり方をしています。まあ数百年間このままの状態だと言うのだから、見た目とは違って以外に安定しているのでしょうけれど。
筑波山 弁慶七戻り
ところで、義経一行の平泉への逃避行は、確か北陸経由のルートだったように記憶しているのですが。弁慶は一体いつ常陸国を訪れたのでしょうか。

この先は尾根沿いのルートとなります。割としっかり岩場なので、真面目に手も使って登って行きましょう。
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ルート上にいくつかの奇岩が点在しており、名前とその由来の案内板が設置されています。過去に一度詳細にレポートしているので、今回は説明を割愛します。
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ようやく山頂が見えて来ました。このあともう一回エグイ急登が残っています。気合を入れて行きましょう。
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この先は登山道に発生するポイントです。本日は流石に時間が時間だけに、道が塞がるほどの混雑はしていません。
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この辺りは北側になるため、まだ16時になる前の時点で既に陽が陰っていました。お日様が無くなるなり、シンシンと冷えて来ましたよ。
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ここまで登ってきて、ようやく背後の展望が開けました。日中の気温が比較的高めであったためか、何となく空気がモヤーッと霞んでいます。これは夜景観賞にも影響しそうなよくない兆候です。
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薄っすらと霞ヶ浦が見えています。琵琶湖に次いで日本で2番目に大きい湖と言うだけあってか、海かと思うようなサイズ感です。
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遥か大昔の子供の頃に一度訪れた事があるのですが、当時の霞ヶ浦は湖面全体がアオコに覆われていて、近づくだけで鼻が曲がりそうになるような悪臭が漂っていました。

おかげでトラウマ級の悪印象しか残っていない場所なのですが、その後少しは水質改善したのでしょうか。

北側に目をやると、見事な影筑波山が映っていました。
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4.大混雑の筑波山山頂

15時45分 女体山の山頂直下まで登って来ました。着くなり目の前に大行列が出来上がっていました。これはどうやら山頂に立ち入るのを待っている行列であるようです。
筑波山 女体山の待ち行列

これは過去の訪問時の写真ですが、女体山の山頂は狭い岩場になっています。そのため大勢が立ち入ることが出来ず、混雑時にはこうして待ち行列が形成されます。
180311筑波山_056

こんなのとてもではないけれど待っていられないので、一旦はスルーして御幸ヶ原で時間を潰しましょう。
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そう、この時の私はまだロープウェイとケーブルカーの運転時間が延長されていると言う事実を把握しておらず、この行列は営業終了時間の17時が近づけば捌けて無くなるものだろうと思い込んでいたのです。

御幸ヶ原へとと下る道中にあるガマ岩です。口の中に石を投げ込むと良いことがあるとされており、こうして通行人に執拗に投石され続けています。ガマさんかわいそう・・・
筑波山のガマ岩

茶屋もあったりして完全に観光地の装いですが、ただし照明はありません。日没後は真っ暗になるのでご注意ください。
筑波山 セキレイ茶屋

日が傾むいて、日没時間が使づきつつありまました。しかし山頂を行き交う観光客の数は全く減る気配がなく、次々と人がやって来ます。もうあと1時間とせずに真っ暗になるのに、大丈夫なのだろうか。
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山頂の紅葉はすでに終わりかけの状態でしたが、こうしてまだ僅かに残っていました。現在の紅葉前線は山の中腹あたりなのかな。。
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16時5分 ケーブルカー山頂駅のある御幸ヶ原へとやって来ました。筑波山は女体山と男体山と言う二つのピークを持った双耳峰で、御幸ヶ原はその中間に位置しています。
筑波山 御幸ヶ原

ケーブルカー待ちの大行列がトグロを巻いているような状態です。下りは現在1時間待ちですとの案内放送がされていました。恐るべし、紅葉シーズンの筑波山です。
筑波山 御幸ヶ原

背後に先ほどスルーしてきた女体山の山頂が見えています。取りえず、暗くなって周囲から人が少なくなるまでここで時間を潰すことにしましょう。
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となればまずは腹ごしらえです。お団子を買おうと思ったら、ここでも行列が出来上がっていました。何をするにもイチイチ行列とは恐れ入ります。筑波山は山であって山にあらず。ここは観光地なのだ。
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10分くらい並んでやっと買えたお団子を、1分とたたずに平らげました。うまし。
筑波山だんご

眼下に北側の桜川市が良く見えます。反対側の都心方面は、山頂まで行くか有料のコマ展望台に登らないと見えません。
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16時30分を過ぎて茶屋が店じまいを始める段になっても、一向に周囲の観光客が減る気配がありません。何かおかしいぞと確認して、ここでようやくケーブルカーの営業時間が延長されている事実を知りました。
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ええー、それはつまりこの混在はこの後も解消しないと言う事ですかい。

5.女体山の山頂から夜景を鑑賞する

日没時間が近づいて来たので、そろそろ山頂へ移動しましょう。すでに日は沈み、間もなく周囲は真っ暗になろうと言うタイミングであるにもかかわらず、周囲はラフな格好している観光客で溢れていました。
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どう見てもライトを持ってはいなさそうな観光客が、次々と止めどもなく前方からやってくると言う、地獄のような光景が繰り広げられていました。
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しかしこれは、山をナメるなおじさんが見たら、怒りのあまりに憤死しかねないような光景ですね。繰り返しになりますけれど、ここは明かりが一切ない山の中で、間もなく周囲は真っ暗になりますよ?

何故か先ほどから脳内で「ワルキューレの騎行」がループ再生され続けております。あのサーフボードはビンテージなんだ!

山頂直下には、先ほど通りすぎた時と変わらずに行列が出来たままでした。仕方がないので並びましょう。しかしこの様子だと、三脚を立てて夜景の撮影を行うの行うのは難しいかもしれませんね。
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私はいわゆる「山をナメるなおじさん」には該当しません。見ず知らずの赤の他人に山で説教をしたことなど一度もないし、したいと思ったこともありません。
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しかしそんな私から見ても、筑波山山頂で繰り広げられるこの光景は異様なものでした。真っ暗な山中を、スマホのライトだけを頼りに歩き回る人間が大勢いると言うこの状況は・・・。

もう深く考えるのはやめよう。筑波山は山であって山にあらず。ここは観光地なのだ。

並んでいる間にすっかりと夜の帳が降りて、町の明かりが灯り始めました。
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遅々としていて、なかなか行列は捌けません。女体山の山頂は岩場になっていますが、実は結構奥行きがあって先まで進めるのですけれど、当然そんなことは知らないであろう観光客が三角点付近で固まってしまっているようですね。
221119筑波山-054

結局30分以上並んで、ようやく山頂に立てました。入り口付近に固まっている人々を横目に奥まで進んで、無事に三脚を立てるスペースを確保できました。
筑波山の山頂から見た夜景
これはお隣の男体山方面を見たところです。右の方に見ている灯が、先ほどまで居た御幸ヶ原です。

正面を見てみましょう。眼下に広がるのは関東平野の夜景です。実に素晴らしい、長々と並んで待っただけの甲斐がある光景です。
筑波山山頂から見た夜景
光の線のように見えているのは全て車のライトです。30秒の長秒露出で撮影したため、このように見えます。

この辺りが都心部でしょうか。薄っすらと霞んではいますが、何となくスカイツリーらしきものも見えています。
筑波山山頂から見た夜景

こちらは霞ヶ浦方面です。何となく湖のシルエットがわかります。左下の端に見えているのがつつじヶ丘です。
筑波山山頂から見た夜景

筑波山神社がすぐ足元に見えています。あそこから真っすぐ一直線に登って来たのだと言う事が、大変良くわかる光景です。
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思いもよらぬ紆余曲折がありましたが、筑波山からの夜景を撮影すると言う当初の目的は、無事に達成されました。これでもう、思い残すことは何もありません。
筑波山の山頂から見た夜景

6.筑波山登山 下山編 地獄から足早に脱出する

17時50分 さあ帰りましょう。相変わらずスマホのライトをかざした観光客が真っ暗な山中を歩き回っていると言う地獄のような光景が繰り広げられていますが、気にしないことにします。
221119筑波山-059
何しろ一人や二人ではないので、ここでお節介をやき始めてもキリがありません。

途中のセキレイ茶屋の前からも、見事な夜景が広がっていました。再び三脚を立てるのも面倒だったので、気合の手持ち腕力手振れ補正で一枚撮影しておきます。
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18時10分 御幸ヶ原に戻って来ました。先ほどよりもケーブルカー待ちの行列が長くなっており、アナウンスによると現在1時間半待ちだそうです。恐るべし、秋の筑波山。
夜の御幸ヶ原

先ほど眺めたのとは反対の北側の夜景です。都心方面の明かりの密度には遠く及びませんが、それでも十分に綺麗です。
筑波山 御幸ヶ原から見た夜景

そもそもケーブルカーの運転時間が延長されていることすら知らなかった私は、もとより行列に並ぶつもりなどありません。当初の計画通りに御幸ヶ原コースを歩いて下ります。
御幸ヶ原コースの入口

御幸ヶ原コースはほぼケーブルカーに沿った道となっており、特に危険な個所はありませんが最初から最後まで結構な急勾配です。
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驚くべきことに、この御幸ヶ原コースをスマホのライト片手に歩いて下っている人を何人か見かけました。

恐らくあまりの待ち時間の長さにしびれを切らしたのでしょうけれど、もし途中で電池が切れたら完全に真っ暗になって身動きが取れなくなるし、電池が切れたら当然電話で助けも呼べないから完全に詰みますよ?

これは流石に声をかけるべきではないかと逡巡しましたが、結局は何も言わずに追い抜きました。冷酷だと言われれば確かにその通りですが、ここでもやはり一人や二人ではないのでキリがありません。

恐らくこれは、この季節の筑波山で連日連夜繰り広げられている、いつもの光景なのでしょう。助けを請われれば見殺しにはしませんけれど、こちら側からお節介はしないと決めました。

それより一刻も早く、この登山の常識が一切通用しない地獄から脱出しよう。

ケーブルカー沿いにライトアップが実施されていて、時々こうして明るい場所があります。見頃にはまだ少し早かったらしく、緑の葉の方が多数を占めていました。
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19時10分 筑波山神社まで下って来ました。心を無にして黙々と下り続けたからから、標準コースタイムよりも速いペースで下山が完了しました。
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普段はあまり意識することがありませんが、真っ暗な山の中を歩くと街灯のありがたみが身に沁みます。ライトも持たずに山に登ってしまう人は、本当の真っ暗闇の怖さを知らないのでしょうね・・・
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ロープウェイとケーブルカーの運転時間が延長されているため、筑波山シャトルバスの運行時間も当然それに合わせて延長されていました。
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これに乗ればそのまま帰れるわけなのですけれど、案の定と言うかすでに満員御礼状態だったので、当初の計画通りに筑波山口まで歩いて下ることにします。

と言う事であえてシャトルバスをスルーして、道なりにトボトボと下って行きます。道行く車は、こんな時間に歩行者がいるなどとは当然思っていないでしょうから、特にカーブ付近では背後には十分注意を払いましょう。
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特に何の道案内も出ていませんが、筑波山神社入口バス停を出てから二つ目のヘアピンカーブがある地点で、バス通りを外れて左に入ります。
221119筑波山-069

その次は、小川に架かる橋の手前を右に入ります。この辺りは、明るい時に歩いたことがないとちょっとわかり辛いかもしれません。
221119筑波山-070

この小道には街灯がないため、夜間に歩く場合はライトが必須です。不安な人は、少々遠回りにはなりますがバス通り沿いに下って行ってもたどり着けます。
221119筑波山-071

再び街灯という、この偉大なる文明の光が届く場所まで下って来ました。
221119筑波山-072

暗闇の中に、薄っすらと筑波山シルエットが浮かんでいるのが何となく見えます。ダメもとでISO感度を12,800まで上げて撮影してみたら、しっかりと写っていました。
221119筑波山-073

見るからにかつては踏切だった場所から歩道に入ります。ご存知ではない人のために一応解説しておくと、この歩道はかつて筑波鉄道と言うローカル私鉄の路線があった跡地です。
221119筑波山-074

筑波山口バス停は、かつての筑波駅があった跡地にあります。ホームの跡もこうして休憩所として残されています。
夜の筑波山口駅跡

20時 筑波山口バス停に到着しました。バス発車時刻の10分前と言う、丁度良いタイミングでの到着でした。なお筑波山口発のつくば駅行きのバスは、21時20分まであります。
夜の筑波山口バス停
バスが動き始めた時、何故か脳内で「弦楽のためのアダージョ」が自動再生されました。やっとこの地獄から脱出できる。

つくば駅から往路を逆に辿り、帰宅の途につきました。
221119筑波山-077

想定と異なる事態が起きて波乱万丈な一日でしたが、訪問の目的である筑波山からの夜景を無事におがむことが出来ました。関東平野を一望する夜景は圧巻で、一見の価値がある光景です。
とりあえず筑波山に夜景目当てでナイトハイクをしようとするのであれば、紅葉ライトアップ期間中の訪問は避けた方が無難であると思います。想像を絶するような人混みでしたから・・・
いろいろと思うところや言いたいことのある一日でしたが、ひとまずは呑み込むことにします。筑波山は山であって山にあらず。ここは観光地なのですから。
ライトくらい持ってこいや。山をナメるなッ!

<コースタイム>
筑波山神社入口バス停(14:00)-白雲橋登山口(14:15)-女体山(15:45)-御幸ヶ原(16:05~16:40)-女体山(16:55~17:50)-御幸ヶ原(18:10)-筑波山神社(19:10)-筑波山口(20:00)

筑波山の山頂標識

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. もうもう より:

    オオツキ様

    今回はひどい目に合いましたね。

    自分は早朝から登山するのにヘッデンを付けることは何度も有りますが、一度だけソロ登山で日が落ちてから知らない真っ暗な登山道を歩いた恐怖から、それ以降ナイトハイクをしようと思ったことが有りません。

    自分も「山なめオジサン」では無いので、あきらかに困っていなければ声を掛けませんが、今回の状況だとどうしたもんだか判断に困りますよね。

    この季節に筑波山に行こうとは思いませんが、時期を変えてこの夜景を見たい気もします。

    • オオツキ オオツキ より:

      もうもうさま
      コメントをありがとうございます。

      今回はあやうく山をナメるなおじさんデビューしかけましたが、何とか思いとどまりました。登山者的感覚ではかなり異常な光景でしたが、筑波山では普通の光景なんでしょうね。

      夜景見物するなら、元日などの混雑が予想される日は外した方が良いと思います。

  2. 通りすがり より:

    誤りを指摘しておきます。
    「筑波山口」バス停は元筑波鉄道の「筑波駅」があった場所。
    同名ではなく、筑波鉄道廃止後に名前が変わりました。

  3. erica より:

    お疲れ様でした( ´艸`)
    美しい写真とは裏腹な懊悩が非常によく伝わってきました。
    筑波山は高尾山同様、登山者と観光客がミックスされる不思議な場所なのですね。

    ところで、4日に白岩の滝~麻生さん~日の出山に行ってきました。
    インスタの投稿にも「いいね!」をありがとうございます。
    素晴らしい沢の道で、とても気に入りました。
    ありがとうございます(^^♪

    • オオツキ オオツキ より:

      ericaさま
      コメントをありがとうございます。

      夜になれば観光客はいなくなるだろうから、あの狭い山頂でも気兼ねなく三脚を立てられるだろうと思っていたのですが、予想だにしていなかった事態でした。紅葉シーズン中の筑波山に登りたかったら、平日に休みを取った方が良さそうです。

  4. GreenFielder より:

    オオツキさん、記事拝見しました。
    「ライトを持たずに山に登ってしまう人は、本当の真っ暗闇の怖さを知らない」というくだり、全く同感です。
    私は朝焼けの展望が見たくてナイトハイクをするのですが、一度登る最中にヘッ電を消して「本当の真っ暗闇」を体験してみましたが、本当に恐怖で1ミリも動けませんでした。
    オオツキさんの心の叫び、とてもよく分かります。

    • オオツキ オオツキ より:

      GreenFielderさま
      コメントをありがとうございます。

      街中にいると光源が完全にゼロになる状況はなかなかないですけれど、山中の樹林帯は本当に真っ暗になりますからね。ナイトハイクしている時は、もし今電源を失ったら朝までその場にうずくまる他ないだろうな、なんてことを考えたりします。

      スマホのライトだけで山の中を歩き回る度胸は、私にはありません。

  5. たむ より:

    筑波山、低いので簡単に登れると思ってましたがそんな落とし穴があるのですね
    でも、夜景の写真が綺麗で取れ高は良かったのではありませんか?

    • オオツキ オオツキ より:

      たむさま
      コメントをありがとうございます。

      撮れ高は文句なしにバッチリでしたが、あまりの人の多さに面くらいました。夜景目当てに日没後の山頂に留まる人間なんて、せいぜい数人だろうと思っていたものですから。

      自分で歩いて降りる気がある人は、ケーブルカーの運転時間が延長されていない時期を狙った方が無難だと思います。