仙人ヶ岳 アカヤシオツツジが咲く足尾山地の岩稜

猪子山付近から見た仙人ヶ岳
栃木県足利市と群馬県桐生市にまたがる仙人ヶ岳(せんにんがたけ)に登りました。
栃木県と群馬県にまたがる足尾山地に属する山で、足利市の最高峰でもあります。足尾山地の山に多く見られる痩せた岩稜帯から成る山で、4月の上旬から中旬にかけて尾根上にアカヤシオツツジが咲くことで知られています。
折りたたみ自転車を携えて、足利の里山を巡って来ました。

2024年4月13日に旅す。

仙人ヶ岳は全国区の知名度こそありませんが、標高の割に歩き応えのあるハイキングコースとして地元で愛されている里山です。北関東にある山の例に漏れず、春になるとアカヤシオが花を咲かせます。
仙人ヶ岳のアカヤシオ
残念ながら今年はアカヤシオの裏年だと言われており、実際に花付きはあまり良くありませんでした。それでも尾根上の群生地では、ある程度まとまって咲いていました。

仙人ヶ岳のある足利市小俣地区の山間部は、あまり交通アクセスが良好だとは言えない一帯です。足利市の市営バス路線が登山口の近くを通ってはいるのですが、運行本数は少なく時間帯的にも登山に使うのは難しいのが実情です。
足利市小俣地区
そんなわけで仙人ヶ岳は事実上、車の無い奴はお断りな山であると言えます。

そこで今回は最寄り駅へ折り畳み自転車を持ち込み、自転車によるアプローチを試みました。輪行登山と言う暗黒面を極めた私に、もはや不可能などは存在しないのです。
小俣駅にとまった折り畳み自転車

仙人ヶ岳には複数の登山コースが存在しますが、その中でも定番と言える沢沿いのルートから登り尾根沿いのルートで下山する周回コースを歩きました。下山路の尾根コースはアップダウンが多めで、なかなか歩き応えがありました。
猪子岳
アカヤシオは少々残念な咲きぶりでしたが、岩稜歩きを大いに満喫してきた一日の記録です。

コース
仙人ヶ岳 岩切登山口からの周回コースマップ
岩切登山口から沢沿いのルートを登り仙人ヶ岳に登頂します。山頂からは、すぐ隣にある好展望地の女仙人ヶ岳を往復します。下山は尾根コースを辿り、猪子峠経由で岩切登山口に戻ります。

仙人ヶ岳登山としては最も一般的であろう周回ルートです。

1.仙人ヶ岳登山 アプローチ編 折り畳み自転車を抱えて行く足利への旅路

6時19分 JR赤羽駅
北関東の山へ登りに行く際には定番と言える朝の宇都宮線ですが、だいたいいつも混雑しています。折りたたみ自転車と言う大荷物を抱えている身としては、なんとなく居心地が悪い旅路です。
赤羽駅のホーム

小山駅で両毛線に乗り換えます。小山駅は新幹線停車駅でもあるので、混雑する宇都宮線での肩身の狭さに耐えられないと言う場合は、一応は新幹線に乗ると言う選択肢もあります。
小山駅の在来線ホーム

両毛線のホームは部活動に出かけるのであろう高校生で溢れていました。ここでもやはり大荷物を抱えた私にとっては居心地の悪い時間が続きます。
小山駅の両毛線ホーム

8時31分 小俣駅に到着しました。ようやく満員電車での旅路から解放されました。よもや週末の朝からこんな混雑に巻き込まれるとは。
両毛線小俣駅のホーム
両毛線はいつ乗っても大抵混雑しており、明らかに輸送力が不足しているように思えます。単線だから増発するのも容易ではないのだろうか。

跨線橋の上から赤城山がよく見えますが、春らしくモヤーっと霞んでいます。今日は暖かくなりそうです。
小俣駅の跨線橋から見た赤城山

小俣駅に降り立ったのは自身初めての事です。簡素な造りの駅舎がポツンとあるだけの無人駅です。折り畳み自転車を手早く組み立てたら出発します。
小俣駅にとまった折り畳み自転車

2.岩切登山口への気楽なサイクリング

目指す仙人ヶ岳は小俣駅の北側にありますが、駅には南口しかないため一度遠回りをして踏切を渡ります。
240413仙人ヶ岳-011

小俣小学校前の交差点を渡ったら、後はずっと道なりです。本日のアプローチは距離も標高差もそれほど大きくはなく、お気楽な行程となるはずです。
小俣小学校前交差点

沿道では桜が満開の見頃を迎えており、気持ちの良いサイクリングです。
240413仙人ヶ岳-013

しだれ桜も満開です。現在地は標高がそれほど高くは無い場所ですが、それでも緯度の違いだけで東京都内とでは桜の開花時期に若干のズレがあります。
240413仙人ヶ岳-014

山間部に入って以降も急坂は無く、緩やかな登り坂が続きます。この先の最高地点である猪子トンネルでも、標高は海抜233mでしかありません。
240413仙人ヶ岳-015

9時20分 岩切登山口に到着しました。猪子トンネル入口よりも少し手前にあります。最寄りとなるバス停は小俣北町バス停ですが、前述の通り登山に使えそうな時間帯の便はありません。
岩切登山口
それではここで恒例の、現地へ折り畳み自転車を持ち込むつもりなどはさらさらないであろう大多数の公共交通機関勢のために、岩切登山口にアクセスするためのサステナブルでワイズスペンディングなソリューションを一つご紹介しておきましょう。

小俣駅からタクシーで2,500円くらいだそうです。小俣駅にタクシーは常駐していないため、事前予約が必要です。帰路では市営バスをうまい具合に使えるかもしれません。

地元では人気のある山らしく、入り口には詳細なハイキングマップが掲げられていました。これから歩こうとしている岩切登山口周回ルートの他にも、北側の松田川ダムを起点にした周回ルートをとることも出来ます。
仙人ヶ岳のハイキングマップ

自転車にはガードレール脇での留守番を命じます。
240413仙人ヶ岳-018

3.沢沿いのゴルジュ帯が続く稜線までの道程

9時35分 身支度を整えて登山を開始します。農道らしき道を入っていきます。
仙人ヶ岳 岩切登山口

山に登るまでもなく、登山口にもうアカヤシオが咲いていました。既に終わりかけらしく茶色くなりつつありましたが、ここよりも標高が高い山の上の方ではまだ見頃なはずです。
岩切登山口のアカヤシオ

鉄筋の柵に空のペットボトルが挿されて並んでいます。これは何のおまじないだろう。鳥よけの効果でもあるのでしょうか。
240413仙人ヶ岳-021

沢沿いに簡易なコンクリート舗装された道がしばし続きます。空気がひんやりとしていて心地よい。
240413仙人ヶ岳-022

大きな砂防堰堤が現れたところで舗装が尽きました。なるほどこの堰堤を造るための道だったか。
240413仙人ヶ岳-023

堰堤を越えたところで本日1回目の渡渉があります。大した水量ではなく、飛び石伝いに難なく渡れました。
240413仙人ヶ岳-024

この先はずっと沢沿いで、何度も渡渉を繰り返して両側を行ったり来たりしながら登って行きます。
240413仙人ヶ岳-025

炭焼き釜の跡だと思われる穴があいており、その脇には何故かカタクリ群生地と書かれた標識が立っています。穴の説明ではないんかいと言うツッコミはさておき、既にカタクリシーズンは終わているので花は咲いていません。
仙人ヶ岳 カタクリ群生地

谷は徐々に険しさを増して行き、クサリ場も登場します。登山道自体は大変良く整備されており、高度感はそれなりにありますが、とくに難しい要素はありません。
240413仙人ヶ岳-027

沢と登山道が完全に一体化してしまっているような場所もあります。雨上り直後の訪問は避けた方が良さそうな道です。
240413仙人ヶ岳-028

この沢沿いのルート上にハナネコノメが咲くらしいと言う事前情報を得ていたので、先ほどからこうしたいかにも咲いていそうな場所を注視しているのですが、一輪も残ってはいませんでした。
240413仙人ヶ岳-029
ハナネコノメが見頃となるのは3月の中旬から下旬くらいにかけてで、だいたいカタクリと同時期です。アカヤシオを目当てにやってくると、時期は微妙にずれてしまいます。

仙人ヶ岳にはかつてマンガン鉱山が存在しました。登山道上に何ヵ所か坑道の跡が残っており、入り口は金網で厳重に封鎖されていました。
仙人ヶ岳の廃坑
廃坑と聞くと、足尾銅山のように鉱毒が沢に流れ出したりしていないのかと気になります。見たところ坑口は乾燥しており、地下水が流れ出てきてはいないようですが。

歩き始めてから1時間とかからないくらいで、半ば廃屋化しつつあるように見える建物が現れました。
仙人ヶ岳 生不動

10時25分 生不動まで登って来ました。「なまふどう」と読みます。平安時代に開かれたと伝わる修行場で、およそ千年の歴史があります。
仙人ヶ岳 生不動

生不動を過ぎて以降も、変わらず沢沿いの道が続きます。枯れ葉の積もり具合が激しくなってきており、足元の岩の凹凸が分かりずらく歩きにくいコンディションです。
240413仙人ヶ岳-033

明らかに人工的な水路トンネルの中を沢が流れています。これも恐らくはマンガン鉱山に関連したもので、坑道を掘るのに沢が妨げになるため、流路を付け替えたのでしょう。
240413仙人ヶ岳-034
もしかすると、先ほどのカタクリ群生地にあいていた穴も、水路トンネルの跡だったのかもしれません。

沢の源頭部に近づくと、いよいよ谷の幅が狭まりゴルジュ帯の様相を呈してきました。
240413仙人ヶ岳-035

小さな滝の脇にある、ロープの張られた岩場をよじ登ります。岩の表面が薄っすらと湿っており、滑りそうで少し嫌な感じがします。
240413仙人ヶ岳-036

赤みを帯びた岩の表面に、湾曲した節理の模様が浮かんでいます。これはチャートと呼ばれる岩盤で、強度が高く浸食に強いのが特徴です。
仙人ヶ岳のチャート岩盤

続いて今度は、見るからに危なっかしい木橋が現れました。ねじれているようにも見えますが、大丈夫なのだろうか。
240413仙人ヶ岳-038

不揃いな丸太をロープで縛り、無理やり隙間に置いたかのような姿をしています。強度的には特に問題なさそうでしたが、バランスを取るのが結構難しいです。
240413仙人ヶ岳-039

沢を流れる水流が無くなりました。ここまで登ってくれば、もう間もなく尾根に突き当たります。
240413仙人ヶ岳-040

この尾根に取り付く最後の登りが、最もきつい登りの区間となります。谷底から這い出よとしている訳ですから、まあ当然と言えば当然です。
240413仙人ヶ岳-041

九十九折れの付いた急斜面で一気に標高を上げます。ザレた足場の上に枯れ葉が深く堆積しており、なかなか足場の悪い道です。登りはともかく、下りでここを下りるのは少々怖いかもしれない。
240413仙人ヶ岳-042

最後の方はロープが張られた岩場の急登になりました。頭上にようやく尾根のラインが見て来ました。
240413仙人ヶ岳-043

11時 熊の分岐まで登って来ました。ここで下山時に歩くつもりでいる尾根ルートと合流します。山頂まではもうあと30分ほどの距離です。
仙人ヶ岳 熊の分岐

4.仙人ヶ岳登山 登頂編 山火事の痕跡が残る好展望の頂

ここから先は尾根沿いとなります。頭上が開けており、燦々と降り注ぐ直射日光で暑くなってまいりましたぞ。
240413仙人ヶ岳-045

ここでようやく咲いているアカヤシオを発見しました。肝心の花の付き具合はと言うと、やはりあまり良くはありません。アカヤシオは昨年が大当たりであっためか、今年は不作の裏年だとささやかれています。
仙人ヶ岳のアカヤシオ

最盛期には尾根上がピンク一色に染まるくらいに沢山咲くと聞いていたのですが、疎らにポツポツとしか咲いてはいません。うーん、これは昨年に訪問出来なかった事が悔やまれます。
仙人ヶ岳のアカヤシオ

足利地方の低山に多く見られる、痩せた岩の尾根です。栄養に乏しい土壌を好む松なのど灌木が疎らに生えているだけで、全般的に眺めが良いの印象的です。
240413仙人ヶ岳-048

背後の展望が開けました。右の方に見えているのが、下山時に歩く予定の尾根ルートです。同じような高さの小ピークがいくつも並んでいるのが良くわかります。
240413仙人ヶ岳-049

山頂までずっとアカヤシオロードが続くものだと期待していたのですが、咲いていたのは熊の分岐周辺の一部だけでした。山頂付近にはまだ新緑前線が届いておらず、冬枯れの殺風景が広がっていました。
240413仙人ヶ岳-050

山頂のように見える場所が現れましたが、ここまだ頂上ではありません。赤雪山を経て松田川ダムへ至るルートとの合流地点です。
240413仙人ヶ岳-051
この松田川ダムを起点にした周回ルートも大変素晴らしいと言う評判で、岩切登山口スタートのルートとどちらを歩くべきか、出発の直前までかなり悩みました。

仙人ヶ岳の主要な登山口は栃木県にあるため、栃木の山であるとの印象が強いですが、この分岐地点が栃木県と群馬県との境界になっており、山頂も県境にまたがっています。
240413仙人ヶ岳-052

山頂が見えて来ました。あまりピーク感はなく、尾根上の一地点と言った様相をしています。
240413仙人ヶ岳-053

11時30分 仙人ヶ岳に登頂しました。特に展望もなく至って地味な山頂です。山頂よりも道中からの眺めの方がずっと良い山です。
仙人ヶ岳の山頂標識

山頂からさらに少し進んだ地点にある、隣の女仙人ヶ岳と言うピークの方がずっと眺めが良いと言う事なので、休憩は取らずにこのまま向かいます。
240413仙人ヶ岳-055

先へ進むと、確かに禿山に状態になっていていかにも眺めの良さそうなピークがありました。しかし、伐採したにしても少し不自然な光景に思えます。
240413仙人ヶ岳-056

良く見ると、木の幹に焦げたような跡がありました。仙人ヶ岳では2014年の4月に大規模な火災が発生しており、かなりの広範囲が焼失しています。詳細な原因は不明ですが、ハイカーの火の不始末ではないかと推測されています。
240413仙人ヶ岳-057
仙人ヶ岳からそう遠くない距離にある両崖山でも、山火事のニュースが駆け巡ったのは記憶に新しいところで、足尾山地の山は山火事が多い印象があります。

水はけがよく乾燥した岩尾根に着火性の高い松が多く生えているため、もともと山火事が発生しやすい環境なのだと思います。

11時45分 女仙人ヶ岳に登頂しました。道標には仙人ヶ岳から徒歩5分と書かれていましたが、5分で歩くのは少々無理がある距離だと思います。
女仙人ヶ岳の山頂

山火事と言う不慮の事態による結果とは言え、山頂は展望が開けています。こちらは南側の関東平野方面ですが、やはり霞んでいて遠くは見えません。冬場の晴れて空気名が澄んでいる日には、富士山まで見えるそうです。
女仙人ヶ岳からの展望

西側には足尾山地前衛部の山並みと赤城山(1,828m)が見えています。山火事の痕跡と思われる禿地が点々とあるのが目を引きます。
女仙人ヶ岳からの展望

北側の展望です。奥に見えているのは袈裟丸山(1,961m)と皇海山(2,144m)かな。
女仙人ヶ岳からの展望

女仙人ヶ岳には珍しい白いアカヤシオが咲くらしいので、探してみたのですが見つけられません。白いアカヤシオって、それはつまるところシロヤシオの事なんじゃないかと思いますが、あくまで色が薄いだけのアカヤシオらしい。
240413仙人ヶ岳-062
私の探し方がぬるかったのか、あるいは裏年のアカヤシオ不作によりそもそも咲いていなかったのか。どちらかはわかりませんが、とにかく白いアカヤシオを見ることは出来ませんでした。残念。

5.痩せ尾根の細かいアップダウンが続く尾根コース

熊の分岐に向かって元来た道を引き返します。ということで、まずは仙人ヶ岳へ登り返します。
240413仙人ヶ岳-063

12時15分 仙人ヶ岳に戻って来ました。先ほどは素通りしてしまったので、山頂の記念撮影だけを手早く済ませます。
仙人ヶ岳の山頂

かるたの絵柄が描かれた立札が立っていました。けの札で「県境に高くそびえる仙人ヶ岳」とあります。
仙人ヶ岳山頂の菱町かるた
これは群馬県民のソウルであるところの上毛かるたなのかと思いましたが、よくよく調べてみるとそうではなく、桐生市のご当地郷土かるである菱町かるたの札であるらしい。

群馬県にはこうした地元ローカルの郷土かるたが、全部で130種ほど存在します。かるた好きの風土なんでしょうか。興味がある方はこちらのサイトをご覧ください。
郷土かるたコレクション|群馬大学総合情報メディアセンター中央図書館
群馬大学総合情報メディアセンター中央図書館が所蔵する全国各地の郷土かるたを、デジタルアーカイブ化し公開しています。

華の無い冬枯れの尾根を足早に戻ります。
240413仙人ヶ岳-066

12時55分 サクサクと下って熊の分岐まで戻って来ました。ここから直進して尾根ルートに入ります。この先は激しくアップダウンを繰り返すなかなかの険路となります。覚悟を決めたら突入しましょう。
熊の分岐

分岐を過ぎて以降もしばしの間、松の姿が目立つ痩せ尾根が続きます。この辺りは来る嵐の前の静けさと言ったところです。
240413仙人ヶ岳-068

アカヤシオがポツポツと咲いています。裏年でもこれだけ咲いていると言う事は、アタリ年にどんな光景が広がるのでしょうか。
仙人ヶ岳のアカヤシオ

13時15分 知ノ岳という小ピークまで歩いて来ました。ここから松田川ダム方面に下ることも出来ます。
知ノ岳の山頂

前方の展望が開けました。この後に歩く尾根道が一望できます。同じような高さのピークが3っつも4っつも並んでいるのが良く見えます。
知ノ岳からの展望

眼下に松田川ダムが見えます。利水と洪水調整を目的とした、平成8年に完成したダムです。ダムサイドは桜の名所として知られており、満開に咲いている様子が上からでも見えます。
知ノ岳から見た松田川ダム

しかし、見れば見るほどなかなかアップダウンがきつそうですね。なお仙人ヶ岳のアカヤシオ群生地は、山頂の周辺よりもこの尾根上の方が本番です。期待して行ってみましょうか。
240413仙人ヶ岳-073

知ノ岳からいちど、勿体ないくらいに大きく標高を落とします。足元は乾燥した砂地で滑りやすく、なかなか神経を使います。
240413仙人ヶ岳-074

下った後は当然登り返し。この辺りはまだ危険な感じもなく、普通に歩ける尾根道です。
240413仙人ヶ岳-075

13時40分 登り返すと宗ノ岳に登頂です。ここには展望もなく、ただの通り道と言ったところです。
宗ノ岳の山頂

宗ノ岳を過ぎると岩場が目立つようになり、アスレチック感が増して来ます。怖い感じはなく、純粋に歩いていて楽しい尾根道です。
240413仙人ヶ岳-077

沿道を飾るアカヤシオも増えて来ました。この尾根ルートを歩かずに山頂を往復していまうと、アカヤシオはたいして咲いていなかったという感想を抱いてしまうかもしれません。
仙人ヶ岳のアカヤシオ

名前は付いてない小ピークもあり、モリモリと登って降りてします。ただ一つ一つのピークが小さめであるためか、今のところアップダウンによる体力的なキツさはさほど感じません。
240413仙人ヶ岳-079

さらに尾根が痩せてきて、ナイフリッジと言っても差し支えなさそうな幅の場所もチラホラと現れます。
240413仙人ヶ岳-080

眼下に見える松田川ダムがだいぶ近づいて来ました。余力があったら桜を見に下山後に立ち寄ろうかとも思っていましたが、流石に時間的に厳しそうか。
240413仙人ヶ岳-081

道中に犬帰りと呼ばれる高さ10メートルほどのクサリ場があります。手がかかりや足掛かりはしっかりとありますが、ほぼ垂直で高度感はかなりあります。端的に言うと、とても怖い。
仙人ヶ岳 犬帰り

下り切ってから振り返って見たところです。中間付近にオーバーハングした岩が突き出しており、クサリ場としての難易度はやや高めです。巻き道もあるので、自信がない人は迂回しましょう。
仙人ヶ岳 犬帰り

14時20分 犬帰りを過ぎて程なく、椎ノ山に登頂しました。これで名ありのピークは残すところあと一つです。
240413仙人ヶ岳-084

最後のピークに向かいましょう。尾根上は陽射しが強いためか思いのほか暑く、水の残量がやや心許なくなって来ました。少しペースを上げて行きましょう。
240413仙人ヶ岳-085

この日のアカヤシオのピークは、椎ノ山と猪子山との間にありました。最後の段階になってから見所を持ってくるとは、なかなか憎い演出をしてくれるではありませんか。
240413仙人ヶ岳-086

アカヤシのトンネルの中を進みます。そうそう、こういう光景を期待していたのですよ。わざわざ栃木県にまで自転車を抱えてきただけの甲斐はありました。
240413仙人ヶ岳-087

最後の猪子山が目の前に立ちはだかります。なかなか防御力が高そうな姿をしています。と言うか目の前に大岩があるのだけれど、どこを通るのだろうか。
猪子岳

どこを通るも何も、岩の上を直登でした。最後まで楽しませてくれるではありませんか。
240413仙人ヶ岳-088

14時45分 猪子山に登頂しました。これで延々続いたアップダウンはひとまず終わりです。後は猪子峠へ下るのみ。
240413仙人ヶ岳-089

6.仙人ヶ岳登山 下山編 猪子峠をへて岩切登山口へ戻る

そう思った矢先に、名も無い小ピークへの登り返しがまだ一つ残っていました。おーいこら、いつまでやらす気ですか。
240413仙人ヶ岳-090

と言う事で、今度こそ最後であろう登り返しです。
240413仙人ヶ岳-091

峠に向かってようやく真面目に高度を落とし始めました。この尾根ルートは上級者向けのコースであると案内されていましたが、たしかに低山らしからぬ歩き応えがありました。
240413仙人ヶ岳-092

ヤマツツジがチラホラと咲き始めていました。アカヤシオとは開花時期がだいぶ異なるイメージがありますが、同時に咲くこともあるんですね。
240413仙人ヶ岳-093

15時30分 猪子峠まで下って来ました。この峠の下を猪子トンネルが貫いており、トンネルの両側に降りられる道があります。岩切登山口に戻るには、ここを右です。
猪子峠

緩やかな杉の植林の中を下って行きます。早くも陽が傾いて来たのか、森の中はもう薄暗くなっていました。
240413仙人ヶ岳-095

道の脇に、いけすか何かだったと思われる掘りが並んでいます。足がかりも何もない穴なので、落ちたら脱出するのには相当難儀すると思います。くれぐれもご注意ください。
240413仙人ヶ岳-096

舗装道路と合流しました。
240413仙人ヶ岳-097

右手に猪子峠を貫く猪子トンネルがあります。このトンネルを通った先には、山の上から見えていた松田川ダムへと続く道があります。
足利市 猪子トンネル

岩切登山口は、ここから道沿いにさらに下った地点にあります。最後にもうひと踏ん張り、頑張って歩きましょう。
240413仙人ヶ岳-099

16時 岩切登山口に戻って来ました。短めの行動時間のわりには、濃密な体験が詰まった良きお山でした。
240413仙人ヶ岳-100

帰路は元来た道を下っても良いのですが、せっかくなので猪子トンネルを越えていきます。「往復ヨリ周回ヲ持ッテ尊キモノトス」と言ういつもの不可解な価値観を、サイクリングにも適用した結果であることは言うまでもありません。
240413仙人ヶ岳-101

もう時間も押してしまっているので、松田川ダムには立ち寄らずに撤収します。
240413仙人ヶ岳-102

帰路は緩やかな下り坂が続くため、殆どペダルをこぐ必要すらなく快適です。なんだかんだで、けっこう登ってはいたのですね。
240413仙人ヶ岳-103

途中にある東葉館に立ち寄りひと風呂浴びて行きます。浴場ではなく宿泊施設ですが、日帰り入浴も受け付けています。若干うろ覚えですが、入浴料は確か800円だったかな。
東葉館
わざわざ猪子トンネルを越えて来たのは、ここに立ち寄りたかったからと言うのも理由の一つでした。

風呂にも入ってスッキリしたところで小俣駅に戻って来ました。時間帯にもよりますが、両毛線は概ね1時間に1本しか走っていないいので、時刻表は事前に良く確認しておきましょう。
小俣駅の駅舎

再びお荷物と化した自転車を抱えて、行きと同じ経路を逆向きたどり帰宅の途に着きました。
両毛線小俣駅のホーム

今年のアカヤシオはハズレ年であるとの事でしたが、それでも尾根上にはまとまった数の花が咲いていてくれました。ハズレであってもこれだけ咲いていたと言う事は、当たり年には一体どれ程のものになるのか、是非とも確かめてみたくなりました。いつかまた、アカヤシオシーズンに再訪してみたい山です。次に行くとしたら、松田川ダム側からかな。
下山時に歩いた尾根ルートは、若干のアスレチック要素もあって変化に富んでおり、歩いていて純粋に楽しと思える良コースでした。多少遠回りにはなりますが、仙人ヶ岳へ訪問の際には是非とも歩いてみてほしいです。

<コースタイム>
岩切登山口(9:35)-生不動(10:25)-熊の分岐(11:00)-仙人ヶ岳(11:30)-女仙人ヶ岳(11:40~12:10)-仙人ヶ岳(12:20)-熊の分岐(12:50)-知ノ岳(13:15)-宗ノ岳(13:40)-椎ノ山(14:20)-猪子岳(14:45)-猪子峠(15:30)-岩切登山口(16:00)

仙人ヶ岳山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. 通りすがり より:

    足利市民です^ ^
    大変楽しく拝見させていただきました。

    電車。自転車。からの登山
    並々ならぬチャレンジでしたね
    こんな便の悪い無名な山に来てくださってありがとうございます

    • オオツキ オオツキ より:

      通りすがりさま
      コメントを頂きましてありがとうございます。

      沢あり岩あり花ありで変化に富んでいて楽しいお山でした。次こそは白いアカヤシオを見に、いつかまたお邪魔します。