山梨県笛吹市にある大栃山(おおとちやま)、釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)および黒岳(くろだけ)に登りました。
何れも甲府盆地の南に連なる御坂山地に属している山です。御坂山地の山麓に位置する笛吹市は桃の生産量を日本一の誇っており、桃の花が開花する4月の上旬頃には、桃源郷さながらの光景が出現します。
春爛漫の笛吹桃源郷からスタートして、御坂山地を越える道を歩いて来ました。
2022年4月10日に旅す。
それは今を遡ること2ヵ月前のこと。
御坂山地に連なる山梨百名山の滝戸山、春日山および大栃山の三座を1日で縦走しようとした私は、意外に激しいアップダウンを前に時間切れとなり、結局は最後の大栃山の登頂は断念して下山しました。
結果として登りそこねてしまった大栃山については、季節を変えて桃の花が咲く頃にでも再訪しようと考えていました。今回、その時期が訪れました。
大栃山がある山梨県笛吹市は桃の生産量が日本一であり、笛吹桃源郷と呼ばれています。一面に広がる桃畑が一斉に花を咲かさせる4月上旬は、大栃山訪問のベストシーズンです。
大栃山だけに登ったのでは少々物足りない気もしたので、その後は隣接する釈迦ヶ岳と黒岳を繋げて歩いて来ました。富士山展望を望みつつ、御坂山地を越えて河口湖方面へと下る道のりです。
麓の春爛漫の光景とは打って変わって、山中にはまだ多くの雪が残っていました。
最後は桜の名所として名高い新倉山浅間公園のライトアップで締めくくります。春の山梨県を存分に満喫してきた一日の記録です。
コース
檜峯神社入口バス停よりスタートし、檜峯神社からトビス峠を経て大栃山へ。大栃山からトビス峠へ引き返したのちに、釈迦ヶ岳と黒岳へ縦走します。
下山は三つ峠入口バス停と下る、御坂山地を越える行程です。
1.大栃山登山 アプローチ編 始発電車で行く笛吹桃源郷への旅路
5時58分 京王線 北野駅
春のダイヤ改正により、今月から京王線の始発電車が、高尾山口行きではなく京王八王子行きになってしまいました。北野で高尾山口行きに接続するので問題はないのですが、乗り換え回数が増えて地味に面倒になりました。
ことに私は朝の電車で寝て行きたい人なので、ギリギリまで寝ていられなくなるの今回のダイヤ改定は、改悪でしかありません。土日朝一の時間帯だけで言うなら、八王子に行きたい人よりも高尾山口に行きたい人の方が多いだろうに。
高尾駅6時14分発の中央本線松本行きには、これまで通りに問題なく繋がりました。この電車に乗れなくなってしまうのは、私にとっては死活問題であるので、ひと先ずは安堵しました。頼むから、これ以上の改悪はしないでくれよ。
7時35分 石和温泉駅に到着しました。ここ最近私は未踏の山梨百名山に登ることに注力しているため、かなり頻繁にこの駅へ訪れております。
中央左寄りに見えているのが目指す大栃山です。この通り、駅からすでに見えています。地味山なのかと思いきや、以外にも目立つ存在です。
バス亭に7時35分発の富士山駅行きのバスが停車していました。乗って来た電車が石和温泉駅に到着するのも7時35分なので、乗り換え時間ゼロで本来ならば間に合わないはずの便です。
どうやら電車の乗り継ぎを待ってから出発してくれているようです。待ってくれること自体は大変ありがたいのですが、それならば実態に合わせて時刻表の方を直して欲しい所です。利用者は時刻表を見て計画を立てているのですから。
せっかく待ってくれていたのですが、この便には乗らずに見送ります。
富士山駅行きのバスには御坂バイパスを経由するK1系統と、旧道を通るK2系統の2種類があります。今停まっているのはK1系統の方で、私が乗りたいのはこの後8時3分発のK2の方です。
駅前は今まさに桜が満開でした。東京都心の桜は既に散ってしまった後ですが、甲府盆地とでは開花時期に1週間以上のズレがあるようです。
満開の桜の先には、深い雪を被ったままの南アルプスの山々が居並びます。春と冬が交差する山岳県ならではの光景です。
時刻表よりも少しだけ遅れて現れた、富士山駅行きのバスに乗車します。写真だと表示が切れてしまっていますが、行き先表示の左にK2と書かれているのが旧道経由の便です。
バスは一路、御坂山地の山麓に広がる丘へと登って行きます。やがて車窓に桃畑の光景が広がり始めました。良い感じに見頃を迎えております。訪問のタイミングとしては完璧であったようです。
8時28分 御坂東小学校前バス停で下車します。大栃山の最寄りとなる檜峯神社前バス停よりずっと手前にあるバス停です。本日は山登りの前に、少しばかり寄り道をしていきます。
2.春が爆発する、笛吹桃源郷の菜の花畑
桃の花は今がまさに見頃のど真ん中です。そこかしこにこれでもかと咲き誇り、甘い香りを漂わせていました。
桃の花は、鑑賞の対象としては桜ほどには広く認知されていにように思えますが、いったい何故なのでしょうか。十分に見栄えがするし、何よりも桜と違って食べられるし、一粒で二度おいしい存在なんですけれどね。
桃の花が咲く期間限定で、御坂東小学校前の近くにある菜の花畑で、桃の花まつりなる催しが開催されます。会場はこの御坂バイパスのガードを潜った先にあります。
坂を登って行くと、沿道にはためくノボリが見えて来ました。それなりに盛況な催しであるようですね。
眼下には一面がピンクに染まった桃畑が広がっていました。なるほど、これは確かにすごい光景です。
桃の花まつりの会場までやって来ました。軽食を売る出店が軒を並べていましたが、時間が少々早すぎたようでまだ準備中でした。
こちらが会場の菜の花畑です。グルっと周回できるように、畑の中に通路が整備されています。それでは軽く回って来ましょう。
これが桃源郷なのか。なんと言うかこう、春が溢れ出して爆発している感じです。
やはり花と言うのは青空の下こそ映えます。桃が満開でかつスカッと快晴な本日は、最高の訪問のタイミングであったと思います。
彼方に薄っすらと雪を被った山の姿が見えます。山頂に五丈石らしきものが見えるので、おそらく金峰山(2,599m)です。奥秩父にはまだ雪が残っているようですね。
一通り散策を終えて、入り口に戻って来ました。せっかくだからタコ焼きが食べたかったのだけれど、まだ準備中でした。まつりが一番にぎわうのは正午過ぎくらいの時間帯なんでしょうね。
3.檜峯神社までの長い道程
そろそろ本題に戻りましょう。まずは本来のスタート地点である檜峯神社入口バス停まで、御坂路を道なりに歩いて行きます。
山登りするよりも、このままお花見を続けた方が楽しくない?などと言う、おおよそらしくない考えが頭をもたげて来てしまうほどに、辺りは春であふれていました。
9時35分 檜峯神社入口バス停まで歩いて来ました。これでようやく本来のスタート地点に立ったと言う訳です。
バス停には特に神社への道程の案内などはありませんが、この入口から道なりに進んで行けば迷う要素は無いと思います。
背後の山腹に、一面の桜が咲き誇っている場所があるの見えます。御坂路さくら公園です。あそこへも寄り道して行きたい気がしなくもありませんが、流石に登山開始時間が遅くなりすぎてしまうので見送ります。
檜峯神社までは、おおよそ1時間少々の舗装道路歩きとなります。割と最近に歩いたばかりでその長さをよく知っているだけに、イマイチ気乗りがしませんな。
何故かこの日は始めからフルオープン状態でしたが、入り口のゲートを明けて山中へと分け入ります。
檜峯神社とはまことに良く言ったもので、圧倒的な檜林の中を進みます。どうやら私の花粉の季節はもう終わっているらしく、特にむず痒さは感じられません。
このまま道なりに進んでも神社に到達しますが、徒歩の登山者は途中から少しだけショートカットが出来ます。
山梨県内の山中でたまに目にする謎多き表札、やまなしの森林100選がありました。いつか山梨百名山に完登した暁には、次はこれをコンプリ―トしようかな。
10時50分 檜峯神社に到着しました。2ヵ月前に来た時には凍てついた寒々しい空間でしたが、今では緑があふれていました。春ですねえ。
神社の前に薬王水なる水場があるので、水の携行量に不安がある人はここで補充して行きましょう。わざわざ遠くから汲みに来る人もいると言う名水です。冷たくておいしい。
4.大栃山登山 登頂編 以外にも展望の良い里山の頂
だいぶ時間が遅くなってしまいましたが、本日の主目標であるところの大栃山に向かって登山を開始します。
大栃山と神座山の鞍部であるトビス峠に向かって、緩やかに登って行きます。
11時5分 実にあっけなくトビス峠まで登って来ました。ここから大栃山を往復します。
大栃山は山と高原地図の範囲外であるため、山頂までの標準コースタイムは不明です。道標には1時間10分と書かれていますが、標高差からすると少々大げさで、だいたい40~50分くらいだろうと見込んでいます。
登り始めるとすぐに、周囲は見事なアカマツ林に変わりました。鬱蒼とした檜林とは違い、光の抜けが良ため明るくて気持ちが良い道です。
登山道左側が大きく崩落しています。こと低山歩きにおいては、崩落地のあるところに好展望ありです。さあて、どんな光景が見えるでしょうか。
甲府盆地の先には、未だ雪を被って白いままの南アルプスの秀峰たちが居並んでいました。素晴らしい。
南部の荒川岳(3,141m)や聖岳(3,013m)までもが良く見えました。こんなにも眺めの良い山だとは思っていなかったので意外でした。
最初の急坂を登りきると、平坦な尾根が奥まで続いていました。以外に奥行きのある山です。
緩やかに下って登ってしたところで、あっけなく山頂が見えて来ました。
11時35分 大栃山に登頂しました。結局トビス峠からは、僅か30分での到着となりました。
実にお手軽な山でしたね。この程度なら、前回の訪問時に無理やり登ってしまっても問題はなかったのかもしれません。
ほぼ無名に等しいようなマイナーな山だと思い込んでいたのですが、山頂には意外に多くの登山者の姿がありました。檜峯神社までは車で入れるため、地元の人々にとっては手軽に登れる良い山なのでしょう。
以外にもと言ったら怒られてしまうかもしれませんが、山頂からの展望は良好です。北には甲府盆地を一望できます。
だいぶ霞んでしまっていますが、遠くには八ヶ岳の姿が見えました。その手前に重なって見えているのはニセヤツの異名を持つ茅ヶ岳(1,704m)でしょうか。ニセモノと本物が重なって見えるアングルです。
このビルが林立している辺りが甲府なのかな。スタート地点の石和温泉駅も見えているはずなのですが、どこなのかよくわかりません。
反対の南側には、絵に描いたかのような見事な松と富士の光景が広がっていました。手前の御坂山地に遮られて良く見ないのかと思いきや、以外に良く見えます。流石は日本一の山です。
ちょうど富士山の手前に見えているピークが、この後に登る予定でいる神座山です。気のせいではなく、明らかに白いですね。まだ雪が残っていましたか。
5.幾多のアップダウンを乗り越え、御坂山地きっての鋭鋒、釈迦ヶ岳を目指す
11時50分 山頂を辞去して行動を再開します。前回の訪問時に登りそこなった大栃山に登ると言う目標は既に達成されましたが、本日の予定はまだまだ先が長いのです。
12時15分 テンポよく下ってトビス峠まで戻って来ました。ここから神座山に向かって再び登り返します。
意外と急坂だったことをよく覚えているのでイマイチ気乗りがしませんが、ともかく気合を入れて参りましょう。
標高が上がるにつれて、チラホラと雪が現れ始めました。日当たりが良い道の上からはすでにとけて無くなっており、アイゼンを履かずとも特に問題無く歩ける状態です。
急登ゆえに短時間で高度が上がって行きます。あっという間に背後の大栃山の高さを越えました。
12時55分 神座山に登頂しました。ここも富士山が良く見えるスポットではありますが、この後に登る釈迦ヶ岳や黒岳からはさらに良く見えるので、気にせず先へ進みましょう。
ここからは尾根沿いに釈迦ヶ岳を目指すわけなのですが、ギコギコと細かいアップダウンが多めです。地図を見た時の印象ほどには簡単に歩かせてくれません。
新緑前線はまだこの尾根の標高まで届いておらず、周囲は冬枯れのままの殺風景に変わりました。広葉樹林帯なので、新緑や紅葉の頃に歩くと、もっと良い感じであろうと思います。
釈迦ヶ岳の姿が大きくなって来ました。釈迦ヶ岳は遠目からもよく目立つ御坂山地きっての鋭鋒であり、山頂の直下がかなり急峻であることがここからでも見て取れます。
檜峯神社からトビス峠を経由せずに直接登ってくるルートと合流しました。この先はもう、過去に一度歩いたことのあるルートとなります。
ここから先は若干のアスレチック要素のある道となります。気を引き締めて行きましょう。
御坂山地名物(?)のクサリ場ならぬ、ねじれロープ場です。このロープはかなりの太さがあるので強度的には全く問題ないと思いますが、雨に濡れて水を吸ってしまった時に異様に重くなるのが難点です。
落ちたらタダでは済まないような、際どい場所を歩く道が暫しの間続きます。ここだけを見ると、3,000メートル級の山の光景みたいですね。
続いてトラロープが垂らされた岩場の登りです。足をのせられるステップがしっかりとあるので、ロープを使うまでもなく普通に三点支持で登れます。
背後に大栃山(右)と神座山(左)の姿が良く見えました。間にあるトビス峠が、かなりガッツリと標高を落としている様が良くわかります。通りで登り返しがやたらとしんどかったわけです。
眼下の彼方に、朝寄り道してきた菜の花畑が見えました。上から見えると言う事は、逆にあちらからも釈迦ヶ岳の姿が見えてたと言う事ですね。まったくに気にもしていませんでした。
14時10分 釈迦ヶ岳に登頂しました。神座山から1時間と15分をかけての到着です。アップダウンがそこそこ多く、以外にしんどい道程でありました。
本日の主たる目的は大栃山に登る事であって、釈迦ヶ岳まで足を延ばしたのは言ってみればもののついででしかなかった訳なのですが、蛇足にしてはやたらと重い道程でありましたな。
いつもの見慣れた山梨百名山の標識の他に、笛吹市が設置したらしい標識も立っていました。県と市とで、お役所同士の縄張り争い的なものでもあるのでしょうかね。
山頂標識の背後には、大菩薩嶺(2,057m)から南に向かって伸びる、小金沢連嶺の山並みが良く見えます。あちらにもまだ雪が残って下り、白い姿をさらしています。
この小金沢連嶺は、積雪期にも一度歩いてみたいんですよね。冬期にはバスが無いので、裂石から歩くしかありません。湯の沢峠の避難小屋に泊まって、1泊2日の行程で歩いてみようか。
ネックウォーマを巻かれた夫婦地蔵の背後には、富士山がドーンと佇んでいました。前回訪問時には見ることが叶わなかった光景を、無事に回収することが出来ました。
そしてこれから向かう黒岳です。御坂山地の最高峰であるだけの事はあって、ドッシリと構えた貫禄十分な姿をしています。山頂部は白々しており、まだ結構な量の雪が残っていそうな予感がします。
6.御坂山地の最高峰から望む、素晴らしき富士展望
鞍部の日向坂峠に向かってまずは下りです。急峻な山容をした山だけに、反対側も当然ながら結構な急勾配です。
黒岳へ近づくにくにつれて、その山容の大きさ加減が際立ってきました。峠からはかなりガッツリと登り返す必要があります。
あまり標高を下げないで欲しいなと言うこちらの思いとは裏腹に、しっかりと大きく下ったところで、峠が見えて来ました。
15時20分 日向坂峠に到着しました。別名でどんべい峠とも呼ばれています。
このどんべい峠で日清食品のどん兵衛キツネうどんを食べるのは、黒岳へと訪れる登山者にとって定番中の定番と言えるアクティビティです。忘れずに用意して来ましょう。
なお、私は忘れて来ました。再訪する機会があったら、絶対にここでどん兵衛を食べるんだいと心に誓っていたはずなのに!こうしてまた一つ、しょうもない宿題を作ってしまいました。
峠からはかなり急勾配の登りとなります。御坂山地最高峰を名乗っているだけの事はあって、黒岳はなかなかの防御力の持ち主です。いっちょう気合いをいれて参りましょう。
案の定、上の方にはかなりしっかりと雪が残っていました。グズグズに腐った雪で凍結はしていないので、アイゼンは履かずとも問題なく歩けます。
流石に疲労溜まって、徐々に足が前に出なくなって来ました。峠から山頂までの標高差は400メートルあるか無いか程度でしかないのですが、標高差から受ける印象よりはキツイと感じる登りです。
この日二つ目となるやまなしの森林100選の看板がありました。前回の訪問時にも目にしていたはずなのですが、当時は特にこの看板を気にかけてはいなかったようで、まったく記憶にありませんでした。
16時45分 黒岳に登頂しました。後半は完全に失速してしまい、なかなかしんどい登りでありました。
何故か山頂標識がやたらと沢山立っていました。ここでもやはり、お役所同士の縄張り争いが繰り広げられたのでしょうか。
黒岳の山頂には一切展望がありませんが、南へ5分ほど下った場所にある展望台からは、素晴らしい富士展望が得られます。
春らしく何となくモヤーッとはしていますが、河口湖から富士裾野まですべてが見えます。黒岳が最高の富士展望台の一つであることは間違いありません。素晴らしい!
やはり富士山は、山梨県側から見た姿が一番シンメトリックですね。これぞまさしく富士山と思える姿をしています。
7.黒岳登山 下山編 三つ峠入口へと駆け足で下る
素晴らしき展望を十分に堪能しました。もうだいぶ時間も押していることであるし、ボチボチ撤収に移りましょう。
黒岳からの帰路に使えるバスの本数はあまり多くは無く、実は既にもうあまり時間に余裕がありません。ここからは、怒涛の駆け足下山でまります。
黒岳展望台からの下りは、なかなかの急勾配です。雪があると嫌な感じですが、幸いにも陽当たりの良好な南向きであるため、雪は一切残っていませんでした。
17時25分 分岐地点まで下って来ました。直進すると河口湖の湖畔に直接下るルートで、左へ曲がると三つ峠入口に下るルートです。急げば三つ峠入口を18時12分に通るバスに間に合いそうなので、ここは左へと進路を転じます。
谷底い向かって九十九折れの道が付いた斜面を駆け下ると、沢沿いの道になりました。あまり歩かれてはいないルートと見えて、道はやや荒れ気味です。
いよいよ残り時間も少なくなり、これは走らないと駄目かな思い始めてきたところで、ようやく御坂トンネルの真上に飛び出しました。
一度トンネルの上を通り越して、ぐるりと回り込めばゴールです。
18時10分 三つ峠折口バス停に到着しました。次のバスが通る予定の2分前と言う、ギリギリの綱渡り的なゴールでした。
もっとも、この甲府と富士山駅間の路線バスは慢性的に遅延しているので、どの道次のバスは時刻表通りにはやってこないでしょうけれどね。
案の定、バスは10分以上遅れて現れました。乗車率はそこそこ高めで、一時期に比べて客足が戻りつつあるのを感じます。
20分少々バスに揺られて、河口湖駅へと到着しました。こうしてつつがなく、御坂山地越えは成されました。
大月行きの鈍行列車に揺られて、帰宅のに着きました・・・と言いたいところですが、この後にさらにもう一ヵ所寄り道をします。
8.おまけの寄り道編 新倉山浅間公園のライトアップを見物する
下吉田駅で途中下車します。お目当ては、桜の名所として名高い新倉山浅間公園です。ライトアップを実施中であると言う話を耳にして、急遽予定に組み入れました。
この新倉山浅間公園には昨年にも訪問しているのですが、その時は生憎の曇り空で目の前にあるはず富士山の姿が全く見えず、残念な結果となりました。本日はそのリターンマッチと言う訳です。
5重の塔がしっかりとライトアップされているのが、駅前からでもなんとなく見えています。それでは張り切って行ってみましょう。
タイミングの悪いことに橋を工事中で、やたらと遠回りを余儀なくされました。なにもよりによって、この道の利用者が最も多いであろう桜の季節に工事をしなくても良いのではなかろうか。
ここからひたすら長ーい階段を登るのですが、流石に光量不足でまともに写真を写せる状況になかったので、途中の様子はスパッと省略します。
と言う事で、場面は飛んで5重の塔の前まで登って来ました。この塔の正式に呼び名は忠霊塔といい、戦没者を慰霊する目的で建てられたものです。
日中には数時間の待ち時間が発生すると言う展望デッキも、この時間には至って空いておりました。
こうして忠霊塔はしっかりとライトアップがされていてよく見える訳なのですが、よくよく考えてみれば富士山はライトアップされていないのだから、当然ながら真っ暗な時間帯には一切その姿が見えません。
ライトアップと富士山とを同時に眺めたかったら、黄昏時の明るさがまだ残っている時間帯に訪れるか、もしくは月明かりがあるタイミングを狙うしかないと言う事ですな。
ダメもとで、富士山があるはずの方角にカメラを向けて30秒の長秒露出で撮影してみたら、肉眼では全く見えていなかった富士山の姿が、薄っすらと写っていました。
と言う事で、多重露光だのなんだのと色々と現像のテクニックを駆使して作ったこの嘘くさいカットでもって、今日一日を締めくくりたいと思います。
そうこうしている内に、次の電車の時間が近づいて来ました。大急ぎで撤収します。
春の笛吹市では、ピンクと黄色の花々が一斉に咲き誇り、春が大爆発を起こしていました。この地域にある山のベストな訪問時期は、間違いなく桃の花が咲く4月の上旬頃であろうかと思います。本文中でも述べましたが、何なら山登りは一切せずに、花の名所を巡り歩くだけでも、十分すぎるほどに満足できるかと思います。
御坂山地に属する山々はどこも比較的マイナーな山の扱いを受けがちですが、小粒ながらも外れが無く、文句なしの秀峰揃いであると思います。富士山を目の前に望むこれら大絶景の山々へと、繰り出してみては如何でしょうか。
<コースタイム>
檜峯神社入口バス停(9:35)-檜峯神社(10:50)-トビス峠(11:05)-大栃山(11:35~11:50)-トビス峠(12:15)-神座山(12:55)-釈迦ヶ岳(14:10~14:25)-日向坂峠(15:20)-黒岳(16:45)-三つ峠入口バス停(18:10)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキ様
鉄道会社はどこも経営が厳しいので多少の不便は致し方ないと思いますが、丹沢帰りの小田急の車両が6両編成だったのは衝撃で思わず「短か!」と言ってしまいました。
石和温泉周辺は登山以外で何度も行っているのに満開の桃は見たことが無いのですが、自分も桜より色の濃い桃のほうがキレイだと思いますのでベストシーズンに再訪したいです。
ちなみに、近場の日本百名山は登っているので次は山梨百名山をターゲットに考えているのですが、どこかおススメの山や山域は有りますでしょうか?
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
山梨百名山の中でも、あまりメジャーではないけれど隠れた名山として個人的にオススメなのは、小楢山と蛾ヶ岳です。どちらも公共交通機関を使って登ることが出来ます。後は釈迦ヶ岳や黒岳、十二ヶ岳など、御坂山地の山は基本どこも外れが無いと思います。
良き山梨百名山ライフを。