八海山 錦の紅葉と、修験の山の稜線上に続く試練の道

ロープウェイの駐車場付近から見た八海山
新潟県南魚沼市にある八海山(はっかいさん)に登りました。
米所として有名な魚沼盆地を見下ろす位置に立つ岩峰です。越後駒ケ岳と中ノ岳と合わせて、越後三山と呼ばれる山群を構成しています。古くから修験の山として知られる険しい岩峰であり、八ッ峰と呼ばれる岩場の稜線は、鎖場が連続する難所となっています。
紅葉の最盛期を迎えた修験の山で待っていたのは、スリル云々と言う次元を通り越した、命の危険を感じるような険しき道でした。

2019年11月2日に旅す。

 


warning!
八ッ峰コースは難所が連続する極めて危険なルートです。誰でも気軽に歩くことの出来る場所ではありません。
・このルートを歩くには、岩登りの技術か、もしくは腕だけで全体重を支えることの出来る腕力が必須です。できればその両方あった方が好ましいです。
・難易度は剱岳別山尾根よりも断然上です。剱岳の練習に訪問を考えている人は、順番を逆にした方が良いかと思います。

なんでこんなところに来てしまったのだろう。
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岩場は苦手だったはずではなかったのか。アルペン的な岩峰よりも、穏やかで放牧的な稜線の山の方が好みだと、常日頃から公言していたはずだったと言うのに。

今年の夏に剱岳に登って来たと言う経験により、ついつい気が大きくなってしまい魔がさしたとしか思えません。

という事で今回は、古くから修験の山として知られる岩峰、八海山へと登って来ました。恐らく世間一般的には日本酒の名前として認識されているであろう山ですが、日本酒の八海山はこの山の麓で製造されています。

八海山は紅葉の名所としても広く名を知られた存在であります。八ッ峰の手間にある薬師岳までであれば比較的安全に登ることが可能であり、紅葉シーズンには多くの登山者で賑わいます。
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4合目地点までロープウェイで上がることが出来るため、登山者のみならず、観光客も多く訪れます。酒蔵のツアーなどと合わせて、観光地としての一面も強く持ち合わせている山です。
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しかし、一たび八ッ峰エリアへと足を踏み入れると、この山の表情は一変します。そこには「手を離したら即墜落死」の世界が広がっていました。
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岩場が苦手な自称セーフ登山家がゆく、手に汗握る修験の山の訪問記をお届けします。

コース
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八海山ロープウェイ山頂駅よりスタートし、稜線沿いを登って薬師岳へ。薬師岳から、修験の道である八ッ峰を歩きます。帰りは巻き道を使い、元来たロープウェイ山頂駅へと戻ります。

八海山登山としては最も一般的な行程です。

 

1.八海山登山 アプローチ編 電車とバスを乗り継ぎ、八海山スキー場へ

7時45分 JR東京駅
秋の三連休初日と言うだけの事あって、東京駅は大混雑していました。
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もっとも、混んでいたのは向かいから発着する北陸新幹線の方であって、我らが上越新幹線の方は至って空いておりましたが。新潟方面と言うのは、秋の行楽地としての人気はいま一つなのでしょうか。

9時8分 越後湯沢駅に到着しました。
不評でまもなく引退すると言われていたこの2階建てのMAX号ですが、台風19号で北陸新幹線の車両が大量に水没した影響なのか、どうやら延命されたようですね。
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越後湯沢駅から在来線の超快速スノーラビット号に乗車し、六日町駅へ向かいます。超快速と言うのは快速よりもどれくらい早いのでしょうか。
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車窓からは、米所として名高い魚沼の長閑な田園風景が広がります。中央左寄りに見えているいるのが、本日の目的地である八海山です。
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9時29分 六日町駅に到着しました。越後湯沢駅からは途中停車なしの一駅です。だてに超快速を名乗ってはいません。
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9時40分発の八海山スキー場行きのバスに乗車します。公共交通機関を利用して八海山へ日帰りで登ろうとする場合、選択肢はこの便1本しかありません。乗り遅れの無いようにご注意ください。
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目指す八海山の姿が徐々に大きくなってきました。
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稜線が恐ろしくギザギザしているのが見えます。どうやらあの場所が八ッ峰であるようです。確かに見るからに険しそうな姿をしております。
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10時7分 八海山スキー場バス停に到着しました。ここまでの運賃は430円です。交通系ICカードには対応していません。小銭を用意しておきましょう。
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ロープウェイ乗り場は、バス停から少し登ったところにあります。車道沿いに登るよりも、左側にあるこの歩道を上がった方がいくらか近いです。
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今の所天気は、雲一つない素晴らしい快晴です。中腹付近の紅葉が良い感じに色づいており、格好の登山日和と言えそうです。
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ロープウェイで、標高1,150メートル地点の4合目まで一気に上がります。
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ロープウェイを使わずに麓から登れる道も存在しますが、この後に待ち構える八ッ峰歩きに備えて、ここは少しでも体力を温存しておいた方が良いでしょう。

山頂駅まで料金は往復で1,800円です。普段は20分間隔での運転ですが、多客時には10分間隔となります。おかげで、さほどの待ち時間もなくスムーズに乗れました。
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山頂駅まではおよそ7分ほどの空中散歩です。ロープウェイから見た紅葉は、今がまさに見頃の最盛期を迎えていました。
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眼下に広がるのは、魚沼盆地の大パノラマです。ホントに良いお天気です。登る前からすでに、今日一日の勝利を確信してしまうような光景です。途中で落っこちなければね!
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10時27分 ロープウェイ山頂駅に到着しました。八海山スキー場のゲレンデ最上部となる場所です。
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ゲレンデの最上部から光景はこの通り、素晴らしいの一言です。別に山登りなどせずとも、これだけでもう十分ではないかと思えてくるほどです。
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巻機山(1,967m)がすぐ近くに見えます。日本百名山にも選ばれている一座ですが、その割には人気知名度共にあまりない不遇の山です。交通アクセスがイマイチよくないのが原因でしょうかね。
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2.紅葉の最盛期を迎えた尾根道を歩き薬師岳へ

手早く身支度を整えて、10時30分登山を開始します。ロープウェイ最終便の発車時刻は17時です。それまでには戻ってこなければならないので、あまり時間に余裕はありません。
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鳥居の先の階段を登ったところに展望台があります。ここまではまだ観光地エリアです。
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何やらいかめしい表情を浮かべた神様の像がありました。修験の山っぽさを演出する小道具が満載です。
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ここからようやく登山の領域へと入って行きます。
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登り始めてからしばしの間は、木道の整備された緩やかな道が続きます。
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陽の光を浴びて輝く紅葉が、青空によく映えていました。なんだ、最高じゃないか。
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赤いものはあまりなく、黄色とオレンジの葉が目立ちます。良い色に染まっておりますなあ。
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手間の丸っこい山頂部をもつピークが薬師岳で、その後ろにギザギザの八ツ峰が連なっているのが見えます。薬師岳までであれば、一般登山道レベルの普通の山道です。
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なお八海山の登山道と言うのは、稜線に出るまは基本的にどこも、水はけが悪いドロドロのグチャグチャの道です。転ばないように慎重に。
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薬師岳が徐々に大きくなって行きます。八海山という名前は、八ツ峰を含むいくつかのピークの総称であり、八海山と言う名前のピークは存在しません。
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眼下に見下ろす山の斜面は、どこも良い感じに鮮やかなオレンジ色に染まっていました。うーん、秋ですねえ。
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いかにも豪雪地帯の山らしい、雪の重みにまけて横向きに育った木の姿が目立ちます。
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ハシゴなども登場し、道は徐々に険しさを増して来ました。
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やがて前方に、小屋の姿が見えて来ました。
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11時25分 女人堂に到着しました。修験の山である八海山は、かつては女人禁制の山でした。当時女性が立ち入ることが出来たのは、ここまでであったとのことです。
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女人堂に立つ避難小屋です。収容人数20人ほどの小さな小屋で、バイオトイレがあります。
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薬師岳へと向かいましょう。女人堂からの標準コースタイムは1時間の行程です。
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途中に祓川と言う名の小川があり水を取れます。冷たくておいしい。
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割とガッツリ登らされます。ロープウェイを使えば、少し登っただけですぐに八ツ峰のクサリ場が始まるものなのだと勝手に思い込んでいましたが、薬師岳までは意外と遠いです。
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急坂ゆえに、女人堂があっという間に小さくなりました。グイグイと標高をあげて行きます。
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クサリ場が現れました。傾斜自体は大したことがありませんが、濡れていて滑るのがヤな感じです。
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もっともこの鎖場などは、この後に始まる八ツ峰のクサリ場とと比べれば、序の口にすらなってはいませんでしたがね。

クサリ場を登りきると、広々として視界の開けた場所へと飛び出しました。
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12時10分 薬師岳に登頂しました。八海山の8合目と言う扱いになっているピークです。8合目とは言っても、この先にはもうあまり大きな標高差は無く、ここからでも十分すぎるほどに素晴らしい眺望を得ることが出来ます。
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眼下に広がるは、広大なる魚沼の田園地帯です。左奥には薄っすらと妙高山(2,454m)の姿が見えています
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背後には、八海山と共に越後三山を構成している越後駒ヶ岳(2,003m)と中ノ岳(2,085m)の姿が見えます。
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この2座はだいぶ前より「いつか登りたい山リスト」に名を連ねておりますが、交通アクセスが絶望的なまでに悪くて、いまだに訪問がかなってはおりません。どちらも基本的には、車が無いヤツお断りな山です。

金に糸目をつけずに、銀山平までタクシーで乗り付けるしかないのか。

左奥に見えているのが浅草岳(1,586m)で、手前が毛猛山(1,517m)かな。なじみの薄い山域なので、イマイチ同定に自信がありませんが。
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これは恐らく守門岳(1,537m)です。冬になると、日本海側から吹き付ける強風により大雪庇が出来ることで有名な山です。
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そしていよいよ前方に、異様な姿をした八ツ峰がその姿を現しました。・・・本当に登れるんですか、アレに。
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12時15分 薬師岳と八ツ峰の鞍部に立つ八海山避難小屋に到着しました。さあここからがいよいよ八海山の真骨頂です。修験の道が始まります。
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3.手を離せば即墜落。手に汗握る修験の山の岩尾根歩き

12時25分 よせばいいのに八ツ峰へと足を踏み入れます。この目の前の岸壁は、流石に直接は登れないと見えて、右へと回り込みます。
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クサリ場よりも、こういう片側の切れ落ちた何気ないトラバースの方が、地味に神経がすり減ります。足を滑らせたら最後、転げ落ちますからね。
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ここで直進してトラバースを続ける巻き道ルートと、尾根上に上がる八ツ峰ルートに分かれます。ここは当然、八ツ峰ルートへと進みます。そのために来たのですから。
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濡れて滑る岩場をよじ登ります。今の所は傾斜も大したことは無く、まだ一般登山道レベルです。
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尾根の上にまで上がると、まるで地蔵の頭の様な奇岩が出迎えてくれました。
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まずは一つ目の峰、地蔵岳です。名前の由来は、当然ながら先ほどの岩でしょうな。
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ここから尾根伝いに進んで行きます。ぱっと見ではわからないですが、八ツ峰の名が示す通り、この尾根上には全部で八つのピークが連なっています。
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やはりクサリ場よりも、こういうのクサリの無いトラバースの方が恐ろしい。掴めるものが枯草くらいしか無いと言うのが、なんともね。
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眼下の谷間に広がる紅葉が実に見事です。・・・って、よそ見していると危ないですよ。
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ほぼ垂直の傾斜のクサリ場が現れました。割とデコボコしていて突起が多い岩なので、登る分には見た目ほど難しくはありません。
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登り切った所が、二つ目のピーク不動岳です。
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修験の山っぽさを演出する小道具が、所狭しと並んでしました。いろいろありすぎて、何が何だかよくわかりません。
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振り返って見た避難小屋。左下には、スタート地点のロープウェイ山頂駅も見えました。こうして見ると、意外とコンパクトに纏まった山です。
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避難小屋の下に連なっているこの尾根は、屏風道と呼ばれています。ここから登って来ることも可能ですが、極めて危険な道のため、登りのみで下ることは禁止されています。
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前方になにやら恐ろし気な突起があるのが凄く気になります。このあと当然、アレにも登るってことですよね。
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この不動岳までであれば、一般登山道レベルの道であると言えます。ここから先は難易度が一気に上がってきます。自信の無い人はここまでにしておくと良いでしょう。
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偉そうなことを言っているけれど、お前もここで引き返した方が良いんじゃないのかね?

不動岳から一度大きく下ります。今こうして写真を見返してみても、どこをどう下りたのかイマイチ思い出せません。確か足がかりが全然なくて、クサリを頼りに腕力でグイグイと下りてしまったような。
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下った後は当然登り返し。日陰の部分は相変わらず濡れていてグチャグチャです。
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振り返って見た不動岳は、このような姿をしています。もし鎖が無かったら、そもそも登ってみようとは思わないでしょうな。
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登り切った所が五大岳とありました。地図を見ると七曜岳と言う名のはずなのですが、はて?
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道筋らしきものが全く見えないのですが、この岩のどこをどうのぼるのでしょうかね。
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こう言う鎖が無くてどこを歩くのかが良くわからない場所は、大抵は尾根上を忠実に直登が正解です。
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またもや苦手なトラバースです。オーケイ落ち着け俺。下を見るな、下を見るな・・・
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こう言う怖い場所はなるべくササッと通り抜けたくなるのが人情ですが、焦るのは禁物です。足場を探りながら、一歩一歩丁寧に進みましょう。

トラバースからの垂直登りです。鎖は補助だとは言いますが、足場があまりに頼りにならな過ぎて、結局は腕の力頼みになってしまいます。
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脇に視線を向けるとこんなです。八海山と言うのは、怪我をする人はあまりいない山であると思われます。・・・落ちたら怪我では済みませんからね。
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かすれていてよく見えませんが、ここが4番目の白河岳です。ようやく半分ですね。
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後半戦のピーク達が前方に文字通り立ちはだかります。トラバースできるような余地はほとんどなく、直登する以外の選択肢がなさそうな姿をしています。
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ここでまた一旦大きく下ります。高度感は抜群ですが、傾斜自体は大したことなく、さほど難しくはありませんでした。
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下りたところが釈迦岳です。この大理石の山頂標識は寄贈品らしく、寄贈者の名前が刻まれていました。
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裏を見ると何故かここが白川岳という事になっております。あれれ?先ほどから、地図の記載と山頂標識とがあっておりません。正しいのはどちらなのでしょうか。
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この釈迦岳なのか白川岳なのかどちらかを下ったところで、一度巻き道と合流します。
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八ツ峰を途中でエスケープできる場所は、この一ヵ所にしかありません。この先はさらに難易度が上がります。ここまでの道で既にビビッてしまっている人は、大人しく脱出した方が良いかと思います。
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かく言う私自身も、既にその表情からは笑いが消えております。さあどうしたものか。行くか、それとも退くか。

「行けるところまでは行く」これは何も八海山に限った話ではない、私の山に対する基本的なスタンスです。ちょっとおっかないと言うだけで、まだ撤退を決意させるほどの決定的な場面には遭遇していません。という事で続行します。
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八ツ峰を歩く間、越後駒ヶ岳が常に傍らにあり続けます。昔の修験者も、こうやってたまに立ち止まっては隣の山を眺めて、高ぶった気分を落ち着かせていたのでしょうか。
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二つの岩の隙間に掛けられたハシゴを登ります。なるほど、道らしきものが見えないと思ったら、岩の間に隠れていましたか。
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そしてクサリの登りです。段々と感覚がマヒしてきて、この程度の傾斜では何も感じなくなってきました。
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6番目の摩利支岳に到着しました。ここは灌木すらない剥き出しの岩場で、八ツ峰の中でも特に眺望にすぐれています。
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振り返って見た不動岳方面の光景です。修験の道を歩くものにしか眺めることが叶わない、圧巻の景色が広がります。
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遠く彼方に居並ぶのは、北アルプスは後ろ立山連峰の山並みです。避難小屋付近から眺めた時よりも霞が取れてきて、遠くまでがよく見えました。
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たぶん浅草岳だと思われる山の背後に、薄っすらと山脈が連なっているのが見えます。あれはいったいどの辺りなのでしょう。
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先へ進みましょう。またもやエグイ傾斜の下りです。そして、その後の登り返しが見事なナイフリッジ状になっているのが気になる所です。
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いつの間にか陽がすっかり西に傾いて、見事な影八海山が映っていました。
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下ったらその後は当然登り返し。途中に剣ヶ峰と言うピークがあったようなのですが、どこなのか気づかずに素通りしてしまいました。
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またもや恐怖のトラバースからの登りです。登りの方は、途中から傾斜が完全に90度に達します。この日の全行程の中でも、一番恐怖を感じたのはここでした。
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もし仮にここを引き返せと言われても、正直なところ下れる自信が全くありません。

90度の壁を鎖頼りに乗り切ると、お次はハシゴからの鎖です。こちらも角度はぼ垂直です。
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つま先をしっかりとひっかけられるだけの突起が無く、ここも結局は鎖頼みに強引に登り切りました。
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登り切った所で、今度こそ山頂に到着しました。
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13時45分 八ツ峰最高地点の大日岳に登頂しました。八海山避難小屋を出てから1時間と20分での登頂です。いやはや緊張しました。やはり私は岩場は苦手です。
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山頂には可愛らしい大神様がいました。
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尾根はこの後、お隣の入道岳へと続いています。八海山の最高地点は実はあの入道岳の方であったりするのですが、まあ八ツ峰だけでもうすでにお腹がいっぱいです。
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4.そして、核心部は登頂後に訪れる

さあ、後はもう下山するだけです。帰りは元来た道は戻らずに巻き道を使います。
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という事で、巻き道方面への分岐へと向かいたい訳なのですが、前方になにやら先の見えない絶壁に向かって鎖が伸びております。

これまたほぼ垂直に近い角度の、長ーいクサリ場です。高さは10メート以上はあるかな。
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途中で立ち止まって休むことの出来るポイントが2ヵ所だけありました。それ以外の場所では、手を離せば即墜落です。腕の力が無くなってしまう前に、素早くスルスルと下りましょう。

下りきって振り返るとこんな感じです。まったく、最後の最後まで油断のならない山ですな。
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クサリ場下の岩に、慰霊の碑文が埋め込まれていました。途中で力尽き、手を放してしまったのでしょうか。
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そして、ほぼ垂直の岩場は一つではなく二つあります。これは下りきってから振り返って見たところです。少々気が動転していたのか、二つ目の方は何故か上から見下ろすアングルの写真を一枚も撮ってはおりませんでした。
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真下に立って見上げるとこんな感じです。これは逆に登れと言われても、登り切れるか自信がありません。
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スタート地点の八海山スキー場が眼下に見えます。
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遠くに見えているこのピラミダルな山は一体何でしょうか。まったくわかりません。
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さて、時刻はすでに14時を回っています。時間も大分押しているので、やはり入道岳はパスしてこのまま巻き道から撤収に移ることにします。
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まずは連続するハシゴで、一気に標高を落とします。
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ハシゴ地帯が終わると、今度は崖際のトラバースです。・・・クサリは無いんですかここ。怖いんですけれど。
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トラバース地帯を抜けると、ようやく道幅が広がり人心地ち着くことが出来ました。
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下から見上げた摩利支岳と大日岳は、こんな姿をしておりました。
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八ツ峰コースのエスケープポイントを通り過ぎます。あれだけ苦労して歩いた道も、巻き道をたどるとあっという間です。
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この後も、岩場の下をトラバースする道がしばし続きます。
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巻き道とは言っても油断はなりません。このルートも結構険しい道です。薬師岳より先の八海山には、安全なルートなどは存在しないものと考えていた方が良いです。
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一体これのどこが巻き道なんだと、思わず突っ込みたくなる道が続きます。
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神経をすり減らす道がしばし続いたのち、ようやく避難小屋が見えて来ました。やれやれ、やっとこの緊張状態から解放される。
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15時5分 八海山避難小屋まで戻って来ました。これでひとまずは、危険地帯からは脱しました。
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5.八海山登山 下山編 陽が沈み始めるなかを足早に下山

何時の間にやらすっかりと陽が傾き、オレンジ色がかった西日が越後駒ヶ岳を照らしていました。
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八ツ峰もこれで見納めです。
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夕闇が迫りつつある山中を、足早に駆け降りて行きます。
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西日に照らされた紅葉と言うのもまた、独特の趣があって良いものですな。時間があまりないと言うのに、ついつい立ち止まって撮影に興じてしまいます。
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夕日が地平線に向かって沈んで行きます。すべてのものが美しく目に映る時間帯です。
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16時35分 周囲が夕闇に包まれる前に、何とかロープウェイ山頂駅まで戻ってこれました。
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靴洗い場があったので、靴の泥を洗いとします。かなり惨いことになっていたので、これは大変ありがたかったです。
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下りのロープウェイには、長蛇の待ち行列が発生していました。結局乗ることが出来たのは、最終便である17時の便でした。
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ちなみに、帰りのバスの発車時刻は17時10分です。ロープウェイ最終便で下った場合、乗り換え時間は3分しかありません。
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という事で、ゴンドラから下りるなり全力疾走して、何とかバスに転がり込みました。
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その後は朝来た時のルートを逆にたどり、帰宅の途につきました。
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実力不相応な山に登ってしまった。これが八海山登山を終えてからの率直な感想です。
八海山に登った翌日、私は両腕の極度の筋肉痛に大いに苦しめられました。それだけ腕の力に頼ってしまったという事の証左であり、根本的に岩場歩行の技術がまったく不足していたことを示しています。
岩場の山と言えば剱岳の別山尾根が有名かと思いますが、難易度で言うと八海山の方が断然上です。剱岳の方は、手がかり足掛かりが割とはっきりしており、どこに足を置くべきかで悩むような場面は殆どありません。対して八海山は、無造作に鎖が一本垂らされているだけで、どこに足をかけるべきか常に自分で考えながら上り下りする必要があります。結果として、腕の力に頼って乗り切ってしまう場面が多々発生することとなりました。
特に後半の方は殆どが腕力頼みで、生きた心地がしませんでした。正直なところ、一度登ればもうお腹いっぱいな山です。おそらく再訪は無いかな。。
岩場歩きに自信ありと言う方は、腕試しにこのデンジャラスな山へと足を運んでみてはいかがでしょうか。くれぐれも無理だけはせず、不安を感じたら途中で引き返すようにして下さい。無理をして八ツ峰を歩かずとも、薬師岳まででも十分すぎるほどに素晴らしい光景に出会えますから。

<コースタイム>
八海山ロープウェイ山頂駅(10:30)-女人堂(11:25~11:35)-薬師岳(12:10)-八海山避難小屋(12:15~12:25)-地蔵岳(12:40)-白川岳(13:20)-大日岳(13:45)-巻き道分岐(14:10)-八海山避難小屋(15:05)-女人堂(15:50)-八海山ロープウェイ山頂駅(16:35)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. しょうへい より:

    オオツキさんの記事を読んで、読みながらこっちまで緊張してしまったのはこれが初めてじゃないかな。。(笑)。すごい峻厳な山でしたね。自分は全く登る自信ないかも。ご無事で下山何よりです。それにしても天候は、雲一つない快晴で素晴らしい景色の連続でした。秋晴れの気持ちよさが伝わってくる感じがしましたよ。今回、読みながら緊張と緩和の両方を味わえるという、印象深い記事でした。

  2. オオツキ より:

    >>1
    しょうへい様
    コメントをありがとうございます。
    あまり安易に「楽しかった!この山オススメです」と言えるような山でもないので、注意喚起の意味を込めて意図的に少しばかり危険性を盛った演出をしております。岩慣れしている人であれば、普通に歩けるのではないでしょうか。
    ・・・と偉そうなことを言っている当の私自身が、そもそも「岩慣れしている人」ではありませんが。

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