東京都八王子市にある高尾梅郷(たかおうめきょう)を歩いてきました。
高尾から小仏に至る旧甲州街道沿い点在する梅園の総称です。その中でも特に、合計1400本もの梅が栽培されている木下沢梅林(こけざわばいりん)の光景は圧巻です。
梅香る奥高尾の古道を、のんびり散策してきました。
2019年3月10日に旅す。
普段から京王線をご利用している人であるならば、駅の京王PRボードに掲げられたこの梅林の光景を毎日眼にしているのではないでしょうか。
これこそが今回の舞台である高尾梅郷にある、木下沢梅林です。
高尾梅郷とは、旧甲州街道に沿うようにして存在する梅園の総称です。遊歩道梅林、関所梅林、天神梅林、荒井梅林、するさし梅林、木下沢梅林および小仏梅林の計七ヵ所です。
毎年見ごろを迎える3月中旬にあわせて、高尾梅郷梅まつりが開催されます。軽食を売る出店の他に、各梅林を巡るスタンプラリーや演奏会などが催されます。
生憎の曇り予報となった週末の日曜日。午前中の僅かな晴れ間をついて、梅林巡りへと繰り出して来ました。
コース
高尾山口駅よりスタートし、七ヵ所の梅園を巡りながら小仏バス停を目指します。ゆっくり歩いても2時間程度で行程です。(各梅林での散策時間は除きます)
1.南浅川沿いを彩どる、遊歩道梅林
7時5分 京王線某駅
本日は午後からは天気が崩れると言う予報が出ております。近場ではありますが、比較的早くに始動しました。
目的地の高尾梅郷の写真が掲げられていました。山腹に広がる見事な紅白模様です。なかなか期待できそうですな。
この掲示板は京王PRボードと称していますが、実質的に高尾PRボードと化している感があります。京王線は割と通勤通学需要に特化していると言うか、箱根を擁する小田急と比べて観光面では弱いイメージです。
7時50分 高尾山口駅に到着しました。高尾山にしては珍しく空いております。高尾山のハイシーズンがいつなのかは知りませんが、3月中旬と言うのはあまり人気の無い時期なのでしょうか。
今の所は素晴らしい青空が広がっています。ずっとこの調子のままだと嬉しいのですけれどね。
高尾梅郷に向かうにはまず、トリックアート美術館方向に進み京王線のガードをくぐります。
南浅川にかかる上椚田橋を渡ったら左に曲がります。橋を渡る前に曲がると行きどまりなので、お間違えの無いようご注意ください。
ここが最初の梅園である遊歩道梅園です。その名が示す通り、川沿いの遊歩道が梅園となっています。
桜の木が並ぶ光景を桜並木と言いうのに、梅並木と言う言葉は聞いたことがありません。いったい何故なのでしょう。
早起きした甲斐あって、見事な青空の下の梅の姿を見ることが出来ました。やはり花は青空にこそよく映えます。
梅まつりの開演時間は9時以降になってからですが、既に見物客の姿もチラホラとありました。
2.梅まつり会場がある関所梅園と、中央本線を見下ろす荒井梅園
川辺から歩いて5分とかからない場所に、関所梅園がありました。その名が示す通り、この場所には江戸時代に関所が設置されていました。
ちなみにこの道は、現在の大垂水峠経由のルートに付け替えられる以前の甲州街道の旧道で、小仏峠まで続いています。
関所の跡地は公園となっており、小規模ながら梅林も存在します。
ここでは梅よりも、どちらかと言うとこのサンシュユの姿の方が大きく目に止まりました。
今がちょうど満開と言ったところでしょうか。ちなみにこの花も、春の季語として扱われるくらいこの季節定番の花です。
公園では演奏会の会場が設営されている真っ最中でした。本日は天候の都合で朝早くから始動しましたが、梅まつりそのものを楽しみたければ、朝はもう少しゆっくりとお出かけになった方が良いと思います。
さあどんどん行きましょう。さらなる奥地の梅林を目指して、道なりに進みます。
お次の荒井梅園へと向かいます。荒井バス停が現れたら、右折して中央線のガードをくぐります。
とまあ、今さらルートを解説したところで、この記事が投降される頃にはきっともう梅のシーズンは終了してしまっていることでしょう。この情報が誰かの役に立つのは、来年以降になるという事です。毎度遅筆で申し訳ございません。。
荒井梅園は坂を登った先の小高い場所にあります。という事で、えっちらおっちらと登ります。
麗らかなる里山の光景に癒されます。背後に見えている圏央道の橋脚が、景観の全てをぶち壊しにしている感はありますが。
旧甲州街道からすこし離れた場所にあるためか、荒井梅園は訪れる人も少ない穴場です。静かな場所でゆっくりと梅を見物したい人にはお勧めです。
眼下には、この後に向かう予定の天神梅林がみえます。小規模ながら、山腹の一部が見事な紅白模様になっています。
すぐ下を中央本線が走っているので、格好の撮鉄スポットです。この先頭が黄色い車両は、富士急線直通のホリデー快速富士山号です。
3.清水が湧く天神梅林と、物産展会場があるするさし梅林
高尾山1号路のある、金毘羅尾根の斜面つくられた梅林です。言ってみれば、この場所も広義には高尾山の一部だと言う事です。
パイプから出ている水を見ると、ついつい無条件で口にしてしまうのは、ハイカーならではの行動と言ったところでしょうか。
生水を飲んでも良いとはどこにも書いてはおりませなんだが、冷たくておいしい水でした。その後特に腹痛等に見舞われたりしていないので、たぶん大丈夫なのでしょう。
提灯がぶら下がっていました。これは、夜になるとライトアップされるのでしょうか。
身も蓋もないことを言うようですが、梅林と言うのは中に入って眺めるよりも、少し離れた位置から遠巻きにして眺めた方が良い感じです。内側からだと、全容が良くわかりませんからね。
奥へと進みます。ただでさえ狭い道なのに、梅まつりのために増発されているのであろうバスがひっきりなしに往来して、軽い渋滞状態です。
またもや水場がありました。そしてまたもや何の躊躇もなしに口にします。冷たくておいしい。
圏央道の橋脚が頭上高くにそびえ立ちます。こんなでっけえモンをよう作るなあ。
またもや梅まつり会場が設営されていました。今回私は集めておりませんが、ここもスタンプラリーのチェックポイントの一つです。
会場がバラけてしまっているせいか、祭りとは言ってもあまり一体感が感じられません。それを解消するためのスタンプラリーなのでしょうけれど。
沿道も今まさに花満開です。旧甲州街道沿いにただ歩くだけでも、十分すぎるほどの梅見が出来ます。
今度は湯の花梅林です。こちららの梅林には中へ入ることはできず、道すがらに眺めるだけです。
湯の花梅林すぐ先に、次なる梅林のするさし梅林が現れました。再び川の対岸へと渡ります。
何故か看板がひらがな表記ですが、漢字で書くと摺差です。難読地名だからひらがな記載にしたのだろうか。
するさし梅林の梅は、鑑賞用ではなく実際に梅の実を収穫するためのものらしく、背が低くなるように刈り込まれれていました。
ここにも会場が設営されていました。古着の販売などのフリーマーケットが軒先を並べており、外部から来た人間向けと言うよりは、地元の人たちの年に一度のお祭りと言った雰囲気です。
4.小仏方面へ向かって、甲州街道旧道の奥地へと進む
相変わらずバスが引っ切り無しに往来する狭い道を、どんどん奥へと進みます。
ミツマタもちょうど今が満開時です。梅の薄っすらとした上品な香りとはだいぶ趣の異なる、強烈な芳香が辺りに立ち込めます。
そうそう。前々から欲しい欲しい言っていたマクロレンズを、最近ようやく手に入れました。という事で、早速クローズアップしてみます。
続いて梅の花をクローズアップ。こうして見ると、まるで磯の生き物みたいな姿ですね。
小指の先端以下の大きさのオオイヌフグリですら、接写すればこの大きさで写せます。まさにマクロな世界です。
マス釣り場と言うのは、名称の頭に必ず「国際」と付いているような気がするのですが、一体何故なのでしょう??
日影バス停まで歩いて来ました。他の梅林はすっ飛ばして木下沢梅林のみに訪れたい場合は、ここか最寄りのバス停となります。
しかし、思いっきり日向にあるのに日影バス停とは、名称に偽りありです。
元日早々に目晦ましを食らわせられた、日影沢林道の入り口を通過します。
中央本線の高尾-上野原間が開通したのは、実に明治34年の出来事です。そんな訳で、歴史を感じさせられるレンガ造りのアーチがありました。
アーチをくぐってすぐに、分岐があります。本日のメインにベントとでもいうべき木下沢梅林へ行くには、ここを右折です。
5.高尾梅郷最大の見せ場、木下沢梅林
早速梅林が見えてきました。合計1,400本もの梅が栽培されているとのことなので、かなりの規模です。なかなか期待できそうですね。
ここは私有地なので、普段は立ち入り禁止です。梅の開花期間に限り、特別に解放されています。
かくしてそこには、京王PRボードに掲げられている通りの光景が広がっていまいした。この梅林は中央自動車を走っている車からも一瞬チラッと見えるので、気になっているドライバーも多いのではなかろうか。
背後の土手の上に、梅林全体を見渡せそうなスペースがあったので上がってみます。
という事で、木下沢梅林の全容はこのようになっております。駐車場が景観をぶち壊しにしてしまっているのが、少々残念なところではあります。
京王PRボードの写真は、この駐車場がフレーム内に入らないような、巧みなアングルで撮影していますよね。さすがはプロの仕事だと賞賛すべきなのか。
天神梅林でも思ったことですが、梅林の中に入ってしまうとイマイチ面白くはありません。梅林と言うのは遠巻きに眺めた方が、どこか幻想的な雰囲気で良い感じだと思います。
売店があったので、おやつ用に桜餅を購入して少々休憩を取りました。
帰路に格好の撮り鉄スポットがあったので、せっかくなので少し待機して通り抜けるのを待ちます。
頭がちょっと架線にかかってしまいました。ベストアングルで捉えるのはなかなか難しいいものですなあ。
6.高尾梅郷の最後のオマケ、小仏梅林
小仏バス停に向かいます。沿道には梅が立ち並び、小仏梅林と呼ばれています。小規模ながらこの小仏梅林こそが、高尾梅郷の最初の梅林だったのだそうです。
朝にはあれほどの青空が広がっていたのに、いつの間にやら予報の通りの曇り空に変わっていました。
中央本線の小仏トンネルまで歩いてきました。このトンネルを抜けると、そこはもう神奈川県です。
それにしてもこの旧甲州街道は、ただ歩いているだけで撮り鉄が大いに捗りますな。
10時58分 小仏バス停に到着しました。天気がもつのだったら、このまま甲州街道跡に沿って進み、小仏峠を越えて相模湖に抜けると言うのも良いプランかもしれません。
本日はもうすでに、頭上を曇り空が覆いつつあったので、素直に高尾行きのバスに乗り込み、そのまま帰宅の途につきました。
奥高尾の旧街道沿いを巡るお散歩はこれに終了です。
以前よりずっと気になっていた、京王PRボードに掲げられた光景を実際に目にすることが出来て、大いに満足しました。木下沢梅林のスケールはかなりのもので、わざわざ遠路はるばる筑波山や湯河原まで出かけずとも、ここで充分なのではないかと思わせてくれるだけの光景でした。
口コミで徐々に知名度が上昇しつつあるので、そのうち多くの人でごった返す人気のスポットに化けてしまう可能性は十分にあります。まだあまり名の知られていないうちに、穴場の梅林へ一足早くに春の到来を感じるお散歩へと、繰り出してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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