栃木県の栃木市と佐野市にまたがる三毳山(みかもやま)に登りました。
関東平野の北の外れに位置する標高233メートルの山です。春の妖精の異名をもつユリ科の花カタクリの大規模な群生地がある山として知られています。低山ながらその立地上、関東平野を広く見渡すことの出来る好展望地でもあります。
春のうららかな陽気の中、のんびりと散歩登山を楽しんで来ました。
2018年3月24日に旅す。
三毳山は関東平野北部の平地の只中にある、標高がたったの229メートルしかない低山です。端から見た姿は山と言うよりは丘と言った方がシックリと来るかもしれません。
この山の山腹に、カタクリの里と呼ばれる大規模なカタクリ群生地があります。満開を迎える季節が訪れると、多くの見物客で賑わいます。
まるで地面に紫色の絨毯を敷き詰めたのが如き光景は、見る者を圧倒します。
三毳山はほぼ全域がみかも山公園として整備されており、カタクリの他にも多種多様な春の花々が咲き誇ります。フラワートレインという名の牽引式車両が園内を巡回しており、山道を歩かずとも園内を見て回ることが可能です。
と言うことで、今回は登山というよりは物見遊山気分で栃木県へと繰り出します。
コース
北側にあるカタクリの里からスタートし、最高峰の青竜ヶ岳へ登頂。その後、南端にある道の駅みかもまで歩きます。三毳山の全域を縦断するコースです。
1.三毳山登山 アプローチ編 最寄り駅と言いつつも、実はあまり近くはない岩船駅へ
6時58分 JR赤羽駅
ここから宇都宮線直通の快速ラビットに乗り込み、小山駅を目指します。東武線を利用した方が約400円ほど運賃が安く上がりますが、乗換え回数が多くて面倒だったので、割高なのは承知でJRにしました。
7時53分 約1時間の乗車時間で、小山駅に到着しました。「こやま」と読むのだとばかり思っておりましたが、「おやま」と読むのですね。
その昔、テレビの全国CMをバシバシと打っていた小山遊園地があった場所です。とっくの昔に廃園になってしまっているようですが。
新幹線によって青空を奪われたホームから、両毛線に乗り換えます。
両毛線という名前を聞いた時に、何故かふと「毛利氏の吉川、小早川、両川」と言う単語が脳裏に浮かました。・・私の脳細胞は、いったいどんな連想ゲームを繰り広げたのでしょう。
三毳山の最寄と言える駅は岩船駅のほかに、東武線の静和駅も十分に徒歩圏の距離にあります。また、佐野駅から出ている路線バスでもアクセスできます。
目指す三毳山はこの通り、駅のホームから見えています。すぐ近くのように見えるかも知れませんが、徒歩でおよそ1時間の距離です。
駅の裏手に異様な姿でそびえ立つ岩舟山(173m)。江戸時代から続く岩舟岩の採石場として、長きに渡って採掘が行われてきた山です。現在でも北側で採掘が行われています。
2.地味に結構長い三毳山への道程
三毳山に向かって、のどかな田園風景の中を歩いていきます。なお、駅前に三毳山までの道筋を示す案内図等はありません。
まあ、駅の周囲には視界を遮るものの無い畑が広がっており、最初から目的地は見えているので、まず迷うことは無いでしょう。
一応道標は存在します。三毳山やカタクリの里の名は見当たりませんが、慈覚大師生誕の地と言う場所がほぼカタクリの里と隣接しているので、そこを目指せば問題ありません。
沿道にはすっかり春の光景が広がっていました。つい最近まで雪が降っていたりしたと言うのに、季節の移ろいと言うのは早いものです。
途中にコンビニがあったので、ここで食料と飲み物を調達しました。ちなみに、岩舟駅前には商店と呼べるものが1軒も存在しません。
コンビニのあった交差点から、やけに交通量の多い県道沿いにしばらく歩いたところで、カタクリの里入り口が見えてきました。
歩いてきた私には関係の無いことですが、かたくりの花まつり開催期間中は駐車場が有料です。
みかも山公園には無料の駐車場が何箇所か存在するので、公園内を広く散策するつもりがあるのであれば、この駐車場にこだわる必要はありません。
9時10分 カタクリの里に到着しました。岩舟駅からは徒歩で50分ほどかかりました。
ハイカーの感覚で言えば大した距離ではありませんでしたが、一般的な観光客であればタクシーに乗るべき距離だと考えた方が良さそうです。
3.一面が紫色に染まった、満開を迎えたカタクリの里
案内に沿って群生地へと向かいます。入り口から5分くらいの距離です。
沿道に水芭蕉が咲いていました。春先の水辺に咲く花です。尾瀬ヶ原の湿原が群生地として有名です。
演奏イベントが行われるらしく、舞台ステージでリハーサルが行われていました。
鹿除けのゲートを通って、いよいよお目当ての群生地の中に入ります。
中に入るなり、目の前に紫色の絨毯が飛び込んできました。これは思っていた以上に凄い。
凄まじい密集度で咲いています。これほどの大規模な群生地は、他ではお目にかかったことがありません。
カタクリを見に行くのであれば、必ず晴天の日にお出掛けください。何故ならば、カタクリの花弁は日の光を浴びないと開かないからです。これは開きかけているところです。
春の妖精という通称の印象通りな、可憐な姿の花ですね。
多年草であるカタクリは、発芽から開花するまでに7~8年を要します。それまではずっと、地面の下で成長を続けるのだそうです。蝉みたいな奴ですな。
カタクリの根茎から取れたデンプンは、昔は本当に片栗粉の原料として使われていたこともあるのだそうです。現在の片栗粉はジャガイモから作られています。
バズーカ砲のような望遠レンズを構えている人が多数いました。なるほど、花を撮るには望遠があったほうがいいのですね。
4.最高峰の青竜ヶ岳から三毳陣屋までを縦走する
さて、カタクリも沢山見れたし、もうどうでもいいかなと言う気分ではありましたが、ピークハンターとしての務めを果たすため、一応は山頂の土を踏みに行きましょうかね。
登山道は大変良く整備されています。道標も数多く設置されており、道迷いの心配はありません。
三毳山のある一帯は、山と高原地図には掲載されていないエリアです。と言うわけで、本日は地図も持たずに歩いております。地図が必要になるような山ではありませんからね。
振り返ると行きしに脇を通った岩舟山の姿が一望できました。低山ながら、えらくカッコイイ姿をしておりますな。
まだ登り始めて30分と経過していないと言うのに、早くも頂上が見えてきまいした。
10時20分 青竜ヶ岳に登頂です。ここが三毳山の最高地点となります。最高地点といってもたったの229メートルしかありませんが。
山頂の様子
地上波テレビのアンテナ施設が、さほど広くは無い山頂スペースの大半を占拠しています。休憩には不向きかも知れません。
平地にある低山ゆえに町が非常に近い。すぐ脇を東北自動車道が通っているため、車の音が常時聞こえてきます。
遠くに雪を被った山の姿が見えます。日光方面の山だと思いますが、上の方が雲に覆われていて山座同定は出来ませんでした。
ここからみかも山公園の敷地内に入ります。三毳山は南北に細長い姿をしています。北の端から入山した私は、このまま反対の南の端を目指して歩きます。
南側の斜面は結構な急坂でした。岩が多く露出しており、ここだけは山道らしい山道です。
山の上を普通に車道が横断しています。平地の中にポツンと佇んでいる細長い山なので、往来のためには山越えの道が必要なのでしょう。
平坦な道がずっと続きます。実に気持ちの良い散歩道といった風情です。
三毳山の名石、花籠岩なるものがありました。④ということは①から③もどこかにあったのでしょうか。
上から見るとただの岩です。麓から見た時に目立つ姿をしているのでしょうかね。
かつて関所があった場所とのことです。昔からこの周辺に暮らす人々は、山の反対側に用事があるときには、迂回するよりも山越えすることを選んでいたのでしょうね。
フライング気味に山ツツジが咲いていました。ツツジと言うのは普通、開花シーズンは5月上旬頃だと思うのですが、早咲き種があるのでしょうか。
三毳山第二のピークである中岳に向かって登り返します。右側の舗装道路沿いに進めば巻くことも出来ますが、一応すべてのピークを踏みます。
11時 中岳に登頂です。三毳山の中心付近にあるから中岳。これ以上ないくらいに単純明快な命名ですな。
山頂の様子
あまり広くは無いスペースに、ベンチが二つ設置されています。この通り人で溢れかえっていました。
展望はありません。まさにピークハントするためだけの場所と言ったところです。
山頂の展望が無い代わりに、頂上から少し下ったところにあるパラグライダー発着場からは大きく展望が開けます。
特に何が見えると言う訳でもありませんが、関東平野の途方も無い広さを感じることの出来る光景です。
三毳神社の本宮です。まだ開花はしていませんでしたが、周囲は桜並木に囲われています。満開時には格好のお花見スポットとなることでしょう。
麓へと続く石段地獄。参拝するのになかなか骨の折れる神社ですな。
5.富士見展望台とわんぱく広場に寄り道
真っ直ぐに石段を下ればこのまま下山も出来ますが、関東富士見百景の一つに選ばれていると言う展望台があるらしいので、少し寄り道します。
この霞みかかった空模様では、富士山はまず見えないでしょうけれど一応ね。
道中に三毳山の名石③の天狗岩がありました。日本全国の山でわりと良く目にする名前の岩です。天狗と言うのは、岩に登りたがる性質でもあったのでしょうか。
これと言った外見上の特徴があるわけでもない、ただの岩のように見えます。
手掛かりは豊富にあるので、登ろうと思えば簡単に登れます。天狗の気分を味わってみたい人は是非どうぞ。
展望台の上からはこの通り、関東平野の途方も無い広さを体感できます。富士山はまあ、冬場の空気が澄んだ日でなければ、まず見えはしないでしょう。
謎のステンレス製のパイプが設置されていました。どうやらこれは滑り台のようですね。それにしても、ちょっと直径が小さすぎませんかこれ。
私が入ろうものなら、間違いなく腹がつかえて身動きが出来なくなりますねこれは。
対象年齢は12歳までです。それは残念!私ももうあと30歳くらい若ければ、童心に返って遊べたのですが。
展望台から少し下ると、遊具の設置された児童公園がありました。花になどまったく興味を示さない年頃のお子様連れ方は、ここで遊ばせておくのが良いのではないでしょうか。
この冒険砦なる遊具には、特に年齢制限はありません。大人の方でも問題なく冒険が出来ます。
5.三毳山登山 下山編 道の駅みかもに下山
みかもやまフラワートレイン号の乗り場にやってきました。全部で3箇所にある駐車場を連絡する乗り物です。運賃は500円とのことです。
特にフラワートレインに乗りたくなるほどの距離もないので、このまま南駐車場まで舗装走路を歩いて下ります。
背後からやって来たフラワートレイン号に追い抜かされました。だいたい自転車くらいの速度です。見たところナンバープレートがついていないようですが、道交法の扱い上この乗り物は何に属しているのでしょうか。
カーブミラーを利用した自撮。しっかりと山登りの格好をして来てしまったため、周囲からはかなり浮いていました。
沿道に桜が満開に咲き誇っていました。修善寺寒桜という名の早咲きの桜です。
河津桜ともまた違う、淡いピンク色をしています。修善寺の名を冠しているくらいだから、この桜も伊豆半島由来なのかな。
これはミツバツツジですかね。先ほどの山ツツジと同様に、フライングで咲いてしまったのでしょうか。
ここには三毳神社の麓宮があります。池があって、ちょっとした庭園風の作りです。
12時15分 道の駅みかもに到着しました。ここから大体1時間に1本の頻度で、巡回バスが運行されています。
次のバスまで時間があったので、道の駅の食堂で佐野ラーメンを頂きました。食堂は非常に混んでいたので、速やかに食べて速やかに退出しました。よって写真はありません。
チャーシューがやけにブ厚い点を除けば、取り立てて特徴のない普通のラーメンですね。
やって来た巡回バスに乗り込んで帰還します。このバスには西回りと東回りとがあって、スタート地点の岩舟駅に戻りたいのであれば東回りの方が近いです。
やって来たのは西回りの方でした。こちらとしては、鉄道に乗り継げさえすれば別に何駅だろうと構わないので無問題です。
バスというよりは乗り合いタクシーのような車両です。料金は後払いで、スイカ・パスモ等のICカードには対応していません。
40分ほどの乗車時間で栃木駅に到着しました。ここまでの運賃は300円でした。
帰りはなんとなく東武線にしてみました。特段深い意味はなく、単純に両毛線より本数が多かったからです。
三毳山は訪問は、登山と言うよりは散歩と言った方がシックリきそうな道程でした。まさに春爛漫、絶好の散歩日和だったと言えるでしょう。
カタクリの里の群落は聞きしに勝る規模のもので、一面のすべてが紫に染まったかのような光栄は圧巻でした。カタクリの開花期間は非常に短く、満開の時期がうまい具合に週末に重なってくれたのは実に幸運でした。標高300メートルにも満たない低山なれど、遠方からはるばる足を運ぶだけの価値は大いにある山だと思います。
三毳山はカタクリだけではなく、数多くの春の花が咲き誇る花の名峰です。この後まだしばらくの間は春うららの散歩を楽しむことが出来るでしょう。
最後に、あまりコースタイムを語る意味がある山だとは思えませんが、一応のっけておきます。
<コースタイム>
かたくりの里(9:10~10:00)-青竜ヶ岳(10:20)-中岳(11:00)-三毳神社(11:20)-道の駅みかも(12:15)
完
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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