長野県岡谷市と塩尻市にまたがる高ボッチ山(たかぼっちやま)と鉢伏山(はちぶせやま)に登りました。
筑摩山地と呼ばれる、長野県の中央部にまたがる山系に属している山です。放牧的でななだらかな山容を持ち、山頂のすぐ近くにまで車で登るこの出来るスカイラインが整備されていることから、登山の対象と言うよりは観光地としての色合いが濃い存在です。
連日の猛暑がつづく最中、涼を求め信州の高原へと自転車を抱えて繰り出して来ました。
2022年7月24日に旅す。
何処かに晴れている山はないのかっ―!
と言う事で(?)週末にぽっかりと晴れの予報が出されていた、信州中部の高ボッチ山と鉢伏山に登って来ました。
隣接する霧ヶ峰や美ヶ原などと共に、筑摩山地と呼ばれる山系に属している山です。別名で高ボッチ高原とも呼ばれ、傍からは山と言うよりは丘のように見えるもなだらかな山容をしています。
かつては草刈場として利用されていた山で、現在でも山上には大きな樹木がなく視界の開けた草原が広がっています。
高ボッチスカイラインと呼ばれる、市道高ボッチ線が高ボッチ山の山頂直下にまで通じています。そこからさらに鉢伏山の山頂直下まで、鉢伏高原スカイラインと呼ばれる鉢伏山林道が伸びており、どちらも車で訪れることが出来ます。
そのためこの2座に訪れるのは、ドライブに来る観光客が主です。特にレンゲツツジが咲く6月中旬から、ニッコウキスゲが咲く7月の上旬にかけて多くの観光客が訪れます。
下から登る登山道もあるにはありますが、登山の対象としてはあまり一般的ではない存在と言えます。
大きく開けた山頂からは、北アルプスを始めとする山々の大パノラマが広がります。夏らしく雲が多めの一日でしたが、信濃の国の重心からの眺めを満喫してきました。
コース
高ボッチ高原の第二駐車場までタクシーで乗入れ、そこを起点に高ボッチ山と鉢伏山を巡ります。折り畳み自転車を持ち込んで、山頂間の鉢伏高原スカイラインは自転車で移動しました。
1.高ボッチ山登山 アプローチ編 折り畳み自転車を抱えて行く信州への旅路
4時30分 JR三鷹駅
夜明け前の三鷹駅よりおはようございます。朝っぱらからごそごそと自転車を輪行袋に押し込み、始発電車に乗り込みます。
なにも特急券代をケチりたくて鈍行で行くわけではありません。嘘です。大いにケチりたいです。特急あずさで行くよりも、始発の鈍行列車を乗り継いで行く方が1時間以上も早く現地に降り立つことが出来るからです。
中央線10両編成車両のフリースペース(ベビーカーや車椅子を置くスペース)は、車両両端の1両目と10両目にあります。輪行袋を抱えて、ホーム端までヨタヨタと歩きます。
こうして始発列車での始動にこだわっている理由の一つが、この時間帯ならばまだ乗客も少なく、自転車を抱えていても邪魔になりにくいと言う事情もあるからです。
流石に日中の混雑している時間帯に、大荷物を抱えて電車に乗る気にはなれません。
三鷹から高尾、大月、甲府と始発電車をリレーしていきます。なおこの中央本線の6両編成車両には、フリースペースがありません。端の方で肩身が狭そうにして過ごします。
唐突ですがここで、公共交通機関を利用して高ボッチ高原へアクセスする方法ついて解説しておきましょう。山頂の駐車場まで乗り入れているバスなのどの公共交通期間は存在せず、基本的にはタクシーを利用することになります。
市道高ボッチ高原線には南側の塩尻峠から登る東山ルートと、西側の松本盆地から登る崖の湯ルートの2ルートがあり、高原を越えて諏訪盆地から松本盆地へ抜けられるようになっています。
東京方面から行く場合、下諏訪からタクシーに乗り東山ルートを登るのが最短です。しかし令和4年7月現在、この東山ルートは豪雨被害による崩落と地滑りにより通行止めとなっています。
そのため現状は、西側の崖の湯ルートからしか登れません。最寄りとなるのは塩尻市の広丘駅となります。
8時19分 広丘駅に到着しました。この駅に降り立ったのは自身初めての事です。松本盆地内にある篠ノ井線の駅です。
駅舎の窓から、目指す高ボッチ高原が良くみえました。山頂部がすっぽりと雲に覆われていまっているのが気がかりですが、何れは雲が抜けて晴れてくれるものと信じましょう。
ちなみに広丘駅から高ボッチ高原の駐車場まで自転車で自走した場合、標高差はおおよそ1,000メートルになります。比較的傾斜が緩い東山ルートとは違って、崖の湯ルートはかなりの急坂が続きます。
1,000メートルのヒルクライムなどする気はない私は、ここからタクシーに乗ります。事前に予約はしていませんでしたが、駅前のタクシー乗り場に1台待機していました。
今回はたまたま運が良かっただけで、広丘駅には常にタクシーがいるとは限らないと言う事なので、前もって予約しておいた方が無難です。
広丘から高ボッチ山へ向かう登りの中腹付近に、ルート名の由来となっている崖の湯温泉があります。タクシーの運転手さん曰く、歌人の若山牧水に所縁のある温泉なのだそうです。
「最近の若い人は、若山牧水と言っても知らないっていう人が多いんだよね~」と言う言葉にあいまいに相槌を打ちましたが、私も知りません。
何分教養の無い人間なものですから。歌人の名前なんて殆ど知らない・・・
9時 高ボッチ高原第二駐車場に到着しました。案の定と言うか、世界は虚無に包まれていました。うーむ、これはやってしまったかな。
若干うろ覚えですが、確か料金は6,000円行くか行かないかくらいであったと記憶しています。
2.駐車場を起点に高ボッチ高原を散策する
「おおー、素晴らしき北アルプスの大展望が目の前に。」などと冗談を言うのも空しくなるような光景が広がっていました。風も強く、半袖シャツ一枚では涼しいを通り越して寒いくらいです。
とりあえずは袋詰めにされている自転車を組み立てて、「チャリで来た」的な記念撮影をしておく。・・・タクシーに運んでもらっただけなんですけれどね。
今回はボツ(記事にせずにお蔵入り)かなあ。などと言う悲壮的な考えが頭をよぎりつつも、晴れると言う予報を信じて、朝食を取りつつ待機します。
待機する事およそ30分。相変わらず周りの景色は一切見えませんが、何となく頭上にだけ青空が顔を覗かせつつありました。このままガスが抜けてくれるのか。
うぉぉぉぉぉー、晴れたぁー。松本盆地を挟んだ向かいには、北アルプスの秀峰たちが勢ぞろいです。素晴らしい。
みんな大好きな槍ヶ岳(3,180m)の姿もバッチリです。この山は本当に、どこからでも一目で見つけやすい。
まだガスが完全に抜けきったわけではなさそうですが、とりあえずは予報の通りに晴れてくれました。山の神様の機嫌が変わらないうちに、行動を開始しましょう。
まずはサクッと、高ボッチ山のピークハントをしていきましょう。登山口(?)は駐車場のすぐ裏手にあります。
山頂までは400メートルほどの道程です。念のために言うと、標高差ではなく歩行距離がです。それにしても日本一のシャッターポイントとはまた、ずいぶんと大きく出ましたな。
高ボッチ山と言えばレンゲツツジとニッコウキスゲで有名ですが、もう既にどちらも終わってしまっております。訪問時期としては少しばかり遅かったようです。
ベストシーズンであるとは言えないものの、それでも多くの夏の花々が出迎えてくれました。これは夏山の定番であるクルマユリです。
これまた夏山の定番である、全方位にチクチク攻撃を仕掛けてくる困った花のアザミです。毎度思うのですが、蝶たちはこうしてアザミの花に止まっても、チクチクしたりはしないないものなのだろうか。
これまた夏山では定番のタカネナデシコです。もう終わりかけなのか、だいぶ萎れていました。
高ボッチ高原と大きく書かれた看板が立っておりますが、ここは別に最高地点でも何でもありません。奥に見えているのっぺりとした山は、この後に登る予定でいるお隣の鉢伏山です。
あっさりと山頂らしき場所が見えました。本当に10分未満で着く距離でした。
と言う事で、実にあっさりと高ボッチ山に登頂しました。周囲にはラフな格好をした観光客しかおらず、山登りの格好をしている私は完全に浮いていました。
高ボッチ山の山頂は長野県のほぼ中央に位置しています。そのことを示す「信濃の国の重心」と銘打たれた碑が設置してありました。
長野県自体が日本列島のほぼ中央に位置しているため、この筑摩山地の一帯は日本のほぼ真ん中であると言えます。日本列島の一番太い部分です。
高ボッチ高原とも呼ばれているだけあって、周囲にはとても山頂の光景とは思えないような、広々とした草原が広がっていました。
南には諏訪盆地と諏訪湖を一望できます。本日は隠れてしまっていますが、晴れて空気が澄んでいる日だと、ちょうど正面に富士山が見えます。
高ボッチ山は夜景観賞スポットとしても名高い存在で、日本一のシャッターポイントと称されているのもそれが理由です。
そして北には鉢伏山。こちらも山頂付近が草原になっているのが何となく見て取れます。鉢伏高原スカイラインと呼ばれる車が走行可能な道が、高ボッチ高原と繋がっています。
少し離れた位置から見た高ボッチ山の山頂部分です。ぜんぜん山頂らしさがなく、やはり丘のようにしか見えません。
さらに少し下ったところに、高ボッチ高原の第一駐車場があります。本来であればここが高ボッチ高原の表玄関であるはずの場所ですが、前述の通り東山ルートが通行止めとなっているため、一台の車もとまっておらず静まり返っていました。
間違って降りてしまうことが無いように、山頂側もしっかりと閉鎖されていました。復旧の見込みは令和5年の夏以降になるとのことです。
この第一駐車場の周囲は放牧場となっており、本来なら放牧されている牛がいるはずなのですが、今は見当りません。東山ルートの通行止めに伴い、牛を運搬するトラックも出入りができなくなってしまったのでしょう。
小さな馬のレース場もあります。毎年8月にここで草競馬大会が開催されていましたが、2022年はコロナ渦や東山ルート通行止めの影響もあって、既に中止することが決定しています。
駐車場の脇に見晴らしの丘なる場所があったので、とりあえずは登ってみましょう。
丘の上から見える光景はと言うと、山頂からの展望とほとんど違いはありません。山頂まで行くのは面倒だと言う人のための場所でしょうかね。
一通り巡って満足しました。駐車場へ戻り、そろそろ先へと進みましょう。
11時 北アルプス展望台のある第二駐車場に戻って来ました。到着時には虚無に包まれていた駐車場も、青空が広がり多くの人で賑わっていました。
せっかく晴れてくれたので、この日二度目となる「チャリで来た」て記念撮影をしておく。高ボッチ山の上空は晴れていますが、北アルプスの方はすっかりと雲に覆われてしまいました。
駐車場から見た鉢伏山です。ここから結構な距離があるように目ますが、自転車であればそんなには時間がかからずにたどり着けるはずです。
3.自転車には途中で留守番を命じて、徒歩で鉢伏山荘を目指す
自転車にまたがり出発進行です。高ボッチ山から、もと来た方へと少し引き返します。
少し下ってたところで、鉢伏林道への分岐地点へとやって来ました。右へ進むと鉢伏山方面で、左が往路にタクシーで登って来た崖の湯方面です。
鉢伏山までは6kmほどの道程です。大半が舗装道路歩きにはなりますが、高ボッチ高原の駐車場場から徒歩でも無理なく往復できる距離であります。
鉢伏山の本体に近づくまでは、小さくアップダウンを繰り返す緩やかな道が続きます。特に先を急ぐ理由もないので、ギアをローに入れてゆるゆると登ります。
そんな安息のような道は長くは続きません。ミラーがある急カーブを過ぎると、スカイラインは鉢伏山に向かって急坂で一気に標高を上げ始めます。
このカーブ地点は、麓の牛伏寺方面から登ってくる登山道との合流地点です。と言う事でこの先には登山道もあります。
このままスカイラインを進み続けて、自転車で山頂の直下まで登ることも出来ます。ですが見るからにしんどそうな登り坂だったので、自転車にはここで留守番を命じて、歩いて登ることにしました。
11時30分 ようやくにして登山らしい登山を開始します。あまり歩かれてはいない道なのか、笹に埋もれて最初からだいぶ踏み跡が心許ない状態です。
登山道はスカイラインから付かず離れずの距離に続いており、こうして時々合流します。帰りの事を考えると、自転車を押して登るのが一番楽な方法だったのかもしれません。
前方の視界が開けて、いかにも夏山らしい空が広がりました。吹き抜ける風は涼しく心地よいのですが、それでも真夏のギラギラな直射日光に晒されるとやはり暑いです。
前方の山腹に建物があるのが見えます。鉢伏山の山頂直下に立つ鉢伏山荘です。あの場所まで車で入ることが出来ます。
背後を振り返ると、眼下につい先ほどまで滞在していた高ボッチ山の姿が良く見えました。上から見ても、やはり丘のような姿をしていますな。
まさにスカイラインと言う言葉通りの、素晴らしい眺望の道です。かくも絶景な道があまり広くその名を知られていないのは、一体いかなる理由によるものなのでしょうか。
正面に見えているのが鉢伏の山頂部です。鉢を伏せたように見えると言う、まさに名前の由来通りの姿をしています。大きな樹木が育たないのは、冬の強風と豪雪が理由です。
スカイラインの終点が見えてきました。大した距離の道ではないので、車であればあっという間に辿り着いてしまうんでしょうね。
12時10分 鉢伏山荘に到着しました。山頂のすぐ直下に立つ、宿泊も可能な山小屋です。
4.鉢伏山登山 登頂編 圧巻の日本の中心からの光景が広がる、好展望の頂
鉢伏山の山頂一帯は国定公園として管理されており、立ち入るには環境保全の協力金を納める必要があります。歩いてきた場合は300円です。
料金を支払いがてら、山バッジは置いていないのかと訪ねてみたところ、計画はあるがまだ実現していないと言う回答でした。そう遠くない将来、鉢伏山のバッジが置かれるようになるかもしれません。
駐車場にはかなりのキャパシティがあり、空いていました。レンゲツツジシーズン中にはそこそこ込み合うようです。
山荘から山頂までの距離は、せいぜい10~15分程度です。車で訪れた場合は、実にあっけない山です。
北側の谷向かいに見ているこのテーブル状の山は、美ヶ原(2,034m)です。作家深田久弥が選んだ日本百名山に名を連ねる一座にして、山の上にホテルや美術館があると言う、なんだかよくわからない山です。
山頂の王ヶ頭です。ホテルの建物と、やたらと沢山立っているアンテナが目立ちます。山頂直下は切り立った崖になっており、落差は実に600メートもあります。
東に見えているのは、八ヶ岳連峰のはみ出し者こと蓼科山(2,531m)です。別名で諏訪富士とも呼ばれている山ですが、富士山っぽく見えるのは特定の角度限定です。
鉢伏山でもかつては放牧がおこなわれていたのか、厩舎らしき建物が残っていました。
山頂付近では、もうススキの穂が揺れていました。山の上ではすでに、季節は夏から秋へと移ろいつつあるのですね。
山頂らしき場所が見えて来ました。遠目から見えていた通りの、かなり広々とした空間です。
12時35分 鉢伏山に登頂しました。麓の牛伏寺から登ってくればそれなりに骨のある山ではあるようですが、車を使ってしまうと実にあっけない山でありました
最高地点からさらに少し進んだところに、展望台があります。素晴らしい眺めなので、忘れずに立ち寄って行きましょう。
鳥居が立っていました。かつてはもっと大きい鳥居が立っていたことを思わせる、礎石らしきものも残っていました。
鉢伏神社の鉢伏大権現は雨乞いの神として祭られており、その信仰の歴史はかなり古くから存在しています。
最高地点からは少し下がった位置なのですが、ここにも山頂標識が立っていました。後に見えている建物は展望台のようですが、老朽化が著しいのか立ち入り禁止になっていました。
眼下に諏訪湖が見えます。諏訪湖に関しては、鉢伏山よりも高ボッチ山からの方が全体がよく見えます。
こちらはその高ボッチ山です。上から見ると見事な台形状をしていました。まるで人工的に造成したかのような姿です。
西には松本盆地が広がります。長野県内で最大の面積を持つ平野部です。
眼下に見えるこの高層ビルが林立している一帯が松本の中心でしょうか。毎年のように何度も訪れた事がある町ですが、こうして上から見下ろしたのは始めてかもしれない。
5.鉢伏山登山 下山編 鉢伏山スカイライン入口まで、もと来た道を引き返す
13時10分 絶景を存分に満喫して満足しました。ぼちぼち山頂を辞去して下山に移ります。
正面の美ヶ原の存在感が凄い。山と言うよりは観光地であると認識していて、正直今まであまり興味もなかったのですが、がぜん美ヶ原にも登ってみたくなりましたよ。
しかし日本百名山のブランドにも輝く美ヶ原に比べて、我らが鉢伏山の知名度のなんたる低さであろうか。こんなにも絶景が広がる山だと言うのに。
下山路の途中に、若山牧水の歌が刻まれた碑が置かれていました。下山後に調べて知りましたが、かなり高名な歌人であるようでうすね。そしてそれをまったく知りもしなかった私の、目を覆いたくなるような無教養ぶりよ。
どこか日本離れしているような雰囲気の高原台地の光景です。これほどに強烈な個性を放つこの山が、あまり知名度が高いとは言えないこの現状はいったい何故なのだろうか。
私は普段から、アルペン的な岩峰よりも放牧的な稜線の山の方が好みであると公言していますが、この鉢伏山の事も大いに気に入りました。実に私好みの山です。
12時25分 鉢伏山荘まで戻って来ました。さあ、帰りましょう。
再びスカイライン光景を楽しみつつ下ります。
逆説的なこと言うようですが、スカイラインと呼ばれる道の魅力を味わいつくすには、車ではなく徒歩で歩く必要があるんじゃないでしょうかね。運転しながらでは、ゆっくりと景色を眺める事なんてできないでしょうから。
自転車を持ち込めばもっと楽に下れたのでしょうけれど、徒歩を選択したのは正解であったと思います。ゆっくりと景色を楽しめますからね。
13時50分 自転車を停めていた地点まで戻って来ました。留守番を命じてあった自転車も、何事も無く無事にありました。
ここからはもう下るだけ・・・と思った矢先に登り返しがあるのはご愛嬌です。鉢伏林道の入り口までは、下り一辺倒ではなく小刻みにアップダウンがあります。
14時10分 鉢伏林道の入口まで戻ってきました。ここから先は今度こそ、下り一辺倒のダウンヒルとなります。
6.高ボッチ山 下山編 下るだけだから楽だろう。そう思っていた時期が私にもありました
さて崖の湯コースのダウンヒルですが、下るだけなだから楽かと言えば案外そうでもありませんでした。
崖の湯ルートは勾配がかなり急な上に、路面の舗装が結構ガタガタです。小径車は地面の凹凸には弱く、暴れるハンドルを抑え込むのにかなり大きな腕の力を使います。
またずっと前屈姿勢でブレーキを握り続けているため、腕にかなりの負荷がかかります。登り坂のような心肺機能への負荷は一切かからないですが、しかし決して楽ではありません。
途中にあった、ため池の辺でしばしの小休止です。下るだけでこれほどの疲れを感じるとは意外でした。崖の湯コースは自転車で快適に走行するには急すぎます。
崖の湯温泉の前を通りぬけます。日帰り入浴を受け付けてくれる宿もあるにはあるらしいのですが、宿泊客がチェックインを始める時間の前までしか受け付けてはもらえません。
もう既に遅い時間なので、ひと風呂浴びるのは諦めました。下山を続行します。
麓の町まで下って来ても道は相変わらずの急勾配で、握りっぱなしのブレーキディスクからは湯気が立ち上っていました。まあそう熱くなりなさるなよ。
麓から見上げた高ボッチです。どこかが山頂なのか良くわからない、なだらかな姿をしていました。
このまま真っすぐ下ればスタート地点の広丘駅に戻れます。ですが広丘駅は特急あずさが停車しない駅なので、左へ進路を転じてあずさの停まる塩尻駅を目指します。
涼しかった高原の上とは打って変わって、下界は気温30度オーバーの酷暑の世界と化していました。しかし暑いな。
15時40分 塩尻駅に到着しました。ロクに地図も見ずに適当に走った割には、迷わずにしっかりと目的地に辿り着けました。道路上の青看を見ているだけでも、結構走れるものですね。
帰りはケチらずに特急あずさを奮発して、帰宅の途につきました。
長野県の中部だけが晴れ予報になっているからと言う、それだけの理由で行き先に選んだ高ボッチ山と鉢伏山でしたが、結果として大満足の内に幕をおろしました。
どちらも観光地化されていて、登山の対象であるとは見なされていないきらいがある山ですが、しっかりと登山道も存在しており、登山の対象として見ても多くの魅力が詰まっている山だと思います。霧ヶ峰や美ヶ原と比べて、あまり人が多くないのもポイント高しです。
季節を変えてまた再訪してみたいと思わせる一座でした。次回は牛臥寺からスタートして、麓から真面目に登ってみたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキさん、こんばんは。
昨年美ヶ原に行った時に向かいに見えた鉢伏山〜高ボッチの眺めがとても良く、行きたい山の1つになりました。やはり眺望も良く穏やかに歩けそうなところなんですね。空いているのも魅力的です(^^)
が、onlyタクシーですか。。要検討いたします。参考になる投稿ありがとうございます!他にこのエリアだと三峰山がコミュニティバス+タクシーで行けそうかなーと調べています。
美ヶ原は“思い出の丘“というバス停で降り“美ヶ原保護センター“まで歩くと、オオツキさん好みの牧草的な稜線歩きも味わえるかと思います!王ケ鼻からは、アルプス展望コースを行くと、崖沿いの道となり少し登山感があるのでおすすめです。
MMさま
コメントを頂きましてありがとうございます。
「少し登山感がある」と言う発言が自然に飛び出すあたり、やはり美ヶ原は登山枠ではない観光地なんでしょうか。
鉢伏山も半分観光地のようなものでしたが、美ヶ原よりは登山感があると思います。しっかりと登りたかったら、牛伏寺から登るのが良いようです。アプローチはどの道タクシー利用になります。もしくは自転車を持ち込・・・いえ、なんでもありません。
現地の状況が手に取るような貴重なレポート有難うございます。30数年前ニッコウキスゲの頃訪れていますが、高齢となった私でも無理せずに憧れの北アルプスの眺望が楽しそうなので挑戦したいワクワク感を感じています。私の所から往復9時間のロングドライブとなりますが天候を十分吟味して素晴らし景観を色々な方に紹介したいと思います。厳しい残暑が続きますがご自愛下さい。
Tomさま
コメントを頂きましてありがとうございます。
駐車場からならものの10分もあれば頂上に着くので、どちらかと言うと運転の方が本番かもしれません。気を付けて楽しんで来てください。