神奈川県伊勢原市にある聖峰(ひじりみね)で初日の出を見て来ました。
丹沢山地の前衛に位置し、麓にミカン畑が広がる長閑な光景の里山です。標高400メートルにも満たない低山ながらも、相模平野と相模湾を見下ろす好展望地にあり、元日になると初日の出を目当てに多くの登山者が訪れます。
令和最初の日の出を求めて訪れた山で待っていたのは、前評判通りの素晴らしき眺望と、少々残念な空模様でした。
2020年1月1日に旅す。
謹賀新年
また新しい年がやってまいりました。という事で今回は、令和最初の初日の出登山と洒落込むべく、神奈川県は丹沢山地の聖峰へと繰り出して来ました。
ご来光スポットとして知る人ぞ知る山であり、元日には聖峰世話人会により焚火が行われ甘酒が振る舞われます。
さてそもそも、聖峰と言われてすぐにどこの事なのかわかる人は、地元の人以外ではあまりいないのではないでしょうか。神奈川県伊勢原市にある標高380メートルほどの低山です。
大山の手前にある山だと言えば、大体の位置が伝わるでしょうか。元日に多くの参拝者で賑わう大山とは違い、極めてマイナーな存在です。
マイナーな山ながらも、日の出の方向の眺望は申し分なく、また山頂まで軽トラが入れる作業道があるため、比較的安全にナイトハイクが可能です。
当初はナイトハイクで大倉尾根を登り、塔ノ岳山頂からのご来光を決める計画を前々から温めていました。
しかし連日の如くニュースが「大晦日から元日にかけて大寒波が襲来」と脅すものですから、すっかり腰が砕けてしまい、もっとの近場で標高の低い山にしようという事で、この聖峰に白羽の矢を立てました。
かくして訪れた元日の聖峰。前評判通り眺めは最高の場所でしたが、肝心なお天気の方が。。。
何とも幸先の悪かった、2020年初登山の模様をお届けします。
コース
すでにバスのない深夜時間帯に登るため、鶴巻温泉駅から直接山頂を目指します。ほぼ全域が車道歩きで、山頂までは2時間少々の行程となります。
1時16分 小田急線 新宿駅
小田急線を含む都内の主要な鉄道路線は、元日に終夜運転を行っています。という事で、真夜中に始動します。
3時7分 鶴巻温泉駅に到着しました。終夜運転は基本的に各駅停車のみの運行です。おかげでやけに時間がかかりました。
車内で山登りの格好をした人間を何人か見かけましたが、そのほとんどが伊勢原駅で下車して行きました。どうやらお目当ては大山のようですね。
それに比べて我らが聖峰にはまったく人気が無いのか、駅前には人の気配もなく閑散としていました。まあ、空いていてくれる分には大歓迎ですが。
それよりも、最強寒波襲来などと言っていた割には、あまり寒くありません。むしを厚着をし過ぎたらしく、薄っすらと汗をかいている始末です。懐にハクキンカイロダブルは、少々やりすぎでありましたかな。
駅前のコンビニで買いものを済ませて、3時20分に行動を開始します。この時間には当然バスは無いので、全行程歩きです。歩きだして早々ですが、もう既に放り出したくなるくらいに荷物が重い。。
本日はカメラ本体の他に、三脚と大三元ズーム二本(標準と望遠)を担いできました。撮影機材だけで占めて5kgオーバーです。・・・お前馬鹿じゃないの?というご指摘は、甘んじて受け入れます。
そこへさらにストーブやら調理用の水やらを無造作に放り込んだので、総重量は夏季のテント泊時とほとんど変わらないくらいになっております。年明け早々に、私は一体何をしているのでしょう。
ゆったりとした坂を登って行きます。鶴巻温泉駅は海抜20メートル地点という、大変低い位置にあります。そのため、どこへ向かうにしても基本的には坂を登ります。
それだけ標高が低い位置に湧く温泉ともなると、どうしても海水の影響を受けるらしく、実際に鶴巻温泉のお湯は舐めるとしょっぱいです。
なお、舐めても大丈夫だとはどこにも書いてはいなかったので、どうしても舐めてみたい人は自己責任でお願いします。
一応ここはバス通りなので、日中に訪れるのであらば、登山口のすぐ近くまでバスで行けます。
ちなみに私は、聖峰を訪問するのは今回が始めてす。始めて登る山でいきなりナイトハイクをしようと言う、山ナメ全開の振る舞いを今からしようとしているわけです。
自分でやっておいて偉そうに言うのもなんですが、ナイトハイクするときは、事前にちゃんと日中に登って道を把握しておいてからにしてください。
やがて東名高速とぶつかりますが、ここではまだくぐらずに右へ進みます。
歓迎、鶴巻温泉とな。こんないっぱしの温泉地のような案内が存在したのですね。なお鶴巻温泉は、旅館と日帰り温泉施設が一軒づつあるだけの、極めて小さな温泉です。
伊勢原市神戸(こうど)と書かれた歩道橋が見えてきたら、手前の交差点を左に入ります。事前にグーグルマップで念入りに下見してあったので、登山口までの道順はバッチリです。
主要幹線道路を外れたことにより、街灯が幾分頼りない感じになってきましたが、まだライトなしでも歩けます。
高速を境に市街地は終わり、前方の視界が開けます。この写真からでは全くわからないかもしれませんが、ともかく開けるのです。
これは帰りに撮影した同じ場所の光景です。中央の左側手前にあるのが聖峰です。
再びY字路です。ここも本来は直進が正解だったのですが、道標に惑わされました。
この道標は、何故か右側を指しているんですよね。まあ、右へ進んでも結果的に登山口へ辿り着けはするのですが、少々遠回りにはなります。
という事で、道標を信じて右側へと進んでしまいました。一体なんのための下見だったのやら。
先ほどから、街灯が無くなりそうでいてなかなか無くなりません。おかげでここまでずっと、ライトなしで歩けています。
進行方向の先に山があるのがなんとなく見えます。あれが聖峰でしょうか。
それよりも、先ほどから空にまったく星が見えていないことが気がかりでなりません。それは詰まるところ、空は曇っているという事です。
遂に行く手にまったく灯の見えない場所へとやって来ました。ここがラスト街灯のようですな。ここから先はヘッドランプ装着で行きます。
事前に予習していたのとは全く異なる光景に戸惑いつつ前進します。地図にコンパスを当てて現在地を確認すると、どうやら北側に大きく回り込んでしまっているようで。
このまま進んでも、遠回りにはなるけれど目的地には行けそうだったので、そのまま前進を続けます。
いつも思うのですが、里山歩きおける核心部と言うのは、登山口までの小道歩きですよね。部外者には、地図に書かれた道と農道との区別がつきにくいです。
4時40分 ようやく聖峰登山口に辿り着きました。やれやれ、どうなる事かと思いましたよ。やはり初めての山でいきなりナイトハイクはすべきではありませんね。
登山口から先も、まだ舗装された道が続きます。というか、山頂まで軽トラが入れます。
木の合間から見事な夜景が広がって入りのが見えます。これは、頂上からの眺めには大いに期待が出来そうですね。
途中でこのまま舗装道路沿いに登る女坂と、最短距離で直登する男坂にルートが分かれます。
普段であれば男坂一択ではありますが、本日は初めての山でナイトハイクと言う山ナメを絶賛実施中の身であるため、安全第一でこのまま女坂を進みます。
5時5分 聖峰不動尊に到着しました。日の出時刻の1時間45分前に到着です。少し早く来過ぎましたかな。
夜景には興味がなく、日の出だけを見たいという人は、もう一時間遅くに来ても問題は無いかと思います。
さあそれでは早速、山頂(厳密にいうとここではない)からの光景を眺めてみましょう。うむ、思った通り実に素晴らしい。
このクネクネと奥に向かって伸びる光の線は、さきほど下をくぐって来た東名高速道路です。
眼下に見えているのは伊勢原ジャンクションでしょうかね。という事は、上を跨いでいるのが新東名なのかな。
その先には横浜の街並み。ランドマークタワーのおかげで、横浜は遠くからでも見つけやすい。
こちらは東京都心方面の光景です。赤い航空障害灯の密度が凄いことになっておりますな。
新旧のタワーが仲良く並んで見えます。どちらも元日のライトアップを実施中です。
続いて相模湾方面です。日の出はこの方角から登って来るはずです。
江ノ島も見えました。灯台から何やら光のヒモの様なものが垂れているのが見えます。ツリー状のライトアップでもしているのでしょうか。
貸し切り状態だった山頂に、聖峰世話人会の人々が軽トラでやってきて、ノボリを立てたり慌ただしく準備を始めました。
じっとしていると、さすがに少し寒くなってきたので、ここでラーメンタイムにします。
冷えた体を温める最も手っ取り早い方法は、暖かい飲み物を飲むことです。
お子ちゃま味覚なので、飲むのはコーヒーではなくミルクココアです。正直なところ、あの黒くて苦い液体を、美味しいと思ったことが一度もありません。
そうこうする内に、周囲がだいぶ明るくなって来ました。・・・なんだかもう、日の出時刻を待つまでもなく既に敗北が確定しているような光景ですね。
雲がかかっていない部分の空が、徐々に赤く焼けて来ました。北の方は晴れているようですな。肝心の日の出の方向が晴れてくれないことには、まったく無意味なのですがね。
関東平野の彼方に、筑波山の姿が見えました。素ばらしいまでの空気の澄み具合です。今頃はあの山頂にも、ご来光を待つ人々が大勢詰めかけていることでしょう。
夜明け前の静寂の時間が広がります。今頃下界では、郵便局員達が慌ただしく年賀状を配って回っていることでしょう。
海上の彼方には、伊豆大島の姿もクッキリと見えます。頭の部分だけが海面に露出しているというだけで、伊豆大島というのは島と言うよりは山です。
江ノ島もこの通りクッキリ。太陽は江ノ島の左上付近に出てくるはずです。まあ、今日は恐らく出てこないでしょうけれどね。
これは房総半島の先端です。あそこから初日の出を眺めるのも心惹かれるプランではあります。近そうに見えて、行くとなると、とてつもなく遠いですけれどね。
そして迎えた日の出時刻の6時50分。さあ、これが令和時代の初日の出だ。ばんざーい!ばんざーい!
この日の出でもって今年一年の運勢を占うとしたら、結果は間違いなく大凶ですね。確か去年も全く同じコメントをしたような気もしますが。二年連続でハズレですか、やれやれ。
このままでは終われない。という事で、一応は太陽の姿を拝んでから撤収することとします。この隙間から、少しくらいは見えそうかな。
待つことおおよそ20分。ついに僅かながら、お天道様がその姿を見せてくれました。
新たな年の輝かしき幕開けと言うよりは、どこか禍々しい光景ように見えるのは、私の心が濁っているからなのでしょうか。
雲間から、何やら神々しい光の筋が差し込み始めました。天使のハシゴと言うんでしたっけか。
何だかこれはこれで悪くない光景のようにも思えて来ました。うん、これで良しとしましょう。一応は、待った甲斐がありました。
雲間から漏れた光が、優しく下界を照らして行きます。今年もきっと、素晴らしき一年となってくれることでしょう。と言うところで、
明けましておめでとうございます
今年の抱負は・・・抱負と言えるほどのものは特にありませんが、まあ怪我をしない程度に無理せず頑張ろうかと思います。本年も何卒よろしくお願い致します。
完
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキさん、あけましておめでとうございます。昨年一年、毎週ブログで楽しませていただきありがとうございました。今年もほんとに、ケガなく無理なく登山をしていきたいですね。私自身もそう思っております。本年もどうぞよろしくお願いします。
しょうへい様
あけましておめでとうございます。
まいどご贔屓いただきましてありがとうございます。本年も安全第一のセーフ登山で行きたいと思います。
またご気軽にご訪問ください。
あけましておめでとうございます!
懐かしき聖峰からの相模湾の風景に心躍らされました。ありがとうございます。
私は桜の時期に行ったことがあり、混雑していた記憶がありましたが、お正月も混雑するとは…
本年も主人さんが無事に登山出来る事、心から祈っております
通りすがりのファンさま
あけましておめでとうございます。
聖峰は桜の名所として有名ですね。春にもぜひ訪れてみたいです。 登山と言うよりは、お花見なのかもしれませんが。
今年も聖峰に来ていただきありがとうございます。素晴らしい元旦レポートです。マイナーな山ですが、聖峰からの広角眺望が分かりやすく、本当に素晴らしい‼️日頃の世話の甲斐があります。
雲は残念でしたが、神々しい光まで待って頂き、ありがとう。
これからも宜しくお願い致します。
聖峰世話人会マイク会員さま
コメントを頂きましてありがとうございます。
こちらこそ、暖かい甘酒をごちそういただき、ありがとうございました。
微力ながら、聖峰の存在がもっと広く認知されるよう願っております。