
山梨県上野原市と大月市の境にある権現山(ごんげんやま)に登りました。
日本全国に50ヶ所以上は存在する権現山の内の一つで、北都留三山と呼ばれる山系の最高峰です。手前に位置するの扇山や百蔵山に遮られ、甲州街道筋からは直接窺うことの出来ない山深い場所に存在します。
その目立たなさに故に訪れる人の少ない静かな山ですが、前衛の山々よりも遥かに大きい堂々たる山容を備えた山でした。
2017年2月4日に旅す。
なんだか最近ぬるい登山ばかりしているなー
こんにちは。正月を美食三昧で過ごして以来、体が鈍っているような気がしてならないオオツキです。
そんな訳で、近場でまだ登ったことがなくてそこそこ登り応えのありそうな山は無いものかと、山と高原地図を広げて物色していたところ、先月に登った扇山の裏手にある、標高1,312メートルほどの未踏の山が目に留まりました。
その名も権現山。日本中のいたるところで目にするありふれた名前の山です。

権現と言うのは、仏や菩薩がこの世に現れる際にとった仮の姿のことを現す仏教用語です。つまるところ、権現山と名がつく山は、山そのものが御神体として信仰の対象となっているというとです。
この山と扇山および百蔵山をあわせて、北都留三山(きたつるさんざん)と呼ばれています。

三山の中では権現山が最も標高が高く、かつ山体も大きくて堂々としていますが、街道筋からは見え難い奥まった場所にあるためか、いまひとつ知名度が低い山となっています。
用竹用竹(もちたけ)バス停からの標高差は1,000メートルほどあり、山頂までのコースタイムは3時間40分です。それなりに歩き応えがありそうで、求めていたニーズにピッタリ当てはまる山です。

目的地は決まりました。いまいち人気も知名度も振るわない、マイナーな権現様に出会いに出かけましょう。
コース

用竹バス停より雨降山を経て権現山に登頂。下山は扇山を経由して鳥沢駅まで歩きます。標準コースタイムは6時間30分ほどの行程です。
時間と体力が許せば百蔵山まで足を伸ばし、北都留三山縦走を完成させることも視野に入れての計画です。
1.権現山登山 アプローチ編 静かなる山間の集落、用竹へ
8時27分 JR中央本線 上野原駅
目指す用竹バス停は、小菅の湯行きのバス路線の途中にあります。この路線は冬季期間中は小菅の湯までは行かず、飯尾どまりとなります。

この狭いバス操車場の転回は、他人事ながら何時見てもハラハラします。上野原駅自体が崖際にあるため、十分なスペースが確保できないのでしょう。
バスに揺られることおよそ20分ほどで、用竹バス停に到着しました。下車したは私を含め2名のみでした。やっぱり人気無いんですかね、権現山は。

まずは舗装道路を進みます。用竹と言う地名がついているだけのことあって、周囲には竹林が広がっていました。

道の幅が林道や農道にありがちな、軽トラ以外はお断りの規格です。

バス停から10分ほど歩いたところで、畑の脇に登山口が現れました。それではりきって登山を開始しましょう。

2.緩やかな傾斜の尾根が続く、雨降山への道
なにしろ登山の対象としては殆ど無名に等しい山なので、道が荒れているのではないか心配していましたが、それは杞憂でした。枯れ葉をザクザク鳴らしながら気持ちよく登ります。

なにやら細々した作業道が無数に張り巡らされており、やたらと分岐だらけの道です。登る分には間違えることもないと思いますが、このルートを下山する際には、あらぬ脇道に迷い込まないように注意を要します。

非常になだらかで歩きやすい道が続いています。逆に言うと、なかなか標高は上がりません。横方向への移動距離が長いコースです。

山と高原地図には記載の無い分岐や地名が書かれた道標が多数あります。しかし墓村とはまた、なにやらホラー映画の舞台にでもなりそうな地名ですね。

南側の展望が少し開けました。手前に幾重にも山が連なっていて、この山を里から覆い隠してしまっているのがよくわかります。

左下にチラッと見えているのが上野原市街地の端っこですかね。基本的に甲州街道筋からはこの山の姿を見ることは出来ません。
北側にはまるで併走するかのように、笹尾根が連なっています。目の前の山は生藤山(990m)かな。現在地私が歩いているこの尾根は権現山稜と言う名称らしいのですが、北都留三山と言う呼び名と同様にほとんど知られていません。

人工林と自然林が交互に出現します。この辺りの山は皆そのような植樹のされ方をしているのか、山腹に不思議な縞柄模様が浮かんでいます。

マイナーな山の登山道にしては高規格すぎる道です。信仰の対象であった権現山への参道か、あるいは炭焼きなどの山仕事のための道だったのか。詳細はわかりませんが、明らかに古道由来の道であるように思えます。

標高1,000メートルを越えた辺りから、チラホラと残雪が出現しました。

帰宅後に調べたところ、これは降雨量の観測を行っている施設であるとのことです。

11時10分 雨降山に登頂しました。雨降山の山頂に降雨量観測施設があるのは、偶然の一致とは思えません。山の名前は施設が出来た後からついたのでしょうか。

山頂の様子
頂上部はすべて観測施設に占拠されています。登山者が殆ど居ない割には踏み跡がやけに明瞭なのに違和感を感じていましたが、この施設の保守のための道を兼ねていたのでしょう。

ここでこの日初めて他の登山者に出会いました。なんとも静かな山です。

2.権現山登山 登頂編 マイナーな山の山頂に広がる、意外なほどの好展望
雨降山を過ぎて以降も、相変わらず勾配の緩い平坦な道が延々と続いています。

なお、この辺りから左側に世界遺産のアイツがチラチラと視界に入って来るのですが、木が邪魔でなかなか良い撮影スポットが現れません。
馬頭尊(ばとうそん)と書かれた石碑が置かれていました。荷駄運びの馬や牛の守護神とされている仏です。馬頭尊が存在すると言うことは、やはりこの尾根道はかつて馬も往来するような古道だったのでしょう。
ここまで登って来て、ようやく権現山の山頂部が初お目見えしました。奥行きのある山ですね。

右手には奥多摩の三頭山(1,531m)が見えています。笹尾根の起点となっている山です。何気に南側から見たのは初めてかもしれません。

北側斜面には結構な量の雪が残っていました。下山は南側に向かって下る予定であるため、特に問題にはならないでしょう。

山頂直下まで登って来たところで、簡素な神社が立っていました。これがこの山の権現様なのでしょうか。

これは王勢籠神社(おせろうじんじゃ)の奥宮です。日本武尊を祭っています。中を覗いてみましたが、お供え物の「のものも」の存在感が強烈過ぎて、そちらにしか目が行きません。

社殿はトタン張りで、有難味が7割減です。トタン小屋に手を合わせて拝む気になれませんなあ。

トタン小屋神社の裏から山頂までは、これまでの道とは打って変わって急登になりました。もう大した距離は残っていないので、一気に駆け上がりましょう。

息を切らして急登を登りきると、山頂が現れました。視界が開けていそうで、期待が高まります。

11時55分 権現山に登頂しました。登山開始からちょうど3時間で到着しました。緩い道だったこともあり、3時間歩いたわりには殆ど疲労を感じませんでした。

早速景色を見てみましょう。南側に世界遺産のアイツが大きく見えました。

これだけ良く見えるのだから、秀麗富嶽十二景に選ばれてもよさそなものですが、どうやら山頂部は上野原市内にあるようです。
大月市制定の秀麗富嶽十二景には、ノミネート資格なしと言ったところでしょうか。
都心方向を望む。白い塔のようなものが2本生えているのが、先ほど通って来たお隣の雨降山の観測施設です。

こちらはその特徴的なシルエットで直ぐにそれとわかる大岳山(1,266m)です。奥多摩の中では一番山座同定のしやすい山だと思います。

北隣の三頭山も良く見えています。左に見えている一番高い山が東京都最高峰の雲取山(2,017m)かな。

雲取山からさらに西に向かって伸びる、奥秩父主脈の山々です。特徴に乏しい山がダンゴになりすぎていて、山座同定の努力を早々と放棄しました。

木が邪魔で見えにくいですが、南隣に扇山(1,138m)があります。この扇山がちょうど目隠しのような位置関係になっているために、甲州街道筋からは権現山の姿が一切見えません。

超広角レンズで撮影した東側の展望をもう一枚貼っておきます。お隣の笹尾根が長々と連なっている様子がよく見えます。

微かにスカイツリーも見えました。中心にうっすっらと写っているのがお分かりになるでしょうか?

「どうせ山岳風景しか撮らないから」と言う理由でズームレンズを一切所有していないのですが、こういう時には困りますね。
4.浅川峠を越えて扇山へと縦走する
展望を十分に満喫したところで、下山を開始します。下山は扇山を越えて、鳥沢駅へ直接下ります。

浅川峠方向に向かいます。このまままっすぐ尾根沿いに進むのも非常に魅力的ではあるのですが、バス本数が極端に少ない場所に下りてしまうので、素直に鳥沢駅を目指します。

権現山稜の尾根から外れて、峠に向かっての降下を開始します。浅川峠方面への下りは、かなりの急勾配です。

これから乗り越える予定の扇山が正面に見えています。峠からの登り返しがなかなかキツそうです。

枯葉の積もった急斜面は非常に滑りやすく、何度かヒヤっとしました。ここ一カ月近く雨がまったく降っていないため、足元が非常に乾燥しています。

13時5分 浅川峠まで下ってきました。権現山と扇山の鞍部となっている峠です。ここからは登り返しが始まります。

日の当たらない北側斜面は非常に寒々としていました。凍結しているのではないかと心配していましたが、乾燥しきっていて水気は全くありません。

木漏れ日の登山道を登り返します。扇山は東西に長い山であるためか、南北方向から登ると北側も南側もかなりの急勾配です。

途中で曽倉山と言う小ピークを通過します。なんて読むのかわかりません。そうくらやま?

山頂の様子
特になにもありません。ただの通り道と言ったところです。

振り返って見た権現山です。こうして見ると、扇山と同様に横長の山ですね。

左手に上野原の市街地が見えています。上野原駅があるのはじつは市街地の端っこの辺りで、町の中心は段丘の上にあります。

扇山山頂直下の登りは、手も使わないと登れないような急登でした。

14時 扇山に登頂しました。先月にも登っているので、およそ1ヶ月ぶりのでの再訪です。

山頂の雪は綺麗さっぱり無くなっていました。乾燥していて、どこもかしこも埃っぽくてかないません。

扇山山頂から望む権現山です。木が邪魔で全容は見えません。葉が茂るグリーンシーズン中には、恐らく全く見えないだろうと思います。

なお本日歩いたルート上に、権現山の全容を撮影できる好スポットはありませんでした。記事の冒頭に載せた写真は、過去に笹尾根の三国山(960m)から撮影したものです。
5.権現山登山 下山編 水場を目指し急坂を駆け足気味に下る
14時10分 僅かな山頂滞在時間で下山を開始します。なにせ今回は、ここはただの通り道でしかないわけですから。

前回断念した百蔵山への分岐地点にやってきました。

百蔵山まで行ってしまおうかと一瞬悩みましたが、今回もパスです。実は飲み水が尽きる言う大変な深刻な事態に陥っていたものですから。
ここ最近の山行きでは、寒くて殆ど汗をかかず水を余らせてしまっていたので、今日は思い切って1リットルしか携行してきていませんでした。ところが本日は比較的気温が高く、思いのほか大量に消費してしまっていたようです。
何事もギリギリというのはよくないですね。
そんな訳で真っ直ぐ下山開始です。目指すは下山路の途中にある水場です。

ヒャッハー水だ!

硬度が少しお高めな感じのする味でした。なお、湧水を煮沸なしで飲むと言う行為は基本的に自己責任の範疇であると言うことを念のために記載しておきます。
15時5分 梨ノ木平の登山口に到着しました。ここにはトイレがありますが、凍結していて水が出ませんでした。

ここから駅までは延々と舗装道路歩きます。この道が結構長いです。15時54分発の高尾行きに間に合いそうだったので途中から少し走りました。

何で何時も最後には走っているんだろう?何事もギリギリというのはよくないですね。
15時45分 鳥沢駅に到着しました。結果論ですが、別に走らなくても間に合ったかもしれません。

何の事前情報も無しに適当に選んで訪れた権現山でしたが、山頂の展望がこんなにも素晴らしいのは嬉しい誤算でした。
あまりアクセスが良いとは言いがたい場所にありますが、もっと広く登られてよい山だと思います。
大月駅からバスで浅川峠にアクセスできるルートも存在するようで、そちらからならもう少し楽に登れるのではないかと思います。
いずれ機会があれば、今度こそ十分な水を携えて北都留三山縦走にも挑戦してみたいところです。地味な山ですが何気に結構オススメです。
<コースタイム>
用竹BS(8:55)-雨降山(11:10)-権現山(11:55~12:25)-浅川峠(13:05)-扇山(14:00~14:10)-梨ノ木平(15:05)-鳥沢駅(15:45)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








コメント