千葉県市原市および大多喜町にまたがる養老渓谷(ようろうけいこく)で紅葉見物をしてきました。
房総半島の中央部に広がる房総丘陵を流れる、養老川の浸食によって形成された渓谷です。川沿いを歩くとこの出来る遊歩道が整備されており、関東地方でも最も遅い時期に紅葉を見ることが出来る場所として人気があります。
また、2020年にニュースで話題となったチバニアンの地層があるのは、この養老川の川縁です。
この年最後となる紅葉狩りを行うべく、房総半島中央部へお散歩に繰り出して来ました。
2021年12月12日に旅す。
時はもうすっかりと冬の空気に変わってしまった12月の中頃。関東地方で最も遅くまで紅葉が見られることで名高い名勝地である、千葉県は房総半島にある養老渓谷へと繰り出してきました。
さほど大きな落差や断崖絶壁などは存在しない、いたって小さな渓谷ですが、川沿いを散策する遊歩道が整備されて人気の観光地となっています。
養老渓谷は気候が温暖な房総半島中央部に位置しているため、12月に入ってから本格的に紅葉が見頃を迎えます。そのため、この初冬の時期は特に混雑します。
僻地であると言ってしまっても差支えの無い房総半島の中央部ではありますが、公共交通機関によるアクセスが可能です。京成グループに属する私鉄の小湊鐵道が、内房線の五井駅から養老渓谷までを結んでいます。
初冬の紅葉シーズン中にも大いににぎわう路線ですが、小湊鐵道が最も注目を浴びる季節は春です。沿線で多数の菜の花が栽培されており。開花時期には多くの見物客が訪れます。
せっかく房総半島中部まで行くのだからと言う事で、行きがけのついでに2020年に少しだけ話題になったチバニアンの地層を見物して行きます。
チバニアンの地層を見るとが出来る場所は、養老渓谷よりはずっと下流の養老川沿岸にあります。こちらも小湊鉄道によりアクセスが可能であるため、無理なく両方を同時に巡ることは可能です。
紅葉とチバニアンの二本立てで、房総半島中部をぶらりとほっつき歩いて来た一日の記録です。
コース
粟又(あわまた)の滝バス停よりスタートし、養老川沿いに整備された滝巡り遊歩道と中瀬遊歩道の二つの歩道を巡りつつ、養老渓谷駅まで歩いて戻ります。
1.養老渓谷 アプローチ編 近いようで遠い、房総半島中央部への旅路
5時33分 JR新宿駅
朝っぱらから既に多くの人で溢れている新宿駅よりおはようございます。ここから黄色い電車に乗り込み、一路千葉駅を目指します。
どうやら品川駅から総武線快速なるものに乗り換えた方が多少は早いようですが、乗り換えるのが億劫だったので鈍行列車で気長に参ります。
6時43分 新宿から一時間以上の乗車時間をかけて、千葉駅に到着しました。お次は内房線に乗り換えです。
三鷹駅でも見かけるこの黄色い電車は、実はこんなにも長距離を延々と走っていたのですね。
7時3分 五井駅に到着しました。ここがJR内房線と小湊鉄道との接続駅となっています。
小湊鉄道はスイカ・パスモなどの交通系ICカードには対応しておりません。出場のタッチをしてから切符を購入して乗り換えます。おそらくは養老渓谷へと向かうのであろう乗客で、券売機は混雑していました。
1,840円で1日乗り放題のフリー乗車券を購入できます。養老渓谷駅までの運賃は片道1,280円なので、こちら購入した方が断然お得です。
これまた古めかしい気動車が入線してきました。既に製造開始から50年以上を経ている老兵、キハ200形です。それはつまるところ、この車両は私よりも年上だと言う事ですな。
車内にはエアコンやLED電灯などが導入されて近代化されていますが、扇風機がしっかりと現役な辺りやはりレトロチックです。良いですね。乗っているだけで無性にワクワクしてきますぞ。
エンジンの古さと30tあるという車体重量からからして何となく察してはいましたが、このキハ200形はとても遅いです。具体的言うと、線路脇の道を並走している軽トラに易々と追い抜かされるくらいには。
8時13分 長閑な田園地帯を延々1時間ほど走ったところで、月崎駅に到着しました。養老渓谷駅の2駅手前にある、チバニアンの最寄り駅です。目的である養老渓谷へ向かう前に、先に寄り道をして行きます。
線路脇に植えられた楓が紅葉して、とても良い感じに朝日に照らされていました。これは関東一遅いと言う紅葉に、大いに期待できそうですね。
2.月崎駅から徒歩でチバニアンを目指す
外から見た月崎駅です。こじんまりとした可愛らしい駅舎ですな。なお、当然ながら無人駅です。
車内での喧騒が嘘の様に、月崎駅の周辺にはまったく人の気配がありませんでした。どうやらチバニアンは、あまり人気がある観光スポットではないようです。
月崎駅からチバニアンへは直接歩いて行ける距離ですが、駅前から出ている養老渓谷駅行きのバスで訪れることも可能です。
現在時刻は、始発の便までまだ1時間以上も待ち時間あるタイミングであるため、バスは待たずにこのまま歩いて向かいます。
駅前に300円のレンタルサイクルもありました。見るからに遺棄自転車をリサイクルしました感があふれるママチャリばかりですが、また月崎駅へ戻ってくるつもりであれば、このレンタル自転車を利用するのも良いかもしれません。
駅前からの道程を示した案内図もあります。さっくり言うと、駅前から3回右折すればよいだけです。実にシンプルな行程なので、特に迷う要素はありません。
踏切を渡って道なりに進みます。周囲にはのどかな田園風景が広がっていました。
千葉県が米の産地だと言うイメージはまったくなく、そもそも千葉米を店頭で見かけたという記憶もありません。地産地消であまり流通はしていない米なのでしょうか。
房総半島は古くから手掘りの隧道が数多く存在する隧道王国で、このような小トンネルを数多く目にします。これは観音掘りと呼ばれる日本古来の工法で掘られたもので、将棋の駒のような形の断面が特徴的です。
房総丘陵の一帯にこのような手掘りのトンネルが多く存在する理由は、小さな谷が入り組んだ非常に複雑な地形をしていることと、地質的に柔らかくてトンネルを掘りやすい砂岩が多いこととがが合わさった結果である考えられます。
駅前からずっと道なりに進んで、T字路に突き当ったら右に曲がります。
チバニアンへの案内板もしっかりと立っていました。一応は、なんとか観光地として売り出そうと言う意欲があるのでしょうか。
実際のところ、チバニアンは物見遊山の観光客を大々的に呼び込めるようなものではありませんがね。まあ、行ってみればわかります。
やがて橋が現れるので、ここで一度養老川を渡ります。なんとなく辺りが白っぽく霞んでおり、近くで野焼きでもしているのかと思っていましたが、そうではなく養老川から朝靄が発生していました。
現在地は養老渓谷と呼ばれている一帯よりも下流になる地点ですが、それでも十分に深い谷を刻んでいます。チバニアン時代のものだと言う地層は、この養老川沿いの崖に露出しています。
一旦は養老川から離れて、大きな切通の中を道なりに登って行きます。房総丘陵上はこのように、長年の川の浸食によって作られた小さな尾根が幾重にも絡み合ったような、非常に複雑な地形をしています。
田淵会館と書かれた看板が現れたら再び右折です。地域の集会場らしき施設くらいしか目印が存在しない辺り、もしチバニアンが発見されなかったら、ここは部外者は一切訪れないような場所だったんでしょうね。
この分岐を左に入れば、チバニアンへ直接向かう事も出来ます。ですが直進した先にチバニアンビジターセンターなる施設が存在するらしいので、先に立ち寄って行きましょう。
なおビジターセンターには無料の駐車場が併設されており、車で訪れることも可能です。
3.素人が見てもよくはわからない、地磁気逆転期地層チバニアン
ビジターセンターの入場は無料で、依頼すればスタッフが解説もしてくれます。なのですが、まことに残念なことにまだ営業開始時間前でありました。なんてこった。
よくよく考えてみれば、こんな朝早くから気合を入れてチバニアンを見物しに来るもの好きなんて、そんなにたくさんいるはずもないですよね。当然と言えば当然の結果です。
解説付きのリーフレットが無償配布されていたので、とりあえず貰ってゆきます。これがないと、現物を見ても恐らくは何一つわからないだろうと思います。
ちなみに、養老川の周辺一帯にはヤマビルが出没します。従って、暖かい時期に訪問することはあまり推奨しません。
チバニアンがあるのは養老川の川縁です。よって、つい先ほど切通しの道を登って来たのと同じ分だけの高さを、きっかりと下ります。まったく朝っぱらから、何を登ったり下りたり繰り返しているのだか。
道すがらの紅葉は大変よい塩梅に見頃です。これは、この後の養老渓谷での紅葉見物に、大いに期待が持てそうですね。
川べりへ下って行く途中に、小さな滝があるのが見えました。隙間から差し込む光が余りにも神々しかったので、思わず撮影した一枚です。
そういえば、非常に重要な申し送り事項を一つ伝達し忘れていました。チバニアン見物をするには、長靴の着用が推奨されています。鑑賞ポイントは川縁と言うよりは、川の中に存在します。
と言う事で、川を歩いてその鑑賞地点へと向かいます。なお言うまでもないことですが、雨上り直後の訪問は推奨しません。
川底にかつては柱か何かが立っていたのであろうことを思わせる、人工的な穴が一定間隔で並んでいました。これは何の跡でしょう。木製の桟橋でもあったのかな。
さて、我々人類はさっくり言うと2つに分類することが可能です。すなわち、チバニアンを見たことがある人とない人とに。
チバニアンを見たことがある男性の事をチバニアアン。女性の事をチバニアジェンヌと呼びます。・・・嘘です。呼びません。
前述の通り、この鑑賞地点は川の中にあります。かく言う私は長靴を履いてきてはいませんが、防水性のあるハイカットの登山靴を履いていれば問題はありません。水が染みてはこないと言うだけで、十分に冷たいですけれど。
なにやら学術的な調査を行ったのであろう形跡が残っています。それで、この川縁にある一見するとただの崖の一体何がすごいのかって?そんな難しいことを私に聞かれても、わかるわけないじゃないですか。
と投げやりに言い放ってしまうのも流石に気が引けるので、一応はものすごくさっくりと解説します。
コンパスが常に北を指すそもそもの理由であるところの地球の地磁気は、過去において何度か反転を繰り返してきました。もしその当時にコンパスが存在していたら、針は北ではなく南を指し示したと言う事です。
そして、その何度か繰り返してきた地磁気反転現象が最後に起こったと考えられる時代の地層が、この養老川に露出しているのが発見され、チバニアン(千葉時代)と命名されました。
具体的に言うと、今から12万9千年年前から77万4千年前までの期間がチバニアンです。
案内板に書かれていた図によると、この部分がチバニアンの境界です。
なぜそれが判るのかと言うと、ちょうどこのチバニアンとカラブリアンの境界の部分に、今から77万4千年前に噴火した古御嶽山の火山灰から成る白尾火山灰層と呼ばれる堆積層が存在しているためです。
この噴火の年代がはっきりとしている白尾火山灰層が間にサンドイッチされていたおかげで、チバニアンの境界が間違いなくここであると言うことが証明されました。
と、ここまで語った内容は全て、リーフレットに書かれていたことの受け売りです。浅学がバレてしまうので、これ以上深くは語りません。興味のある方は調べてみてください。
門外漢である私には「ふーん」としかコメントのしようがない場所です。実際の現地よりも、ビジターセンターこそが全てであると考えた方が良さそうなスポットでした。
4.遅ればせながら、本来の目的地である養老渓谷を目指す
チバニアンの散策を終えて、無事にチバニアアンになることが出来ました。そろそろ本題へと戻ることにしましょう。
前述の通り、チバニアンへはバスで来ることも可能です。辺りには田んぼしかない道路上にポツンと、バス停が立っていました。
このまま元来た月崎駅へ戻っても良いのですが、お隣の上総大久保駅まで歩いても時間的に大差はないので、このまま養老川の上流方向へと歩みを進めます。
10時5分 そんな訳でサクサクと、上総大久保駅まで歩いて来ました。ここから養老渓谷駅へはわずか一駅区間の乗車にはなりますが、ここで次の列車を待ちます。
さしたる待ち時間なく列車はやって来ました。車内は満員御礼状態で、朝に乗車してきた便よりもさらに混雑していました。紅葉シーズン中の養老渓谷の人気ぶりが伺えます。
10時17分 養老渓谷駅に到着しました。やはりみな目的地は同じだったらしく、大半の乗客が一斉に駅へと降り立ちました。
ちなみに、この小湊鉄道と言う路線名称の由来である小湊と言うのは、外房地方にある現在の鴨川市の一部です。小湊鉄道はもともと、内房の五井から外房の小湊を結ぶ房総半島横断鉄道として計画されていました。
しかしその後は様々な紆余曲折があり、結局小湊鉄道が小湊まで延伸されることはありませんでした。路線名になっている場所をそもそも通りもしない鉄道と言うのも、なかなか珍しいのではないでしょうか。
養老渓谷駅と名乗ってはいますが、駅から渓谷まではまだ結構な距離があり、ここから先は路線バスでの移動となります。既に駅前に待機していた、10時25分発の粟又行きバスに乗車します。
バスで粟又の滝まで移動し、そこから駅まで歩いて戻ってくる計画です。
バスの車窓から、有名な太鼓橋の姿が目に入りました。養老渓谷の象徴的なスポットです。当然、帰りに立ち寄りますよ。
10時25分 粟又の滝バス停に到着しました。ここまでの運賃は400円です。交通系ICカードには対応していないので、あらかじめ小銭を用意しておきましょう。
5.途中で通行止め状態の、滝めぐり遊歩道
滝巡り遊歩道の入り口は、バスを降りたすぐ目の前にあります。ですが一旦は素通りして、バスが元来た方向に少し引き返します。
と言うのも、この先に粟又の滝を上から見下ろすことの出来る展望台が存在するからです。目の前で見るよりも先に、まずは上から見下ろしてみましょう。
と言う事でこちらが養老渓谷におけるランドマーク的スポットである、粟又の滝です。ほとんど散りかけではあるものの、滝と紅葉のコラボを拝むことが出来ました。
ひとこと養老渓谷と言っても、その全長はとても長く見所となるスポットも分散しています。そんな数多くある養老渓谷の見所の中でも、一番有名なのは間違いなくこの粟又の滝です。
ちなみに有名な「養老の滝」と言う呼び名は、どうやらこの粟又の滝の事を指しているようです。
滝展望台のすぐ隣にお食事があったので、ちょうど小腹もすいてきたことだしこれ幸いと入店し、山菜そばを頂きました。うまし。
お腹も満ちたところで行動を再開しましょう。遊歩道へと下りて行く途中で、行動開始早々に冷水を浴びせかけてくるような看板が立っていました。曰く、道が崩落しているため遊歩道は途中までで通行止めであると。
通り抜ける気満々であった私からすると、いきなり予定の根幹を揺るがすかのような事態です。一喜一憂していてもしょうがないので、とりあえずは行けるところまで行ってみましょう。
川縁まで下りると、川沿いにコンクリート製のかなりしっかりとした造りの歩道が整備されていました。
下りて早々に、目の前に粟又の滝がありました。間の悪いことに、ちょうど逆光が直撃する時間帯でした。水面に反射した陽の光が眩しい。
水が岩の上を滑り落ちるようにして流れる、いわゆるナメ滝と呼ばれる種類の滝です。二股のに分かれた水流が合流する地点がちょうど滝になっており、恐らくはこれが粟又の滝と言う名称の由来です。
ここでも紅葉と滝のコラボレーションを見ることが出来ましたが、やはり紅葉の方はもう終わりかけです。養老渓谷全体で見ればまだまだ見頃な場所もありますが、粟又の滝の周辺が紅葉する時期としては今回の訪問は少しばかり遅かったようです。
遊歩道の散策を続けましょう。なかなかお金をかていそうな立派な造りの歩道です。
この道は滝巡り遊歩道と名付けられており、先ほどの粟又の滝の他にも、こうしていくつかの養老川へと流れ込む支流の滝を鑑賞することが出来ます。
崩落地点が近いことを示す看板がらわれました。ではその崩落地点とやらを、実際にこの目で確かめてやることにしましょう。あわよくば通り抜けできるのではないかと言う、邪な下心があることは言うまでもありません。
何しろここは遊歩道ですからね。安全に通行可能であると判断する基準そのものが、そもそも厳しめであるのではなかろうかと想像した次第です。
通行止めの看板を過ぎると、周囲からは人影が無くなりました。当然だろうと言いたいところですが、それでもチラホラと反対側からやってくる人の姿もあります。通り抜けて来たのか、あるいは単に通れずに引き返してきたのか。
再び通行止めの案内がありました。通行止めエリア内にある2重の封鎖です。そろそろ崩落地点が近そうな予感です。
案の定と言うか、迂回のための明瞭な踏み跡が出来上がっていました。誰でも通れる遊歩道としては通行止めにせざるおえないのでしょうけれど、登山者的感覚で言うならばこれは「通行に支障はない」と言う結論になります。
と言う事で、特段の冒険もなにもなくあっさりと反対側へ通り抜けました。
言うまでないことだろうとは思いつつも一応は念のために言っておきますが、通行止め破りは何があっても完全に自己責任の領域であると言う事をご認識置きください。
疎らではありますが、紅葉が綺麗です。谷底だけに、陽の当たり具合によって紅葉する時期にだいぶバラつきがあります。
しかしこの絶景は、あまり長くは続きません。程なく前方に終着地点が見えてきました。
歩道はまだ先へ続いているように見えますが、ここが滝巡り遊歩道の終点となります。この通行止めの看板の先は、現在進行形で遊歩道を延伸工事している最中です。
何故そんなことがわかるのかって?それは実際に自分の目で終点を確かめたからですよ。
反対側にもしっかりと通行止めの案内がありました。何事も無く普通に通れましたけれどね。
この遊歩道の入り口の近くに、小沢又の滝と言う滝を巡る小さな遊歩道が存在します。この滝と歩道は私有地内にあり、有料で見物が出来たらしいのですが、現在は廃業してしまったのか門扉が閉ざされていました。
6.またもや通り抜け不能の中瀬遊歩道
さてここからは、しばしの間の一般道歩きです。ここよりも下流域の養老川沿いに整備されている、中瀬遊歩道を目指します。関東ふれあいの道ならぬ房総ふれあいの道と言うのがあるんですね。
この下道歩きは結構長く、途中で確実にダレます。素直に養老渓谷駅行きのバスを待って移動する方が良いかも知れません。
かく言う私は、なんだかんだ言いつつも結局は全行程を歩きましたけれどね。しかしそれでよいのです。ここはもともと、そういうブログなのですから。
ひたすら長い道すがらにあった、懸岩峡という紅葉の名所です。ここでも紅葉は終わりかけでした。訪問の時期としては、1週間前の12月第1週辺りがベストだったようですね。
13時35分 弘文洞前バス停まで歩いて来ました。ここから通りを外れて、中瀬遊歩道へと向かいます。
遊歩道へ向かう手前に、2階建てのトンネルとして有名な向山・共栄トンネルがあります。もともとは上の方へ抜けるトンネルだったものを、後から下の出口へと掘り直したために、このような姿になったのだとか
トンネルを抜けると、すぐ目の前に養老川がありました。ここから再び、川沿いを歩く遊歩道が始まります。
しかし、この中瀬遊歩道もまた崩落により通り抜けでいないとの案内が掲げられていました。えぇ、またですかい。
ともかく先へと進みましょう。「どうせまた簡単に通り抜けられるんじゃないの?」と言う邪な下心があったことは言うまでもありません。
なかなか画になる渓谷の光景が広がっていました。標高の高い山が一切存在しない房総半島の中央部に、このような光景が広がっていようとは思ってもいませんでした。
こちらは弘文洞といって、もともとは水路を通すためのに人為的に掘られたされたトンネルであった場所です。しかしその後に天井部分が崩れてしまい、現在はこうして頭上が開けている切通しの状態となっています。
この先からが通行止めエリアとなります。それでは、十分に注意して行ってみましょう。
結論から言ってしまうと、結局この中瀬遊歩道については通り抜けはできませんでした。この倒木については、邪魔ではありますが十分に通り抜けは可能であると思われます。
問題なのはこの部分です。通行可能な状態の時は、ここに渡りの板を設置してあったはずですが、通行止め状態の現在では撤去されてしまっていました。
走り幅跳びすれば届かないこともなさそうな距離ではありますが、踏み切りに失敗でもした時のリスクを鑑みるに、これはやめておこうと言う結論に至った次第であります。
7.養老渓谷駅へと戻る最後の道程
中瀬遊歩道からすごすごと退散し、もともと歩いていた大通りへと引き返します。
割とあっさり中瀬遊歩道の反対側の入り口へとやってきました。こちら側には特に、通行止めの案内もなにも出てはいませんでした。
行きしにバスの車窓から太鼓橋の脇を通過します。この橋は観音橋と言う名前で、橋を渡った先には源頼朝にゆかりがあると言う漢音寺があります。
もうすっかり歩くのがお腹いっぱいな気分であったので、結局は観音様にお参りせずに素通りしてしまいましたが。
ここまで来れば駅まではもうあと一息です。白鳥橋なるえらく年季の入った吊り橋を渡ります。一応は車両も通行可能な道ですが、重量制限は僅か1tです。事実上軽トラ専用の橋であると考えた方が良さそうですね
何でもない舗装道路歩きですが、最後の最後まで沿道の紅葉が目を楽しましてくれました。
最後の最後に、紅葉のアーチでもってフィナーレを迎えてくれました。
14時52分 養老渓谷駅に戻って来ました。粟又の滝から正味3時間40分程のお散歩コースでありました。今日もたくさん歩いて大満足の一日でした。
ああそうそう、養老渓谷駅には足湯が併設されています。待ち時間があると言う時には、ここで温まって行っては如何でしょうか。私は濡れた登山靴を脱ぐのが億劫だったので入りはしませんでしたが。
帰りの列車は、JR只見線からのお下がりだと言うキハ40系でした。こちらも十分すぎるほどに古い車両ですが、それでもキハ200形よりはまだ全然新しいんですよね。
車内はそれなりに混んではいましたが、何とか座席にはありつけて帰宅の途につきました。
初冬の房総半島中部への旅路は、こうしてほぼ丸一日に渡ってガッツリと歩きづくめて終わりました。養老渓谷エリアの見所スポットは割と広範囲にわたって点在しているため、徒歩で巡り歩くのはなかなか骨の折れる行程となります。
養老渓谷の紅葉は東北や新潟の紅葉のスポットのような、視界一面がオレンジ色に覆いつくされるような派手さこそありませんが、12月も中ごろに入ってもまだなお紅葉見物が出来ると言うのは、唯一無二の価値を放っている場所であると思います。
チバニアンについては、正直なところ特におススメはしません。養老渓谷とはハシゴが可能な距離にはありますので、興味があると言う方は訪れてみては如何でしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
オオツキ様
このすぐ近くに有るゴルフ場には何回か行っており、友人と一緒に行っているコメ作りのために千葉県にはよく行ってましたが、コロナ禍の影響でもう2年も行っていません。
養老渓谷の看板を見るたびに、いつか行こう!出来れば電車でと思っていましたが、まだ実現できていません。
これを見て、是非紅葉の季節に立ち寄ってみたいと再認識しました。
明日は休暇を取ったので、以前のブログを参考に伊予が岳から富山まで縦走する予定です。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
養老渓谷へお出かけになるなら、是非とも小湊鉄道で行かれることオススメします。目的も無しにただ乗車するだけでも、旅情に浸れてとても良い感じです。紅葉シーズンも良いですが、菜の花の季節にもぜひ行ってみたいと思っています。
懐かしい故郷を訪ねてくださってありがとうございました。
小学生の頃の遠足で養老渓谷に行き、紅葉をスケッチしたあの頃を思いだしました。
春になったら小湊鉄道に乗って花を見に行ってきます。
つねむめさま
コメントをありがとうございます。
何度か訪問していますが、房総半島は風光明媚で大好きな場所の一つです。菜の花シーズンにも是非訪れてみたと思っています。