
福島県田村市と川内村の境界にまたがる大滝根山(おおたきねやま)に登りました。
茨木県北部から宮城県南部にかけて南北に連なる、阿武隈山地の最高峰です。山と言うよりは高原台地のような緩やかな山容をしており、山頂には航空自衛隊のレーダー基地である大滝根山分屯基地があります。カルスト台地の上にあることから、山麓には国の天然記念物に指定されている入水鍾乳洞のなどの、いくつかの鍾乳洞が口を開けています。
冬を目前に控えた、晩秋の阿武隈山地層高峰を巡って来ました。
2025年11月22日に旅す。
阿武隈山地は福島県の中通りと浜通りの境界を形成している高原台地です。茨城県、福島県及び宮城県の3県にまたがる長大な山脈ですが、目を引くような顕著なピークは存在せず、なだらかな山容をしています

全国区の知名度を持つような山はなく、登山の対象としてはかなりマイナーな山域です。今回の舞台である大滝根山からして、一つの山系の最高峰でありながらも、地元の人を除けば知名度はほぼ無いに等しい存在です。
大滝根山が登山対象としての人気が振るわないのには理由があります。山頂部のほぼ全域が航空自衛隊の大滝根山分屯基地の敷地になっており、そもそも最高地点に立ち入ることすらもできません。

一応事前に申請すれば立ち入ることがは可能ではあるようですが、山頂が有刺鉄線に囲まれている山に登りたいと思う人は、あまり多くは無いことでしょう。
大滝根山の西側一帯には、仙台平と呼ばれるカルスト台地が広がっています。そこで今回は大滝根山に登りつつ、ついでに国の天然記念物に指定されている入水鍾乳洞に訪問してきました。

山登りと鍾乳洞探索の2本立てで送る、阿武隈山地訪問記をお送りします。かなり地味なので、あまり期待はせずにご覧ください。
コース

JR磐越東線の菅谷駅からスタートして、大滝根山の手前に位置している仙台平まで舗装道路を歩きます。仙台平から大滝根山を往復したのちに、帰路の途中で入水鍾乳洞に立ち寄ります。
公共交通機関の利用を前提とした大滝根山登山としては、極めて一般的であろう行程です。
・・・そもそも公共交通機関の利用して大滝根山に登ることそのものが、まったく一般的とは言い難いですけれどね。
1.大滝根山登山 アプローチ編 新幹線とローカル線を乗り継いでゆく、阿武隈山地への旅路
5時58分 JR東京駅
阿武隈山地への日帰り登山を可能としてくれる魔法の乗り物新幹線で、福島県は郡山を目指します。しかし、わざわざ新幹線を使ってまで大滝根山に登りに行こうとする人は、果たして世の中にどのくらい存在するものなのでしょうか。

晩秋の冷たく澄み渡った空気のおかげで、関東平野越しに富士山が良く見えています。東海道新幹線ならいざ知らず、東北新幹線の車窓からでもこれだけよく見えるものだとは思っていませんでした。

7時23分 郡山駅に到着しました。毎度思うのですが、東北地方に所縁がない人にとっては、何気に難読な地名なのではなかろうか。ぐ、ぐんやま?

続いて磐越東線のいわき行きに乗り換えます。磐越西線には過去に何度か乗ったことがありましたが、東線に乗車するのは何気に自身初めてです。

磐越東線は非電化なため、気動車による運行です。非日常的な旅情感を掻き立ててくれるので、個人的に気動車は大好きです。
8時40分 菅谷駅に到着しました。一応はここが大滝根山の最寄り駅と言うことになります。最寄と言っても近くは無いですけれどね。

2.仙台平までの長い舗装道路歩き
出発前にまずは帰りの時刻表を確認しておきましょう。時間帯によっては空きもがありますが、列車は概ね1時間1本あります。これを多いと思うか少ないと思うかはあなた次第です。

分水界なるものがあるそうです。分水嶺と分水界は何が違うのか気になって調べてみましたが、さっくり言うと山の稜線が境界になっていれば分水嶺で、山ではない場所に境がある場合は分水界と言うらしい。

ずいぶん気の早いことに、駅舎が既にクリスマス仕様のライトアップを施されていました。帰り際に見られるかな。

身支度を整えて8時45分に行動を開始します。まずは駅前から突き当りを右折して道なりに進みます。

と解説を始めてからふと思ったのですが、菅谷駅から直接歩いて大滝根山に登ろうとするもの好きが、果たして存在するのだろうか。
まあ1人か2人くらいはそんな物好きもいるかもしれないので、解説を続けます。入水鍾乳洞道入口と言う交差点が現れたら左折します。

畑の只中の1本道に、だいぶ年季の入っていそうな入水鍾乳洞の歓迎ゲートがぽつんと立っていました。どうやらこの鍾乳洞が町一押しの観光スポットであるようです。

ちなみに、ゲートに書かれている滝根町は平成の大合併により消滅しており、現在は田村市の一部となっています。
菅谷神社と書かれた案内の上に、なんというか蝦夷の戦士長といった感じの風貌をした人物の像が載っています。誰の像なんでしょうか。

前方を横切る山並みが見えていますが、これは仙台平と呼ばれているカルスト台地です。大滝根山の本体は仙台平の背後に隠れているため、ここからはまだ見えません。つまりは、今からこの仙台平を乗り越えていく必要があるということです。

街灯が何やら凝ったデザインです。田村市には星の村天文台があるため、天体観測をイメージした意匠にしたのでしょう。

紅葉前線は既に麓まで下って来ており、山の上の方はもう完全に葉が落ちて冬の装いになっています。

大滝根山は、私が登りたい山リストと称している、実態としてはただの殴り書きのメモの片隅のほうに入っていた山です。
このメモには、登りたい山の名前と訪問すべき時期についての情報がかなり大雑把に書いてあるのですが、大滝根山についてはただ11月とだけ書いてありました
何故11月に訪問すべきなのかまでは書いておらず、メモをしたはずの当の私自身も理由をまったく覚えていません。仮に紅葉が目当てだったのだとすると、11月の下旬では明らかに遅すぎました。11月の上旬だったのかもしれません。

もっと真面目に詳細まで書いておけよと自分自身にツッコミを入れたくなる場面ですが、きっと何らかの見所がある時期に違いないと、過去の自分を信じるほかありません。
駅から25分ほど歩いたところで、入水鍾乳洞の入口までやってきました。こちらには下山後に時間があれば立ち寄ろうと思っているので、今はひとまず素通りします。

受付終了時間は16時らしいので、それまでには戻って来る必要があります。コースタイム的に、あまりゆっくりとはしていられなさそうです。
道沿いに、現在はもう営業していなさそうな商業施設の建物が何件か並んでいます。国の天然記念物に指定されているとは言っても、鍾乳洞だけで地域の観光振興するのはやはり難しいのだろうか。

こちらの星の村ふれあい館と言う施設だけは、今も現役で営業しています。そして、どうやら日帰り入浴もできるようです。火山ではない阿武隈山地に温泉は無いだろうと思い、完全にノーマークでした。

入浴可能であることを事前に知っていれば、着替えとタオルのお風呂セットを用意して来たのですが、今回は完全に下調べ不足でした。残念。
星の村ふれあい館を過ぎると、いよいよ山間部へと入って行きます。クネクネと九十九折れを繰り返す山道がしばし続きますが、読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、道中の模様はスパッと省略します。

前方の視界が開けて来ましたが、仙台平越えはまだもう少し続きいます続きます。大滝根山登山としてはただの前座でしかないのですが、本日の行程における全歩行距離の半分以上は、仙台平を越えるためのものです

このまま舗装道路沿いに歩いて行っても目的日には到達できますが、途中からは遊歩道が整備されています。そういうことであれば当然、遊歩道の方を歩きますよ。

さてこの遊歩道ですが、かなり荒れています。路面は堆積した落ち葉に埋もれていて柔らかく、倒木も多めです。もう長らく整備の手は入っておらず、そもそも歩く人自体がほとんどいなさそうな雰囲気が漂っています。

遂には大岩によって道が塞がれていました。これは落石防止ネットを突き破った訳ではなく、下の車道へ落下しないように後からネットを張ったようです。

これは土木のド素人による素朴な疑問なのですが、こんながんじがらめにネットを張るくらいなら、削岩機を持ち込んで破砕してしまった方がより安全になるのではなかろうか。
歩行者はこの隙間に置かれた板の上を渡れという事らしい。この板は相当な年季が入っていそうですが、体重をかけても本当に大丈夫か。

大岩を突破してさらに進んでいくと、今度は行く手の路面が緑色に覆われてしまっているように見えます。なんだか強烈に嫌な予感がしてきましたぞ。

さささ笹ァ!という事で、途中からは道が完全に笹薮に没してしまっていました。まあ、長年草刈りもなにもされずに放置されていれば、当然こうなってしまいますな。

途中で何度か九十九折れに折り返すのですが、笹に覆われているせいで道筋がどうなっているのかよくわからず、何度も逸れそうになりました。という事で、現状この遊歩道を歩くことは全く推奨しません。

四苦八苦しながらもなんとか笹薮地帯を突破すると、神社の下に出ました。

大平(おおだいら)神社と言う名前です。ここまで登って来た酷い遊歩道はどうやらもともと、この神社の参道を兼ねていたようです。そういえば、歩道の入口にも鳥居が立っていたっけか。

3.大多鬼丸の伝説が残る仙台平
舗装された道に合流しました。まっすぐ大滝根山を目指す場合はここを右に進むのが正解ですが、その前に一応は仙台平の最高地点を踏んでゆくべく、反対方向の左側へ進みます。

道は渦巻き状になっており、仙台平の山頂(?)に向かって回り込みながら登って行きます。完全に軽トラ規格の道に見えますが、一応は一般車も立ち入り可能です。

ここでまで登ってきて、ようやく大滝根山の本体が姿を見せました。高原台地状のなだらかな山容をしています。予想した通り、山頂周辺の紅葉はもう完全に終わってしまっています。

続いて道の脇に、仙台平ドリーネ入口と書かれた案内版が建っていました。ドリーネとは耳にしたこともない単語ですが、いったい何のことを言っているのでしょうか。

案内板に書かれている内容をさっくりと要約すると、カルスト台地の地下にある石灰岩が地下水によって溶け出したことによって生じる窪地地形のことを、ドリーネと呼ぶそうです。

この先に実際にそのドリーネを見ることができる場所があるようなのですが、往復でどれくらいの時間がかかるのかが一切書かれていなかったので、見に行くのはやめておきます。
普段はこういう寄り道はなるべく逃さずに見物して行く主義なのですが、本日は入水鍾乳洞の受付終了時間までには戻らなければいけないという状況が、ある種の強迫観念になってしまっております。
10時30分 仙台平の最高地点まで登ってきました。周囲が広く開けており、鉄筋コンクリート製の展望台がポツンと建っていました。

山頂標識なのかと思いきや、大多鬼丸首塚と書かれています。ここにも先ほど見かけたのと同じ、戦士長風の像が置かれていました。

この大多鬼丸とは大滝根山の周辺一帯を傘下に収めていた蝦夷の頭目で、征夷大将軍の坂上田村麻呂の討伐を受けて、最終的には敗死したと伝わっている人物です。
ここはどうやらグライダーの発着場になっているようです。確かに駅前から見上げた際にも、まるで防火帯のように一部だけ樹木が伐採されているように見えていました。

せっかく展望台を用意してくれているのですから、登っておきましょう。きっと大滝根山の姿がよく見えることでしょう。

うーん、道中から見える姿とあまり変わり映えはしないかな。寄り道はこれくらいにして、本題であるところの大滝根山登山に戻りましょう。

という事で、もと来た道を引き返します。目指す大滝根山はもう結構すぐ目の前にあるようにも見えますが、果たして見た目通りに簡単に登れる山なのかどうか。

道の脇に大多鬼丸の名が書かれた大理石製の立派な碑が置かれていました。地元では英雄視されている人物なのかな。ちょうどこの辺りが、坂上田村麻呂との最終決戦の舞台になった場所であるとのことです。

10時50分 仙台平駐車場まで歩いて来ました。車でお越しの場合は、この駐車場を起点にして大滝根山を往復するのが最も一般的な行程です。一般的というか、おそらく菅谷駅から直接歩いてくる人の割合は1割未満だと思います。

ここまで歩いてきて、ようやく大滝根山の名前が書かれている案内がありました。案内板に書かれている内容によると、シロヤシオやシャクナゲが咲く山であるようです。

ふむ、となると明らかに5月下旬からから6月上旬ごろがベストな訪問時期であるように思えますが、過去の私はいったい何を考えて11月とメモをしたのだろうか。謎は深まるばかりです。
森の中に洒落たデザインンのバンガローが何棟か建っています。星のビレッジと言う名前の宿泊施設です。光害は極めて少なそうな土地なので、天体観察の適地であることを前面に押し出した観光振興を行っているのでしょう。

4.明らかにベストシーズンは過ぎてしまった冬枯れの登山道を行く
仙台平と大滝根山の間には小さな谷が横たわっており、本体に取りつく前に一度下る必要があります。それはすなわち、帰路には漏れなく登り返しが付いてくることを意味しています。

下りの途中に、鬼穴と書かれた分岐の案内が置かれていました。すぐ目の前にあるようなので、ちょっと寄って行きましょうか。

崖際ギリギリの、足元が細くて結構危なっかしい道が続いていました。地面の柔らかさ加減からして、この脇道を歩く人はほとんどいなさそうな雰囲気が漂っています。

ほどなく、鬼穴見物のための柵に囲まれた小さなスぺースがありました。

木の枝やら笹やらがたくさんあって写真では少々わかりづらいかもしれませんが、足元の崖下が巨大な窪地になっています。おそらくはこれもドリーネなのでしょう。

この鬼穴に関しては、地学に興味がない人が見ても恐らくは「ふーん」と言う感想以外は特に湧かないのではないかと思います。
谷底まで下ってきたところで、再び舗装道路と合流しました。標識の案内に従って左に進みます。

11時5分 大滝根山登山口に到着しました。あと1時間すれば正午になる時刻になって、ようやく入り口に立つことができました。やけに長いアプローチでしたな。

山中へ入って行くと、まるで奥多摩のような杉林が出迎えてくれました。わざわざ多くの時間とお金を費やして福島県にまで出向いておきながら、奥多摩みたいな光景を見せられようとは。私はいったい何をしに福島県へ?

幸いにも杉林は長く続かず、すぐに周囲はカラマツ林に代わりました。

カラマツの紅葉についても、もう既にほぼ終わりかけの状態です。やはり11月上旬ごろと言うつもりで、ただ11月と書いた可能性がいよいよ濃厚になって来ました。

もっと詳細に書いておかんかいと、過去の自分をどやしつけてやりたい気分です。
カラマツ林を抜けると、周囲はナラやブナなどの広葉樹の森にかわりました。この辺りの標高帯はもう既に冬の装いです。だいたい2週間くらい前に訪れていれば、紅葉が綺麗だったのかもしれませんね

11時45分 ブナ平と呼ばれている地点まで登ってきました。5号目とも書かれているので、どうやらここが中間地点であるようです。この様子だと、特に苦も無くあっさりと登れそうです。

少々笹がうるさくなってきましたが、登山道上はしっかりと刈り払われています。仙台平駐車場から往復する登山者は普通にいるため、ほったらかしにされてはいないようです。

山頂に近づくにつれて尾根が少し痩せて来ました。そういえば仙台平駐車場にあった案内板には、クサリ場があると書かれていたっけか。

案内されていた通りに、クサリ場が現れました。特に難しい要素も無いクサリ場ですが、すぐ脇に迂回路もあるので自信がない人はそちらから登りましょう。

クサリは2段に分かれています。2つ目の方は一直線でなかなかの勾配ですが、表面にざらつきがあってグリップの良い岩であるため、スイスイと簡単に登れます。

仙台平からの登山道とは別のルートもあるようですが、分岐地点からのぞき込んで見た限りでは、ほとんど歩かれていなさそうな雰囲気が漂っています。あえて他のルートを試してみるべき理由はなさそうです。

送電線が張られた開けた場所に出ました。ここまで登ってくれば、山頂はもうすぐ目の目です。

5.フェンスに囲まれた山頂と梵天岩
眼下に広がる阿武隈山地の主稜線上に、風力発電の風車がずらりと立ち並んでいます。令和7年に商業運転を開始した、国内最大規模の陸上風力発電所である阿武隈風力発電所の一部です。

遠くに薄っすらと太平洋が見えています。さほど海の近くにある山ではありませんが、阿武隈山地の最高峰である以上は付近一帯の最高地点であるわけですから、視界はかなり広く開けています

山頂に向かって進んで行くと、やがてフェンスにぶつかりました。大滝根山の山頂一帯は、航空自衛隊のレーダー基地である大滝根山分屯基地の敷地となっています。

フェンスに沿って進んでゆくと、小さな神社がありました。この神社が、登山者が立ち入ることの出来る大滝根山の山頂であるという扱いで良いのかな。

12時35分 大滝根山に登頂しました。神社の周辺は木に覆われていて、展望は全くありません。山頂手前の送電線のある辺りからの方が、周囲の景色は良く見えます。

どうやらフェンス越しに最高地点を見ることはできるようなので、一応は覗いて行きましょう。

ドーム型のレーダーアンテナの直ぐ脇に、三角点があるのが見えます。あの場所が本当の山頂です。と言っても、現在地からほんの数メートル離れているだけなんですけれどね。

ちなみに大滝根山の山頂には、希望日の2週間前までに基地の広報係へ連絡して基地見学申請書を提出すると、立ち入ること自体は可能だそうです。千葉県最高峰の愛宕山と同じ対応です。
神社の脇に一見山頂標識のように見えるもの立っていましたが、よく見ると保安林の案内でした。

山頂からさらに少し進んだ場所に、梵天岩と呼ばれている展望地があるらしいので寄って行きましょう。道標による案内などはありませんが、フェンス沿いに踏み跡らしきものがあります。

途中からだいぶ踏跡がだいぶあやしくなってきましたが、一応は目印らしきピンクテープがあります。迷ったら良く周囲を観察してください。

梯子が立て掛けられた岩がありました。どのあたりが梵天なのかはよくわかりませんが、この岩の事ことで間違いなさそうです。さっそく登ってみましょう。

名前もわからないお隣のピークが良く見えますが、あちらも山頂にはびっしりとレーダーアンテナが並んでいます。どうやらあちらも、大滝根山分屯基地の一部であるようです。

風車がびっしりと並んでいる山並みの向こうに、かすかに海が見えています。好展望地とは言っても、見える光景はこれくらいのものです。

一つの山系の最高峰でありながらも、大滝根山が登山の対象としてはイマイチ人気が振るわない理由が、何となくわかってしまいました。見える光景がこれだけ人工物だらけだと、どうしたって興ざめしますからね。
少なくとも、大自然の光景と向き合う感じがする山ではないです。
6.入水鍾乳洞に向かって足早に駆け下る
さあ帰りましょう。ピストンなので、下山は脇目も触れず足早にサクサクと参ります。

下りではクサリを使わずに脇道を下ります。行きはよいよい帰りは恐い。

クサリ場を過ぎたら後はもう消化試合のようなものです。半分駆け足のようなペースで下りました。

あっけなく登山口まで戻って来ました。特に急坂もない山なので、下るのは本当にあっという間です。

約束されていた、仙台平への登り返しと言う気乗りしない作業に取り組みます。まったく、下山時の登り返しほど徒労感のあることはありません。登ったらその分だけまた下りなきゃいけないんだよ。

ぶつくさとぼやきつつも、さほどの苦労もなしに仙台平駐車場まで戻って来ました。本日の行程は、横方向への移動距離はそこそこ長めではありますが、標高差はそれほど大きくありません。

笹薮を彷徨うはもうたくさんなので、帰りは遊歩道を通らずに舗装道路沿いを歩いて下ります。多少遠回りにはなりますが、登りでも始めからこちらを歩いたほうがずっと快適だろうと思います。

朝の時点ではひと気もなく静まり返っていた星の村ふれあい館は、しっかりと営業していました。お風呂セットは用紙して来ていないので、ここは泣く泣く見送ります。

15時25分 入水鍾乳洞の入り口まで戻って来ました。急いで下って来たかいもあって、見物して行く時間は十分にとれそうです。という事で、ある意味本日の主目的であるとさえ言えなくもない、鍾乳洞探索の部に移りましょう。

7.腰痛持ちにはかなりつらい入水鍾乳洞
洞窟内の探索コースはA、B、Cの3コースに分かれています。照明が完備されていて手ぶらで来ても歩けるのはAコースまでで、Bコース以降に進む場合は、濡れても問題ない服装とライトが必須です。

Cコースはガイドの同伴必須とのことで、夏休み期間中と土休日のみの対応となっています。
鍾乳洞の入口は奥まった場所にあり、道路からは結構登らされます。下山した来たばかりだというのに、また登らされようとは。

流しそうめんが名物らしいのですが、夏の間だけの営業という事で今は静まり返っています。

やはりどう考えても、11月の下旬になってから訪れるべき場所では無いのだよな。今となっては意図すらもよくわからない、自分のいい加減すぎるメモ書きが恨めしい。
入洞券はAコースが600円でBコースは1,000円となっております。水の中に入る用意はしてきていないし、何よりもうあまり時間も無いので、Aコースにしておきます。

それでは張り切って、洞窟探検行ってみましょう。なお当然のことながら、ザックは背負ったままです。それが大間違いの始まりであるとはつゆ知らずに…

初めに断っておくと、入水鍾乳洞はかなり狭い洞窟です。最初から最後まで普通に立った状態で歩くことの出来る日原鍾乳洞のようにはいきません。
入洞した直後から、中腰姿勢でないと進めない天井の高さです。うーむ、これは相当厳しいことになるかもしれません。もともと腰痛持ちなものですから、中腰姿勢は基本的にツライのですよ。

体を横向きにしないと通り抜けられないくらい狭い箇所が多くあります。ザックを背負ったままでは当然通り抜けられないため、結局は抱えて歩くことになりました。

この鍾乳洞は確かに凄いものであるし、楽しいこと自体は間違いないのですが、なんだかもう途中からは早く外に出たい気持ちでいっぱいなりました。少なくともザックは入口にでもデポして来るべきでしたね。
ライトのある場所に植物が芽吹いています、この明かりを糧に光合成して生きているのでしょう。すさまじい生命力です。

尻をついた状態でないと通り抜けられないような箇所もあります。Aコースだけを歩くつもりであったとしても、濡れても問題ない服を着てくることを強く推奨します。

立ちあがれるだけの高さがある空間があると、ほっと安堵のため息がもれます。いやね、本当に中腰姿勢はツライのよ。

私のような体系体格をしている人間にとって、腰痛と言うのは遅かれ早かれいつかは必ず発症する宿命のようなものです。つまり何が言いたいのかと言うと、お前は鍾乳洞探索には不向きだあきらめろ。
何度も途中で引き返そうかと思いましたが、何とか頑張ってAコースの終点までやってきました。そしてどうやらBコースは、この水路の中をハイハイしながら進んでいくようですね。絶対に無理ィ!

お子様連れの夏休みのアクティビティなんかにはとても良いのではないでしょうか。とりあえず腰痛持ちの人と、あと登山用のザックを背負った状態の人にはまったくもっておすすめはしません。
8.往路と同じ行程を逆に辿る
鍾乳洞の探索を終えて外にでると、すでに陽は沈んでおり周囲は暗くなりつつありました。ずいぶんと陽が短くなりましたね。

歓迎ゲートにお見送りをされつつ、もと来た道を駅まで戻ります。

16時35分 菅谷駅に戻って来ました。我ながら物好きもいいところなコースかと思いきや、実際に歩いてみると意外とコンパクトにまとまっている行程でした。

幸いにも、列車はさしたる待ち時間もなくすぐにやって来ました。駅の周辺には本当に何もないので、長い時間待つことになると結構つらいものがあるかと思います。

往路と同様に郡山駅からブルジョワな乗り物新幹線に乗り込み、帰宅の途につきました。

今回は明らかに訪問時期を間違えてしまった山行でした。いったい何をもって11月とメモをしたのかは、今に至るまで全く思い出せていません。
歩行距離そのものはそこそこ長めの行程とはなりますが、駅から直接歩いて登ることの出来る山であると称しても、特に問題は無かろうかと思います。ただ阿武隈山地に対して何らかの特別な思い入れでもない限りは、わざわざ遠方から訪れるだけの訴求力はなかなか見出しにくい山ではあります。入水鍾乳洞をメインに据えて、大滝根山の方をおまけと考えた方がしっくりくるかもしれません。
物好きかつ腰痛持ちではない人は、鍾乳洞探索と合わせて登ってみてください。
<コースタイム>
菅谷駅(8:45)-仙台平(10:30~10:40)-大滝根山登山口(11:05)-ブナ平(11:45)-大滝根山(12:35)-梵天岩(12:40~12:55)-大滝根山登山口(14:10)-入水鍾乳洞(15:30~16:05)-菅谷駅(16:35)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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